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更新日:2023年12月28日
長野県知事 阿部守一
それではまず、私の方から冒頭3点お話を申し上げたいと思います。1点目は先週、ヨーロッパを訪問しましたので、そのご報告(会見資料1)を申し上げたいと思います。10月28日から今月5日にかけて、ベルギー、オランダ、ドイツ、フランスの四つの国を訪問しました。コロナ禍でなかなか海外との交流、連携が十分行えない時期が長く続きましたけれども、海外の活力をしっかりと長野県に取り込みつつ、一方で世界のさまざまな国や地域に学びつつ、いろいろな連携関係を強めていきたいと思っています。まず、ドイツにおいては、フラウンホーファー研究機構と共同宣言を行わせていただきました。ドイツにおける最大の試験研究機関のFIT(フラウンホーファー研究機構応用情報技術研究所)と協力関係を結んで、いわゆる応用情報技術の研究所ですけれども、単に狭い意味の情報ではなくかなり広い研究されているところです。信州ITバレー構想を進めていこうという長野県としても、今回の協力関係の構築は非常に重要なものだと考えています。これまで、信州大学がフラウンホーファー研究機構と連携されていますが、これからの長野県としても県の試験研究機関等も含めて交流を深めていきたいと思っています。また、県内企業の新たな事業展開につながるように取り組んでいきたいと考えています。また、オランダにおいてはサーキュラーエコノミーの視察をさせていただきました。安居(昭博)さんというサーキュラーエコノミーの本を書かれている方にご案内いただき、実践例を拝見してきました。また、ベルギーにおいてはCSRヨーロッパという企業のネットワークで、持続可能な成長と変革を企業が取り組むことを支援する組織ですが、ここにおいてはこれからの地球温暖化対策等について意見交換させていただきました。それから、ドイツにおいてはフラウンホーファー研究機構を訪れたほか、持続可能な社会を目指す自治体の国際ネットワークのイクレイの世界事務局を訪問させていただきました。軽井沢において、環境エネルギー大臣会合を行った際には、イクレイ日本と一緒に長野県共同宣言を行わせていただいています。持続可能な社会を共に作っていこうと、世界にも呼び掛けさせていただいたわけですが、地球温暖化対策を進めていく上では、世界の国々との協力、連携は非常に重要ですので、引き続きイクレイとの連携強化を図っていきたいと思いますし、今後、イクレイが企画される国際会議においても、本県の取り組み事例等を発表させていただく場を作っていきたいと思っています。また、ドイツのフラウンホーファー研究機構を訪問する前にアーヘン工科大学でEV関係の研究所、eLab(イーラボ)を訪問させていただき、県内のEV関連の企業3社がこの研究所、あるいは日独産業協会等の関係者に向けてオンラインでの事業提案をさせていただきました。引き続き、こうした機関と連携して販路開拓を後押ししていきたいと思っています。もう1点、ドイツではヘッセン州政府も訪れ、ドイツにおける交通政策について意見交換をさせていただいたところです。前半のベルギー、オランダ、ドイツはどちらかというと地球環境であったり、あるいは産業面での連携の強化を中心に行ってきました。それから後半、ドイツのフランクフルト以降はどちらかというと、物産、観光を中心に活動しました。まず、フランクフルトとパリにおいては観光、物産のプロモーションを行わせていただきました。酒造組合の理事長の宮坂醸造、真澄の社長さんともご一緒させていただき、日本酒の売り込みや、戸隠のおそば屋さん、山口屋さんの山口さんにもご同行いただきましたので、日本そばの売り込み等々、長野県の健康長寿をアピールするとともに、体に優しい発酵食品等のプロモーションを行いました。また一方で、フランス、ドイツは、絶対数としてはアジア圏に比べるとまだ旅行者数は必ずしも多くはない状況ですが、おかげさまで欧米からの観光客、ドイツ、フランス、だいぶフランスについてはコロナ前の水準を上回るお客さんにお越しいただいているようになっていますし、だいぶ戻ってきています。こうした動きを確実なものにするという観点で、旅行会社の皆さまに対しても長野県のPRをしたところです。参加いただいた多くの皆さまには、長野県に関心を持っていただくことができたと思っていますが、まだまだアジアの各国に比べると、ヨーロッパにおける長野県の認知度はさほど高くないなと率直に思っています。