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更新日:2019年10月29日

知事会見(令和元年(2019年)10月24日(木曜日)11時02分~12時02分 会場:県庁)

項目

阿部知事からの説明

  1. 台風第19号に伴う災害への対応について
  2. 飼養豚への豚コレラワクチン接種について

取材者からの質問

  1. 台風第19号に伴う災害への対応について 1
  2. 豚コレラワクチン接種後の県の対応について
  3. 台風第19号に伴う災害への対応について 2

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本文

阿部知事からの説明

 1 台風第19号に伴う災害への対応について

長野県知事 阿部守一
 私からは災害関連で何点か、それから飼養豚への豚コレラワクチン接種についてお話ししたいと思います。
 災害の関連では、昨日、菅官房長官、国土交通省の青木副大臣、そして総務省に、長野県としてこれまでの対応について御礼を申し上げるとともに何点かお願いしました。要請書については、基本的に安倍総理大臣がご来県されたときの6団体の要請書をベースにしています。特に強調した点について申し上げれば、まず住宅の確保が極めて重要だということで、被災者生活再建支援制度の適用戸数であったり、応急仮設住宅の入居要件であったり、こうしたものをできるだけ弾力的にしてもらいたいというお願いをしました。
 河川については、国が権限代行で行っていただく方向性が既に示されているわけですけれども、道路事業においても、とりわけ技術的に難易度が高い部分、具体的にはしなの鉄道の不通の要因ともなっている東御市管理の本海野の道路、そして南箕輪村の国道361号権兵衛2号橋、こうした重要道路について国の権限代行により実施してもらいたいというお願いをしています。
 また、県の下水処理場が冠水して、復旧について財政的にも多額の予算が必要になってくるということや、被災した事業所が多数ある中で、こうした事業所に対する特別の支援をお願いしたいということ、さらには応急対策とは少し観点が異なりますけれども、千曲川、犀川、天竜川においては、国の管理区間と県の管理区間が混在しているという状況ですので、こうした河川については国土強靱化を進めるという観点から、ぜひ国の一元管理化について検討していただきたいということをお願いしました。以上が要請した事項です。
 それから災害に関連した被害額は、私どもが取りまとめた段階で約1,300億円という大きな被害が生じています。こうした施設の復旧・復興、あるいは被災された方々への支援、県としても予算的な対応をしっかり行っていかなければいけないと考えています。原則として11月の補正予算で考えていきたいと思っていますが、他方で災害救助、あるいは応急対策工事など、県として早急に対応していかないといけないものもあります。こうしたものについては議会とも十分相談していく中で、専決処分で対応することも含めて検討していきたいと考えています。できるだけ早く、被災された方々の暮らしが日常の生活に戻るように全力で対応していきたいと思っています。
 災害の関連で少し個別の話ですけれども、まずは被災者生活再建支援制度について、昨日、今日と各報道で国の制度が紹介されています。長野県においては、実はこの6月から信州被災者生活再建支援制度を市町村と一緒にスタートさせています。国の制度の対象とならない半壊世帯に対しても、最大50万円の支援を行う制度を既に作っているところです。ぜひメディアの皆さまには国の制度と併せて、私どもの制度にこういうものがあるということもご紹介いただければありがたいと思いますし、県からも周知を行っていきたいと思っています。
 また全壊(対象となる場合もあります)、半壊、準半壊(一部損壊)、こうした被害を受けた方々については、災害救助法に基づく応急修理制度があります。市町村から住宅の応急修理を受けることが可能になっていますので、修理を行う前に、ぜひ市町村にご相談いただきたいと思っています。なお応急修理を受けますと、自宅に戻れるということが前提になりますので、応急仮設住宅には入居できないという形になっていますので、この点はご注意いただければと思っています。各市町村において被害認定調査、罹災(りさい)証明書の発行手続きを鋭意進めていただいているところですが、市町村と連携して、こうした制度を活用した生活再建を県としてもしっかり進めていきたいと考えています。
 それから県営住宅等の入居申し込みを昨日からスタートさせたところですが、ご相談に来られる方々のニーズも踏まえて、対応を改善したいと考えています。受付時間については、これまで平日は16時、土日は15時までという対応で考えていましたけれども、今後の対応としては、平日、土日とも、9時から17時15分までとしたいと思います。特に長野地域は被災規模が大変甚大ですので、長野建設事務所においては20時まで対応することとします。また受付場所についても、もう少し拡大する必要があるのではないかと思っていますが、避難所を設置されています長野市と調整し、できるだけ多くの箇所で、県営住宅の入居申し込みを受け付けることができるように考えていきたいと思っています。また、入居申し込みにあたっての罹災証明書の取り扱いが長野市と長野県の対応が微妙にずれていたところがありますけれども、基本的に長野市のやり方に合わせていきたいと思っています。具体的には受付時に罹災証明書がないという方についても、スマートフォンで撮影した映像等により対応していきたいと思っています。また、これまで罹災証明書につきましては、抽選日の前日までにご提出いただきたいということでお願いしていましたが、入居までにご提出をいただければいいという形に変えていきたいと思っています。以上が住宅関係です。
 最後に観光の関係です。観光への影響が大変深刻だということで、総理大臣に対しても観光需要を喚起する施策に取り組んでもらいたいというお話をしてきているところです。長野県全体が大変な影響を受けていますし、長野県以外の地域も被災していますので、引き続き観光振興策について、政府に強く求めていきたいと思っています。それと併せて、長野県としても、観光への影響を深刻に受け止めて対策を講じていきたいと思っています。非常にラフな推計値ですけれども、災害発生後、今月中の宿泊について、20億円を超えるキャンセルが出ていると試算しています。また宿泊以外も含めると、より大きな影響を長野県にもたらしていると考えています。そういう意味で観光県長野県としては、被災地、被災者の支援に力を入れるということと併せて、他方で観光の振興についてしっかり取り組みを行っていくことが重要だと思っています。その中で観光部、そして営業局を中心として、県として緊急誘客対応方針(仮称)を今月末を目途に取りまとめていきたいと思っています。今は特急あずさの運行が行われていない。また、北陸新幹線も長野で止まっている。こうした状況も改善されていくわけですので、そうした交通機関の復旧とも合わせて、強力な観光プロモーションを行うとともに、さまざまな支援策を講じることによって、観光振興をしっかり図っていきたいと思っています。災害については以上です。

