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更新日:2025年6月4日
長野県知事 阿部守一
それでは本日の会見を始めます。
まず冒頭、昨日、飯田技術専門校に通う訓練生が乗った車が、飯田市内で堤防道路から転落して水門に衝突しました。そのことによって4人の訓練生がお亡くなりになるという大変痛ましい事故が起きてしまいました。私としては亡くなられた4人の訓練生の皆さまのご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆さまにお悔やみを申し上げます。本当に未来ある若者が亡くなってしまったということを大変残念に思っています。ご遺族の皆さま、ご家族の皆さまにしっかり寄り添って対応していきたいと思っています。昨晩、飯田技術専門校で保護者説明会を行いました。把握している事故内容を説明し、今後の対応予定等についてご説明したわけですが、訓練生も仲間がこうしたことになってショックを受けている人たちが多いと思いますので、心のケアが必要だということで、希望をされる方には保健師によるカウンセリングを実施できるよう体制も整備をしたところです。引き続き関係の皆さま、特にご遺族の思いに寄り添った対応をしっかり行っていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
続いてゴールデンウイークに入るわけですので、県民の皆さまに向けて何点か注意喚起をしたいと思います。まず初めに、きょう11時40分ごろ、上田市で山菜を採られていた方がクマに襲われ負傷されたという情報が入ってきました。これまでもクマ被害が出ているわけです。まず本日負傷された方にお見舞いを申し上げたいと思います。また県民の皆さまには、これまでも繰り返しクマに対する注意喚起を行ってきていますが、特にこれからのシーズンは山に入る機会も多くなってくると思います。ぜひクマに対する備えを行っていただきたいと思っています。ぜひ朝、夕の行動は避けていただいたり、周囲の確認をしながら行動していただいたり、あるいはラジオや笛、鈴、こうしたものを携帯して音を出して行動していただくといったようなことをこれまでも呼び掛けていますので、ぜひご自身の安全を守っていただければと思っています。
交通事故についても併せて注意喚起したいと思います。昨日、痛ましい事故が起きてしまったわけですけれども、長野県は信号機のない横断歩道における車の停車率が日本で最も高いということで、他の都道府県からも注目されている県です。しかしながら依然として交通事故によりお亡くなりになられる方が後を絶たないという残念な状況です。心にゆとりを持っていただくということと併せて、思いやり、譲り合い、こうした精神でぜひ交通安全に努めていただきたいと思っています。
それからゴールデンウイークに向けてお願いすることがいっぱいあって申し訳ないのですが、山火事の防止について、先ほども全国消防長会関東支部の総会であいさつをしましたが、今、消防の関係で注目されている大きな事象が、この山林火災、山火事です。本県でも3月から5月末まで春の山火事予防運動ということで予防意識の普及啓発等を行って、山火事の防止に対する呼び掛けを行っているところです。特にこの時期は風が強く空気が乾燥しますので、山火事が発生しやすい季節です。ぜひ県民の皆さまには、たき火や火入れ、特に空気が乾燥しているとき、あるいは風が強いとき、こうしたときに行わないようにしていただいて、改めて山火事防止に努めていただきたいと思っています。
それから注意喚起シリーズの最後にもう1点。登山についてです。昨年の大型連休は天候にも恵まれたこともあり、遭難の発生件数が26件ということで、ここ5年間で最多でした。今年に入って4月20日時点では前年に比べて減少しているものの、これまでに49件、60人の遭難者が発生しているところです。今年は例年に比べて残雪が多く、気温の上昇に伴って雪解けが進んで、雪崩のリスクも高まる恐れがあります。ぜひ気象庁が公表する天候、あるいは積雪情報を事前に確認していただき、また、雪崩対策装備の携行など、県ホームページでも情報提供していますので、万全の準備をしていただきたいと思っています。また「信州 山のグレーディング」を行っています。インターネットでもアクセスできますので、ぜひご自身の経験、力量、こうしたことを十分踏まえて登山ルートを選定していただきたいと考えています。また本県は登山安全条例を制定しています。登山計画書については義務付けをしているところですので、ぜひ入山前に登山計画書を、すべての登山される方にはぜひ提出いただきたいと思っています。令和5年のアンケート調査では提出率が80パーセントという状況です。