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更新日:2020年12月3日
長野県知事 阿部守一
それでは会見を始めたいと思います。本日開催しました部局長会議の案件を中心にお伝えしていきたいと思います。
まず冒頭、新型コロナウイルス感染症の状況ですけれども、感染警戒レベルは昨日の段階で全県レベル1に引き下げを行いました。とはいえ新型コロナウイルス自体は存在しているわけですし、国内においても連日のように新規感染者が報告されているという状況ですので、県民の皆さまには基本的な感染予防対策について、しっかりと継続していただきたいと思います。また県としても検査体制の充実等、引き続き新型コロナウイルス対策を市町村、医師会をはじめ関係の皆さまと連携、協力して推進していきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それではこちらの画面(モニター)でお話ししていきたいと思いますけれども、まず本日の部局長会議で9月補正予算案を決定しました。一般会計総額で約755億円、流域下水道事業会計で約43億円ということで、大変大きな規模の9月補正予算案になっています。特に新型コロナウイルス感染症対策予算につきましては、これまで3月の補正予算から累次にわたって対策を実施してきました。これまで900億円を超える予算を充当してきていますけれども、今回の9月補正予算案で約460億円ということで、合わせて1372億円余という形になります。新型コロナウイルス感染症対策予算の中には、医療・検査体制の充実のみならず、産業・雇用対策等、幅広い取り組みを計上しています。厳しい財政状況ではありますけれども、何とか新型コロナウイルスの危機を県民の皆さまと力を合わせて乗り越えていきたい、そうした思いで引き続き十分な対策を講じていきたいと考えています。
それでは予算の中身です。まず「新型コロナウイルス感染症への対応」ということで、基本的に「検査・医療提供体制等の更なる強化」を中心に予算を計上しています。特に、これからインフルエンザ流行期に向けては検査体制の強化が重要ということで、検査機器の購入費の助成等に9億円強を充てています。また医療機関の皆さまが感染防止対策を進めるための事業、あるいは新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れる医療機関に対する空床確保費用への支援、さらには高齢者福祉施設における感染拡大防止のための環境整備への支援、こうしたことを行って対応していきたいと考えています。新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えた対応というのが、これから当面、重要な対策になってきますが、医師会、市町村のご理解とご協力を頂きながら、10月中を目途に一定の体制を整えるべく最大限の努力をしていきたいと考えています。
新型コロナウイルス感染症への対応として、産業面の取り組みです。まず「信州観光の活性化」ということで、今、国の「Go To トラベル」が行われているわけですけれども、比較的高価格帯の宿泊施設には有効度が高いわけですけれども、中・低価格帯の宿泊施設にとっては、どうしても率で割引額が決まるということになっていますので、相対的なお得感が少ないとも言われています。今回、「ディスカバー信州県民宿泊割第2弾」ということで、多くの県民の皆さまに、この機会に長野県、信州の良さを再発見していただきたいということで、宿泊割引を行っていきたいと考えています。それから県外の皆さまには今「Go To トラベル」が実施されています。先ほど申し上げたように、中・低価格帯の施設にとっては比較的恩恵が限定されているという状況もあります。そうした中で、「ディスカバー信州県民宿泊割」に加えて、県外の皆さまにも「Go To 信州!宿泊割」ということで、宿泊代金の割り引き、宿泊代金によって1泊当たり1000円、または2000円の割り引きを行っていきたいと思っています。ただ新型コロナウイルスの感染拡大防止と両立させていかなければいけないと考えています。また宿泊時期もWithコロナの時代はできるだけ平準化してもらうことが重要だと考えていますので、そういう観点で「Go To 信州!宿泊割」については、平日の宿泊を対象として講じていきたいと考えています。またここにはないですけれども、これまでの予算の中で連泊割引ということも予算化しています。先般、「Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針」も取りまとめたわけですけれども、そこにおける重要なポイントの一つは、長期宿泊者、リピーターを引き付けていくという部分です。Withコロナの時代ですが、受け身的、消極的な対策だけではなくて、未来に向けた取り組みを進めていこうということで、今後、長期滞在に対する支援も並行して具体化していきたいと考えています。また冬の観光客が長野県にとって非常に重要なお客さまになるわけですけれども、スノーリゾートを満喫していただくためのスキー場の感染防止対策への支援等を行うと同時に、冬のアクティビティについても割り引きを行っていきたいと考えています。また観光と社会経済活動を両立させていく上では安全、安心の確保ということが大変重要です。先ほどの「Go To 信州!宿泊割」においても平日限定という対応をしますけれども、加えて観光協会等における安全対策、例えば地域におけるガイドラインの徹底等を進めていただくための予算であったり、あるいは長野県は教育旅行にこれまでも熱心に取り組んできていますけれども、今、教育旅行、修学旅行等でお越しいただく場合に、どうしても密な環境を避けようということで、バスの台数を増やしたり、あるいは同じ人数で泊まるときも大部屋をなくしたりという工夫を講じられる学校が多くなっていますので、そうしたことに対する財政的な支援も行って、Withコロナの時代にあって長野県の観光目的地としての優位性を高めていきたいと思っています。こうしたことを通じて、多くの皆さまに長野県の観光にいま一度しっかり目を向けていただくと同時に安全対策もしっかり行っていくことによって、長野県の観光の活性化を図っていきたいと考えています。
