ホーム > 県政情報・統計 > 広報・県民参加 > 県民ホットライン > 「県民ホットライン」過去のデータ(月別) > 『県民ホットライン』2025年2月分(月別) > 学校に生きづらい子どもたちの学びの保障について
ここから本文です。
更新日:2025年3月31日
まず初めに、長野県のこれまでの不登校支援、そして今後の取り組みに対し、心から感謝申し上げます。多様な支援策を講じていただいているおかげで、多くのご家庭が救われていることと思います。
私自身、子どもが小学2年生から6年生までの約5年間、不登校を経験しました。1度目は友達からのからかいがきっかけで、2度目は先生とのトラブルが原因でした。しかし、子どもがその事情を話してくれたのは5年生の後半になってからです。不登校の理由を話せないまま成長していく子も多い中、数年越しでも聞けたことは幸運でしたが、「もっと早く知ることができていたら、できることがあったのではないか」とも感じました。
当時、親として感じたのは、「どうしたらいいのかわからない」という不安と、「せめて勉強だけは…」という焦りでした。しかし、親が教えるのは難しく、塾に通わせるにもハードルが高い。学習の遅れを心配しつつも、家ではなかなか勉強に気持ちが向かない子どもが多いのが現実です。そして何より、不登校の子どもを支える親自身の精神的な負担はとても大きなものです。
現在、不登校の支援としてフリースクールや適応指導教室(中間教室)などがありますが、それらに通える子はまだ恵まれている方です。実際には、そういった場にも行けず家で過ごしている子どもも多く、そうした子どもを持つ親の心労は計り知れません。「学校に行かなくても、せめて勉強だけは…」と思っていても、なかなか進まない現実に親は焦り無力感を抱えてしまうことも少なくありません。
そこで、学びの機会を確保しながら、保護者の精神的な負担を軽減するための支援として、以下のような仕組みの整備をしていただけないでしょうか。
1.タブレット端末を活用したオンライン授業の提供
現在、児童生徒1人1台の端末が配布されています。この環境を活かし、リアルタイムの授業配信だけでなく、事前に録画された授業動画を提供することで、学びの機会を保障できるのではないでしょうか。
・録画された授業動画を視聴できる環境の整備
学校の授業風景をZOOM等で録画し、不登校児童生徒が自由に視聴できる
学習内容を必要に応じて繰り返し確認できるため、理解を深めやすい
授業についていけなかった子どもたちの復習にも役立つ
先生方にとっても、授業の振り返りや研修資料として活用できる可能性がある
退職された先生方の活用
・リアルタイムのクラス授業との切り離し
クラスメイトや担任とのやり取りを求められると、心理的負担が大きい子も多い。
そのため、「授業動画をいつでも見られる形式」にし、「見るか見ないかは本人の意思」に委ねる方式が望ましい。
ただし、出席扱いを求める保護者もいるため、出席日数の認定については検討が必要。
このような仕組みが整えば、「学校に行けなくても学ぶことができる」という安心感を、子どもだけでなく保護者にも与えることができます。子どもが学んでいるという実感があれば、親の焦りも少し和らぎます。
2.先生との信頼関係の課題に対する配慮
不登校の理由として「先生との信頼関係を築けなかった」という声は少なくありません。一度不信感を抱くと、他の先生に対しても心を開きにくくなる子どもも多く、学校との接点を持つこと自体が怖くなってしまいます。
そのため、オンライン授業においても、担任や特定の先生と直接関わらずに学べる環境を整えることが重要だと考えます。録画された授業動画であれば、先生とのやりとりを最小限にしながらも、学ぶ機会を確保できます。
また、こうした動画を学校現場でも活用できるようにすれば、先生方にとっても授業準備の負担を減らす助けになるかもしれません。
3.既存の環境を活かした実現可能な支援
このような取り組みは、技術的にも大きな負担なく導入できるのではないでしょうか。すでに各学校に端末は配布されており、授業の録画・配信もZOOM等のツールを活用すれば十分に可能です。
「学校に行けなくても学ぶことができる」という安心感は、子どもだけでなく親にとっても大きな支えになります。不登校の子どもを支える親は、時に孤独を感じ、先が見えない不安を抱えています。しかし、学びの機会が確保されることで、「とりあえず勉強はできている」「学びを止めなくていいんだ」と思えるだけでも、親の気持ちはぐっと楽になります。
