ホーム > 県政情報・統計 > 県概要 > 知事の部屋 > 知事会見(動画とテキストでご覧になれます) > 2020年度知事会見録一覧 > 知事会見2020年5月28日

ここから本文です。

更新日:2020年7月13日

知事会見(令和2年(2020年)5月28日(木曜日)11時~12時09分 会場:県庁)

項目

阿部知事からの説明

  1. 新型コロナウイルス感染症への対応について

ページの先頭へ戻る

取材者からの質問

  1. 新型コロナウイルス感染症への対応について

ページの先頭へ戻る

本文

阿部知事からの説明

 1 新型コロナウイルス感染症への対応について

長野県知事 阿部守一
 連日会見を開いていまして恐縮ですけれども、きょう「新型コロナウイルス感染症等対策条例(仮称)」の骨子を取りまとめましたのでお知らせしたいと思います。こちらの画面で説明していきたいと思います。
 まず条例名は「長野県新型コロナウイルス感染症等対策」という形にしています。後ほど内容についてお話ししますけれども、現時点で対策を必要としているCOVID-19、新型コロナウイルス感染症への備え、それから今後新型インフルエンザ等と同様の感染症が拡大してくることも想定して、今回条例を検討していこうというものです。
 目的として、「今後の感染拡大に備え、県民の生命と健康を保護し安全で安心な生活を維持する」ということで、基本的には感染症の拡大防止ということを主眼に置いた条例にしています。
 条例制定の背景として三つ掲げています。一つが「地域の実情に応じた対策の必要性」ということで、今回の新型コロナウイルスへの対応というものは国と地方との関係性の在り方もいろいろ問われている部分もありますけれども、例えば新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく国の政府対策本部が設置されたのが3月26日です。法律に基づいて直ちに県本部を設置するという形になっていますので、県本部も即日設置したわけですが、長野県においては1月29日から独自に県の本部を設置して、これまで対策に当たってきています。そういう意味で新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用された本部が設置される前から県として地域の実態を踏まえた対応を行ってきているわけでして、今回の条例においてもこうした地域の実情に応じた対応は取れるような形にしています。それから二つ目で「本県独自の対策の必要性」ということで、とりわけ今の時点でも緊急事態宣言が全国で解除されたという状況になっていますが、都道府県境をまたいだ往来については控えてもらいたいというのが政府からの呼び掛け、総理からの呼び掛けになっています。長野県においても人の移動というものが感染症のまん延防止の観点では実は非常に重要なポイントだと思っていますけれども、県として今回の一連の対策の中ではとりわけ観光、宿泊関係の皆さまには休業の検討の依頼ということで、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づかないお願いをしたところです。今後の2波、3波に備えるという観点からも長野県独自で対策を講じていくことが必要となる場合もあるということで、2番目にこうした点を書いています。それから3点目、「将来を見据えた感染症対策の基本的な考え方やルールの明確化の必要性」ということです。私も県知事の立場、あるいは県の対策本部の本部長という立場で県民の皆さまにいろいろな要請、お願いをしてきています。その中には新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づくものもあれば、必ずしもそうしたものではないものもあります。今回新型コロナウイルスへの一連の対応を行ってきたわけですけれども、このまま収束することを心から願ってはおりますが、しかしながら他方で2波、3波への備えということも必要ですし、また新型コロナウイルスだけではない感染症が今後どういう形で拡大してくるかということも予測することはできません。そういう意味で今後の2波、3波、あるいはさらに将来を見据えて感染症対策の基本的な考え方、あるいはルール、こうしたものを明確化し、県民の皆さま、事業者の皆さまと共有していきたいと思っています。また何よりも県民の皆さまの代表である県議会でご審議いただきたいと思っているところです。
 条例骨子の概要ですけれども、お手元に資料をお配りしていると思いますのでそちらをご覧いただきながらこちらも一緒に見ていただければと思います。まず「条例対策本部の設置等」ということで、新型インフルエンザ等対策特別措置法のつくりが、法律に基づく都道府県本部というのは国の本部が設置されていると設置するという形になっていますので、先ほど申し上げたように例えば事前の対応というものは本県でいけば、いわゆる要綱に基づくような本部しか現時点では設置できないという形になっています。こうしたことを鑑みて、条例を根拠にした対策本部を設置できるという形にしていきたいと思っています。