それから「県内経済の再生・雇用対策の充実」ということです。まず企業の資金面の手当てを充実させるということで、中小企業融資制度資金については融資可能枠を拡充することとしました。また加えて、先ほど申し上げたように、Withコロナで縮み志向になってはいけませんので、未来に向けた取り組みということで、医療機器の試作開発、あるいは販路開拓、こうしたことへの支援を行うと同時に、生産現場のDX(デジタルトランスフォーメーション/ITの浸透が人々の暮らしをあらゆる面でより良い方向に変化させること)化についても県として積極的に応援していきたいと考えています。また雇用対策も大変重要な局面になっていますので、「就業支援デスク」について、さらに支援員を増強することと併せて緊急雇用対策助成事業ということで、失業されている方を新しく正社員として雇用された事業所に対して、給料の3カ月分、1人当たり月15万円、補助率3分の2以内を支援する制度を創設して対応していきたいと考えています。
それから『人や企業の「信州回帰」の促進』ということで、今、密な環境を避けようという中で長野県のみならず地方へ目を向ける動きが出てきています。これまでも地方への移住促進等に取り組んできたわけですけれども、長野県としてはこの機会をチャンスと捉えて、そうした動きを確実なものにしていきたいと考えています。そういう意味で、一つは発信力を強化していきたいと思います。移住者、とりわけクリエーティブ人材であったり、企業等の誘致を促進していきたいと思います。また働き方改革の中で兼業、副業、こうしたものを積極的に認める企業も増えてきています。長野県は大都市からも比較的近距離にありますので、こうした人材を活用する余地が非常に大きな地域だと思っています。県としても副業・兼業人材を直接的に活用して、企業誘致等の検討を行っていきたいと考えています。
また「情報発信の強化」ということで、県民の皆さま、あるいは事業者の皆さまが新型コロナウイルスに向き合って、この難局を一緒に乗り越えていく上では、正しい情報をしっかりお伝えしていくということに加えて誹謗(ひぼう)中傷等がない社会を目指して取り組んでいくということが重要だと思います。そうした観点で情報発信についてもさらに強化していきますし、また日本語の情報伝達では十分情報を伝えきれない外国人に対する情報発信も県として強化していきたいと考えています。
それから二つ目の大きな柱ですけれども、「災害からの復旧・復興」ということです。まず「令和2年7月豪雨災害への対応」ということで、道路、河川等は当面、応急対策を行っていますけれども、復旧から復興へとしっかりつなげていきたいと思います。また被災された中小企業等に対する支援も今回の予算を通じてしっかり行うと同時に、南信州、あるいは木曽地域の観光誘客についても取り組んでいきたいと考えています。
それから「令和元年東日本台風災害への対応」、これもグループ補助金等の支給業務等、継続的に対応していかなければいけないわけですけれども、引き続き本格的な復興のための取り組みを進めると同時に、緊急治水対策プロジェクト等を通じて長野県の災害に対する安全度の向上にも取り組んでいきたいと考えています。
『「2050ゼロカーボン」の実現に向けた取組の推進』ということで、世界では「グリーンリカバリー(新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済を環境投資で立て直そうという考え方)」ということが言われているわけですけれども、気候非常事態宣言、ゼロカーボン宣言を行っている長野県としては、Withコロナの時代であってもゼロカーボンに向けた取り組みは着実に進めていきたいと考えています。そういう意味で「信州の屋根ソーラー」普及のための太陽光発電設備の共同購入の事業、そして県有施設のZEB(ゼブ/快適な室内環境を実現しながら建物のエネルギー収支をゼロにすることを目指す建物)化を進めるための検討、調査、こうしたことを行っていきたいと思います。今、環境エネルギー戦略を策定中ですが、そうした中にもこうした取り組みを盛り込んでいきたいと考えています。
予算案については以上です。非常に盛りだくさんの予算案になっていますので、この場ですべてお伝えしきれないところがあります。メディアの皆さまには、また個別に取材等行っていただければ思いますのでよろしくお願いします。
それから次に条例案ですが、条例案につきましては「長野県県税条例の一部を改正する条例案」と「地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人を定める条例案」がセットになっています。寄附金税額控除の適用対象となる法人を定めて、県税においても優遇していこうというものが1番と4番です。それから3番目については、環境影響評価条例、評価書についての知事意見、あるいは事業者による評価書の補正等の手続きを新たに導入していこうというもので、より手続きを充実させていこうというものです。それから「長野県信濃美術館条例の一部を改正する条例案」、信濃美術館についてはこの後でお話をしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
