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更新日:2024年1月23日

知事会見(令和5年(2023年)12月28日(木曜日)15時01分~15時57分 会場:県庁)

項目

阿部知事からの説明

  1. 全国高校駅伝について
  2. 長野県における少子化・人口減少の状況について

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取材者からの質問

  1. 長野県における少子化・人口減少の状況について
  2. 普天間飛行場移設問題について(1)
  3. 女性・若者から選ばれる県づくりについて
  4. 指定障害児通所支援事業者に対する⾏政処分について
  5. 市町村合併について
  6. 物流2024年問題について
  7. 白馬村北城で発生した土砂災害について
  8. 政治資金問題について/普天間飛行場移設問題について(2)
  9. 今年の総括と来年の展望について

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本文

阿部知事からの説明

 1 全国高校駅伝について

長野県知事 阿部守一
 今年最後の会見になります。メディアの皆さま、県民の皆さまには、今年1年間大変お世話になりましてありがとうございました。
 きょう、私からは2点お話を申し上げたいと思います。まず1点目は、全国高等学校駅伝競技大会についてです。既に皆さまご承知の通り、(今月)24日に京都市で開催されました全国高校駅伝大会において、男子、佐久長聖高校が優勝、そして女子の長野東高校も5位入賞という大変素晴らしい成績を収められました。選手の皆さまはもとより、監督やコーチ、関係の皆さますべてにお祝いを申し上げたいと思います。佐久長聖高校においては高校最高記録、大会記録を塗り替える非常に素晴らしい成績でした。長野東高校も、前回の優勝校というプレッシャーを抱える中ではありますが、公立の高等学校としては、今大会で男女合わせて唯一入賞を果たした公立高校ということで、大変誇らしく思っています。「駅伝王国長野」と言われることも多いわけですので、ぜひこうした駅伝の強みを長野県がもっともっと伸ばせるようにしていきたいと思います。また、高校生、あるいは中学生はじめ、いろいろな子どもたちが身近なところでスポーツを楽しめる、国民スポーツ大会も控えていますので、そうした環境づくりにもますます力を入れていきたいと思っています。来月は、全国都道府県対抗駅伝大会が開催されます。女子は京都市、男子は広島市で開催されます。佐久長聖高校、長野東高校の生徒も出場されると伺っていますが、参加される選手の皆さまには、長野県の代表としてぜひ活躍していただきたいと思っています。