 それから「感染症対策の実施等」についてです。スペインインフルエンザが約100年前に世界でまん延して、長野県においても多くの犠牲者が出たわけですけれども、当時のデータ等を私も読み返しましたが、感染症対策として県として取り組まなければいけない基本というのは同じだと思っています。感染防止を県民の皆さまに呼び掛けていく、あるいは県民の皆さまに必要な情報の提供を行っていく、あるいは県民の皆さまに手洗いの徹底だとか、マスクの着用だとか、そういうことを求めていくというのは感染症対策の基本であり、そうしたものについては昔も今もあまり変わっていないというのが私の率直な思いです。今回感染症対策の実施ということで、まず一つは「県対策本部は、感染防止、医療体制等に係る基本的方針を定める」という形に位置付けたいと思っています。国における基本的対処方針については新型インフルエンザ等対策特別措置法に根拠があるわけです。長野県においても同様に基本的対処方針をこれまで定めて、必要に応じて改定してきていますけれども、県の方針については法的な根拠が今のところありません。そういう意味で基本的な方針については、条例上の根拠がある方針にし、その上で県として方針に基づいた対応、「適切な感染防止に関する施策の実施について広く周知」、あるいは「必要な情報の提供」、さらには「県民等への協力のお願い」、さらには「医療・検査体制の充実」、「医療資材等の備蓄」、こうしたことをしっかり進めていくということを条例の中に位置付けていきたいと考えています。
 それから「まん延を防止するための協力の求め等」ということです。ここの内容については他の部分と異なって、今回の新型コロナウイルス感染症の場合に限るという形にしています。基本的には一定の要請等については法律上の要請ということで対応していくことが基本だと思っていますけれども、ただここに記載しているような、例えば「人の往来を誘発させる施設に対し、必要な措置を検討することへの協力」をお願いすることであったり、あるいは国の対策本部がまだ設置されていない、すなわち長野県においても新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対策本部が設置されていない段階での協力のお願いということについて、この規定を基に対応を行っていきたいと思っているところです。こうした「協力を求めるに当たっては、必要最小限のもの」ということで、本部長である私が判断をするに当たっては慎重な上にも慎重に判断しなければいけないという形で書いています。私だけではなくて今後の知事も含めてこうした規定を踏まえた対応をしっかり行ってもらいたいと思っています。
 それから「県民及び事業者に対する支援」ということです。今回一連の対応の中で新型コロナウイルス感染症対応、あるいは今後の新型インフルエンザ等への対応ということを考えたときに、県民、あるいは事業者の皆さまに大変なご負担やご協力を頂かなければいけないということを痛感しています。そうしたときに県として「相談体制の充実」であったり、あるいは「経済的な支援」であったり、こうしたことに取り組んでいくことなしには感染症対策を進めることはできないと思っています。そういう意味で今回感染拡大防止ということを主眼にした条例ではありますけれども、そのためにもこうした県民、あるいは事業者の皆さまに対する支援が必要だということで、こういう規定を置きたいと考えています。
 またその次ですけれども「方針等についての意見聴取」ということで、先ほど申し上げたように基本的な方針については条例に基づく方針として策定していきたいと考えていますが、その際専門家の皆さま、学識経験者の意見をしっかり踏まえ、県庁内部だけの議論、意見だけはなくて外部の有識者の方の意見をしっかり踏まえた上で方針等をまとめていく、あるいは先ほど申し上げたような協力の求め等の対応を行っていくという、ある意味プロセスというか、県だけの判断ではなくて、さまざまな皆さまの意見を伺った上で判断していくということを位置付けています。
 そして最後に「人権への配慮」ということで、今回の一連の対応を見ますと、さまざまな誹謗(ひぼう)中傷、あるいは差別的取り扱いが大きな社会問題になっているところです。感染症対策をこれから進めていく上では人権への配慮ということが大変重要だと考えていますので、条例においても「何人に対しても、新型コロナウイルス感染症等のり患又はり患のおそれ等を理由として、不当な差別的取扱い又は誹謗(ひぼう)中傷をしてはならない」ということを位置付けていきたいと考えています。以上が条例の骨子の全体像です。
 最後に「施行期日」は公布の日という形にしていきたいと思っています。
 今後のスケジュールですけれども、本日こういう形で説明していますので、6月10日までパブリックコメントを行い、その上で県としての条例案を決定して取りまとめられれば、6月に予定されている定例県議会に議案として提出していきたいと考えています。多くの皆さまからご意見を頂ければと思いますのでよろしくお願いします。私からは以上です。 