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 2 飼養豚への豚コレラワクチン接種について

長野県知事 阿部守一
 
もう1点、豚コレラについてお話を申し上げたいと思います。10月21日月曜日に家畜伝染病予防法に基づき、飼養豚へのワクチン接種の命令を行ったところです。これについては既にお知らせしています。ワクチンが10月25日金曜日に到着する予定になっています。ワクチンの到着を待った後に、速やかに10月26日土曜日からワクチン接種を開始していきたいと考えています。今の予定ではおおむね8日間で、全農家の接種を完了したいと考えています。また、ワクチン接種に必要な予算として、8,231万9,000円の専決処分を行わせていただいたところです。農家の皆さまは大変不安な思いで、さまざまな対策も講じてきていただいているところですので、今回、初回の接種については農家負担なしで対応したいと思っています。できるかぎりワクチン接種を速やかに進めることによって、農家の皆さまが安心して養豚業に励むことができるように県としても対応していきたいと思っています。私からは以上です。

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取材者からの質問

 1 台風第19号に伴う災害への対応について 1

日本経済新聞 北川開 氏
 観光復興についてお伺いしたいと思います。まず今回、今月末を目途に緊急誘客対応方針を定められるということでしたが、昨年の北海道の胆振東部地震の際も、政府の支援も入っているのですけれども、かなりツアーの企画とかが組まれていましたが、今回もそういうツアーの造成支援や、あるいは、首都圏の復興プロモーションみたいなものを想定されているのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 まず政府に対しては、胆振東部地震の際の北海道復興割のような強力な制度をぜひ作っていただきたいというお願いをしています。その一方で今後、われわれの当面の対策としては、さまざまなプロモーションをしっかり行っていきたいと思っています。これは、被災していない地域にもキャンセルが出ているという状況もありますので、長野県内の実情というものをまずしっかりお伝えしていくということが重要だと思っています。また、そうしたことと併せて、旅行エージェントの皆さんとも旅行商品の造成等を一緒に考えていきたいと思っていまして、先ほど申し上げたように今後県として復旧・復興方針のとりまとめを行っていきます。それに併せてこの緊急企画のための方針を鋭意とりまとめた上で、観光関係者の皆さまと一緒になって、力を合わせて取り組みをスタートさせたいと思っています。

