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更新日:2017年11月24日

知事会見(平成29年(2017年)11月22日(水曜日)14時00分~15時05分 会場:県庁)

項目

阿部知事からの説明

  1. 県議会11月定例会が開会

取材者からの質問

  1. 冬の観光について
  2. 森林づくり県民税について
  3. 清泉女学院大学と長野保健医療大学の看護学部新設計画について
  4. 観光における危機管理、今後の観光振興について
  5. 富士見町で捕獲されたニホンジカから基準値を超える放射性セシウムが検出されたことについて
  6. 新年度予算における国の予算配分の動向について
  7. 子どもの性被害の事案に係る報道発表、報道対応の見直しについて
  8. 民泊に関する条例制定の考えについて
  9. 森林づくり県民税について
  10. 次期総合5か年計画について

 

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本文

 阿部知事からの説明

1 県議会11月定例会が開会

長野県知事 阿部守一
 今から会見を始めます。よろしくお願いします。(手話で表現)
 本日私からは、県議会が今日から会期17日間でスタートしたという1点のみです。先ほど本会議におきまして、提出議案の説明をさせていただきましたけれども、今回の県議会においては、森林づくり県民税の継続の条例でありましたり、また、国保の財政運営の広域化に関連しての条例案であったり、また、消防防災航空体制再構築していく上での予算あるいは債務負担行為であったり、あるいは県立武道館の整備に関連しての債務負担行為であったり、かなり予算案の中には、重要な施策が組み込まれているという状況です。県議会の皆さま方のご質問等には、私どもとしても丁寧に対応し、そして県議会の皆さまあるいは県民の皆さま方のご理解を得る中で、関係議案が無事議決いただけるように鋭意努力していきたいと思っています。私からは今日はこの1点です。後はご質問にお答えしたいと思いますので、よろしくお願いします。

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 取材者からの質問

1 冬の観光について

日本経済新聞 佐伯遼 氏
 観光に関して1点お伺いしたいのですが、昨日、白馬五竜と八方のスキー場がオープンしまして、昨年、一昨年と雪不足だった中で今年は久しぶりに早い雪が降って、スキー場も早い段階でオープンできました。来週には多分、信州デスティネーションキャンペーン(信州DC)の宿泊旅行統計調査が出ると思うのですが、8月までの結果を見るとあまり信州DC時には、観光客の方はなかなか厳しかったと思うのですけれど、冬の段階で観光の巻き返しを図る上で今考えていらっしゃること、あとスキー場が早く始まったことへの率直な受け止めをお聞かせいただきたいと思います。

長野県知事 阿部守一
 長野県の観光はアウトドアというか、スポーツとしてのアウトドアだけではなくて、屋外で景観を楽しんでもらったりする観光地が非常に多い中で、そういう意味で天候に左右される部分が大きいと思っています。また、信州DCの総括はしっかりしていきたいと思っていますけれども、当面はウインターシーズンになってきましたので、しっかりスキーを中心としたウインタースポーツであったり、あるいは、最近はシニア層の皆さま向けのプログラムを用意しているスキー場など、若い人たちだけではなくてシニア世代ももっと雪に親しんで、楽しんでいただくような方向性になってきていますので、そうした部分をスキー場関係者の皆さま方と一緒になってアピールをしていきたいと思っています。加えて、インバウンドのお客さまに対しても積極的なアプローチをしていかなければいけないと思います。今シーズンはちょうど平昌(ピョンチャン)で冬季オリンピックが開催されますし、長野で開催したオリンピック・パラリンピックから20周年という大きな節目にあたります。それに向けてのイベントも関係市町村と一緒に取り組んでいきますけれども、そうした発信を観光にも繋がるように工夫していきたいと思っています。

日本経済新聞 佐伯遼 氏
 早く雪が降ったことの感想を。

長野県知事 阿部守一
 スキー場の入り込み客数も、いつからスキー場がオープンできるか、いつまでスキー場としてオープンできるかということに相当程度左右されます。私としては今シーズンできるだけ早く多くのスキー場がオープンして、長く滑走可能な状況であってもらいたいなと思っていますので、今年の傾向はここ近年に比べるといい方向になるのではないかと期待しています。

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2 森林づくり県民税について

長野朝日放送(abn) 藤井学 氏
 長野県森林づくり県民税についてなのですが、これまでは里山整備が中心だったと思うのですけれども、観光や教育などいろいろな分野へ拡充するという案になりますが、その意図について改めて教えていただけますか。

長野県知事 阿部守一
 一つは、これは県民の皆さま方のアンケートをとると、さまざまなニーズにもっと対応をしてもらいたいとご意見が多くありました。われわれもそうした方向で検討した上で、前回の基本方針案を取りまとめさせていただきました。例えば、観光地の景観の整備であったり、あるいは学校林の整備であったり、森のようちえんのフィールド整備であったり、そうしたものにも活用していきたいという案で、パブリックコメントや県民説明会も行わせていただきましたが、そうした場でもやはり継続してそうした拡大をご支持する意見が多かったと受け止めています。最終的な基本方針の中でも、その方向を堅持させていただいて、超過課税の税率、税額については、これまでと同様ですけれども、使途については、多くの皆さま方が森林を身近に感じるように拡大させていただいたところです。ぜひ、まずは条例のご議決をいただかなければいけないわけですけれども、多くの皆さま方に、そうしたことをもっともっとアピールしていかなければいけないと思っています。