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2 長野県における少子化・人口減少の状況について

長野県知事 阿部守一
 
それから2点目ですけれども、皆さまのところに「長野県の人口と世帯数推計結果」(会見資料1)という資料をお配りしているかと思います。この資料は毎月、定例的に事務的に発表していますけれども、きょうは私の方からの発表とさせていただきました。その趣旨は、人口をご覧いただくとお分かりになりますように、12月1日現在の人口200万1512人です。今、人口減少が続いている状況ですので、来年の1月1日現在、あるいは2月1日現在、いずれかの段階で、長野県の人口が200万人を下回る形になると思います。200万人を下回るのは、昭和48年、1973年以来で、実に50年ぶりの状況になります。長野県も今、人口減少・少子化の問題に取り組んでいますし、今年策定した新しい総合5か年計画の中においては、「女性・若者から選ばれる県づくり」を新時代創造プロジェクトのいの一番に掲げ、取り組みを進めているわけですけれども、人口減少に歯止めをかける、あるいは女性や若者から選ばれる県をつくる上では、われわれ長野県として、あるいは市町村の皆さまとも協力して、行政としてもしっかりと責任を持って対応していきますけれども、県民の皆さまのご理解とご協力も不可欠です。そういう意味で、きょうは併せて、婚姻数と出生数のデータ(会見資料2)もお配りしています。現状認識を県民の皆さまと共有し、ぜひ危機感を共有しながら取り組んでいきたいと思っています。ご覧いただいていますように、一番下の今年はまだ通年の数字ではないので誤解のないようにご覧いただければと思いますが、婚姻数については10月分まで、出生数については11月分までの数字が入っています。ご覧いただいてお分かりになりますように、長野県の人口のピークが2001年でした。2000年、2001年辺りが最も長野県の人口が多かった時ですが、婚姻数についても2000年が1万3405組で、非常に多くの方々がご結婚をされていらっしゃいましたが、昨年は7288組と、今年はまだ中間段階の数字でありますが、前年同月の比較で93.8(パーセント)という状況になっていますので、このペースで行くと7000組を割り込んでくる恐れがあります。非常に婚姻件数が激減してきた、激減してきていると。それからもう一つ、出生数ですけれども、こちらもご覧いただいていますように、昨年1万2274人のお子さんが誕生しましたが、(今年は)11月までの数字で、1万409名、前年同期比で91.5パーセントで、こちらも引き続き減少基調です。1万1000人レベルの状況になるのではないかと思っています。このように人口が200万人を割ってくる、総人口の推移というのは、長野県の人口が200万人で1パーセント、2パーセントというような水準ではありますけれども、しかしながら、例えば出生数とか婚姻数を2000年レベルと比べると、もう明らかに激減してきているということがお分かりいただけるものと思っています。
 また、22日に国立社会保障・人口問題研究所が将来推計人口を発表されています。それによると、長野県の2050年の推計人口は158万人台という状況です。2022年比で22.8パーセント減です。非常にこれからも急激に人口が減少していく予測になっている状況です。ただ、長野県の国立社会保障・人口問題研究所の推計人口は、前回2018年に推計がされていますが、その時に比べると上方修正されています。2045年の人口推計が前回161万人台でしたけれども、今回は約166万人で、前回5年前の推計に比べるとやや上方修正されているということですので、そういう意味では、今回の推計人口も、長野県もしあわせ信州創造プランでいろいろな対策を講じて人口減少率を少なくして人口減少に歯止めをかけていく方針を出していますが、いろいろな政策努力であったり、県民の皆さまのいろいろな意味でのご協力があれば、推計通りという形ではなくて、社会的には望ましいような方向に持っていくことも可能だと思っています。
 データの話ばかりいろいろとして申し訳ないですけれども、内閣府が未婚の男女比というデータを昨日発表されています。「地域の経済2023」という、人手不足の関係で、経済財政分析担当の内閣府の政策統括官のところから発表されているデータです。それを見ると未婚者の男女比率が非常に都道府県によって差が大きくなっています。30歳から34歳までの年齢層で見ると、女性1人に対しての男性の比率が福岡県が1.12という状況ですし、この比が最も大きい福島県が1.65という状況で、長野県はその中で1.52という状況です。この差が大きい方から13番目という状況になっています。男女の人口バランスが、特に若い世代の男女の人口バランス、未婚の男女の人口バランスが大きく崩れているというのが、一ついろいろな意味での課題の元であり、また、課題の結果でもあると思っています。例えば、結婚したくてもできない若い人たちがいらっしゃいます。県もいろいろな形で結婚支援や出会いの場づくりを行ってきていますけれども、やはり男女比が非常に大きく異なっている、男女の数が大きく異なっているというのは、こうした政策を進めていく上での課題でもあると思っています。それから、内閣府の分析からもいろいろなことが読み取れるかと思いますけれども、要は東京圏へ地方から女性が流出し続けていると言われています。どうして移動しているのかというアンケートを内閣府で取られているようですけれども、男女共通しているのは、進学、あるいは就職したい先があった、選択肢が多かったということで、高等教育機関をもっともっと地方に分散してもらわなければいけないという県からも常に求めていることにも通じるわけですが、女性については、大都市は他人の干渉が少ない、それから娯楽や生活インフラが充実している、あるいは多様な価値観が受け入れられるといったような理由を挙げる方が、男性よりも多くなっているという状況です。また、地元の集まりでお茶入れや準備などは女性がしていた、地元では世間体を大事にする人が多かったということを感じていた女性の割合が高いと。あるいは地元で就職した女性は結婚・出産で仕事を辞めることが多かった、といったようなことがアンケートでいわれているわけです。そういう意味では、働く場づくり、あるいは学ぶ場づくり、こうしたことをわれわれ行政も問題意識を持ってしっかり取り組んでいかなければいけないと思う反面、こうした男女の固定的な役割分担意識、こうしたものを変えていかないと、女性の流出にはなかなか歯止めがかけづらいと思っています。そうしたことを考えると、こうした問題をぜひ県民の皆さまともしっかりと共有しながら、人口減少、そして少子化という課題に立ち向かっていかなければいけないと思っています。女性や若者から選ばれる県づくりということを総合計画で掲げさせていただいています。県が掲げている問題意識や方向性は、こうした結果から見ても、ある意味正しいものと思っています。きょうはもう年の暮れですので、来年は女性・若者から選ばれる県づくりに向けて、今年以上に予算の重点的な配分も含めてしっかりと取り組んで行きたいと思っています。どうか県民の皆さまには、この人口減少の問題、若い人たちが将来に向けて希望を持ちづらい世の中になっているということだけではなくて、やはり社会全体の活力が低下してしまう要因にもなりますし、今、各企業で深刻化している人材不足の問題にも直結している課題ですので、すべての県民の皆さまと共に、来年はこの問題により踏み込んで取り組む年にしていきたいと思っています。私からは以上です。よろしくお願いします。