ページの先頭へ戻る

取材者からの質問

 1 新型コロナウイルス感染症への対応について

中日新聞 渡邉陽太郎 氏
 今、知事から県で条例を定めて、その根拠の上でいろいろな対策を進めていくということを説明していただきましたが、今までコロナウイルスがまん延してから、知事もおっしゃっていましたが、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく県の本部であったり、そういうものに基づく要請、それに基づかない休業協力依頼というものをそれぞれ知事から発信して県民は受け止めてきたと思うのですけれど。この条例ができると、今の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく何か他のコロナウイルスであったり、感染症が起こったときに、こういうのが併存するのかどうなのか分かりにくいかと思うのでその辺りのことをもう少しかみ砕いて説明していただけますか。

長野県知事 阿部守一
 先ほど申し上げたように、例えば観光関係の皆さまへのお願いというのは何も法的な裏付けがなく協力のお願いをしてきているという状況です。こうした経済活動とか、県民の皆さまの暮らし等に影響があるものについてはしっかりとした法的根拠、条例も含めてですけれども、それを持った上で行っていくということが大変重要だと思っています。そういう意味で県としての取り組みの基本的な考え方とかルールをしっかり明確化したいと思っています。

中日新聞 渡邉陽太郎 氏
 その中で今回緊急的にコロナウイルスのまん延防止のために国の本部、県の本部が対処方針を定めてやってきたわけですけれども、一つ落ち着きを見せている中で、あえてここにも知事は触れられましたが、これまでの対策で、多分知事は本意ではなかったと思うのですけれど、まん延防止のためにお願いとかをしてきた。ただそれは知事として本来、本部長としてできること、そしてこれまでお願いしなければいけなかった。それもできるだけ抑制的であるべきで、そこに主眼を置いて法的根拠を求めることが必要だとお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 2波、3波への備えと、それから先ほど申し上げたように、例えば長野県でもおよそ100年前にいわゆるスペインインインフルエンザが発生して、今回新型コロナウイルスで長野県における死者は今のところ出ていない状況ですけれども、当時のことを振り返った文献では1万人を超える死者が出ているというような状況も言われています。そうしたときに感染症への備えについては県としてもしっかり講じていくことが大変重要だと思っています。そういう意味で今回条例を制定することによって、県として取り組むべき一定の方向性もしっかり位置付けていきますし、また本部長なり知事が、あるいは県が取り組むときの根拠についても明確にしていくということが、感染症対策というのは県民の生活、あるいは産業、経済に多大な影響を与えるということが今回これまでの一連の対応で明らかになったと思いますので、そうしたことを考えると先ほど申し上げたように、できるだけ必要最小限の措置にとどめながらも的確な対応を行っていくということが重要だと思いますので、そうしたルールを明確化していくことが重要だと思っています。

信越放送(SBC) 熊﨑陽太 氏
 今回の条例案、骨子ということなのですけれども、「協力の求めは必要最小限のものでなければならない」と書かれているのですが、とはいえ条例というのは法的根拠を含め非常に重いものだと私自身は認識しているのですが、その中であわよくば今結構世間で「自粛警察」だとか、そういったものがキーワードにもなっているのですけれども、行動の制限を求めるのか求めないのか、どの部分までというのが県民だとか事業者にとっても気になるところではあると思うのですが、その辺りの行動制限にまで行かないような周知の仕方だとか、そういったものを知事はどのようにお考えになっていますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 行動制限に至らない周知というのは。

信越放送(SBC) 熊﨑陽太 氏
 「必要最小限のもの」と書かれてはいるのですが、条例となると非常に重いものだと認識する方が多いと思うので、改めてにはなるのですが、その辺りの条例の位置付けといいますか、どのような周知の仕方をしていきますか。

長野県知事 阿部守一
 ご質問の趣旨を受け止めれば、もちろん条例を県民の皆さまにも広く知っていただく努力はしていかなければいけない。まずパブリックコメントをお願いしますので、その段階で今回お示しした骨子をできるだけ広く知っていただくことが重要だと思いますし、制定されればしっかりお伝えしていかなければいけないと思っています。今回「協力の求め」については先ほども申し上げたように、ここの部分については、まず一つは事業者の皆さま等にお願いをしていく規定になっているのですが、内容的には「必要な措置を検討することへの協力を求めることができる」という形になっています。新型インフルエンザ等対策特別措置法等は協力の要請、あるいは第45条に行けば指示、あるいは指示に従わない場合は事業所名の公表というようなプロセスになっているわけですけれども、今回の条例はそれらに比べますと非常にマイルドというか決して強権的に何かを強制する、強く要請するものではなくて、まず検討してください、そのことに協力してくださいということを私が求めることができる、事業者が従えということではなくて、県知事として検討の協力を求めることができるという形にしていますので、そういう意味で新型インフルエンザ等対策特別措置法の条文等に比べますと、強制力は非常に弱い中身にしています。今回の一連の対応を振り返りますと先ほど申し上げたように、例えば法的な根拠がないお願いに対しても極めて多くの皆さまが主体的に、積極的にご協力いただく中で対応してきています。私の思いとしては、非常に強い強制を行うことなしに協力していただくということが感染症対策を進めていく上でも非常に重要で、前回の会見のときに申し上げましたけれども、県民の皆さまと行政との信頼関係の中で感染症対策を進めていくということが重要だと思っていますので、そういう意味でこういう条文の書き方にしています。こうした点についても県民の皆さまにはお伝えしていく必要があると思っています。

信越放送(SBC) 熊﨑陽太 氏
 少しこれから先の話になるのですが、今までも条例だとかそういったものというのは県で作ったものが多くあるのですが、今後の周知の仕方といいますか、今、「新しい生活様式」を知事もコマーシャルだとか、いろいろな方法を使って周知されているのですが、これまで以上に広げていかなければいけないものになると思うのです。その辺りの周知の仕方は何か今までと違うことを考えていたりとか、何か想定しているものが現段階でもしあれば教えてください。

