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更新日:2019年9月13日

知事会見(令和元年(2019年)9月12日(木曜日)11時15分~12時14分 会場:県庁)

項目

阿部知事からの説明

  1. 東山魁夷館のリニューアルオープンについて
  2. 部局長会議について
  3. 出口クリスタ選手の世界柔道選手権初優勝について

取材者からの質問

  1. 豚コレラ対策の予算案について
  2. 第一次産業のスマート化について
  3. 養豚農家に対する早期出荷への支援策について 1
  4. 信州ITバレー構想について
  5. 養豚農家に対する早期出荷への支援策について 2
  6. 9月補正予算案について
  7. リニア中央新幹線の開業について
  8. 豚コレラ対策について
  9. IT人材の確保について
  10. 県民1人当たりの可処分所得の向上について
  11. 政教分離問題について
  12. 御嶽山噴火災害への追悼式への出席について

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本文

阿部知事からの説明

 1 東山魁夷館のリニューアルオープンについて

長野県知事 阿部守一
 私からは冒頭、大きく3点申し上げたいと思います。まず1点目が、東山魁夷館のリニューアルオープンについてです。東山魁夷館につきましては、改修工事のため2017年5月から、約2年半休館しています。いよいよ、10月5日の土曜日に、リニューアルオープンすることとなりました。オープン前日の10月4日にオープニングセレモニーを開催したいと思っています。詳細については、後ほど松本館長からご説明いただくことになっていますけれども、今回の改修では、エレベーターを増設し、また、トイレの洋式化、あるいは多目的トイレを設置、さらには授乳室を設置するなど、多くの皆さま方に親しんでいただくことができるよう、バリアフリー化等を行っています。これまで以上に快適にご利用いただけると思っています。また、10月5日からのリニューアルオープン記念展においては、平素、東山魁夷館では、ご覧いただくことができない所蔵作品以外の作品についても、展示することになっていますので、ぜひ多くの皆さま方にご来館いただければと思っています。詳しくは、松本館長から説明したいと思いますので、松本館長よろしくお願いします。

信濃美術館館長 松本透 氏
 知事会見の場をお借りして、10月5日からオープンする東山魁夷館について、少しお話しします。10月5日の開館以降は、年6回の展示プログラムを作って、つまり6回展示会をして、東山魁夷さんの芸術を、皆さまにご覧いただくことになりますので、どうぞよろしくお願いします。今、阿部知事から説明があったように、改修工事の一番の主眼はお客さまに快適に会場をご覧いただける環境整備です。エレベーターの新設以外にも、壁や床、ライティングのシステムなども改修しましたし、30年近く経った外壁もクリエイティングしました。もう一つ例を挙げますと、東山魁夷さんの作品を2階でご覧いただいて、1階に下りてくると、水庭に面した非常に気持ちのいい場所があります。東山魁夷さんの絵を見て、火照った頭、心を鎮めるのに、とても良い場所ですが、この水庭なども、ハード面の改修をしただけではなくて、水際から石を置いて、砂州上に伸びてくるデザインなど、デザインが大きく変わりましたので、どうぞご期待ください。
 リニューアルオープンの記念としては、東山魁夷館は本作以外に900点を超える貴重なスケッチ、下絵を持っていますし、基本的にはコレクションを展示する館ですが、今回は合計4点、その中の二つの例として、一つは「光昏(こうこん)」、東山魁夷さんがこの作品を、日展に出品して、日本芸術院賞を取った作品です。それから「京落四季」と題する京都の風景のシリーズから、その代表となる「花明り(はなあかり)」といった作品を展示しています。東山魁夷さんの絵には、風景には、必ず具体的な、ある時ある場所で、この山を見て、あるいはこの湖を見て感動した、そういう自然との出会いがあって、それがスケッチとして残っているわけです。1990年に開館する時点で、もちろんいろいろな事情で他の方に渡ったスケッチもあったでしょうが、当時の全ての下絵、スケッチ類を長野県は寄贈していただきました。例えば、日本芸術院の所蔵している「光昏」ですが、野尻湖越しに黒姫を臨む、小さなスケッチを、戦後すぐ東山先生は描きました。数年経ってその風景を、自分の書いたスケッチを見ているうちに、山を金色に、それから湖を黒くというプランが目に浮かんだそうです。それを出発点にして絵を描く作業をはじめました。一番手前に黒い湖を背景にして、とても映える紅葉が描かれていますが、これはこれで、箱根で写生した具体的なスケッチを基にしています。つまり、全ての絵の風景にきっかけとなるスケッチがあり、それから絵を描こうという動機があり、それが完成作となるわけですが、完成作を楽しむと同時に、そういったきっかけや動機、それからその絵のポイントが分かるような、制作過程をお楽しみいただけるのは、長野県信濃美術館の東山魁夷館だけだと思いますし、この秋から存分にその点を皆さまにお楽しみいただけると思います。
 それから、先ほど阿部知事から報告があったように、10月4日、10月5日の一般公開前日の午前中に開館式を行います。それから午後2時から4時まで、一般の方に特別内覧会という機会を設けることにしました。それで100組200名の募集をしたところ、二週間足らずで先着200名が決まってしまったのですが、東山魁夷館は県外からのお客さまが圧倒的に多いということが、これまでもアンケートで分かっていましたが、200名のうち、あらかたが関東地方。それから、中部地方、近畿地方、一番遠い方は、四国からという結果になりました。長野県の方に、もっと大人数で見ていただきたい気持ちもあるのですが、逆に申し上げれば、長野の方はいつでも年6回違った展覧会が、東山魁夷館でご覧いただけるということです。そんなことも念頭に置きながら、これから展示プラン、それから展覧会に付随するギャラリートークや講演会などのプログラムの拡充、それから広報に努めていまいりたいと思いますので、今日はお集まりの皆さまにも、どうぞよろしくお願いいたします。

