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更新日:2019年5月24日
長野県知事 阿部守一
それでは5月24日の会見を始めます。少し項目が多いので、簡潔に6点ほど私から申し上げたいと思います。
まず1点目ですが、園児の交通事故を受けた緊急交通安全対策についてです。5月に大津市で大変痛ましい交通事故が発生しました。保育園、幼稚園の子どもたちが、この交通の危険性から守られるような社会にしていかなければいけないと考えています。そういう中で、交通安全運動推進本部、私は本部長ですが、この推進本部として、園児の交通事故を受けた緊急交通安全対策を取りまとめて、関係機関と連携して進めていきたいと考えています。まずは6月中に、緊急安全点検を行っていきたいと思っています。全ての保育所、幼稚園を警察の皆さんにご訪問いただいて、散歩ルートの安全確認を行わせていただくと同時に、散歩ルートの見直しであったり、あるいは園内の安全管理であったり、こうした安全指導を実施していきたいと思っています。
また過去5年間にお子さまが事故の当事者となった交差点の点検も行っていきたいと思っています。こちらについては、7月までに実施していきます。こうした安全確認により、さらに重点的な取り組みを行うべき箇所を抽出し、安全確保重点箇所というものを抽出していきたいと思っています。こうした箇所については、重点箇所であることを明示するための注意看板やのぼり旗の設置、あるいは、緊急性の高いものから安全施設の整備等を必要に応じて行っていきます。
また、「夏の交通安全やまびこ運動」において、集中的な啓発安全教育を行っていきます。また、警察による指導や取り締まりも実施します。こうしたことを通じて、子どもたちを安全安心に守れるように全力で取り組んでいきたいと思っています。
また、実際に幼稚園、保育所の皆さんの声をわれわれが直接しっかりお伺いしていきたいと思っていますので、そうした中で、国に対して制度改善の要望等すべき事項があれば、そうした取り組みも行っていきたいと思っています。警察、道路管理者、市町村をはじめ関係機関としっかり連携して、着実に対策を進めていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから2点目ですが、しなの鉄道株式会社の代表取締役そして専務取締役の候補者についてです。しなの鉄道は県が出資している第三セクター鉄道ですけれども、玉木淳社長におかれては、6月11日の定時株主総会をもって、任期満了ということで、ご退任される予定となっています。
玉木社長には、持ち前の行動力と柔軟な発想で、さまざまな取り組みをしていただき大変感謝しています。軽井沢の「駅ナカ」開発や観光列車「ろくもん」への新プラン導入等、いろいろなアイデアで、しなの鉄道の経営改革、あるいは、観光客の誘致、こうしたものを行っていただきました。また、長年の懸案であった、老朽化車両の更新についても、道筋をつけていただきました。
これから県としても財政支援をしっかり行っていかなければいけないわけですけれども、こうしたご努力にまずは感謝を申し上げたいと思います。地域の皆さんともしっかり交流していただいて、しなの鉄道の存在感も高めていただきました。重ねて感謝申し上げます。
そういう中で、県として後任については、今のしなの鉄道株式会社の専務取締役である春日良太氏を推薦させていただくこととしました。春日専務は県職員を退職された後、平成27年6月から今日まで、しなの鉄道株式会社の専務取締役を務めています。平成28年6月の玉木社長就任後も社長をしっかり支えて事業運営の中核を担ってご尽力いただきました。先ほど申し上げたように、今のしなの鉄道の取り組みの方向性は、非常にいろいろな工夫、努力をしていただいていますので、当面、こうした方向性についてはしっかりと引き継いでもらいたいと考えています。そういう中で、しなの鉄道株式会社の第四次中期経営計画で目指す姿として、新たな地域鉄道の創造ということも掲げています。全社一丸となって、玉木社長が引いた道筋を実行していく上では、春日専務が社長に就任していただくことが最適だと判断させていただいたところです。
また合わせまして、後任の専務については、これまで地域活性化の取り組み等で自治体と連携し、多くの実績を上げています、三菱地所株式会社から、同社のソリューション部門の理事をお務めになられている、岡田忠夫氏をお迎えしたいと考えています。しなの鉄道はさまざまな資産を抱えています。こうしたものの活用による財政基盤の強化や、あるいは、しなの鉄道沿線地域の活性化といった取り組みで、ぜひこれまでのご経験も生かして、活躍いただければと思っています。
