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更新日:2024年2月27日

知事会見(令和6年(2024年)2月6日(火曜日)15時02分~16時20分 会場:県庁)

項目

阿部知事からの説明

  1. 県議会2月定例会に提出する令和6年度当初予算案・条例案について
  2. 令和6年4月組織改正について
  3. 令和6年能登半島地震について
  4. 少子化・人口減少対策戦略方針案について
  5. 組織風土改革「かえるプロジェクト」の最終報告について

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取材者からの質問

  1. 少子化・人口減少対策について(1)
  2. 令和6年度当初予算案について(1)
  3. 能登半島地震復興支援県民本部の設置について
  4. 令和6年度当初予算案について(2)
  5. 県議会2月定例会に提出する条例案について
  6. 少子化・人口減少対策について(2)
  7. 令和6年度当初予算案について(3)

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本文

阿部知事からの説明

 1 県議会2月定例会に提出する令和6年度当初予算案・条例案について

長野県知事 阿部守一
 それでは、2月6日の会見を始めたいと思います。きょう、大きく5点お話をしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。まず、午前中、部局長会議を開催し、来る2月県議会に提出する予算案と条例について決定しましたのでお知らせします。皆さまのところに当初予算案のポイントの資料が渡っているかと思います。今回、「人口減少の緩和と適応、そして未来への挑戦」という副題をつけました。令和6年度の予算は「しあわせ信州創造プラン3.0」、県の総合計画を昨年策定して、その計画を踏まえた最初の本格的な予算という形になります。現下の喫緊の課題である人口減少への対策、人口減少のスピードを緩和して歯止めをかけていくことと、それから女性の数がもうだいぶ減ってしまっていますので、出生率が一定程度回復基調になったとしても人口はしばらく減り続ける形になりますので、人口減少期にあっても経済・社会の活力を維持すると、この両面からこれまで取り組んできた新時代創造プロジェクトの中で、対策を打ち出し、予算化をしています。それらと併せて、能登半島地震、まだ非常に厳しい環境の中で避難生活を送られている方も大勢いらっしゃいますけれども、引き続き県としても支援すると同時に、長野県におけるこうした大規模地震が起きた際への備えというものも、今後しっかり考えていかなければいけないと思っています。ただ、まずは取り組まなければいけない住宅の耐震化等について、今回の予算の中でも充実・強化し、併せて、今後長野県における今の防災対策の状況を振り返りながら、さらなる対策の強化を図っていきたいと思っています。併せて、きょうの午前中、「かえるプロジェクト」のタスクフォースメンバーから四つのタスクフォースごとの提案を頂きましたけれども、「かえるプロジェクト」を具体化していくことも進めていきます。あと、全般的にですけれども、私はずっと県民の皆さまとの対話集会を行ってきました。今回の予算でも対話集会で出された問題意識を具現化するものを盛り込ませていただいたところですし、県民参加型予算についても、提案・選定型については昨年に引き続いて予算化し、提案・共創型についてはこれまで関係の皆さまと検討してきたものを予算の中で今回具体化させていただいたところです。予算規模については、9991億1254万円余ということで、前年度に比べて465億円の減で、4.4パーセント減少しています。主には新型コロナ対応予算が約555億円減少したことに伴うものです。今回の予算は、11月補正予算とある意味一体的に効果を上げていこうと取り組んでいますが、令和5年度11月補正予算を加えますと、1兆582億1600万円余の規模になります。予算の概略の考え方は以上のようなものですけれども、少し個別にコメントしていきたいと思います。まず、人口減少については、この後、(少子化・人口減少対策)戦略方針案の話がありますので、またそこで少しお話していきたいと思いますけれども、社会面・経済面で人口減少に何とか歯止めをかけていかないと、長野県のみならず、日本の活力がどんどん失われてしまうという危機感を持っています。そういう意味で、広く県民の皆さまと危機感や問題意識を共有しながら、人口減少・少子化の問題は取り組んでいきたいと思っています。そうした中で、少子化・人口減少対策戦略方針案についても本日取りまとめ、報告されたところです。これについては、年度内に案を取って成案にしていきたいと思いますし、なおかつ、この方針を今後若い世代や女性の皆さまのお考えも伺いながら、具体的な戦略という形にしていきたいと思っています。戦略については今年の秋頃までには取りまとめて、実行していきたいと思っています。そういう中で、今回の当初予算においては、これまでの議論を踏まえて反映可能なものから、まずは実行していこうということで予算計上しています。特に強調しておきたいのが「子育て家庭応援プラン」で、予算案のポイントの資料の15ページの「子育て家庭応援プラン」ということで、今回特に多くのお子さんをお持ちのご家庭、それから所得が少ないご家庭、こうした方々に対する支援に重点を置いて、子育てに関する経済的負担を軽減しようということで予算化しました。主な取り組みは、3歳未満児の保育料の無償化・軽減の拡充、それから子ども・子育て応援支援市町村交付金の創設、さらには子どもの医療費助成の拡充です。加えて、この3点は市町村の皆さまのご意見を伺いながら市町村と共に実行していくものですが、さらに県としては、私立高等学校の授業料の軽減をこれまで以上に拡大・充実していきたいと思っています。加えて、今後の取り組みとしては、(現在、県の補助制度では)子ども医療費の自己負担金500円を1レセプト当たり頂戴していますけれども、いろいろとお話を伺っていると、なかなか低所得の方にとっては厳しいというご意見もありますので、低所得世帯における自己負担金を無料化できないかという観点で、市町村と一緒にこの事業に取り組んでいますので、まずは市町村と調整していきたいと思っています。加えて、県の高等教育機関ですけれども、この授業料についても、多子世帯の(負担)軽減といったような観点で、より踏み込んだ負担軽減策を検討していきたいと思っています。併せて、これらの子育て支援は、例えば総合計画が終わった後であっても、あるいは私が県知事を退いた後でも、やめましたという話であってはいけないと思っています。なぜならば、これは若い世代の皆さまに対するメッセージですので、3年経ったら終わりましたとか、5年経ったら終わりましたということでは、少子化に歯止めをかけるどころか場合によって加速させてしまうということになりますので、安定的な制度にしていかなければいけないと思っています。