ぜひ100パーセントにしていきたいと思いますので、これはメディアの皆さまからもぜひ呼び掛けていただければありがたいと思います。登山計画書は事前にご自身でしっかり行程、あるいは装備、こうしたことを確認することにより遭難防止につながりますし、また万一、遭難をされた場合の迅速な救助にとっても非常に重要なツールですので、ぜひ登山をされる方には登山計画書の提出をお願いしたいと思います。また登山計画書の内容については、ご家族、あるいは友人・知人、こうした皆さまとも共有していただければと思っています。春山は滑落、雪崩といった残雪期のリスクもありますので、十分な準備の下、登山を楽しんでいただければと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから話題を全く変えますが、続きまして寛容性の高い長野県をつくろうということで、今、信州未来共創戦略を進めているわけですけれども、そうした中で若者、あるいは外国人、こうした方の考え方、意見を県政にもしっかり取り入れていくことが必要だと思っています。そういう観点で、きょうお配りしている資料にあると思いますが、審議会等の設置及び運営に関する指針を改正しました。改正の概要に記載している通りですけれども、若者を原則として1名以上、審議会等の委員に選任するように努めるということ。それから公募する場合は若者の選任に努めるということを追加しています。また外国人については、外国人に関係するような内容について審議・意見聴取する場合には、こうした外国籍を有する方も含めて委員に選任するよう努めるということにしたところです。ただ外国人については公務員の当然の法理で、公権力の行使、公の意思形成には参画できないという考え方の整理がされているわけですので、そうしたことも留意しながら、一方で外国人の皆さまの声を積極的に県政に反映できるように取り組んでいきたいと考えています。今後新たに委員の選任を行う審議会等から順次対応していきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それからスポーツ栄誉賞の関係で、信州ブリリアントアリーズに対して、スポーツ栄誉賞を贈呈したいと考えています。これも資料をお配りしているところですが、V.LEAGUE WOMENでプレーオフを見事に勝ち抜かれて、初代の年間女王に輝きました。まずは私としても心からお祝いを申し上げたいと思います。県民の皆さまに大きな感動と勇気を与えていただけたということで、その快挙をたたえてスポーツ栄誉賞を贈呈することとしました。4月30日にお越しいただいて県庁で贈呈式を行いたいと思っていますので、ぜひメディアの皆さまにも一緒にこの喜びを分かち合えるように取材いただければと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから名探偵コナンの関係です。県民ホールにコナンのポスターをたくさん貼っていますし、私もいろんな所で長野県のPRにつながるということで、コナンの映画のアピールをしてきているところです。県の公式Xでも、コナンに触れたものに対するインプレッションが70万を超えるということで、県からの情報提供とすれば非常に大きな反響を頂けていると思っています。また名探偵コナンのスペシャルホームページを前回ご紹介しましたが、これも県の公式観光サイトとしては過去最高のアクセス数という状況になっています。大きな反響を頂いているところですので、ぜひこれからもコナンを一緒にPRしていきたいと思っています。そういう中で今回の名探偵コナンの関連で、鳥取県と相互の観光PRを行っていきたいと思っています。ご承知の通り、鳥取県は(原作者の)青山剛昌先生の出生地でもあります。鳥取県の平井知事は私の役所(旧自治省)の同期でもありますので、ぜひ一緒にアピールをしていこうということで今、長野県庁の県民ホールには鳥取県の観光パンフレットも置いていますし、逆に鳥取県庁には長野県の観光パンフレットを置いていただいている状況です。また大阪・関西万博を訪れた方へのPRということで、関西パビリオンは前回私も訪問しましたが、ここでコナンをはじめとする漫画の展示を鳥取県が行っていますので、そこに鳥取県と長野県をPRする私、阿部守一の長野県知事としてのメッセージ色紙を掲示していただいているところです。ぜひ漫画王国鳥取県とコナンを契機に連携をさらに深めていきたいと思っています。公開3日で興行収入34億円以上、観客動員数231万人ということで、前作を上回るシリーズ歴代1位のスタートという報道もあります。この映画をきっかけに長野県をよりよく知っていただき、多くの皆さまに長野県にお越しいただければと思っています。
長野県知事 阿部守一
それからプレスリリースの中で米国の関税措置についての相談窓口の設置について、またきょうもしつこくお配りしていますが、なかなか県の発信が十分必要な方に届いていないということもあり、再度お配りしています。県からも多くの方に行き届くようにアピールしていきたいと思いますので、ぜひメディアの皆さまにも、こうしたものの周知にご協力いただければと思っています。
長野県知事 阿部守一
それからもう一つ、広報パートナーの任命を行いますというプレスリリースをお配りしています。広報発信に長野県として力を入れていきたいと思っていますが、今回インスタグラム等でいろんな発信をされている方をパートナーとして任命して、長野県の広報・発信をより良いものにしていきたいと思っています。一緒にどういう発信をしたらいいのか、何ができるのかということも考えていきたいと思いますので、こうした皆さまの任命もぜひ皆さまには報道していただければありがたいと思っています。
私からは以上です。よろしくお願いします。
日本放送協会(NHK) 篠田 氏
話題が三つほどあって、まず一つ目、先ほど発表のあったトランプアメリカ大統領の関税の電話相談窓口についてですが、きのう実務者会議がありまして、この中でも県への相談は目立ったものはないというふうなお話がありましたが、今後こういう会議を開催していって、県として最終的にどんな支援だったり、企業に対してどんなアプローチがあるのかを、まず知事の考えをお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
実務者会議を昨日開いたところでありまして、いろんな影響がどうなっているかということについての情報共有等を行ったところです。まだ政府間の交渉も行われているという状況ですので、これから本格的な影響が出てくるだろうと思います。そういう意味では県としては、まずはしっかり影響を把握した上で、国に対して求めていくこと、それから県として対応すべきこと、こうしたことを整理して、できるだけ速やかに具体的な対策・対応を行っていくということが必要だと思います。このことについては、私が東京へ行ったおととい、全国知事会の国民運動本部長として各政党の政調会長に対して、ぜひ参議院選の公約として盛り込んでもらいたいということを要請してきましたが、その中にも米国関税への対策・対応を盛り込んでいます。これは、まず影響を最小化するように国において取り組んでもらいたいということと、それからもう少し中長期的な観点で、生産性の高い産業の育成等にしっかり力を入れてもらいたいということで、これは知事会としての提案をしています。長野県は長野県としての独自の産業構造がありますので、県内企業への影響を踏まえた上で必要な対応を考えていきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 篠田 氏
最初にトランプ大統領が関税の措置を発表してからもう1カ月近くになりますが、これまでの分析で県経済にどんな影響が出るかということと、一部の企業では今後の投資の差し控えとかそういう不安感が高まっています。その解消に向けてどんなことができるかという考えをお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
まず一つは、今お話があったように先行きが不透明ということが一番大きな今の課題だと思いますので、そういうことを考えれば、やはり設備投資等がどうしても弱含みになってしまうということは避けられないという状況に今なってしまっていますので、そういう意味ではやはり見通しを早く明確にしてもらうということがまず必要だと思います。加えて日本国内は人口減少の状況ではありますけれども、しかしながら国内的な内需をどう拡大していくみたいな方策と、それから海外戦略と両面で県内の各産業分野を考えていかなければいけないと思います。そういう意味では、長野県として海外戦略を見直そうという取り組みも、今並行して行っていますので、そうした中でも、こうした長野県産業への影響も見極めながらしっかり方向付けをしていきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 篠田 氏
続いて、路線バスの廃止についてですけれども、きのうまた公共交通の会議が開かれまして、この中で、もし路線の廃止が見込まれる場合、1年以上前に関係機関に相談するようにという話、通知がありましたが、事業者側からは一部納得できないみたいな反応がありました。これについて知事はどういうふうに受け止めていらっしゃいますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そういうご意見が出るというのは真摯(しんし)に受け止めなければいけないと思っていますが、前回私が出た県の協議会の場で私もかなり厳しい口調で事業者の皆さまの対応についてお願いをした経過もありますが、私としては県もこれまで以上に踏み込んでしっかり公共交通、特に広域的なバス路線の維持については責任を持って対応していかなければいけないと思っていますし、これまで事業者の皆さまが相当な経営努力の中でバス路線を維持してきていただいていることに対しては深く感謝していますし、敬意を表したいと思っています。今後の関係性というのは、そういう意味で県と事業者の関係性はより協力するパートナーになっていくと思っていますので、そういう意味では、今回の通知、私としては、一方的に通知を出してこうだということよりは、むしろ一緒にどうすればより望ましい対応ができるのかということを考えることの方が重要だと思っています。役所的な解釈をすれば、「原則として」としか書いていませんので、必ずこうしてくださいというものではありませんが、ただ受け止められる側としてはやや強い、あるいは県からの上から目線的な対応として受け止められてしまった部分があるのではないかと率直に私は思っていますので、ぜひそうした誤解がないように、要は一緒にいい方策を考えるためには、なるべく早く問題を共有して一緒に取り組みましょうというのが、担当課、あるいは担当局の思いですので、そうした思いが伝わるように、ぜひ率直に意見交換をしながら、いい方向を見出していきたいと思います。
日本放送協会(NHK) 篠田 氏
よりそういう連絡を密にするために、何か新たに体制を構築したりだとか、あるいはその通知が来たときに迅速に行動するために、県としてどんな体制をとっていきたいみたいなところはありますか。
長野県知事 阿部守一
ご指摘の通り、円滑な意思疎通が私もすごく大事だと思います。かつ国と事業者の関係は、どうしても認可する側、される側みたいな話になりますが、県と事業者の関係はある意味フラットで、地域の交通をどう支えるのか、人材確保とか厳しい経営面をどうやって一緒に解決していけるのかということを考える立場ですので、体制をつくるということよりは、日常的なコミュニケーションをもっともっと緊密にしていきたいと思います。
日本放送協会(NHK) 篠田 氏
最後に、きのう県から発表がありましたふるさと納税の県内全自治体の調査結果ですけれども、まずこの中で六つの自治体で総務省への申請が一部不適切なものがあったという結果がまとまりました。これに対して知事はどういうふうに受け止められていらっしゃいますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今回、須坂市に続いて他の自治体でも必ずしもルール通りではないというものが明らかになったわけです。各自治体とも問題意識を持って改善していかれる形になると思いますし、県としても引き続き適切な運用を市町村には求めていきたいと思っています。一方で、これは私の個人的な見解、知事で個人的な見解を言ってはいけないのかもしれないですが、非常にふるさと納税制度がある意味肥大化してきているなと思っていますし、やはり返礼品競争のようなことも一般的にも使われるようになっていますけれども、もとより地域の特産品をアピールして、それをアピールすることと併せて、多くの方から地域に対するご寄付を頂くということ自体が全くいけないとは思っていませんが、しかしながら、例えばいろんな関係する事業者に対する手数料も全国的にはかなり膨大な金額に上ってきているとも思いますし、そもそも本来の寄付は、この地域を応援したいという思いで行われることが基本であって、何を食べたいとか何をしたいということは付随的なものであるのが望ましい姿ではないかと思いますので、そういうことを考えれば、ふるさと納税制度の在り方、私も一時、岩手県庁で税務課長をやっていたことがあって、税の職員は、やはり1円たりともおろそかにしてはいけない。やっぱり納税される方は本当に苦労されて1円でも5円でも納税していただいているわけですし、また税の仕事をする上でわれわれが常に意識している一つにやはり公平性ということもあるわけですので、やはりそうした税金の原則を踏まえながら、ふるさと納税の在り方というのは、いろんな見直しをこれまでもされてきてはいますけれども、やはり税の原点に立ち返ってどうしていくのかということが考えられていかなければいけないのかなと。今回の議論とは少し次元が違う話ではありますけれども、私としては今、長野県は「ガチなが」という形で返礼品なしの寄付も頂く形になっていますけれども、そうしたものも、もっともっと伸ばしていけるように努力していきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 篠田 氏
最後に、今回の件だと須坂市で県外産品の物を実際は返礼品としていたということで、こういうことが起きると県全体のブランドイメージにも関わることだなと思うのですが、きのうの調査結果でも私は分かったのですけれど、結局市町村のチェック体制というか、それが割とちゃんとできていないことが今回の申請の不適切な取り扱いにもつながっていると思うのですが、今後、例えば県としてブランドイメージを守るという意味でも、こういうチェック体制を強化したりとか、県がもう少し関わって各市町村のチェック機能を強化したりだとか、県の関わりとしては、何か今回の件を受けて何か変更したりだとか、踏み込んだりというのは。
長野県知事 阿部守一
私ももっときちんと調べて会見に臨めばよかったのですが、あまり調べていないので課長が来ているので私からも質問しますけれど、あれは当該市町村とそれ以外の周辺市町村も入るという、入ってもいいよという申請の仕方があって、後者の場合は、どうやって表記するのですか。
市町村課長 石澤彰郎
後者の場合の表記についてはいろいろな表記の仕方があると思います。例えば地域名を表記するとか、実際に南木曽町の返礼品のお米の場合ですと木曽南部産という表記がされていたと伺っていますので、やり方とすると当該市町村産ではなくて地域名、そういったものを付して表記するというやり方はあります。
長野県知事 阿部守一
一つは今回のようなケースは、今、市町村課長からもご説明申し上げたように、もう少し周辺の物も含んでいるという表記で、しっかり届け出れば問題が起きなかったと思いますので、そうしたルールはしっかり徹底していくということが一つ必要だと思います。加えて、やはり農産品は、例えば、JAも広域化されたりしているので、どうしてもそういうふうになってしまう可能性があるのですよね。要するに単独の市町村、特に長野県は小さな町や村も多いので、そういうことを考えれば、やはり今、課長からご説明したような表記の仕方を念頭に置きながら、各市町村でしっかり考えてもらうことも必要だと思いますし、やはり物だけではなくて、それぞれの市町村の価値とか強みをどうやって伝えていくのかということも、併せて考えていくことも必要になってきていると思います。
日本放送協会(NHK) 篠田 氏
基本的には市町村のチェックに任せるということですか。
長野県知事 阿部守一
県として何かやるということですか。
日本放送協会(NHK) 篠田 氏
そうです。
長野県知事 阿部守一
基本的には、そもそも先ほども税の話をしましたけれども、市町村税は市町村が自主的に、主体的にやると。先ほど申し上げたように、ふるさと納税制度をつくったが故に、税の仕組みの中にいろんな事業者が入ってしまったりしているわけですよね。本来は納税される側と、行政が直接向き合っていくのが私は基本だと思いますし、税金を使わせていただく側は、納税者の皆さまに対してしっかりと説明責任を果たしていく形になるわけですが、どうしても物とか、いろんな事業者が介在してしまっているので、どうも本来の税の考え方からは、ずれてしまっているところがあるのではないかなと思います。であるから、まさに今みたいなご質問が出るのだと思います。これは本来、市町村税で、税というのは自主財源ですから、自主財源を確保するのに誰かの、例えば県が補完するみたいなのは、例えば他の行政であれば私も積極的に小規模市町村を特に応援した方がいいと思いますけれども、税の賦課徴収に関わるところまで他の自治体が応援しなければならないとなってしまうと、そもそも自治体の存立の基盤に関わる話なので、そこは基本的には自主的な自助努力で取り組むべき問題だと思います。ただ、それがなかなか単独市町村でできづらくなってしまっているというところに私は課題があるのではないかなと思います。
信濃毎日新聞 篠原 氏
私もリリースとは関係ないところで何点かお尋ねしますが、同じくまずふるさと納税制度の関係で何点かやりとりしたいのですが、知事から個人的な見解というところでご発言を頂いて、確かになと私も思うところがあって、その上で伺いたいのですが、そうすると先ほどの文脈を踏まえてになるのですが、あまりこういう聞き方は好きではないですが、知事としては肥大化という言葉もありましたけれども、肥大化をしてきたふるさと納税制度という制度全般に対しての評価というのは、ある種批判的に見ているところもあると受け止めていいのか。改めてそこの見解をまず伺ってもよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