新しい体制のもとで、しなの鉄道が鉄道会社の基本的な責務としての安全な運行、地域の皆さま方の信頼に応えられる経営を図っていただくと同時に、将来に向けて、さまざまな新しい取り組みも含めて、ぜひ発展していただくことを、心から期待しているところです。
長野県知事 阿部守一
それから大きな3点目ですが、獣医師の関係です。獣医師につきまして、県職員として採用勤務条件を見直しして、応募者増を目指していきたいと考えています。来年4月に採用予定の獣医師につきましては、来週の5月27日から、受験申し込みの募集を開始する予定です。近年の獣医師の応募者数は減少傾向にあり、昨年度は15名程度の採用予定者に対しまして、応募者が12名、最終的な採用者が2名ということで、人材の確保が非常に難しくなっている分野です。
こうしたことから、庁内に検討チームを設置して、採用方法、勤務条件の抜本的な見直し等について検討を重ねてきました。こうした中で、まず獣医師確保を目的とした初任給調整手当の導入について、人事委員会に検討いただくようにお願いしました。また、より多くの方に受験いただけるように受験年齢の制限を事実上撤廃する方向で見直しを行います。また、受験生の利便性の向上ということで、通年で募集を行うとともに東京都内でも考査を行っていきます。このほか公衆衛生分野と畜産分野の人事交流、あるいは研修派遣制度の推進、充実、こうしたことを図るなかで勤務条件をより働きやすい環境に変えていきたいと思っています。今後OB・OG職員のリクルーターによる獣医系大学の訪問や情報発信を強化していくことを通じて、獣医師の確保に向けた取り組みをさらに強化していきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから大きな4点目ですが、「パラスポーツフェスタin 松本」の開催についてです。6月2日(日曜日)に松本市総合体育館で「パラスポーツフェスタin 松本」と題しまして、パラスポーツを気軽に体験できるイベントを開催する予定です。単にこのイベントということではなくて、長野県は昨年6月に日本財団パラリンピックサポートセンターとスポーツを通じた共生社会の創造に向けた連携協力に関する協定を締結いたしまして、障がい者スポーツの普及を通じた共生社会づくりに力を入れてきたところです。このパラスポーツフェスタの開催を通じて、スポーツを通じた共生社会づくりの取り組みを長野県として本格的に進めていくキックオフイベントとして位置付けていきたいと考えています。そういう観点でスポーツを通じた共生社会づくりの取り組みのキャッチフレーズとロゴマークの発表をこの場で行わせていただきたいと考えています。
今回のイベントを皮切りとしまして、本年度、県内77市町村において多くの県民の皆さま方、誰もが楽しめるパラスポーツを体験する機会を提供するプロジェクトを進めていきたいと思っています。こうしたことを通じて、地域共生社会の実現を目指していきたいと思っています。なお、当日は、車いすバスケットボール、ボッチャ、ゴールボールといったパラリンピック種目を含む8種類のスポーツの体験コーナーを設けさせていただきます。また、ゲストとして松山三四六さんやリオオリンピックのシンクロナイズドスイミングの銅メダリスト箱山愛香さんなどもお迎えさせていただいて、ゲストの皆さんのトークショーあるいはデモンストレーション競技等もお楽しみいただけるように準備をしているところです。私も参加をさせていただく予定になっていますので、多くの皆さま方にお越しいただければ大変ありがたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから5点目ですが、「令和元年度ふるさとの森づくり県民の集い」の開催についてです。県民が主体的に参加していただき、森林づくりを進めていくため、ふるさとの森づくり県民の集い、毎年開催しています長野県の植樹祭ですが、今年は木曽郡木曽町の御岳ロープウェイ及び隣接の黒沢御岳国有林で開催します。多くの皆さま方にご参加いただき、今「信州花フェスタ」を開催中ですが、あちらは都市の緑化、そしてこの長野県植樹祭ふるさとの森づくり県民の集いは森林の整備、森林資源を次の世代にしっかりと引き継いでいくという観点で取り組みを行いたいと思っています。なお、本日午後2時半からは長野トヨペット株式会社様から「ふれあいグリーンキャンペーン」として、カラマツの苗木の贈呈式がありますが、いただいた苗木についてはこの県の植樹祭で植栽したいと思っています。また、天皇陛下のご即位を記念した植樹も行っていきたいと考えています。県民の皆さま方の多くのご参加をお待ちしています。
長野県知事 阿部守一
それから最後6点目ですが、「信州花フェスタ2019」についてです。昨日令和元年度の全国都市緑化祭を眞子内親王殿下のご臨席のもと盛大に開催することができました。ご臨席を賜りました眞子内親王殿下をはじめ多くの関係者の皆さま方、ボランティアの皆さま方に改めて心から感謝を申し上げます。春から初夏にかけての信州の美しさ、素晴らしさというものを、眞子内親王殿下をはじめ、多くの皆さま方に実感いただく機会になったのではないかと考えています。