子どもの未来支援基金に県として新たに100億円を積み立て、次年度以降も継続的に積み立てを行って、財政的にもこうした取り組みをしっかりと支えていきたいと思っています。後ほど申し上げますが、財政改革の取り組みも新年度本格的に行っていきたいと思いますので、財源の捻出であったり、新たな財源確保であったり、こうした努力を重ねる一方、子育て支援についてはさらなる充実を図っていきたいと思っています。それから、新時代創造プロジェクトは8本のプロジェクトがありますけれども、それぞれ人口減少の緩和と適応という観点で整理ができますので、そういう順番でプロジェクトについて簡単にご説明していきたいと思います。まず1番目の「女性・若者から選ばれる県づくりプロジェクト」ですけれども、これについては、今申し上げた「子育て家庭応援プラン」をはじめとする子育てしやすい環境づくり、それから女性・若者が働きやすい職場をつくっていく、さらには若者とのつながりを強化していく、こうした3点でいろいろな取り組みを進めていきたいと思っています。「子育て家庭応援プラン」以外では、例えば保育環境・サービスの充実のため、保育士の加配措置については継続していきます。特に潜在保育士の復職支援の強化であったり、県外にいらっしゃる保育士が県内の保育所に就職される際の活動費を助成したり、あるいは移住を支援したりということを新たに行っていきます。また、信州型フリースクール認証制度を創設し、県としてはこうしたフリースクールの施設の運営を支援していきたいと思っています。また、子育て世帯が住みたくなるような住まいを普及するという観点から、県営住宅のリノベーションであったり、あるいは空き家の利活用を進めていきます。また、女性・若者が働きやすい職場をつくるという観点では、企業トップの皆さまの意識が非常に重要ですので、引き続き「女性から選ばれる長野県を目指すリーダーの会」を通じていろいろな取り組みを行っていきたいと思っています。また、長野県にお住まいの女性の皆さまが自分らしく働くことができるように、女性の起業支援、あるいは女性デジタル人材の育成、就業支援、さらにはライフスタイルに合わせた多様な働き方の創出やマッチング支援に取り組んでいきます。また、若い世代とのつながりの強化、一つは小中高生の頃から地域とつながって、地域の職業はどんなものがあるか、産業はどんなものがあるということを知ってもらうような授業を行うと同時に、長野県で多くの若者が学び、交流するように、サマースクール・ウインタースクール等の充実、あるいは若者にも企画に参加していただいた上でのミーティングの開催、交流の場の設定、こうしたことに取り組んでいきます。それから、「人口減少下における人材確保プロジェクト」についてです。大きく三つの視点から取り組んでいきたいと思います。一つは働ける人を増やすこと、それから労働需要を減らしていくこと、さらには労働環境を改善するという三つの視点で取り組んでいきます。資料の20ページのところです。まず、就職活動で訪れてもらう学生の皆さまに交通費を支給していきます。国の制度と少し違えて、どうも国の制度は東京一極集中を是正して地方創生を進めるという観点が強いのだと思いますが、東京圏の大学生を中心に考えていますけれども、本県の場合は東京圏以外、全国の学生を対象にしていきたいと思っていますし、短大・専門学校も入るということで対象者を非常に拡大して取り組んでいきます。また、保育士、それからバスドライバーは特に重要な職種です。先ほど保育士のところは申し上げましたけれども、この両職種については、県内で勤務されようという方の移転を促すと、転居を促すという意味で、移住支援金を支給していきたいと考えています。それから、ライフスタイルに合わせた多様な働き方の創出を行って、女性も、例えば在宅ワークができるような環境を増やしていきたいと思っています。その一方で、人口減少下では人材に限りがあるので、片方でロボット化、ICT化を通じて労働需要を減らしていく取り組みも支援をしていきます。さらには、労働環境の改善ということで、男性の育休取得を促進していきたいと思っています。まず、こうした男性育休の取得促進に取り組む企業に対して、奨励金を支給していきたいと思っています。加えて、介護・障がい福祉分野の職場環境を改善するという観点で、生産性向上総合相談センター(仮称)を設置して、職場環境改善を支援していきたいと思っています。また、従業員の奨学金返還を支援する企業を引き続き支援していきます。人材確保のところは、産業界を中心にかなり問題意識が深い部分ですので、当面こうした対策を講じていきますが、引き続き、今後、産業分野別の人材確保等を中心にさらに議論を深めて、必要なものがあれば、補正予算も含めて積極的に対応していきたいと考えています。それから、「世界で稼ぎ地域が潤う経済循環実現プロジェクト」です。これは大きく二つの視点で取り組んでいきます。一つは技術力等で世界に貢献していく、そして世界で稼いでいくこと、それからもう一つは、地域内で経済を回していくことで、徹底した地消地産・地産地消を進めていくということで、両面から対応していきたいと思っています。まず、医療機器や電気自動車等、成長産業分野への企業の研究開発、あるいは参入支援を行っていきたいと思っています。それから、長野県からやはりサーキュラーエコノミーをしっかり進めていきたいと考えています。まず、サーキュラーフードの開発支援で、酒粕を利用した代替肉の開発支援等を行っていきます。また、「発酵長寿県NAGANOの食」の発信であったり、観光面では信州の自然を生かしたアウトドアコンテンツの充実であったり、サステナブルな観光地づくりだったり、こうしたことを通じて、インバウンド客を積極的に呼び込んでいきたいと思っています。地消地産・地産地消については、一つは木質バイオマスエネルギーを最大限活用できるように取り組んでいきたいと思います。また、食料分野については、有機農産物の利用促進を図ると同時に、食品ではないですけれども、薬草振興ネットワークを創設して、薬草の生産・利用を拡大していきたいと思っています。これは対話集会で、何ヶ所かで県民の皆さまから出たご意見を踏まえて具体化していこうというものです。また、「しあわせバイ信州運動」ということで、地域内経済循環を促すこと、地産地消・地消地産を進めるという意味で、県民の皆さまの行動を促すためのキャンペーン等を行っていきたいと思っています。また、デジタル地域通貨を普及させる取り組みも進めていきます。それから、「県内移動の利便性向上プロジェクト」では、まず、担い手の確保が非常に重要になってきていますので、バス・タクシー・トラック協会が行う合同採用説明会等を支援していきます。また、先ほど申し上げたように、バスドライバーの方には移住支援金を支給します。加えて、退職自衛官、あるいは消防士の皆さまにアプローチするとともに、第二種の運転免許の取得支援を行っていきます。