記者からの質問

朝日新聞 大野択生 氏
 今回の改修でバリアフリーが一つの大きなところだと思うのですけれども、先ほど水庭が大分変わったとおっしゃっていましたけれども、展示空間において、今回のリニューアルで変えたところ、実際作品を鑑賞する環境面の変化はどういうものか、教えてください。

信濃美術館館長 松本透 氏
 床、壁面を全て改修しましたし、ライティングをLEDに全面改修しました。それから、先ほどエレベーターのことを申しましたが、これまではエレベーターに乗って展示フロアに上がり、見終わったときにもう一度戻らなくてはなりませんでした。それを見終わったところにもエレベーターを設置して、下りていくと、そのまま水庭にという見やすい設備にしました。

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 2 部局長会議について

長野県知事 阿部守一
 大きな2点目ですが、本日の部局長会議の報告について、その中では3点お話ししていきたいと思いますけれども、まず、9月県議会定例会に提出する補正予算案、それから条例案について決定をしました。今回の補正予算案のポイントについてお話を申し上げますと、豚コレラの蔓延(まんえん)防止、あるいは融雪・なだれ等による災害対策などを進めていくとともに、信州ITバレー構想の実現に向けた取り組みを進めていくと、守りと攻めと両面で予算編成しました。一般会計の補正予算の規模が約17億円ということです。私からコメントしておきたいことは、まず豚コレラ対策。全庁を挙げて養豚農家の皆さま方の思いに寄り添って対応を進めてきています。養豚農場へ豚コレラを侵入させないということを目標にして取り組んでいるところですが、国にも要望していますけれども、国の対策は監視対象農場になったら支援するような形にどうしてもなりがちですので、それだと対応が後手後手になってしまう可能性があるということで、今回の対策では国の支援対象とならない農場も含めて、支援するという形で、かなり思い切った内容の支援策を講じることとさせていただいています。
 早期出荷をご検討になられる方々に対しても、ちゃんと支援策を明示することによって、意思決定を行っていただく環境をつくっていきたいと、そういう思いで早期出荷対策の部分については、施策を講じています。引き続き、野生イノシシ対策であったり、あるいは一般の皆さま方への注意喚起であったり、そういったことも含めてこの豚コレラ対策については、全力を傾けて取り組んでいきたいと考えています。
 それから特別支援学校の通学環境整備ということで、スクールバスを特別支援学校3校に追加配備するという形にしています。これについては、移動知事室の時だったと思うのですけれども、非常に木曽のエリアが広い中でスクールバスの便が悪いというご要請を、木曽からいただいていました。そういう中で、教育委員会に検討してもらい、今回、特別支援学校3校にスクールバスを追加配備するということとしました。まだまだ必ずしも充分ではないと思いますけれども、引き続き、教育環境の整備については教育委員会とも連携してしっかり取り組んでいきたいと考えています。
 それから日本財団と子どもの自殺対策についての協定も結ばせていただきましたが、今回の補正予算においても、子どもの自殺を防ぐという観点でのワークショップの開催といったことを実行していきたいと考えています。
 また、産業の活性化の信州ITバレー構想につきましては、長野県としてIT人材の支援にしっかり取り組んでいくというメッセージを、県内外にも発していかなければいけないということで、ITインターンフォーラムの開催といったことも検討しています。またIT産業を集積させるという意味で、非常に支援水準の高い制度として、ICT(アイシーティー/情報通信技術)産業等立地助成制度についても、大幅に見直しを行っていきたいと考えています。こうしたことを通じてIT人材が集まる、IT産業が元気な長野県をつくっていきたいと考えています。その他にもいろいろありますが、もしご質問があればお答えしたいと思います。