長野県知事 阿部守一
 例えば今回の新型コロナウイルス対策全般でもメディアの皆さまにも大変ご協力を頂いて、私もテレビのスポットでかなり県民の皆さまにいろいろな呼び掛けをしてきています。また6月1日以降の対応方針については、県の本部会議を開催して方向を決めて、県民の皆さまにお伝えしていかなければいけないと思いますけれども、いわゆる「新しい生活様式」と言われているようなものについては、当分県民の皆さまにお願いしながら取り組んでいかなければいけないと思いますので、県議会でご議決をいただければ、そうしたものと合わせて条例の考え方についても県民の皆さまにはしっかりお伝えしていきたいと思います。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 条例の中における知事の権限というのと、その限界についてお伺いしたいのですが。先ほどの質問とも重複する部分はあるのですが、「協力を求めることができる」というふうに非常に抑制的に作ったとおっしゃっていました。その一方でこういう条例というのは知事がおっしゃれば、ある程度それが例え「協力のお願い」であったとしても、強く受け止める県民の方も多いと思います。その上で知事がご自身の権限というものの限度、その辺をどこと定めて、そしてそれに対してどういうふうに検討したのかというのをお伺いしてもよろしいですか。

長野県知事 阿部守一
 基本的には新型コロナウイルスへの対応というのは新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて対応しています。ただ先ほどから申し上げているように、法の枠組みだけでは必ずしも十分対応できないと思っています。法の枠組みによって対応できないところは、私がフリーハンドでやることが望ましいのか、あるいは一定のルールが必要なのかと考えたときには、私は一定のルールの下で対応していくということが重要だと考えていますし、まさにそのことが自治であり、民主的な姿ではないかと考えています。条例を制定することができれば、県民の代表の皆さまが定めたルールの中で、執行部もある意味これまで以上に責任を持って仕事を行っていくことができると思っていますし、また先ほど申し上げたように、基本的な方針などを定めるときにも、一定のルールの下で有識者のご意見を伺った上で定めていくという形になりますので、そういう意味でより透明性の高い、予見可能性がある対応になっていくと考えています。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 先ほどの質問と重複してしまうのですが、知事の条例における権限というのを「協力のお願い」というような形にしたというところで、非常に悩ましい部分もあったかと思います。もっと強くしようかとか、あるいは弱くしようかと。その部分についてどういうふうに検討なさったかというのをお伺いしてもよろしいですか。

長野県知事 阿部守一
 先ほども申し上げたように、私としては自治の世界であり、また行政と県民の皆さまとのある意味信頼関係がなければ感染症対策は進められないと思っています。強権的に取り組むということだけでは、なかなか多くの皆さまのご理解とご協力が得られないというのが新型コロナウイルス対応を行ってきての私の率直な感覚ですし、むしろ多くの皆さまが納得して協力していただくということが、感染症のまん延防止のためには重要だと。きのうも専門家懇談会の中でもいろいろ議論があったことの一つに、県民の皆さまにどういう情報提供をしていくかというときに、これをしなさい、あれをしなさいということを単に求めるだけではなくて、どういうことを防ぐためにこういうことが必要だということをお伝えしていくことが大事ではないかというお話もありました。そういう意味で感染症対策は県民一丸となって取り組んでいかなければいけないわけですので、問題意識、課題、そういうことをできるだけ多くの皆さまと共有しながら、協力し合いながら取り組んでいくということが重要だと思いますので、そうした考え方でこういう条文にしているところです。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 今回の条例案を作るに当たって、実際の運用では専門家の方の意見を聞くというようなこともあるのですが、条例案に向けては専門家のご意見を聞いたとか、そういうことはあるのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 これからパブリックコメントも行っていきますので、そういう中で必要に応じてご意見を伺うこともあると思いますけれども、ただどちらかというと専門家の皆さまの観点というよりは、行政としての責任で取りまとめなければいけない話ですので、そこは必ず聞かなければいけないかと言われれば、そうでもないだろうと思います。ただパブリックコメントを行いますのでご意見は聞くということも否定はしませんが、県として責任を持ってまず取りまとめたいと思っています。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 今、責任という言葉が出たのですが、こういうふうに条例化、明文化されるとそれに伴う県行政としての責任の所在の明確化というところも出てくると思います。こういう条例に基づいて県が行えば、それに対して当然出た結果に対しても責任を負うということになると思います。知事は非常に抑制的にやっていくということもおっしゃっているのですが、冒頭の説明の中でもあったのですが、これからの知事も抑制的にお願いしたいというようなことの発言もありました。そういうふうに抑制的に使っていくということは、どういうことをもって担保していけばよいと考えていらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 どういうことをもってというのは、まさにこの条例で担保してもらう形になろうかと思います。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 その中で例えばコロナウイルスの「まん延を防止するための協力の求め等」のところで、「休業その他の必要な措置」という文言があって、この表現自体は悪く取れば何とでも取れる部分になるかと思います。抑制的に使っていればそんなことはないかと思うのですが、こういう曖昧な表現というのは、細かいのですが、どういう部分を想定して「休業その他の必要な措置」としたのかお伺いしてもよろしいですか。

長野県知事 阿部守一
 ここの表記の仕方については基本的に新型インフルエンザ等対策特別措置法と同様の考え方に立っています。例えば手指の消毒設備の設置であるとか、あるいは症状がある方の入場の禁止とか、これは新型インフルエンザ等対策特別措置法で規定されているものですので、これまで対応してきているもの以上に強いことを求めるというようなことは全く想定しているわけではありません。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 このスケジュールですと非常に忙しい部分もあるかと思います。新型コロナウイルスの対策が急を要するのは重々承知ではあるのですけれども、このスケジュール感の中で県民の方に周知して、議会でも議論して理解を深めていくということが可能かどうか、改めて意見をお伺いしたいのですがよろしいですか。

