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更新日:2019年4月17日
長野県知事 阿部守一
皆さん、こんにちは。私は長野県知事の阿部守一と申します。よろしくお願いいたします。(手話で表現)
新年度が始まって最初の会見です。新しい年度も県民の皆さま方の思いにしっかり寄り添って、全力で県政を進めていきたいと思っていますので、どうか引き続きご協力いただきますようお願いいたします。私からは冒頭、部局長会議での報告事項3件を含めて5点お話したいと思います。
まず初めに、手話通訳について、冒頭長めに手話で自己紹介させていただきましたけれども、本日の会見から手話通訳をこの会見においても行っていきたいと思っています。聴覚障がい者の方々から、かねてよりご要請をいただいていましたし、長野県手話言語条例を制定して、手話の普及にも取り組ませていただいています。いつも冒頭、極めて簡単な手話だけで済ましていましたけれども、本日から手話通訳者を配置させていただいて、聴覚障がい者の方にも私どもの会見について、しっかりご理解いただけるように取り組んでいきたいと思っています。この会見はインターネットでのライブ中継も行わせていただいていますので、広く多くの皆さんにご覧いただくことができるようになると思っています。また、この会見はインターネットでのライブ中継のほかに、過去の会見もご覧いただけるようになっています。県としても情報発信は営業本部をつくって強化しているところですので、県の取り組みについても広く多くの県民の皆さまに伝わるように、これからも工夫を続けていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから2点目ですが、部局長会議でいくつか報告事項がありました。その中から3点お話したいと思いますが、まず1点目です。行政経営方針の今年度の取り組みについてです。特に今年度は、「仕事のしきたりの見直し」と「ルールの明確化」の年にしていきたいと思っています。昨日の年度始めの式においても、この点だけお話をさせていただきましたけれども、大きな組織で仕事をしている中ではルールが別にあるわけではないけれども、暗黙のしきたりとして行われていることがたくさんあると感じています。いろいろな制度や仕組みの部分は、例えばテレワークできるようにしましょうとか、あるいは勤務時間のインターバル制度を試行的に導入しましょうとか、そういう制度の取り組みというのは比較的やりやすいと言えばやりやすいのですけれども、誰もそういうふうにしましょうとか決まっていないのに組織に根づいている仕事のしきたりというのは、逆に直しづらいし前例踏襲型の仕事の仕方の温床になりやすいということで、今年度はこの仕事のしきたりをしっかり直していきたいと思っています。そして、明文化しルール化した方が、実は動きやすい対応しやすいというものについては、ルールを明確化していきたいと思います。これから組織内でのいろいろなレベルでの対話を通じて課題を共有し、具体的なことから、すごく大きな問題だけではなくて身近なことも含めて、いろいろなレベルで改善していきたいと思っています。そういう年にしていきたいということです。私の仕事の仕方についても、できる限り県知事としての仕事に専念したいと思っています。いろいろな会議に呼ばれてあいさつ等をさせていただく機会がありますが、もちろんあいさつで私の考えとか県の考えをお伝えすることも大事ですけれども、むしろ、いろいろな形で対話する機会を増やしたい。一方通行でお話するのは、例えば動画や、あるいは遠隔地であればインターネットを通じての話でも可能なわけですので、そうしたことも含めて私自身の仕事の仕方についても変えていきたいと思っていますし、知事として本来やるべきことに、より専念できるような仕事のやり方に変えていきたいと思っています。
それから、部局長会議の報告事項の2点目ですけれども、予算執行方針についてです。平成31年度予算執行方針について、財政課長から報告があったわけですけれども、SDGs(エス・ディー・ジーズ/国連が定めた持続可能な開発目標)の達成を意識すると同時に私も部局長会議で強調してまいりましたが、八つの重点目標、これをしっかりと推進していく予算執行にしていきたいと思っています。今年度は非常に規模の大きな予算で、特に公共事業関係経費で予算を充実させているところですので、その執行にあたっては着実に成果が上がるように取り組んでいきたいと思っています。