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3 清泉女学院大学と長野保健医療大学の看護学部新設計画について

信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
 長野市の清泉女学院大学と長野保健医療大学が、再来年の4月に長野市内に看護学部を新設する計画についてお聞きします。長野市の加藤市長が昨日、両大学への財政支援を発表して、清泉女学院には市と県で4億3,250万円ずつ、長野保健医療大学には市と県で3億円ずつ負担するという想定でいらっしゃいます。両大学の関係者が先日、中島副知事に要請に来た際にも、中島副知事はしっかり検討したいという、前向きなご回答だったかなと思うのですが、知事は財政支援について、どのように考えていらっしゃるか教えてください。

長野県知事 阿部守一
 長野市との関係は、担当課からまず話してもらいたいと思いますけれども、基本的に高等教育振興という旗を立てて、長野県が取り組んできている中で、いろいろな所で申し上げてきているので、今回、県立大学を作っていきますが、県立大学さえ栄えればいいという話ではないというわけでして、県としても、長野県全体の高等教育が振興できるように取り組んでいくことが基本的なスタンスです。その上で、個別の大学に対する支援はこれまでも、市町村の皆さま方と協調して、県は市町村に対して支援する形をとっています。市町村と十分調整して県としての対応は確定していくことになりますが、今の段階での長野市との状況を少しお話してもらえますか。

私学・高等教育課企画幹兼課長補佐 小林衛
 今現在の長野市との状況ですけれども、知事が申し上げた通り、正式にはまだ何もお話等いただいていない状況です。

信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
 二つの看護学部と言うと、学生さんがそれぞれ競合してしまうのではないか、そんな見方もあるかと思うのですが、その辺、二つの同じような学部ができることに対して、知事はどのように受け止めていらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 今の話のように、正式に話を伺った上で、県としてどこまでどのような支援をするのか判断していかなければいけないと思いますけれど、先ほども申し上げた一般論としては、県としては高等教育振興についてはしっかり応援していきたいという立場です。当然、今お話があったような、例えば卒業生の就職、特に専門的な学部であれば、そうした分野の需要がどれくらいあるのかとか、そうしたことについては長野市も検討されていると思いますし、長野市の考え方や、われわれ自身も、そのようなことについても判断した上で、県としての対応を決めていく形になると思います。

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4 観光における危機管理、今後の観光振興について

読売新聞 丸山修 氏
 先ほどの質問に関連して、私も観光についてお尋ねしたいのですが、夏の信州DCは悪天候に泣かされる結果になり、つい先日も観光資源として期待されるジビエから放射性セシウムが検出され、ジビエフェアの一部が中止になりましたが、そういった点で観光は水を差される形になったかと思います。知事は先日の会見で、信州DCが不調だったことについて、天候のせいにはできないという発言もされて、自然がもたらすこういった突発的なリスクに対して、経済的なダメージを最小限にしていく体制も一つの課題として見えてきたのではないかと思いますが、こうした点から、危機管理について現在と今後の取り組みを教えていただきたいのが一つ。また、今週観光戦略推進本部の会議も予定されていますけれども、改めて信州DCの反省をどのように今後の戦略に生かしていくか、その辺りの考えもお聞かせください。

長野県知事 阿部守一
 観光の危機管理というご質問をいただきましたけれども、これはわれわれもこれから非常に重視していかなければいけないと思います。これまでも、例えば御嶽山の噴火災害時であったり、東日本大震災の直後に栄村でも大きな地震があった際には、もちろん県ですから、県域全体を眺めて政策を打っていかなければいけないというのが基本ですけれども、特別に木曽地域だけの対策をとったりしてきたということが、これまでの経過としてあります。これからの災害に対応したときに、災害の発生の規模だとか、どういう影響があるかというのは、場所だとか季節によって相当変わってくると思いますので、ある程度、その場その場で判断しないといけないということが多いと思います。
 ただ、お話いただいたように、一般的に長野県はアウトドア系の観光が多いので、もう少し違った分野に対しての注目度を上げていくということも、考えていく必要があるのではないかと思っています。
 例えば、美術館・博物館の数は日本で一番多いと言ってきていますし、それは事実ですけれども、そういうものに対しての訴求力というものが、長野県は今まで必ずしも強くないのではないかと。信州と言えば山と言う形で、今までアウトドアを中心に訴えてきていますし、これからもそこはしっかりやっていきたいと思いますけれども、それと違った観点のアピールということも、これからは考えていくことが必要だと思います。観光地域づくりという形で、観光を各部局横断的に取り組んでいるという観点は、一つは来る人たちだけではなくて、われわれ暮らしている人自身も楽しめる、愛着が持てる地域にしなければいけないという思いですので、そうしたことを考えると、山岳高原観光地づくりということをメインに取り組んできていますけれども、そうした中でも少し観光戦略の視点というものも複数入れて、天候に左右されない部分というもののウエートを上げていくというような工夫を、これからしていかなければいけないと思います。
 信州DCの評価と検証は、これからしっかり行っていきたいと思っていますけれども、例えば鉄道にみんなで手を振ってお迎えしましょうという運動は、これはお越しいただいた方にも好評だったと思いますし、われわれ受け入れる側にとっても、自らも喜んでもらえる実感を多くの皆さんが体験できる、いい契機になったと思います。信州DCを一過性に終わらせないということで取り組んできていますので、評価・検証を行った上で、良い政策については、これからも継続できるように取り組んでいきたいと思っています。