一定年齢以上の方に対しては、長野オリンピックを開催したところとお話しすると非常に通じますが、若い方々にとってはもう過去の話ですので、長野県の魅力を改めてしっかり発信をしていく必要性も感じたところです。また、フランスは食文化の中心ということもあり、長野県出身のシェフの皆さんとも意見交換をさせていただき、いろいろなアドバイスも頂戴したところです。今回、訪問させていただいて、ドイツの皆さまはやはり、かつて評論家の大宅壮一さんが長野県民のことを「日本のドイツ人」と称したことがあるというふうに、とある本に書かれていましたけれども、勤勉で質実剛健なお国柄だなと強く感じましたので、ちょうど私が訪問する直前に、IMFが日本のGDPはドイツに今年は抜かれるであろうという予測が出されました。一位アメリカ、二位中国、そして今までの三位が日本、四位がドイツから、(三位が)ドイツ、(四位が)日本となるわけですけれども、今アメリカと中国は、あらゆる意味で非常に緊張関係にある中で、ドイツの皆さまと産業面での協力関係を深めていくことは、かなり意義があるのではないかと強く感じたところです。フラウンホーファー研究機構との連携を足掛かりに、さらにドイツの皆さまとの産業面、技術開発の面、そうした面での交流を深めていきたいと思います。それから、フランスについては、やはり文化や食に対する関心を非常に強くお持ちです。特に日本の食は、健康志向の皆さまにとっては非常に関心が高い食文化でもあります。今回、分子ガストロノミーのラファエル・オモンさんに長野県に先日お越しいただき、関係者の皆さまにプレゼンをしていただいたところです。みそであったり、わさびであったり、寒天であったり、こうした長野県の特産品をフランスの皆さまに受け入れていただく素地を作ることができたのではないかと思いますし、パリで活躍されているシェフの皆さまとお話をすると、今申し上げたみそとかわさびとか寒天とか、こうしたものはフランス料理にも十分活用していくことができるというお話でしたので、こうした物産、あるいは日本酒のこれからの販路拡大にしっかりつなげていきたいと思っています。少し駆け足でお話をしましたけれども、これからアジア圏はもとより、ヨーロッパ、そして先日はミズーリ州の知事もお越しいただきましたけれども、アメリカをはじめとする海外との連携協力、コロナを契機にいっぺんパタッと関係性が閉じられてしまいましたけれども、もう1回改めて再拡大をしていきたいと考えています。欧州訪問については、以上です。
長野県知事 阿部守一
それから、2点目ですけれども、「こどもまんなか応援サポーター」宣言(会見資料2)ということで、いい育児の日が11月19日ですけれども、この11月に、こども家庭庁が掲げている「こどもまんなか」という趣旨に賛同して「こどもまんなか応援サポーター」に私が就任し、「こどもまんなか応援サポーター」宣言を行います。これまでも市町村とも連携して子育て支援に取り組んできたところです。本日も少子化・人口減少対策戦略検討会議を開催しましたが、まさにこれからの長野県の政策の中心は子ども政策といっても過言ではない状況だと思っています。教育であったり児童福祉であったり、こうした分野はもとよりですけれども、県のあらゆる分野に「こどもまんなか」という観点を取り入れて、さまざまな政策を構築し、推進していきたいと思っています。また、子どもたち、若者たちの意見を積極的に取り入れて県政を進めていくようにしていきたいと思っています。「こどもまんなか」という精神を、県全体で具現化していきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
最後、3点目ですけれども、インフルエンザ警報の発表について(会見資料3)です。直近のインフルエンザの感染状況については、定点医療機関からの届け出数は、定点当たり32.89で、前週比1.43倍ということで、インフルエンザ警報の基準値を上回ってきましたので、8日の段階でインフルエンザ警報を発表しました。警報を発表するのは、調査を開始した1999年の4月以降、最も早い段階です。全国的にも患者数が増加傾向にありますので、しばらく流行が続くことを懸念している状況です。また、新型コロナですけれども、直近の感染状況は定点医療機関からの届け出数が5.84人で、こちらは前週比0.91倍と、前週比減少という形になっています。入院者数は10月の中旬ごろから増加傾向が続いていまして、11月6日の暫定値で324人の入院者という状況になっています。