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取材者からの質問

 1 長野県における少子化・人口減少の状況について

日本放送協会(NHK) 谷古宇 氏
 お話にあった人口減少についてお伺いしたいです。先ほどの話の中では社会的に望ましい方向に持っていくとかという話もあったかと思うのですが、阿部知事の考える人口の適正な数値とかというのはないかもしれないのですが、より減少を緩やかにするとか、どういったところが一つ目標になるのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 もう子どもの数が既に急激に減少してしまっていますし、先ほど申し上げたように若い世代の人口も、20年前と比べれば激減という状況ですので、直ちに、例えば子どもの数、合計特殊出生率が2倍を超えてくるというような形になったとしても、当面は人口減少は避けられないと思っています。できるだけ急激な人口減少にならないように、しかも、何というか、個人の生き方とかライフスタイルを強制するということはあり得ない話ですから、結婚願望があるけれどもなかなか結婚をしにくい若者たち、あるいは、お子さんを本当は二子、三子を産もうと思っても、例えば仕事との両立の問題であったり、経済的負担の問題であったり、こうしたことでちゅうちょされているような方々が社会経済的な問題でちゅうちょされることがないよう、あるいは少なくなるように取り組んでいくことがわれわれ行政の役割だと思いますし、そういう意味では、結果として人口減少のスピードが緩和され、そしてできるだけ早く人口水準が横ばい、定常化していくことを目指していきたいと思っています。

市民タイムス 萩原 氏
 今の人口減少の関係で、最後に来年はより踏み込んで取り組むとおっしゃいましたが、今は新年度予算編成のピークというか、行われていますが、新年度当初予算で、今言える範囲で、目玉でこんなことをやるぞというのがもしあれば。

長野県知事 阿部守一
 今、併せてこうだって申し上げられればいいのですが、ご質問にもあったように、今まさに予算編成を検討中です。ただ、人口減少・少子化の問題については、県も戦略検討会議を設けていますし、県議会でも特別委員会を設けていろいろな角度から議論をしていますので、その結果を踏まえて、私としては思い切った方向を出せるように取り組んでいきたいと思っています。

市民タイムス 萩原 氏
 今おっしゃったことは、もう当初予算からどんどん反映させていくというイメージですか。

長野県知事 阿部守一
 そうですね。もうこの問題は待ったなしでありますので、来年度当初予算においてもしっかり対応の方向性をお示していきたいと思います。

信濃毎日新聞 出澤 氏
 先ほどの人口減のお話で関連してですけれども、多分200万人を下回るというのがもう秒読みの状態という中で、財政への影響、あと行財政の部分だったり、県行政への影響というところで、知事としてどういうふうに影響が出てくるのか、お考えをお伺いできれば。

長野県知事 阿部守一
 一つは人口が減って、例えば就業人口が減ってくるということになってくれば、納税者数、税収が減っていくという形になってくると思います。人口でも、子どもの数が減って長寿になっている中で、高齢者の人口が増えていく中で一定程度、社会保障経費も今も増加基調ですが、今後も当面増加基調が続くだろうと思っています。ただ、これは一定程度のピークを過ぎてくると、今度はさらに全体が縮小する局面に入るので、逆に一人一人に必要となる予算、社会保障関係経費もピークアウトしてくるという形にもなったりしますので、財政への影響というのは、局面局面によってだいぶ違ってくると思います。今は人口増加の局面だったのが人口減少の局面に、長野県の場合は2001年以降突入して、そして今は急激に婚姻数とか子どもの数が減っている局面になっていますので、財政支出の側は子どもに要する経費のところは減ってきています。ただ、高齢者に要する経費のところは増えてきている中で、全体としては一定程度経費が増加している状況です。そういう中で、今、年々財政状況が厳しいと言っているわけですが、高齢者の数が、例えば75歳以上の高齢者がピークアウトしてくるような局面になると、また財政的には違う局面になってくると思います。

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2 普天間飛行場移設問題について(1)

