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更新日:2024年8月9日
長野県知事 阿部守一
私から冒頭5点お話をしたいと思います。まず、いずれも部局長会議での協議事項、報告事項になったテーマですけれども、まず1点目が6月県議会定例会に提出します補正予算案、そして条例案についてです。お配りした資料にありますように、6月補正予算案の一般会計補正予算額は30億4702万7000円です。債務負担行為が45億3625万円ということで、今回の補正予算案については人口減少対策の推進、そして地震防災対策、感染症対応をはじめとした県民生活の安全・安心の確保、さらにはエネルギーコストの削減、こうした経費を盛り込んだところです。
人口減少については今年の最重要課題として各部局を挙げて検討してきているわけですけれども、特に昨年の合計特殊出生率、1.20が全国、そして長野県が1.34ということで、非常に衝撃的な数字が先日発表されたところです。47都道府県すべてで合計特殊出生率が低下したわけですし、1.2という数字も過去最低という状況です。人口減少については、当面人口減少は避けられないわけですので、人口減少社会における対応策、適応策、こうしたものをしっかり考えていかなければいけないわけですが、それと同時に人口減少のスピードが非常に速い状況ですので、緩和するための対策もしっかり力を入れていかなければいけないと考えています。この資料で「人口減少緩和策の一層の推進」という紙が付いていたかと思いますけれども、そうした中で長野県としても若者の就職支援であったり、あるいは結婚を希望する方への支援であったり、不妊治療等に対する支援であったり、育児休業の取得支援であったり、こうした取り組みをさらに一層力を入れて進めていきたいと思っていますし、また当初予算で計上をした「子育て家庭応援プラン」については、市町村と連携して早急な具体化を図っていきたいと思っています。加えて施策を周知し、子育ての魅力等を発信する経費として約1000万円の広報予算を計上したところです。引き続き関係の皆さまと一緒になって人口減少の緩和策の部分について取り組んでいきたいと思っています。
また県民生活の安全・安心の確保ということでは、まず地震防災対策の推進ということで大規模災害の発生に備えた組み立て式のトイレを備蓄することとします。地震防災対策全体については「地震防災対策(強化)アクションプラン」を検討中ですので、そうした中でさまざまな耐震化の推進であったり、あるいは避難所環境の整備であったり、こうした取り組みについての具体的な施策を取りまとめていきたいと思いますが、まず先行してトイレの備蓄について予算化するものです。加えて新興感染症等への対応ということで、医療提供体制の確保に向けて県と協定を締結していただく医療機関に対して施設、設備の整備費を助成していこうというものです。
さらにエネルギーコストの削減ですけれども、非常に今デフレ環境から物の価格がどんどん上がっていく方向になっています。賃金上昇がしっかり行われていく環境になっていけば、こうした一定程度の価格上昇を賃金上昇であったり、あるいは事業者において価格転嫁であったり、こうしたもので対応していくことができるわけですけれども、今そうした状況の過渡期だと思っています。そういう観点で「変化する経済情勢に対応した暮らし・経営への支援」という紙をお配りをしているかと思いますけれども、ご家庭の皆さまに対しては「信州省エネ家電購入応援キャンペーン第2弾」を実施すると同時に、中小企業の皆さまに対してはエネルギーコストの削減支援を行うことによって、脱炭素社会に向けた取り組みを進めるとともに、エネルギーコストの削減、抑制を支援しようというものです。また生活にお困りの方に対するきめ細やかな支援ということで、「まいさぽ」を通じた食料支援であったり、あるいは生活必需品、LED電球等の提供、こうしたことも引き続きしっかり行っていきます。また事業活動においては、本来適正な価格転嫁が行われていくことが重要ですので、引き続き価格転嫁の促進を図るとともに、生産性の向上等を支援することによって賃金をしっかり引き上げることができる企業体質をつくっていただくことを応援していきたいと考えています。以上のような取り組みで変化する経済情勢に対応した暮らし・経営への支援を行っていきます。