300人というのが医療警報発出の目安になっていますので、医療警報を発出するかどうかの検討も行いましたが、まだ定点医療機関の届け出数が前週比で減少になっているというようなことから、発出は行っていませんが、引き続き状況を注視しつつ、医療警報の発出をするかどうかも含めて、引き続き検討していきたいと考えています。インフルエンザ、そしてコロナはいずれも感染症ですが、基本的な感染対策としては、散々コロナ対策でお願いしてきているように、手洗い等の手指衛生、それから定期的な換気、適度な湿度を保つこと、こうしたことが有効です。県民の皆さまには感染しないよう、感染が広がらないようにぜひご協力を頂きたいと思いますし、特に重症化リスクが高いご高齢の方、基礎疾患がある方に感染が広がらないように、場の状況に応じたマスクの着用や咳エチケットもご検討いただきたいと思います。特に医療機関を受診される際、あるいは高齢者施設を訪問される際にはマスクの着用をお願いしたいと思います。また、インフルエンザと新型コロナ、ともにワクチンがあります。重症化予防等の観点ではワクチン接種が有効ですので、特にご高齢の方や基礎疾患をお持ちの方は、この機会にワクチン接種についてもご検討いただければと思っています。私からは以上です。よろしくお願いします。
市民タイムス 萩原 氏
今の「こどもまんなか応援サポーター」の関係でお伺いしますが、これはいいことだと思うのですけれども、県だけじゃなくて国とか市町村とかとの連携というのもいろいろと重要になって、これから政策を行う上ではあるとは思うのですけれども、例えば知事が就任された応援サポーター、あと宣言ですね、市町村長さんに呼び掛けていくとか、経済団体に呼び掛けていくとか、このサポーターとか宣言の今後の広がりみたいなものについてのお考えは。
長野県知事 阿部守一
長野県全体で「こどもまんなか」という考え方を普及していきたいと思いますので、市町村や企業、団体の皆さまにも積極的に呼び掛けを行って、ぜひ共に「こどもまんなか」社会をつくるべく取り組んでいけるようにしていきたいと思っています。
市民タイムス 萩原 氏
今後サポーター宣言を広げていく上での先頭を切って、知事がサポーターになって宣言したという認識でよろしいですか。
長野県知事 阿部守一
既に行っている市町村は上田市さんだけのようですので、他の市町村とか企業の皆さまにも呼び掛けていきたいと思います。
市民タイムス 萩原 氏
きょうの発表ではないところで伺いたいのですけども、政府の経済対策、賛否いろいろありますが、閣議決定されて県の方でもそれを受けて対策を出していくと思うのですが、現時点での政府の経済対策に対する知事の評価というか所感と、今後の県の経済対策の見通しの辺りをお伺いします。
長野県知事 阿部守一
諸物価が高騰してきている中で、引き続き暮らしや産業をしっかり支えていくことが極めて重要な局面だと思っていますので、このタイミングで政府が経済対策を出して国全体で取り組んでいく、このデフレ経済からしっかりと脱却して、経済のプラスの循環を作り上げていこうという方向性については県としては大変ありがたいと思っていますし、政府の経済対策をしっかり活用して、長野県の産業や暮らしをしっかり守っていきたいと思っています。今、国の経済対策の詳細な内容をそれぞれの部局で把握している段階ですけれども、必要なものについてはできるだけ早く、県としても予算化をして、具体的な施策化をしていきたいと思っています。まだいろいろと情報を集めているところですが、一定程度、政府の経済対策を踏まえた県としての補正予算も編成していくことができるのではないかと思っています。11月県議会に向けてということです。
市民タイムス 萩原 氏
もう1点、先日、当初予算編成の方針のポイントということで示していただきまして、やはり社会保障関係費が膨らんでいって、収支差110億、歳出が超過していくという、健全財政は維持されているとは思うのですけれども、かなり今後見通し的に厳しくなってくるなという印象を受けたのですけれども、改めて今後のやりくりの面も含めて来年度当初予算、どのようなところを中心にやっていきたいかというところをお伺いできればと。
長野県知事 阿部守一