「信州花フェスタ2019」は開幕してから1カ月間経過しているわけですが、これまでに累計約46万人を超える方々にお越しいただいています。多くのご来場いただいた皆さま方に厚く御礼を申し上げます。閉幕まで残り約2週間となっています。まだご覧いただけていない方にはぜひご来場いただきたいと思っています。最後まで多くの皆さま方に楽しんでいただける、そしてこれからの長野県の都市緑化に繋がるような花フェスタになるように努力していきたいと考えています。私からは以上です。
時事通信 真勢春海 氏
先ほど獣医師の採用の関係のお話がありましたので、県の職員の獣医師の方は保健福祉事務所や食肉衛生検査所などさまざまな場所で活躍されていると思うのですけれども、受験を考えられている方へ知事からのメッセージをお伺いしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
長野県は自然と共生して発展してきた県ですし、また動物愛護であったりあるいは畜産振興であったり、さまざまな観点で獣医師の皆さんの力が大変必要とされています。そういう中で、自然環境豊かで生活のしやすい長野県に多くの獣医師の皆さんに集っていただいて、長野県で獣医師としての資格や能力を生かした取り組みをぜひ多くの皆さんに行っていただきたいと思っています。長野県としても、先ほど申し上げたように獣医師の皆さま方の働きやすい環境づくり、魅力ある職場づくりに全力を挙げていきたいと思っていますので、ぜひ1人でも多くの皆さまに志願、応募いただければありがたいと思っています。
時事通信 真勢春海 氏
2点目ですけれども、日本人の人名のローマ字表記の関係ですが、柴山文部科学大臣が先日の会見で、名・姓の順が一般になっているのを、日本語の語順どおりにするように、都道府県などに要請する考えを表明されて、あと河野外務大臣も、国際報道機関に要請する考えを明らかにされましたけれども、この件についての知事のお考えをお願いします。
長野県知事 阿部守一
ローマ字表記の議論が今、盛り上がってきていますけれども、その少し前から私も問題意識を持っていまして、当たり前のように、名前と姓の順番で表記をしてきていますけれども、われわれは、国内では、姓・名の順に自己紹介をしますし、表記もしていますので、いささか違和感を持っていました。
そうしたところを調べてみると、かつて文化庁からはローマ字表記について国語審議会で議論された経過があり、そして日本人の姓名のローマ字表記に関しては、姓・名の順とすることが望ましいという方向性が出されているということを知りましたので、私もローマ字表記については、原則として姓・名の順番に改めていった方がいいのではないかと考えています。そうした観点で、実は先月、山ノ内町とコロラド州ベイル町の連携協定、協定変更後の締結式がありましたが、その際、私も立ち会って署名をいたしましたが、その署名は阿部守一と、姓・名の順番で記載をさせていただきました。私が今使わせていただいています英語表記の名刺も、阿部守一と、姓名という順番にすでにさせていただいているところです。今後、国際課で、この長野県の機構図、英語表記一覧なるものを作っていきます。その中で参考として名刺の表記の記載についても触れていますが、これまで従来は、名・姓という順番になっていますけれども、それについては変える方向で、機構図と一緒に通知をするか、別途通知を出すかというのがありますけれども、いずれにしても本県においては、原則として姓・名の順番での表記にする方向で、各部局にも通知をしていきたいと考えています。
このことについては、それぞれの組織や団体でいろいろな使い方があるわけで、混在してしまう状況が長く続くのはあまり適切ではないのではないかと思います。われわれは、通常、姓・名の順番で使っているので、この表記のあり方については、ぜひそうした方向で、姓・名という順番での表記が広まることを期待しているところです。
時事通信 真勢春海 氏
知事は、以前からローマ字表記の順番について関心を持たれていたということですね。
長野県知事 阿部守一
私がオリジナリティを持って問題意識を持ったというよりは、今回いろいろな方たちが、問題意識を持たれていることと多分同じだと思うのですけれど、いろいろなところで、水面下での議論が行われている中で、私もそうした議論に触れる機会がありました。そういう中で、調べてみると、先ほど申し上げたように国語審議会の議論とか、文化庁からの通知とか、そういうものがあるということがわかりました。それであれば、まずは自分のところからやっていってはどうかということで、問題意識を持っていました。
時事通信 真勢春海 氏