それから新しい県立美術館です。これまで多くの皆さまのご意見を頂きながら検討を進め、具体的な検討に着手し、今、建設工事続行中ですけれども、いよいよ来年オープンを目前に控えて、県立美術館に係る先ほどの条例案を提出して、具体的な取り組みを進めていきたいと考えています。今回、新しい美術館はソフト面、ハード面ともに大きく充実し、変わっていきます。芸術文化の拠点として拡充していくのみならず、県民の皆さまの憩いの場、そして県内外からお越しいただく方への観光スポットとして役立てていきたい、生かしていきたいと思っています。まず「展覧会、コレクションの拡充」ということで、これまで施設的にも非常に脆弱(ぜいじゃく)でしたので、収蔵品の常設展示を行うことができなかったということですが、今回は常設展示を行う形にしますので、大きな転換になります。それから施設的にも一定の基準を満たしますので、これまで国宝とか重要文化財等を受け入れての展覧会はなかなか難しかったわけですけれども、そうした展覧会も開催できるようになります。また「自然と人の共存・共栄」というテーマの下で、コレクション・ポリシー(収集方針)を拡充して、コレクションすべき領域も充実していきたいと考えています。それから「美術による”学びの支援”の拡充」、そして長野県内には非常に多くの美術館、博物館がありますので、そうした施設と連携して中核的な役割を果たしていきたいと考えています。常設展は年6回開催していくということ、それから企画展は年5回ということで、これまで以上に魅力のある内容の展覧会を行っていきたいと考えています。また国内外の優れた作品の収集、近現代の美術作品の拡充を行っていきたいと考えています。また「学びの県づくり」を掲げていますので、この美術館においても「学び」をしっかり取り入れていきたいと思っています。アート・コミュニケーター(人とアートのつなぎ手)による対話型の鑑賞、それから学芸員によるワークショップの開催、さらには学びの場としてのアート・ライブラリーの新設、こうしたことを行っていきます。それから他の美術館との連携で交流展を行っていきますし、また本県立美術館の作品を他の美術館でもご覧いただけるような移動展覧会も開催していきたいと思っています。また若手作家の育成についても県内の機関と連携して取り組んでいきたいと考えています。
ハード面ですが、当初から「ランドスケープ・ミュージアム」ということで、善光寺をはじめ、周囲の景観と一体で美しい景観をつくり出していきたいと思っています。また誰もが気軽にお立ち寄りいただけるような空間を整備しています。「ランドスケープ・ミュージアム」はまだ建設途中ですけれども、完成しますと善光寺をご覧いただく場としても素晴らしいロケーションですし、逆に美術館の建物自体も周囲の景観に溶け込んだ、まさに地域の景観と一体となった美術館になると考えています。それから無料ゾーンですけれども、チケット無しで多くの県民の皆さまにご利用いただける場をかなり増やしていきます。特にカフェレストランは憩いの場としてもご活用いただきたいと思っていますし、また「触れる美術作品」は障がいがある方にも美術作品を楽しんでいただけるような工夫をしているところです。またレセプションルームも造って、いろいろなイベントでの活用等も行っていきますので、ただ単にそこに行って絵を見て帰るという機能以外のさまざまな機能を持たせることによって、多くの人たちにご利用いただける場にしていきたいと考えています。
こうした中で美術館の性格が大きく変わります。また県内外、世界の皆さまにも広くご来館を呼び掛け、親しんでいただきたいと思っています。そういう意味で「長野県立美術館」という名称として、新たにスタートしていきたいと考えています。今まで信濃美術館と呼称してきていますので、「信濃」の名称に愛着を持たれている方も多くいらっしゃいます。そういう意味で「しなの」の呼称について県民ギャラリー等で活用していくということも考えていきたいと思いますし、旧美術館の建物等に対しても敬意を表する設計、対応を行っていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから次が「しあわせ信州創造プラン2.0」の政策評価についてです。八つ重点項目を掲げています。まだ途中の段階ですけれども、「労働生産性」、「観光消費額」、「就業率」、「健康寿命」、こうしたところはおおむね順調に推移してきていると考えています。ただ一方で人口の「社会増減」、これは社会増を目指しているわけですけれども、最新値では2017年に比べてマイナス幅が拡大してしまって、逆の方向に行ってしまっている状況です。また「合計特殊出生率」についても東日本の各都道府県の中では最も高い合計特殊出生率ではありますけれども、長野県が目指している数値からすると、まだかなり乖離(かいり)があるという状況です。数値目標を掲げているわけですので、もちろん引き続き目標をしっかり見据えた対応をしていきたいと思いますが、その一方でこうした状況になっている背景についても分析した上で、さらに実現に向けた取り組みを確実に進めていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから今年は国勢調査の実施年に当たっています。1920年に国勢調査が開始されてから、ちょうど100年ということです。私もずっと公務員として仕事をやってきていますけれども、いろいろな施策を構築する上で国勢調査の数字というのは非常に重要です。交付税の金額を決めたりするのも国勢調査の数字がどうなっているかというのが大変大きな影響を及ぼしますので、県民の皆さまには国勢調査の重要性について、ぜひご理解いただいた上で積極的にご協力いただきたいと考えています。インターネットでの回答をお勧めしていますので、インターネット環境のおありになる方はできる限りインターネットにより回答いただければ大変ありがたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