長野県知事 阿部守一
 私としても広く多くの皆さまからご意見を頂きたいと思っています。ただ今回新型コロナウイルスについては第2波、第3波に備えなければいけないという要請もありますので、先ほど申し上げたようなスケジュールでパブリックコメントを行って、その上で県議会で十分ご審議をいただきたいと思っています。

毎日新聞 島袋太輔 氏
 行政手続き上の関係でお伺いしたいのですけれども、事業者に対する「必要な措置を検討することへの協力」というのは行政処分や行政指導に当たる行為ではないということでよろしいのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 行政処分には当たらないです。ここに記載している通り、県として強制権を持って県民の皆さまとか事業者に向き合うという発想は全く取っていませんので、まず一つは検討してください、それに対して協力してくださいということですので、このこと自体が行政処分として従うか、従わないかというような形になるものではないと思っています。

毎日新聞 島袋太輔 氏
 「まん延を防止するための協力の求め」の部分で、「休業その他必要な措置」の休業に加えての「その他」というのは具体的にどういったことを想定していらっしゃいますでしょうか。これまで通り例えば時間を短縮して営業するとか、入場制限するとか、そういった措置になるのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 先ほどお答えしたのと同じで、ここの背景の考え方は新型インフルエンザ等対策特別措置法と基本的に同じですので、消毒設備の設置とか、症状のある人の入場制限とか、そういう一般的な対策を想定しています。

毎日新聞 島袋太輔 氏
 それで言いますと、対象施設についてもここに書いてあるとおり、「特措法に規定する多数の者が利用する施設」というのは施行令に書いてある施設が対象で、それに観光、宿泊施設も加えて対象事業者を想定しているという理解でよろしいのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 どの部分をおっしゃっているのですか。

毎日新聞 島袋太輔 氏
 協力をする対象施設について、「4」の「(2)」の「イ」の部分ですけれども、「多数の者が利用する施設」という部分です。

長野県知事 阿部守一
 これはもう読んで字のごとく、新型インフルエンザ等対策特別措置法に書かれている施設を想定しています。

毎日新聞 島袋太輔 氏
 それに加えて、そこに書いていないけれど、長野県としては観光、宿泊施設に対しても想定をしていらっしゃるということですよね。

長野県知事 阿部守一
 それは「4」の「(1)」で、「感染症がまん延していると認められる地域からの人の往来を誘発させる施設」というところで観光施設等を念頭に置いています。

毎日新聞 坂根真理 氏
 都道府県がこうした新型コロナウイルスに関連して条例を策定するというのは、他の自治体でもあるのでしょうか、それとも長野が初めてになるのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 新型コロナウイルス関連での条例を作られているのは東京都があると承知しています。ただ東京都の条例の内容は、今、手元に資料がないのですけれど、基本的に審議会を設置されるというようなものが主眼になった条例になっているかと思います。名古屋市もあります。先ほど申し上げたように、東京都の条例については都民、事業者の責務、それから新型コロナウイルス感染症対策審議会をつくるというような内容になっています。名古屋市は市の責務、事業者の責務、市民の責務、感染を防止するための協力、そういう内容になっています。

長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
 確認というか教えていただきたいのですが。休業の検討の要請ということと、経済的な支援を行うということは、ひも付いているという理解でよろしいのかということです。と言いますのも、ある種、県民の方の協力、自主性が尊重されているということで言えば、事実上やってくださいという内容になっているにもかかわらず自主的な判断で休業しているということになるとすると、果たしてそれに伴う補償という観点で言えば、そこが受けられるのかというところについて気になるところだと思っていまして、逆にそういった協力をきちんと得られたいということであれば、それ相応の対応もあるということは明確になっていた方が、むしろ安心して協力できるのかという観点でどうかと思うのですが、いかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 そこの議論は強制の度合いと金銭的支援とのバランスの話になると思います。今回先ほど申し上げたように、「検討することへの協力を求めることができる」ということで、お願いの中身としては非常に緩やかなものにしています。ただ今回も例えば宿泊施設等については先ほど申し上げたように、法に基づかないお願いをしていますけれども、そうした施設に対しても支援金という形で財政的な支援をしています。ですから、「相談体制の充実、経済的な支援等必要な支援を行うものとする」と記載していますので、どういう方を対象にどういう具体的な措置を講ずるかということまでは条例ですので記載はしていませんけれども、これまで取り組んできたようなことも当然念頭に置きながら、今後必要な場合には対応していくという形になると思います。

長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
 その辺は実態に応じた形になるのであろうかとは思うのですけれど、例えば条例でなくてもその下の要綱であるとか、そういったところに、こういった場合にはこうするとかというのをあえて書いておくという判断もあり得るかと思ったりしますが、そういうことはないですか。

長野県知事 阿部守一
 財政的な部分は、例えばいろいろな条例でも財政的な支援とか、財政措置を講ずるとかということを記載しているものはありますけれども、ただ片方で実際の財政状況とか、予算措置の話を拘束してしまうことにつながりかねませんので、条例上の書きぶりとしてはこうした形で、その時点でどういう必要な予算措置を講ずるかについては、また別途判断していくという形になると思います。

