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更新日:2024年5月17日
長野県知事 阿部守一
それでは、令和6年度に入って最初の会見を始めたいと思います。私からは7点お話を申し上げたいと思っています。最初ですけれども、きょうお越しいただいていますけれども、新しい県立美術館の館長として、笠原美智子さまをお迎えしました。後ほどご本人にお話をしていただこうと思いますけれども、茅野市のご出身ということで、東京の京橋にありますアーティゾン美術館の副館長を務めてこられました。これまで東京都写真美術館、あるいはアーティゾン美術館では、ジェンダー、あるいはフェミニズム、こうしたものをテーマにした企画展などを数多く手掛けてこられたとお伺いをしています。県立美術館、開館から3年が経過ということで、前任の松本館長にも美術館の草創期、大変なご尽力を頂きました。ぜひ笠原新館長にもこれまでの取組を引き継ぐだけではなくて、さらに発展をさせていっていただきたいと思っています。それでは笠原新館長から少し自己紹介、抱負等をお話いただければと思いますのでよろしくお願いします。
長野県立美術館長 笠原美智子 氏
笠原美智子と申します。ご紹介ありがとうございました。皆さんお集まりいただきありがとうございます。もちろん私の就任だけの記者会見ではないのは承知しています。現在、就任1日目ということで先ほど(一般財団法人長野県文化振興事業団の)吉本理事長より辞令を頂きました。先ほど知事がおっしゃってくださったように、私は茅野市の出身なのですけれども、18歳で東京に出て、こういう形で戻ってくるとは本当に夢にも思わなかったのでとてもうれしい気持ちと不安な気持ちがないまぜになっています。美術館について松本前館長、それから美術館の職員、それから財団の職員の人たちの非常な努力の下に、外から見ていても現在の長野県立美術館、2022年にリニューアルオープンして以来とても注目されていると思います。建物の風通しの良さというか、気持ちの良さ、善光寺と篠山が見える立地条件もさることながら、展覧会の企画も県の出身者、ゆかりの作家を地道に調査して何かやるというだけではなくて、幅広い分野の展覧会をやっている印象です。特に私が全く本当に館長なんて夢にも思わなかったのでもう一つ申し上げておくと、アーティゾン美術館の時にも副館長なんてもう全く夢にも思っていなかったので、そういうところに来るのがそういう道なのかなと思いますけれども、外から見ていて長野県立美術館、私がとてもすごいなと思ったのは松澤宥さんであったりとか、これからやられると聞いているまだ発表もされていない作家たち、本当に長いこと地道にその作家とそれから財団とかご遺族の人たちとかなり親密な調査の基に、その成果として展覧会をやっているという、そこが非常に印象的でした。それからもう一つ、もちろん中谷(芙二子)さんの「水辺テラス」(霧の彫刻)は私たち現代美術を専門とする者としては、もう本当にうらやましいくらい、他の美術館がうらやましいと思われるような作品が常設されているとも思います。冬は駄目ですけれども。知事からいくつか宿題を頂いていまして、もう一つは学習プログラムの充実、それから県内ネットワークのより充実、それから海外・国際化ということです。それについては学習プログラムというのは、ずっと私はラーニングプログラムと言っていたのでごっちゃになってしまいますけれども、同じことを指していますが、学習プログラムについては長野県立美術館はかなり現在でも他の美術館と比べて充実しています。ただどうしても学習プログラムというと小学校、中学校、高校、学生と若い人たち、それからファミリープログラムのようなところに目が行きがちですけれども、やはり学習プログラムというのはいろんな人たち、いろんな状態の人たち、いろんな年代の人たちに届けられるようなものができればいいなと思っています。私は現在、帯状疱疹後神経痛という左胸から脇下、それから左の腕のところまで、かなり激痛がずっと走っている状態です。66歳になったので前期高齢者です。年を取るというのは、みんな年を取るのですけれども、4年もこういう状態でいると、やはり痛みがあるとか障がいがあることが自分自身の一部になっていて、それでなければ、こういう経験をしなければ分からない、知見みたいなこともあるのではないかと思います。そこからさっきも美術館の人たちと言ったのですけれども、本当に疲れた大人のための、寝てしまってもいいゆるゆるプログラムみたいな、そういったものもいいのではないかなみたいに、これは私の思い付きなのでやるということではないですけれども、そういういろんな状態の人たちのプログラムがあったらいいのかなと思います。