長野県の不登校支援は大変ありがたく思っています。しかし、不登校の子どもたちは一人ひとり状況が異なり、既存の支援を利用できる子ばかりではありません。
「学びの保障」と「親の心の負担を軽くすること」を両立するために、オンライン授業の提供をぜひご検討いただければ幸いです。
長野県教育委員会事務局教育次長の米沢一馬と申します。
「県民ホットライン」に2月10日にお寄せいただきました、学校に行きづらい児童生徒の学びの保障に関するご意見についてお答えいたします。
いただいたメールから、お子様が小学校2年生から6年生まで不登校を経験され、ご家族もご心労を重ねてこられたことと拝察いたします。
その中で、不登校の児童生徒の保護者の方の精神的なご負担を少しでも軽減できるよう、投稿者様とお子様のご経験をもとに、子どもたち一人一人にあった学びの機会の確保の大切さについてご提案いただいたことに感謝申し上げます。
いただきましたご提案について、県内での取組の状況をお伝えします。
2018年(平成30年)の著作権法第35条の改正により、2020年(令和2年)4月から学校設置者(教育委員会等)がSARTRAS(指定管理団体)に補償金を支払うことで、インターネットを介して授業を配信(オンライン授業、YouTube等でのオンデマンド授業)することが可能となりました。
ただし、授業のリアルタイム配信やオンデマンド配信を行うにあたっては、著作権による制限やプライバシーの保護等配慮しながら行う必要があるものと認識しております。
「学校における教育活動と著作権」(文化庁著作権課)(https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/pdf/93869701_01.pdf)
現在、県内の小・中学校では、多くの学校で教室の授業をオンラインで配信できる環境を整えており、希望した不登校児童生徒に向けて、一人一台端末を活用した授業のライブ配信やオンデマンド配信で、学びの機会を保障するよう取り組んでおります。
県教育委員会では、学習支援のため小学校1年生から中学校3年生までの各教科の家庭学習サポート動画(年度初めから4か月分程度の学習)をYouTubeに公開しておりますのでご参照ください。
「いっしょに学ぼう」家庭学習サポート動画(長野県教育委員会事務局学びの改革支援課)(https://www.pref.nagano.lg.jp/kyoiku/kyogaku/gakko/sonota/rin_douga.html)
また、県内の複数の市町村教育委員会では、既に、クラスメイトや担任との関係から心理的な負担が大きい不登校児童生徒の学びの機会を確保するため、メタバース空間を構築し、一人一台端末等を活用した支援や相談に取り組んでおります。
県教育委員会では、これらの取組を広めていくとともに、メタバース空間の教育への活用に関する研究を始めております。
なお、授業配信を受講した場合の出席扱いにつきましては、各学校へお問い合わせください。
不登校児童生徒の支援における基本的な考え方やさまざまな事例は、以下の県教育委員会ホームページに掲載しておりますのでご参照ください。
「不登校児童生徒の学びのサポートガイド~はばたきVol.1~」(長野県教育委員会事務局心の支援課)
(https://www.pref.nagano.lg.jp/kyoiku/kyoiku/shido/documents/habataki.pdf)
ご相談につきましては、学校生活相談センター(電話:0120-0-78310、月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時まで)もご活用いただけたらと思います。
今後も、県教育委員会では、ご提案いただいたご意見も参考に、不登校支援が充実するよう努めてまいりたいと考えております。
以上、ご意見への回答とさせていただきますが、ご不明な点がございましたら、心の支援課長:召田誠、担当:生徒指導係までご連絡くださいますようお願い申し上げます。
【問合せ先:教育委員会事務局/心の支援課/生徒指導係/電話026-235-7436/メールkokoro(あっとまーく)pref.nagano.lg.jp】
(分野別:教育・文化)(月別:2025年2月)2024000662
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください