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更新日:2025年2月3日
長野県知事 阿部守一
それでは、本日の会見を始めます。私からは冒頭5点お話しします。まず1点目ですが、きょう11月22日は白馬村を震源とする神城断層地震から、ちょうど10年目の日に当たります。10年前は、本当に1年を通じてさまざまな災害が長野県に襲い掛かってきた1年でした。豪雪災害あり、神城断層地震あり、南木曽の土石流災害あり、御嶽山噴火災害 ありで、亡くなられた方もいらっしゃいますし、多くの方が被害を受けられました。改めて亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された方にお見舞いを申し上げたいと思います。そうした中、この神城断層地震は、いわゆる「白馬の奇跡」と称されたように、地震によって亡くなられる方がいらっしゃらなかった地震です。地域によっては震度6弱を記録し、倒壊家屋も多数発生したところですが、住民の皆さまの支え合い・助け合いの力もあり、亡くなられる方がいらっしゃらなかったということです。私たちも、今回策定した長野県地震防災対策強化アクションプランにおいては、「地震災害死ゼロ」を目標に取り組んでいきたいと思っています。そういう意味では、行政もできる備え、そして応急対策、復旧・復興に向けた取り組みをしっかり行っていきたいと思いますし、ぜひ県民の皆さまにも、この機会にご自分の防災対策や地震への備えを今一度再確認していただければ大変ありがたいと思っています。資料をお配りしていると思いますが、特に今年1月に発生した能登半島地震以降、県民の皆さまの建物、住宅の耐震化に関する関心は非常に高まってきているところです。今年度は最大150万円まで自己負担なく耐震改修工事ができるように、県も支援の充実を図っています。診断、あるいは改修に関わる市町村との協調補助については、例年に比べて1.5倍に増えてきているということで、多くの皆さまに関心を持っていただいていることを大変ありがたく思っています。ぜひ、この機会にご自分のお住まいの住宅の耐震診断を行っていただき、必要な耐震改修工事を進めていただければありがたいと思っています。チラシの裏面に制度、仕組みも書いていますので、ぜひメディアの皆さまには、できるだけ耐震化が進むようにお知らせいただければありがたいと思いますし、県民の皆さまにも、まずはお住まいの市町村に耐震診断、木造在来工法の戸建て住宅で昭和56年5月31日より前に着工している住宅については無料で耐震診断できますので、ぜひこの機会に受けていただければと思います。
長野県知事 阿部守一
それから2点目ですけれども、本日午前中の部局長会議で、11月県議会定例会に提出します予算案、そして条例案を決定しました。部局長会議の資料として配っていますが、まず補正予算案については、人口減少対策の推進、そして移住・交流の促進、さらには県民生活の安全・安心の確保などの観点で必要な経費を予算化しました。補正予算案の規模は1億6805万9000円です。人口減少対策に関連しては、オール信州で対策を進めていくための県民会議に要する経費、あるいは必要な広報を実施するための経費を計上しています。また移住・交流の促進としては、三大都市圏から県内への移住を一層促進するため、移住支援金の支給に必要な予算を増額するものです。また、県民生活の安全・安心を確保するという観点で、来年の観光シーズンに向けた道路の舗装修繕であったり、あるいは土砂災害による災害の防止や軽減を図るための砂防堰堤(えんてい)工事等を前倒しして実施するための債務負担行為を設定するものです。加えて、消費生活センターの機能強化は、複雑化・高度化する消費生活相談の課題に対応するため、消費生活センターを松本市に集約し、機能を強化しようというものです。なお、現在国においては経済対策、補正予算案について準備が進められていますが、県としてもこうした国の対策・予算を積極的に活用していきたいと考えています。国の対応も踏まえて速やかな予算化を図っていきたいと考えています。続きまして、条例案については一部改正条例案が8件です。主なものは、「職員の勤務時間及び休暇等に関する条例の一部を改正する条例案」で、7月の会見でも少しお話ししましたが、選択的週休3日を可能とするフレックスタイム制を新設しようというものです。育児や介護などライフスタイルの多様化に応じた柔軟な働き方を実現していこうというもので、県職員が生き生きと働ける、そうした職場環境づくりにつなげていきたいと考えています。以上の予算案・条例案については、来る11月県議会において、丁寧にご説明をした上で、ご議決いただけるように取り組んでいきたいと考えています。具体的な内容等については、それぞれ担当部局に取材していただければありがたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
