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更新日:2017年5月1日
長野県知事 阿部守一
今から会見を始めます。よろしくお願いいたします。(手話で表現)
今日の会見は私から冒頭に3点申し上げたいと思います。まず、1点目が大北森林組合等の補助金不適正受給事案に係る法的課題検討委員会の設置についてです。大北森林組合の事案については、これまで、組合等に対する補助金の返還請求、県職員に対する懲戒処分、さらには大北森林組合、あるいは同組合元専務理事に対する刑事告発、こうした一連の取り組みを県として行ってまいりました。残っている課題としては、関係者に対する損害賠償請求ということで、この損害賠償請求事案については法的にも、大変複雑であり、さまざまな論点があるということで、弁護士等専門家による委員会を設置して検討していきたいということを、これまで申し上げてきたところです。委員の人選等を進めてまいりましたが、このたび大北森林組合の補助金不適正受給事案に係る法的課題検討委員会を設置して、第1回委員会を5月12日に開催させていただくことにしましたので、発表させていただきます。お手元にプレスリリース資料が配付されているかと思いますけれども、石津寛司弁護士、そして碓井光明東京大学名誉教授、林一樹弁護士、このお三方で構成してご議論、ご審議していただきたいと思っています。今回は、さまざまな法的な論点がありますので、損害賠償という観点、そして、地方自治法をはじめとする行政法にも精通されている方々ということで選任を行ってまいりました。また、第3者制の確保も考慮させていただき、日弁連の企業等不祥事における第3者委員会ガイドラインも参考にした上で、このお三方を選任させていただいたところです。5月12日に第1回目を開催するわけですけれど、できる限り、慎重な審議を行っていただきつつも、早い段階で方向性を出していただくことも期待しているところです。
大きな2点目ですが、先週少し予告させていただきましたけれども、春の山岳遭難防止特別対策についてです。昨日の段階で特別対策の取り組みの詳細について、プレスリリースさせていただいたところですが、本日は主なポイントをご報告させていただくと同時に、私からのメッセージを登山者等の皆さま方に対して呼びかけを行わせていただきたいと思っています。まず、主な取り組みですが、これまでにない新しい取り組みとしては、明日29日土曜日を中心として、県内14カ所の登山口等において一斉啓発を行ってまいります。
また、山岳遭難防止対策協会が開設する登山相談所についてはゴールデンウィーク中、昨年に比べて5カ所増設させていただき、計41カ所できめ細かい相談対応を行ってまいります。また、全国に向けては島崎三歩の山岳通信の特別号を配信させていただきますし、また、春山情報の冊子を増刷、あるいは登山専門Webサイトに対する情報掲載の拡大、こうしたことを本日までにすでに実施させていただいているところです。また、今年度から新たに地域振興局を設置させていただいていますので、それぞれの地域振興局においても独自の取り組みを行ってもらうよう、計画してきているところです。県を中心としまして、遭対協をはじめ関係機関で協力しあって、これまでにない体制で山岳遭難の防止の呼びかけに努めていきたいと思っています。そういう中で、私からのメッセージを皆さんのところにお配りしているかと思いますけれども、このメッセージを登山者等の皆さま方等に呼びかけさせていただきたいと思います。
[2017春の山岳遭難防止特別対策長野県知事メッセージ]
登山者の皆さん、里山を楽しまれる皆さん、長野県は3,000メートル級の山々に囲まれた日本を代表する山岳県です。信州の春の山は太陽の日差しも暖かくなり、また、新芽の芽吹きも美しく、本当に魅力的な季節です。毎年、全国から大勢の皆さんに訪れていただいています。しかしながら、春山は天候の急変、雪崩の発生、スリップによる滑落など、さまざまな危険をはらんでいます。楽しい登山をしてほしい。里山を思い切り楽しんでほしい。だから悲しい遭難を防ぎたい。そんな思いで私たちは皆さんに呼びかけます。登山をされる場合や山菜採りなどで里山を楽しまれる場合には、以下の点に十分ご注意いただいた上で、魅力あふれる信州の山を安全にお楽しみください。以下、登山者の皆さまへ、そして山菜採りなどで里山を楽しまれる皆さまへということで、5項目ずつメッセージを記載させていただいておりますので、ご覧いただければと思います。この部分は省略いたします。平成29年4月28日、長野県知事阿部守一ということで、大勢の登山客をお迎えするシーズンになります。私どもも、全力を挙げて取り組んでまいりますので、どうか、各メディアの皆さま方にも、この春の山岳遭難防止特別対策の内容についてお伝えいただくと同時に、それぞれのメディアからも遭難防止に向けた働きかけを行っていただければありがたいと思いますので、どうかご検討をよろしくお願いしたいと思います。
