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更新日:2025年5月1日
長野県知事 阿部守一
それでは会見を始めます。きょう私からは、午前中の部局長会議の議題等を中心にご説明していきたいと思います。まずその前に、先月22日、JR長野駅前で無差別連続殺傷事件が発生しました。お亡くなりになられた男性のご冥福を心からお祈り申し上げるとともに、ご遺族、関係者の皆さまに謹んでお悔やみを申し上げます。また、けがをされたお二方の一日も早いご回復をお祈り申し上げ、心からお見舞いを申し上げます。警察には、事件の動機・背景も含めて真相究明していただきたいと思っていますが、この後にご説明する新年度予算案の中においても、防犯意識の向上、あるいは犯罪が起こりにくい環境づくり、犯罪被害者等の支援に対する取り組みを県としても警察とも連携してしっかり進めていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
そういう中で、まず予算案についてお話ししたいと思います。令和7年度当初予算案については、当初予算編成方針に基づいて、現下の状況をしっかり踏まえるとともに長野県のこれからの未来を見据えて予算編成を行ったところです。当初予算の規模は、1兆118億5725万円余で、前年度に比べて127億円余の増加という状況です。今、国全体では地方創生2.0ということで、石破総理も率先して地方に目を向けた取り組みを進めていただくようになっています。当初予算は、信州の未来を創生する予算、いわば信州未来創生予算という思いで編成したところです。県としては大きく三つの観点がありますけれども、一つは希望の種をまいていこうということで、未来の長野県をつくるために新しい視点で取り組んでいきたいと思っています。例えば、今回宿泊税導入の条例案等も出しますけれども、観光MaaS(マース)の検討をはじめとして、観光振興にこれまで以上に力を入れていく助走段階の予算だと考えています。また、人口がどんどん減少する中で、産業の労働生産性の向上であったり、規模拡大、特に協業であったり、M&Aであったり、こうした部分に力を入れて取り組んでいきたいと思っています。加えて、県土のグランドデザインの検討ということで、今まで、広い長野県は10の広域圏ごとにいろいろな地域特性を意識しながら、さまざまな施策を講じてきたところではありますけれども、しかしながら、単純な10広域ごとの県土政策では、今の時代には適合しない、また未来の長野県を考えたときには、こうした枠組みだけで物事を考えていくわけにはいかないと思っています。そういう意味で、さまざまな施設の立地の適正化であったり、分散的な住まい方から、できるだけ集まって住んでもらう住まい方への転換であったり、あるいは長野県は災害リスクの高い地域もたくさんあります。そうした地域における安全・安心のための防災対策ということももちろん重要ですが、そうした地域にこれから未来に向けても今まで通りの対応をしていくのかということも含めて、県土政策をしっかり考えていきたいと思っています。それから、二つ目はこれまでまいてきた種が少しずつ芽を出しつつあります。こうした芽を育てていきたいと思っています。例えば子ども支援、子育て家庭支援、これまでも子ども医療費の拡充であったり、保育料助成であったり、こうしたことに取り組んできました。さらにそれに加えて、県立の高等教育機関の授業料等の無償の範囲を拡大させていきます。引き続き、子ども・子育て支援についてしっかりと目を向けて、市町村と共に支援を行っていきたいと思っています。それから特に今回、教育についてはかなり重点的に予算を配分しました。学び円卓会議で多くの皆さまとこれからの学びの在り方について検討してきました。そうしたものも踏まえて、学びの「新しい当たり前」をつくっていくということで取り組んでいきます。例えば、学校改革は学校改革支援センターや、「TOCO-TON(トコトン)」、各市町村の子どもたちの主体性を育む教育を県としてもしっかり応援していきますし、また各高等学校の特色化も進めていきます。高校生たちが自分たちでやりたい特色化の取り組みも、県として予算上もしっかりと応援していきたいと思っています。また、学校の先生の処遇の改善、へき地手当、あるいは準ずる手当の引き上げにも、これまで長らくいろいろな地域の皆さまからもご要請いただきましたけれども、今回特に準ずる手当については、他の県以上に手厚い対応をしていこうとしています。それからもう1点は、未来に向けてのパラダイムシフトということで、昨年1年間ずっと県民の皆さまと対話を行いました。ジェンダーギャップを解消する、あるいは若者の活躍の場を広げていく、さらには多文化共生社会の施策を充実させるとともに、これから未来に向けての外国人政策の在り方についても考えていきたいと思っています。交通分野については、何度も申し上げているように社会的共通資本的な視点に立って、行政の関与、財政負担を増やしていきたいと思っています。