続きまして元の資料で補正予算案のポイントの方ですが、「関西など県外・海外に向けた新たな産業の展開」ということで、まず大阪・関西万博への自治体催事の出展に向けた計画の策定を行っていきます。加えて北陸新幹線が敦賀まで延伸されたことを受けて、大糸線を通じて関西方面からの誘客を図るための取り組みを行っていきます。臨時バスの増便等の実証事業を支援して、大糸線の利用促進を図っていきたいと考えています。また食品製造業者の海外展開に向けて輸出先の規制、あるいは条件に対応した施設整備を支援していきます。
最後の教育環境の整備としては、県立高校の再編に伴う施設整備を行っていきます。今回の予算においては小諸新校、須坂新校、それから赤穂総合学科新校、これらの学校の施設整備を予算化していきます。
続けて条例案ですけれども、今回一部改正条例案7件です。長野県県税条例の一部を改正する条例案については、地域再生計画に基づいて本社機能の移転や拡充を行った事業者に対する課税の特例措置を2年間延長しようというものです。
以上が6月県議会定例会に提出予定の予算案、それから条例案です。
長野県知事 阿部守一
続きまして2点目として、「人口減少対策を進めるための県民会議の設立準備について」という紙をお配りしているかと思いますが、人口減少対策はオール信州で進めていかなければいけないと考えていますし、また非常に広範多岐にわたる政策を長期的に進めていかなければいけないと考えています。こうしたことから県行政のみならず、市町村や経済界、労働界、そしてさまざまな団体あるいは若い世代、多くの皆さまの発想と、そして具体的な行動が極めて重要だと考えています。こうしたことから少子化・人口減少対策戦略検討会議を昨年度開催してきましたが、こうした検討会議のメンバーの皆さまに呼び掛け人になっていただいた上で、県民会議を広く多くの皆さまの参加の下で設置していきたいと考えています。そういう中で準備会議をまず設置して取り組みを進めていきたいと考えています。検討会議のメンバーに加えて、非営利セクター、あるいは多文化共生、若者、女性、子育て、シニアなどさまざまな活動を行っている団体や個人の皆さまにお入りいただく予定にしています。別紙で付けているメンバーの皆さまにお声掛けをしているところです。最終的に県民会議はもっと広いメンバーを加えて設立していきたいと思っていますし、また県民会議の場で人口戦略を決定するかたちにしていきたい、県民会議を通じて戦略の具体化を図っていきたいと考えています。まずは設立準備会合を行って具体的な戦略の在り方について議論を深めていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
続きまして3番目ですけれども、組織風土改革の「かえるプロジェクト」についてです。昨年1年間検討して、今年いよいよ実践フェーズに入っているわけですけれども、お配りしている資料にありますように、幹部層が率先するということで、まず重点アクションとして部局長の時間外レクの禁止、それからレクのペーパーレス化、これに取り組んできました。資料にあるように部局長の時間外レクの禁止の達成率は97%ということで、ほとんどの部局長がしっかりやっている状況ですし、レクのペーパーレス化については本庁で66.7%、3分の2で行われている状況まで至っています。こうした取り組みを継続していきますが、これに加えて部局長ではない課室長にまで時間内レクの徹底を広げて実施していきたいと思いますし、加えて会議の見直しとして不要な会議はしない、運営方法の効率化を図ることによって、そもそも職員の皆さまからは自分の時間が資料作成とか会議に取られているという意見が非常に多いので、こうしたことを通じて仕事の効率化を図っていきたいと考えています。職員の多忙感の解消、新しい働き方の実現、こうしたことに向けて取り組んでいきたいと思いますし、結果として県民の皆さまに対するサービスの向上、これにつなげていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから4点目ですが「ふるさと信州寄付金」についてです。長野県の場合は返礼品ありの、いわゆる普通のふるさと寄付金と、それから返礼品なしで独自のサイトを作って寄付金を集める「ガチなが」の二本立てで大きく取り組んでいますけれども、お手元の資料にありますように「ガチなが」、返礼品なしの寄付の実績が昨年度は1億1846万円ということで大変多くの皆さまにご理解を頂き、ご協力を頂きました。