県内ネットワークについては、これも他県の学芸員が、この間アーティゾンの元同僚が上田に来てこの状態を見て、こんなにネットワークがある県も珍しいですねって感銘して帰ってきたのですけれども、せっかくそういうネットワークができているのでそれをより充実させるためにいろんなことを考えていきたいと思います。それから海外のネットワークですけれども、海外ネットワーク、国際化というと、トリエンナーレとか、ビエンナーレとかを考えますけれども、トリエンナーレ、ビエンナーレのような国際展というのはやはり打ち上げ花火で、もう2000年以来横浜のトリエンナーレは今やっていてとても有名ですけれども、横浜が皮切りでいろんなところでやっていて、もう本当に後出しじゃんけんをしてもしょうがないので、それよりももっと地道な学芸員だったら学芸員、広報だったら広報という、そういう美術館、それから個人レベルのネットワークを築きながら、それからその築いたネットワークの末に展覧会なり事業ができるような、そういう将来に向けての人を育てる、それから投資をする。お金ではなくていろんな人を育てる投資をしていくという、そういった少し長い目で見る方法を考えていったらいいのではないかと思います。何しろきょう就任したばかりですので、下手なことを言うと言ったじゃないかと言われそうでとても怖いのですけれども、とりあえずまだ勉強不足の状態ですが、以上で私の拙い話を終わりにします。ありがとうございました。
信濃毎日新聞 福島 氏
笠原新館長のお話で松澤宥さんのお名前の展示の話が今出ましたけれども、県立美術館に期待されることとして県内にゆかりのある、館長がおっしゃっていたような県内にゆかり、県内出身の作家の発掘ということも期待されると思うのですけれども、今教えていただける範囲でどのようにその辺りを発掘されていくのか、県民に親しんでもらえるようにするのかお考えを教えていただければと思います。
長野県立美術館長 笠原美智子 氏
ありがとうございます。ゆかりというのはここで生まれたというだけではなくて、長野に住んでいたりとか、それから何らかのきっかけで長野とつながりがあるという、いろんな意味でのゆかりという言葉が使えると思います。名前は何人か浮かぶのですけれども、今それを言うと少し問題かなと思いますので、学芸員の仕事は基本的に地道な調査なので、そこのところはもうベテランの学芸員が多くいますので、一人ひとりの専門分野で調査をしながら私ができることはこんな方もいるよ、こんなこともあるよということを情報としてお渡しするということをしていきたいと思います。なかなか現代美術の専門で、それも現代の写真の専門で、それもごてごてのフェミニストというのはなかなかいないと思いますので、そこのところは強要はしませんけれども伝えてはいきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
どうも笠原館長ありがとうございました。また文化振興事業団、吉本理事長はじめ関係の皆さまと一緒に私も県立美術館が発展するように取り組んでいきたいと思います。笠原館長の色を出していただきながら発展させていただければと思います。よろしくお願いします。あとお配りしたミュージアム・カレンダーをそこにも貼っていますけれども、新しい館長の下、本年度さまざまな展覧会、あるいは県内での移動展を開催します。ぜひメディアの皆さまにも引き続き県立美術館の活動にご理解とご支援を頂ければと思いますのでよろしくお願いします。どうも笠原館長ありがとうございました。
長野県知事 阿部守一
続いて2点目ですけれども、令和6年度の予算執行方針についてです。部局長会議の資料でお配りしているかと思いますけれども、今年度の予算執行に当たっての考え方について記しています。改めて申し上げるまでもなく、「しあわせ信州創造プラン3.0」、県の総合計画の2年度目という形になりますので本格的な推進を図っていきたいと思っていますし、また能登半島地震の教訓を踏まえた地震防災対策の強化、さらには「かえるプロジェクト」の推進、こうしたことにも取り組んでいきます。特に財政改革の実行と記載していますが、経済環境もだいぶこれから変わってくるだろうと予想されますので長野県の財政の在り方についても今一度しっかり見直しをして持続可能なものにしていかなければいけないと考えています。「かえるプロジェクト」で業務の減量化・効率化も併せて進めていかなければいけないと思っていますので、両面相まって県民の皆さまにとって真に必要な事業については、充実、発展、強化をさせながらも時代の変化とともに必要性が低下してきているような事業については廃止、見直しを行うなど持続可能な財政運営に向けた本格的な検討を行っていきたいと思っています。引き続き県民の皆さまのご期待に応えられるような県政運営とともに財政運営も行っていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから3点目ですが、能登半島地震に関連して先週26日と27日に石川県、それから富山県を訪問してきました。