こうした希望の種をまき、出てきている芽を育み、さらには未来に向けてパラダイムシフトを行っていく、そういう思いを込めて今回の予算を編成したところです。今年は、戦後80年ということで、先日も沖縄を訪問し、信濃の塔の前で長野県関係戦没者の皆さまに追悼の言葉を申し述べてきたところですが、改めて平和の尊さをしっかり胸に刻みながら、80年間、我が国は非常に発展をしてきました。しかしながら、さまざまな問題や課題も出てきています。戦後、今の日本国憲法の下でさまざまな社会の仕組みがつくられ、まさに今の地方自治制度も戦後地方自治法ができて今のような形になっていますけれども、こうしたものがいろいろな意味で転換を求められてきているのではないかと思っています。そういう意味では、今の総合計画は大変革への挑戦と位置付けていますので、大切にするべきもの、自然環境や人の温かなつながり、こうしたものは大切にしながらも、新しい時代をつくっていくことができるように、予算も含めて引き続き県としてしっかり取り組んでいきたいと思っています。ぜひ県議会において十分ご議論いただいた上でご議決いただけるように取り組みたいと考えています。それから条例案について、今回新設条例としては、宿泊税条例が非常に県として長い間の検討を費やしてきた条例です。これについてはまた後ほどご説明しますが、その他の新設条例については、児童福祉法の一部改正に伴う「一時保護施設の設備及び運営の基準に関する条例」を制定していきたいと思っています。これは、従来一時保護施設の基準については、児童養護施設の基準を準用していましたが、子どもの権利擁護、あるいは個別的なケアを推進し手厚い対応を行うため、一時保護施設の設備及び運営に関する基準を新たに定めようというものです。また一部改正条例案については、特別支援学校設置条例の一部を改正する条例案、これは特別支援教育の一層の理解促進を図るため、令和8年4月から養護学校の名称を支援学校に改めようというものです。条例案・予算案の詳細については、きょうすべてご質問にお答えする時間がなかなかないと思いますので、後ほど担当部局に取材していただければと思っています。
長野県知事 阿部守一
続いて宿泊税の制度案についてです。午前中の部局長会議で条例案とともに決定しましたが、昨年9月に観光振興税骨子をお示しして以来、宿泊事業者をはじめ多くの皆さまと意見交換をしたり、パブリックコメントを行い検討してきました。できる限りいろいろなご要請を受け止めようと真摯(しんし)に検討を行ってきたところです。最終的には部局長会議の資料でお配りしている形で条例化して、県議会に提出したいと思っています。大きなポイントは税率と免税点だと思います。県としては当初定額の300円でご提案しています。そうした中で、県旅館ホテル組合会の皆さまからも、観光産業、特に宿泊産業はコロナ禍からの回復途中であること、あるいは物価高騰の局面であることに配慮してもらいたいといったご意見もあり、そうした声を踏まえて制度開始後3年間を経過措置として、本則税額は300円ですが、導入から3年間は200円にしたいと思っています。また免税点については、低価格の宿泊施設を中心に配慮してもらいたいという声も多かったこともあり県内宿泊施設の状況等も踏まえ、また他県の状況等も踏まえて6000円と、当初は3000円にしていましたが6000円にしたいと思っています。また宿泊施設の皆さまからは、特別徴収義務者の負担の軽減もかなりご意見を頂きましたので、報償金については5年間、基本の報償金にやや上乗せすることに加えてシステムの改修支援を行います。また制度導入に向けては、しっかりと長野県で宿泊される皆さまに宿泊税の導入を広報していかなければいけませんので、広報経費についても今回当初予算に計上したところです。条例の施行日は、令和8年6月1日という予定で考えています。お客さまの繁忙期に途中で税負担が加わることになると、なかなか現場での対応が難しくなる可能性もあることなどを配慮し、比較的本県の観光の閑散期である6月1日からの施行にしたいと思っています。まずはこうした内容を県議会の皆さまにご理解していただけるようにしていきたいと思いますし、引き続き宿泊施設をはじめ関係の皆さまのご理解を頂きながら、長野県が観光県として発展していく上で大変重要な税源ですので、多くの皆さまのご理解をしっかり頂く中で進めていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それからこれも部局長会議の報告事項ですが、信州未来共創戦略に基づく県のアクション案ということで、長野県としても未来のNAGANO創造県民会議、人口減少に対応していく県民会議のメンバーでもありますので、他のメンバーの皆さまにも自ら取り組むアクションを作ってくださいとお願いしていますので、県も県民会議の一員として主体的に関わっていく観点で今回アクションを作成したところです。予算が関係するものも含まれていますので、当初予算が確定すれば県のアクションとして正式に決定していく予定です。内容についてはお目通しいただければと思いますが、県の政策として実行していくもの、それから県が組織として率先垂範していこうとしているもの、両面あります。