やはり、先ほど申し上げたように、子育て支援であったり、人口減少対策であったり、今取り組まなければいつ取り組むんだという状況だと思っています。県民の皆さまとの対話集会を回らせていただいても、あらゆる分野で人材不足、人手不足ということが切実な課題として浮かび上がってきていると思っていますので、人口減少に歯止めをかけていく。いきなり人口増に持っていくわけにはなかなかいきませんけれども、人口減少のスピードを何とか緩和していく、人口減少に歯止めをかけていくということと併せて、もう一定程度、人口減少は避けて通れない状況になっていますので、そうした人口減少下に出てきている人手不足等の課題にしっかり向き合っていくことはまず大きな重要なテーマだと思っています。それ以外にも、今、ゼロカーボン戦略のロードマップを検討中ですけれども、人口減少と併せて気候変動も中長期的な視点でいずれも取り組むべき課題ですので、気候変動の対応についても引き続きしっかり取り組んでいきたいと思っています。あと、子育て支援策、それから教育といった子ども関連施策、そして新しく交通政策局を作りましたので、交通、移動の足の確保の問題、こうしたところは来年度予算に向けては重要なテーマだと考えています。
信濃毎日新聞 井手 氏
「こどもまんなか応援サポーター」のことで伺いたいのですが、知事の就任日を教えてもらいたいのと、あと(会見資料2の)2の(3)にある「こども・若者モニターアンケート、意見交換会」の実施ですけれども、これは初めてやるのか、初めてやるならば開催時期はいつごろを想定しているのか、その点をお願いします。
次世代サポート課長 塩原昭夫
就任日は本日、宣言の日です。それから、こども・若者モニターのアンケート、意見交換ですけれども、アンケートについては、第1回を10月に取らせていただいています。小学5、6年生から高校3年生まで、本県では288名のこどもモニターがおり、子どもの居場所ということで、1回目のアンケートを取っています。また、意見交換ですけれども、こども・若者、それから女性も含めまして、12月19日に長野県立大学で、知事もご出席いただきまして、意見交換の1回目を行う予定です。以上です。
信濃毎日新聞 井手 氏
昨日、政府の地方制度調査会で、災害や感染症など想定外の事態があったときに、国が自治体に必要な指示ができるように地方自治法に規定するという答申案がまとめられました。指示権は特例的な扱いで、要件や手続きというのは今後詰めていくという話なのですけれども、まず、この答申案についての知事の受け止めをお願いします。
長野県知事 阿部守一
昨日も信濃毎日新聞から聞かれて、中身を見てなかったのでお答えできなくて大変失礼しました。まだ具体的な内容はよく分からないところもありますけれども、今の地方制度調査会の議論の中では、国や地方公共団体に対して、大規模災害とか感染症の蔓延とか、国民の安全に重大な影響を及ぼすようなときには必要な指示を行うことができるようにすべきではないかという方向で議論がされているというふうに承知しています。私は地方自治の重要性を常に考えてきている立場ですので、大規模災害とかいっても、一体どういうような場合とか、どういうような条件のときに、どういうような内容の指示をするかということは、まだ判然としていない部分があると思っています。地方自治という観点からは、国と地方の関係というのは非常に重要な問題だと思っていますので、私としては大いなる関心を持って見ているところです。仮に今後、具体的な制度化等を検討されていくということであれば、地方の意見も十分踏まえた上で、検討を進めていっていただくことが必要ではないかと思っています。
信濃毎日新聞 井手 氏
県がコロナの初年度に、コロナ対策の条例を作った時、知事は、知事のフリーハンドにしないように県民や事業者に協力を求めるときの根拠となる条例を作りたかったというふうなことをおっしゃっていたと思うのですけれども、今回、答申案が通ると、国にフリーハンドを与えることになってしまうのではないかと、そういう懸念というのはございますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まさにおっしゃる通り、条例を作った趣旨は、緊急事態とはいえ法治国家ですから、何でもありということではいけないのではないかというのが私の問題意識です。そういう意味で、今申し上げたように国と地方の関係でも何でもありということはあり得ないと思っていますので、先ほど申し上げたような、どういう状況のもとでどういう要件とか手続のもとでこうした指示を行うという形になるのかについては、私としては非常に関心を強く持っていますし、地方自治の観点から言うべきことは場合によっては言っていかなければいけないと思います。ただ、まだその形が出ているわけではないので、一般論でしか申し上げられませんけれども、地方自治の精神を十分尊重して国としては検討していただきたいと思っています。