信濃毎日新聞 出澤 氏
 あと、別件ですけれども、沖縄県の普天間(基地)の辺野古移設の関係で、一応国としては、きょう、代執行の承認の手続きを行うと発表しているのですけれども、知事として、基本的には国と地方の関係というのは、地方分権一括法で対等、協力と変わっていった中にもかかわらず、一連の基地をめぐる関係では沖縄の訴えがことごとく退けられているという状況について、どういうふうに受け止めていらっしゃるのかというところと、特に長野県は今年、沖縄県との交流連携協定というのを結ばれたという中で、子どもたちの交流であったりとか、平和学習も含めて進めていこうというお立場だと思うのですけれども、その辺りも含めて、今後沖縄県との交流についてというところも含めて、お考えをお伺いできればなと思います。

長野県知事 阿部守一
 まず、沖縄基地問題について私がここでコメントをするのは、非常に軽々に扱える問題ではないと思いますが、国と地方公共団体の関係の一般論で申し上げれば、先日も地方制度調査会で災害時等は国が指示権を持つと、そういう方向性も出されてきています。もとより、分野とか状況にもよるとは思いますけれども、国と地方の関係性の在り方というのは、やはり地方自治というものを、より強く意識してもらった上で制度設計をしてもらわなければいけないだろうと思っています。私も、何というか、国の制度、仕組みとか、あるいは制度、仕組みに至らなくても、何か国が事務連絡をよこして、こういうことをやってねと。そんなもの従わなくてもいいのではないかというふうに言っていることも多いです。国と地方は対等・協力の関係になっていますので、事務連絡で来るようなものは技術的助言の範囲だと思っていますから、地方として主体的に判断して、ただ単に中身もそしゃくせずに国から来たものを全部無視しろとか言っているわけではありませんけれども、本当に地方の立場から見て、国の事務連絡でいわれていることが実情に合わなければ、場合によったら、技術的助言としてだけ受け止めさせていただいて、県の意思で粛々と実行するとか、あるいは国の制度、仕組みがおかしければ、だんだん世の中が人口減少局面になってきて、昔の仕組みは私は実情に合わなくなってきているものも結構多いのではないかと思っています。県の方が、地域の実情や法令の実際の運用状況は国よりも分かっていなければいけない話ですので、そういうものについては、国に対しても提言、意見、苦情、そういうものをどんどん言っていく必要があると思いますし、職員にもいつもそう言っています。そう思っています。そういう意味で、沖縄県の個別の状況は、私も玉城知事とも何度もお会いしていますし、玉城知事も非常にいろいろ思い悩まれ、ご心痛があると思いますけれども、国と地方の一般的な関係性の在り方で申し上げれば、もっと地方の声というもの、現場の実情というものを国はしっかり受け止めてもらいたいことが多いと思っていますし、いろいろな制度を作るときにも、国にはわれわれ都道府県・市町村の考え方をぜひ十分聞き取った上で対応してもらいたいと思っています。

信濃毎日新聞 出澤 氏
 交流連携協定の方は、これからも交流といいますか、長野県と沖縄県との関わりの中でというところではいかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 この間も長野・沖縄交流促進機構の集まりがあって、沖縄県から沖縄経済同友会の渕辺代表幹事、あるいは、日本トランスオーシャン航空の富田会長をはじめ、沖縄の主要な経済界の皆さまにもお越しいただき、私も懇談させていただきました。今年は沖縄県と長野県とで連携交流協定を結ぶ、非常に画期的な年になったという思いで一致しましたし、来年度以降は、より友好交流を広げていきましょうという話もさせていただいています。チャーター便の就航をはじめ、いろいろと着実に具体的な事業も進めてくることができましたので、来年度以降、より一層こうした交流を深めていきたいと思っています。

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3 女性・若者から選ばれる県づくりについて

中日新聞 清水 氏
 先ほど、知事からもお話があった、女性・若者に選ばれる県づくり。今年1年間、知事も各所でいろいろな意見交換の場を開いたりですとか、いろいろと取り組んできていらっしゃったかと思います。一朝一夕で何かが変わるというようなものではないかとは思うのですけれども、今年1年間の取り組みの手応えといいますか、こんなことが分かったですとか、手応えを教えていただけたらありがたいです。お願いします。