読売新聞 丸山修 氏
 今、知事は、天候に左右されない観光資源として、美術館・博物館のようなものに言及されましたが、具体的にもう少し、このようなものが信州の売りになると考えてらっしゃるようなものがあれば教えていただけますか。美術館・博物館以外でも、あるいはその美術館・博物館についても、例えば具体的に、このようなスタイルでの観光が考えられるとか。

長野県知事 阿部守一
 まだ私が自分で考えているレベルで申し訳ないですけれども、今回の総合計画は、学びの県づくりということで、学びという概念を中核に入れて進めていきたいと思っています。
 そういう中で、実は観光の中にも学ぶ要素というのは、かなりたくさんあると思っています。例えば、長野県は宇宙県ということで、長野県は天文台をはじめとする観測施設が多く存在しているので、県も一緒になって星空観光をアピールしていますけれども、天候が悪いときは当然リアルな星空が見えないわけです。しかしながら、私も先日、阿智村で星空が見えないときに伺って残念なのですけれども、施設の中で映像を見せていただきながら、星の解説をしてもらうということで、これはアウトドアで星をリアルに楽しむのとは別の学ぶ観点での喜びというか、観光の要素になるものと感じましたので、星空に限らず長野県はいろいろ学べる要素というのがあり、体験型の観光というのは、これから求められていますので、そういう柱をしっかり作っていくことによって、天候に過度に左右されにくい体質を作っていくということも重要だろうと思っています。

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5 富士見町で捕獲されたニホンジカから基準値を超える放射性セシウムが検出されたことについて

読売新聞 丸山修 氏
 ジビエに関して、今回の放射性物質が検出されたことについては、現状、影響はどのように出ていて、対策はどのように講じていますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 今回、私ども長野県としては、食品の安全性を最優先に考えるということから、富士見町で捕獲されたものについての出荷・摂取等の自粛の要請を行わせていただいているところです。
 さらに安全性を確保していくという観点で、周辺地域の処理場にある鹿肉の検査を、県として行ってきていますけれども、現在のところ放射性物質は検出されていないと伺っています。そういう意味で、われわれとしては安全性をしっかり確保しなければいけないと思っていますけれども、他方で、あまり過剰な対応が行われないように配慮しながら、引き続き、国ともしっかり連携をしながら、対応を行っていきたいと思っています。

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6 新年度予算における国の予算配分の動向について

読売新聞 丸山修 氏
 予算についてですが、知事は本日の県議会で新年度予算編成に向けての考えを表明されたところですが、新年度予算において国の予算配分の動向について長野県関係も含めて特に知事として注目されているところがあれば教えてください。

長野県知事 阿部守一
 ひとつはやはり私どもは来年度から「学び」と「自治の力」を政策の推進エンジンにしていこうということで位置付けていますけれども、国においても人づくり革命ということで、人づくりに重点的に予算を配分していこうということで検討いただいています。われわれの考え方も国にも伝えながら、ぜひ国の政策も有効に活用しながら、学びの県づくりのスタートを切れるようにしていきたいと思っています。そういう意味では、例えば、幼児教育の無償化であったり、高等教育の支援であったり、そうしたことが国レベルでも検討されていますので、そうした動向はわれわれも注目していますし、県としての意見を国に対しても伝えながら、地方と国が連携して取り組めるような国の予算になるように強く求めていきたいと思っています。

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7 子どもの性被害の事案に係る報道発表、報道対応の見直しについて

信濃毎日新聞 牧野容光 氏
 
性被害防止条例の関連で一つ教えてください。16日に開いた青少年問題協議会で次世代サポート課が条例をめぐる案件についての報道発表の見直しについて言及しました。知事には一通り説明に入っているという話なのでご理解いただいていると思うのですが、課の説明ではあくまで課レベルで検討している話で、知事のオーソライズはまだ受けている段階ではないという話を受けています。報道発表の見直しについて知事としては現段階ではどのように考えていらっしゃるか教えていただけませんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 全く考えてないです。全く考えていないと言いますか、青少年問題協議会に出された資料がこのようなものですということは、報道を見て、私も一体報道機関に影響を与えるようなどんな文書を出したのだということで、確認はしましたけれども、これを見ると報道発表、報道対応について今回の案件を踏まえた見直しや改善というのが充実すべき対応等というところに書かれているだけの紙ですよね。ですから報道の皆さんの報道姿勢に影響を与えるような内容では全くないのではないかと受け止めています。その辺でここが気がかりだとか、これは問題だというところがあれば、逆に教えていただければと思います。