石川県で馳知事、それから金沢市の村山市長、それから輪島市の坂口市長と懇談し、併せて輪島市内の状況についても駆け足ですけれども拝見し、県職員が応援をしている避難所も訪問しました。また翌日は富山県庁を訪問して新田知事と懇談をしたところです。被災地訪問した実感としてはまだまだ非常に息の長い支援を長野県として行っていく必要があるなと考えています。馳知事からも人材派遣のご要請を頂きましたので、きょうから県庁職員を派遣しています。これはすでに発表した通りですけれども、今後とも必要に応じた応援も行っていきたいと思いますし、特に各県・市に対しては長野県としては県民本部を設けて、県行政だけではなくてさまざまな団体の皆さまとともに応援体制を組んでいるので、何でもご要請いただきたいということでお話をしています。いろいろなルートで支援に入っていますので、また県民本部等で問題意識や状況認識を共有して、被災地支援を着実に進めていきたいと思います。また一方で今回の能登半島地震の教訓を県の地震防災対策にもしっかり生かしていきたいと考えています。避難所の在り方であったり、あるいはトイレの在り方であったり、あるいは笑顔プロジェクトの皆さまとも懇談をしましたが、重機を使った早期の対応の在り方であったり、さまざま県としても考えるべき点があると思っています。できるだけ早く地震対策の方向性をお示しできるように取り組んでいきたいと考えています。最終的にはアクションプランという形で取りまとめを行っていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから4点目ですが、紅麹を含む健康食品による健康被害の拡大に関連してです。小林製薬の紅麹を含む健康食品を摂取された方の健康被害が全国的に相次いでいる問題で、大阪市が小林製薬に対して回収を命じる行政処分を行ったところです。すでにお伝えしているように、県内でも2名の方に対象製品との関連が疑われる健康被害が発生している状況です。この対象となっている健康食品がお手元にある場合は摂取しないようにしていただきたいと思いますし、また小林製薬で回収を行っていらっしゃいますので回収にご協力を頂きたいと思っています。また小林製薬の紅麹を含む健康食品を摂取して体調不良があるという方については直ちにかかりつけ医と相談をしてもらいたい、医療機関にまずご相談いただきたいと思っています。また体調不良がない方についても健康に不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。そうした方はぜひ保健所にご相談を頂ければと思っています。引き続き県もしっかり情報を収集しながら必要な情報発信に努めていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
続きましてリニア中央新幹線の関連で、静岡工区のモニタリング会議が先週開催をされました。工事契約締結から工事に着手できないまま静岡工区については6年4カ月経過ということで、2027年の開業が実現できないと。また静岡工区にいまだ着工の見込みが立たないことから現時点で新たな開業時期を見通すことができないという説明がなされたようです。このことは非常に県としても重大なことだと受け止めています。すでに関係の市町村長等がコメントされていらっしゃいますけれども、JR東海が定めたスケジュールに沿って協力・対応を行ってきましたし、これは国の認可を得てそういう形になっているわけです。そういう意味でまずは地元の皆さま、そして県も含めた関係者に対して十分な説明をしっかり行ってもらうことが必要だと思っています。長野県内、例えば非常にリニア新幹線の開業に期待をされている方たちが大勢いらっしゃいます。開業時期が大幅に遅れることになると、例えばまちづくりであったり、あるいは企業誘致だったり、こういったことにも大きな影響が出るわけですので、JR東海にはそうしたこともしっかり念頭に置いた対応をこれからしていってもらわなければいけないと考えています。またこの工事にさまざまな形でご協力を頂いている方たちがいらっしゃいます。やむなくお住まいを立ち退かざるを得ない方、あるいはダンプの通行を我慢していただいている皆さま。JR東海は単に工事が進まないから工事が延びるということだけではなくて、多くの皆さまが協力をしながら我慢しながらこの工事を支えてきてもらっているということをしっかりと自覚をしてもらわなければいけないと思っています。