「ガチなが」、あるいは「ふるさと信州寄付金」にご寄付を寄せていただいた皆さまに改めて感謝を申し上げたいと思います。返礼品なしで1億1800万円集まっているわけですけれども、全国のふるさと寄付金の状況を見ると、令和4年度の数字ですけれども、47都道府県の中で1億円以上の寄付を集めている団体が23団体になっています。1億2000万円以上の所が21団体ですので、返礼品なしのふるさと寄付金だけで、ほぼ全国の真ん中へんぐらいのご寄付を頂けているということで、非常に他県のふるさと寄付の状況と比べても多くのご寄付を頂けているものと考えています。引き続き「ガチなが」はさらにアピールをしっかり行っていきたいと思っていますし、何よりもしっかり目的を掲げてご寄付を募っているわけですので、寄付された皆さまと「ガチなが」サイトを通じて、よりしっかりコミュニケーションを取りながら、さらにご寄付を拡大できるように取り組んでいきたいと考えています。引き続き魅力ある事業で募集を行っていくこと、そして「ガチなが」自体のPRを行っていくこと、こうしたことに取り組んでいきます。
長野県知事 阿部守一
最後5点目ですが、熱中症を防ごうというお願いです。部局長会議の資料の中で、「その他資料1-1」ということでお配りをしていますけれども、今週に入ってきょうも大変暑いわけですけれども、県内各地で最高気温が30度を超える日が続いています。気象庁の3カ月予報では全国的に平年並みか、平年より高温となることが予想されていまして、熱中症に対する十分な備えが必要だと考えています。最悪の場合、熱中症でお亡くなりになられる可能性もありますので、ぜひ県民の皆さまには熱中症に気を付けていただいて予防をしていただきたいと思います。そういう意味で注意喚起のページを県のホームページのトップページにバナーを設けていますので、ご参考にしていただきたいと思います。また加えて水分摂取が重要ですので、給水スポットマップということで「信州くらしのマップ」上にこのマップを掲載し、マイボトルへ給水できる地点をお示ししています。QRコードで読み込んでご覧いただくことができます。マイボトルをご利用いただくことによってペットボトルの削減にもつなげることができますので、こうした給水スポットをぜひご活用いただき、小まめな水分補給を心掛けていただきたいと思います。また併せまして「クールシェアスポット」ということで、お気軽に立ち寄って涼んでいただくことができるスポットをマップ化しています。こちらもぜひご活用いただきたいと思います。梅雨入り前にこんな暑さになってしまっていますので、まだまだ体が暑さに慣れていない状況だと思います。ぜひ熱中症に気を付けていただき、こうした「クールシェアスポット」等も活用しながら熱中症の予防に取り組んでいただければと思っています。
私からは以上です。よろしくお願いします。
信濃毎日新聞 森 氏
きょうの案件ではないのですけど、松本市の公立中学校で運動部の外部コーチをしていた男性が部員の女子生徒と不適切な行為をしていたという事案がありました。きのう松本市教育委員会の方でも記者会見して発表されたところですけど、きのうの地域移行について話し合う県の連絡協議会の中でも、出席者の中から指導者の質の確保をどうするかということを求める声が多々上がっていたところですが、今回の事案について知事の受け止めと、今後再発防止をしていく上ではどのような取り組みが必要とお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まだ今回の案件と称されているものについて、私は具体的な状況を承知していないので直接的にコメントすることは控えたいと思いますけれども、一般的には子どもたちをしっかり周囲の大人が守っていく社会をつくっていかなければいけないと思います。そういう観点で長野県は子どもを性被害から守るための条例も作ったところですし、今、将来世代応援県民会議を開催中で、私は会見があるので抜けてきてしまいましたけれども、こどもまんなか社会をどうつくるかということについて関係の皆さまで今、議論していただいている状況です。部活の地域移行に関しては、そもそも子どもの数が減って各学校では部活動が十分行えなくなってきているということ、それから教員の皆さまがいろんな活動を行うことによって非常に多忙感があり、子どもたちに向き合う時間が少ないということから、地域をしっかり子どもたちの活動の受け皿にしていこうという取り組みですので、ぜひそうした取り組みを進めるに当たっても、先ほど申し上げたように子どもたちを周囲の大人がどう見守っていくのか、どうやって支えていくのか、単にスポーツや文化活動を行うという観点だけではなくて、子どもたちを支えていく、守っていく、こうした視点も持ちながら検討を進めていくことが必要だと思っています。