続きまして3点目ですが、部局長会議で警察本部、県民文化部から報告がありましたが、闇バイトの関連です。現在首都圏において、いわゆる闇バイトに応募した者による凶悪な強盗事件等が連続して発生しています。現在のところ、本県においてはこうした犯罪は発生していませんが、同様の事件が発生するか予断を許さない状況だと思います。本県では、これまでも長野県警と連携を図りながら、犯罪加担防止や被害の防止に向けた広報・啓発を行ってきているところです。ぜひ県民の皆さまにはこうした犯罪に加担しない、くみしない、また被害に遭わないように十分ご注意いただきたいと思っています。万が一、闇バイトに申し込んでしまったという方、あるいはそうしたグループから抜け出したくても抜け出せないという方は、まずは身近にある相談しやすい場所にぜひ相談していただければ、しっかりとサポートしていきたいと思っています。きょうの部局長会議の資料に、消費者ホットライン、それから警察相談専用電話、警察本部ヤングテレホン、こうした電話番号を記載しています。ぜひ相談しやすい所に早く、悩みを抱え込むことなく相談していただければありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
長野県知事 阿部守一
続いて、部局長会議の報告事項でありました、中山晋平さんの生涯を描いた映画「シンペイ 歌こそすべて」が、県内の映画館で先行公開されますので、そのお知らせです。長野県も後援していますし、私も先日、完成披露上映会が長野グランドシネマズで開かれた際に出席し、鑑賞した上で、舞台あいさつをしたところです。監督をされていらっしゃる神山征二郎さんは上田市にお住まいになられていますし、また主人公の母親役を演じていらっしゃる土屋貴子さんも上田市のご出身で、信州上田観光大使を務めていらっしゃいます。また中山晋平さんは、ご存知の通り中野市生まれということで、中野市でも完成披露試写会、あるいは舞台あいさつが行われたところです。明治から大正、昭和にかけて我が国の音楽文化をけん引された中山晋平さんの生涯が描かれた映画です。また長野県のいろいろな地域、上田市でのロケが非常に多かったわけですけれども、長野県の美しい景観等、あるいはさまざまな施設も多数出てきますので、ぜひ多くの皆さまにご覧いただければと思っています。引き続き県としても、各地域のフィルムコミッション等とも連携しながら、こうした映画を通じて長野県・信州を発信していただけるような取り組みをぜひ積極的に応援していきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから最後、「発酵バレーNAGANO」1周年記念フォーラム2024の開催ということで、地酒・食品振興担当課長から詳しくお話ししますので、よろしくお願いします。
産業技術課 地酒・食品振興担当課長 中谷まゆみ
私からは11月24日に信州大学工学部内にあります国際科学イノベーションセンターにおいて開催される「発酵バレーNAGANO」1周年記念フォーラムについてご説明をします。「発酵バレーNAGANO」は昨年11月に長野県味噌工業協同組合連合会や長野県酒造組合など発酵食品企業団体六つと二つの企業により設立された組織で、県も行事の開催や運営などに協力しています。「発酵バレーNAGANO」では三つの分科会が組織されていて、会員企業の若手の職員の方がさまざまな意見を交わしながら、各企業が持つ技術力や知識を融合させて、新たな商品開発や海外販路の拡大などに取り組んでいて、今回のフォーラムでは、会員企業、団体企業さまの若手の方が中心になり、これまで進めてきた取り組み等や活動内容について発表されます。また、阿部知事からは「長野の価値を世界へ」と題して、先日アメリカで行った「発酵・長寿NAGANO」の食のレセプションの様子などについてお話しします。また、会の後段では加盟企業の次の世代を担う方により、長野県の発酵食品の未来についてトークセッションが行われます。このトークセッションの中では、併せてこれらの方が新たにミライクリエーションチームを設立されましたので、このことについても発表されます。若者の新たな視点でどのように長野県の発酵食品産業を発展させていくのか、熱い議論をされることが期待されていて、私も大変楽しみにしています。「発酵バレーNAGANO」の会員企業の皆さまとタッグを組み、新商品開発等にチャレンジしたい企業の皆さま、また発酵食品の魅力を肌で感じたい一般の方や学生の皆さまなどに広くお越しいただきたいと思っています。どうぞたくさんの方にお越しいただきますようよろしくお願いします。私からは以上です。ありがとうございました。
長野県知事 阿部守一
県からは以上です。ぜひ「発酵バレーNAGANO」をしっかり私も進めていきたいと思いますので、メディアの皆さまにもフォーラムにご参加いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