最後に障がい者雇用の取り組みです。メディアの皆さまもだいぶメンバーが変わられてしまったかもしれませんけれども、障がい者雇用については2年前、実は課題がありました。課題というのは国もそうでしたが、全国的に、障害者手帳を持っていない方が雇用者数に入っているのではないかということで、長野県においても点検を行って、その結果としてそれぞれの県関係機関が法定雇用率を満たしていないというようなことが判明したのが2年前です。どうしても統計的な数字の把握に終始していましたので、中身についての対応が県としては十分ではなかったということで、全庁を挙げて障がい者雇用の問題に取り組みました。いろいろな採用の方式を講じたり、当事者の意見も聞いて障がい者の方が働きやすい環境をつくったり、いろいろな工夫を講じてきたところです。例えば知的・精神障がい者の方も選考の対象に加えたり、あるいは職種も警察事務、小中学校の事務職員にも拡大したりということを行ってきました。その結果、これは令和2年度の採用者数で、かっこ書きが2年前の数字ですけれども、単年度の採用者についても、それぞれ大幅に拡充してくることができたと思っています。「障がい者優先枠」というのはなかったわけですけれども、こうしたものも新たにつくって一般の募集に先立って、まずは障がい者の皆さまに応募を呼び掛けて採用していくというようなことも行ってきています。こうした取り組みを通じて「チャレンジ雇用」を経て県庁に就職された方もいらっしゃいますし、また民間企業に就職された方も出てきています。令和元年度は「チャレンジ雇用」を経て22名の方がそれぞれの職場でご活躍いただける形になっています。下にも書いてありますように、「社会に参加して働く力を養うことができた」であったり、あるいは「仕事への喜びを感じ、自信につながった」といったような、実際に「チャレンジ雇用」をされた方の声も頂いています。そういう意味で、2年前に徹底的な見直しを行った結果、着実に成果が上がってきているものと思っています。
特に当時問題になったのは、身体障がい者、精神障がい者、知的障がい者、障害者手帳を持っている人だけを優遇すればいいのかというところは、議論としてありました。当時、私もいろいろな方のお話を聞きましたけれども、障がいがあっても主体的に障害者手帳を取られない方もいらっしゃいますし、あるいは難病等、日常生活に不自由がある方でも障害者手帳の対象にならないような方もいらっしゃるわけですので、そうした方に対して単に数字、法定雇用率の話だけに関わっていると、どうしても見過ごしてしまうということで、長野県としては手帳を持たない方に対しても、こうした支援の対象にするということで取り組んできています。その結果ですけれども、知事部局、議会事務局、警察本部では法定雇用率は達成しましたが、残念ながら教育委員会だけ達成できていないという状況です。今年は新型コロナウイルスの対応等があって、通常の年のような対応ができなかったというような事情もあるようですけれども、引き続き法定雇用率の達成に向けた取り組みはしっかり行っていきたいと思います。ちなみにここに実人員を書いていますけれども、2年前と比べると知事部局では41名増えています。議会事務局では1名増えています。それから教育委員会では67名増えています。障がい者雇用の不足数で見ると、2年前の教育委員会の不足数は85名ということで、桁違いに不足している状況だったわけです。大幅に改善はされましたけれども、まだ法定雇用率は達成できていないということで、教育委員会にはもうひと踏ん張り対応を行ってほしいと考えています。こうした取り組みを通じて、障がいがある方もない方も未来に向けて希望を持って働いていける、暮らしていける、そうした長野県づくりに努めていきたいと考えています。私からは以上です。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
今回の補正予算のことについてお伺いします。過去20年の規模で見ても、最終予算額ベースで見ても、最大規模になるかと思います。新型コロナウイルス対応の部分については国の有利な財源を使っているかと思うのですが、災害の部分では県債の発行も多額になっていて、そういう意味で財政的な負担というのはかなり大きくなっていると思うのですが、その点について知事の所見をお伺いします。
長野県知事 阿部守一
新型コロナウイルス対策と、それから災害対策の両面が今回の予算案の重点ですので、そういう意味では財政状況が厳しい折ではありますけれども、最大限しっかり財政措置を行うことが重要です。災害も不十分な対応をすると、また同じような災害が起きたときに対応できないということになりますので、そういう意味では県内経済の下支えにおいても、それから災害からの復旧においても、十分な対応ができる予算案を編成しました。財政状況についてどうなのだというお話ですけれども、ご承知のように長野県においては実質公債費比率が低下傾向で来ています。今回も予算編成に当たっては、今お話があったように、できるだけ国の事業を活用したり、あるいは後年度、交付税に算入される起債を活用したりということで対応してきています。県債残高の中で見ると、臨時財政対策債のウエートが、例えばかつてオリンピック前に県債残高が急増した頃に比べると、当時はそうした起債はなかったわけですので、ほとんど建設地方債でした。今は見かけ上は当時とほぼ同じような水準ですけれども、かなり本来、交付税で来るべきものの振り替えになっていますし、加えて交付税算入されるような起債をできるだけ活用しています。資金手当て的な起債はできるだけ抑制してきました。コロナ禍にあって、今後そうした起債の発行も検討していかなければいけない状況ではありますけれども、これまでそうした起債の発行は抑制してきていますから、多額の財政支出はしていますけれども、財政の健全性に配慮しながら編成してきたところですので、財政状況が急激に悪化していくというようなことにはならないと考えています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
今回の予算の中で、今の知事の説明の中にはなかったのですが、減額補正している東京五輪・パラリンピック関係の事業がありました。コロナ禍での事業効果を見極めた上での減額だったと思うのですが、今後ああいった形で、他の事業などについても見直しをかけていく、予算が拡大していく中でそういった可能性というのはあるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
ここには書いていなかったかもしれないですけれど、「予算案のポイント」の8ページの「その他」の最後のところですけれども、「情勢の変化に伴う事業執行の見直し」ということで、今お話がありましたオリンピック・パラリンピック関連の経費のみならず、今の環境の中で事業を抑制した経費として6億4000万円余を減額しています。これからも限られた予算の効率的な執行を図りながら、できるだけ不要な予算は切り詰めていきたいと思います。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