県もいろいろな場面で県民会議への参加を呼び掛けていますけれども、引き続き県民会議に多くの皆さまに集っていただき問題意識と方向性を共有しながら、人口減少下においても活力のある長野県を目指して取り組みを進めていきたい、県民の皆さまと一緒に進めていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから組織改正ですけれども、ご覧いただければ大体お分かりいただけるかと思いますが、まずゼロカーボンの取り組みを加速化させようと、ゼロカーボン推進室をゼロカーボン推進課として強化します。また令和10年には国民スポーツ大会、全国障害者スポーツ大会が開催予定ですので、準備を本格化していくための国スポ・全障スポ大会局を新たに設置します。現地機関については、今4カ所ある消費生活センターを集約して1カ所にしていきたいと思いますが、縮小をするというよりは1カ所にして機能をより充実して、専門性の高いセンターにしていきたいと考えています。部局長会議のテーマについては以上です。
長野県知事 阿部守一
本日ガソリンの価格調整について一部報道されていますので、この部分についても言及したいと思います。まだ私も報道を見て、こうしたことを可能性として把握した段階ですけれども、仮に価格調整が事実として行われているとすれば、極めて重大な問題だと受け止めています。これまで県としても補正予算で、ガソリン価格が高騰していることを踏まえて低所得の皆さまに対する支援を行ってきていますし、また関係者の皆さまと意見交換する中で、ガソリン価格の問題は何が要因となっているのか、どのように対応すればいいのか検討していこうと準備を進めてきたところです。そういう観点で県民の皆さまにとっても非常に大きな関心事ですし、県としてもこの問題にはしっかり向き合ってきたところです。県としては、まずは事実関係を石油商業組合の皆さまに確認していきたいと思っています。事実関係を把握して確認してもらった上で、県にもしっかり報告してもらいたいと考えています。きょう、あす中ぐらいには県としての考え方を組合の皆さまにお伝えしたいと思っていますが、ガソリン価格の問題については、他方で市場価格の問題、それからもう一つ、中山間地域の小規模事業者の、こちらは価格の問題もありますが、もう一方で持続可能性といった問題もあります。こうした問題意識をしっかり持ちながら、県としての必要な対応を考えていかなければいけないと思っています。まずは事実関係の確認をしっかり行った上で取り組んでいきたいと思っています。私からは以上です。よろしくお願いします。
市民タイムス 萩原 氏
予算の関係で伺います。予算に込めた思いは今いろいろ伺ったので、思いの詰まった予算だと思うのですが、1兆円を超えるのが2年ぶりで、予算規模が膨らんだ背景と、財源不足もある中やりくりで工夫した点、苦労した点等ありましたらお伺いします。
長野県知事 阿部守一
そうですね。当初予算の姿をご覧いただくと、例えば人件費であったり、公債費であったり、ほぼ横ばい、あるいはマイナスという状況です。その一方で投資的経費が非常に大きくなっていますが、一般的な公共事業だけではなくて、高校再編であったり、特別支援学校の整備であったり、あるいは防災行政無線の整備であったり、こうした当面やらなければいけない施設整備にかなり来年度は予算を振り向けざるを得ないという実情があります。その一方で、県としては県債残高がどうなるか、あるいは実質公債費比率がどうなるかというところは常に留意しながら予算編成を行っています。私が就任してから県債残高については着実に減少、特に臨時財政対策債で一時期増加していた時期もありますが、いわゆる通常債ですね、公共事業等に充てる交付税が足りないから臨時財政対策債で対応してね、という以外の通常債残高については、基本的には縮小基調で取り組んできています。ただ、いわゆる防災・減災、国土強靱(きょうじん)化予算の関係、5カ年加速化対策ということで今進めていますが、その部分については通常の事業に比べると財政的に有利なので今通常債に加えて、5カ年加速化の部分については増えてもしっかりと安全・安心のためにやろうということで取り組んでいます。ただ、例えば私が知事に就任した時の通常債残高が、平成22年度末で1兆1931億円ですが、令和6年度末の見通しで1兆93億円、令和7年度末の見通しで1兆284億円ということで、当時に比べると減少させてきている状況です。また、実質公債費比率についても令和6年度の見込みで9.5パーセント、令和4年度、令和5年度の決算で9.7パーセント、9.4パーセントということですので、ほぼ横ばいという状況ですので、そういう意味では財政の持続可能性についても配慮しながら、予算編成したところです。
市民タイムス 萩原 氏
もう1点、今伺った県債、借金は着実に減っていますけれども、中期財政試算を見せていただくと、基金残高が令和11年で14億になってしまうというのを見て、これはと思ったのですが、中長期で見た場合のこれからの予算編成の考え方というか、その辺もお伺いできればと思います。