信濃毎日新聞 竹端 氏
いくつかお伺いしたいのですが、一つは本日プレスリリースがありました来週28日に長野市街地の活性化の件で、東急の会長と長野市長と懇談されるということですが、先日10月にも市長と懇談されての延長になるかと思うのですが、今回東急も一緒になって、どういった目的で、どういったことを話し合うご予定なのか、伺えますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず、先日長野市長ともお話をして、長野市が取り組んでいくまちづくりに、県もできることについてはしっかり協力して取り組んでいきたいと思っています。そうした中で東急の皆さまは、例えば、渋谷のまちづくり等、非常にまちづくりの実績・経験をお持ちだと思っています。これから長野県も人口減少社会になる中で、まちの在り方、まちの魅力をどう高めていくかということは非常に重要なテーマだと思っています。若い人たちと対話する中でも、人口減少については、やはりまちの魅力、楽しめるまちとか、みんなが集えるまちとか、そういうことに対する期待は非常に大きいものがあると考えていますので、私としては、そうした観点でしっかりまちづくりを進めていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 竹端 氏
関連して、基本的にまちづくりに関しては地元の市町村が中心になって行うことが多いと思うのですが、今回、県としても、基本的に一緒に連携・協力していくことになりますけれども、長野市街地、いわば長野県の玄関口に当たるかと思うのですが、このエリアは、県としてはどう位置付けるというか、どう見ていらっしゃるのかというのを伺えますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
長野県の場合は県土自体は非常に多極分散型県土になっていますので、どちらかというと都道府県の中でも県庁所在地一極集中型の県土とはだいぶ違います。県全体の発展を考えたときには、いくつかの拠点も念頭に置きながら、県として対応していくことが非常に重要だと思っています。その一方で、長野市あるいは長野駅を中心とするエリアは、長野県の新幹線駅で、かつ「かがやき」も停車するということで、やはり東京方面からの大きな人口流動の結節点であることは間違いないです。加えて例えば、長野県内のさまざまなスキーリゾート等に行く場合も、多くの方が長野駅や長野駅周辺を経由して行かれますので、それを考えると、長野市における重要性だけではなくて、県全体の在り方を考える上でも大変重要な地域だと思っています。もちろん当然県の役割、市町村の役割があるわけですので、県が何でもかんでもやるというつもりは毛頭ないですけれども、ただこれからの長野県を考えていった場合には、やはり核となる地域の発展は非常に重要だと思いますので、そういう観点で長野市の取り組みに県としても協力できるところは協力していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 竹端 氏
話が別でもう1点お願いしたいのですが、先日兵庫県知事選がありまして、一部ではSNSで不確かな情報が拡散されたりですとか、誹謗(ひぼう)中傷もあったと伺って異例の選挙だったと思うのですが、他県の事例ではございますけれども、あちらの選挙戦を知事としてはどうご覧になっていたか伺えますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず齋藤知事が当選されたことにはお祝いを申し上げたいと思っています。率直に言って他の県の知事選挙なので、あまり選挙期間中そんなに関心を持って見ていたわけではありませんが、選挙後の報道等を拝見してみると、非常にSNSであったり立候補された方の行動であったり、これまでの従来型の選挙とはだいぶ違う部分があったのかとは受け止めています。片方で公職選挙法でいろいろな規制がたくさんあり、その一方でSNSを使っての言論空間というのは非常に自由に今情報が行き来しているということで、おそらく大手メディアの皆さまから見てもいろいろ問題が見えるのではないのかと推察しています。やはり多くの皆さまが政治、あるいは選挙というものに関心を持っていただくことが重要だと思っていますし、その反面、やはり公平公正な選挙の在り方はどうあるべきか、現時点でもいろんな規制等がされているわけですので、そうしたことについて社会経済、SNS等の普及でいろいろ変わってくる中で、これからの在り方はいろんな場面で議論されていく必要があるのではないかと思います。
信濃毎日新聞 竹端 氏