長野県知事 阿部守一
 私は女性・若者との対話だけではなくて、県民の皆さまとの対話集会をずっと回ってきましたので、会見でも申し上げたように、子育て・教育に関するご意見が県民全体としてもやはり非常に多いと感じています。そういう中で、特に子ども関係は、教育や子育てにお金がかかるという話はいろいろな場面でお伺いしてきましたし、教育の問題も、教育の中身の問題もさることながら、交通が不便だというような話も高校生の保護者の皆さまからは頂いてきました。若者とお話をさせていただく中では、先ほどまさにご紹介させていただいたように、例えば都会の方が居場所というか、ショッピングセンターみたいな感覚の居場所が多いというようなご意見であったり、いろいろな課題も聞かせていただきました。ただ、長野県の場合は、先ほど国立社会保障・人口問題研究所の人口推計で、前回よりも上方修正というかプラスの方向になっていると申し上げましたが、一定程度、長野県に移住をされてくる方も多いし、昨年は社会増になりました。今年もギリギリぐらいで(社会増に)なるのかなという、まだ分からないですけれども、一定程度、社会増減の方は多くの皆さまのご努力で頑張っている状況です。若い人たちと話をしても、長野県はやはり自然が豊かで、例えばスキーに行ったりするのはすぐ行けていいよねと。今、人口減のところではマイナス面ばかり申し上げてきますけれども、積極的に長野県に暮らしたいと、Iターンされる方とか、Uターンされる方もいらっしゃるということも事実でありますから、そういうプラスのことも、若い人たちからは、例えばコミュニティの強さとか、いろいろな人とつながっていろいろな活動がしやすいとか、そういうポジティブな意見もありましたので、ぜひ、弱みを克服して強みがさらに伸びるように取り組んでいきたいと思います。

中日新聞 清水 氏
 その手応えを踏まえて、来年以降、特にここに力を注ぎたいみたいなことがありましたらお願いします。

長野県知事 阿部守一
 一つはやはり、先ほど申し上げたようにわれわれ行政が直接的に考えるべきことは、子育て世帯の経済的負担の部分だと思っています。それからもう一つは、県も組織として率先してやらなければいけないですし、企業の皆さまにもお願いをしていかなければいけないのは、やはり長時間労働の是正をはじめとする、子育てと仕事の両立ができるような社会にしていくこと、この両面からの取り組みが子育て世帯を応援していく上では最も重要ではないかと思っています。

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4 指定障害児通所支援事業者に対する⾏政処分について

信濃毎日新聞 篠原 氏
 今の質問と関係ないのですけれども、きのう、障がい者支援課からレクがあって、各社がきょう報じている、指定取り消しをした障がい児の通所施設の関係で、知事の受け止め的なところで伺えればと思ってきょうは足を運ばせていただいたのですけれども、レク、報道のあった通り、障がい児の通所の児童福祉法が改正されて以降、指定取り消しは県内では初めてという状況で、それぞれ指定の段階から非常にある種、恣意(しい)的というか、意図的に不正をしていたということの県としての厳しいジャッジをしたと考えております。今後の対策についても、きのう、担当の課長さまから説明があって、この点すごく評価するべきポイントもあるのかなと感じております。知事として、この事案が発生したことについての改めての受け止めと、今後の対策を強化していくということへの知事としての評価、ここをまず改めて伺えればと思うのですけれども。

長野県知事 阿部守一
 まず、障がい児の通所支援事業は、障がいがある子どもたちをしっかりサポートしていく上では非常に重要な事業だと思っています。多くの事業所の皆さまは、一人ひとりの子どもに合った療育をしっかり行っていこうという姿勢でお取り組みいただいていると思っています。しかしながら、今回、指定を取り消させていただきました。行政としては、こうした事業に参入される皆さまが、しっかりと責任感を持って、守るべき基準やルールをしっかり守って対応していただくことが重要だと思っています。県としては指定申請がされた段階での審査をさらに厳格化していきたいと思っています。例えば、本来置くべき従事者がいなかったというようなことが今回の問題ですので、すべての従事者の就業承諾書等の提出を求めていきたいと思っています。また、管理者あるいは児童発達支援管理責任者を置く形になっていますが、予定者ご本人に事前にしっかり確認をしていくといったようなことで、このような事案が繰り返されることのないように取り組んでいきたいと思っています。