 条例案につきましては、部局長会議では一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例について、少しコメントをしましたが、さまざまな任用制度がある中で、最適な任用を行うことによって、効果的で効率的な行政体制を作っていきたいと思っています。
 それから部局長会議の2点目ですけれども、来年度の当初予算編成方針についてです。先ほどの部局長会議でも申し上げたのですけれども、あれもこれもではなくて、あれかこれかということで、要点を絞った取り組みをこれから予算面でも、いろいろな政策を進めていく上でもやっていかなければいけないと思っています。そうした観点で今回の当初予算編成方針については、例年10月末頃出していますけれども、前倒しして出すことによって、庁内でのコミュニケーションの時間を充分確保していきたいと考えています。私も各部と早い段階で意思疎通して、財政課を通さないと知事のところには相談しづらいという雰囲気も、しきたりの見直しという観点では変えていきたいと思っていますし、また各部局の中での議論も先ほどこの後、政策評価の話もしますけれども、重点目標を達成するうえではどんなことをしていけばいいのかということについて、それぞれの部局の中においても十分検討してもらいたいと思っています。厳しい財政状況は引き続き続くわけですけれども、財政の健全性の確保については引き続き十分配慮しながら、県民の皆さまの期待に応えることができる予算となるように早い段階からしっかり取り組んでいきたいと思っています。
 それから政策評価についてです。しあわせ信州創造プラン2.0の政策評価結果についての報告が本日ありました。初年度の評価ということで、これまでとは大分変えています。重点目標を8つ掲げていますけれども、重点目標ごとの評価にフォーカスした政策評価になっています。データを関係部局にそれぞれしっかり揃えてもらって、お示しているところでして、定量的な指標による分析を今回重視して評価しています。また、いつも何か頑張っています、やっています、進んでいます、増えています、ということではなくて、他県との比較、全国の位置がどうなっているのかということにも意識して、評価したところです。まだ初年度ということですが、8つの重点目標のうち、観光消費額あるいは就業率、健康寿命、こうした部分についてはすでに目標値を上回るなど順調に推移しているところです。また、労働生産性あるいは1人当たりの家計可処分所得、再生可能エネルギー自給率、こうした部分は策定時と比べて改善していますけれども、しかしながら、伸び方としては目標の達成に向けては必ずしも十分ではないと思っていますので、引き続き力を入れて取り組んでいきたいと考えています。
 また人口の部分です。社会減については2017年から18年にかけて若干増加しています。良くない方向に少しいっているとのことです。今年度途中の状況を見ていても、必ずしも数値はよくないという認識を持っています。もう少し長いスパンで最近5年間を見ると、減少幅は縮小し、また国内移動の減少数で見ると、国内の中では中位クラスというような状況ですが、まだまだこの部分については相当のてこ入れ強化をしていかなければいけない目標だと思っています。また同じく人口に関わる合計特殊出生率についても、2009年の1.43を底として、徐々に回復基調にありました。昨年の都道府県順位を見ても全国12位ということで、東日本の合計特殊出生率が比較的低くなっていますので、東日本の中では最も高いという状況ですが、残念ながらこの2年はほぼ横ばいという状況です。こうした現状をしっかりと直視して対応していかなければいけないと考えています。特に政策評価の内部的な議論の中で、やはり若い人たちがどう定着するのか、あるいは若い人たちをどう引きつけるのか、こうしたことが今申し上げた重点目標の達成においては、かなり重要な要素ではないかという認識を持っていますので、来年度予算の編成に向けてはそうした点も念頭に置きながら進めていきたいと考えています。以上が部局長会議の事項についてです。