日本経済新聞 北川開 氏
 昨日、上信越道の碓氷・軽井沢インターチェンジが開通しまして、明日、本数は減りますけれども、北陸新幹線で「かがやき」「はくたか」が復活して全線開通することになります。観光、物流面での復興にも期待があるところだと思うのですけれども、知事の所感をお伺いしたいと思います。

長野県知事 阿部守一
 まず今まで北陸新幹線は長野止まりという状況でありましたが、本数は通常より減という形になっていますけれども、金沢まで開通するということは県内の観光産業にとっては大変重要なことだと思っています。高速道路の開通もそういう意味で物流の円滑化ということ、観光の振興という観点から大変重要なことだと思っていますので、私としては歓迎しているところです。関係の皆さま方の復旧の努力に敬意を表したいと思います。ただ、新幹線についてはまだ通常通りの運行にはなっていないということで長野県内の停車本数も平常のときに比べるとまだだいぶ少ないという状況もありますので、引き続きJRの皆さま方には、1日も早く通常ダイヤに戻すことができるような取り組みをお願いしていきたいと思っていますし、先ほど申し上げたように、われわれとしてもこうした状況の中でも県内観光地が元気になるような取り組みをしっかり行っていきたいと思っています。

日本経済新聞 北川開 氏
 復興割のような制度を作ってほしいというのは政府に対してということなのですけれども、国土交通省に行かれたときに要望されたということでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 総理大臣にもお願いしました。

中日新聞 渡邉陽太郎 氏
 避難所生活を送っている方の生活を一刻も早く元に戻すという点についてなのですが、本日現在、長野市内で一番避難者がいる豊野西小学校は、依然244人がいらっしゃいまして、長野市も県も応急仮設住宅であったり、県営住宅の提供というところで努力していらっしゃると思うのですが、そもそも長野市の所管にはなるのですけれども、どうしてもあの地域というのが、もともと水没するようなところは使えないというところで、避難所がそこしか使えなくて、そこに集まってしまったということです。それ以上遠くになると徒歩での移動が危険になるということであそこに集まってしまったのは仕方がないという状況だと思うのですけれども、そうなるとそもそも千曲川を抱えるこの地域にとって、避難所の選定というのが今までのやり方でよかったのかという課題が出てくると思うのですけれども、今特に長野市内の現状、避難所の過密状態を知事もご覧になっていると思うのですけれども、避難所の選定、そういう制度についていかがお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 今回の災害でわれわれとして今後新たに取り組まなければいけない課題がいくつか出てきているのではないかと思っています。その一つがやはり避難所の在り方も含めて、例えば県の公共施設も被災してしまったわけですので、ハザードマップを視野に入れながら避難所の在り方、あるいは公共施設の在り方をどうしていくかということが、今後われわれとしてしっかり考えていかなければいけない課題だと思います。今はまだ応急対応に全力を傾けている状況ですけれども、今後一定の応急対策、復旧が終わって復興していくという段階に当たっては、今ご指摘いただいた避難所の在り方ということも含めてもう1回、今回の災害を振り返りながら、今後の在り方を考えていく必要があると思います。

中日新聞 渡邉陽太郎 氏
 先ほど、知事から千曲川、犀川、天竜川、国と県それぞれの管理事務所、管理機関が混在していると、それを国に一元化できないかという要望をされたということをおっしゃられたのですが、今回、報道もされた長野市に国土交通省から決壊したという情報が正式には伝えられず、テレビの報道で長野市の加藤市長や対策本部も知るという状況になって、水防法においては決壊の恐れと伝えられた時点で決壊するという想定だと思うのですけれども、やはりこれが市民の感覚からすると、お役所仕事でないかというような意見を持つ人もいまして、そういった今回実際起こったことも考えて一元化を要望したのか、それとも別の狙いで一元化を要望しているのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 今の情報伝達の話は重要な話だと思っていますので、先ほど申し上げた今後今回の教訓をどう生かすかというところでは、いろいろな機関同士の情報伝達や共有の在り方を、一つ一つしっかり振り返る必要があると思っています。ただ、先ほど申し上げた河川の一元管理は、どちらかというと河川整備等を行っていく段階で、やはり一体管理でないとどうしても、例えば国と県だと財政的な規模も違います。また、特に長野県の場合は、今回の災害でも改めてわれわれも痛感しましたけれども、上流から下流までいたるところで災害が発生しています。そうしたことを考えると、長野県の河川は長野県だけで完結していませんので、千曲川も新潟県に流れて信濃川という形になっています。そういう意味で、そもそもの河川整備、あるいは河川管理の在り方を一元化することがこれからの防災・減災対策にとっては重要だという観点です。先ほどの情報伝達とは違う観点です。