信濃毎日新聞 牧野容光 氏
 この資料自体は子ども支援委員会で委員さんから出た意見を受けて、県が検討している対応という資料の作りになっていて、その資料の通り読み上げますと、支援員さんからは性被害防止条例の関連について報道だとか立件されることによって子どもが受ける二次的被害についても予防していかなければならない。あるいは事案が表明したことにより子どもの人権が守られないことがあってはならない。これを受けて報道発表、報道対応について、今回の案件を踏まえた見直しや改善と書いてある。次世代サポート課への取材では、今回の事例でいえば、事件に関連した少女の住所地だったり、行為が行われた地方、場所が具体的に書かれていることについて問題認識を持っているという話でした。
 何も書かれていない状況なので、知事がおっしゃるように皆さんの姿勢に影響を与えるような内容ではないと受け止めているという話なのですが、どっちかというと報道発表する内容を減らすような印象を受けました。そういった内容ではないのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 まず県として正式な方針をなんら決めていないどころか、私は新聞報道を見てなんかすごい大変なことが行われていたら困るなと思って、担当課を呼んで話を聞いたというのが実際のところです。なにかを隠すとか、そんな意図を私自身が持っているということは全くないといいますか、事前にそんな話も聞いていません。私は、できるだけ情報は県民の皆さんと共有した方がいいと思っていますので、そういう意味で正確に伝えてもらいたいというのは持っています。批判はしてもいいですけれど、ぜひ正確に事実を伝えてもらいたいという思いは持っています。県の主導的にどうこうというよりは、先ほどまさにおっしゃったように、子どもたち被害者が報道によって二次被害を受けるということが懸念されるのではないかということを委員の方がおっしゃっているということが事実としてあるわけです。それに対して、県としてどう対応するのかということは、これは慎重に考えなければいけない話だと思います。私はこういうところは、今日報道の皆さんもいらっしゃるので、報道の皆さんと一緒に、われわれもむやみやたらと情報を出さないというスタンスを取るつもりはありません。ただ、あまりにも個別の事案、しかも子どもが被害者の事案において、具体的な対応、その時点でどういう要請、どういうことが行われていたとかというようなことが過度に推測されるようなことになると、ただでも傷付いている子どもたちをさらに傷付けることになってはいけないと思います。ですから、もし可能であれば、報道の皆さんとどういう情報の出し方が望ましいのか、あるいは第三者的な人たちの意見も聞きながら、そういうことを検討していくということもあってもいいのではないかと思います。県が具体的に何か極めて問題のアクションを取っている、あるいはそれを意図しているかのような誤解はぜひお持ちにならないでもらいたいと思います。

信濃毎日新聞 牧野容光 氏
 
報道に対してどういう出し方がいいのかというのを第三者的な立場の方から意見を聞いてみてもいいというのは、具体的にやっていくような感じなのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 
私とすれば、メディアの報道のされ方と、私どもが伝えているということと若干食い違ってしまっていると感じているところもあります。こういう関連性は正直言って良くないと思っています。なぜかと言うと、国民の知る権利大事です、県民の知る権利大事です。私は常にそういうスタンスでこれまで7年間以上県政を運営してきたと思っています。いろいろな事案についてもできるだけ徹底的に究明して、職員には過度な負担を負わせていると思いますけれども、そういう姿勢でやってきていますし、今回の「子どもを性被害から守るための条例」も相当長期間にわたって、いろいろな人たちのご意見を伺いながら検討してきたわけであります。そういう意味で、行政の立場として何か情報を隠さなければいけないなどということは全くありません。むしろ、その被害者の立場等を考えたときに、どう対応するべきかというところこそが論点なのであって、行政にとって都合が悪い情報を隠さなければいけないとかということは、全くこの案件で意識する問題ではないと思っています。そういう意味で、ぜひ本当は一緒に考えられればいいのかと思って、担当課にはそういう検討をすることも考えたらどうかという投げ掛けはさせてもらっているところです。

信濃毎日新聞 牧野容光 氏
 
一つ、立場が違うので、見え方も違うと思うのですが、確かに子どもが関わる事案で、子どもを性被害から守るという立場は処罰に対する考え方は違うにせよ、社会的には皆一緒だと思います。ただ、この条例の事案について、弱い立場にあるのは子どもだけという認識が誤っているのかなと感じています。つまり、これまでも報道してきたように、処罰規定には自由な恋愛を阻害したり、えん罪を生んだりしたりする恐れが大きいと主張してきました。今回、自殺してしまった事例があるわけですが、ことさら被害者に配慮して報道のあり方、あるいは報道発表の見直しというのをクローズアップされるとちょっと違うのではないかなという感じはします。逆に、子どもの立場は、確かに弱い存在であるのだけれども、子どもの立場を弱い者に配慮してくれというニュアンスを出すことが、えん罪を生んでいる恐れがあるかもしれない。本当に適切な捜査がされたのか、そういったことについて取材するなと聞こえてしまう。取材を通じて報道して、これは何だったのかということを社会で考えてもらう、これは新聞としてやってくのですけど、今回の見直しというのが報道だとか、報道によって子どもが受ける二次的被害について予防していかなければならないとあるのですが、もしかしたら、行為者、加害者側も弱い立場だったかもしれない。そういう立場に立って取材しまして、これを受けて、支援委員会の委員さんがこういう意見を言うのは分かるのですが、これを受けて、報道発表を見直すというにペーパーが出てくると、ちょっとこちらとしてはギョっとしてしまうという感じがするんですが、いかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 
支援委員会の委員の声を聞いて全く対応しないということは、県として不作為になってしまう訳です、逆に。子どもの二次被害を防止する必要があるのではないかというような趣旨に対して、どう対応するのかというのは、県として考えないといけない。それは、逆に考えなかったら、子ども支援委員会で、今回の「子どもを性被害から守るための条例」については、個別案件ごとの対応についても検証しましょうと言っている訳ですから、それを怠ったら、それは県としてまた、逆に怠っているという話になると私は思いますので、そこはしっかりと考えなければいけないと思っています。私とすれば、子どもを性被害から守るための条例の罰則は相当、抑制的に作っていると思っていまして、他県の条例と比較すれば一目瞭然だと思います。そこは十分ご理解いただいた上でのご発言だと思いますけれども、他の都道府県で同じようなことは言われているのでしょうか。長野県の人権に対する考え方が、他の県と相当程度違っているという状況になっているのかというのは。また、えん罪という話はこの「子どもを性被害から守るための条例」だけが罰則規定を設けている訳ではありませんので、それも少し普遍的な観点でおっしゃっているのか、あるいはこの条例の問題だけだとすれば、そこはなぜこの条例だけで他の県よりも抑制的なのに、この条例だけがなぜそうなのかというところはよくご理解をさせていただく必要があるのかなと。要するに相当、この条例は丁寧にやりとりをしながら、報道機関の皆さま方の質問にも真摯にお答えしながら対応してきていると思っています。そういう中で、ずっと一貫して同じ主張をされていらっしゃるというふうに私は受け止めていますけれども。子ども達を守り育てる活動を長年されていらっしゃる皆さま方のご意見も、やはり条例は制定した方がいいのではないかというご意見だったし、実はむしろ、より罰則規定をもっと広範にすべきだというご意見の方も、県民の中にはいらっしゃるということも認識しています。ですから、私とすれば、この「子どもを性被害から守るための条例」は、行政側としては相当程度、抑制しながら、なおかつ防ぎ切れないところが、他の県のように広範な罰則規定になっていないので、その部分については県民運動をしっかりやっていかなければいけない、ということは、これは何度も繰り返し申し上げているというところであります。そうした点についてはぜひ、県民の皆さま方にお伝えいただきたい。その上で、ご批判いただきたいなというのが私の願いであります。