それから3点目ですが、信州暮らし推進基本方針の策定についてです。これは私が会長を務めております田舎暮らし楽園信州推進協議会において、3月27日に策定されたところです。長野県はこれまで移住に力を入れて取り組んできました。三大都市圏での専任の移住相談員の配置であったり、セミナーの開催であったり、市町村をはじめ関係の皆さんと共に取り組んできました。その結果として移住したい県のアンケートでは常に本県は上位に位置していますし、また移住者数も着実に増加をしています。大変ありがたいことだと思っています。この移住推進について、私どもとしては今回、信州暮らしの推進ということで新しく課に格上げすると同時に、つながり人口の拡大も含めて、新しい視点で取り組んでいきたいと思っています。特に県政全体での課題ですけれども、あらゆる分野で人手が足りないということが産業においても地域においても大きな課題になっていますので、そういう意味で今回の信州暮らし推進の基本方針の重点としては、働く場としての信州をしっかり発信をしていきたいと思っています。それと同時に移住という形でずっと住みつくだけではなくて、つながり人口、少し長野県に関心があるので一時的に滞在しようかなと思っていただく方も含めて、ターゲットをこの部分は広くとって、取り組んでいきたいと思っています。多様な働き方、暮らし方、こうしたことが実現できる長野県ということをしっかり売り込んでいきたいと思っています。庁内も関係部局が連携して、そして多くの皆さん、市町村はじめ関係機関の皆さまと連携して、信州暮らしの推進を進めていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから最後、5点目ですが、花フェスタ、いよいよ今月25日に開催ということで、近づいてきたわけですけれども、信州花フェスタについては各メディアの皆さんには発信についてご協力いただいていますことを改めて感謝申し上げたいと思います。本番に向けて、ぜひ一緒に盛り上げていただければありがたいと思っていますが、今日は信州花フェスタ最新情報の第4弾としまして、高校生とコラボした全国造園デザインコンクール特別賞作品の制作、展示についてお伝えしたいと思います。これは全国造園デザインコンクールというものが毎年開催されていますが、その中で、今回緑化フェア緑の広場プラン賞というものが設けられています。これは今回、山梨県立農林高等学校の市川さんという方が受賞をされたわけですが、市川さんのデザインを基にした庭園の製作展示を行っていきたいと思っています。こうした試みはこれまでの都市緑化フェアの中では初めてのものです。これからの造園を担う若い人たちの取り組みをぜひこの花フェスタでしっかりと多くの皆さんに伝えていきたいと思っています。皆さんのところにこのデザインコンクールのコンセプトをお配りしているかと思いますけれども、南アルプス、中央アルプス、北アルプスという、山梨県の高校生ですけれども長野県の山々を意識したコンセプトでの造園デザインということで、大変ありがたいなと思っています。このデザインを基にした庭園の製作、展示を日本造園建設業協会長野県支部の方たちが行っていただく形になります。明日3日はこの県内の造園業者の方たちの指導で、この山梨県立農林高校の生徒さんたちが庭作りを学ぶ機会も設けていきたいと思っていますし、またフェア期間中は県内の高校、須坂創成、上伊那農業、南安曇農業、3校も庭園を出展することになります。この3校と山梨県立農林高校との交流会も行っていきたいと思います。若い世代、高校生の皆さんにも、この花フェスタを通じて、未来に向けた自分たちのデザインの発信をしてもらいたいと思っていますし、また若い人たちがいろいろな技術を学び、そして繋がる、そうした機会にしていきたいと思っています。私の方からは以上です。よろしくお願いします。
時事通信 真勢春海 氏
国の話になるのですけれども、ふるさと納税の関係で先日改正地方税法が成立しまして、6月からの新しい仕組みが始まるのですけれども、指針に沿っているのかどうかは総務大臣が、指定する制度になるということで、これについての知事の評価をお伺いできればと思います。
長野県知事 阿部守一