信濃毎日新聞 森 氏
今ご指摘いただいた地域移行の関係なのですけど、今回のような事案が発生すると外部の指導者に対するネガティブな、マイナスなイメージが広がって今後の指導者を確保することに対する影響が懸念されると思いますけど、今後地域移行を進めていく中でどういう影響が出るとお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私は案件の詳細が分かっていないので影響が出るのか出ないのかコメントできないですけれども、私はいずれにしても子どもたちの周りには必ず大人が存在して、その大人が信頼できないということであると、多分いろんな仕組みが、もう成り立たなくなってしまうと思います。そういう意味では子どもたちをサポートする大人の人たちには、やはりしっかりとした自覚を持ってもらわなければいけないと思いますし、仮にそうした方が子どもたちに対して犯罪行為に及ぶようなことがあれば、それは厳しく対処していくことが必要になってくると思います。私は人口減少の関係でこの間の神野先生がお示しされた資料を見てがくぜんとしたのは、アメリカとドイツと日本でどれだけ信頼できる人がいるかという調査の中で、残念ながらアメリカよりもドイツよりも日本が最も周囲に信頼できる人の割合が少なかったということにショックを受けていますけれども、そうした支え合う社会、人を信頼できる社会、こうしたことを目指して取り組んでいくことが重要だと思います。いろんな部門、部分で競争社会になり過ぎているのではないかと思いますので、協力して支え合っていく、そうした社会をみんなで作り上げていきたいと強く思っています。
信濃毎日新聞 森 氏
あとこれも話題が違うのですけど、来週県の教育委員会で予定されている「一人ひとりに合った学び実践校」検討会議というものがあるかと思うのですけど、こちらは県の総合5カ年計画の中で新時代創造プロジェクトに位置付けられているものだと思うのですけど、こちら個別最適な学びの実現に向けて来年度実践校を設けるということで、その下地となるような会議という位置付けだと承知していますけど、今回の会議の中で知事としてはどんな議論を期待したいとお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
教育委員会に聞いてもらった方がいいかと思いますけれども、私も教育改革にはだいぶ口を出していますけれども、やはり私は画一的な学びではなくて多様な学びを実現していくことが重要だと思います。多様というのは、やはり子どもたちの興味関心をしっかり引き出しながら、それぞれの子どもたちの個性や能力に合わせた教育が実現できるようにしていくということだと思います。こうしたことを実現するためには、いろんな課題もありますし、また例えばいろんな資源ももっと充実していかなければいけないことも出てくると思います。そうした部分は私は予算については責任を持つ立場ですので、教育委員会ともよく相談しながら、できるだけ議論が行われた方向性に即して具体的な取り組みが行えるように私も取り組んでいきたいと思っています。
市民タイムス 萩原 氏
予算の関係で少し伺いますが、新型コロナ対策が一段落したところで、今回6月は30億円の補正になりますが、その補正額全体の規模感への知事としての評価というか、規模感への評価の部分と限られた予算、今回もいろいろ配分に苦労されたと思うのですけれども、予算配分に留意した点と、あと補正予算案への知事としての思い、このへんをお伺いできればと思います。
長野県知事 阿部守一
特にどれぐらいの規模にしようとかあまり意識をせずに必要な予算を的確に見込んで計上していますが、今回の一般会計予算で歳入中、多くは国庫支出金と県債が占めている状況です。そういう意味では感染症施策等も含めて国の財源を有効に使いながら取り組みを進めていきたいと考えているところです。それからこれは当初予算とは違うので、まだ6月補正の段階ですので当初予算で基本的な部分は盛り込んでいますので、その後の状況の変化等で特に追加をしなければいけないものは何かという観点で予算計上しているところです。