対応としては、県職員の名刺についても、順番を変える方向での考えでよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
いろいろな人達と一緒に会議をするときには、それぞれの団体の流儀というのがいろいろあると思いますので、県が関わるもの全部を統一するのは現実問題難しい面もあるかもしれませんが、例えば名刺とか長野県だけで完結するようなものについては、基本的にその方向、姓・名という順番の表記にするように、国際課から各部に通知文書を出す方向で今考えています。
日本経済新聞 北川開 氏
まずしなの鉄道の社長人事についてお伺いしたいと思います。前任の玉木社長は、東京海上からの出向という形で来られまして、外部からの視点を生かした観光誘客や自治体、地域の振興などに取り組んでこられました。新しく社長候補となります春日さんは県職員のご出身ということで、そういう県職員ならではの視点みたいなところで、ご期待するところはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私は実は春日氏をよく知っています。昔から一緒に仕事をさせていただいたことがありますのでよく知っていますが、非常に真面目に着実に業務を推進していく方であると思っています。当然、玉木社長にも、お考えを伺わせてもらっていますけれども、これまでの取り組みの経緯等、春日専務が一番状況を把握していますので、そういう意味では、春日さんが最も望ましいのではないかというお話を今の社長からいただいています。そういうことも含めて適任者だと考えています。
日本経済新聞 北川開 氏
冒頭の話もありましたように、春日新社長には、玉木社長の路線を引き継いでもらうということを期待してらっしゃるということですか。
長野県知事 阿部守一
多くのいろいろな市町村をはじめ、関係の皆さまと話をさせていただくと、しなの鉄道がこれまで取り組んできたことに対して、前向きなご評価をいただくことが非常に多くあります。そういう意味では、これまで積み上げてきた方向性を基本的には引き継ぎながら、もちろん春日社長独自の色も出していただきたいと思いますけれども、今、いい方向で進みつつあるこの流れをぜひ途絶えることのないようにさらに発展させていってもらいたいと期待しています。
日本経済新聞 北川開 氏
獣医師の件についてお伺いしたいのですけれども、長野県内で獣医師の不足というのはかなり深刻になっているのでしょうか。
人事課長 玉井直
まず県職員の関係で申し上げると、昨年度15名採用予定ということで募集をしたのですが、結果的に2名ということですので、採用できなかった分、他の者で対応しなければいけないということもありますので、獣医師の確保に全力を挙げて対応しなければいけないという状況です。
食品・生活衛生課長 吉田徹也
獣医師全体の採用につきましては、私どもでは把握していません。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
しなの鉄道の関係ですが、三菱地所の岡田さんですけれども、岡田さんは長野県のご出身ではないかと思うのですが、どういった経緯で岡田さんが次の専務ということになったのか、可能な範囲でお聞かせいただければと思います。
長野県知事 阿部守一
先ほども少し申し上げたように、しなの鉄道をこれから発展させていくうえでいくつか課題があると思っています。
一つは車両の更新を含めた安全運行、鉄道会社のメインテーマとしての取り組みですが、それに加えて遊休資産の活用や、沿線地域の活性化、これまでも市町村と連携して、いろいろな取り組みを進めてもらっていますけれども、こうした部分がこれからますます重要になってくると思っています。そうした観点でまちづくり等の知見を有する方を迎え入れていくことが必要ではないかということをかねてから考えていたところです。
県としても別途UDC信州(信州地域デザインセンター)のように、まちづくりに力を入れていこうと思っていますけれども、しなの鉄道のこれからにおいてもこうした観点が重要だと思っています。そういう中で三菱地所では、自治体との連携による地域活性化事業、さまざまに取り組まれている実績があります。そういう観点で岡田氏をお迎えさせていただくわけですけれども、ぜひ三菱地所で培われた知見や人脈を生かしていただいて、会社の経営における、いま申し上げたような沿線地域との連携によるまちづくりや資産の有効活用、こうした部分における能力の発揮を強く期待しているところです。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