これまでもJR東海には常々地元の皆さまの理解と協力がなければこの事業は進んでいきませんよという話をしていますので、そうした点は理解はされているのだろうとは期待をしていますけれども、これまで以上にしっかりと説明責任を果たしていっていただくことが重要だと思いますし、単に進まないから延びましたということだけでなくて、一体どういう状況になっていくのか、あるいはどれぐらい本当に延びてしまうのか。その間地元に対して地域に対してどのような対応をしていくのか。こうしたことについてもしっかりとまずは説明をしてもらわなければいけないと思っています。リニア中央新幹線については全国新幹線鉄道整備法に基づいて国が認可をされているわけですので、事業主体はJR東海ですけれども、国においてもぜひしっかりと責任を持って対応していってもらいたいと思いますし、静岡工区でいろいろ課題がある中で足踏みをしているという点については、これは静岡県にだけ問題があるわけでないと思います。長野県内においてもいろいろ課題がある中で、地元の皆さまの理解と協力を得ながらこの工事の進捗を図ってきたわけですので、静岡県においてもリニア中央新幹線の整備促進、一緒に進めるという立場を川勝知事も明言されていらっしゃるわけですから、他の県の地域の状況等も踏まえた上でぜひ1日も早く課題の解決を行っていってもらいたいと思っています。これまで県内の工区については予定通り進めていくと説明を受けてきましたが、何となく県内も難しくなってきつつあるというような説明をされているということですので、であればなおさら個別具体的な説明をしっかりJR東海には求めていきたいと思っています。引き続き県としては関係市町村、あるいは地域の皆さまの思いをしっかり受け止めながらJR東海と向き合っていかなければいけないと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから県政参与についてです。新しく県政参与にお二方お願いをしたいと思っています。おひと方は千本倖生氏、そしてもうひと方は神野直彦氏、このお2人です。千本氏はKDDIの共同創業者です。通信事業の開拓者としてその実績が高く評価されている方ですし、最近では脱炭素社会に向けてのお取り組み、あるいは虐待を受けた子どもたちへの支援活動、幅広い活動をされていらっしゃる方です。これまでご活躍されてきた幅広い識見をぜひ長野県の発展のために生かしていただきたいと。DX、デジタル化の推進であったり、あるいはゼロカーボン社会の実現であったり、さらには若者に対する支援、さまざまな分野でご助言を頂きたいと考えています。それからもうひと方、神野直彦先生は東京大学名誉教授でいらっしゃいます。地方財政をご専門とされていらっしゃるわけでありまして、長野県の総合5か年計画の策定にもいろいろとご助言を賜ってきましたし、今まさに観光振興財源の検討に当たって部会長として直接的にご尽力いただいています。今後国と地方との関係の在り方、あるいは地方自治の充実と、長野県として取り組んでいくべき課題はたくさんあるわけですが、ぜひ神野先生のお力をお借りしながら国と地方の関係、地方分権の在り方、さまざまな課題と同時に、こうした大きな制度的な取り組みにも助言いただきたいと考えています。以上お2人の方を今回県政参与としてお願いをしたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから最後になりますけれども、発達障がいの関係で発達障害啓発週間に合わせて県としての普及啓発に取り組んでいきたいと思っています。ぜひ皆さまにもご協力とご支援を頂ければと思っています。お手元にプレスリリース資料をお配りしているかと思いますけれども、毎年4月2日、あしたですね。国連が制定した世界自閉症啓発デーに当たっています。この日から8日までの間を発達障害啓発週間ということで国で位置付け自閉症をはじめとする発達障がいの理解を促す取り組みが行われています。本県においてもこの取り組みに合わせて普及啓発を行っていきたいと思っていますけれども、発達障がいという呼称については最近は広く浸透してきているものと考えていますが、まだまだ正しく理解されていない点があると思っています。例えば発達障がい、本人の性格の問題、あるいは怠けているのではないか、そうした理解であったり、あるいはこれは家庭の育て方が悪いのではないかといったような誤った理解がいまだにされていると思っています。ぜひあすからの啓発週間を契機に多くの皆さまに医学的知見に基づいた正しい理解をお願いをしていきたいと考えていますし、そのことを通じてより多様性が認められる社会の実現を目指していきたいと考えています。プレスリリースにあるように、この分野で非常に知見をお持ちの本田秀夫先生、発達障がい情報・支援センター長を引き受けていただいていますけれども、本田先生と私との対談の動画も公開をしています。多くの方たちが発達障がいということで、いろんな困難な課題に直面されていらっしゃいます。ぜひ多くの皆さまが正確にこの発達障がいを理解していただいた上で、みんなで支え合い助け合って暮らすことができる、そうした長野県づくりの実現にご協力いただければと思っています。なお発達障がい情報・支援センターはこの4月で発足から1周年という形になります。本田センター長をはじめスタッフの皆さまには大変なご尽力を頂いています。電話相談、あるいは市町村等の支援者向けの研修の実施、あるいは講師の派遣、ホームページ等での情報発信、さまざまご協力いただいているわけです。こうした取り組みも県としてさらに一層充実をさせていきたいと考えています。私からは以上です。よろしくお願いします。