長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
 では状況次第ですけれども、知事としては当然、困っている方がいらっしゃれば、それに応じたことをやっていきたいというところではあるということですか。

長野県知事 阿部守一
 政府の経済対策も出されましたけれども、長野県としても今の新型コロナウイルス対策での経済対策も引き続き講じていきたいと思っていますので、そうしたものも県民、あるいは事業所に対する支援という形でしっかり行っていきたいと思っています。

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 確認を込めて何点かお聞かせください。知事はいつ頃からこうした条例の必要性を感じていたのでしょうか。特に具体的に県組織として条例の策定作業に着手したのはいつ頃なのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 それは私もよく覚えていないので、また必要があれば別途聞いていただければと思いますけれども。新型コロナウイルス対応は本当に日々、目まぐるしく対応が変わってきている中で、担当部局も含めて私も毎日新しい課題と向き合いながら取り組んできたので、あまりいつからとかというのを明確に今申し上げられないので、それはまた別途必要であれば聞いていただければと思います。

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 では今後の話なのですけれども、条例案の作成について県が定めているパブリックコメントの指針では、原則30日間としていると記憶しています。やむを得ない理由で2週間以上という規定もあると思うのですけれども、今回やむを得ない理由という感じだと思うのですけれども、2週間とした理由についてお聞かせください。

長野県知事 阿部守一
 先ほど申し上げたように、新型コロナウイルス対応はまさに目の前の対策、あるいは県民の皆さまの暮らしや経済の対策をしっかり行いながら、並行して条例の検討を行ってきています。これからの2波、3波に備えていくということを考えれば、できるだけ直近の県議会にお諮りしていくことが県としての体制を整える上では重要だと思いますので、そういう意味で今回パブリックコメントの期間については必要な最小限の期間、必要とされている期間の枠内ではありますけれども、その中で対応したいと思っています。

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 新型インフルエンザ等対策特別措置法では期間を限定して、来年の1月ぐらいだったと思うのですけれども、そういった時限的なものだと思うのですけれども、県の条例を見ると、そういった新型インフルエンザ等対策特別措置法のような期間限定の意味合いではないという位置付けでよろしいですか。

長野県知事 阿部守一
 先ほど申し上げたように、政府の本部がない場合とか、あるいは例えば冒頭申し上げたように、長野県の新型コロナウイルス対策本部も政府の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく本部ができるよりだいぶ前から対応してきています。そういう中で例えば検査体制の強化とか、県民の皆さまへの呼び掛けだとか、行ってきているわけですので、そういうことを考えると新型インフルエンザ等対策特別措置法が動いていないと対応ができない、要綱等で対応はしてきていますけれども、条例がないとそういうことになりかねない。そういう意味では新型インフルエンザ等対策特別措置法の期限と同じような期限ではない。今お話しいただいた新型インフルエンザ等対策特別措置法の期限は今回の新型コロナウイルス対応ということだと思いますけれども、先ほど申し上げたように今回の条例は、今後また別のウイルス等が出てきた場合の対応も想定していますので、そこの部分については期限を定めてという形の条例にはなっていません。

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 具体的に骨子の中身の質問ですけれども、「4」の「協力の求め等」の欄ですが、先ほども質問がありましたけれども確認の意味を込めて、「人の往来を誘発させる施設」とか、「休業その他」といった幅を持たせるような、必要最小限とはいっても今後の広がりがあり得るような形になっている。その点についてもう一回説明いただければありがたいですが。

長野県知事 阿部守一
 まだ骨子の段階なので、そういう意味では本来の条例の形に比べると、そういう部分はまだ「等」という形になっているような状況のところもあると思いますので、むしろそういうところについてはこういうものは入れる必要があるとか、ご意見を頂くことがいいのかと思います。無秩序に広げていくという発想で書いているわけではありませんので、そこはいろいろご意見を承りながら考えていきたいと思います。

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 そういう観点でいくと先ほど財政的な支援で同様の質問もあったかと思うのですけれども、「協力の求め」の部分で、解説とか要綱などで他に業種とか範囲を規定するといった考えもあり得るのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 先ほど申し上げたように、事業者に対する支援、とりわけ経済的な支援については、骨子上はこういう書き方をしていますし、基本的に条例の形にするときも、形は先ほど申し上げたように、骨子ですけれども基本的にはこれと同じ形にしていくのが基本だと思っています。ただ骨子なので細かく書き切れないところが「等」という表現になっている場合もあると思います。

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 私の質問が分かりにくかったかもしれないのですけれども、先ほどの質問にもあったような産業的支援とか県民への支援の部分以外の話ですが、「協力の求め」などについて新型インフルエンザ等対策特別措置法ではいろいろとこういった業種といった例示がありますけれども、そうした例示というのは今のところ考えていないということですか。

長野県知事 阿部守一
 そういう観点でいくと、例えば「4」の「まん延を防止するための協力の求め等」のところの、例えば「(1)」については「感染症がまん延していると認められる地域からの人の往来を誘発させる施設のうち別に定めるものを管理する者」と書いてありますが、これは別に定めていきたいと思っています。