地方創生の件ですが、昨日総務省の有識者会議がありまして、そこでこれまでの5年間の取り組みの報告書の中間まとめが上がってきて、これから第二期に入っていくということですけれども、政府が進めているわけですが、この間東京圏の転入超過というのはむしろ強まっていると、2018年は14万人の転入超過ということで、流れは変わっていないというのが実態だと思います。大きな流れを変えるには、今の地方創生の仕組みではなかなか抜本的には難しいのではないかと思います。もう少し、より大がかりな、それが省庁の移転なのか、企業の地方への移転を大規模に進めるべきなのか、いろいろな考え方があると思うのですが、知事はこの5年間をご覧になって、また将来を展望してどのようなお考えをお持ちでしょうか。
長野県知事 阿部守一
いくつか視点があると思いますけれど、まず一つは、われわれ、地方の側、都道府県と市町村がより頑張らなければいけないと思います。これまでも、例えば子育て支援であったり、あるいは移住支援であったり、そうしたことを通じて社会増減のマイナス幅もかつてに比べると、本県の場合は縮小してきていますけれども、しかしながら、依然としてまだ転出超過が続いているという状況ですので、ここは移住担当部局だけではなくて、全ての部局がしっかり問題意識を持って、人の定着、そして県外からの人の受入れ、今一度フォーカスして、力を入れて取り組んでいかなければいけないと思います。
それと同時に、国全体の形のあり方というのが、例えば分権型社会を私はもっと進めるべきだと思っていますけれども、なかなか本当の意味での地方分権が進んでいないと思います。要は多くのことが永田町や霞が関で決めざるを得ない。決まっていくという状況の中で、結局そこにいろいろな企業やメディアが集中せざるを得ないような状況になっているということがあると思います。これは首都圏の直下型地震の問題、災害リスクを考えたときにも、やはりあまりにも多くの機能や機関が東京に集中しているというのは、国土の安全性という観点からも課題があるのではないかと思いますので、ぜひこうした点については、なかなかわれわれ地方だけの努力ではできない分野ですので、ぜひ国においても引き続き地方への本当の意味での地方分権の推進と、そしてそういうものと合わせたさまざまな機関の分散促進、これは国土の安全性の確保といったような観点も含めて、ぜひ考えていただけるとありがたいと思います。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
自治体職員の件ですけれども、過日財務省が地方財政の現状を議論する中で、自治体職員の一般行政職の方が4年連続で増えているという点を取り上げて、これからAIなどを活用することによって5年間で3%程度減らせるのではないかと、こういう試算を出したということがありました。これまで努力して長野県内は職員を絞ってきていると思うのですが、こういった試算に対して、どんなご所見でしょうか。
長野県知事 阿部守一
財政審議会でこれまでも時々そういう議論が出てきまして、私も審議会に出されたそのものの資料を見てみましたけれども、表現上は例えばということで書かれているので、それがおすすめだとかそれをやるべきだとかという表記にはなっていないので、そのこと自体、人口減少社会ですから、ある程度そういうことを念頭に置きながら、地方行政、地方財政のあり方も考えるべきだというのは、ある種、当然の部分ではないかと思います。当然というのは、国がこうしろということであれば私は、明確にノーと言うつもりですけれども、例えばという形で表現されていますので、そういう意味では、例えばとしての表記としてはそういうものもあり得るだろうと思っています。
われわれ地方公共団体の側としては、当然人口減少下で税収の急激な増大等も見込まれない中で、職員定数の適正化や、削減・抑制あるいは、人件費総額の抑制ということは取り組んできているわけでありまして、この点については全国知事会からも、国の職員数であったり、もっと地方で減らすべきであったりというような議論に対しては、これまでも、いろいろな形で反論してきています。国の一般職の職員に比べて、われわれ都道府県の職員数、相当これまで減らしてきている状況にありますので、まずそうした、私も国だけ減らせばいいとか、県だけが減らせばいいとかという話ではなくて、やっぱり国・地方を通じて、どういう行政改革があるべき姿なのかというのは、もっと一緒に考えるべきだと私は思っています。国が悪い、地方が悪いみたいな話になると、国民から見れば別にどっちだろうが、われわれが仕事を委ねている行政なので、地方が悪いとか国が悪いとかっていう話をしてもあまりしょうがないのかと思います。それよりむしろ私が感じているのは、例えばわれわれ都道府県、市町村は国が法律を作ったり、あるいは通知を出したり、そういうことを通じて、やらなければいけない仕事というのを本当にたくさん抱えています。たくさん抱えている仕事について、本当に未来に向けてこのやり方でいいのかとか、本当に優先順位をつけたときにもっとこの仕事は減らした方がいいのではないかという議論を、われわれ都道府県だけではできないので、そうした議論を国と一緒にできるような環境になるといいのではないかと思います。ぜひ、財政審議会はじめ財務省においては、そういう観点で考えてもらえるとありがたいと思います。特に全国知事会等でも発言させていただいていますけれども、国と地方が協議する場というのは重要だと思っていますけれども、もう少し実質的な議論をすることを通じて、国・地方を通じての行政改革を進めるというような方向性をぜひ出していただけるとありがたいと思っています。