重ねてもう1点だけすみません、SNSということで今回の選挙に限った話ではないと思うのですが、誹謗中傷等も散見されることもあるかと思います。この選挙の前から兵庫県知事はSNSでの誹謗中傷を防ぐ条例の検討を表明しているようですけれども、現時点で、長野県としてSNSの誹謗中傷等を防ぐなどの条例ですとか、何か検討されていること、あるいはそれについてどうお考えなのか最後に伺えますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず今、長野県でそうした条例を検討しているということはありません。例えば、これまでもコロナで誹謗中傷はやめましょうと、シトラスリボンプロジェクトと称して県民の皆さまに呼び掛けたり、ネットを通じた人権侵害事案もあるので、そうしたものを防ぐための取り組みは法務局等とも協力して対応してきていますけれども、一人ひとりの人権が尊重される社会をどうつくっていくかについては、県も大きな関心を持っています。ただ、どうしても言論の自由等との関係もありますので、規制に対しては、やはり慎重に考えなければいけない部分もあると思っています。
日本放送協会(NHK) 杉本 氏
まず1点目伺いたいのが県民会議の関連で、今回補正予算案に1500万円余り計上で、その多くが啓発・広報の費用になっているということですが、やはり県民の多くを巻き込んでいくという意味では、どのように知ってもらうのか、あるいはそこに関与してもらうのかというのは非常に重要だと思いますが、知事として、これから立ち上がっていく県民会議の在り方はどのように発信されていきたいか、その辺りをお願いします。
長野県知事 阿部守一
これまでもいろんな皆さまとお話をさせていただき、また今、準備会合ということで県民会議の母体となっていただくような方とも意見交換していますが、県が今検討している人口戦略(仮称)ですが、一つはやはり人口減少の事実をしっかり県民の皆さまと共有して、ものの見方・考え方、いわゆる価値観を転換していく必要があるのではないかと、これまでもさまざまな検討をしてきています。そういう意味では先日も松本大学で人口減少について私からお話をしましたが、若者たちを含む多くの県民の皆さまに、今の人口減少の現状、それから人口減少がこれから将来もたらすであろう課題、こうしたものを広く共有して、その上で県も含めていろんな皆さまがこうした社会にどう向き合っていくかということを、まずはしっかり考えていただくことが大事だと思っています。またその上で、県民会議をつくってこれから県民会議としての具体的な行動を行っていく形になると思いますが、さまざまな団体も含めた県民の皆さま、各界各層の皆さまと一緒に、人口問題に取り組んでいきたいと思いますので、そういう意味ではこれから取り組んでいく方向性や考え方を広く県民の皆さまに発信していくことが重要だと思っています。県が考えていることだけではなく、県民会議の皆さまの思いもしっかりと広く県民の皆さまに知っていただくことができるような広報に努めていきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 杉本 氏
今回広報の発信の仕方はSNS向けの動画とか記事とかといったものが想定されていると伺いましたけれども、そういったところでの発信の仕方だったり、あるいは単に知らせるというだけではなくて、その次のアクションを考えた上での呼び掛けといいますか、巻き込むといいますか、そういった部分の積極的なアクションという意味では、県としてあるいは知事として、もう少し言っていただくとするとどんなことになりますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたことと重なりますけれども、やはりまずは、問題意識、危機感をしっかり共有することが必要で、その上で今回の人口戦略は、ただ大変だ大変だという戦略ではなくて、むしろこうした時代の大きな転換点だからこそ社会をより良いものにしていくチャンスだと受け止めていますので、そういう意味で、ポジティブな方向性も含めて共有して、県民の皆さまに未来に向けたアクションを一緒にとっていただくようにしていきたいと思っています。これは例えば事業者の皆さまであれば、共育てが当たり前にできるような職場環境をつくっていただくことであったり、あるいは地域社会であれば、女性や若者ももっといろんな取り組みに一緒に参画して行動し発言してもらえるような機会をつくってもらうとか、そうした県民の皆さまに行動を伴う、県と同じような方向性を向いて行動をとっていただけるような呼び掛けもしっかり行っていきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 杉本 氏