それから大きな3点目です。伝統的工芸品の知事室展示、これは平成26年度から四半期ごとに行っていますが、今回は松代焼をご紹介させていただきます。松代焼は平成26年に新たに伝統的工芸品の長野県知事指定をさせていただいたものです。今から約200年前の江戸時代に、松代藩の奨励で生産されるようになったと伝えられている、伝統と歴史のある焼き物です。長野市の松代地区で生産されています。鉄分の多い土を使用し、天然素材で調合したゆう薬をかけ、焼き上げられています。素朴な造形、風合いとともに、独特な青緑色の光沢が特徴です。こちらに今、展示していただいています。本日は松代焼作陶会代表の小澤経弘さんから、製品についてお話をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
松代焼作陶会代表 小澤経弘 様
皆さんこんにちは。本日より知事室にて私どもの松代焼がお邪魔いたします。よろしくお願いいたします。日々、私どものところでは土を練り、ゆう薬や藁の灰を水で溶き、松代の温泉水をちょうだいして、ゆう薬を作り、形を作った後、ゆう薬をかけて3日間、釜の中で焼き上げるという焼き物を作っています。見ていただきましたように、色が少しずつ変わります。これは唯一無二で、一つ一ついろいろ反応が変わってきます。それが大きな特徴でもあり、一番面白いところでもあるかと思います。そこを利用いたしまして、今では伝統的工芸品の授業で、小学校の生徒さんが最終的に仕上げの授業として、私どもの工房を見学に来て、併せて、自分で作って使う茶碗づくりも、大変喜んで、ご用命いただいております。また、観光にお見えになられた方も、松代、長野の自然の姿を表現した焼き物に非常に魅力を感じていただきまして、たくさんの陶芸体験ということでおいでいただいております。新しい試みといたしましては、野に咲く野草、どんぐりとか、つくしだとかを、ちょっと作品の中にデザインして、本物の野草をお皿なり器なりに焼き込んで、信州ふるさと、それから、今ここに存在したという証に残るような記念の作品に生かしていければと考えて、新しく始めています。これからもたくさんの方に松代焼をご愛用いただきながら、また、自分で作るという楽しさも味わっていただけるように、私どもが持っている技術を十分生かせるように努めてまいりたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。以上です。
長野県知事 阿部守一
小澤さん、ありがとうございました。知事室にしばらくお預かりをさせていただいて、私も折に触れて色合いや風合いを味わわせていただくと同時に、知事室にお越しいただくお客様にもご紹介していきたいと思います。ありがとうございます。
私からは以上3点です。よろしくお願いします。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
冒頭ご説明ありました法的課題検討委員会ですが、会議内容にありますように関係者に対する損害賠償で、念頭に置かれている関係者についてと、検討の内容について、これまで国から科せられた3億5,000万円の加算金や、国との時効の取り違い分の1億2,000万円などについても、少し言及があったかと思うんですが、その辺を検討の内容に含めていくのか改めて確認させていただきたいのですが。
長野県知事 阿部守一
あまり私が入り口を狭めるという考えはありませんので、今回の件に関係する損害賠償を行うべき対象者、あるいは行うべきものについては、全体をそ上にのせていただいて検討いただくという形になると思います。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
あともう1点だけ、できる限り慎重な審理を行いつつも、早い段階で方向性を出していただきたいとお話されていましたけれど、監査委員から勧告で、県職員への損害賠償という形で、9月12日という一つの期限が示されていると思うのですが、当然そこは意識して検討していただくと考えてよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
大前提だと思います。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
県内の経済に関してお伺いいたします。一昨日、長野財務事務所で県内の景気判断が16年ぶりぐらいに回復しているという判断になりましたが、知事として県内の景気が回復しているという実感があるでしょうか。
長野県知事 阿部守一
長野財務事務所、財務省関東財務局から最近の経済情勢として出されたもので、一部に弱さが見られるものの持ち直しているというのが1月判断でありましたが、今回、緩やかに回復しつつあるということで、上向きの状況だと報告をいただいています。もとより、個別の分野によってそれぞれ違いがあろうかと思いますけれども、項目別の判断を見ると、特に前回と比較して向上しているのが、生産活動、それから設備投資、こういうところで実際に企業の皆さんの活動については上向き傾向にあるものと受け止めています。しかしながら、企業の景況感は必ずしも上向きというような状況にはなっていないので、県内経済は緩やかに回復しつつあるという状況下ではありますけれども、いろいろな国際情勢等もありますし、将来に向けての先行きについては、まだまだ楽観視されていない企業が多いのではないかなと受け止めています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