また、地域公共交通ネットワークを維持・発展させていく観点で、まず、県有民営バス車両の導入を拡大します。加えて、長野と飯田を結んでいる、みすずハイウェイバスについては、県として事業者が取り組む運行継続を支援します。また、大糸線についても、北陸新幹線敦賀延伸ということもありますので、さらなる利用促進に向けた取り組みを行っていきます。また、交通空白地帯等における輸送の確保という観点で、一つは自家用有償旅客運送を行うNPO等に対して補助を行っていきたいと思います。加えて、日本版ライドシェアの導入も含めて、タクシー協会と連携して供給不足を解消するための対策を講じていきます。その他、地域連携ICカードの導入支援であったり、あるいはバスロケーションシステム等の整備に向けた検討、鉄道駅のバリアフリー化の推進、こうしたことに取り組んでいきます。今の各項目は、人口減少を緩和する、あるいは適応するという観点ですが、もう一つ、未来への挑戦という観点での新時代創造プロジェクトです。まず、「個別最適な学びへの転換プロジェクト」です。28ページです。教育の部分については、県民の皆さまとの対話を通じても、市町村長の皆さまとお話をさせていただいても、かなり多くの皆さまが問題意識を持たれている分野だと思っています。一方で、信州学び円卓会議であったり、特色ある県立高校づくり懇談会であったり、こうしたところでいろいろな皆さまと議論を行ってきているわけですが、まず当面できるところからスタートしようということで、今回このプロジェクトでは大きく三つの柱で取り組みを進めていきたいと思います。まず一つは、「一人ひとりに合った学び実践校」を公立学校で実践していきたいと思います。実践校の設置に向けた有識者による検討会を設置して、具体化に向けた検討に取り組んでいきます。資料にはいろいろな絵が描いていますけれども、私の問題意識は、日本の教育は非常に画一的です。画一的であるがゆえに、今までのいわゆる工業社会においては適合していた教育だったのかもしれません。みんなが同じことを同じようにできて、日本の学校教育はみんなが同じ方向を向いて何時から何時までは何をやりますと決められて、まさに工場で働く人材を育てるのには適した教育の仕方だなと思っていますけれども、もはやそうした教育が通用する時代ではなくなってきていると思っています。AIが普及して、知識を身に着けるというよりは知識をどう使いこなすのか、あるいは自ら新しい問いを立てていく、これから未来に向けては今までの歴史をなぞるだけでは新しい未来を切り開いていくことは不可能だと思いますので、自ら問いを立てて対応していけるような人材を育てていかなければいけないと思います。その反面、不登校の子どもたちが多くなったり、発達障がいの子どもたちが多くなったりと、子どもたちのさまざまな個性や特性に合った教育を行っていかなければ、教育自体がもう持続可能性がなくなってきてしまっていると思っていますし、何よりも子どもたちがSOSを発信しているのが今の状況だと思います。そういう観点で、公立学校は、非常に何というか、画一的な形で進んできた部分が多いわけですし、個々の学校の努力というところでいろいろな対策を講じてきていますけれども、もっと県全体で新しい教育の形をつくっていきたいと、その大きなテーマとして一人ひとりに合った学びを実践する場をつくっていきたいと思っています。実践校の設置だけではなくて、メタバースの活用等も含めて、一人ひとりに合った学びの実現に向けた取り組みを進めていきます。それから2点目は、教員の働き方改革等も含めた、教員が本当に必要な業務に専念できるようにしていくこと、学校運営の改革です。総合教育会議でも、先日まさにこの問題について議論したところですけれども、もう本当に先生方の仕事はいっぱいいっぱいになりつつあると、あるいはなってしまっていると思っています。これについても、学校業務自体を抜本的に見直していかなければいけないと思っています。個々の学校の努力に委ねることではなくて、県として、県全体で教育委員会でもしっかり連携しながら取り組んでいきたいと思っています。それからもう一つ、学校以外の多様な学びの場を充実させていきたいと思っています。先ほど申し上げた信州型フリースクール認証制度の創設、あるいはサマー・ウインタースクールの推進、こうしたことを着実に進めていきたいと思います。また、信州学び円卓会議も継続していきますので、住民の皆さまと一緒に多様な学びの在り方を検討していきたいと思っています。それから、「ゼロカーボン加速化プロジェクト」については、これまでゼロカーボン戦略等をご説明してきていますので、詳細は時間の関係もあって割愛しますけれども、運輸部門、家庭部門、産業・業務部門、再エネ部門、それぞれロードマップをしっかり推進できるように取り組んでいきたいと考えています。長野県の温室効果ガス削減目標は非常に高い目標を掲げていますので、何とかその実現に向けて、他の都道府県の先導役を果たすことができるように取り組んでいきたいと思っています。それから、「デジタル・最先端技術活⽤推進プロジェクト」についてです。これについては三つの柱で取り組んでいきます。一つは地域社会のDXの推進、それから産業のDXとIT企業の集積加速化、さらには、次世代空モビリティの利活用の推進という3点です。まず、地域社会のDXについては、新たに長野県DX推進本部(仮称)ですが、推進体制を整えて具体的な分野におけるDXを進めていきたいと思います。今、DX戦略を取りまとめ中ですので、その中で具体的な分野ごとの方向性をしっかり打ち出して実行していきたいと思っています。また、市町村のDXを着実に支援していける体制を構築していきます。加えて、産業分野のデジタル化も非常に重要ですので、IT企業、IT人材の集積をしっかりと進める一方で、産業振興機構等とも連携して県内企業のデジタル化を応援していきたいと考えています。特に、中小企業においてはどんなDXを進めればいいかよく分からないというお話もありますので、そうしたメニューを整えて、こんなことをやっていけばいいのではないかということも含めて支援していきたいと思っています。それから、空モビリティについては、協議会を作りましたので、今後、実証実験等をしっかり支援して、空モビリティの分野でいろいろな取り組みが盛んになる地域を目指していきたいと思っています。それから、「輝く農山村地域創造プロジェクト」については、際立った特色のある地域をつくっていきたい、オンリーワンの「輝く農山村地域」の創造をしていきたいという思いで始めたプロジェクトです。まず、来年度は飯綱町と根羽村の皆さまと一緒に取り組みを進めていきたいと思っています。核となる資源もそれぞれ明白でして、飯綱町はりんご、根羽村は森林で、かねてから取り組みをされていらっしゃいます。そうした取り組みをさらに加速化して、例えばりんごといえば飯綱町と言われるように、あるいは森林といえば根羽村だとおっしゃっていただけるように、取り組んでいきたいと思いますし、単に産業振興という観点だけではなくて、そうした物産・産業を通じて、いろいろな分野にも波及効果が出るような取り組みを行っていきたいと思っています。