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 3 出口クリスタ選手の世界柔道選手権初優勝について

長野県知事 阿部守一
 
それから最後3点目ですが、出口クリスタ選手の世界柔道選手権初優勝についてです。ご承知の通り、8月27日の2019年世界柔道選手権女子57キロ級において、出口クリスタ選手が初優勝されました。長野県としてこうした栄誉を称えるということで、スポーツ栄誉賞を贈呈することとしました。今回、柔道世界選手権での優勝というのは、長野県出身者としては男女を通じてはじめての快挙という状況であり、私も大変嬉しく素晴らしい出来事だと思っていますし、多くの県民の皆さまが同じ思いを持っていただいていると思っています。そういう中で、9月18日の11時半から県庁特別応接室において贈呈式を行わせていただきたいと思っています。出口選手にはぜひ東京オリンピック出場も期待がかかっていますので、贈呈とあわせて激励をしたいと思っています。

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取材者からの質問

 1 豚コレラ対策の予算案について

日本経済新聞 北川開 氏
 予算で豚コレラについてお伺いしたいと思います。8月にも専決処分で2億円計上され、今回も2億円計上ということで、前年度の2月から数えると計6億円以上計上されていて、今回も早期出荷で国の対応を超えた県独自の予算を編成されたということで、かなり充実した支援内容になっていると思いますが、あらためて知事が手厚く対応される理由についてお伺いします。

長野県知事 阿部守一
 極めて手厚い措置にさせていただいている要因、私の考え方としては、これはある意味災害のようなものだということです。豚コレラの発生、養豚農家の皆さまも全力でいろいろな取り組みをされていらっしゃいますけれども、農家の方たちからすれば、今まで普通に養豚業を営まれていたのにもかかわらず、1年前の豚コレラの岐阜県における発生から始まって、非常に日々不安にさいなまれながら事業継続されていらっしゃいますので、そういう方たちの思いに寄り添えば、やはり思い切った対応を県としても行っていくということが重要だと思っています。
 もう一つは、先ほども少し申し上げましたけれども、対策を小出しにすると、後手後手になってしまいかねないという恐れ、懸念を私は持っています。そういう意味では、例えば早期出荷支援の部分も、国に改善を求めていますけれども、国の場合は監視対象農場になれば支援するけれども、必ずしもそうなっていないところはそういう対応は取らないという形になっていますけれども、それですと野生イノシシの感染が徐々に広がっていくと支援を受けられるところが徐々に広がるという形で、いささか対策としては不十分ではないかと思っていますので、そういう意味で国の対策を上回る対応をとることによって、われわれとしても、是が非でも豚コレラの養豚農家での発生を食い止めたいと、そういう思いで編成をさせていただいています。

日本経済新聞 北川開 氏
 早期出荷についてですけれども、県内の農家からも検討したいという意見は出ているのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 きめ細く農家の皆さんの話を伺わせていただいていますが、農家の中にはそうしたことも検討していきたいというご意向をお持ちの方もあると承知しています。

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 2 第一次産業のスマート化について

日本経済新聞 北川開 氏
 政策評価についてなのですけれども、観光消費額、就業率、健康寿命などは順調に推移している一方で、労働生産性や人口減などはしっかりやっていかなければいけないところなのかということだと思いますが、労働生産性の部分で見ると、やはり第一次産業の生産性が実質ベースで伸び悩んでいるのかというところがあると思うのですけれども、県でもスマート農業の支援を始められていますが、今後、こうしたものを拡充されていくという考えはありますか。

長野県知事 阿部守一
 まさにおっしゃる通りでして、労働生産性の向上については、それぞれの部局でもしっかり進めなければいけない課題だと思っています。今お話がありました農業、林業の分野ではスマート化ということを進めようとしています。まだまだスタートしたばかりというような段階ではありますけれども、私も実際にスマート農業でIoT(アイオーティー/モノのインターネット)機器等を使った現場を拝見してきましたけれども、非常に農家の皆さま方も、このスマート化については意欲的に取り組まれている方も増えてきていますので、しっかりそうした方を応援する中で、農業あるいは林業のスマート化を進めることによって、生産性を上げていくということに繋げていきたいと思っています。

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 3 養豚農家に対する早期出荷への支援策について 1

時事通信 真勢春海 氏
 豚コレラの関係でお伺いします。早期出荷の支援策なのですけれども、農家に対して早期出荷を促したい、促進したいという位置付けはあるのでしょうか。それとも、あくまでも支援策を提示したというところなのか、その位置付け、狙いについてお伺いさせてください。