中日新聞 渡邉陽太郎 氏
2点お伺いします。まず1点目ですけれども、今、国と地方の議論、自主的な議論の場ということをおっしゃっていましたが、今度の参院選で、もしかしたら衆院選も同時かも知れませんが、7月には参院選が告示されて、県内ではいろいろ構図が固まりつつあります。
いろんな国レベルの争点というのは、改憲ですとか、そういうことが言われていますが、知事としましては、今おっしゃった国と地方自治体のあり方など広報の論戦によってどのような議論が沸き起こることが望ましいと思っていましたでしょうか。それと、また何か争点として話し合っていただきたいこと、知事としてありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
全国知事会でも国政選挙ごとに国の各政党にこういうことをマニフェストに入れてほしい、そしてどれぐらい盛り込まれているかという、政権のマニフェスト評価というのがある。そのような委員会を作ってやっていますので、そういう中でやはり、地方分権をもっと推進するとか、あるいは先ほどもお話がありましたけれども、地方創生をより実質的に進めてもらいたいというようなことを、われわれは常に要請してきていますので、国政の課題は、外交や安全保障、あるいは憲法の問題といろいろあると思いますけれども、県民、国民の暮らしを支えているのは、都道府県、市町村が、かなりの役割を担わせていただいていますので、ぜひこうした地方に対しても、しっかり目を向けてですね、政策を作っていただけるとありがたいと思います。
中日新聞 渡邉陽太郎 氏
2点目です。昨日教育委員会の定例会見がありまして、例のわいせつ事案の件で、性別の非公表について昨日付の朝刊で、 弊誌と朝日新聞さんで報じたのですけれども、現状、性的少数者に社会がまだ理解が十分でないということで、性別を公表してしまうことで、子どもたち被害者に不利益があるという中で教育委員会さんは、非公表にしているわけですけど、そのことについて複数の有識者がですね、教育委員会がそういうことを自認してしまったら、社会が性的少数者に偏見を持っています、と追認することになるという指摘も出ていまして、それを教育長に伝えたところ、そういう考え方があるかもしれないけれども、ただ、第三者の委員の多数が社会はそういう状況で公表は好ましくないということでこのような状況になっていますと、その中で、社会がそういう状況でなくなれば、公表ができるということもおっしゃっていたのですけれども、そのために、まだ形は見えませんけれども、教育の現場ではその偏見を取り払う努力をしていくと。
ただ一方で、社会というのは教育現場ではなく、すごくいろいろなところも含んでいますので、まず県としては、偏見を取り去るために、今後、性的少数者への具体的に進めている施策ですとか、進めていきたいことはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
最近は把握してないのですけれども、人権・男女共同参画課で各部局と問題意識を持ち寄って、どういう対応をしていく必要があるのかということを検討してきているはずです。今どこまでどういう議論になっているかということを私は把握していませんけれども、県としてはやはりこの問題はしっかり向き合っていかなければいけない問題だと思います。
特に、例えば教育現場でそういう議論が行われるとすれば、なおさらのことですので、長野県は「誰にでも居場所と出番がある県づくり」ということをうたわせていただいていますので、そうした方向性に恥じないような取り組みを考えていきたいと思います。今の状況は改めて把握して、確認しておくようにしたいと思います。
中日新聞 渡邉陽太郎 氏
識者からは、第三者の意見があるとはいえ、やはり教育機関がそれを解消する具体策を持たずに、無批判に、今こういう状況だから公表しない方がいいというのを受け入れてしまったことに関してはすごく厳しい指摘があります。ただ知事は、教育長や教育委員会がそれを受け入れて非公表にしているということは問題ないと考えているのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