予算とは別のことをお伺いします。今回の9月定例会に提出する大北森林組合に対する損害賠償請求額の減額についてお尋ねします。当初は弁護士などでつくる法的検討委員会の中で損害賠償請求額を決めたと思うのですが、今回調停に向けて減額することになりました。工事しているところの部分を差し引いたということで、実際の金額というのは確かにそれ相応の事業はしていると理解はできるかもしれないのですが、一方で県に本来入ってくるべき額が減ってしまうのではないかという見方もできると思います。この点について知事の見解をお伺いします。
長野県知事 阿部守一
私は終始一貫、県民の皆さまの代表として、県として確保できるものについてはできるだけ確保していくというのがこれまでのスタンスです。そういう意味で損害賠償請求についても、県として可能だと考えるものについては請求を行ったところです。ただ今回、組合からの申し立てで調停が行われたわけでして、大北森林組合も地域において非常に重要な役割を果たしていただいているわけです。交渉した結果として今回、県議会にお諮りしていきたいと思っています。もちろん県議会が最終的に判断するわけですけれども、私としてはこれまでも丁寧な手続きを踏み、そして林務部改革推進委員会のご意見等も伺ってきていますので、この内容で対応していくことが適切と考えています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
これに関係しまして、当時、確かに手続きとしてはしっかりしたものを踏んできているのかもしれませんが、損害賠償請求額を決定する上で組合から事情を聞くだとか、そういうことはできなかったのか。最終的に調停を経て、そういうような形に落ち着いたものですから、そのように聞くのですけれども、当時の判断として知事はどのように考えていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、私は県民の皆さまの財源をできるだけ確保するのが基本的な立場ですから、請求可能だと判断したものについて請求したということです。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
新型コロナウイルス対策ですけれども、昨日全県を感染警戒レベル1に下げました。そういう条件が整ったということですけれども、気が早い面もあるかもしれませんが、第2波の取り組みを振り返って、知事としてはどんな手応えといいますか、県のやってきた対策とか、県民の取り組みも含めてですけれども、手応えを得たのか、振り返ってどんなふうに評価されているかお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
昨日も専門家懇談会の皆さまにも振り返りという観点でご意見を頂きました。それはまた県として整理していかなければいけないと思いますけれども、4月、5月のいわゆる第1波と、それから今回、7月、8月、9月のいわゆる第2波と呼んで差し支えないと思いますけれども、比べますと、感染者数は今回の第2波の方が多いという状況です。ただ症状が出てから陽性が確定するまでの日数であったり、あるいは入院されてから退院されるまでの日数であったり、こうしたものは中間値で見ていますけれども、大体半分とか、半分以下になってきている状況です。検査体制も第1波のときに比べると現実に強化されていますし、またきのうも少しお話が出ていまして、医療機関での対応も第1波のときに比べると、だいぶ対応の仕方が定着してきているのではないかと思っています。そういう意味で単純に感染者の発生数だけで比較していくということではなくて、対応の中身等も併せて評価していかなければいけないのではないかと思っています。冒頭も少し申し上げたように、まだこの後、感染が拡大することも当然、念頭に置きながら対応していかなければいけないわけですけれども、重要なことの一つは検査体制をどこまで強化できるかということだと思っています。医療機関の皆さまにもかなりご負担をお掛けすることになる部分もあると思いますので、医師会の皆さま、あるいは市町村の皆さまのご意見も伺いながら、そして地域の医療提供体制もだいぶ異なっていますので、地域に合った対応、対策ができるように県として取り組んでいきたいと思っています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
第2波が終わったとはまだ言えないかもしれませんけれども、知事として県としての対応は成功したと、あるいは今のところ成功していると見ているということでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私が対策を行っている責任者なので、自分で成功したとか、成功していないとかという評価をすることは控えたいと思いますけれども、今回、上田地域で感染者が一番多く確認されました。濃厚接触者への対応をはじめとして、保健所へもかなり他から応援をしたり、クラスター対策班を派遣したりして、丁寧な把握に努めましたので、そうしたことによって感染の拡大を一定程度抑えることができたのではないかと思います。また地元の商店会の皆さま、あるいは市とも連携して、啓発活動はもとより一定のエリアの一定の職種の方の検査も行いましたので、こうしたことを通じて、これまでの第1波とは違った対策を講じることができたと思っています。感染症対策が成功するかしないかというのは行政の取り組みだけではなくて、県民、あるいは事業者の皆さまのご協力が非常に重要な要素になってきますので、そういう意味で多くの皆さまのご理解とご協力を得る中で対策を進めてこられて大変ありがたいと思っています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
成功したと自分では言わないまでも、ある程度うまくいっているということは感じているということですか。