長野県知事 阿部守一
そうですね。中期財政試算はいつも基金残高は厳しめに出ている状況ですが、振り返った時の基金残高をご覧いただくと、大体500億円程度の基金残高はこれまでも維持してきています。毎年毎年県として取り組まなければいけないことが新たに出てきたり、あるいは必要性が少なくなったり、さらに国の制度改正とか、政策で取り組むことも出てきたりしますので、中期財政試算はあくまで参考指標だと思っています。要は必ずしも楽観はできないわけですが、しかしながら毎年度の予算編成の中ではこうした財源不足をなるべく少なくするように編成を心掛けてきていますので、これからもそうしたスタンスで予算編成していきますし、もう一つ、やはり年度途中の執行段階においても、税源の確保も含めて財政がより健全な形になるように取り組んでいきたいと思っています。
読売新聞 櫻井 氏
私も当初予算の関係で1点お伺いさせてください。全体で人口減少対策についても問題解決に向けて予算編成ですとか、事業を行っていると印象を受けたんですが、改めて来年度に向けての人口減少問題に対する特に力を入れていきたい点と、知事の人口減少に対する課題認識について改めてお願いいたします。
長野県知事 阿部守一
人口減少問題については昨年1年間ずっと、先ほど申し上げた対話をしてきました。そうした中でとかく行政は少子化対策、少子化対策って言いたくなりがちですが、私はここしばらく、ほとんど少子化対策とは言っていません。なぜならば、いわゆる狭義の少子化対策では人口減少問題には対応しきれないと考えているからです。というのも、例えば出生率が今急に上がっても人口が減り続けるのは確実です。若い世代の人口が日本国内で減ってしまっていますので、そういうことを考えると、即物的な少子化対策というよりは、むしろ今回の予算でもかなり強めに打ち出していますが、若者とか女性とか、そうした皆さまにとって暮らしやすい地域社会をどうつくっていくかということが極めて重要だと思っています。そういう意味では若者の活躍であったり、あるいはジェンダー平等、格差の是正であったり、こうしたことに取り組むことと併せて、魅力的なまちづくりの推進も含めた県土のグランドデザインの策定、こうしたことにもしっかり取り組んでいくことが重要だと考えています。そういう意味では、少し人口問題の中でも先ほど申し上げた子ども支援、子育て家庭支援ということは引き続き充実させていきますが、単にそうした側面にとどまらず、やはり長野県全体が女性・若者にとって暮らしやすい地域にしていくこと、それからもう一つは人口減少の中で産業の活力を維持していくための人材の確保と生産性の向上に重点を置いて予算を編成したところです。
読売新聞 櫻井 氏
補足でお伺いしたいのですけれど、昨年2月に県人口が200万人を下回りまして、現状でも減少が続いていることに対する知事としての危機感のようなものというのは、何かご所感を頂けますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
毎年人口が1万数千人規模で減少していくという状況を、県はもうかなり各部局を挙げて深く認識していますので、そこにしっかりと対応していかなければいけないと思います。その一方で、この問題は長野県行政だけでは対応できないことがたくさんありますので、先ほどの未来のNAGANO創造県民会議の場なども通じて、広く多くの県民の皆さまと問題意識と取り組みの方向性を共有しながら、人口減少下にあっても活力が維持される、そうした長野県をつくっていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 井手 氏
私も予算について伺います。特に財源について伺いたいのですけれども、県はこれまでも子ども・子育て対策を充実させていますけれども、例えば東京都なんかは未満児の第1子からの保育料無償化だったり、無痛分娩(ぶんべん)の補助など、長野県を上回るような規模で進めています。人口だったり企業が集積する大都市と、長野県のような地方では税収格差が広がり過ぎていて、施策の実行力にだいぶ差がついている印象を受けます。県が知恵を絞って施策を打っていくことは大切だとは思うのですが、自治体の努力ではいかんともし難いところはあるというのも事実だと思います。これについての知事の認識と、こういった過度な税収だったり財源の偏在是正について、全国知事会なりで国への働き掛け、是正について働き掛けを強めていく、そんなお考えはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私は国民運動本部長として、先の総選挙の際も各党の政調会長の所を回って知事会としての要請をしましたが、例えば子どもに関する政策みたいに、基本的にナショナルミニマムとして行うべきような政策は国においてしっかり行ってもらいたいという要請は知事会としてもしているところです。一方で今ご指摘があったように、東京都の取り組みと、他の都道府県の取り組みは相当金額的には差が大きくなっているという実情もあると思います。