共同通信 田中陽平 氏
 先ほど知事から、観光の宿泊のキャンセルについて、極めてラフな推計値として20億円超というお話がございました。どの程度の推計値なのか掴めなくて、例えば、今伺った限りだと、要するに新聞記事で宿泊のキャンセルが20億円超という見出しになるのですが、そういう記事にしていいのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 われわれとして、どれぐらいの規模感で対策を講じなければいけないかということで、一定の推計をしています。そういう意味で、この数字だけが一人歩きすると、よくないと観光部からは言われています。ただ、私としてあえて申し上げたのはどれぐらいの規模感かということがないと、危機感を持った対応に結びつけづらいということであえて申し上げました。これはどういう推計をしたかというと、大手の宿泊予約サイトがありますが、そこでの宿泊キャンセル数、あるいは宿泊キャンセル金額を、全体のウエートから逆算して出しているものですので、非常に荒々な計算ではあります。ただ、おおむねの規模感をつかむという上では、そうしたやり方をしないと、精緻に積み上げて計算しているとわれわれとしてスピード感を持った対応ができませんので、今申し上げたように、それぐらいの規模感での損失を取り返すべく、対応していかなければいけないと思っています。

共同通信 田中陽平 氏
 業者から直接お話を聞かれたわけではないということですか。

長野県知事 阿部守一
 各地の観光協会等からも話を伺っています。時点にもよりますけれども、例えば地域によっては、昨年度比で半分程度の見込みになっている、そういうお話も伺っています。また、地域別にも把握をしていまして、多い地域だと宿泊のキャンセルが約2割ぐらい出ているということもありますので、そういう意味では、先ほど申し上げた数字は、宿泊予約サイトからの逆算した数値ですけれども、県内のかなり広範囲に渡って、宿泊のキャンセルが出ているということ、そして宿泊業者の皆さまも、こうした状況に大変困られているという現状であるということは確かだと思います。

共同通信 田中陽平 氏
 実態把握は非常に難しいとは思うのですが、要するに被災によって物理的に泊められないというケースと、そうではないのだけれどお客さんからやめたいという、そういう話に分けられると思います。その割合はいかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 両方あると思います。両方あるというのは、例えば新幹線も長野で止まってしまったという状況もありますし、道路も寸断されたという状況もありますので、来たくても物理的に来れなかったという場合ももちろんあると思います。ただそれ以外のいわゆる風評被害的な要素もなくはないです。被災していない地域のお客さんもキャンセルが出るという状況がありますので、そういう意味では両面あるかと思っています。

信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
 最初は、新幹線「あさま」の件ですけれども、従来のダイヤより3分の1に減ってしまうという状態になります。「あさま」は、今回、高校生たちも通学で利用しているということで、県内の移動においては非常に大事な新幹線だと思うのですが、このことについての知事のご所見と、それからJRに対してはどういうアクションをしていくのかということを教えていただけますか。

長野県知事 阿部守一
 先ほど申し上げたことの繰り返しになってしまいますけれども、まずは新幹線が金沢までの直通運転が行われるようになるということは前進だと思っていますし、応急対応を急いでいただいたJRの皆さんの取り組みには感謝したいと思っています。ただ、まだまだ通常通りのダイヤにはなっていない。現在発表されたダイヤは暫定的なものと伺っていますので、ぜひさまざまな対策をJRには講じていただいて、1日も早く通常通りのダイヤに戻していただきたい。それが先ほど申し上げたように、地域の産業であったり観光であったり、被災地を応援するということにつながりますので、われわれからはそうした趣旨もこれまでもお伝えしてきていますが、引き続きJR、そして国土交通省には伝えて、強力な取り組みをお願いしたいと考えています。