ふるさと納税の基本的な考え方として、自分が応援したい自治体、都道府県、市町村を応援しようと。応援できるような仕組みをつくるということ自体は、私は全く否定しないというか、望ましいものだと。なぜならば、例えば居住している地域以外にも、今は関係人口とか、あるいは長野県は例えば別荘をお持ちの方とか二地域居住されている方たちとか非常に多くいらっしゃいますので、そういう方たちに応援いただくということは、長野県としても必要だと思いますので、ふるさと納税自体を否定するつもりはありません。ただその一方で、例えば、大手のサイトへの委託料であったり、あるいは返礼品代に要する経費が掛かるので、本来どこかの自治体では税として純粋に活用できたはずのものが、必ずしも行政需要ではないところで使われてしまっている形に一部なっているわけですよね。そういうところがあまりにも多くなってしまうことは、国全体から見たときには、やはり課題があるのではないかと思います。
信濃毎日新聞 篠原 氏
そうするとこれも知事の見解で結構ですが、返礼品の獲得競争であるとか、事務手数料のお話などで複雑に、かつ肥大化して自治体からするとマンパワーが追い付かないという中で、知事はいかがでしょう。ふるさと納税制度というのは、まさに原点に立ち返って応援したいというところまで、実現可能か不可能かということ抜きに、原点に立ち返って国として制度を設計し直すべきだというふうに考えるかどうか。そこまでは難しいにしても、ある種の原点に立ち返るようなところまで、ある程度この制度の見直しをかける必要があるのではないかみたいな、制度設計の在り方についての見解はいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、総務省も常に見直しはやってきているのですよね。ただ、見直しすればするほど、だんだん複雑になってしまって、税の基本的な考え方からすると分かりにくくなって、さっきのどういう表記をするかということすら私もよく分かっていなかったので、だんだん複雑になってしまうという形になるので、簡素で分かりやすい制度にしていくということが本来は望ましいのだろうなと思います。ただ現実問題、多くの自治体でふるさと納税をたくさん集めて、実際それをさまざまな財政需要に充てていらっしゃるという所もあるので、そういう意味では急激な変更をすると、これはいろいろと弊害もあると思いますので、あるべき姿が何なのかということは常に考えながら、必要に応じて見直しをしてもらうということは必要だと思います。一方、長野県は先ほど言ったように「ガチなが」という形で返礼品なしの寄付サイトを作ってお願いをしていますので、そうしたところにも多くの寄付が集まるように、これは県が努力しなければいけないと思います。そういう意味では、ふるさと納税イコール返礼品という仕組みには必ずしもなっていないわけですよね。返礼品があるのがふるさと納税と今はなってしまった、世の中的には返礼品イコールふるさと納税になっていますけれども、別に返礼品がなくても、ふるさと納税制度は使えますので、そこはやはり各自治体の姿勢とか在り方ということも、国のせいにするだけではなくて、私たち自身も地方公共団体としても考えるべきことがあるのではないかと思います。
信濃毎日新聞 篠原 氏
最後ですが県独自に何か今後、総務省とかに、まさにあるべき姿を働き掛けていくみたいなところは、きのう担当の課長さんからも考えていないということでしたが、例えば知事会として、あるべき姿をもんで国に対して知事会の総意として求めていくというような、その段階で求めていくみたいなことは、知事の個人的な見解でも結構ですけれども、考えていくおつもりがあるかどうかという、この点はいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
知事会としては分からないですね。いろんな知事の考え方があると思いますので。どちらかというと大都市部の自治体は税が少なくなる側になるので、必ずしも同じ感覚でまとまることは難しいような気もしますけれども、長野県としてやはり先ほど申し上げたように私は「ガチなが」のようなものをもっともっと伸ばしていきたいと思っていますし、また今回いろんな課題が顕在化したので、もう少し市町村の皆さまの感覚とか、思いというものも聞かせていただきながら、市町村が考える方向性が今の制度と違っているのであれば、そこは県全体でまとまって意見を言っていくということはあると思います。
信濃毎日新聞 篠原 氏
もう2点伺いますけれども、話題が変わってオスプレイの関係で、緊急着陸から1カ月たったタイミングで、直後に県としても防衛省に要望していると思うのですが、危機管理防災課に確認して、まだ回答はないということですけれども、改めて知事として原因究明という部分も要望では求めたと思うのですが、いまだに松本地域の住民の人たちの不安も聞いているのですが、改めて回答をよこせということを求めていくということ、この辺の考えはいかがでしょう。
長野県知事 阿部守一
北関東防衛局の皆さまには情報提供を長野県からはお願いをしていますので、そこは今後とも引き続き求めていきたいと思います。
信濃毎日新聞 篠原 氏