東京都が熱心に取り組まれているという側面も決してなくはないと思いますが、とはいえ県がいくら努力してもできないほどの財政力がある。東京都だけは都道府県の中で交付税不交付団体になっていますから、今税収の増加局面で、どうしても税収が増えると基準財政収入額が増えて、いわゆる交付税はその分抑制されるというのが地方交付税制度の中にインプットされています。そういう意味では、県は税収が増えた分をそのまま一般財源が増えたということで活用できませんが、東京都の場合は不交付団体ですから、そうしたいわゆる財政調整がある意味働いているというか、概念的には中に入っていますけれども超越してしまっているので働かない形になっていますので、税収増加局面においては著しく一般財源が増えるのは、制度的には当然のことだと思います。そうした状況がこのままで本当にいいのかということについては、今、地方創生も国レベルでも議論されているわけですので、やはり国においてもしっかり議論してもらいたいと思いますし、県としても、知事会としても、問題意識を持って取り組んでいかなければいけない課題だと思っています。
朝日新聞 高木 氏
2点お伺いします。1点目はガソリン価格についての話題ですが、きょう、あす中にも県の考え方を組合にお伝えになるというお話がありましたけれども、これは組合の内部での調査を求める内容になるのでしょうか。他に例えば事業者への支援に影響が出るとかそういったことも含めてになりますでしょうか。事業者への支援の停止とかそういったことも含めて、視野に入れて検討されるんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど冒頭で申し上げたように、一部の報道機関で報道されたという段階で、県としてはまだ事実確認等できていませんので、まずは事実関係をしっかり確認しなければいけないと思っています。そういう意味では、石油商業組合の皆さまとは、これまでもさまざまな場面で意見交換していますので、今回の報道を受けてどういう実態・実情なのか、事実関係をまずはしっかり報告してもらいたいと思っています。
朝日新聞 高木 氏
もう1点お願いします。予算の関係で当初予算とともにお示しになった中期財政試算ですが、財政試算を見ますと、歳出が歳入を上回る状況が150億円規模で、それ以上の規模で毎年度続くという試算になっています。財源不足ということに関してのお考え、年度内の調整もあるということでしたけれども、今後高齢化ですとか、社会保障費の増大、そういったことですとか、高校再編も見込まれる中での財政への認識について改めてお伺いできますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
厳しい状況には変わりないと思います。先ほど東京都の話が出たので、余計厳しさはあると相当危機感を持っていますけれども、お話にあったように、今回の中期財政試算の中でも、例えば県として抑制すべきところはしっかり抑制していかなければいけないと思っています。ただ一方で、例えば社会保障関係費のように、抑制すると県民の皆さまへのサービスが減ってしまう話ですので、県民の皆さまの暮らしを支えるような予算については、これからもしっかり確保していかなければいけないと思っています。そうしたことを考えるとやはり財政構造の在り方自体、問題意識を持って見直していかなければいけないと思いますし、先ほど県土のグランドデザインという話も申し上げましたけれども、例えばインフラの維持管理も、これから将来に向けてネットワーク型のインフラを維持するコストは相当掛かると思います。そうしたものをこれからも同じような形で維持していくのか、それともインフラ維持に掛けられるお金の限界を認識した上で、地域社会の在り方、まちづくりの在り方を変えていくのかと考えたときには、私は後者でなければいけないと。要するに今までのままでは多分財政的な持続可能性がなくなってしまいますので、そういう意味で県土のグランドデザインも策定していきたいと思っています。そういう意味で、考え方とか発想も変えながら財政の持続可能性が高まるように取り組んでいきたいと思っています。
信濃毎日新聞 濱田 氏
言及いただいたガソリンの価格調整疑いの関連で二つほど伺わせてください。先ほど組合にきょう、あすにも県としての意見を伝えるというお話がありましたが、これは知事が組合の誰かに会って伝えるということになるんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まだ決まっていないです。決まっていないというのは、私の日程も詰まっていますし、相手方のご都合もあると思いますのでそこはまだ決めていませんが、何らかの形で県の考え方を伝えたいと思っています。
信濃毎日新聞 濱田 氏
もう1点、組合への事実確認を行うという話もありましたが、いつまでに何を調べてもらって、また、どのような報告を求めるものでしょうか。あと、報告を求める根拠となる権限が県にあるのかというところも併せて伺えればと思います。