信濃毎日新聞 牧野容光 氏
 
あらゆる犯罪報道が報道によって思い起こしたくないような事実を掘り起こしてしまったり、その心理的にダメージを与える恐れはあると思います。ただ、メディアに詳しい識者とか、法律の専門家に聞けば、あくまでその報道による二次被害を配慮するのはメディアの仕事であって、この支援委員会さんでこういう意見が出るのは分かるんだけど、それを受けて二次被害を行政として、報道の二次被害を食い止めるために何か対応するというのは、ちょっと筋が違うのではないかなという指摘もあるのですが、そのへんは知事はどう考えますか。

長野県知事 阿部守一
 それはじゃあ、メディアの側で何か自主的に第三者的な委員会を作っていただくというようなことがあれば、多分それはわれわれとして委員会の皆さんにご説明できると思います。

信濃毎日新聞 牧野容光 氏
 
逆に、その報道発表の見直しは、ペーパーになっているのですけど、これは私は撤回した方がいいと思っています。知事としてはどのように考えていらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 
ちょっと、申し訳ないのですけれども、撤回しろとかしないとかという話を、会見の場で、何かここはいつもディスカッションの場になってしまっているので、ちょっとその本来の会見に私は変えた方がいいなと正直思っています。自己主張をする場では多分なくて、ここは県としてどういう考え方なのかというのをお伝えして、あるいはご質問に受け答えする話でありまして、県のさらに踏み込んだ政策決定に対して、ここで意思決定をするような場では多分ないと思いますので、少しそこらへんは切り分けさせていただくことが必要ではないかなと思います。撤回というか、それはちょっと私がこのペーパーの出された状況とか、どういう説明したかというのを直接的に承知していないので、撤回しろと言われて、なるほどこういう理由で撤回する必要がありますね、というふうに今の段階で申し上げられませんが、少なくとも私が現時点で認識している限りは、県として何らかのアクションを具体的にこうするというふうに意志決定している訳ではないので、そういう意味では撤回するというようなものの、まだだいぶ前の段階ではないかと思います。ただ、仮に私がここで県としてはこれからこういう報道の皆さまに提供の仕方をしますと、それはけしからんというご意見がいろいろなところから来て、それをもう1回再検討して、なるほど皆さんのおっしゃることはもっともだということであれば、それはそういうこともあると思いますけれども、現段階で県が具体的なアクションを何か起こしている訳ではないというのはご理解いただいているかと思います。そうすると逆にいろいろな審議会とかの議論を促す、しかも県が一方的に出したペーパーではなくて、むしろ委員会の委員の皆さま方の思いに対してどう答えるかということで出したペーパーすら、それは出してはいけないということになると、これはわれわれとしては、行政として、非常に拘束が大きくなりすぎてしまうなと思います。それはまさに先ほど逆におっしゃっていただいたように、われわれが自主的に判断する話だろうと思います。どういう資料で議論するのかというところまで撤回しろというふうに言われるというのは、ちょっと私は、どうしてそういうところまでおっしゃらなければいけないような状況なのかなという、理解に苦しむというのが正直な思いです。

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8 民泊に関する条例制定の考えについて

信濃毎日新聞 河田大輔 氏
 民泊についてなのですけれども、現時点で新設の条例による民泊の営業日数の制限ですとか、そういったものをしていく考えがあるのかどうか、今、おそらく白馬はじめ、いろいろな市町村さんの意見を吸い上げている段階であるとは思うのですが、現時点で知事として方向性をどのように考えていらっしゃるか、教えてください。

長野県知事 阿部守一
 その点については観光部の方で今検討していますし、健康福祉部も一緒に考えていますけれども、この間、長野県としては立法時にもいろいろな意見を知事会を通じても申し上げましたし、政府に対してもいろいろ意見を申し上げてきています。長野県にとってこの民泊事業をどのように扱っていくかということは、大変重要なテーマだと思っています。そういう意味で、関係者のご意見を十分伺った上で、県としての対応を確定していきたいと思っています。