信濃毎日新聞 井手 氏
きのう、盗撮の疑いで県内の中学校の教員の方が逮捕されました。9月にも小中学校に勤める教員だったり、講師の方が子どもに性的な言動をしたり、同僚へのセクハラで処分を受けるという事案がありました。教員の不祥事が相次いでいる現状の知事の認識と、今後、再発防止に、これは県教委マターかもしれませんが、知事の考えをお願いします。
長野県知事 阿部守一
現職の教員が逮捕される事態に至っていることは非常に残念なことだと思っていますし、教育現場における非違行為がなくなるように、教育委員会もいろいろと努力をしていただいている状況ですが、保護者や子どもたち、そして県民の皆さまの期待と信頼を裏切ることがないように、まずこうした非違事案が根絶されるように取り組んでいってもらいたいと思いますし、われわれ知事部局もできることは協力していかなければいけないのではないかと思っています。できることというのは、今まさに、信州学び円卓会議を開催していますが、その中でも教員の多忙感、何でもやらされてしまうという教員の仕事についての論点があります。もちろん非違行為を起こした行為自体はその個人に責任があると思いますけれども、学校現場全体の環境の在り方は今のままでいいのかという問題意識を私は持っていますので、そうしたことも含めて、全体として学校の在り方とか、教員の働き方の在り方とか、こうしたことも含めて考えていくことが重要だと思っています。
日刊工業新聞 伊藤 氏
フラウンホーファー研究所との共同宣言の件で、先ほど知事も県内企業の新たな事業展開につながるようにしていきたいとおっしゃっていましたけれども、例えば近いうちに産業分野で連携したプロジェクトを行っていくというような認識でよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
FITとの共同宣言(会見資料1/3ページ目)の中では、一つは職員の研修や研究知見の相互交流を行うことを掲げていますので、県の試験研究機関との人材面での交流も進めていきたいと思います。また、サテライトオフィスの設置を目指した協議をしていこうということで、FIT側には、信州大学のサテライトオフィスがあるのですが、今度は長野県側に向こうのサテライトオフィスを設置してもらうように協議をしていきたいと思っています。そうした人的交流とか、あるいは実際に活動する場が双方にできることを通じて、企業同士の連携であったり、企業のさまざまな研究開発への支援であったり、具体的な取り組みへとつながるものと思っています。そうした人的交流であったり、サテライトオフィスの設置であったり、まずはこうしたことを進めつつ、具体的な交流も並行して行っていきたいと思っています。
共同通信 滝野瀬 氏
政府の定額減税についてお伺いしたいところで、今回、来年6月に個人住民税の減税が盛り込まれました。個人住民税は地方の自主財源になると思うのですけれども、この間、地方の財源に手を付けるのに当たって、あまり地方から例えば意見が出なかったというか、反発する声もあまりなかったかなというふうに思っていて、この間のやり取りみたいなのはどういうふうに知事はお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
地方税の減税も行われるとは承知していますが、その分について国がしっかり財政措置をするという前提で議論されてきていると思っています。われわれ地方公共団体としては、地方一般財源の確保というのは、ずっと継続した要請事項であり、もっと充実をしてもらいたいと思っていますが、国においても地方財政については十分配慮いただけるという前提で理解しているところです。
共同通信 滝野瀬 氏
もちろん、大臣も手当するという発言は先月末にあったと思うのですけれども、要するにそこが確保されれば、特段問題ないというようなそういう見方でしょうか。
長野県知事 阿部守一
特段問題ないというか、そもそも今の地方自治の在り方が、地方税とは言いながら地方税法で地方税の税目とか標準税率が決まっているわけで、私は本来、もっと分権型の地方税財政にしていく必要があると思いますが、今の現状は国会審議の場で地方税の在り方も含めて決められています。それとセットで地方財政計画で地方財源を保障しようという形になっていますので、そういうことを考えれば、国全体の経済政策の中で、今の制度上は地方税も含めた議論になるということは、今の制度上はあり得ると思っています。ただ、未来永劫、こうした国と地方の税財政関係がいいのかというと、そこはいろいろと議論の余地があるかと思います。