以上、新時代創造プロジェクトに即して少しご説明させていただきました。その他の重要な柱としては、地震防災対策の強化ということで、42ページです。能登半島地震の教訓を踏まえつつ、県としてまず取り組むべきことを予算化いたしました。一つは、住宅の耐震化を加速化するための補助金の上限額を100万円から150万円に引き上げます。また、緊急輸送路の整備であったり、道路法面対策に予算を重点的に配分していきます。加えて、市町村および県の対応力を総合的に評価して、防災力の向上につなげていきます。また、災害時のドローンの利活用について集中的に検討・実証に着手していきます。こうした災害対策は県民の皆さまの協力が不可欠ですので、備蓄や家具の転倒防止の再確認、あるいは地震保険への加入を促すための啓発を行っていきます。また、条例で、消防団の協力事業所に対する税制上の支援措置を行っていますけれども、これまで一律10万円の減税限度額を設定していました。新年度以降は、消防団員数に応じて最大100万円まで一気に減税限度額を引き上げていきたいと思っています。消防団員がなかなか確保しにくい環境になっていることに加えて、いざ災害というときには、やはり地域のことを熟知されている消防団員の皆さまにいていただくことが大変重要だという考えに基づくものですので、事業者の皆さまにも積極的な活用をお願いしていきたいと思っています。それから、組織風土改革「かえるプロジェクト」、午前中にタスクフォースから提案があったわけですけれども、「かえるプロジェクト」を進めていく上で必要な予算についても今回計上したところです。例えばオフィス改革であったり、マネジメント力向上研修であったり、こうしたものをしっかり進めていきたいと思っています。また、職員の専門性の向上を図るための人事制度の改革にも着手していきます。私自身も職員との対話を毎月1回は行うことによって、長野県という組織をより風通しがいい、本当にやりがいを感じてもらって職員が活躍できる県になるように全力で取り組み、また、職員の取り組みを応援していきたいと思っています。その他、45ページには沖縄県との交流連携事業を付けています。昨日も沖縄の経済界の皆さまにお越しいただいたわけですけれども、昨年3月に玉城知事と交流連携協定を結ばせていただいて以降、沖縄県と長野県との交流がさまざまな分野で非常に活発になってきていると思っています。令和6年度もこうした関係をさらに深めていきたいと思っています。チャーター便の運航をはじめとして、観光・物産での協力連携、子どもたちの交流、環境面・農業面での連携、こうしたことを進めることによって、沖縄県が持つ強みと長野県の持つ強みを足して2で割るのではなくて、掛け算で相乗効果が上がるように取り組んでいきたいと考えています。それから、資料の1-3で県民参加型予算についても書いています。提案・選定型については、新年度は6地域振興局で実施していきたいと考えています。34件の事業提案を頂きましたが、県民の皆さまに参加いただき選定した結果、6事業を予算化することとしました。また、共創型については、28件の事業提案がありましたが、提案された方との検討を重ねた上で今回、四つの事業を予算化することとしました。県民参加型予算については、試行錯誤を重ねながら、よりよいものにしていきたいと考えています。それから、県民対話集会でさまざまなご意見、ご要望を頂戴してきました。今回、予算の主要事業一覧で、【集】という、集会の「集」というマークを付けていますが、その部分が県民対話集会で頂いたご意見も踏まえて施策化したものです。もとより県が主体的に考えたものもありますけれども、ご意見で出ていたものについてもマークを付けているところです。例えば、学校に行けない子どもの受け皿の充実が必要だということでは、信州型フリースクール認証制度の創設であったり、あるいは移住者を増やす取り組みを強化すべきだということでは、先ほど申し上げている保育士であったり、バスドライバーへの移住支援金も含めた移住支援金であったり、あるいは就活費の助成も今回の予算で新たに盛り込んでいます。また、教員の負担軽減が重要だというご意見も頂いたことから、先ほどのように、学校業務を見直していきたいと思っています。ドローン、空飛ぶクルマ、こうした利活用についてもご提案いただいてきたところです。今後も順次、県として対話集会で頂いたご意見について考え方や方向性をお示ししてお伝えしていきたいと思っていますが、まず今回の予算面では、全部で120項目について反映させていただいたところです。あと、順番が前後して申し訳ないですが、資料1-1の8ページに戻っていただいて、予算の形だけ申し上げたいと思います。先ほど申し上げたように、新型コロナ予算が減少しますので、予算総額は4.4パーセントの減という状況です。ただ、こうした特殊要因を除いた場合は、前年度比0.6パーセントの減で、ほぼ前年同額の予算規模となっています。一方で、今後、社会保障関係費の増加であったり、先ほどから申し上げている子ども子育て支援の拡充、さらには新時代創造プロジェクトへの重点投資、こうしたものが必要になってきます。そのため、よりめりはりのある予算編成を今後とも心掛けていかなければいけないと思っていますし、今後の財政改革にも本格的に取り組んでいきます。社会資本整備についてはご覧いただいているような状況です。中期財政試算もご覧いただければお分かりだと思いますが、令和6年度当初の財源不足額は110億円で、昨年の当初に比べるとやや財源不足が少なくなったという状況ですが、引き続き厳しい財政状況は継続しているところです。一方で、県債残高については臨時財政対策債の廃止を求めてきていますが、政府においてもだいぶ縮減してきていただいていますので、その関係で県債残高全体については減少していく見通しになっています。また、通常債の残高については、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を集中的に実施しますので増加していきますけれども、防災・減災、県土強靱化、国土強靱化の部分を除けば残高を減少させていく考えです。財政健全化判断比率等については資料をご覧いただければと思っています。
 あと、条例案については、先ほど少し申し上げました消防団の活動に協力する事業所等を応援する県税の特例に関する条例の一部を改正する条例案については、延長した上で、内容を充実します。また、新設条例については、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が施行されたことに伴い、女性自立支援施設の設備および運営の基準に関する条例等を新たに制定をするものです。女性の人権の尊重、女性が安心して自立して暮らせる社会の実現という観点から、この新法を踏まえた対応をしっかり行っていきたいと考えています。予算案・条例案については以上です。