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 とすると解説であったり、要綱というようなイメージでよろしいですか。

危機管理防災課長 布山澄
 「4」の「(1)」の「管理する者等」、例えばイベントの主催者とか施設を実際に所有して管理している方以外のこともあるので書いてあります。あと「別に定めるもの」という書き方ですけれども、従前の取り扱いの中で県の対策本部において基本的対処方針、あるいはさまざまな県の方針の中で定めていて、その際に専門家のご意見等も聞いているというようなことを想定しています。実際にどう定めるかという部分については条例制定の中でまた検討したいと思いますが、この中ではそういうふうに考えています。

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 先ほど知事の問題意識として、こういった対策について知事のフリーハンドでやっていくということはいかがなものかといったような趣旨の発言があったと思います。逆を返すと、他の都道府県はフリーハンドでやっている状況が続いていくと思うのですけれども、そうした状況に対してどういう認識を持っていらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 他の地域についてどうこう言うことは控えたいと思いますけれども、私はずっと地方自治に携わっていろいろな仕事をしてきていますけれども、それぞれの都道府県とか市町村で必要であると考えるものについては積極的に自治立法としての条例を制定していくということが、県民の皆さまのご理解を頂きながら、あるいは県議会の皆さまのご理解を頂きながら決めていくということは自治のプロセスとして重要なものと思っています。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 条例骨子の概要のところで言いますと、前文もそうなのですけれど、「まん延を防止するための協力の求め等」というところで、基本的に施設の「休業その他必要な措置を検討することへの協力を求めることができる」ということで、今のところで言うと休業の検討への協力を依頼することをお願いして、宿泊施設とかがこれに当たると思うのですけれども。それ以外にも県としての呼び掛けとして、例えば「STAY信州」というのを一般県民に呼び掛けたりとか、あとは緊急事態宣言が出される前から感染拡大地域への往来は最小限にしてほしいということを知事から呼び掛けたということがあったと思います。移動の制限に係るような今までの要請に関して言うと、そういったところは条例で根拠を定めることはないのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 「4」のところはどちらかというと施設等を管理されている方に対しての協力のお願いという形になっていまして、大きな「3」の「感染症対策の実施等」の「(2)」に例えば「県民、県の区域に滞在する者及び事業者に協力を求めることができる」ということで、基本的方針にどういうことを定めるかということにもよりますし、その時点でどういうことを求める必要があるかということにもよりますけれども、具体的に休業の検討をしてくださいみたいな話ではないとき、かつ新型インフルエンザ等対策特別措置法が適用できないような状況のときには、「3」の「感染症対策の実施等」の規定を使うかどうかという形の検討になると思います。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 要するに休業という経済的に大きく影響を与えるようなものを検討してもらうときには、こういった一般的な協力を求めるという理由には足りないのではないかということでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 その規定で休業の検討を求めるというようなことは考えていないということです。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 つまり「4」を使うと。

長野県知事 阿部守一
 そうです。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 とした理由というのは経済的な損失が大きいとか、そういうことがあるからということですか。

長野県知事 阿部守一
 これは検討の協力をお願いするということですけれども、休業する、しないとかということは事業者にとっては大変大きな影響を与えるものになりますので、そういう意味で抑制的に考えなければいけないということで、ここの規定については新型コロナウイルス感染症、今回の場合についてこの対応をするということで対象も限定をかけるということで考えています。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 条例案の最後のところにあります「人権等への配慮」ということなのですけれども、ここを盛り込んだことへの知事の思いというのはどういったものがあるでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 新型コロナウイルス感染症対策を行ってきて、いろいろな課題が見えてきたわけですけれども、人と人との分断、感染された方とか、あるいはそのご家族に対する誹謗(ひぼう)中傷、あるいは医療従事者からも、例えばご家族が差別的な扱いを受けているといったような声も聞こえてきています。私たちが戦う相手は新型コロナウイルスであって、住民同士の絆が断たれることがあってはいけませんので、そういう意味でこうした差別的取扱い、誹謗(ひぼう)中傷をしてはいけないということを県民の皆さまに改めてご理解いただくという上で、こういう規定を置きたいと考えています。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 人権への配慮もそうですし、あといろいろ県から協力を求める場合も必要最小限のものでなければならない、抑制的に要請等をしていくということを書いてあるのですけれども、とはいっても県民の中でいろいろ思いが暴走して誹謗(ひぼう)中傷につながったりということは実際にあったことですし、県の組織の中でも忖度(そんたく)の連鎖みたいな感じで、知事が言ったことを部長がまたもう少し大げさに解釈して、だんだん大げさに解釈してみたいなことが信濃毎日新聞でもたまにそういうことがあるのですけれども、県庁でもないとは言えないと思っていて、そういうことがあったときにどんなふうに実際困った人の声を拾って救済するか、そういったところの措置についても、また詳しく今回条例の条文を作っていくときに盛り込んでいったりする考えはあるでしょうか。救済の仕組みということです。