長野県知事 阿部守一
 先ほど申し上げたように、今の時点で監視対象農場になると国からの支援策があります。監視対象農場にならないとないということで、並行して野生イノシシの感染は、われわれが何としても食い止めていきたいと思っていますけれども、残念ながら少しずつ広がってしまっているという状況です。そうすると農家の方たちとすると、監視対象農場になるまで待っていないと早期出荷をした方がいいのかいけないのかという判断をしづらいという状況になってしまっています。そういう意味で、われわれとしては農家の皆さま方の判断、農家の皆さんがどう考えるかということに一義的にはよるわけですけれども、そうした判断をしやすくするという効果が、農場の対象を限定しないということにはあると思っていますし、今農家の皆さんも非常に悩まれていると思います。悩まれているというのは、自分の農場の問題ももちろんありますし、他の農場への影響ということもありますから、そういう意味で少しでも、農家の皆さま方の思いを応援していきたいと、そういう思いで編成をさせていただいています。

時事通信 真勢春海 氏
 豚コレラの飼養豚へのワクチン接種について、地域を限定して行い、行った地域から出さないというような形の案も検討されていると伺っていますけれども、それについては知事はどのようにお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 飼養豚へのワクチン接種については、国が責任を持って方向付けすべき問題だと思っています。豚コレラの清浄国、不清浄国の問題ということもあり、また今お話があったような流通の問題ということも出てきます。そうしたときになかなか都道府県レベルでの対応というものはできにくい部分がありますので、そこについてはぜひ国において責任を持って、早期に方向付けしてもらいたいと考えているところです。地域限定で行うという考え方も、出されているということは承知していますけれども、例えばトレーサビリティー(食品の安全を確保するために,栽培や飼育から加工・製造・流通などの過程を明確にすること)をどうするのかなど、そういうことも含めて示されることがなければ、なかなか直ちにそれでいいということにはならないと思っています。

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 4 信州ITバレー構想について

時事通信 真勢春海 氏
 信州ITバレー構想を策定されましたけれども、その狙いとどういったところに焦点を当てていらっしゃるかをお伺いさせてください。

長野県知事 阿部守一
 まず長野県産業のこれからを考えたときに、長野県として、全体としてどういう産業政策を進めていくべきかということで、経営者協会、長野経済研究所、さらには県立大学から、ITバレー構想を構築していく必要があるのでないかというご提案をいただいて、それを踏まえて、経済団体の皆さまとも鋭意意見交換する中で取りまとめました。長野県も今年から小岩副知事をCDO(シーディーオー/最高デジタル責任者)に任命していますように、社会全体でのデジタル化というのは不可避だと思っています。そういう中で、長野県をIT人材の集積地、そしてIT産業も元気な地域にしていきたいと思っています。それは先だってのイノベーション推進本部の議論の中でも出ていましたけれども、IT人材とIT産業というのは、産業全体あるいは地域全体を活性化させていく上での一つのプロセスでありまして、やはりデジタル社会に向けて産業振興、それから県民の皆さまの暮らしを改善していく上でITを積極的に活用していく、そうした場所にしていきたいと、そういう意味でのIT産業の振興、あるいはIT人材の集積ということを目指して取り組んでいきたいと思っています。長野県は学びの県づくりということをうたわせていただいていますので、その中でも特にIT人材の集積ということに軸足を置いて、取り組んでいきたいと考えています。

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 5 養豚農家に対する早期出荷への支援策について 2

信濃毎日新聞 関誠 氏
 豚コレラの早期出荷についてお伺いします。養豚農家さんの思いに寄り添って、国よりも手厚い対策を行っているかと思うのですけれども、早期出荷後に豚舎を除却する、解体する費用の支援というのも盛り込まれているとお伺いしています。あくまで希望する農家さんがいらっしゃったらということかとは思うのですけれども、厳しい経営状況の中にいらっしゃる中で、廃業に繋がりかねないというような懸念も抱いてしまったのですが、知事のお考えはいかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 先ほどもお答えしましたけれども、早期出荷という取り組みを行うか、行われないかというのは、一義的には農家の皆さんの主体的な判断です。 そのときに、私が逆の立場のとき、何を考えるだろうというと、選択肢がAとBと両方あったときに、それぞれに支援策がしっかりあるということが、ある意味ニュートラルな判断を促す形になろうかと思います。そういう意味で豚舎の除却経費まで支援するというケースはほとんど他県ではないと思います。ただ早期出荷後に豚舎をリニューアルして、バイオセキュリティレベルを上げて養豚業を継続されるという選択肢もちろんありますし。中には高齢化して後継者が必ずしもいらっしゃらないという中で、これを契機に事業は取りやめたいと思われている方も中にはいらっしゃる可能性がありますので、そういう意味でどういう選択肢に対しても一定の支援を行うという考え方で今回の制度を作らせていただいています。