次に2点目で先ほどもありました、いわゆる選択的週休3日制を導入する条例案ですけれども、こちらも今のお話にも通ずるところがあると思うのですが、働き方の価値観を変えていくというところで、具体的な制度の運用面はまだ今後詰めていくと思いますが、こうした取り組みを積極的に進めていくという上において、知事自身の意識といいますか、職員への向き合い方、職員の働き方への対応というところでどのようにお考えか、もう少し伺えますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今検討している人口戦略の中でも、産業分野、あるいは働き方の分野では、人口が減っていく中でいかにして付加価値労働生産性を高めるのかというのは非常に重要なテーマだと思っています。これは行政も例外ではないと思っていまして、今まではどちらかというと勤務時間の制約の中で働いて、残業して超過勤務手当をもらってという形ですけれども、おそらくだんだんこれから定型的な業務は、もうAI、デジタルが取って代わる時代になると思います。そうした時代に、公務員が心掛けなければいけないのは、いかにクリエイティブな仕事をしていくかだと思います。そういうことを考えれば、単に時間に縛られて仕事をするということではなくて、家庭生活であったり、社会生活であったり、いろいろな別の県組織以外での体験もしながら、公務員として働く際には、多様な経験を踏まえてクリエイティブな活動をしていく、仕事をしていくことが非常に重要だと思っています。社会貢献職員応援制度ということで、地域に飛び出す職員も応援していますが、これもいろんな地域活動に参画してさまざまな学びを通じて公務に還元してもらいたいという思いです。私の立場は県民の皆さまにより良い行政サービスをお届けするという立場でありますので、ぜひこうした柔軟な働き方を県職員には積極的に活用してもらって、創造性の高い仕事、職場に変えていってもらいたいと思います。もう半面は、職員の立場からすれば、介護だったり子育てだったり、ライフスタイル、あるいはライフステージに応じていろいろ公務以外でもしなければいけないことがあるわけですので、県職員として働きながら柔軟に対応できる制度として有効に活用してもらいたいと思っています。
市民タイムス 萩原 氏
予算案と条例案で出てきます消費生活センターの集約の関係でお伺いします。9月議会でも表明されて質問させていただきましたが、改めて消費生活センターを1カ所に、松本に集約することの意義と期待をお伺いできればと思います。
長野県知事 阿部守一
消費生活センターの扱うべき業務は専門性がだんだん高まってきています。また一方で、市町村レベルでは一般的な相談を受けていただく体制が、個々の市町村であったり、あるいは複数の市町村による広域連携であったりということで進められてきているところです。そういう観点で今回長野県の消費生活センターを集約化することによって、全県としてより質の高い対応ができるように機能を強化していこうというものです。集約した後は、オンラインも活用して地域振興局と県のセンターとを結んで対面でご相談を受ける形にしていき、集約化に伴うデメリットを低減するようにしていきたいと思っています。また、市町村の窓口と県のセンターを結んで、困難な相談事案が生じたような場合には、県の相談員が直接市町村の窓口にお越しいただいた方の相談にも対応して、市町村の取り組みも県としてしっかりバックアップしていきたいと思っています。いろいろな課題や案件が増えてきていますので、ぜひ県民の皆さまには、県、あるいは市町村のこうした相談窓口を積極的にご活用いただければと思っています。
市民タイムス 萩原 氏
今、知事もデメリットを低減したいとおっしゃいましたけれども、やはり集約されてなくなる所の方は不安もあるか、もしくは反対の意見もあるかと思うのですけれども、そこに関してはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、例えば地域振興局でもオンラインで相談を受け付けていますし、そこに県の職員もいますので、ネット環境に不慣れな方でもきちんと相談していただけるように丁寧にフォローをしたいと思っています。また集約した後も、一定期間は経過措置で、長野、上田、飯田、こうした県内各地域での出張相談を行っていきたいと思っています。引き続き市町村とも連携しながら、しっかりと県民の皆さまの期待に応えられるような相談体制になるよう取り組んでいきたいと思っています。
読売新聞 田中 氏
JRの県内の在来線の赤字についてですけれども、県内の利用者が少ない4区間、飯山・大糸・小海・中央本線で昨年度の赤字が54億円になったというのがありまして、前年度よりは減少しているかと思うのですが、こういった厳しい状況について県としてどのように受け止めていらっしゃるかということと、今後県としてどのように対応していくかということについて教えていただけますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず鉄道については、県民の皆さまの貴重な移動の足ということで、公共交通事業者の皆さまの力でしっかり維持・発展をさせていっていただきたいと思っています。ただその一方で、人口減少社会になっていますので、基本的には利用者が減少する傾向にあると思っています。