信濃毎日新聞 河田大輔 氏
 現在のところ観光業者の方などからは、県内の稼働率がなかなか上がらない中で、さらに民泊というのは、今やっている業としてのものも圧迫するのではないかという声もあります。一方で、国の方ではそういう理由による営業日数の制限というのはしないと、住環境への影響とか、そこら辺に限った制限で認めるというふうになっています。これは国とのやりとりになるのかもしれないですが、知事、県としては、そうした観光業の方、民泊入ってくるのかなという懸念、心配に対して県としてはどのように説明、答えていくおつもりなのか教えてください。

長野県知事 阿部守一
 民泊の家主の方がいらっしゃる場合といらっしゃらない場合と、状況が必ずしも同じではないと思っています。長野県、旅館・ホテルの稼働率が全国の中でも低いというような状況であり、大都市部、例えば東京オリンピックを控えて、非常に宿泊施設が逼迫しているような、東京あるいは京都といったような大都市と長野県の状況は相当程度違うだろうと思っています。とはいえ法治国家でありますから、法律で決まったことには従わなければいけないと、法律で決まった範囲内の中で県としてどこまで宿泊関係者の意見があったり、あるいは、例えば近隣の生活環境の話とかもあるので、県民の皆さんの思いをどういう形で具体化していくのかということについては、相当しっかり検討していかなければいけないだろうと思っています。大いなる問題意識は以前から持っていますし、これからもしっかり持ちながら対応していきたいと思っています。

信濃毎日新聞 河田大輔 氏
 ありがとうございました。

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9 森林づくり県民税について

信濃毎日新聞 松嵜林太郎 氏
 森林税に関連した質問になるのですが、森林税を活用した里山集約化事業で、北安曇地方事務所管内で、先日うちで報道したのですが、2事業で、森林所有者の同意書を無断で作成したり、日付を改ざんしたりしていたということに関連して新たに他にも18事業で、同じような不適切な事務処理が行われていたという問題を報道したのですけれども、これだけ不適切な事務処理が相次いでいるということが改めて浮き彫りになって、知事はこの問題についてどのように受け止めておられるか、お願いします。

長野県知事 阿部守一
 これはまず報道内容の訂正をお願いしているのではないですか。この間もそういう話になりましたけど、していますよね、今度はちゃんと受け止めていただいているのではないですか。

森林政策課長 福田雄一
 先日に引き続いて報道内容の訂正をこの間お願いをしたということで、少し信濃毎日新聞さんの記者さんとお話をさせていただいたところです。この地域で進める里山集落化事業の…。

長野県知事 阿部守一
 
したかどうかだけ言ってもらえれば。

森林政策課長 福田雄一
 
そういうことで申し入れをさせていただいたところです。

長野県知事 阿部守一
 われわれの方からこの間、相当詳細に皆さんに説明をさせていただいていると認識しています。その上で、私どもとすれば、報道内容をぜひ訂正していただきたいということでお願いをさせていただいていますよね。

信濃毎日新聞社 松嵜林太郎 氏
 
ちょっとその訂正うんぬんについては、担当課とお話をしたいと思っているのですが、その不適正な事務処理ということ自体は、知事もお認めになっていると思うのですが、そういった不適正な事務処理が相次いで発覚しているということについてはどうお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 
不適正な部分がもちろんあるという認識はこれまで申し上げてきています。とはいえ、森林整備に対して、同意をもらっていないわけではないですよね。ですから、森林整備自体がもちろんちゃんと行われていないところは、今回ちゃんと補助金返還させています。今、ご指摘されているような案件の中で、事業が行われていなかった部分はもちろん返還させていますけれども、そうではない部分については、事業を通常通り行った上で、森林所有者の皆さま方も、森林整備をしてもらってよかったと思っていらっしゃるわけですよね。ですから、この大北森林組合の問題は、刑事事件にも発展するのは極めて大きな問題があるわけです。われわれもそうしたものに対しては正面から向き合って、一つ一つ事案の解明に努めてきています。ですから、事務のやり方に問題があったということ自体は、認めますが、それはもうすでに行われていません。行われていませんし、そうした協議会方式なるものについては、善意で行っていたわけですよね。それは皆さまも重々ご承知のはずと思います。ですから、そういう背景についても、ぜひ報道してもらいたいと思います。私が報道に口出ししてはいけないと思いますけれども、伝えてもらいたい。森林整備が進まない中で、どうして協議会方式をとったのか。これは県職員が私利私欲を図るためにそういうことをやったわけで全くないわけです。地域の皆さま方が、主体的に同意を取ってくださいということをやってもなかなか森林整備が進まない。同意を取って回るのは大変だという中で、事業を行うためには、こうした方式がいいのではないかということを、住民の皆さま方にもご説明して、協力いただいた上で、あのような方式を進めてきたということは、ご説明をさせていただいているところですよね。
 ですから、そうした中で、あのような事務処理が行われていたということを、ぜひ私としては、私も直接県民の皆さまにお伝えする努力をしていかなければいけないと思いますけれども、この間、報道の皆さま方にも、われわれは丁寧に対応してきているのではないかと思っています。そこはまだ足りないということであれば、またおっしゃっていただければと思いますし、われわれがお伝えしていることについて、ぜひ本質的なところを報道していただければ有り難いと思っています。