やむを得ないのではないかと思います。やむを得ないというのは、前にも会見で申し上げたような気がするのですが、ふるさと納税の制度、趣旨というのは、それを活用する、私達、地方自治体側が責任を持って運用していくということが重要だと思っています。そういう中で過度な返礼品競争みたいな形で、本来の趣旨が損なわれる事態というのは、主体的に自治体側が改善に取り組む、あるいは問題意識を共有して、連帯して改善していく、そうしたことが本来は必要なのだろうと思いますが、なかなかそうはならなかったということで、国が一定のルールを作っていく事態になってしまったのではないかと思います。このふるさと納税の話に限らず、地方自治のあり方というのは、各市町村や都道府県が主体的に考えて行動して実行することが原則ですけれども、ただ、他の自治体のことは全く無視していいとか、そういうことはないわけですので、おのずと、自分自身が制約をかけなければいけない場面というのもあると思います。そうしたことはしっかり自覚しながら、地方自治のあり方を私も常に考え続けていかなければいけないなと思っています。
時事通信 真勢春海 氏
昨日営業本部が立ち上がりまして、知事はそのあいさつの中で、長野県はいいものがあるけれども、なかなか情報発信が弱い部分があって、そこを克服していきたいというお話があったと思うのですけども、情報発信が弱い部分が、どうして生じているのかということと、その克服のためには、どういった戦略的な取り組みが必要と考えているのかをお伺いさせてください。
長野県知事 阿部守一
一言では言いづらく、いろいろなことが要因になっていると思いますけれども、長野県は、非常に真面目で熱心でいいものをつくっていると思っています。かつては、例えば人口が増加して、右肩上がりで経済が拡大している時代では、いいものをつくれば売れたわけです。だんだん人口減少社会で、いいものを作っただけでは必ずしも売れるかどうか分からない時代になってきているので、そういう意味で私たち自身の意識や発想を変えていく必要があります。われわれのやっていることは変わらなくても、世の中の環境が変わってきているので、そういう変化には対応していかなければいけない部分が大きくなっていると思っています。そういう意味では、内向きの視野ではなくて、世界的な動向であったり、あるいは、他の地域の取り組みであったり、視野を県の外にしっかり向けて、世の中の動きをしっかりと把握した上で、さまざまな発信や売り込みをしていきたいと思っています。
日本経済新聞 北川開 氏
昨年度始まりました「しあわせ信州創造プラン2.0」が1年目を終えまして、2年目に入りました。1年目の知事の評価と今年の抱負をお伺いしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
まだ1年目ですから、具体的に成果指標として掲げている重点目標が飛躍的に増大したというような形ではないですけれども、ただ初年度としては、いろいろな種まきをすることができたと思っています。例えば、おかげさまで学びの県づくりの核となる県立大学も昨年開校して、今年2年目になりますけれども、いよいよ1期生は海外体験をする年にもなってきます。また、学びの県づくりの関係でいけば、信州やまほいくは昨年全国に呼びかけて森と自然の学びと育ち自治体ネットワークを作らせてもらいましたけれども、この動きも全国に広がりつつありますし、また、幼児教育支援センターもこの4月にスタートをさせて新しい幼児教育のフェーズに入ってきています。そういう意味で、今は学びのところだけ申し上げましたけれども、いろいろな分野でこの「しあわせ信州創造プラン2.0」の具体的な取り組みがスタートしてきていると思っています。2年度目になるわけですけれども、当初予算の中でもかなりいろいろな予算を計上していますので、さらに具体的な展開を図っていく年にしていきたいと思っています。
日本経済新聞 北川開 氏
昨日新元号が発表されましていよいよ残すところ平成もあと1カ月ということになりましたが、知事は長野県知事として8年余り勤められただけでなく、田中康夫知事時代の副知事としても長野県に関わってこられましたが、そうしたことを踏まえて長野県のこの平成30年間というのはどういった変化があったとお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