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 6 9月補正予算案について

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 予算関係について何点かお聞きしたいと思います。今の豚コレラ対策ですけれども、今回の補正予算案で2億5,100万円を計上することになりましたが、野生イノシシ対策だけでも、8月にも専決処分するなど大きな財政出動があります。まだ終息が見えない中で、そういった財政出動をしていくことについての見解をどのようにお持ちでいらっしゃいますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 終息が見えない中での財政出動の見解というのは、どういう趣旨かという所で、今取り損ねていますけれども、私としては、もちろん最小の経費で最大の効果を挙げるということを目指していかなければいけないと思っています。しかしながら一方で、この豚コレラについては野生イノシシの拡大が依然として続いているという状況でもありますし、先ほど申し上げましたように農家の皆さま方にとってみれば毎日本当に不安な日々を過ごされているという状況です。そういう中でわれわれとしては、現状最大限取り組めることについてはしっかり取り組むことによって、豚コレラの発生を防止している。そして、農家の皆さま方のこれからの取り組みを最大限支援していくと、そういった観点で予算編成しています。

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 先ほどの部局長会議で決まった当初予算編成方針についてなのですが、先ほど庁内のコミュニケーションを密にするため前倒しして取り組むという話がありました。もう少しその理由についてお聞きしたいのですが、なぜ本年度コミュニケーションを密にすることが必要だと考えたのか、逆に何か課題と捉えていらっしゃるのかどうか、教えてください。

長野県知事 阿部守一
 いつも山ほど課題はあると思っていますので、課題を思い付いたらすぐに改善していくということでやっています。予算編成については、ご存じの通り非常に多くの人間が編成プロセスに関わります。現場の担当の職員から私まで関わってくるプロセスですので、やはり例えば年の後半になって、一気に作業するような話はなるべく避けたい。もちろん国の予算の動向が決まってこないとなかなか県の予算の大きな枠組みをつくりづらいところがありますけれども、ただ、今からでも議論できるようなことは山ほどあります。先ほど申し上げたような総合計画の重点目標をどうするかというのは、10月の後半からスタートしなければいけない話でなくて、政策評価を行って、その一連の流れで、常に来年どうしようかということを考えはじめていただく必要があるので、そういう意味で、予算編成プロセスについても、編成方針を出す時期を前倒しして、各部も巻き込みながら、早目早目に対応していきたいと思っています。そのことでよりよい予算編成にしていきたいと思いますし、そして一部の時期に、事務が過度に集中しないようにしていきたいと思っています。

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 7 リニア中央新幹線の開業について

共同通信 岡田健太郎 氏
 リニア中央新幹線についてなのですけれども、先日飯田市の方でも、駅舎の基本案が公表されたと南信を中心に盛り上がりを見せていると思うのですけれども、これでJR東海と静岡県の川勝知事とでトンネル掘削に伴う水の流れについての、対立といいますか、意見の齟齬(そご)というのが最近よくニュースになっているところで、開業への遅れの懸念というのも一部報道などで出ているところだと思うのですけれども、この中で長野県は隣県として、長野県への影響が何か出ると考えているのかと、また、国やJR東海もしくは静岡県と、何らかの意思疎通の場や要望、そういったことを持つ考えがあるかお聞かせ願えますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 2027年の開業目標ということをJR東海が立てて、国も事業認可しているわけです。長野県としてもそれに合わせて道路整備等行ってきているわけですので、そういう意味で、この目標を達成すべく、JR東海あるいは国をはじめとする関係機関には取り組んでもらいたいと思っています。静岡県といろいろな人たちの対立のような話で報道されていることが多いのですけれども、それぞれの地域のそれぞれの課題があって、長野県もいろいろなところの水源の問題など、JR東海にはいろいろな意見を言わせていただいていますので、静岡県の問題についても、ぜひJR東海において真摯に向き合って、静岡県とJR 東海でお互い納得し合えるような方向づけを早期にしてもらいたいと思います。