信濃毎日新聞 篠原 氏
 今、少し言及もありましたけれども、県内でも放課後等デイサービスを中心とした障がい児の通所の施設、去年22年の4月と23年の4月だけで、県内分だけで見ても30ぐらい増えています。いろいろと増加の背景は指摘されていると思うのですが、この増え方というか、保護者の方とか現場の保護者の方に聞いてみると、まだまだその地域に足りないんだという声も聞く一方で、知事もおっしゃっていたような良質なサービスを提供してたり、思いを持っている学校の関係者に聞いてみると、ある種不適切な事業者がボコボコ参入してきている、それによって特に発達障がいとされる子たちは、むしろそういう大人側の参入の増加によって、そういう子どもたちが一方で増えているのではないかという見方をする人も、県内の現場を回っていると両方聞こえてくるわけですけれども、知事としては、この放課後デイサービスを中心とした障がい児の通所サービスの県内の増え方、これは評価するべきか、ある種もっと抑制的になってもいいのではないかとか、知事としての評価、受け止めというのが、もし何かあれば一言伺えればと思うのですけれども。

長野県知事 阿部守一
 先ほども申し上げたように、やはり事業を適正に執行していただける方々が増えていくことは望ましいことだと思いますけれども、福祉事業は本来、サービス対象者の皆さまのためにあるわけで、そうした思いをしっかり持って、志を持ってもらった方々に事業を行ってもらいたいというのが私の願いです。とはいえ事業活動ですから、しっかり経営継続できなければいけないわけですけれども、私はこの問題は、悪意を持って、当初から人の確保ができないにも関わらず「確保できる」というのはもちろん言語道断だと思っています。ただ、例えば事業継続中に人員が途中で欠員になるとかいろいろなケースもこれから考えられると思いますので、そうした場合にどうしていくのかということは、県ももっとしっかり考えなければいけないと思っています。先ほどの人口減少の問題で、とにかくいろいろな事業、例えば、今、バスの運転手さんが足りないので路線を縮小したりという動きも顕在化しています。来年は「2024年問題」で運送業界も今まで通りの活動ができるのかどうかが非常に問われてきていますし、医療分野をはじめ、いろいろな分野で働き方改革をしていくことと、今までやれてきたことをこれからも継続できるかが、まさに大きく変わろうとしている段階です。そうした中では、特に福祉のサービスは、やはり一定の専門性を持った方々とか、本当に熱い思いを持った方々とか、そういう人たちがしっかり支え手にいていただかなければいけないわけですけれども、一方で、全体的に人手が足りない、あるいは例えば比較的、純粋な営利企業でガンガン稼ぐようなところに比べれば報酬水準が少ないとか、やはり構造的な問題も片方ではありますので、そういうこともしっかりと念頭に置きながら、県として行政として対応していくことが重要だと思っています。もちろん、悪意があったり、意図的にルールを破るということは、もう決して許されることはないと思っています。

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5 市町村合併について

共同通信 滝野瀬 氏
 先ほど、人口減と財政の話が出たと思うのですけれども、税収がこの先細っていくことを考えると、特に基礎自治体の運営というのが、よりダメージを受けていくのではないかなと考えられる中で、長野県は自治体がいっぱいあるということで、市町村合併というのも一つ選択肢としてはあるのではないかなという議論が出ると思うのですけど、知事のお考えというのはいかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 どんどん人口が減っていく中で、行政体制の在り方というものも常に問い直されなければいけないと思います。ただ、市町村合併そのものについては、市町村が主体的に、市町村というか、市町村行政だけではなくて市町村の住民の皆さまも含めて主体的に判断される必要があると思いますので、地域の皆さまがこれからどう考えていくのかにかかってくると思いますが、例えば県知事としての私の立場から申し上げれば、いろいろな形で市町村と県との関係性の在り方というものについては考えていく必要があると思っています。例えば、もっと県が市町村行政の補完をしていくというようなことも考えていく必要も出てくると思いますし、その一方で、市町村同士の垂直補完や機関の共同設置みたいなことも人口減少の中では検討するべき重要なテーマではないかと思います。現実問題、県の企業局も関わって水道の広域化という議論、各圏域ごとに少し実情が違うので一律ではありませんけれども、今まさに検討されて進めようとしているわけです。水道に限らず、いろいろな分野でそうした議論が今後とも必要になってくると思っています。