出来事として一番大きかったのは、長野冬季オリンピック・パラリンピックの開催だと思います。それに向けて、高速交通網の整備が飛躍的に進んだということを受けていろいろな分野の政策を進める基盤ができてきた、それがまず平成の前半の出来事として大きいものだと思っています。長野県は、2000年をピークに人口減少社会に入ったわけで、ちょうど平成の後半は今まで右肩上がりで人口が増加していくことが前提としていろいろ組み立てられてきたことが逆転して、発想の転換を迫られた時代だったのではないかと思います。その発想の転換が迫られた一つはやはり田中県政という存在もあったと思いますし、そうした部分だけではなくて、「しあわせ信州創造プラン2.0」も人口減少を前提にした計画、昔は人口増加を前提とした計画をつくってきましたけれども、人口減少を前提とした計画をつくるということがある意味当たり前になっていきました。そういう意味では、デジタル革命の進展であったり、人口減少であったり、あるいはグローバル化の進展であったり、新しい社会環境の変化への対応が迫られ、そうしたものに対応する方向付けをしてきたのが平成の時代の後半ではないのかなと思います。
日本経済新聞 北川開 氏
今、逆転してきた後半の転換の一つが田中県政だったとおっしゃったのですけど、具体的にどういったことを指しておっしゃったのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
田中県政の誕生は、ある意味県政のあり方を変えてほしいという県民の思いの部分もあったと思います。ですから、田中県政が誕生したというのはある意味で長野県行政のあり方の転換を求められたという一つの象徴的な出来事だと思います。
長野朝日放送(abn) 仁科賢人 氏
昨日新元号が発表されて、それに触れるご発言が昨日もありましたけれども、改めて一夜明けて、字ですとかその元号に込められた意味みたいな部分も咀嚼(そしゃく)されたかと思うのですが、印象ですとか政府の方でそこに込めた意味合いみたいなものを受け止めて、知事はどのように新しい時代を受け止めていらっしゃるか、お願いします。
長野県知事 阿部守一
新しい元号は、昨日新しく職員になる人への辞令交付の式典の途中でお伺いをしました。令和というのはあまり想定してなかったというか、そもそも「令」という言葉が使われるのは初めてということで、読み方はどうなのかと、そのときもちょっと聞き返したりしましたけれども、一晩経ってみると、音の響きとしては非常に斬新な感じですし、今回新しい元号が作られて皇位継承が行われるというのは、私もそういう気分ですけれども、多くの人たちにとっては新しい時代に向けていろいろ明るい希望が持てる、そうした感覚が共有をされているのではないかと思っています。昨日、私が出したコメントにも県民の皆さま方が明日への希望を持って暮らすことができる長野県づくりに邁進(まいしん)する決意を新たにしたと申し上げましたけれども、まさに新しい時代に向かっていくにあたって、多くの人たちがある意味、令和という新元号に希望や想いを今まさに乗せつつあるのではないかなと思っています。万葉集から取られたということで、また自然、梅の花を読み込まれた和歌の前文として書かれた文章から取られた言葉ということで、長野県としては自然であったり、文化であったり、こうした物の価値をしっかりと次の世代に伝承していきたいと思っていますが、そういった自然との調和であったり、あるいはその文化の振興であったり、こうした政策を進めていく上でも、この令和という元号が持つ意味というものをしっかり受け止めさせていただいて取り組んでいきたいと思います。
長野朝日放送(abn) 仁科賢人 氏
おそらく令和の時代も長く続くことになり、ご自身の任期だけでなくその先も見据え、その時代の信州をこうしたいですとかこうなるといいなという新時代に寄せる想いは。
長野県知事 阿部守一
私は、皇太子殿下と生まれた年が同じものですから、ある意味、今回の新元号というのは、私としても、非常に感慨深いものがあると受けとめています。長野県の県民の皆さんが、希望を持って人生を送っていくことができるような県にしていきたいと思っています。何よりも災害のない平穏な時代であってもらいたいと思っています。新しいこの令和の時代において、長野県が更に発展して、そして多くの県民の皆さま方が、希望と安心を感じながら暮らしていく長野県になるように、より一層、力を尽くしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
今日の部局長会議の行政経営方針に基づく取り組みで、しきたりの見直しとルールの明確化についてお話がありましたけれども、知事ご自身の働き方について、冒頭言及もありましたが、知事としてやるべきことにより専念できるような仕事のやり方に変えていきたいという発言もありました。知事ご自身の働き方について、どのように思っていて、もっとこうしたいとご自身でお考えになっていることがありましたら教えてください。