信濃毎日新聞 松嵜林太郎 氏
 
今、知事もおっしゃった背景も含めて、今後も取材を進めていくつもりではあるのですが、やはりそうはいうものの、印鑑を勝手に使われているとかですね、そういったちょっと一般的な常識からすると、非常に問題があるのではないかという、こういう不適正な事務処理というのが、これだけ多く行われていたと。しかもそれが昨年1月の時点で、内部告発によって分かっていたにもかかわらず、この問題というのを公表しなかったという理由はなぜなのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 
積極的に公表しないつもりなんて、私は少なくとも、全くありません。
 先ほどの性被害の話も同じですけれども、われわれは、できるだけ正確な事実関係を県民の皆さまに伝えしようということで、これまでも取り組んできています。相当の事務量をこの問題に費やして対応してきています。その中で、ぜひ事案の全体像についてお伝えしていただきたいと思いますし、訂正を求めているわけですよね。まず、そこについての対応をお聞かせいただいた上で、ぜひ次に進んでいただくとありがたいと思っています。

信濃毎日新聞社 松嵜林太郎 氏
 
訂正の話は、またあれなのですが。そういう意味では、その全体像を把握しながらまた取材していくつもりではあるのですが、こうした問題があの大北の問題で、検証委員会の報告書をまとめた後に、いろいろ出てきているという状況の中で、特に森林税を活用した事業であると思うのですが、この問題について、県民の方たちが知らない中で、森林税が継続する方針というのが決定されていった経過があると思うのですが。

長野県知事 阿部守一
 
先ほど申し上げているように、県民の皆さまに正確な事実関係をお伝えしたいと私の思いです。その上で判断してもらうのは、おっしゃるように全く重要なことだと思っています。ですから、私どもがぜひこういうふうに正確に訂正していただきたいということについて、そこについては、それはどうされるのかということをぜひお伝えいただいた上で、ご質問いただければ、私としては、ありがたいと思っています。

信濃毎日新聞 松嵜林太郎 氏
 それは私も、直接あれじゃないですけど間違ってはいないというふうに思っていますし、記事について訂正する必要はないというふうに考えています。

長野県知事 阿部守一
 思っているというのは、その社としての考え方、その正式にちゃんと回答いただかないと困ると思いますけれども。

信濃毎日新聞 松嵜林太郎 氏
 たぶん知事とそこの認識についてはちょっとまだ違う部分があるのかと思うので、担当課と…

長野県知事 阿部守一
 先ほども申し上げましたけど、これ会見の場ですので、個別の御社との間でこうだああだっていうのをやるというのは、私はあまり適切じゃないと思いますので、別の場所で、私ももし必要であれば、直接責任者として対応しろというのであれば、私が対応させていただくこともやぶさかではありませんけれども。私自身の思いを率直に申し上げれば、正確な情報を私は伝えたいと、全く隠すつもりはないと、これだけいろいろな問題をあからさまにしてきたわけです長野県として。県の職員に対しても大変私としては辛い思いでありますけれども、損害賠償をすることまで踏み込んで検討してきています。ですから、何か県として不都合なことがあったらそれを隠そうなんという発想は全くありません。全くありません。
 ですから、そういうことは、皆さんにはいろいろな詳細な情報をお伝えさせてきていただいた経過はありますよね。ありますでしょ。佐藤記者はちゃんと正直にうなずいていただいていますけれども。そうしたことも全体像を踏まえた上で、ぜひ、今後の対応を考えていただけるとありがたいというのが私の思いであります。

信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
 すみません、ちょっとだけ引き取らせていただいて、先日の会見の中で私の方もそれが記事の訂正だというふうに認識していなかったということで、福田さんなりともちょっとお話をさせていただいて、またここで議論するつもりはないんですけど、2点ばかりご指摘をいただいたのですが、一つは協議会長さんの認識の話ということで、これはその認識ということですとしか言いようがありませんし、もう1点については、知事もおっしゃいましたけど、その森林所有者の所有者の同意書がスタートだったのだというお話がありましたけど、うちも別に森林所有者のそもそもの同意書がなかったというふうには書いていないもので、あたかも何の承諾も行われていないような表現というのが、それもやはり、立つ位置の違いでなのかなというのでお話をさせていただいたのですが、この場は別に議論するつもりはありませんので。

長野県知事 阿部守一
 私にはあの報道を見て、地元の人たちの同意も取らずに森林整備を行っているのですかというふうにおっしゃる県民の方がいます。しかしながら、県民の皆さん、所有者の皆さんに説明会も行って取り組んできているということについてはお伝えをさせてきていただいているとおりであります。
 私は県民の皆さま方に、ぜひ事実関係をしっかりしていただけるように、これは私ども県がさらに努力しなければいけない部分ではないかなと思いますので、頑張って、どういう形で県民にお伝えしていけばいいかということについては、しっかり考えていきたいと思います。