共同通信 滝野瀬 氏
 つまり、自治体の単位というところからもっと広域的に、形としては今のままでもできることがあるという考え方ということですか。

長野県知事 阿部守一
 市町村の廃置分合というか、市町村の合併とかを全く否定するつもりはありませんが、地域の主体的な判断だと思っています。まさに自分たちの地域をどうするかと。先ほど自治の話がありましたけど、自治的に考えるべき課題だと思っています。ただ、私は県知事ですので、例えば、すごく職員数が少なくて、事務をなかなか円滑に処理するのが難しいとか、あるいは専門的な知見がなかなか得られにくいといったような市町村は、県としてもしっかりサポートしていかなければいけないと思いますし、先ほどの水道の広域化みたいな広域化であったり、あるいはこの間も県と市町村の協議の場で、保健師については、市町村でいろいろと頑張ってもなかなか確保できないときは県から派遣するという方針も決めさせていただきましたので、あらゆる手段を使って、県と市町村で力を合わせて県民にとって最善の形を目指していきたいと思っています。

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6 物流2024年問題について

日本放送協会(NHK) 大場 氏
 先ほど出た、バスの「2024年問題」の関係でお伺いしたいです。最近もバスの路線の撤退ですとか、こういったことが相次いでいる中で、民間のものなのですけれども公共交通という意味で、かなり公共性の高い部分がバスだと思うのですけれども、こちらについて、県としての関与、これからどういうふうに関わっていかれたいかを教えてください。

長野県知事 阿部守一
 県としての関与を強めることだと思っています。今も地域ごとの協議会で、どういう形で事業者を支援するとか、どういう路線が重要か、いろいろと議論させていただいていますけれども、総合計画でも社会的共通資本という概念を取り入れて、市場原理に委ねるだけではいけないものはしっかりとサポートしなければいけないと思っています。公共交通は、まさに人口減少下の中でこのままだともう、どんどんどんどん縮小してしまう一方だと思います。その反面、地域で公共交通がないと生活できないお年寄りの数が増えたり、あるいは高校再編で高校の数が少なくなるので、高校生が通学できるような公共交通もしっかり維持しなければいけないと思います。また、長野県は観光県ですが、海外からお越しいただいたお客さまも含めて、観光客が自家用車がないと、あるいはレンタカーを借りないと主要な観光地に行けないということだと観光地としてやはり非常に問題だと思いますので、そういう意味では、公共交通については県としての関与はより強めるという方法で取り組んでいく必要があると思います。強権的に介入するというよりは、これまで以上にバス事業者やタクシー事業者の皆さまとは丁寧な意見交換をさせてきていただいていますので、そうした関係事業者、そして市町村も既にいろいろな取り組みされていますので、市町村の皆さまとも一緒に取り組んでいきたいと思っています。

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7 白馬村北城で発生した土砂災害について

日本放送協会(NHK) 谷古宇 氏
 先週、知事からもお話があってお伺いした白馬村の土砂災害の件で、その後、進捗といいますか、何かアップデートできる、されるところがあればお伺いできたらと思います。

長野県知事 阿部守一
 白馬村の土砂災害については、村とも意思疎通しながら、私も丸山村長とも直接お話をさせていただきながら、状況認識を共有しながら対応してきています。先日申し上げたように、仮設の水路工については年内の完了を目標に作業を進めているところです。また、先日、白馬村長から県に対して何点かご要請をいただいています。まず、復旧工法を早期に決定してもらいたいということについては、ワイヤーネットの設置を進めていきたいと思っています。白馬村の積雪、あるいは少し気候が暖かくなると融雪ということで災害のリスクがありますけれども、できるだけ早く、一定程度の安全性が確保できるようにワイヤーネットの設置をまずは進めていきたいと思っています。その後の工事や対策、対応については、村とも連携しながら地域の皆さまにも丁寧に説明しながら対応していきたいと思っています。それから、避難所の運営経費の支援という話がありましたが、これは特別交付税で対象となりますので、そうした対象になるように県として応援していきたいと思っています。それから、水路の機能確保ですけれども、国の農地・農業用施設災害復旧事業による対策工事を村の方で実施していただいています。来春の営農に支障が出ないように、早期復旧に向けて村を県として応援していきたいと思っています。また、土砂除去については、国の災害復旧事業による工事が可能だと考えていますので、こうした事業を活用できるように村を支援していきたいと思っています。引き続き、被災された方、そして避難指示を受けられている方がいらっしゃいますので、そうした皆さまの思いを村と共有しながら、対策、対応を進めていきたいと思っています。以上です。

日本放送協会(NHK) 谷古宇 氏
 1点確認ですが、仮設の水路はまだきょう時点で終わっていないですか。

長野県知事 阿部守一
 まだ終わってないです。もし何か担当課の方で補足があれば。

砂防課職員
 現在進行形で作業を進めています。まだ終わっていませんが、鋭意進めている状況です。

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8 政治資金問題について/普天間飛行場移設問題について(2)