そうした中で、どういう形で地域の移動を守っていくのか、保障していくのかというのは、改めて今回県の人口戦略の中でも重要な課題だと思っていますし、また私は、国土交通省の地域の公共交通リ・デザイン実現会議にも参画してきましたが、国としても、重要な課題だと受け止めていただいていると思っています。特にJRについては、民営化の経過もあって、国民的に応援をする中で今のJR各社が成り立っているわけですので、ぜひJRの皆さんには地域の声をしっかり聞いていただいた上で、鉄路の維持・発展に向けて取り組んでいただきたいと思います。先ほどの路線ごとの収支の話ですけれども、路線ごとの収支を見るということももとより重要だと私も思いますが、ただその一方で、利益を得ている路線もあるわけですし、民営化することによって事業も多角化されている部分もありますので、そういう全体の収益構造の中で、しっかりと鉄路を守っていっていただきたいと思います。もう一方で、人口減少という大きな流れの中で、鉄道というのは全国的なネットワークが存在していることに大きな意味もあるわけですので、ぜひ国においてもこうした地方鉄道をどう支えていくのかということを、財政的なスキームも含めてしっかり今後考えていってもらいたいと思っています。
信濃毎日新聞 井手 氏
いわゆる「103万円の壁」についてですが、国民民主党の玉木代表が以前、総務省が全国知事会や各自治体の首長にこういう減収があるからやめてくれという発言をするように工作しているという旨の発言がありました。知事会だったり、長野県として、そういう工作だったり根回しを受けたことがあるかという点と、玉木代表の発言をどう受け止めていらっしゃるか、その点についてお願いします。
長野県知事 阿部守一
全く受けていないです。全く受けていませんし、私も総務省で昔仕事をしていたことがありますけれども、大体知事が総務省の言いなりになるなんてことはあり得ないです。私からすれば、今の総務省の、旧自治省の筆頭の総務審議官をはじめとしてみんな後輩ですから、総務省が何か言ったからとその通り行動するなんてことは毛頭考えていないです。そういうふうに世の中が受け止めること自体がいかがなものかと率直に思っていて、私は大体選挙で選ばれているわけですから、私がしっかり守らなければいけないのは県民の皆さまの代表として振る舞うことだと思っています。この「103万円の壁」の問題は、先日も国民民主党の古川元久さんの所に行った時にもいきなりその話になりました。会見の場でも申し上げたと思いますけれども、県は先ほど申し上げた県民の皆さんの暮らしに責任を持っている立場ですから、やはり「103万円の壁」をどうするかという議論は、私はしていった方がいいと思います。社会保障であったり、税制全体だったり、まさに人口減少の中で社会が大きく変化して、例えば格差社会と言われるようになり、また多くの学生が奨学金を受けて、あるいは奨学金の返済に困っているといったような人たちも大勢いる中で、こうした問題はしっかり国において議論すべきものだと思っています。ただその一方で、地方財政に大きな影響を与えるということは当然念頭に置いた上で、議論がされるものだと思っていますけれども、そうしたことも含めて全体で考えていただかないと、例えば「103万円の壁」はなくなったけれども、地方財政が逼迫(ひっぱく)して、若者支援だったり、大学生支援だったり、あるいは生活困窮者支援であったり、そうしたところに充当する予算が足りなくなってしまうことがあってはならないと私は思っていますので、ぜひそうしたことも含めた全体的な議論をしっかり行っていただきたいと思っています。
信濃毎日新聞 井手 氏
他県の知事の中で、どうやらあの人が総務省から根回しを受けたらしいとか、そんな話は聞いたことありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
全くないです。大体根回しをされたぐらいで、根回しを受けて発言するなんてことはないと思います。
信越放送(SBC) 小口 氏
引き続き「103万円の壁」の問題についてお伺いしたいのですけれども、他県の市町村では年収の上限が178万円に引き上げられた場合の税収の影響だったり試算されたりしているのですけれども、県としての影響でしたり、何かそういったどんな影響、試算等されていましたらお伺いしたいのですけれども。
長野県知事 阿部守一
前回もご回答をしているかと思いますが、私ではなくて担当者から発言したと思いますけれども、全国で4兆円程度、個人住民税の減収が生じると言われていますので、それを基に機械的な計算をすると、個人県民税の減収額が約251億円、丸めて250億円ぐらいです。個人市町村民税が約318億円減収ということで、長野県全体で500億円以上の減収になるというのが、あくまでも単純な計算で求めるとその程度の減収額になるということで、これは非常に大きいです。多少の事業見直し程度ではカバーできない規模感だと思いますので、そういう意味で、国においても当然ここは意識していただいていると思っていますので、こうした財政サイドへの影響ということもしっかり念頭に置いた上で議論していただきたいと思っています。