最後に地震の関係で1点だけ伺います。先週ちょうど1週間前に、大町市・筑北などで震度5の地震があって1週間たちましたが、幸い被害はなかったと思うのですが、この間私、大規模災害時の広域避難の点でご質問しまして、今回も被害こそなかったけれども、白馬であるとかも、やはり観光シーズンを迎えるというタイミングで、あるいは小川村の中山間地域の人もやはり避難の課題が不安だみたいな声も聞いているのですが、1点だけ大規模災害の踏み込んだ議論が必要だというふうに知事はご発言いただいていると思うのですが、この辺の議論というのは、アクションプランの中でもってやっていくと知事として考えているか、それとは別の枠組みで、何か広域避難の部分というのは踏み込んだ議論をしていく必要があると考えているのか、個人的に気になったもので伺いたいと思います。
長野県知事 阿部守一
まず、先日地震の被害が出た所に、私も大町市の牛越市長にもご案内いただいて石積みが崩れたり屋根瓦が崩れたりという所を拝見してきました。被災された方には改めてお見舞いを申し上げます。今回、幸い大規模な被害にはならなかったわけですが、やはり地震災害はいつ何時、どれぐらいの規模のものが起きるか全く事前に予測ができませんので、あらかじめの対策・対応が重要だと痛感しています。そういう中で、避難の話は前回もここで申し上げたかと思いますが、やはり市町村レベルでの避難は、避難所の開設であったり避難指示だったり、これはもう基本的に市町村の皆さまが行うわけですが、一方で広域的な災害で当該市町村内で被災者を受け入れられない、あるいは滞在者・観光客がいらっしゃる場合は、なかなか単独の市町村で完結した対応は難しいと思いますので、そこはより踏み込んだ対策・対応を県としても市町村と一緒に考えることが必要だと思っています。ここは危機管理部に検討を指示しているところですので、長野県は今、多くの皆さまを観光客としてお迎えしていますし、また糸魚川-静岡構造線断層であったり、南海トラフであったり、大規模地震の発生も懸念されますので、そうしたものに備えられるように、できるだけ速やかに対策を考えていきたいと思います。
市民タイムス 萩原 氏
先ほど米国のトランプ関税の関係で、知事は海外戦略の見直しに言及されましたけれども、知事は確か昨年11月定例会で海外戦略の抜本強化を表明されていますが、現在この海外戦略の抜本強化に向けた取り組みがどういう段階にあって、トランプ関税、米国の関税措置が及ぼす影響というものがどのように降り掛かってくるか。その辺の進展状況と、その見立てというかをお願いします。
長野県知事 阿部守一
今、関係部局でそれぞれ考えている段階で、それを集約をした上で県全体の方向、考え方を取りまとめていきたいと思っています。関税等の影響については、まだ具体的な影響が必ずしもよく分からないこともありますし、また県内の例えば中小企業になると、自分たちが製作した物がどのようなルートで最終的な製品になってどこに行っているかが必ずしも判然としないので、影響を捕捉しづらいということもありますので、まず私どもとしては実態をしっかり把握しなければいけないと。関税への対応についてはまず影響をしっかり把握しなければいけないと思っていますので、海外戦略についてはすべて関税対応ということで取りまとめるわけではなく、これまでも海外戦略が重要だということで申し上げてきましたので、そうしたものを取りまとめることと、それから関税対応はある意味並行して進めていき、そして関連するところについては、しっかり連携させていきたいと思います。
市民タイムス 萩原 氏
トランプ関税の影響を見極めながら、県の海外戦略の強化にも生かしていくというイメージでよろしいですか。
長野県知事 阿部守一
もともと人口減少下においては、やはり海外への販売戦略は非常に重要だと思っています。ただ、今ある意味為替の変動も含めて世界経済が場合によってはブロック化したりとかいろいろ大きく動こうとしている中で、今の段階ですべて完全に見通しを立てるというのは難しい部分がありますが、しかしながら、これまでの国際貿易、あるいは経済情勢とは明らかに違った動きになってきていますので、そうしたものを踏まえながら片方で国際戦略を考えていきますし、もう片方では米国の相互関税による影響を最小化するように、県としては努力しなければいけないと思います。また、その点については国において最大限対応してもらうように知事会としてもお願いをしているところです。
市民タイムス 萩原 氏
この海外戦略は着地点としては明文化した戦略みたいなものをまとめるのか、それとも意思統一で動いていくのか。どういったイメージで進められますか。
長野県知事 阿部守一
まず最終的な形がどうかは決めてないですが、私としては明文化して、要するに県庁組織の中でちゃんと共有されないと意味がないので、可視化したものにぜひしていきたいと思っています。