市民タイムス 萩原 氏
予算への思いみたいな知事の思いがあったら。
長野県知事 阿部守一
思いは先ほど申し上げたことと重なりますけれども、2月県議会で申し上げたように、県が今の最重要課題と考えているのは人口問題です。人口問題については戦略を検討中ですが、合計特殊出生率が極めて低水準に全国的にもなっているという現状を踏まえて、やはり人口減少の緩和策については、まずしっかり年度途中でも対応していきたいというのがあります。それからもう一つはエネルギーコストの削減というかたちでしか予算上は出ていませんけれども、先ほど申し上げたように、経済状況が変化する中でマイナスの影響を暮らしや経営に受けていらっしゃる県民、事業者の皆さまがいらっしゃいますので、そうした皆さまに対して暮らしや経営を支えていく、そうした観点での取り組み、これも当初予算で計上したものも含めてしっかり有効に活用していきたいと考えています。
市民タイムス 萩原 氏
もう1点、今の暮らしや経営への支援の部分で最初おっしゃった時に、賃金上昇が過渡期にあるとおっしゃっていましたが、賃金の上昇スピードが大手と中小では、まず思った予想以上に自分が取材していて予想以上に違うと、大手と中小の賃金上昇のスピードが、プラス都市部と地方のスピードも違うと。やっぱり大手中小の格差が広がってしまうのではないか、都市部と地方の格差が広がってしまうのではないか、地方でもまた長野県内でもやっぱり市と町村の格差が広がってしまうのではないかというのが、取材していると懸念される部分で出てきてしまうのですけれども、そのへんに対するお考えを伺えれば。
長野県知事 阿部守一
そもそもやはり中小企業の皆さまはそれぞれ社員の暮らしを支えようと精一杯努力されている方が大勢いらっしゃいますので、労働分配率が基本的には大企業に比べると高くなっている実情があると思います。そういう中でさらに賃金を上げていくということを考えたときに、県が支援できることは一つは先ほどから申し上げているように、価格転嫁がしっかりできるような環境をつくっていくこと、それからもう一つは生産性を上げることによって賃金に回すことができるような余力ができるように取り組んでいくということ、生産性の向上支援と価格転嫁の円滑化支援、こうしたことに力を入れて中小企業の皆さまの取り組みを応援していきたいと思います。
長野日報 林 氏
主に2点お伺いします。まず1点「かえるプロジェクト」の関係で聞き漏らしていたら大変恐縮なのですけれども、今回改めて時間外レク(禁止の達成率)が97%だとか、本庁のペーパーレスの徹底などが数字として出てきたわけなのですけれども、それについて改めて最初見た時の知事の受け止めといいますか、それを少しお聞きしたいです。
長野県知事 阿部守一
時間外レクの方は各部局長がしっかりやってもらってうれしいという感じですし、ペーパーレスの方はまだまだ取り組む余地はあるのかなとは感じています。ただ現地機関、地域振興局等を回って話を聞いても、かなりどこの職場も努力はしているので、そういう取り組みの具体化がそれぞれ進められてきていることについては「かえるプロジェクト」を進めている中での変化を実感しているところです。
長野日報 林 氏
あともう1点、「ガチなが」、ふるさと寄付金の関係で全般的なお話でお伺いしたいのですが、先ほど知事もおっしゃられたように、全体で「ガチなが」にプラスして通常の寄付金も加えると令和5年(度)は10億円ということで数字としては悪くない数字かとは思うのですが、それで1点だけ「ガチなが」の中で山小屋ですと2000万円だったり、学びの応援寄付金は5000万円集まっていたり、上々なところはあるのですけれども、どうしてもやはり数字の目標が出てしまうクラウドファンディング型の留学支援だったり、こどもカフェですとかライチョウ保護、そのへんは少し達成率がいま一つ物足りないかなと感じてしまうところもあるのですけれども、その辺りについて今後さらにアピールしていくという話がありました。具体的に何かあればそれについてお伺いしたいです。
長野県知事 阿部守一