教育委員会の議論というのを、検討委員会、第三者の人たちに検討してもらいました。その結果を踏まえてということだと思うので、教育委員会としても、そこはいろいろな議論がある中で、丁寧に検討された上での結論だろうと思います。
私も教育委員会の昨日の議論は直接分からないですけれども、何度もこの不祥事の公表のあり方については、意見交換をさせていただいてきていますけれども、私は基本的に出せる情報は全部出すべきだと思っていますが、いろいろな不祥事事案があったときに、メディアでもよく報道されているように、子どもたちの動揺とか、あるいは心に、そのことによって、深い痛手を負ってしまうような子どもたちとかですが、そういう子どもたちがいるということも、これは事実だと思いますので、そういうことを幅広く考えながら、慎重に考えなければいけないと思っています。
県民の皆さま方とか国民の知る権利というのはもちろん尊重しなければいけないと思いますが、子どもを守るということも、一方で考えなければいけないので、そこをどう比較衡量するかということが重要なのかと思います。
信越放送(SBC) 森信穂 氏
園児の交通事故を受けた緊急交通安全対策についてお伺いします。現在、県が具体的なことをされるということなのですが、市町村でも動かれている自治体があるということで、そちらとの連携についてはどのようにお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今回、交通安全運動推進本部として進めていきたいと思っていまして、そういう意味でこの地方部、県全体とそれぞれ地域振興局中心に地方部がありますけれども、市町村も含めた、地域の機関にも参画をしていただいて取り組みを進めていますので、そうした中で連携調整を図りながら取り組んでいきたいと思います。
長野朝日放送(abn) 坂口沙羅 氏
獣医師の件でも、県の方で働き方の条件ですとかそういう見直しをやっている中で、先ほど阿部知事も共同宣言をしたわけですけれども、阿部知事自身や県職員ですとか、知事から見て今の働き方についてどのような印象をお持ちでしょうか。
長野県知事 阿部守一
変えるべきところがたくさんあると思っています。特に女性職員と対話をさせていただくと、やはり例えば、なかなか家庭の用事があっても、職場によっては勤務時間が終わっても帰りづらい雰囲気があるといったようなことも言われました。先日の移動知事室でも職員と対話させていただいた時には、これは男性の職員なのですけれども、現地機関であれば、何とか家庭と両立できているけれども、本庁で勤務するようになった場合には果たして同じようにできるか心配だといったような声もあります。
そういう意味で長野県の働き方、県職員の働き方が働き方改革として非常に高い点をつけられるかというと、必ずしもそうではないと思っています。例えば今年から10日連続休暇を取ってくださいというお願いをしていますが、今何割ぐらい取るようになっていますか。
人事課長 玉井直
今全員を対象に計画を作っていまして、約9割の者がとるということで今計画を作っていますので、できるだけ環境を整えながらとってもらうと。中には仕事の関係、それから育児とか介護でとれないという者もいますので、そういう者はそちらを優先で、ということで当然だと思います。できるだけ10日連続ということで計画を作って、とっていくという形で今やっている状況です。
長野県知事 阿部守一
多くの人たちが、10日連続で休めるようにしてもらうことにしています。これは、先ほどの宣言のときに中山会長が、今までの仕事をそのままにしておいては、なかなか働き方改革できないという話がありましたけれども、私どもも単に10日連続休むことがいいという、そこを即物的にとらえているわけではなくて、そのことを通じて、10日間一つの席が空席になる、職員が休むということになれば、必ずその間に、その職員が抱えている仕事に関連する課題というのは出てくる可能性が高いわけです。複数の職員で、分担し合うということを行わなければ、10日間連続して休むことはなかなか難しいだろうと思っています。
ですから、10日間の連続休暇を通じて、組織内がチームワークとして機能するように、あるいは1人で担当していたことを他の人と分担したり、あるいは複数の人間が担当したり、そうしたことも併せて行っていきたいと思っていますので、そうしたことを通じて働きやすい環境づくりをしていきたいと思っていますし、その一つの例ですけれども、今、県全体でしきたりの見直しを行うということで取り組みを始めていますので、必ずしも明文化されてないけれども本当にこの仕事のやり方でいいのか、というようなことがいろいろありますので、そうしたことをそれぞれの職場でもどんどん見直してもらいたいと思いますし、県庁全体でも見直していきたいと思っています。
どうもありがとうございました。
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