長野県知事 阿部守一
県としての権限というか、先ほど申し上げたように、ガソリン価格の問題はこれまでも多くの県民の皆さまから県にいろんなご意見を頂いています。そしてそれを踏まえて、事業者団体である石油商業組合の皆さま、あるいは幅広い関係の皆さまと、ガソリン価格の問題について検討の場を設けて、どうしてこういう高い状況になっているのか、そしてどうすれば改善できるのか、まさに検討をする場をつくろうと準備してきた段階ですので、そういう意味では個別の権限うんぬん以前に、そうした信頼関係の下でしっかり対応を求めていきたいと思っています。県としては、これまでも要因が何なのかということをいろんな角度から検討してきたわけですが、なかなか具体的にこれだということを今まで見いだしてくることができませんでしたけれども、今回はやはり関係者の皆さまと、先ほど申し上げた今回の事実確認も含めてしっかり実情を把握した上で、県としての取り組みも考えていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 濱田 氏
事実確認というところでは、いつまでとか具体的にどのようなことというのは、今イメージはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まずお話をしてみないと分からないというのが正直なところで、例えば組合とか関係者の皆さまがどういう認識でいらっしゃるのかにもよりますし、県としては先ほど申し上げたように、なぜずっと長野県のガソリン価格が全国で最も高い、あるいは最も高くなくてもかなり高い状況になっているのかということを、しっかり解明していかなければいけないと思っていますので、まず今回の報道に対しての受け止めと、あるいは組合としてどう対処されようとしているのかもよくお伺いした上で、県としても対応していきたいと思っています。
朝日新聞 小室 氏
ガソリン価格の事前調整が報じられた件に関連して教えてください。まず1点、県としての報道があった後、現段階で組合側からいつどなたからどんな報告があったのかということを教えてください。
長野県知事 阿部守一
報告はこれから求めますので、きょうかあす中には私か、あるいは誰かが先方と直接話をして県の考え方を伝えていきたいと思います。ただ、事務的にはやりとりはしてきていると思います。こういう報道が出てどうですかという話はしていると思いますが、正式に県としての意思をこれからしっかり伝えなければいけないと思っています。
朝日新聞 小室 氏
関連ですが、今回報じられたケースについて実態を把握する必要があるということですが、今回報じられた個別のケースについてなのか、それとも長野県全体についてなのか。どんなふうにお考えになっているか教えてください。
長野県知事 阿部守一
まずは報道されている内容についての事実確認ですが、先ほど来申し上げているように、この問題は報道されるかされないかにかかわらず、県としてしっかり把握しなければいけないテーマだと思っていますので、そういう意味では狭い範囲で把握するというつもりは全くありません。もっとちゃんと県として県民の皆さまに説明できるような形にしていかなければいけないと思っていますし、原因が分からないと、例えば過疎地のガソリンスタンド等の話もしましたが、そうした地域はやはりしっかり支えなければいけないと思っています。支えなければいけないので、支えるためにもやはりどういう実情なのかということはしっかり把握することが必要だと思っています。
朝日新聞 小室 氏
今のお話だと、これは広く業界の慣行として行われてきた可能性があると知事は認識はされているんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
それは全く分かりません。ただ繰り返しになりますが、この問題は、報道されなくても県として取り組まなければいけない。ガソリン価格がなぜ高いのかというのは、県としてこれまでも取り組んできましたし、これからまさに検討会をつくって取り組もうとしてきた課題ですから、そういう意味では決して一部の問題だけが明らかになればいいということではなく、長野県としてどうしてガソリン価格が高いのかについて県としてはしっかり把握できるように取り組んでいきたいと思っています。
朝日新聞 小室 氏
確認ですが、今回の価格調整が、長野県全体のガソリン価格が全国的に高い状況との関連性もあり得ると、知事はご認識されているんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
それは分かりません。分かりませんというのは、もちろんこういう報道がされて事実確認するのですから、そうした可能性を全く排除しているわけではありません。しかしながら、確認もしないで責任ある立場の私が、そうかもしれませんと、軽々に申し上げることはできませんということを申し上げています。
朝日新聞 小室 氏
2点目ですけれども、今回の報告は具体的にどんなことについて報告を求められるのか、改めて知事のイメージがあれば教えてください。