先ほど部局長会議で申し上げたように、もっとPRしていかなければいけないと思います。これは担当部局だけがPRするのではなくて、いろんな場面で、特にこれは「ふるさと信州寄付金」なので、県外の人にできるだけ寄付していただきたいと思いますので、県外の方が集まるような場面では、他部局が取り組んでいることも含めてPRしてもらえるように県庁内では徹底していきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 谷古宇 氏
火山性地震が増えている焼岳に関連して2点お伺いします。一つが気象庁は噴火警戒レベルを1の「活火山であることに留意」としていますが、麓の松本市は登山を控えるよう呼び掛けていて、長野県も同様に呼び掛けているかと思います。こうした対応についての考えや思いをお聞かせください。もう一つが今年4月に気象庁の元地震火山部長の土井さんが火山対策総合アドバイザーに就任されましたが、土井さんを迎えたことで今回の焼岳の活動など県の火山防災の対応に何かもたらされたものが現状であればお教えください。
長野県知事 阿部守一
まだ私は土井さんとはこの件について話していないので、その影響については危機管理部に聞いてみないと分からないです。臨時火山情報が出ている中で噴火警戒レベルが引き上がっていないという状況の中での入山は控えてくださいというメッセージについてですけれども、これは地元の松本市とも共同歩調で、まずはしっかり取り組んでいかなければいけないと思っていますし、もう一つは私としては御嶽山噴火災害と同じようなことを絶対起こしてはいけないという思いがありますので、関係機関と十分連絡を取りながら的確な対応を取れるようにしていきたいと考えています。
中日新聞 清水 氏
私も発表外で恐縮なのですけど、昨日の松本市の外部コーチの不適切な事案の関係で地域移行の方が主なのですが、各市町村がメインだとは思いますけど、部活動の地域移行が進む中で主には県教育委員会ですが、県も助言する立場、一緒に仕組みを考える立場として、昨日の協議会だったりとかされていますが、実際今回外部指導者がこういうことをされてしまったという中で松本市教育委員会も処分する立場になかったと、契約しているわけではないので処分ができなかったといったようなことはありましたが、今後学校の先生が部活動からも離れるといいますか、子どもの教育のプロフェッショナルがその場からいなくなる状況ができてくる中で、そういう外部の指導者や地域の人たちが入ってくるときに、どんな仕組み、対策があるべきか、主には県教育委員会かもしれないのですけど、県も今年からスポーツの分野を知事部局に入れたり、文化財の方ですけれども文化も入れたり、団体との関係も深くなってきていますので、少し知事のご見解を伺えたらと思います。
長野県知事 阿部守一
子どもを性被害から守る条例を作る時に散々いろんな検討をして、長野県の条例は他県の青少年保護育成条例に比べて抑制的な条例にしています。それは長野県の場合は青少年の育成を県民運動で長く支えてきた部分があり、そしていろいろな規制を掛けることについては抑制的、要するに何でもかんでもこれをしてはいけないとか、これは罰則だということではなくて、やはり先ほど申し上げたように大人の責任というのは大人がしっかり自覚して行動しなければいけないということで他県とは一線を画した条例のかたちを取っています。そういう意味でいろんな問題が起きたときにどういう対応をしていくかというのは考え方はいろいろあると思いますし、私は今回のケースがどういうケースであったのか詳細を承知していないのでなかなか具体的にコメントしづらいですけれども、今申し上げたように、大人はやはり自分の、例えば子どもたちを相手にするときにしっかりとした自覚と責任を持って行動することがまず重要だと思いますし、子どもたちと接するときの接し方も集団で接するとか、複数の大人で対応するとか、何かそういうことが必要なのであって、何でもかんでも規制をするとかそういうことで対応しだすと非常に息苦しい世の中になってしまうのではないかと思います。質問が相次いでいるので私もどういう状況の案件なのかしっかり把握をしてみたいと思いますけれども、部活自体をなくして地域で部活動と同じような活動を行っていってもらうということを進めていかなければいけないわけですので、そこらへんの指導をされる方、あるいは周囲の大人と子どもたちの関係性の在り方というのは、学校における教員の皆さまと子どもたちとの関係とはかなり違うかたちに当然なるわけですので、その在り方はどうあるべきかというのは、またよく検討していきたいと思います。
信濃毎日新聞 河田 氏