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 8 豚コレラ対策について

日本農業新聞 藤川千尋 氏
 豚コレラの件で早期出荷の他に登山道や幹線道路の消毒、後は野生イノシシの豚コレラの感染確認検査等があるのですけれど、幹線道路は7月30日の段階で県南部や中部で消毒液の散布をやっているということで、エリアの拡大だとか、また松本で検査をやられているようですけれども、いろいろな他のところで行うなど、規模を拡大したり、エリアを拡大するという方針なのか、どういうコースなのかということを教えていただきますでしょうか。

家畜防疫対策室長 荒井一哉
 道路については従来から、建設部関係で消毒していますけれども、消毒薬等について引き続き今後必要になる部分について、予算として計上するということです。場所につきましては、その時その時のイノシシの拡大状況等を踏まえて選定するということで、とりわけ今回の対策で、従来より更に拡大というところではなくて、継続して必要なところに散布していくという予算計上になっています。検査体制につきましては、必要な調査地点等を今まで設定していますけれども、その分の調査経費ということで、方針通りの予算ということで、十分検査ができる体制に間に合うように予算化しているという状況です。

長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
 豚コレラについてですけれども、農家さんのご要望に寄り添って、さまざまなメニューを用意するというのは理解したのですが、その前段で、そもそも長野県としては早期出荷を促進させたいという意向なのか、そこについて特段の環境はないけれども、あくまで選択肢を用意するという考えか、そこはどちらなのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 早期出荷については個々の農家の事業に大きく関わる事業そのものですから、早期出荷をしている間は事業継続できないという形にもなりますし、そういう意味で、その部分を一定程度補てんするというような支援を行うわけですので、私は災害のような状況だということで申し上げましたけれども、個々の農家の方たちは本当に苦しまれていると思っています。苦しまれていますし、また自分としてご自分の農場をどうするのかということについては、今真剣に考えていらっしゃると思いますので、そういう意味では先ほど申し上げたように県として、こうしろああしろということではなくて、まず農家の皆さまの判断材料をしっかり揃えることによって、農家の皆さまがご自分の事業をこれからどうされていくのかということについて、考える上での前提条件を県としてはしっかり整えていきたいと思っています。

長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
 行ってほしいとか、進めていきたいとかそういうこととしてはないということでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 早期出荷するかしないかという判断は、一義的には農家の皆さんのご判断と思っています。ただ先ほど申し上げたように、国の支援は、監視対象農地になっているかならないかで、非常に対策が違っていますので、それだとやはり農家の皆さんが監視対象農場になったらやるけれど、ならなければやらないという判断になりがちだと思います。早くいろいろな検討を、農家の皆さまにもしていただくということが重要だと思っています。

 

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 9 IT人材の確保について

信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
 
一つは、IT バレー構想なのですけれども、IT人材の獲得には、新卒の学生、新卒のITの人材がとても大事ではないかと思います。学生を育成する専門的な教育機関は県内でも信大や長野高専、諏訪東京理科大とかがありますけれども、定員等を含めて、知事は十分整っているとお考えでしょうか。そうではなくて、県外からIT人材を長野県に来てもらうという、そういう政策が重要だというお考えのどちらでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 まず高等教育については、人口減少下ではありますけれども、18歳人口に対する大学の主要定員が、長野県の場合、非常に少ないという状況ですので、私としては長野県内で十分、要するに高校を出てわざわざ県外に行かなくても、県内に選択肢となる大学があれば、県内に行きたいという若者たちもいらっしゃるので、そういう方たちのニーズであったり、大学の知の拠点としての役割ということを考えれば、長野県に現状不足しているというような、学部とか学科とか、そういうものについてはこれからも引き続き、長野県としては問題意識を持って取り組んでいかなければいけないと、そういう部分の充実については考えていく、あるいは応援していくということが必要だと思っています。
 他方でそうした取り組みとは別に、いきなり長野県においてIT人材の養成機関が急激に増えるというわけにはいかない部分がありますので、そういう意味では県外から事業所にお越しいただいてICT産業の立地助成も、先ほど申し上げたように、非常に手厚い仕組みに変えていきたいと思っていますし。 また先ほど部局長会議でも申し上げましたけれども、県外大学との連携によって、IT人材が長野県に目を向けてもらうことができるようにしていきたいと思っています。ですから、今は両面取り組んでいかなければいけないと思っています。

 