信濃毎日新聞 出澤 氏
 きょうですけれども、国会の「政治とカネ」をめぐる問題で、自民党の柿沢議員が公職選挙法違反で逮捕されたということになっているのですけれども、これまでも自民党の政治資金パーティーのパーティー券をめぐる問題で、強制捜査等、非常に国の政治の在り方として問題になってきているところではあるのですが、この一連の問題についての知事の受け止めというところをお伺いできればというのと、あと、先ほども少し質問させてもらった、沖縄の基地問題の関係なのですけれども、交流連携協定の方で、知事として、事業をこれからも主体的に進めていきたいとおっしゃられたと思うのですが、平和学習といいますか、今回の基地をめぐる問題も含めて、沖縄県との平和的な学習との連携について、もう少しだけお考えをお伺いできればなというふうに思います。

長野県知事 阿部守一
 まず、国政における政治資金の問題については、まだ、何というか、私も報道等でいろいろと断片的に知り得ているだけですし、まだ捜査中でどういう結論になるのかが分からないので、今の段階で中途半端にコメントすることは難しいと思います。いずれにしても、政治にお金がかかるのではないかというところからいろいろと国民の不信感というものも出てきているわけですので、国民の皆さまの理解、信頼が得られるような、いろいろな制度の設計や対応をぜひしていっていただきたいと思います。今、日本社会はいろいろな課題がありますので、国政が足踏み状況になるという状況はあってはならないと思っていますので、国民の信頼があってこそ、われわれ選挙で選ばれている人間の仕事ができると思いますので、ぜひ信頼回復にしっかりご努力いただけるとありがたいと思っています。
 それから、沖縄との関係では、青少年交流も非常に重要なテーマだと思っています。長野県の子どもたちはこれまでも沖縄に修学旅行等でかなり訪問させていただいていますので、そうした訪問はこれからも継続して続けられるようにしていきたいと思いますし、沖縄の皆さまと話したのは、沖縄の子どもたちをもっと長野県の方にという話をさせていただいています。ぜひ双方向で青少年が交流することによって、お互いの歴史とか文化は共通点もある反面いろいろな違いもありますので、お互いに学び合えることができるようにしていきたいと思っています。

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9 今年の総括と来年の展望について

市民タイムス 萩原 氏
 きょう、(会見)頭の駅伝以外少し暗い話題が多かったので、明るい話題中心に今年の総括と来年の展望を。

長野県知事 阿部守一
 今年の明るい話題は、やはりついこの間、牧選手にスポーツ栄誉賞をお渡しさせていただきましたけれども、結構スポーツ分野は国民全体的にもWBCの話もあったりして明るい話題が多かったと思いますし、長野県も例えば牧選手の活躍だったり、残念ながら信州ブレイブウォリアーズを去ってしまいましたけどホーキンソン選手のバスケットのワールドカップでの活躍であったり、スポーツ関係は非常に明るい話題が多い1年だったのではないかなと思います。あと、やはり県民全体がコロナ禍から早く脱出したいということを強く願われてこられたと思いますが、5類になって、私から毎日のように外出を控えてくださいとか、あれをしてはいけませんとか、私もお願いするのは常に心苦しかったですが、私もそういうことを言う仕事からある意味解放されましたので、私のストレスはだいぶ、血圧もだいぶ下がったかなというところがありますが、本当に多くの県民の皆さまの協力の中でコロナ禍を乗り切ってくることができたと思います。改めて、県民の皆さまに感謝申し上げるとともに、明るい方向に向かってきたというのは、やはりコロナ禍を乗り越えて、観光客の皆さまも戻ってきたし、飲食店もだいぶ賑やかになってきたしということで、普通の暮らしが戻った年になったのではないかなと思っています。人口減少の問題はもちろん暗い側面もありますが、私は先ほど申し上げたように、人口減少下でも活力ある社会をつくっていきたいと思っています。人々の価値観の転換であったり、あるいは働き方ももっともっと生産性を上げていくことによって、少ない労働時間で多くの成果を上げていく、そうした方向で社会を変えていくことが必要だと思いますので、ぜひ来年も明るい年に、今年以上に明るい年になるように取り組んでいきたいと思っています。
 今年1年大変お世話になりました。また来年もよろしくお願いします。ありがとうございました。

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