長野県知事 阿部守一
先ほど少し申し上げたところですけれども、知事の役割とかあり方というのは、結構幅広いですし、人によっても期待しているものは必ずしも同じではなくて、いろいろあるだろうと思っています。ただ私も2期8年県の知事として仕事をさせていただいている中で、私自身は先ほど申し上げたように、もっと私でしかできないことにフォーカスをしていきたいと思っています。
私にしかできないことというのは、例えば、高度な政治判断を要するようなことは、担当者が一生懸命頑張ってもなかなか進まないわけです。そうした課題については、それぞれの担当職員とより密接にコミュニケーションを取りながら進展をさせていきたいと思っています。またいろいろな会合に呼ばれて参加させていただくこともありますが、先ほど申し上げたように、一方通行でお話をする機会、私の考え方とか県の考え方をお伝えする機会としては重要ですが、そうしたことよりも、実は多くの団体や県民の皆さんが不安に思っていることや、課題として感じていることをお聞かせいただく機会を作った方がいいのではないかと思っています。ですから、そういう形でのいろいろな会合のあり方も、これは相手がいる話ですので、私が一方的に変えるわけにはなかなかいきませんけれども、できるだけ対話型に変えていきたい。そういうことを積み重ねて私の仕事の仕方、私が知事として仕事をするにあたっての周りの人や、私が不文律としてやっているようなしきたりをぜひ変えていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
知事は外に向いてより県民の声をキャッチするというか、そういう方にもっとシフトしたいという想いかと聞こえたのですが、逆に今まで庁内での知事レクなどの打ち合わせがたくさん日程に組まれている。どうしてもその時間の使い方というのが難しくなると思いますが、副知事にお任せする分野においては、副知事レクがより増えていくとか、そのようなイメージはお持ちでしょうか。
長野県知事 阿部守一
長野県の行政経営理念には、ミッション、ビジョン、バリューのバリューとして、「責任」「協力」「挑戦」という三つのことを掲げています。
そのうちの責任のところが、実は重要だと思っていまして、私はもちろん責任持って仕事をやりますし、県としてのいろいろな問題の最終責任は私がとるということに当然なるわけですけれども、普通仕事をやるにあたって、誰がリーダーシップをとるのかという部分は、この仕事は誰がリーダーだと個別に決めているわけではないので、ある意味しきたり上、なんとなくそうなっている部分がたくさんあると思っています。
基本的には各所属長がリーダーとして頑張ってもらうということが基本だと思っていますし、各所属だけでは対応できないことを部長がサポートし、なかなかそうではないことについては、副知事とか私がサポートしていく。そういう観点での仕事の仕方に変えていきたいなと思っています。自治体の場合はとりわけ国からああだこうだ言われてやらざるを得ない仕事が多いので、どうしても上を見がちなことが多いです。これは長野県庁に限らずそうですけれども、それだと私は非常にバランスが悪いなと思っています。もちろん国の言っていることや、上司の言っていることもしっかり把握して仕事をしていくということは大事ですけれども、一番重要なのは県民の皆さんの思いや考えですから、私も県民の皆さんの声を聞きますが、各職員ももっと県民の皆さんの声を聞いてもらいたい、直接聞いてもらいたいと思いますし、現場に近い職員が一番課題や問題を抱えているわけですから、そういう職員が働きやすい環境に変えていく、そういう観点でのしきたりの見直しをぜひ行っていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
県議選について、早いものでもう日曜日には投開票なのですが、祝勝会場など、そういったところにも特にお運びするようなご予定はないということでいいのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今のところないです。行きだすと切りがないので。応援演説もさせていただいていませんし、祝賀会に私が顔を出すということもありません。
市民タイムス 赤羽啓司 氏