一つは国民スポーツ大会についてお伺いしたいと思います。先日(全国)知事会長と共に(日本)スポーツ協会の方に知事も意見交換に同席されたということですが、改めてこれまでは3巡目以降の大会の在り方の見直しというところが主題だったかと思うのですが、島根、鳥取ですとか、2巡目の開催地でも前倒しで見直しをという意見が出てきていますが、信州で開く「やまなみ」については開催が近いのですけれども、在り方を見直すところがあるか、再点検する、そのようなお考えはあるでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず私の立場は今、全国知事会の国民運動本部の本部長の立場ですので、一つは日本スポーツ協会の皆さまとも対話をしながら国民スポーツ大会の在り方の見直しに向けてしっかり取り組んでいきたいと思います。先日、遠藤会長ともお話をしましたが、遠藤会長も非常に国スポの在り方を見直していくという方向性についてはいろいろな問題意識をお持ちですし、十分ご理解いただけている部分が多いのではないかと思います。そういう中で長野県としては4年後に国民スポーツ大会を開催するわけですし、いろいろな準備をこれまで進めてきています。私としては見直せる部分は当然しっかり見直さなければいけないと思いますけれども、まだ全体の議論がこれからです。各都道府県のさまざまな意見はありますけれども、では知事会としてどういう見解で統一していくのか、あるいは日本スポーツ協会あるいは文部科学省、国との間でどういうかたちで見直しをしていくこととするのか。このへんはまだ全く何も決まっていない状況ですので、そうした状況も踏まえながら長野県としての対応は考えていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 河田 氏
先月末の話になりますが、長崎県の大村市ですかね、同性の同居しているパートナー同士の住民票について事実上内縁の夫婦に準じるような記載をする、これは自治体の裁量として対応したということでしたけれども、そういうことがありまして、賛同する自治体も他にあるようですが、長野県もパートナーシップ届出制度を始めているかと思いますが、こうした対応を自治体が取るということについて知事のまず受け止めをお伺いしていいですか。
長野県知事 阿部守一
同性の方ですか。
信濃毎日新聞 河田 氏
そうです、はい。同性の事実婚状態、男性同士のカップルというのですかね、その住民票について大村市が内縁関係だということを認めるような表記の住民票を認めたという事案についてです。
長野県知事 阿部守一
それは多分市町村だから住民基本台帳行政をやっているので、そういう業務ができるので、県は直接的には所管をしてないので、私としては今まさに人口問題を議論する中で、いろいろな家族のかたちというのはこれからあり得ると思っています。そういう意味で家族形態の在り方はいろいろ議論が分かれるところだと思いますけれども、個人的には多様な在り方を尊重していく方向は望ましいと思っています。
信濃毎日新聞 河田 氏
同じような境遇の方からすると自治体の裁量にとどまらず国で法制化、同性婚について法制化してほしいという声もありましたが、知事とすれば法整備の必要性については個人的な見解で構いませんが、ご意見ありますか。
長野県知事 阿部守一
それは先ほど申し上げたように、家族形態の在り方はいろんな議論があり得るところだと思います。私は多様な家族の在り方が極力尊重される社会にしていかなければいけないと思っています。ただそのときに、どこまで制度的に保障するのかということは今のいろんな制度、例えば社会保障制度等にも関連してくる話になってきますので、そういうことは慎重に片方では勘案しながら、ただ当たり前ですけれども、あくまでも個人が尊重される制度、要するに昔の家父長制的な考え方ではなくて、一人ひとりの個人が尊重され基本的人権が尊重されることを基本にしながら考えられるべきものと思っています。
信濃毎日新聞 河田 氏
もう1点だけ。質問が続いていますが、松本市教育委員会の外部コーチの件ですが、知事は詳細を把握されていないのでこれからということでしたけれども、詳細な案件を聞いた上で何か知事として姿勢というかコメントを今後出されるおつもりがあるのかどうか。今回の案件は部活動を学校から地域へ渡していくという過程の中で、責任の所在が運営の仕方も含めて不明確になってしまう、そういう懸念も一つ感じられた事案かと思うのですけれども、国で地域移行を進めている、県教育委員会もそれをサポートしているという意味でいうと、知事としてはこういう案件が起こらないように、不安を抱かないように地域移行を進めましょうというメッセージを出すことも選択肢になるのかなと思いますが、今後の対応について現時点でお考えのことがあれば教えてください。