信濃毎日新聞 井手 氏
まずリニアのことで伺いたいのですけれども、知事は今、十分な説明が必要ということをおっしゃいましたけれども、今回JR東海からは、県や市町村にどのような説明があって、県としてそれを十分と受け止めているのか。また十分でないという場合は今後県から情報を出すようにJRに要請する考えはあるか、その点についてお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
まずどのような説明があったか、リニア整備推進局から説明してもらえればと思います。
リニア整備推進局次長 青木能健
JR東海からは、やはりだいぶ掘削の状況等ですね、そういったものが芳しくないというような状況をお聞きしています。今現在非常に厳しいというようなことをお聞きしている状況です。それとJR東海については、今後、地元の皆さまに対して遅れる状況について丁寧に説明をしていくというようなことでお聞きしています。
長野県知事 阿部守一
私としてはこれまでも地域の皆さまの理解と協力なしには事業は進んでいかないということを再三繰り返しお伝えをしてきたところです。今回の対応についても、もっともっと地元優先で対応をしていただく必要がある部分もあったのではないかと思います。県は現場とは少し離れていますので、やはり地元の皆さまとか地元の市町村の皆さまがどう受け止めるかということが私は最も重要だと思っています。そういう意味で、私としては関係の市町村の皆さまは地域の思いとか地域の課題とか受け止めていらっしゃるわけですので、地元の市町村ともしっかり連携を取りながら対応していきたいと思っています。先ほど申し上げたように、地域の皆さまは本当に何とかリニア整備が進むのであればということでご協力、ご理解いただいてきている方が大勢いらっしゃると思っています。そういう皆さまの思いをしっかり受け止めて対応していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 井手 氏
もう1点、リニアで県内の工事でも難しい部分があるとおっしゃっていましたけれども、県内の工事の、例えばその目標の年度の変更だったりとか、そういうことも今後JR(東海)に聞いていくだったり、その説明を求めるということはあるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
県内の工事の変更があるということがあれば、県から求めるのではなくて先方から責任を持って説明してくるのが当然だと思っていますので、私はJR東海にはそうした誠意を持った対応を引き続き求めていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 井手 氏
もう1点、県政参与について伺いたいのですけれども、委嘱は平成25年以来ということでだいぶ久しぶりだなという感じはあるのですけれども、このタイミングで委嘱した意図というか狙いというか、そこらへんのことについて少し教えてください。
長野県知事 阿部守一
これまで飯島参与、それから中村参与、お亡くなりになられた大森参与、お三方に委嘱して、大森先生はお亡くなりになったわけで、今お2人という状況ですけれども、今回新しい総合計画を本格的に進めていくに当たって、さまざまな分野で実績をお持ちの方の知見をぜひ長野県のために役立てていただきたい、ご協力いただきたいという思いで検討しました。その結果先ほど申し上げたお二方、千本さまはある意味経済界、実業界の中で非常に実績をお持ちの方ですし、神野先生はある意味地方財政といえばもう神野先生と言っても過言ではないほど造詣が深い方です。お2人の強力なご支援を頂く中で、ぜひ県政推進に一層の弾みをつけていきたいと思っています。
中日新聞 清水 氏
リニアの関連でJR(東海)側から説明があったというようなお話でしたけど、いつどんな形で説明があったのかを教えていただきたいです。
リニア整備推進局次長 青木能健
JR東海から実際に説明があったのは3月21日の木曜日です。こちらで実際に工期が変更になる旨を翌週の国の静岡工区のモニタリング会議で説明するというような趣旨をお聞きしました。実際に先週金曜日にモニタリング会議が行われまして、説明をしたということを会議が終わってから電話で連絡を受けたところです。