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2 令和6年4月組織改正について

長野県知事 阿部守一
 
続きまして、組織改正についてです。令和6年4月からの組織改正について大きく2点あります。一つはスポーツ行政、文化財行政を教育委員会から知事部局に移管するものです。4月からは観光部にスポーツ行政を移管し、観光スポーツ部に改称します。4年後に迫った国民スポーツ大会や全国障害者スポーツ大会も見据えて、スポーツを生かした観光振興、そして今回、健康福祉部から障がい者スポーツも移管しますので、一般スポーツと障がい者スポーツの一体的推進を図っていきたいと思います。また、プロスポーツの振興にも力を入れていきたいと考えています。また、文化財行政については新たに文化振興課を設置します。芸術文化政策と文化財行政が一体として取り組むことにより、より効果が上がるような政策推進を図っていきたいと思っています。それからもう一つの柱が、小規模課室を大きく、大くくりにします。これまではどちらかというと政策面を強く打ち出そうということで、小規模な課・室を置いてきましたが、「かえるプロジェクト」からも指摘されているように、業務が多忙になってきています。そういう中で、例えば小さな職場ですとなかなかお互い協力しづらい環境になってしまいますので、一人ひとりの業務の枠を超えて協力しやすい環境をつくっていこうという観点で、小規模な課・室については廃止して大きな課の体制にしていきたいと思っています。しかしながら、県としての重点の置き方については変わりがないわけですので、新たに担当課長というものを設けて、県としては引き続き当該分野についてしっかり重視しながら取り組みを進めていきたいと考えています。

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3 令和6年能登半島地震について

長野県知事 阿部守一
 それから3点目、能登半島地震に関連してです。皆さまのところには、「能登半島地震復興支援県民本部の改組について」という資料があるかと思いますけれども、能登半島地震から1ヶ月が経過したわけですけれども、引き続き「チームながの」で市町村、関係の皆さまと一緒に支援活動を行っていきたいと思っています。先日、キッチンカーの派遣をしましたが、ご協力いただいている事業者の皆さまには、改めて感謝を申し上げます。今後、ボランティアの受け入れが活発化してくると思いますけれども、これまで県社会福祉協議会が協定団体等と連携して、避難所の運営支援や福祉関係者による入浴支援をはじめとしたさまざまな支援を行ってきています。石川県においては、一般の災害ボランティアは事前登録制という形になっていますので、ボランティアをされようという方については、ぜひ積極的に登録して応援いただければありがたいと思っています。また、こうした一般のボランティアだけではなくて、被災地に多様なニーズがあります。一定のスキルや技能、資格等がある団体やグループの方々で被災地でのボランティア活動をお考えの場合には、ぜひ長野県の社会福祉協議会にご相談いただければと思っています。現地で活動中の団体等と連携していますので、社会福祉協議会の方でマッチングしていただくことができると思っています。また、県としては、こうした団体グループの皆さまに対しては大規模災害ボランティア応援活動事業ということで、1団体20万円を上限に活動費の助成を行いますので、ぜひ積極的な支援を行っていただきたいと思います。こうしたことと併せて、部局長会議でも私の方から申し上げましたが、東日本大震災の際と同じように、さまざまな県内の皆さまと協力して被災地を支援しようということで、本日、能登半島地震復興支援県民本部を立ち上げました。これまでの支援本部を改組したものですけれども、われわれ行政が得意なもの、あるいは社会福祉協議会の皆さまが得意なもの、あるいはボランティアの皆さまでしかできないこと、さまざまありますので、多くの皆さまと共に被災地支援をしっかり行っていきたいと思います。息の長い支援が必要となっていきますので、ぜひ多くの皆さまには義援金やボランティア、さまざまな形で協力いただければありがたいと思っています。

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4 少子化・人口減少対策戦略方針案について

長野県知事 阿部守一
 それから、早口で申し訳ないですが、4点目は少子化・人口減少対策戦略方針案です。昨年の8月に少子化・人口減少対策戦略検討会議を立ち上げて議論を行ってきました。本日、案を公表したわけですけれども、「緩和」と「適応」、両面で対応していきたいと思っています。今後、女性・若者、産業界等とも意見交換を行った上で、先ほど申し上げたように秋頃を目途に少子化・人口減少対策戦略として取りまとめていきたいと思いますので、ぜひ皆さまにはご協力いただければと思っています。大きく二つの目標があります。一つは人口減少のスピードを緩和しようということで、結婚・出産を含む女性・若者の希望実現の支援によって総人口を早期に定常化させること、もう一つは、人口減少社会への適用ということで、多様な人材の労働参加や労働生産性の向上、さらにはDX、国際化の推進等により、人口減少期でも豊かで活力ある経済社会を構築する、こうした大きな目標を掲げて取り組んでいきたいと思っています。多くの皆さまのご理解とご支援をお願いしたいと思います。

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5 組織風土改革「かえるプロジェクト」の最終報告について

長野県知事 阿部守一
 最後、「かえるプロジェクト」についてです。先ほど来、申し上げているように、本日「かえるプロジェクト」のメンバーからの最終報告を頂いたところです。「集団皿回し」と称されるように、目の前の仕事に追いまくられて、なかなか自分のスキルアップをするような余裕がなかったとか、お互い協力し合う余裕がなかったりとか、いろいろな課題が出てきています。こうした課題を県職員と一緒に改善していきたいと考えています。きょうはタスクフォースからご提案を頂きましたので、今度は、われわれ提案を受けた幹部職員なり組織として、どう対応するかという答えを返して、そして、これからもより多くの県職員が一緒になって行動していただけるように取り組みを進めていきたいと思っています。何よりも職員の皆さんが情熱を持ちながら県の仕事に向き合っていただくことが大変重要だと思っていますので、私がやらなければいけないこと、私の立場で取り組むべきことは責任を持って進めていきたいと思っています。予算で反映した部分については資料でお付けしていますので、またご覧いただければと思っています。私からは以上です。よろしくお願いします。