共同通信 奈良 氏
今の質問に関連してですけれども、県で減収が見込まれる251億円というのは、県の予算でいうとどれくらいの事業に相当するのか、その辺が県民も少しイメージしづらいところだと思うのですが、何かを表現できるものはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
何かいい例えがあるかどうか、そもそも多分、来年度に向けての私が差配できる予算の規模をかなり上回っているのは確実です。何かいい事例を考えてお話しします。
財政課長 新納範久
250億円の減収に相当するぐらいの規模の事業の目安ですけれども、一つの事業で200億円に近いものとなりますと、いわゆる県単独公共事業が当初予算で180億円ぐらいの規模感です。それより大きいものとなると、なかなか単独、一つの事業でそれぐらいのロットのものはなかなかありません。逆に言えば、非常に大きい規模であるとご理解いただければと思います。
共同通信 滝野瀬 氏
玉木代表の発言に関連するのですが、知事のこれまでのご経験だったりの中で、成功するしないにかかわらず、総務省が工作をする、根回しをするということ、この部分については否定はされないということなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
工作というと何か変な話ですけれど、例えば何かこういう改正があれば地方税全体でこれぐらい減収になるとか、そうした情報共有は普通にやると思います。それは工作ではないと思いますし、総務省に限らず国の役所がこういう課題があるというのをいろいろ説明するということは、あると思います。これは別に工作をしているというよりは、我が省としてはこういう課題があるので、ちゃんとそういうことを分かっていただいた上で議論してもらいたいという話はあります。私もつい最近、他の省からは、今の課題としてこういう課題がありますという説明は受けたことがあります。
共同通信 滝野瀬 氏
それは「103万円の壁」の話ですか。
長野県知事 阿部守一
全然違う話です。国と県というのはいろんなところで共闘しないと仕事ができないところがたくさんあり、要は国の法律でこれをしなさい、あれをしなさいと決められていることはたくさんありますから、当然国からの情報提供というのはいろんな形で、先ほど申し上げたように、私は某役所から来年度予算に向けてこんなことを考えてますという説明を受けたことがありますが、これは私のレベルだけではなくて、事務的には当然いろんなレベルでの説明とかそういうものはありますし、それが逆にないと、いつの間にか何か勝手に決められたことを勝手にやらされるということでは困りますので、そういう意味でのコミュニケーションはあると思います。
共同通信 滝野瀬 氏
逆に言うと、これだけ地方自治体のあらゆる首長が、税収減は大きいと、国が手当するべきだという発言が相次いでいる中で、総務省の方からそういった、正式に決まったことではないとはいえ、試算が出ている中で説明がないというのは、それはそれでどうなのかなという気もするのですが、この辺り知事のお考えはどうでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私はよく分からないですけれども、少なくとも私の所にも、財政課にも説明はないと思います。推測ですけれど、まだ政党間で議論するという話のレベル、例えば来年の地方財政対策が決まって、これはこうだということであれば丁寧な説明がされると思いますけれども、全然そのような段階ではないので、そういう行動をとることは普通はないのではないかと思います。
共同通信 滝野瀬 氏
今のお話を改めて総括した上で、玉木代表がまるで国が根回しをして反対しろって言っていたという、あの話についての受け止めみたいなのがもしあれば教えてください。
長野県知事 阿部守一
それはむしろ私がどうしてと聞きたいぐらいだと思います。
共同通信 滝野瀬 氏
玉木代表にですか。
長野県知事 阿部守一
先ほど言った古川元久さんの所に行った時に、知事とか市町村長が異口同音に言っているみたいな報道がされていますけれども、それは言うのは当たり前ですよと。逆に言わない人は多分いないでしょうと思うのですけれども。別に地方財政のことは考えなくていいですというのは、多分誰一人としてむしろ言わないのではないかと思いますので、そのこと自体が議論になっていること自体が、私としてはそんな議論になるべき話ではないのではないかと思っています。
どうもありがとうございました。
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