長野県知事 阿部守一
 ご趣旨があまりよく分からなかったのですけれども。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 一般的な人権への配慮というところで、人権が侵害された人に対する手当てです。あとは県としての要請が実際に運用される段階で行き過ぎてしまったりして、困ったというような場合があったときに、県民からの苦情を受け付けるではないですけれども、そういった声を拾って救済するといいますか、軌道修正するといいますか、そういう仕組みというのは何か導入する考えはありますか。

長野県知事 阿部守一
 人権については呼び掛けをしっかりやらなければいけないということと、あと法務局等でも人権相談の対応をしていただいていますので、そうした状況については県も把握して対応していかなければいけない場合もあると思います。人権の問題については、今、本当に経済的にも厳しい状況に置かれている方が多いので、どうしても誰かのせいにしたいとか、批判したい、差別したいという心情が働きがちな環境ですけれども、何とかそういう環境にならないように生活支援とか経済対策をしっかり行っていきますし、新しい日常ではありますけれども、早く日常の生活へ回復できるように取り組んでいきたいと思っています。

信濃毎日新聞 木田祐輔 氏
 休業の検討のお願いですとか、「まん延を防止するために必要と認める場合」とあるのですけれども、それがいつなのかというところで、いろいろな全国の状況とかを見ていかれるのでしょうけれども、県内で言えばレベル分けは三つの段階があって、レベル3のときに休業の要請をするとか、レベル2に警戒宣言を発令するとありますが、この条例の休業検討のお願いというのは、レベル分けではどこに当たるのかという整合性の考え方についてお願いします。

長野県知事 阿部守一
 基本的には今回の条例骨子にもお示ししているように、「6」の「方針等についての意見の聴取」のところで、「4」の「(1)」、あるいは「(2)」等を規定として実際に適用していくときには学識経験者の意見を伺うということで、現状であれば専門家懇談会の皆さまのご意見は聞くという形になります。専門家懇談会の皆さまと現時点でお話ししているのは、現状であればレベル3になったときには、例えば学校の休業等も含めて検討していかなければいけないというのは皆さまにもお示ししている通りですので、現状であればそうした考え方で対応していくという形になると思います。

信濃毎日新聞 木田祐輔 氏
 現在も観光、宿泊施設には5都道県から呼び込まない運営の検討をお願いされていますけれども、今後も緊急事態宣言の対象が全国からなくなって、8月1日以降何も要請とかお願いがなくなった状態でも、状況によっては緊急事態宣言が全国でない状況でも県の条例に基づいて協力をお願いすることは可能性としてはあり得るのですか。

長野県知事 阿部守一
 要するに条例と新型インフルエンザ等対策特別措置法の関係になってしまうと思いますけれども、まん延防止の規定を発動させなければいけないような場合は、長野県であったり、あるいはどこかの都道府県で緊急事態宣言が出されているような状況にほぼ近い状況が想定されると思っています。どういう状況が今後出てくるかということは必ずしも分からないわけですので、可能性として排除はしませんけれども、ただ先ほど申し上げたように懇談会の皆さまの意見をしっかり聞いて対応しなければいけないということを、まさに条例上明記していますので、また措置についても「対策を実施するため必要最小限のものでなければならない」という規定を置いていますから、軽々(けいけい)に規定を発動するようなことは条例を作れば逆になくなると思っています。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 知事は今までのいろいろな質問の中で、国の法制度の中で対応できないということを何度かおっしゃって、一方で条例を作るというのが地方自治の在り方の一つともおっしゃっていました。これまでのコロナウイルス対応の中で、旅館業法の不備の問題について知事会を通して、また知事ご本人として国にそういうふうに意見を上げていたということがあったと思うのですけれども、現行の法制度というのはかなり穴があったという表現が適切かどうか分からないですが、対応できない部分もあったと思います。そういうものの改善を求めて声を上げるというのを条例の制定に伴ってやるというようなお考えはありますか。

長野県知事 阿部守一
 条例の制定に伴ってというよりは、知事会でも今回の一連の対応を政府と実際に現場に近いところで対応している知事なり知事会とで課題を共有して、改善できる部分については2波、3波に備えて一緒に検討していくべきだというのが私の考え方ですので、引き続きそうした考え方は知事会の場でも伝えていきたいと思いますし、政府においても今後2波、3波に備えていく上で必要な制度改正等についてはぜひ積極的に検討していただきたいと思っています。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 重ねてなのですけれど、今、知事がこの条例に伴って持ったような問題意識を伝えていきたいというような、そういうことでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 今、旅館業法のお話をいただきましたけれども、これまで緊急事態宣言が全国で解除されるまでの一連の流れの中で、次に向けての改善点というのは各県知事とか、あるいは政府の側もいろいろあるのだろうと思いますので、これから2波、3波に備えていくということを考えたときにはそうしたものをどう改善していけばいいのかということについてはしっかり議論すべき問題ではないかと思っています。
 ありがとうございました。

ページの先頭へ戻る

お問い合わせ

企画振興部広報・共創推進課

電話番号:026-235-7054

ファックス:026-235-7026

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

  • 長野県公式観光サイト ゴーナガノ あなたらしい旅に、トリップアイデアを
  • しあわせ信州(信州ブランド推進室)