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取材者からの質問

 1 少子化・人口減少対策について(1)

信濃毎日新聞 野口 氏
 まず1点目ですが、きょうは内容がてんこ盛りで知事もおそらく少し駆け足だったかと思うのですが、今の人口減少というのはこれまでも続いていて、なぜ今なのかというところについてどのように考えているかというのをもう少し突っ込んでお伺いしたいなと思います。2030年というのは一つのタイムリミットというような意見もありますけれども、これから1年1年が非常に重要になるかと思います。そのへんについて、知事の問題意識というのをもう少し聞かせていただいてもよろしいでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 これまでも地方創生と称して、まち・ひと・しごと(創生総合)戦略等、人口の問題については目を向けた取り組みが行われてきています。しかしながら、合計特殊出生率が一向に上向いていかない、その反面、例えば経済面ではあらゆる業種で人材が足りていないといったような、将来的な危機ではなくて、現実の危機として、もうマイナスの影響が表れてしまっていると。なおかつ、先ほどの戦略方針案を見ていただくとお分かりになるように、長野県の合計特殊出生率は改善はしていませんけれども、どんどん悪化していってるわけでも必ずしもない中で、生まれてくる子どもの数はどんどん減り続けています。なぜかと言えば、だんだん女性の数が減っているので、同じ合計特殊出生率が維持されたとしても、女性の数が減れば、出生数は当然減ってきてしまうと。負のスパイラルに入ってしまいますので、2030年までがラストチャンスというのは、減り続ける状況を反転させるきっかけが出てこないとエンドレスで悪循環になってしまうということです。そういう意味では、新しい総合計画の中でも人口の問題はしっかり焦点を当てて取り組んでいこうという方向を出しましたし、先ほど新時代創造プロジェクトに即してお話をしましたが、いずれも人口減少の緩和と適応に関わる問題ですので、「しあわせ信州創造プラン3.0」を最初に本格化する予算としては、やはりこの人口問題にしっかり焦点を当てて取り組もうということで検討し、打ち出したところです。

信濃毎日新聞 野口 氏
 そういった中で子育て支援プラン、すみません、正式名称ではないかもしれないですが、今回打ち出しまして保育料であるとか、医療費の関係についてかなり踏み込んだ対策をなさいました。これについてですが、基本的にこれまで知事のスタンスとしていろいろな施策を考える時に、県民に意見を聞いて、そして実際どうだったかというような話を聞いて磨き上げるというのは、基本的にはそういう姿勢をこれまでなさってきたかと思うのですが、今回の策というのは、基本的に県と受ける人と距離が少しあるというか、すみません、うまく言えないのですが、基本的に半額になって、そういう利益を受けて、それをなかなかフィードバックする場面が直接的な施策でないので、なかなか得にくいかなと思います。こういった政策を今後磨き上げていく上で知事はどういうふうに、今この施策を出してすぐということで恐縮ではあるのですが、磨き上げていくために県民の意見を聞いたりだとか、県民と一緒に作り上げてブラッシュアップしていくみたいなそういう考えは現時点でございますか。いかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 もちろんあります。というか、先ほど申し上げたように今回戦略方針案という形でお示ししていますけれども、今後、秋に向けてはもっと具体的な政策にしていきたいと思っています。そういうプロセスにおいては女性・若者といった当事者の皆さまとか、経済団体をはじめいろいろな団体の皆さまとかとしっかり意見交換しながら進めていきたいと思いますし、かつ、この戦略なりの実行フェーズにおいても行政だけでは十分ではないと思っています。子育てしやすい環境をつくるのはわれわれ行政だけの役割と責任ではなくて、例えば各職場やいろいろなところで子どもたちや子育て世帯を応援してもらわなければいけませんし、若い人たちの経済的負担の軽減は、われわれ行政が財政的に取り組むべきこともありますけれども、きょうも昼にお願いをしてきましたけれども、経済界、経営者の皆さまにも、ぜひ若い世代の給料が上がるようにご検討いただきたいと思っています。そういう意味で、これからの戦略の取りまとめのフェーズでもいろいろな方と意見交換していきますし、実行フェーズはむしろ、いろいろな皆さまと一緒に取り組んでいきたいと思っています。

信濃毎日新聞 野口 氏
 最後にいたしますが、今回、公共交通の対策もいろいろと挙がっていますが、基本的には生活の足の確保であるとかそういう側面が強かったのかなと思います。一方で、今、インバウンドの需要が回復しつつある中で、二次交通という側面での公共交通としての役割もあるかなと思いますが、資料の中に全く触れていないわけではないのですが、どちらかというと生活に密着した側の視点が強かったかなと思います。知事といたしますと、来年度予算で、インバウンドに向けた交通整備、公共交通についてはどのように考えていらっしゃるかをお伺いいたします。

長野県知事 阿部守一
 資料26ページに「県内移動の利便性向上」の目指す方向性を書いているわけですけれども、県の問題意識は、その右側にあるように県内移動を何となく応援することではなくて、しっかりターゲットを決めて考えていこうということで、保障すべき移動を三つ書いています。通院、通学、観光、この他のニーズもありますけれども、焦点を絞らないと何をやればいいか決まってきませんので、県はやはり通院の利便性向上、通学、高校再編等も行う中で、公共交通を利用して高校に通学できるようにしていくこと、それから今ご指摘いただいた観光客、特に海外からいらっしゃるような方は公共交通でいらっしゃる方が多いので、そうした三つの皆さまを特に対象として、支援の在り方、公共交通の充実の在り方を考えていこうと思っています。そういう意味で、次のページにある利便性向上のところも、インバウンドという言葉は必ずしも出ていないかもしれないですけれども、意識しているところです。例えば、日本版ライドシェアみたいな部分は海外からいらっしゃる方たちを視野に入れれば、こうしたことをしっかり進めていかなければいけないと思っています。また、キャッシュレス化の推進も、インバウンドのお客さまからすると非常に今は不便な状況になっています。そういう意味で利便性向上策の中でも、インバウンドの皆さまを意識しています。
それと今、観光振興財源の検討をしていますけれども、観光振興財源を何に使うかということも含めて検討中ではありますが、私としては、やはりこの移動の部分についても一定程度充実していくことを抜きには世界水準の山岳高原観光地にはなり得ないのではないかと思っていますので、今後そうした観点も持ちながら検討していきたいと思っています。以上です。