中日新聞 清水 氏
あと知事がおっしゃっていた県内の工期についても遅れそうだというお話はJR(東海)側からあったわけではなく、この静岡工区の遅れに伴うことでありそうだという県側の想定なのかどちらでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私は内容をよく聞いてないので分からないのですが、地元での説明会では難しいというお話があったと聞いています。
リニア整備推進局次長 青木能健
3月21日木曜日に大鹿村の地元の協議会の中で、実際に工期に間に合うか厳しい状況であるというような説明がされているところです。
中日新聞 清水 氏
具体的にどのぐらい遅れるというような、そこまでの話はなかったということでしょうか。
リニア整備推進局次長 青木能健
はい。そういったお話はまだございません。
中日新聞 清水 氏
このJR(東海)の発表に伴って長野県が進めている道路の整備事業などがあったかと思いますけど、この工期の遅れに伴って何か影響があるとかそういったことはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私は直接聞いていないので何とも申し上げられないというのが正直なところです。JR東海には事業はちゃんと予定通り、少なくとも静岡工区以外はやってもらうという前提で考えてきていますので、仮にそうではないということになれば、それはしっかり説明してもらわなければいけないと思っています。
市民タイムス 萩原 氏
予算執行方針の関係でお伺いしますが、知事も今おっしゃった財政改革、持続可能な財政運営に向けて本格的な検討とおっしゃる中で神野先生が参与と、興味深く聞かせていただいたのですが、この財政改革の実行の中で、五つ目のポツで「新たな財源確保の検討」とありますけれども、今、観光振興財源等々進んでいますが、知事のお考えの中でさらに財政が厳しくなっていくというのはここにもありますように、財政運営の厳しさが強いられてくるという中で新たな財源確保の件で、今知事の頭の中でこのような分野でこのようなことができるのではないかというようなものがもしお考えあればお聞かせ願えればと思います。
長野県知事 阿部守一
あまり何か思い付きみたいなことを軽々に申し上げるわけにいかないですけれども、一つは「ガチなが」という形でふるさと信州寄付金についても返礼品を必ずしも出さないけれども多くの皆さまのご協力を今までも得てきていますし、もっともっと長野県のこれから取り組んでいく方向性をしっかり打ち出すことによって協力者を増やしていきたいなと思っています。またこれは本来的な部分ですが、デフレ経済から日本全体が脱却しつつある方向性になる中で、そういう意味では本来の形での税収を上げていく努力ということも重要だと思っています。加えて観光振興財源のお話も頂きましたけれども、県として必要な財源を確保する上では、こうした税という在り方もいつも国が決めて税金を徴収して地方に補助金とか交付金で配分するといったようなこと自体が地方の独立性を私は大きく阻害する要因ではないかと思っていますので、もっともっと県自身も自ら財源を確保するための努力をしていきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 大場 氏
私もリニアについてなのですけれども、時期については多分まだ出てないところだとは思うのですが、知事の方から改めてJR東海に対していつ頃に延期されるのか時期がどうなるのか明示してほしいということを求める考えはありますか。
長野県知事 阿部守一
それは難しいと言うかもしれないですけれど求めますよね。当然県は認可された計画に基づいてこれまで協力してきているわけですから、その前提が変わることになれば当然求めていかなければいけないと思っています。
日本放送協会(NHK) 大場 氏
あともう1点、静岡工区のところが難しいというのが現状あると思うのですが、例えば近隣の県と連携をして何か今後働き掛けをするなりそういったお考えはありますか。
長野県知事 阿部守一
建設促進同盟に川勝知事もお入りになられているわけですので、静岡工区の問題は静岡県だけの問題ではないと思いますので、ぜひ問題を共有していただければ一緒になって解決策の検討をしていくのは何らやぶさかではありませんし、これは国において今いろんな検討を進めてきていただいているわけですけれども、あらゆる検討はされてきていると思いますので、何をいつまでにどうするかということの具体的なスケジュールをぜひとも県にも共有をしていただいて進めてもらいたいと思います。
朝日新聞 高木 氏