長野県知事 阿部守一
うまくいっているかどうかというか、現場の保健所の職員をはじめ、大変な思いをしながら対策してきていますし、まだまだ気を抜かずに対応していかなければいけませんので、そうした評価を自分で行う段階ではないだろうと思っています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
そうした上で、先ほどの部局長会議では、ゼロリスクにあまりこだわり過ぎると、一方では誹謗(ひぼう)中傷だったり、あるいは経済的な活動で委縮してしまうところがあるということもおっしゃいました。一応第2波の大きな波を乗り越えたことを踏まえて、今回、観光振興にだいぶ予算を拡充するわけですけれども、その上でのこうした補正予算の展開と捉えていいのでしょうか。怖がり過ぎなくていいのだよというメッセージも、そこに込められているのかと感じたのですけれども、いかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
当初から申し上げてきているように、必要な医療が受けられなくなってしまうような方を出さないというのが感染症対策の基本だと思っています。以前お示ししたように、医療提供体制のレベルがあって、そこに感染者がどう増加したり、減少したりするかを見極めながら必要な対策を講じていくということが基本だと思っています。そういう意味で申し上げれば、4月当初に比べれば医療提供体制も医療関係者の皆さまのおかげで充実してきましたし、感染者数もいわゆる第1波に比べると多くなっていますが、それはある意味、検査体制が充実してきたことが反映している部分もあります。それを考えると全体としての対応、対策の体制はだいぶ整ってきつつあると思っています。基礎疾患がある方とかご高齢の方は重症化しやすいリスクがあると言われていますので、ご本人とか、あるいは周りの方、介護施設等、あるいはご自宅にそういう方がいらっしゃる方は引き続き相当注意していただくことが重要だと思います。きのうも専門家懇談会で申し上げたのですけれども、例えば普通に買い物に行って感染してしまうリスクが高いかというと、そんなことはないと思っていますので、そういう意味で県も社会全体の状況を見て必要なアラートを出していますし、もう一つは「3密」回避をはじめ基本的な感染症対策の事項については繰り返しお伝えしている通りです。例えば医療機関の受診控え等もひと頃大変な状況でしたけれども、そうしたことを徹底しながら日常的な活動は行うようにしていっていただきたいと思いますし、そういうメッセージをこれからより出していかなければいけないと思います。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
言い方が適切か分かりませんけれども、県民の感染予防の取り組みも、今のところ医療提供体制が追いつかないくらい感染を拡大させることなくできるぐらい、みんな頑張ったのだよという、分かっているねということを、自信を持ってみたいな。
長野県知事 阿部守一
定量的な評価はなかなか難しいですけれども、例えばこの会場でも皆さまがマスクを着けていただいています。一人一人が少しずつ手を抜いてしまうと、また一気に感染拡大につながりかねないですけれど、一人一人が少しずつしっかり気を付けていただくことによって感染拡大を防ぐことができていると思いますので、ぜひそうした取り組みはこれからも続けていただきたいと思います。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
知事と護国神社の関係について質問します。知事が崇敬者会の会長として鳥居の寄付事業に関わった他、社殿の改修の寄付事業にも関わっていたということが明らかになって、憲法学者も、それから長野県弁護士会も憲法違反の疑いが強くなったと指摘していますが、知事の受け止めはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
知事がというご質問ですけれど、私は何度も繰り返し申し上げているように、個人としての活動だと申し上げていますし、先般、文書でご質問いただいたときも回答していますので、基本的にはその考え方です。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
私人としての活動とおっしゃいますけれども、崇敬者会の会長になったのは知事の座にあるからであって、さらに寄付の趣意書に知事の名前を使っていなくても、阿部守一さんというのは県民が見れば、これは知事だということが分かるのであって、その点で見ると知事も芦部さんに教わっているからお分かりになると思いますけれども、愛媛玉串料訴訟の最高裁判決では、県民に特定の宗教と特別な関係があると印象付けることが政教分離違反になるという、学説的にはエンドースメント・テストと言うのですけれども、この違反に該当するのではないでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私も大学で芦部先生の授業を受けましたし、渡辺さんも研究されているので、愛媛の玉串料の訴訟は公金で支出されていたのではないかと思いますけれども、私は全く公金の支出はありません。同一の状況ではないと思います。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
知事だから崇敬者会長職を要請されたということについてはいかがですか。
長野県知事 阿部守一
そういう認識ではないということは、これまでも申し上げている通りです。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
でも一県民、つまり知事ではない人に崇敬者会長職というのは持ってこられませんよね。例えば私に崇敬者会の会長に就任してくれという要請はありません。
長野県知事 阿部守一