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2 令和6年度当初予算案について(1)

市民タイムス 萩原 氏
 2点伺います。まず、予算の関係です。先ほど予算編成で厳しい財政状況は継続しているというご発言もありましたけれども、今回の予算編成に当たってそういった厳しさのある中、改めて工夫したという部分と、あと、中期財政試算を見ますと、やはり今回、1回、財源不足額が減ったものの、来年以降はまた膨らんでしまって、令和10年には収支差で216億、財源不足166億という、見通しはあまり芳しくない部分があると思うのですけれども、今回の編成で工夫したことを、また今後に向けてのやりくり等々、お金のやりくりの部分でお伺いできればと思います。

長野県知事 阿部守一
 先ほど私、長くなって申し訳なかったですけど、新時代創造プロジェクトに即してずっと予算の説明をさせてもらいました。相当めりはりをつけたと思っています。今、説明したこと以外はやらないというわけでは必ずしもありませんけれども、かなり強く意識して予算を重点的に配分しようと考えた分野は先ほど申し上げたような分野ですので、これまでにも増してめりはりをつけたと思っています。その一方で、財政状況は厳しい状況ですので、資料の11ページの下のところに書いたように、行政財政改革実行本部という組織を本格的に生かして、全庁を挙げて財政改革に本格的に取り組んでいきたいと思っています。そこに書いてあるように徹底した事務・事業の見直し、投資的経費の重点化、社会保障関係費の適正化、さらには業務の集約とかデジタル化・効率化、新たな財源確保、こうしたことを新年度早々から、何とか予算のタイミングによっこらしょと議論するのではなくて、新年度早々からこうした議論を行って、よりめりはりのある、いろいろな分野でニーズはあるのですけれども、優先順位をしっかりとつけた上での予算になるように取り組んでいきたいと思っています。

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3 能登半島地震復興支援県民本部の設置について

市民タイムス 萩原 氏
 全く別件で、復興支援県民本部の関係で伺わせていただきます。この組織体制のところで必要に応じて柔軟に構成員が加入できる組織とするとありますけれども、例えばここの構成員、今ここに出てくる団体というと、やはりきちっとした組織というか、組織として活動されている方々だと思うのですけれども、こういうのができたと聞いて、例えばもっと小さい町内会とか学校とかサークルとかでわれわれも何かやりたいという人がいた場合は受け入れるのか。それともまた、そういった別の組織とかを紹介するのか、そこらへんも伺えればと。

長野県知事 阿部守一
 あまり形式ばった人というか、行政がいつも付き合ってる方たちだけでやることが必ずしも望ましいとは思っていませんが、その反面、県の本部ですので、単位が狭い小さな皆さまがたくさん入ってもなかなかうまくいかないだろうと思います。そういう部分は、例えば市町村経由であったり、県社会福祉協議会経由であったり、そういうところで問題意識の共有を図らせていただいた方が円滑に動けるのではないかと思います。そういう意味で、基本的には全県で活動されているような、全県レベルで活動されているような皆さまが中心にならざるを得ないとは思っています。かといって、いろいろな方たちの参加を拒むということはありません。実際これからいろいろと動くに当たっては、例えば、東日本大震災の時は被災地の子どもたちをサマーキャンプで受け入れたりというようなこともやりました。そういうことを考えれば、そういうことを実行されている皆さまの代表者に入っていただくというようなこともあり得ると思いますので、何というか、一番は体制をつくることで、被災地であったり、被災者のニーズにわれわれオール信州で的確に対応していくことでありますので、そういう観点で必要な方に入っていただくという形になると思います。

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4 令和6年度当初予算案について(2)

読売新聞 浅川 氏
 まず、1点伺いたいのですけど、先ほど非常にめりはりをつけて重点配分した予算だと伺いまして、その中に非常に未来志向だなといいますか、空モビリティですとか、次世代エネルギーとして注目される水素ですとか、そういったところにも予算措置されているなと思いました。これは非常にぱっと見、一素人から見ると面白いなと思う反面、まだ少し、海のものとも山のものともわからない、言ってみればリスキーなことかなと思いまして、ある意味県の行政としてこういったところにお金を投下するということについて果たしてどうなんだろうという声もあるのではないかなという気もいたしまして、めりはりというような意味合いの中で、こうした未来志向のところに重点的に投下する意味合いですとか、どのようなことを見越していらっしゃるのか、その辺りを伺えればと思います。

長野県知事 阿部守一
 まず、空モビリティは、既に関係者と協議会を作らせていただいていますし、例えば伊那市などではかなり進んだ実証実験も行われてきています。加えて、能登半島地震のことを考えれば、孤立集落に対する支援をどうするかというときにも、ドローンの活用というのは非常に重要な課題だと思っています。そういう意味で、もうかなり具体的な取り組みが進んでいる中で、県としても空モビリティ、今、一歩踏み出そうと今回予算化をしているところですので、何というか、海の物とも山の物ともつかないものに進んでいくという感覚ではないと思っています。それからもう一つ、水素についても、この間、産業イノベーション推進本部を開催して、産業界の皆さまと信州大学の方にもご参加いただいていろいろと議論してきているわけですけれども、一つは、もう既に水素分野に長野県の企業はだいぶ参加しています。水素関連の装置を作るというところで、長野県のものづくり産業は既にかなり具体的な事業を行ってきていますし、信州大学では今度、アクア・リジェネレーション、水の活用ということで、人工光合成で水素を作り出そうというところもかなり本格的な研究を進めていかれようとされています。水素の分野においても、大学等における研究面であったり、あるいは県内企業の実際の取り組みにおいても、もう具体的に水素関連産業に参入されていらっしゃる企業もありますので、水素の部分についても長野県がこれからものづくり県として発展していく上でも、それからもう一つは環境に優しいCO2排出を抑制する県になっていく上でも重要だと思っていますので、これも何のとっかかりもなく進めていこうというものではありません。ぜひこうした土台をもとにさらに発展させていきたいと思っています。