長野県知事 阿部守一
まず先ほど申し上げたように、組合の皆さまも報道で見る限りでは、やはり実態を把握したいとお話をされているようですので、まず組合の皆さまの認識、考え方をしっかり把握したいと思っています。その上で先ほど来申し上げているように、県としての支援も行う中でちゃんとガソリン価格が抑制されるように取り組んでいく、国に対しても必要な要請をしていくということは、これまでもこの場でも申し上げてきましたので、そういうことを考えていくためには、こうした報道がされている中でやはり実態をしっかり把握していかなければいけないと思いますので、そのために必要なことはいろんなことがあると思いますが、組合側がどう考えるか、そして県として何を必要と考えるか、そういったことを踏まえて要請したいと思っています。
読売新聞 岡本 氏
引き続いてガソリン価格の話になるのですが、1月、石油商業組合と意見交換も行った中で、年度内にも協議会ないしは検討会を設立して、ガソリン価格の低減に向けた取り組みを進めていくという話があったと思います。ただ知事は、今もこの問題は報道される前から県として取り組むべき問題とはおっしゃいましたが、前提としては長野県の給油所が抱える構造的・環境的要因、やむにやまれぬ要因があって値段が上がってしまっていて、それに対して県として何かできないかということで支援を考えるというところがそもそもの前提だったと思います。この事案の事実関係のいかんによっては前提条件も崩れるのかなと思うのですが、今後協議会の開催とかそういったものに与える影響について知事はどうお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。変わらないところと変わるところが両方あると思います。もちろん報道されているようなことが事実であれば、まず事実関係をしっかり把握した上での対応を考えていかなければいけないと思いますが、一方で例えば先ほど申し上げた過疎地のガソリンスタンド、小規模なガソリンスタンドをどう維持・存続させるかみたいな話は、この問題の事実関係にかかわらず、やはりやらなければいけない、人口減少下の中では取り組まなければいけない課題だと思いますので、そういう意味では県が取り組もうとしてきたもののうち変わらないものと、状況次第では変わり得る部分と両方あるのではないかなと思います。
読売新聞 岡本 氏
年度内に協議会ないし検討会を立ち上げて、一緒に議論していくという部分については変わり得るものか、変わらないものなのか、どちらになりますか。
長野県知事 阿部守一
県は基本的には変わらずに進めたい。変わらずにというのは、アジェンダ設定は変わるかもしれない。要するに、そこで何を議論するかはもしかしたら変わるかもしれませんが、しかしながら県民の皆さまの声は、ガソリン価格が高い状況がなぜなのか、そしてどう改善してくれるのか、こうした問題意識が多くの皆さまの声ですので、それにやはりしっかり応えていくことが必要だと思っています。
読売新聞 岡本 氏
今回の問題が、協議会の議論の俎上(そじょう)に上がる可能性もあるということですか。
長野県知事 阿部守一
そうですね、私もきょうは報道に接したばかりなので、どう検討会に関係付けるかというのは、今後ちゃんと考えなければいけないと思いますが全く関係がないということはないと思います。一方で検討はしっかりしていかなければいけないと思っています。
読売新聞 岡本 氏
宿泊税のことできょう条例案も公表されまして、知事も昨年12月の意見交換会の場でも、長野県が国内の名だたる観光地と肩を並べるためには、やはり一定程度の財源が必要だということは強調されていた部分かと思います。今回いろいろな協議を重ねた上でこの条例案になって、最初の3年間については想定税収22億円、その後は33億円ということで少なくとも県が9月に示していた骨子の段階からはかなり減額となるわけですけれども、税収が当初見込みより下がることの受け止めと、あと少なくなった税収はどのように重点配分していけば、世界水準の山岳観光地に近づけるかというところのお考えをお伺いできればと思います。
長野県知事 阿部守一
まず県として歳出面の観光振興を考えればもちろん税収規模が多い方が、観光振興に充てられる財源が多くなるのでその方が望ましいという基本的な思いで私はいました。しかしながら、県民の皆さまと意見交換する中で、例えば合宿に対する配慮とか、あるいは市町村に対する交付金であるとか、税収確保ということだけではなく、トータルで考えればやはり長野県の観光振興にとっては必要だと思っています。合宿で来てもらった子どもたちは将来的なお客さまになると思いますし、また県で取り組む観光政策と市町村で取り組んでもらう観光政策があるので、そういう意味では県として使える財源が減ることが、すべて観光政策にマイナスという側面だけではないと思っています。そういう意味で、いろんな協議とか意見交換を重ねる中で今回の税率に落ち着いたわけですが、しかしながらご指摘にあったように、当初ご提案したものに比べると税収規模が下がっていますので、それを前提にしながらより使途については、やはり重点的にしていかなければいけないと思います。