リニアの対応について伺います。知事は先ほどJR東海の今回の対応についてもっと地元優先で対応していただく部分もあったのではないかというご発言がありましたが、具体的にどういった部分が対応として不十分であったとお感じですか。
長野県知事 阿部守一
国のモニタリング会議でいろいろ説明されるのも別にいいことだと思いますけれども、こうした事業がどうなっていくのかということに対して大きな関心を持っているのはやはり地元の住民の皆さまであったり市町村の皆さまであったり関係者の皆さまになりますから、そうした皆さまに対する説明ということもほぼ同時とかですね、それぐらいのタイミングでしっかりやっていただくということが地域の皆さまとの信頼を維持する上では重要ではないかと思っています。
信濃毎日新聞 河田 氏
同じテーマで質問が続いて恐縮なのですが、リニアについてなのですけれども、(JR)東海の方は全体の開業の遅れということについて静岡工区が大きな理由と挙げられていますが、私どもから見るとトンネル掘削の見通しの甘さですとか、残土処理の問題とか、課題はさまざまあると思います。知事からしてこの開業が遅れるということ自体の原因というのはどういうところにあると考えていますか。
長野県知事 阿部守一
私は直接まだ説明を聞いていないので、リニア整備推進局には十分ちゃんと説明をよく聞いてくれと言っている状況ですから、何が要因かということを今私から申し上げることは難しいです。ただ静岡工区だけではなくて全体的にどういう課題があるのかということはしっかり共有していただかないと、県としてもこれまでいろんな形で協力をしてきているわけですから、まずその信頼関係を裏切ることがないように対応していただきたいと思っています。
信濃毎日新聞 河田 氏
リニアでもう1点、冒頭知事からまちづくりとかかなり大きい影響が出るというお話がありまして、そういうことも念頭に置いて対応していただきたいというお話でしたけど、(JR)東海に対してはその具体的な説明会、説明を求めるということ以上に何か具体的にこうこうこうしてほしいという求めはありますか。
長野県知事 阿部守一
先ほども申し上げましたけれども、これは県だけの問題ではなくて、どちらかというとやはり地元の皆さまが何に困られるのか、あるいは何を期待しているのかということをまずよく県も把握をしたいと思っています。例えばこれまでも大鹿村の皆さまは観光への影響でダンプの通行期間の問題、JR東海にも一定程度理解していただきながら対応してきているわけですけれども、そうしたことも含めて地域の皆さまと一緒に今これから未来に向けてどういう課題があるのかということをしっかり共有した上でJR東海にも必要な対応を求めていきたいと思います。
信濃毎日新聞 河田 氏
もう1点だけ県政参与についてなのですけれども、今の時代に合わせた起用の理由というのは先ほどおっしゃっていただいた通りだと思いますが、委嘱がだいぶ間が空いたと、この理由はこれまでにいろんな課題でお願いするタイミングもあったかと思うのですけど、この間が空いた理由は何かありますか。
長野県知事 阿部守一
特にこれが理由ということはないですけれども、率直に言って令和元年から昨年までの間はもうほとんど平時モードではなくて災害対策・コロナ対策モードでずっと来ましたので、そういう意味でやっと県庁全体で落ち着いて本来の業務にまい進することができた、できるようになったというこの時期を捉えてお二方に委嘱をさせていただくというのが私としての感覚に最も近いと思います。
日本経済新聞 臼井 氏
私もリニアの件で県が当初多分リニアが通って利用される方によって県内消費の波及、経済波及効果が多分、年間300億以上あるみたいなふうにされていたと思うのですけど、27年の開業が見通せなくなると、この辺りはどう変動すると見てらっしゃるですとか、あと県としてこの辺りの計画は修正して発表する予定があるのかみたいなところを教えていただきたいです。
長野県知事 阿部守一
何年も前に行った試算と今とではだいぶ変わってきているとそもそも思いますけれども、これはまずJR東海、あるいは国として何年の開業を目指して取り組むのかということがまずはっきりしないと、いろんな対応、対策の見直しもできないと思いますので、先ほども申し上げましたけれども、一体何をいつまでにどう解決し、その見通しを立てていくのかということをぜひ明らかにしてもらいたいと思います。
日本経済新聞 臼井 氏
波及効果が上振れしそうとか、逆に想定していたよりも少し少なくなってしまいそうみたいな、そういうことは現時点で県として見ていることというのはありますか。
長野県知事 阿部守一
それは特段今の時点でどういう変化があるかを把握しているわけではありません。
テレビ信州(TSB) 北沢 氏