長野県知事 阿部守一
いろんな事件が起きてそれに対して対応していくということがもとより必要なこともありますけれども、すべてにおいて県が何とかするとか国が何とかするということではないのだろうと思っています。ただ、今何人かの方からご質問いただいた案件について把握して対応を考えなければと申し上げたのは、県も広域的な自治体として、私は部活の地域移行とあまり自分は呼びたくなくて、部活はいったんやめて地域で部活と同じようなことを取り組むという認識でいますけれども、一応広域自治体としても一定の役割を担って取り組んでいこうとしていますので、それを考えると、先ほど申し上げたように子どもたちと先生ではない大人たちとの関係者の在り方はよく考えなければいけない部分もあるのではないかと思います。従って今回のケースについて何かコメントをするということはもとより考えていませんけれども、今後の地域における文化活動だったり、スポーツ活動の在り方について、県が考慮すべき部分もあるのかなと思っているところですので、そうした観点で今後に生かしていかなければいけないと思っています。
日本経済新聞 臼井 氏
補正予算案の件で、子育てする魅力など発信のところで、まだ決まってない部分も多いかと思うのですが、いつ頃を目指すとか、何かこういう層、県外の移住者に向けてとか、ターゲットみたいなところとか何か決まっているところですとか、目指すところみたいなことがあれば教えていただきたいのですが。
長野県知事 阿部守一
いつまでとかというのはまだこれからですけれども、やはり子育ては非常に大変だ大変だというところがすごく伝わっていて、いろんな場面でお話するときによく言われるのは子育てとか家族を持つというのはすごく幸せなことなのに、いつも大変な文脈でしか語られませんねということをよくご指摘いただきますので、そういう意味では人口減少の問題に対応していくということは、やはり県民の皆さまのウェルビーイングの向上であったり、幸せ度を上げていくということになりますので、もとより個人のライフスタイルはそれぞれの個人の主体的な選択ではありますけれども、しかしながら大変だというところばっかり伝えるのではなくて、いいところとか楽しいところとか喜びだとか、そういうものも伝わるようにしていきたいと思っています。
日本経済新聞 臼井 氏
では、これは何か県がやっている支援を紹介するというよりは、もう少し大きな意味での子育ての魅力みたいなことをされるのですか。
長野県知事 阿部守一
支援策についても周知をしていきたいと思います。
長野朝日放送(abn) 川原 氏
6月に入り、ツキノワグマによる人身被害が4件発生して、毎日目撃件数が増えていると思うのですが、この辺り県としてはどのように捉えていて取り組んでいきたいと考えていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
6月5日に私からツキノワグマ出没注意報を発出して注意喚起を行っているところです。ご指摘の通り非常にクマの目撃情報が多くなっていますし、人身被害も発生している状況ですので、ぜひ県民の皆さまに引き続き注意を促していきたいと思います。加えて(6月)11日に野生鳥獣被害対策本部(会議)を開催して、集中点検の実施などについての取り組みを確認したところです。7月12日までの間に市町村やクマ対策員等関係者とも連携して、クマの出没の恐れがある箇所の点検をしっかり行っていきたいと思います。引き続き注意喚起を促しながらクマが出そうな場所の環境を改善していく、そうした取り組みを行っていきたいと思います。また加えて今、検討中ですけれども、県内におけるクマの出没情報がより分かりやすいかたちで発信できないかということで検討しているところです。長野県にお越しいただく方も含めて、クマの情報をしっかり把握いただくことができるように取り組んでいきたいと考えています。
どうもありがとうざいました。
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