県の会見の場ですので、渡辺さんには申し上げるまでもないと思いますけれども、憲法解釈は自衛隊の合憲・違憲も含めて、あるいはこの政教分離も含めて、さまざまな学説があると私は認識しています。そういう意味で、ご意見はご意見として承りますけれども、ここでその意見に対して、しかも私が私的に行っているものに対する意見について詳細にお答えするのは、県庁の場ですから適切ではないのではないかと思います。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
最後ですけれども、知事は文書の回答でも、できるだけ早く考え方を整理したいとおっしゃっています。それから昨年8月に崇敬者会長を続けるかどうかについては有識者と相談して判断したいということをおっしゃって、公務もお忙しかったと思うのですけれども、もう1年たっているのです。それで私も連載の取材で東大系の憲法学者、何人もインタビューして、そのたびにこの問題をどう考えるかと聞きましたけれども、これを合憲だという学者は私には見つかりませんでした。知事が聞いている有識者の中でこれは合憲だと言っている人がいるのですか。それともう一つはいつまでにご判断されるのですかということです。
長野県知事 阿部守一
合憲だと言っていらっしゃる方はいらっしゃいます。ですから先ほど申し上げたように、憲法学説は私も憲法の勉強をしましたけれど、憲法の教科書を見るとA説、B説とかと書いてあります、いろいろ。ですから一義的に確定していないことというのはかなりあると思っています。その中で私も誠実に対応していくということで取り組んできていますけれども、今コロナウイルスの対応とかをしていますし、またこの問題自体、非常に基本的人権に関わる重要な、デリケートな話ですので、あまり軽々に判断はできないだろうと思っていますが、私としての考え方は繰り返し申し上げているように、憲法には違反しないという認識でお伝えしている通りです。
読売新聞 田ノ上達也 氏
10月から東京が「Go To トラベル」に追加される予定ですけれども、県内はこういう状況で、経済へのメリットがある一方、感染の再拡大を懸念する方もいらっしゃるかと思います。東京が追加されることに対する知事の受け止めをお願いします。
長野県知事 阿部守一
国はまだ最終的な判断を保留していると承知しています。感染拡大防止と、それから観光振興、どこでバランスを取るかという重要な話だと思いますけれども、本県の観光関係者の皆さまとお話しすると、大きな期待を持たれている方も大勢いらっしゃると思います。そういう意味で、感染防止対策については政府にもしっかり措置を講じてもらいたいと思いますし、また受け入れる側としても、そこら辺の対策、今回の予算案の中でも観光協会等への支援策も講じていますけれども、できる限りの対策をしっかり講じることによって観光の促進を図っていくということが重要だと思います。ですから「Go To トラベル」については、そうした状況をしっかりつくっていただいた上で政府としての最終的な判断をしてもらいたいと思います。
読売新聞 田ノ上達也 氏
現状では追加される予定であることには前向きということでよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これまでも「Go To トラベル」の関係ではいろいろな対策を行ってきていただいていますので、それに加えて受け入れる側も今、申し上げたように、さらにしっかり対策を講じることによって全国からの観光客を受け入れていくということが必要だと思っています。今回、観光関係の予算もかなり充実しました。「Go To トラベル」に連動させる施策については国の判断基準にのっとって対応していこうと思っていますが、県単独の施策については感染拡大状況を見ながら、対象範囲等もこれまでと同様に広げたり狭めたりしていくということを考えています。また今、県内の感染警戒レベルは1という状況ですので、県民の皆さまにはしっかり県内を観光していただきたいと思っています。また冒頭申し上げたように、県として県外の方に対する割り引きについては平日限定ということが基本ですので、そういう意味では「3密」の回避もしっかり図りながら観光の活性化を図っていきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 西澤文香 氏
冒頭にも感染警戒レベルが1に下がったということでお話がありましたけれども、予算の中にも観光事業のことが入っていますし、きょうに関しては知事と長野市長とで会食もされますが、現状としてレベル1に下がったということに関しての受け止めですとか、現状認識を伺えればと思います。
長野県知事 阿部守一
先ほども少し申し上げたように、感染拡大防止は行政だけの力ではできませんので、一定程度、今、落ち着いた状況になったのは多くの県民、あるいは事業者の皆さまのご協力のおかげだと思います。そういう意味で私としてはご協力いただいている皆さまには感謝申し上げたいと思っています。繰り返しになりますが、今後は基本的な対策、マスクの着用、手洗いの徹底等はしっかりやっていただくことを前提に、社会経済活動については動かしていく、そういう局面だと考えています。
日本放送協会(NHK) 西澤文香 氏
レベル1に下がったということは県としては落ち着いてきているという認識ではあると思うのですけれども、私たちも安心していい状態だと受け止めていいのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
安心の意味合いが、マスクもしないで手洗いもしないで安心だということになってしまうと、もう一気に感染拡大してしまうリスクがありますので、その安心ではなくて、新型コロナウイルス感染症に対する基本的な対策は徹底しながらも、先ほど申し上げた、医療機関に行ったり、あるいは買い物に行ったり、そうしたことで感染してしまうといったような状況はほとんどないと考えていますので、そうした活動については過度に控えることなく行動していただきたいと思っています。
信越放送(SBC) 小林正知 氏