能登半島地震の関係でお伺いします。きょうで3カ月というところになりますけれども、現地にも視察に行かれたということで改めて現地で感じられたことと、また部局長会議でもありました対策の強化も挙げられていましたけれども、そこにつながることを何か感じましたら教えてください。
長野県知事 阿部守一
能登半島、輪島市までずっと車で入って一番痛感したのは、やはり半島地域、そして山あいの地域の復旧・復興の難しさです。非常に道路交通も限られた道路でしか行けないという状況ですが、その道路もあちらこちらで2車線の道路が1車線しか使えないとか、あるいは道路もまだまだ段差が大きいとか、非常にそういうことを考えると物資の輸送であったり、人の往来であったり、そういう面でかなりのハンディキャップをまだ背負った状況での復興だなと感じました。本県は半島ではありませんけれども、非常に山あいの地域、山に囲まれた、道路が1本途絶すると孤立してしまう可能性が高い集落を多く抱えている県ですので、そういう意味ではこうした中山間地域の復興の在り方、あるいは地震防災対策の在り方、今回の能登半島地震から学ぶべき点がたくさんあると思っています。また今回避難所も訪問しましたけれども、長野県は避難所TKBということで、トイレ、キッチン、ベッドと、例えば段ボールベッドの備蓄等も進めてきて一定程度かつてに比べれば避難所の快適性を向上させる方向で取り組んできていますが、非常に大規模な災害になったときにはまだまだ対応すべきことがたくさんあるなと思っています。今回の能登半島地震を見ても、やはり被災された皆さまにもいろんな思いがあって、例えば避難所から離れた所に行けば宿泊施設が用意されているけれども、やはり身近な所からなかなか離れられない、あるいは離れたくないと、行政だけが絵を描いても、やはり結果的には住民の皆さまの思いと乖離(かいり)をしていれば有効な対策を講じることはできませんので、そういう意味では県が対策を講じるに当たっても、やはり県民の皆さまの考え方もしっかり把握をしながら取り組む必要があるなということを痛感をしているところです。
信濃毎日新聞 森 氏
きょう午前中に辞令交付がありましたが、本日付で武田教育長が就任されました。小中学校の教員としては初めての起用になるかと思うのですけど、改めて起用された理由と教育長に期待することについて知事のお考えをお願いします。
長野県知事 阿部守一
武田新教育長はこれまで義務教育の分野で大変ご尽力、ご貢献を頂いてきました。県の教育委員会の事務局でも勤務をされたこともあり、そして3月までは信濃教育会の会長ということで長野県の教育の隅々まで、過去の信州教育から今に至る教育、そしてさまざまな長野県教育の現場での取り組みに非常に熟知をされている方だと思っています。私も何度も武田教育長が就任される前にお話をさせていただきましたけれども、非常に問題意識を持って子ども中心で教育の在り方を見つめ直していこうという思いを強く持たれている方ですので、まさにこれから県が取り組もうとしている学びの県づくり、そして高校再編を含めた長野県の教育改革全般に力を発揮していただけるかなと考えています。
信濃毎日新聞 森 氏
教育行政は不登校支援であったり、教員の働き方など多岐にわたる課題があるかと思うのですけど、知事の現状の認識として教育分野に関する課題はどのような点があるとお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
いろいろありますが、今お話しいただいたように、一つはやはり学校教育のモデルを新しい時代に合わせていかなければいけないのではないかなと思っています。学校に行かない子どもたちも多く存在している中で、私も学校に行かない子どもたちと話をしていても、やはり学校の在り方そのものに問題意識を持っている子どもたちも結構大勢いらっしゃるなと思っています。もとより学校だけに変えていく責任を負わせるのでは多分何も変わらないと思いますので、私の立場としては教育委員会ともしっかり連携をしながら県民全体の支援を頂く中で、県民全体で長野県からぜひ教育の在り方、学校の在り方を変えていこうと、そういう動きをつくり出していきたいと思っています。それからもう一つ、やはり今ご指摘あったように、何といっても学校の先生たちが子どもたちにしっかり向き合ってすべての持っている能力、人間性も含めて発揮してもらえるようにしていくことが重要だと思っています。教員の皆さまの働き方改革、あるいは処遇の改善、こうしたこともこれからの子どもたちのための教育を実現していく上では大変重要なテーマだと考えています。こうした問題意識を教育委員会、新教育長ともしっかり共有して取り組んでいきたいと思っています。
どうもありがとうございました。今年度もよろしくお願いします。お世話になります。
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