長野放送(NBS) 宮入 氏
冒頭、上田でクマの負傷事案のご発言がありましたけれども、今月に入って人身被害が相次いで発生していることの受け止めと、あるいは上田地域の注意報の発出も含めて、今後の対応というか対策というか、お考えがあればお願いします。
長野県知事 阿部守一
きょう発生した事案の詳細については、まだ私も把握していないので、また関係課から状況を把握した上で対応が必要なことがあれば取り組んでいきたいと思っています。ただ一方で、北信地域には出没注意報を出している状況ですし、本当にクマ対策の呼び掛けも、これまでも何度も繰り返し行わせていただいているところです。完全にクマの動きを捕捉するのは難しい部分がありますけれども、ただ先ほど申し上げたようなリスクを下げるという行動はできますので、ぜひそこはしっかり県民の皆さまにはご注意いただいた上で行動いただきたいと思います。また加えて、県も注意報等の発出については一定のルールを決めていますので、そうしたものに合致すれば、しっかり迅速な対応を行っていきたいと思っています。
中日新聞 林 氏
大きく二つ。一つ目はコナンの話ですけど、知事もご覧になられたと思いますけれども、まず感想を伺いたいのと、それからネタバレするわけにはいかないのですけれども、作品を見たところ、信州が舞台というか、信州のごく一部が舞台という印象もあったのですけど、その中でゴールデンウイークにたくさんこちらに聖地巡礼的なものは勝手にいらっしゃると思うのですけれども、その流れを全県というか、より広い範囲で広げるためにこれからどういうことをしていきたいかというのを伺いたいのですけれども。
長野県知事 阿部守一
一緒に拝見させていただいて、ありがとうございました。私も日曜日ですかね。映画館でコナンの映画を見てきましたけれども、私の印象は非常に、どこまで言っていいのか分からないですけど、県庁も含めてリアリティーをもって描いていただけているなということで、大変うれしく思いましたし、いつも見ている空間がああいうアニメ映画で見れるというのは、少し別世界にいたようなイメージになりました。ご指摘があったように、例えば野辺山の天文台等、そうした所は映画の舞台になっているわけですが、広い長野県全体が必ずしも舞台になっているわけではないわけです。ただ、雪山であったり、あるいは星空であったり、かなり長野県全体のイメージとも結び付く部分があると思っています。そういう意味では例えば宇宙県のアピールと一緒に使うとか、あるいは信州の美しい山をアピールするのにコナンとの相乗効果を生かすといったようなことで、長野県の発信をしていく上でも、コナンの映画は大変有効な、そして多くのファンが世界にいらっしゃいますので、映画をご覧になられた方が、ああいう所に行ってみたいと思っていただけることだけでも大変価値があるのではないかなと思っています。
中日新聞 林 氏
もう1点ですけれど、これはどちらかというと質問というよりも老婆心に近いものですけれども、インフルエンサーの話で東京のJリーグのチームで似たような感じでインスタグラマーというか何ていうかにこういうことをお願いしたところ、子どもに見せられないような投稿というか、セクシュアル的に不適切な投稿をしていたみたいなことがありまして、今回応募21組がそのまま通っているという形になっていると思うのですけれども、いわゆるそういうセクシュアルだったりあるいはヘイトスピーチだったりとか、政治的には明らかに極端な主張だったりとか、そういう投稿がなされていないかどうかとかというチェックは一応なさっているのかどうか伺いたいのですけれども。
長野県知事 阿部守一
これは私もいろいろと発信するに当たって気になるのでちゃんと皆さまと顔を合わせて話してねと言って、話してくれているのですよね。担当課長が隣にいるのでコメントしてくれる。
広報・共創推進課長 池田智和
全21インフルエンサーの皆さまについて、それぞれ面談しまして、やはりそれぞれ自治体の仕事に関わったりですとか公の仕事に関わったりしたことがある方、あるいは長野県の魅力発信ということに非常に意欲をお持ちの方であることをそれぞれ確認できています。また企画内容については、これから検討ですが、皆さまにも加わっていただいて一緒に中(身)を考えていくということで、野放しという言葉がいいか分からないですけれど、そういうような状況にはならない、必ずテーマ性を持った県の魅力発信につながるような、そういうような運用というのを心掛けてまいりたいと思いますので、ご心配のことは当たらないかと思っています。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございました。
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