信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
 昨日の知事の官房長官への要請について、応急仮設住宅への要件緩和の感触をお尋ねしたいのと、それから権限代行についてですが、東御の海野宿の市道の箇所と、国道361号の権兵衛2号橋の権限代行の感触はいかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 
権限代行については、国土交通省それから菅官房長官、いずれも強くお願いしています。国において検討いただいているという認識ですので、ぜひ良い方向に早く出していただければありがたいと思っています。

長野県知事 阿部守一
 
先ほど床上浸水は対象になると言いましたが、床上と半壊では違うとのことですので、訂正させてください。

危機管理防災課長 柳沢秀信
 
現在市町村で被害認定調査を行っていますけれども、床上浸水のものについても調査を行って、その調査の結果、半壊になったものが対象ということになります。被害の程度によってということになります。

長野県知事 阿部守一
 
床上、床下という話と、住宅の損壊度合いがどうなっているかという両方を加味するということか。

危機管理防災課長 柳沢秀信
 
いくつかの項目がありまして、それぞれを加味して調査するという形になります。調査結果次第ということです。

長野県知事 阿部守一
 
いずれにしても、非常に重要な話だと私は思っていますので、行政の制度は見ただけではわかりづらいので、わかりやすく広報するようにと言っています。メディアの皆さんにもわかりやすく伝えていただくことができるように整理して、またお伝えしたいと思いますので、よろしくお願いします。

長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
 先ほど出た話の繰り返しとなりますが、千曲川の決壊の話が河川事務所から長野市に伝わりませんでした。長野市でもそれを特別聞きにいったわけではなかったという状態があったように聞いていますが、これについてのご所感と、今後も災害等は当然想定されるわけで、それを踏まえて今後県として取るべき対応等、お考えのことがあればお聞かせいただきたいです。

長野県知事 阿部守一
 
応急対策を関係機関と全力で行っているところですので、情報伝達、共有の在り方についてはどこかの段階でしっかり整理して、教訓とすべきことは何なのかということを共有して、改善すべき点は改善するということが必要だと思っています。先ほど申し上げたように、今回、例えば国管理区間で決壊したわけですけれども、県管理区間だった場合は、また国と県との関係とかがいろいろと出てくる可能性もありますし、避難指示、避難勧告を出す主体は市町村になっています。そういう意味で河川管理者と市町村との連携の在り方というものは極めて重要だと思っていますので、今回の災害時の対応については、振り返りを行う中でどういう点を教訓にすべきかということについて今後しっかり考えていかなければいけないと思います。

長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
 
そもそも今回のことに対する評価みたいなものはありますか。

長野県知事 阿部守一
 私は評論家ではなくて、今長野市や千曲川河川管理事務所とも連携して対応していますし、市と国のやりとりがどういう状況だったかというのは今の時点では承知していませんので、それについてのコメントは控えたいと思います。

長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
 
避難所として豊野西小学校がやはり過密になっているということで、なかなか移動ということもうまくいかないようですけれども、この過密状態がそもそもあるということについてと、これに対する対策、基本的には市の話かもしれませんが、県として何かとるべき対策等があれば教えていただきたいです。

長野県知事 阿部守一
 
政府もかなりプッシュ型支援ということで避難所の環境改善に取り組んでいますし、県としてもできる限りの支援を行ってきています。避難所での生活を長期化させないということがまずは重要だと思いますので、先ほどの県営住宅の提供も含めて、できるだけ早く住宅の確保ができるように取り組んでいきたいと思っています。それには長野市における罹災証明書の発行手続きの迅速化等も必要なので、そういった部分の人的支援をしっかり行っていきたいと思いますし、県としても、先ほど県営住宅の入居の話を申し上げましたけれども、今後借り上げ型の仮設住宅、民間の賃貸アパート等もできるだけ早く、民間住宅ですから所有者等とも調整して、そちらにも入居できるようにしていきたいと思っています。そういう意味で住宅の確保、提供をできるだけ速やかに行っていきたいと思っていますし、また避難所におられる方が体調崩すことがないよう、しっかりサポートしていきたいと思っています。 

長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
 災害対策本部員会議でたまに出てくる話題ですが、飯山の商店街がかなり被災したということで、その生活再建をどうするかというお話があろうかと思いますが、それに対する認識ととるべき対策等についてお話しいただければと思います。