私の記憶が確かならば、手話言語条例は平成28年3月に施行され、もう3年がたちまして、手話の理解を進めるという県の役割があったと思うのですが、そこら辺まで進んでいないというお考えなのか。なぜこのタイミングなのかということの知事のお考えをお聞きしてもよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
ちょっと遅かったと思って反省しています。最初の頃は、冒頭の挨拶は私が手話でやって、あとは手話なしでお話をさせていただいたのですけれども、聴覚障がい者の皆さんからは、この知事会見にもぜひ、手話で見られるようにしてもらいたいというご要請をいただきましたので、本来条例を作ったときにこういう形にすればよかったのかもしれませんけれども、少しおくればせながらで恐縮ですけれども、関係者の皆さんのお気持ちをお伺いした上で、今年度からスタートさせていただくということにいました。
市民タイムス 赤羽啓司 氏
今後、例えば信州緑化フェアとか大規模イベントでもあるのですが、そういったところにもこのような手話みたいなものはもっと入れていきたいというお考えなのですかね。
長野県知事 阿部守一
大規模なイベントはもう基本的に手話通訳を入れてもらっていますので、300人以上集まっていただくような場には手話通訳の方に入っていただいています。先日の学びの県づくりフォーラムでも、手話をしていただいていますので、これからもしっかり徹底していきたいと思います。
日本放送協会(NHK) 伊藤香於里 氏
外国人材の受入れ拡大の制度が昨日から始まっていましたが、これが人手不足の産業に役立てばいいですけれども、地方の自治体からは、外国人材が都市部に流れてしまって意味がないのではないかという懸念も聞かれているようなのですが、長野県にとってメリットはどういう点か、もしくは懸念があるとすればどういうことを考えられているか、まず教えてください。
長野県知事 阿部守一
例えば農業であったり、製造業であったりそういう分野ではかなり幅広く、外国人の方が働くということが現実になってきていますので、そういう意味では、われわれ自治体としても、外国人の皆さんの受入体制をしっかり作っていくことが重要だと思っています。
そして、地域社会における受入れ体制のあり方をしっかり作っていくということが重要だと思っています。先ほど信州暮らしのところで申し上げましたけれども、あらゆる分野で人手が足りないということは、われわれ県にとって大きな課題ですのでまさにこの外国人材をどう活用してどう地域として受け入れていくかということについて、県としての考え方をしっかりまとめていかなければいけないと思っています。
そして、単なる数字として、何人の外国人ということでなくて、働き手であると同時に、地域で暮らす方になるわけですので、長野県としては、多くの外国人の皆さんが地域に溶け込んで、働くだけではなくて地域社会の構成員としても、生き生きと活動していただけるような環境をぜひ作っていきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 伊藤香於里 氏
受け入れが一気に進むとなるといろいろとまだ体制が完全に十分とはどこも言えないと思うのですけれども、課題はまだまだどこの自治体でもあると思うのですけれども、長野県では、例えば外国人の相談にのる窓口ですとか市町村によって充実しているかどうかに違いがあると思うのですが、県ではそういった窓口の体制が十分なのか、また自治体での格差があることについてはどうお考えですか。
長野県知事 阿部守一
外国人の相談窓口の設置はします。県として外国人をしっかり受入れるためにはいろいろな相談に乗らなければいけない事項が出てきます。もちろん地域の身近な課題は市町村で対応してもらうということになりますけれども、 県としてはいろいろな課題を受け止めなければいけないと思っていますので、 そういった窓口は設置していきたいと思いますし、また外国人の受入れの対応方針も県としてこれからしっかりと取りまとめていかなければいけないと思っていますので、そういう中で、県全体のいろいろな分野にまたがる話でもありますし、またこの就労の部分から暮らしの部分まで、幅広い対応が必要になってきますので、そうしたものを全体的にどう進めていくかということについては、別途取りまとめていきたいと思っています。
国際課長 根橋幸夫
外国人の皆さまの相談窓口ということで、法務省で作っている相談窓口の設置のための補助金を活用して、ワンストップセンターをつくるという方向性で補助金の申請をしています。