日本放送協会(NHK) 大場 氏
「こどもまんなか応援サポーター」についてお伺いしたいです。きょうの午前中の人口減少の会議の中でも有識者の方から企業が変わらないといけないという話が強くあったかと思うのですが、そういった中でこの(会見資料2の2の)(2)にある取り組みというのを、もう少し具体的に教えていただけたらというのと、知事として、企業が変わらなきゃいけないという部分に対してどんなアプローチができるとお考えかを教えてください。
長野県知事 阿部守一
人口減少問題に対応していく上では、われわれ行政だけではなくて企業、あるいはいろいろな事業所の皆さまにも問題意識を共有して対応していっていただかなければいけないと思っています。そういう中で、「こどもまんなか」の取り組みでいろいろと掲げていますけれども、やはり県内企業の皆さまにも、資料には男性の家事・育児参画の応援と書いていますけれども、きょうのお話もあったように、男性も女性も仕事と子育てを両立できるような環境をぜひ作っていってもらいたいと思っています。そうした働き掛けや対話をこれから、経済界の皆さまとしっかり行っていきたいと思います。ただ、企業とか事業者に丸投げということではなくて、そうした中でわれわれ行政として取り組むべき課題というものも出てくると思いますので、そうした部分はしっかりとサポートしていきたいと思っています。女性から選ばれる県づくりを目指すリーダーの会も設置して、スタートしていますので、多くの皆さま、経営者の皆さまにはぜひ参画していただきたいと思っています。
信濃毎日新聞 鈴木 氏
教育関連で、知事のお考えを聞かせていただきたいのですけれども、県教委義務教育課の調べで小中の(教員の)欠員が46人、10月1日時点で、去年からだいぶ増えています。ご存知の通り、他県と比べると、まだ数は少ないのですが、去年と比べればだいぶ増えているという状況を踏まえて、46人の欠員というのを知事はどういうふうに見ているのか、お考えなのか、感じているのかというのを教えていただけますか。
長野県知事 阿部守一
教員の欠員は先ほど少し申し上げましたけれども、あらゆる分野で人手が足りない状況になっている中で、教育を担っていただいている教員であったり、子どもたちの保育士であったり、こうしたまさにこどもまんなか社会を作っていく上で、不可欠の人材が不足してきていることは、非常に深刻な問題だと思っています。先ほど申し上げたように、今、信州学び円卓会議で教員の在り方、教員の働き方も含めてどうあるべきかを考えていく必要があると思っていますので、教員の働き方であったり、処遇であったり、確保の在り方であったり、こうしたこともしっかり検討していく必要があると思っています。
信濃毎日新聞 鈴木 氏
円卓会議はいろいろなところで毎月のようにやっていますけど、やはり知事としてもああいう場でいろいろな人の意見を考えながら、確保をどういうふうにしていったらいいかとか、働き方とか、待遇はどうしたらいいかというのを、あの会を通じて考えていきたいと。
長野県知事 阿部守一
基本的に教員の採用は人事権者は教育委員会ですが、とはいえ私としても非常に重要な関心を持っていますし、教員の人件費の負担は予算を伴うので私のところで予算措置も議論しなければいけないので、教員の在り方は、私としてもしっかり取り組まなければいけないと思っています。いくつかアプローチの仕方があると思いますが、一つは教員の多忙感の話を先ほど申し上げましたけれども、せっかく教職課程を取りながら教員を目指さない方もいらっしゃいます。私は本当に、教員として子どもたちを育てていく、一緒に学びを進めていくというのはすごくやりがいがある仕事だと思いますので、仕事としての魅力をどう上げていくかということが、一つ重要なテーマではないかと思っています。それが働き方の改革にもつながり、そして結果的には子どもたちの教育の充実にもつながっていく、全部連鎖しているものだと思いますので、先生方の職場の在り方というものも今の状況はやや手遅れになりつつあるところを急いで見直していくことが必要ではないかと思います。
どうもありがとうございました。
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