長野県知事 阿部守一
 
飯山の商店街も、今回の浸水で大変な被害を受けているということは十分認識しています。これも国への要望事項にも関連しますけれども、経済産業省、中小企業庁に対して、グループ補助金の適用をお願いしています。通常、民間事業者の債権は融資が中心になるわけですけれども、これだけの規模の災害ですので、ぜひ国と県で協調して財政的な支援をできるように考えていきたいと思います。この点について国に対してこれまでも強く求めてきていますので、実現できるように取り組んでいきたいと思っています。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 知事が先ほど言及されました応急仮設住宅の入居条件の関係についてなのですけれども、国の制度の基本的な考えで言えば、家が全壊したとか、あるいは半壊などで、もうそのままその家は使いませんというものを対象にしているという考え方だと思うのですけれども、知事としてはどうすべきだと思っていらっしゃるのか改めて伺います。

長野県知事 阿部守一
 
できるだけ柔軟にということで要請しています。

建築住宅課長 小林弘幸
 
内閣府から、その取り扱いにつきましては、半壊であっても水害により流入した土砂や流木等により住宅としての利用ができず、自らの住居に居住できない方等については、対象であるということで今回は事務連絡をいただいたところです。この運用につきましては、現在内閣府と最終調整中です。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 
つまり詳細の部分を調整中ということでしょうか。

建築住宅課長 小林弘幸
 不公平が生じないように、運用につきましては統一的な見解が必要だと思っていますので、そこの部分について今、内閣府と調整中です。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 
要するに住めるのだけれども修理に時間がかかるというのが、今回浸水の被害だと、床が水に浸かって下もぐちゃぐちゃになっているということだと時間がかかるので、その間どのように仮住まいするかというのが課題になってくる面があると思います。知事はどうしたらいいとお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 
まさにそこは重要な問題だと思っています。今回水害がありますので、地震の場合ですと、家屋が損壊する形というのは非常に外形的にわかりやすいのですけれども、水に浸かってしまった家屋の場合は、例えば家財道具等も被害を受けていらっしゃるような方もいると思います。そういう意味で、先ほど県としての信州被災者生活再建支援制度を適用していくということを申し上げましたけれども、そうした対応に加えて、他の観点でも支援を行う必要があるのかどうかということについては、実情をしっかり踏まえながら、考えていかないといけないと思っています。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 
具体的には、例えば仮設住宅について要件を緩和して、家を直している間だけ住みたいという人も受け入れられるようにするとか、そういう考えはあるのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 
内閣府と調整中という話があったように、例えば災害救助法の適用内でどこまでやるかということは、国との調整が必要になってくる部分がありますので、私のところだけであまり制度的なものについて、勝手にこうしますというのはなかなか申し上げにくいという現状があります。ただ私としては先ほど申し上げたように、できるだけ柔軟な適用ということを国にも求めてきていますし、また他方で信州被災者生活再建支援制度のように、国の生活再建支援制度だけでは足りないと思うところについては、市町村と共同で作ったわけですので、今回の災害の実態を踏まえて、さらに必要なことがあるかどうかしっかりと考えていきたいと思っています。

朝日新聞 大野択生 氏
 今回特に豊野地区を中心にリンゴの被害が大きかったと思います。まだ被害の全容というのはわからないと思うのですけれども、現状の被害の実態把握というのは、知事はどの程度まで認識されていて、それに対してどういった対応をしていこうかという考えはありますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 私も被災された農家の方ともお話させていただいていますので、丹精込めて作った農作物が水害にあって出荷もできない状況になっているので、落胆されている方々が多いということは十分認識していますし、また土砂あるいはいろいろなものが農地に流れ込んで、農地の復旧から始めなければいけないところがたくさんあると認識しています。何よりも農業を営まれる皆さんが希望を持ちながら、再建に向けて進めていただけるようにしていくことが重要だと思いますので、先般も農林水産大臣がお越しになられたときに関係の皆さんと意見交換をしていただいていますけれども、国においては地域の実情をしっかり踏まえた対策を出してもらいたいと思っています。またわれわれとしても、例えば農機具などが水に漬かってしまって、これから来年の作付けに向けてどうすればいいのかと思いになられている方もいらっしゃいますので、農家の皆さんの思いに寄り添ってしっかり対策を講じていきたいと思っています。