中日新聞 渡邉陽太郎 氏
県議選が告示されて、今回79人の候補者が出られました。その中で、女性に限っては8人ということで、このまま当選されても、平成19年の改選時の11人、当時長野県議会が女性比率日本一だったときには届かないという状況になっています。
ただ、政治分野における男女の雇用機会均等法というのが昨年度出来まして、それは政党だけでなく、地方自治体にもなるべく平等にするのが責務ということが言われています。
北海道のある自治体では立候補に向けて予算決算書の読み方やマニフェストの作り方など、数カ月5回にわたって指導したのですけれども、長野県として、そのような取り組みがあったかどうか、ないとしたら今のこの現状を知事としてどのように感じているかご感想をお願いします。
長野県知事 阿部守一
それは市町村として、女性候補者を増やすための取り組みをしたということなのですか。
中日新聞 渡邉陽太郎 氏
はい、自治体として取り組みました。
長野県知事 阿部守一
長野県はそういうことをやっていないですけれども、知事選もそうですけれども、投票率が下がったり、無投票が多かったりというのは、民主主義を活性化させていく上では、非常に重大な問題として受け止めなければいけないのではないかと思いますし、また女性の活躍もこれは地方議会に限らず、自治会やPTAでそうした部分も含めて活躍できるようにしなければいけないと思っています。
しかし男性の意識と女性の意識の両面ありうると思いますけれども、そういうところも含めて、どうやってもっとポジティブに、みんなが自治に関わって、あるいは政治に関わってもらえるかというのは相当真剣に考えなければいけないと思います。
ただ、これはおそらく県の組織で考えるというのは、あまりなじまないというか、政治とはやっぱり距離を置いて仕事をするというのが行政の本能になってしまっているので、なかなかそういうことをやりづらいところがあると思うので、これは私としては、例えば私の後援会長の樽川さんは高校生のための政治塾を去年行って、そこは女の子も結構参加をしていました。また今年もやってもらえると思いますけれども、そうした地道な活動を、私も呼ばれれば講師でいきたいと思いますので、さっきのチームでの仕事の仕方のあり方の見直しという部分も、今みたいな話をもっといろいろなところでした方がいいと思います。またもちろん副知事でもできる話ですが、もっと長野県がこういう形で政治を盛り上げるという話は、県庁の中でやろうと思ってポジション的にできるのは、私だけだとも思います。もっと女性が政治参加できるようにしましょうとか、もっと政治にこういう形で関心を持ってくださいねということはいろいろなところで発言したり行動したりしていきたいと思います。
中日新聞 渡邉陽太郎 氏
地方自治体が政治と距離を置くのは県や市町村でも同じかもしれません。
そういう中で地方自治体の性格を考えればもしかしたら政治活動に繋がってしまうようなことを特に県という大きい組織ではやりづらいということは事実あるということですか。
長野県知事 阿部守一
あるでしょうね。本来は政党や政治団体が積極的に取り組んでいくことが必要なのではないかと思います。県が正面切って女性政治家候補を養成するコースみたいな事業はなかなかやれないと思います。それはやはり政党や政治団体、あるいは、私のような立場の人間がしっかり考えるべき問題だと思います。
毎日新聞 島袋太輔 氏
手話通訳の関係ですけれども、 先ほども話に上がりました手話言語条例から3年ということで、 知事として3年たった今、浸透度合いについてはどう評価されていますか。
長野県知事 阿部守一
例えばいろいろな県主催の会議等では手話通訳を入れる、大規模なものについては入れてもらうようになっていますし、それから県としても手話講座をかなり積極的に進めてきていますので、いろいろなところで手話に触れ合う機会というのは増えていると思っています。
ただ私自身も反省していますが、円滑なコミュニケーションをとれるようなレベルまで手話が普及しているかというと、必ずしもそういう段階にはないと思いますので、質を高めたり、進化させたりしていく、手話言語条例を実質化させていく努力が必要だと思っています。今日も部局長会議で手話教室をやりましたけれども、いろいろなところで、簡単な、こんにちはとか、ありがとうとか、 そういうことを手話でできる人は確実に増えてきていると思っています。