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 10 県民1人当たりの可処分所得の向上について

信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
 政策評価の県民の1人当たりの可処分所得の件なのですけれども、大変重要な指標だと思うのですが、ここ数年は製造業が世界需要の高まりを背景に牽引(けんいん)してきたということはあるのだと思います。目標値には現状遠い状況にあるということで、行政政策によって可処分所得をどうやって引き上げるのかというのは非常に難しい課題だと思うのですけれども、県民が豊かさを実感するにはとても大事な指標で、今後どうしたことに力を入れることで、目標により近づけるとお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 一つはやはり産業自体を元気にしていく、そういうことによって基本的には所得を上げていく、例えば雇用者報酬を上げていくといったような取り組みを進めていくということです。今国においては最低賃金を徐々に引き上げていますけれども、そうした最低賃金だけではなくて全体的な報酬、給与が上がっていくように長野県産業全体を牽引していくことが重要だと思っています。
 もう一つは、全体に占めるウエートは必ずしも大きくはならないかもしれませんけれども、私達はマクロだけでなくミクロの面もしっかり持たなければいけないと思っています。先般も内部の打ち合わせのときに、例えば児童手当は本当に十分な水準になっているのかどうか、格差の問題であったり、貧困の問題とか言われている中で、県としても、さまざまな奨学金制度であったりとか、あるいは国の制度も生かしながら、幼児教育の無償化等に取り組んできています。ある意味で子育て世帯等への所得移転になっているわけですけれども、そういうものをもう少し全体的に見て、本当に必要な方たちに対する財政支援、所得移転、所得補償という、必要な形が本当に必要な活動、あるいは消費活動が家計での取り組みを行えるようにしていくような目線を持って取り組んでいるということも、1人当たり家計可処分所得という観点では重要だと思っています。そうした観点を持ちながら取り組んでいきたいと思っています。

信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
 後段の点は、こういった所得移転を制度的に進めても可処分所得が上がることになるとのお考えですか。

長野県知事 阿部守一
 1人当たり可処分所得は基本的に先ほど言ったように、給与や報酬を上げるというのが、目標達成においては一番重要だと思っています。ですからそれが一時的ですけれども、今申し上げたように、マクロで上がっても、個々の方たちの格差が開いたり、生活困難な世帯が増えるというようなことがあってはいけないので、そういう意味ではミクロの面も持ちながら、そうした所得移転的な分野についても考えていくということが重要だと思います。

 

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 11 政教分離問題について

信濃毎日新聞 鈴木宏尚氏
 護国神社の崇敬者会の件なのですけれども、専門家、有識者等の意見を聞いて、今後の対応を検討されている最中かと思いますが、引き続き状況に変わりはありませんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 状況に変わりありません。私としても、十分よく考えていきたいと思っています。

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 12 御嶽山噴火災害への追悼式への出席について

毎日新聞 島袋太輔 氏
 今月27日で御嶽山噴火災害から5年となりますけれども、地元の王滝村で追悼式が開催されますが、知事は出席はされますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 
ちょうど県議会中という形になりますので、私としては残念ながら出席することは叶わないと思っています。改めて亡くなられた皆さま方のご冥福を心からお祈りするとともに、御嶽山の災害対策はまだやらなければいけないことがたくさんありますので、地元の町村とも連携してしっかり取り組んでいきたいと思います。またビジターセンターをつくろうという動きもありますので、県としても、そうした取り組みは全面的に協力しながら、災害の記憶というものが後世にしっかりした形で伝わるように取り組んでいきたいと思っています。

毎日新聞 島袋太輔 氏
 
間違っていたら大変恐縮なのですけれども、おそらく2年目と3年目のときも議会中か何かで出席されなかったかと思います。5年目というと、報道的な立場かもしれませんが、1つの大きな節目を迎えるかと思います。知事も議会中などでお忙しいかと思いますが、やはり5年という節目でも出席できない、出席しないと決意した理由をもう一度お聞かせください。

長野県知事 阿部守一
 
決意した理由というか、実は追悼式以外のときにも私は現場というか、追悼式が行われる会場に行って、慰霊させていただいています。県議会の日程は私のところではどうしようもないわけですので、本来私としては、お伺いをしたいと思っています。私も本部長として、今もまだ、行方不明の方が5名も残っているという状況は非常につらい思いですので、ひとときたりともそうした状況を忘れたことがありません。しかしながら、県議会中に行くというのは難しいというか、できない状況ですのでそこについては私としては率直に申し訳ないと思うと同時に残念です。

毎日新聞 島袋太輔 氏
 どなたか代理で出席されるという形ですか。

長野県知事 阿部守一
 もちろん県として地域振興局長が出席するようになっています。
 どうもありがとうございました。

 

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