朝日新聞 大野択生 氏
 金額ベースでどれくらいというのはまだですか。

長野県知事 阿部守一
 金額は今手元に持っていないですけれど、農業被害は概算で出したと思いますので、必要なら担当課に聞いてください。

朝日新聞 大野択生 氏
 
先ほどお話の中にありました流域下水道処理場の復旧についても、国に予算の支援をお願いしたとおっしゃっていました。特別な支援をお願いとおっしゃっていましたけれども、具体的にどういった要請されたのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 下水処理場についてはまだ応急対策を行っている段階で、仮設ポンプを設置して何とか対応しているという状況ですので、本格的な復旧に向けてはこれからという状況です。ただ今回の災害の状況からすると、かなり多額な予算も必要になってくると思いますので、冒頭申し上げた、今後、われわれとして予算措置を講じるものの中で、工事をしっかり行っていきたいと思っていますし、その後この施設をどういう形で復旧していくかということについては、しっかり考えていきたいと思います。そういう中で国において、非常に規模が大きいので財政的な支援をしっかり考えていただきたいと思っています。

長野県知事 阿部守一
 先ほどの農業関係の被害額ですが、全体で1億3,000万(正しくは約1,300億円)と申し上げている中で、農作物とか生産施設などを含めて、約87億円ということで数字を出しています。今後精査するとまた変動する可能性もありますが、現時点ではそういう数字でお示ししています。 

中日新聞 渡邉陽太郎 氏
 応急仮設住宅の件について、これからまた借り上げ型の応急仮設住宅もどんどん取り組んでいくということですが、昨日から始まりました県と長野市の入居受け付け、今被災者が一番多い長野市内では、豊野とか穂保などの北部の方が多いのですけれども、長野市が用意した2つは長野駅の東口のすぐそばで、県営住宅等も一番被災地に近いもので西和田辺りというところで、やはり近いところがないということで、長野市に昨日聞いたら、26人しか申し込みがなかったとのことです。それはコミュニティを壊さずに近くに住みたいということで、借り上げを待っている人が多いという分析を長野市がされていたのですが、それを踏まえて知事も、これから県営住宅への入居というのは続けていきますし、要件もちゃんと罹災証明を長野市と合わせて緩和したのですけれども、今借り上げて近いところで住める環境を作ってあげることが重要と考えられるのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 重要だと思います。長野市の皆さんには、被災された方々の希望をぜひ丁寧に聞き取ってほしいと思います。私どもも県営住宅の受け付けに当たっては、状況等を差し支えない範囲で、よくお聞かせいただく必要があると思って、そういった指示をしていますけれども、例えば栄村の地震のときも、やはり地域の皆さんの声を伺うと、集落コミュニティを壊したくないとのご意見がかなりありました。そういう意味で、栄村の場合は仮設住宅を建設して、その後、最終的には復興公営住宅を建設したわけですけれども、できるだけ住み慣れた場所でという形に配慮させていただいています。今回の対応は長野市分については長野市中心になりますので、私はあまりここで踏み込んだ発言はできない分野ですけれども、どういう形で今後の生活設計をされるかということについては、ぜひ丁寧にお伺いをしていただいた上で、長野市においても対応していただきたいと思いますし、われわれもできるだけの協力、支援を行いたいと思っています。