毎日新聞 島袋太輔 氏
どこまで質を高めるかちょっと難しい問題かと思うのですけれども、 知事会見を見ている方でも中途失聴者の方は手話が理解できなくて字幕が欲しいという要望もあると聞いたのですけれども、字幕の導入についてはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
確かに手話ではなくて、文字で見たいという方もいらっしゃいますので、今日は会見で手話をつけるという話ですけれども、全般的にコミュニケーションのあり方というのは考える必要があると思いますので、今のご指摘もよく受け止めさせていただきたいと思います。
共同通信 岡田健太郎 氏
新元号に関連して、皇太子さまとは同年代というお話で、長野によくご静養にも来られていると思うのですけれども、何か印象に残っているエピソードや思い出などあればお聞かせ願えないでしょうか。
長野県知事 阿部守一
山の日記念全国大会にご家族でお越しいただいて、上高地をほんのわずかな時間だったと思いますけれどもご散策いただきました。あのような時間をもっと作ってあげられればいいのにと私は感じました。また特に、皇太子殿下が山がお好きということで、長野県の山にもお登りいただいていますけれども、これは長野県をお預かりしている立場としては、やはり豊かな自然や美しい環境をしっかり守っていくということを、新しい令和の時代においても進めていきたいと、これは皇太子殿下の姿を拝見させていただいている中からも、そういう思いはいたします。
朝日新聞 大野択生 氏
先ほどのしきたりを見直そうというお話で知事のご経験の中でいろいろな会議に出るときのあいさつのあり方というのも例に挙げていただきましたけれども、こういうスローガンを掲げるようになられたのも、この2期8年務められてのご自身のいろいろな経験から来ていると思います。 先ほどの会議のあいさつ以外で、知事ご自身の業務や職員の皆さんの業務で、これは見直してもいいのではないかというもう少し具体的なものをいくつか挙げていただきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
いろいろ私が感じることはあります。多分私の視点だけじゃなくて、各部長や課長、係長や担当、それぞれの目線でいろいろな問題や課題があると思うので、そういうことをお互い出し合っていきたいと思います。ですから、 あまり私がこれとこれが課題だ、ということをやりすぎると、なにかそのようなものかという話になってしまってはいけないので、いろいろ感じていることはありますけれども、もう少し庁内でフリーに対応してから、皆さんにお伝えしていきたいと思います。
朝日新聞 大野択生 氏
職員の皆さんの議論を踏まえた上でということでしょうか。
長野県知事 阿部守一
縦横斜めいろいろな角度で、いろいろな人たちが一緒に考えた方がいいと思っています。
朝日新聞 大野択生 氏
その中で知事が個人的に思われたものとして、例えば会議の最初のあいさつも、一方的に自分から言うのではなくてということなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほどの発言はしきたりという観点よりは、私の仕事の仕方がこういう形になっているというところで、どちらかといわれると庁内のしきたりではなくて、いろいろなところに呼ばれて出ていくという私の行動に関してです。そういうところを見直さないと、私自身が知事としての仕事にフォーカスしづらいということです。フォーカスしづらいと、どうしても庁内で逆にコミュニケーション不十分になる可能性もあるということで、そういうところは見直していきたいと思っています。一つ例を申し上げれば、会議で言えば、私がいろいろなところへ出かけて、いろいろな人と対話をするときに、これまでは最初に、まず出席者の皆さんのあいさつということで、自己紹介を必ずやっていましたが、それは止めようという話をしました。例えば10人出ている会議で1人1分としても10分使ってしまうので、30分や40分の会議時間で10分自己紹介に使ってしまうと、結局何のための会議だという話になるので、そういうところは徐々に変えてもらっていますが、そういうことも含めて、いろいろな課題を出し合いたいなと思っています。
長野県知事 阿部守一
どうもありがとうございました。
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