使途はまた関係の皆さまにも集まっていただいて決めていくので、あまり私が独断でここで決めるわけにはいきませんが、少なくとも今ご質問にもあったように、やはり重点的に使っていかなければいけない。要するに薄まきにして、税負担しているのに観光でお越しいただく皆さまが他の観光地とあまり変わらないなと思われてしまうようでは課税する意味が多分ないと。あるいは、むしろ納税される方、あるいは特別徴収義務者となられる宿泊施設の皆さまの期待を裏切ってしまうことになると思いますので、そういう意味ではやはり確実に目に見える形で長野県の観光が変わったなと実感していただけるような使い方にしていくことが重要だと思っています。
読売新聞 岡本 氏
冒頭で駅前の事件について言及がありました。新年度予算案の中でも県民文化部の予算の中で犯罪被害者支援体制の充実であったりとか、人権政策審議会の開催といったものも盛り込まれています。知事として思い描いている被害者支援の在り方であったり、より広範な人権擁護の施策についての在り方をお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
まず犯罪被害者支援について条例を策定して、今多くの市町村でも条例策定されていますけれども、ワンストップで総合的に被害者の思いに寄り添うためには、こっちの支援はあの人、こっちの支援はここに行ってくださいみたいなことだとなかなか寄り添った対応にはなりませんので、そういう意味ではできるだけ一元的な対応を心掛けていくことも必要だと思いますし、また犯罪が起こりにくいまちづくりについても、ぜひ有識者の皆さまも交えて検討していきたいと思います。今回来年度に向けて警察官の定数も増員しますので、安心・安全な長野県をどうつくるかについては、警察をはじめ有識者の皆さまの意見も踏まえながら県としてしっかり対応していきたいと思っています。
読売新聞 櫻井 氏
ガソリン価格についてお伺いしたいのですけれども、知事はきょう、あす中に組合に対して県としての意見を求めるというお話をしています。ただ、こちらの取材では組合側は全く事実無根だと否定しています。県の調査といいますか、申し入れに対してどのような回答をするかまだ未確定な部分があるとは思うのですが、仮に報道内容が事実なのであれば、組合として自浄作用が効いていないということが考えられます。そのような組織が報告する内容をどのように判断すればいいのかというのはかなり難しい点となってくると思います。なので今後の報告次第だとは思うのですが、知事としては組合側にどのようなレベルでの調査を求めていくのか、例えば組織内だけでは不十分であるのであれば第三者委員会というような、第三者が関与するような形での調査も検討していきたいのか。その辺りのレベル感というか、知事のお考えをお願いいたします。
長野県知事 阿部守一
まず、私は直接お話ししていないので、組合の皆さまがどう受け止めて、今どう考えていらっしゃるのかを、まずちゃんと聞くことが最優先だと思っています。その上で、組合に入っていらっしゃる事業者もあれば、入っていらっしゃらない事業者もありますので、例えば組合の皆さまとだけ話をしていけばいいのかといえば、決してそうではないのではないかと思っています。そもそも価格に対する問題意識を持って、検討会を設置して進めようという際には、事業者の皆さまだけではなく、市町村であったり、あるいは有識者であったり、そうした皆さまにも入っていただいて問題を掘り下げていこうと思っていましたので、まずは組合の考え方、そして事実関係をしっかり報告してもらいたいと思っていますが、それだけで対応するということではもとよりありませんので、トータルで県として必要なことについてはしっかり対応していきたいと思っています。
読売新聞 櫻井 氏
確認になるんですが、トータルでというのは、例えば組合に所属されていない事業者の方の実態ですとか、有識者など広く話を聞いた上で実態を解明していきたいというお考えでよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
繰り返しになって申し訳ないですけれども、まずは組合の皆さまと話をした上で、どういうお話をされるか分かりませんので、私が先入観を持って接することができないので、まずはちゃんとお話を聞かせていただきたいと。単にお話を聞くだけではなく、この報道に対する受け止めであったり、あるいは事実関係はどうなっているのかということもしっかり確認した上で報告してもらいたいと思っていますが、その一方で先ほどから申し上げているように、ガソリン価格の問題は県として極めて重要な問題ですので、組合の皆さまとの対応、話し合い、あるいは報告、これだけで終わらせるというものでは、もとよりないということは申し上げておきたいと思います。
どうもありがとうございました。
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