農業政策課企画幹 佐藤源彦
 今回の台風の農作物の被害額ですけれども、13億8,700万円余となっています。

長野県知事 阿部守一
 それは農作物の金額です。施設等を含めると、先ほど私が言った数字です。

農業政策課企画幹 佐藤源彦
 
現状の数字です。

 2 豚コレラのワクチン接種後の県の対応について

日本農業新聞 藤川千尋 氏
 豚コレラの関連で、知事が先般から国の判断のもとでワクチン接種を進めてほしいということをおっしゃっていまして、26日からワクチンの接種が始まるということでして、今後ワクチン接種をした後に定期接種とか抗体の確認検査等も行っていくと思うのですけれど、ワクチン接種後の風評被害の徹底をしてほしいだとか、あと感染源の野生イノシシの対策の強化を引き続きしてほしいとか、いろいろな声が聞かれますけれども、ワクチン接種後の県としての対応はどういう意気込みかということを、知事の所感を伺ってもよろしいでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 ワクチン接種をしただけで、豚コレラの問題が収束するわけではないということはご指摘の通りだと思います。私としては、一つはワクチン接種した豚は、食用として全く問題ないということをアピールしていかなければいけないと思います。いわゆる風評被害的なことにつながらないようにしていくということが重要だと思っていますし、また飼養豚についてはワクチン接種を行うわけですけれども、県内、イノシシでの豚コレラが発生しているという状況もありますので、並行してイノシシ捕獲等の対策も進めていかなければいけないと思っています。
 加えて、豚コレラの進入が起きないように、水際対策については引き続き国に強く求めていかなければいけないと思いますし、そうしたことを背景としながら、農家の皆さんのバイオセキュリティレベルの向上ということについても、引き続き考えて、取り組んでいく必要があると思っています。ワクチン接種をすることで、豚コレラ対策、大きな節目を迎えて、転換点になるわけですけれども、引き続き農家の皆さま方のお考え、思いを十分お伺いしながら、万全な対応を行っていきたいと思います。

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 3 台風第19号に伴う災害への対応について 2

長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
 復興の方針なのですけれども、先般本部員会議で作るというお話がありましたが、その後の進捗とかの見通しはどのようなのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 今鋭意作業中ですが、週明けの早い段階で素案のようなものをお示ししたいと思っています。素案と称しているのは実際、先ほど長野市との関係の話もいろいろございましたけれども、復旧・復興に向けてはかなり市町村と連携して行わなければいけないことになりますので、市町村と一緒に検討しなければいけない部分もあります。そういう意味で、そうしたものを週明けの早い段階でお示しし、市町村とも調整した上で取りまとめていきたいと思っています。

長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
 最終的にこれが方針だと出来上がるのは、まだ時間がかかるという感じでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 いや、なるべく時間をかけずに行いたいと思います。本部員会議でも言っていますけれども、盛り込むべき点は方針を待たずに、決まったことはどんどん出していきたいと思っていますし、方針自体も逐次改訂しなければいけないと思っています。災害対応で流動的な部分もありますので、充実したらその都度改定しますので、第1弾については来週素案を作って、間を置かずに、取りまとめられるように市町村と調整したいと思います。

長野放送(NBS) 中村明子 氏
 先ほどの農地の関係ですけれども、被災地では今とにかく住宅に関わる部分を優先されている状況だと思うのですが、リンゴの畑を見ると、まだ水と泥がたまった状態で、農家の方に話を聞くと、早く排水して泥出ししないと木が駄目になって、来シーズン以降も駄目になってしまうのではないかと非常に不安を抱えていらっしゃったのですが、そのあたりの農地の復旧作業についての支援ですとか、見通しというのはどのような状況でしょうか。

長野県知事 阿部守一
 農地の復旧は国のスキームもあるので、それを踏まえて市町村において、迅速な対応を行ってもらいたいと思っていますし、われわれも必要な応援や取り組みをしっかり行っていきたいと思います。例えば土砂の搬出等について、農地も泥に覆われて、住宅も泥に覆われて、公共施設や道路も泥に覆われているという状況になっています。まず泥の排出の考え方については、しっかりと方向性を整理しなければいけないと思っていますし、例えば排水路等に泥がたまっている場合は、またそこから水が流れずにあふれるという形になりますので、建設部中心に対応を考えています。農地の復旧については農政部で取りまとめていますので、詳しい状況を説明できる資料を持っていませんけれども、もう少し詳しい状況を聞きたければ、農政部に聞いていただければ、どういう制度になっているかとか、どういう動きになっているかということはお伝えできると思います。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 今の泥の件で補足で伺いたいのですけれども、道路からも泥が出ています。農地からも泥が出ています。家の敷地からも泥が出ています。今集めて排出ということをやっているのですけれど、最終的には泥をどうしたらいいと思いますか。

長野県知事 阿部守一
 先ほど言ったように昨日建設部に、泥対応をどうするかという方針を考えてくれということで指示しています。というのは、復旧を進める上でやはり泥が支障になっていますし、もう一つは先ほど申し上げたように、排水路等に泥がたまっていると、またそこで水が流れず、地域が浸水してしまうという状況になりかねないので、この泥の問題は縦割りではなくて全体的に対応する必要があるということで検討を指示していますので、方向性が分かればお伝えするようにしたいと思いますが、今鋭意検討しています。また整理したいと思います。
 ありがとうございました。

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