新しい美術館の名称のことでお伺いしたいと思います。先ほどのご説明の中で、単なるリニューアルではなくて中身が大きく変わるのだということのご説明があった一方で、従来の「信濃」という名称に愛着もあるのでというご説明もありました。正式に県立美術館ということで決めたということで、「信濃」から「長野」にその名前を変えるという、そこについての知事の思いとか考えというものがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
今まで多くの皆さまに信濃美術館をご利用いただき、また地域の皆さまをはじめ、信濃美術館という名称に愛着を持たれている方がいらっしゃるということも私も十分理解しています。ただ先ほど申し上げたように、今回、美術館としての性格を一新していきたいと思っていますし、また「信濃」という呼称は明治時代の途中まで使われていましたけれども、今はいろいろな企業の名称等としては使われていますけれども、地理的呼称としてはほとんど使われていないという状況です。近現代の作品をこれから積極的にコレクションしていこうというときに、長野県の昔の名前が「信濃」ですので、コレクションの中身ともだんだんミスマッチになってしまうのではないかと思います。また何よりも県内外から多くの皆さまにお越しいただくときに、「長野」はオリンピックで世界に通用する名称になっています。加えて県立ということで、先ほど申し上げた長野県のいろいろな美術館と連携して取り組んでいくという意味で中核的な役割を果たしていく、そういうことをしっかり全面に打ち出していくためには、いろいろとご議論いただきましたけれども、最終的に長野県立美術館としていくことが適当と判断しました。
信濃毎日新聞 関誠 氏
先ほど質問が出ました大北森林組合の損害賠償請求の減額に関しまして1点お伺いします。これまで県は先ほど知事がおっしゃった通り、県民の代表としてできるだけ確保していくという、組合に対して厳正に対処していくというお立場と、組合の再建に向けて指導、支援していくというお立場という両面で取り組みをなさっているかと思うのですけれども。今回の調停案がまとまるに当たって、その辺のバランスというのはどんなふうにお考えになったのかというのをお伺いできればと思って、つまり今回、減額という形で一定程度、組合の方に歩み寄る必要が出てきたという、何で歩み寄っていこうかと思われたのか、その理由をお聞かせいただけたらと思います。
長野県知事 阿部守一
今お話しいただいたように、私としてはできるだけ県として確保できるものは確保しなければいけないということで損害賠償請求を行っています。損害賠償請求を行う時点で、県としての方向性はしっかり出していると思っています。行わないという選択肢も当然あり得ると思いますけれども、今の状況から考えて、できるだけ県民の財産を確保できるようにということで請求しました。ただ今回、調停の申し立てがあり、そうした中で私としては何が合理的と言えるのか、最終的には県議会の議決が必要ですので、そういう意味では県議会、あるいは県民の皆さまのご理解を頂ける内容はどういうものなのかということで検討しました。その結果として、補助金の支給要件はいろいろな要件がありますけれども、ただその一方で、実際に施業が行われている部分というもの、施業が行われているということは、そこに現実にお金が使われているという形にもなりますので、そうしたものについては一定程度、考慮することが可能ではないかと考えたところです。交付申請時に未施工だけれども実際に施業がされた分、あるいは施業内容が申請通りではないけれども一部は実施されたものについては適正な補助単価で再積算して、県として県民、県議会にご理解いただける内容は何かというものを追求し、減額の金額について検討した上で、今回の議案を提出する状況です。
信濃毎日新聞 関誠 氏
今ご説明いただいたのは、歩み寄るに当たってどこで線を引くかという理由をご説明いただいたかと思うのですけれども、そもそも一定程度、歩み寄る必要がどうしてあるのかとお考えになったのか。先ほど合理的な着地点というようなことをおっしゃっていたかと思うのですけれども、賠償請求をして、今までずっと何年か支払いというのがない中で、組合との話し合いというのも平行線だったかと思うのですけれども、これがずるずる続くよりは一定程度、着地点を見いだして、回収できるものは回収すべきだというご判断があったのかどうかとか、その辺を教えてください。
長野県知事 阿部守一
大北森林組合は両面あって、不適正に支給された補助金、あるいは損害賠償を返還してもらう相手方としての立場と、それから今、森林組合として実際に地域において活動をされているわけですので、その側面を捉えれば、県としては他の森林組合と同じように支援を行っていかなければいけない、両面有しているわけです。そういう意味で、県としても大北森林組合の活動を支えていかなければいけないという側面もありますので、一刀両断に調停を受け入れないというようなことではなくて、十分話し合いをした上で、かつ県議会、県民の皆さまのご理解が頂けるようなものであれば対応していくことも可能ではないかと考えています。
中日新聞 城石愛麻 氏
きょうの会見にも出てきました「しあわせ信州創造プラン2.0」の政策評価の関係ですが、昨日の部局長会議でも新型コロナの影響などで今年度の数値が大きく下押しする可能性が高いというようなお話が出ていたかと思いますが、最終的な目標については今も変わらないということでいいでしょうか。知事の見解を教えてください。
長野県知事 阿部守一
今の時点では変えていませんし、変えません。この最新値というのが今の新型コロナウイルスの影響がまだ反映されていない数字になっていますので、そういう意味では指標によっては目標値を達成する困難度が、今のコロナ禍でかなり上がっている項目が多いと思います。ただ県民の皆さまにお示しし、県議会にもお伝えしている目標値ですので、直ちに変えてしまうということではありません。県としては目標値を維持しながら、それに向けてどうやって対応していくかということをまずはしっかり考えていきたいと思います。
ありがとうございました。
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