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10 次期総合5か年計画について

信濃毎日新聞 牧野容光 氏
 情報公開については非常に知事の姿勢が分かりました。
 総合5か年計画で六つの政策の柱を立てていらっしゃいます。それで、学びがあり、自治力があり、それをベースにして四つを挟み込んでいる計画になっていて、最後の「誰にでも出番と居場所がある県づくり」についての質問なのですが、この言葉、知事に就任されて間もなく、あるいは最初の選挙の頃からずっと掲げていらっしゃる言葉だと認識しています。2期目ともなると、これまでこれだけやってきたから、ちょっと言葉を変えていこうというふうに変わるところが多いと思うのですけれども、あえてここにこだわってこの言葉を残したというのは、多分政治家としての強い思いの表れではないかと推測するんですが、そこにかけていらっしゃるその知事の考えをお聞かせ願えませんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 ご指摘のとおり、こういう政策の出し方は私は両面あると思っています。一つは、新しい視点を出して、何か新しいことを取り組むのだというふうにメッセージを出すのと、それからやはり、こだわり続けてしっかりやっていくということと両方あり得ると思っていますけれども。私は、今回いろいろな社会経済情勢が急速に劇的に変化していく中で、新しい総合計画をつくるに当たって、重要だなと思っているのは「学び」と「自治の力」ということで言っていますけれども、一人一人の暮らしの県民の皆さま方の幸せということを考えたときには、やはり全ての人たちに居場所がある、全ての人たちに活躍の場がある、こうしたものは、長野県がこれからもしっかりと、目指し続けていかなければいけない目標だと思っています。
 特に、最近では、やはり子どもの貧困の問題も、これまで以上に深く県としても取り組んでいかなければいけないと思っています。また、人生100年時代の中での高齢者の活躍だとか、あるいは女性の活躍というのは、これから、今まではなんとなく他の政策と横並び程度に扱っていれば良いテーマだったかもしれないですけれども、人口減少社会の中で、そして、一人一人の幸せということを考える中で、やはりどんな人に対しても、障がい者の皆さんであったり、外国人であったり、あるいはLGBTの人たちだったり、全ての人たちが自分らしく生きていけるということを、より行政がしっかり考えていかなればいけない時代になってきていると思います。昔はそういう多様性の尊重みたいなことは、なんとなく行政がやる話の周辺部分にあったような気がしますけれども、本当に幸せな社会を実現していく上では、1丁目1番地的な位置付けで取り組んでいかなければいけないのではないかというのが、私の思いであります。そういう意味で、前回のしあわせ信州創造プランでも、誰にでも居場所と出番がある信州ということを、目指す信州の姿ということで位置付けていますけれども、今回の方がより強い意味で、より強く、誰にでも居場所と出番があるということについては、強調して政策をつくっていかなければいけないと思っています。

信濃毎日新聞 牧野容光 氏
 最後に1点だけ、総合計画審議会の議論で、途中まで人生を楽しめるという言葉が上がっていて、これは、以前の会見でも申し上げましたが、地方創生の総合戦略で、私、県版総合戦略と言って、何人かの有識者に見せて、どんな受け止めかという取材しているのですが、長野県の総合戦略に、概して、非常に地方創生に批判的な有識者であっても、割と良い反応であって、1番多かったのが人生を楽しめるというところで、というのは地方創生の国のスキーム自体が、人口をいかにして増やすか、減らすスピードを止めて、維持するかというところに注目が当たっていて、でも本当に大切なのは、一人一人が幸せに暮らせるかどうかという話の中で、こういう人生を楽しめるという言葉が入っていること自体、非常に評価する声が多かったです。今回、総合計画審議会の答申では人生を楽しめるという言葉は消えていますが、最終決定していくその過程で、あるいは知事として、この言葉を無くしたこととか、それについてどう考えていらっしゃるか、今時点での考えをお聞かせ願えませんか。

長野県知事 阿部守一
 総合計画審議会に全部出ているわけではないので、全体的な受け止めではなかなか申し上げられにくいところがありますけれども、私が参加した会で、出ていた意見の多くが、危機感・問題意識をもっとしっかり持つべきではないか。要するに、もちろんポジティブな側面というのもしっかり見なければいけないですけれども、全体的に審議会の皆さま方からは、その厳しい状況、あるいは、直面している課題、そうしたものをやはりしっかりと受け止める計画にすべきだというご意見が強く出されていました。そういう意味で、私、人生を楽しむというワードは、ぜひどこかには入れていきたいと思っていますけれども、政策推進の基本方針の中には、楽しむというワードは、結果的に入っていません。それは審議会の皆さま方のそうした思いが、形になっているのだろうなと思います。ただ、ご質問をいただいたように、この計画、行政が計画つくったり、政策をつくったりするときに、私も打ち合わせの時によく言うのは、供給者側の論理とか行政側の論理が、あまり前面に出ているものは、あまりよくないと思っています。人口減少が大変だ。それは政策をつくっていく上では人口減少は大変です。それはもちろんそういうことも出していかないといけないですけれども、一人一人の住民にとって、人口減少はどういう影響になっているのか。どういう関わり方があるのか。あるいは、行政がいろいろな基盤整備とか、制度をつくって、結果的にどういう暮らしとか、どういう感覚を県民の皆さんに思っていただければいいのかということを考えた時には、楽しみであったり、ゆとりであったり、潤いであったり、そういう行政の作文の中ではあまり使わないようなワードというものが、実は本当は重要な要素なのだろうと思っています。まだまだ、われわれ自身の計画がそこまでに転換しきれてないところもありますけれども、いろいろな政策を作っていくにあたって、やはり県民の側の視点というものを、見失わないように取り組んでいきたいと思います。そういう意味で人生を楽しむということについては、推進の基本方針の中に入ってないのですけれども、何らかの形で生かしていくことが必要ではないかと思っています。

長野県知事 阿部守一
 ありがとうございました。

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