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5 県議会2月定例会に提出する条例案について

長野放送(NBS) 宮入 氏
 条例案の中で、子どもの混浴年齢の引き下げの条例案があるかと思うのですが、このタイミングで条例化を目指すということで、他県の状況なんかも参考にされた部分があったのか、条例化への狙いみたいなところを改めてお伺いしたいと思います。

長野県知事 阿部守一
 私としてはもっと早く県として対応・検討する必要があったのではないかと思いますけれども、もう世の中の動きがそういう方向になっているので、県としても条例改正してしっかり対応していかなければいけないと思っています。ただ、私としては、こうした取り組みについては改正する・しないはともかくとして、もっと世の中に問題提起しながら、県としてどういう方向性にしていくべきだということを早め早めに対応していくことが必要だと思っていますので、今回若干ほかの県に遅れてはいますけれども、提案し、改正していきたいと思っています。

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6 少子化・人口減少対策について(2)

中日新聞 清水 氏
 先ほど、知事にご説明いただいたとおり、今回、人口減少対策の一環として子育て世帯の負担軽減策として多くの予算を配分されたかと思うのですが、人口減少とか子育て施策は言ってしまえばどこの自治体も同じ課題を抱えていて、長野県は若者と女性がかなり流出してしまっているという話もありましたが、他の自治体と同じようなものではなかなか選ばれる県にはなり得ないかなと思うのですけど、今回長野県としていろいろ施策を並べていただきましたが、特にこういうところが独自色を出せたかなというような知事のお考えを伺えたらなと思います。

長野県知事 阿部守一
 冒頭述べた部分は、人口減少対策でいろいろと取り組むべきことはありますけれども、今回一番力を入れたのは、子育て世帯、子育て家庭の経済的負担の軽減のところです。予算的にもかなりいろいろ議論を繰り返し繰り返し行った結果として、ここに重点的に配分しようということで取り組んでいます。そういう意味では、保育料の軽減であったり、医療費助成の拡充であったり、あるいは特に市町村に交付金を県として新たに創設して交付をする、子ども・子育て応援市町村交付金、こうしたものは県としての特色がある取り組みだと思っています。引き続きこの部分の充実については検討して、さらにより手厚い支援を行えるようにしていきたいと思っています。

中日新聞 清水 氏
 経済負担を軽減するというところに力を入れたとおっしゃっていただいたのですが、今このタイミングでそこに特に力を注いだ背景は、物価高ですとかそんな時代背景とか何かあるのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 結婚しない理由だけではなくて、子どもを持ちたくても持たない理由の大きな要因の一つは、やはり経済的な問題だと思っています。子育て世代の方々とお話をさせていただいても、先ほどの例えば3歳未満児の保育料のところは、ご意見をかなり頂いてきたところですので、今回、しっかり踏み込んで、多子世帯とそれから低所得の皆さまへの支援を、市町村と共にしっかりと充実させていただくという形にしました。このタイミングでというのは、やはり人口減少問題が大きなテーマになり、そして長野県としても、何とかここで少子化の傾向を反転させていきたいと思っています。やはり若い世代や子育て世帯が本当に応援してもらえていると思ってもらえないと意味がないと思っていますので、今回そこの部分にまずは集中的に予算を振り向けて対応していくという形にしました。

信濃毎日新聞 実延 氏
 質問が関連するのですけど、少子化・人口減少対策、特に子育て支援を手厚く展開された新年度予算でしたが、改めて新年度予算はどんな意義があるとお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 意義というか、予算だけでなかなか意義という感じでは出しにくいところがありますけれども、私の思いとしては、やはり人口減少問題に光を当てて、多くの県民の皆さまと共に、若い世代や女性をしっかり応援していきたい、そういうメッセージにしていけるような予算にしたかったというのが一つあります。もう一つは、一昨年の私の選挙公約の中でも、今までの当たり前を変えましょうと、当たり前が当たり前になっていないのではないかということを書いていますけれども、やはりDXにしてもGXにしても、新しい時代に対してちゃんと挑戦していかなければいけないと思っています。そういう中で教育の問題についても、ずっとこの間、いろいろな皆さまと議論させてきていただいていますけれども、やはりフリースクール認証制度と併せて、いよいよ学校の本体についても、一人ひとりの学び、一人ひとりに合った学びが実現できるようなものにしっかり変えていこうという方向性を今回、教育委員会ともしっかり共有できていますので、教育だったり、脱炭素であったり、DXだったり、こうした新たに取り組むべきものについて、しっかりとした方向性を打ち出すことができたのではないかと思っています。

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7 令和6年度当初予算案について(3)

信濃毎日新聞 実延 氏
 あと、県財政をめぐっては、県税収入が歳入の4分の1に満たず、地方交付税などに頼る脆弱(ぜいじゃく)な構造が続いています。人口減少による税収減でさらに悪化する懸念もある中で、先ほど財政改革にも本格的に取り組むとのご説明がございましたが、手厚い子育て支援、今回の目玉として打ち出す一方で、今後、健全財政とのバランスというのはどのように取るお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 まさに先ほど申し上げたことと重なるわけですけれども、やはり一つは事務・事業を徹底的に見直さなければいけないと思っています。きょうも「かえプロ」のメンバーからの提案にもありましたが、例えが悪いかもしれないですけれども、私は長野県という会社の社長であると同時に、もう一つは日本政府の支店長みたいな役割を担っていて、国が法律を作ったり、補助金を作ったりして、その執行にかなりの力を入れています。これまで全国知事会からも、例えば計画行政については何でもかんでも法律を作って計画を作ってそれに対して補助金を出すみたいなパターンではなくて、もう既存の計画は県であれば例えば総合計画とかあるので、そんなに毎回毎回、計画を作らなくてもいいだろうとかという提案もさせていただき、政府も一定程度そういうのは受け入れてもらってきていますけれども、本格的に変えていくとなれば、やはり地方分権とか地方自治の充実の議論は多分避けて通れないなと。これはなかなか事務的にはやれない議論なので、私は今、全国知事会の国民運動本部長をさせていただいていますので、そういう中でもう少し国民世論を、やはり地方自治の意義とか地方分権の重要性とか、そういうところに持っていくことができるように取り組んでいきたいと思いますし、そういうことが結果としてより効率的な行政執行につながると私は確信しています。
 どうもありがとうございました。

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