森林組合の検討委員会について一つ質問させていただきたいのですが、事務局体制のところで、副知事が事務局を統括し総務部林務部の共管とすると、やや専門的な書き方をされているので、狙いも含めて噛み砕いてご説明いただきたいのですが。
長野県知事 阿部守一
今回の損害賠償の請求可能性のある対象者というのは、県の職員だけではなくて、大北森林組合の役員であったり、組合そのものであったり、非常に検討する対象が幅広いです。そうしたときに、例えば林務部だけで完結する話であれば林務部が所管して、あえてこういう形で事務局体制がこうだということで記載しないと思いますが、今回は、県職員に対する損害賠償も検討の対象になってくるということでもあるので、事務について部局をまたがる話になりますので、総務部、林務部共管ということにさせていただき、太田副知事が統括して対応するという体制にしています。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
新潟薬科大学が上田駅前の跡地に薬学部設置という計画を持っているのは、多分知事もご存じだと思いますが、設置をめぐって上田と県の薬剤師会との間でなかなか調整がつかないということがあるようで、県内には現在薬学部がなく、それから新潟薬科大学というのは以前知事がUターンの促進をする協定を結ばれたことはその時に取材させてもらったのですが、そのことも踏まえて今のこの問題についての県のスタンスを教えてください。
長野県知事 阿部守一
県内大学の学部の増設であったり、あるいは新しい大学の設置といった課題については、県もいろいろな形で財政支援等を行っています。ただ、基本的に財政支援を行うときは地元の市町村に対して補助をして、地元の市町村が大学に対して補助をするという形をすべて取っていますので、一義的には地元の市町村がどういうスタンスで取り組まれるかということを前提に、県としては支援等を考えていくという形になると思います。新潟薬科大学をこれからどうしていくかということについては、上田市が一義的にいろいろな取り組みをされていますが、県としては、県内の薬科大学については、県の薬剤師会だったり、医師会であったり、歯科医師会だったり、こうした関係者の皆さま方の理解と協力が前提となるのではないかと考えています。私どもとしては、上田市の取り組みの状況等もお伺いさせていただいていますので、県レベルの薬剤師会、医師会、歯科医師会は県としてもいろいろお付き合いをさせていただいていますので、こうした団体の考え方というものも今後お伺いしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
昨日上田市長の会見があって、市としても取り組んでいるが両団体の言い分が反目し合っていて、暗礁に乗り上げているという認識を母袋市長が示されて、知事にもぜひ協調して欲しいというご発言がありましたけれども、今後、団体の考え方を確認していくご予定があるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今申し上げたとおりで、相手方があるお話ですのでもちろん相手方と調整をしなければいけないですが、上田市における新潟薬科大学の設置ということに対して、県の薬剤師会等がどういうお考えかということについては、県としても把握をさせていただきたいと思っています。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
これまでに確認をされたことはあるかどうか、教えてもらえますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私のところでは確認はしていません。上田市で、県の薬剤師会等にいろいろ接触されていると認識していますけれども、上田市からのご要請もありますので、そうした確認を行っていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
今県内に薬学部というものがなくて、新潟薬科大学が出たいということを言っているのですが、新潟薬科大学に限らず県内への薬学部設置ということについての知事のご期待とか基本的な考え方があれば教えてもらいたいです。
長野県知事 阿部守一
個々の大学が議論になっている時に、一般論でお答えすると非常に誤解を生じるおそれがありますので、一般的には「郷学郷就県づくり」ということで進めているというのが現状です。
読売新聞 丸山修 氏
防災ヘリの関連でお聞きしたいのですが、先日愛知県と協定を結ばれまして、そこにおいて協定期間に関しましては、長野県が防災ヘリの運航を再開するまでとなっており、見通しが全くなく、ある意味県民の皆さまからすれば不安にも思えるような表現になっていますけれども、知事としましては再開の時期をどのようなスケジュールで考えていきたいと思っていらっしゃるか、現時点でのお考えをお伺いしたいのが一つ。
あと先ほど、山岳遭難の防止に関する知事メッセージの中で、長野県は3,000メートル級の山々に囲まれたという点についてご指摘がありましたけれども、事故後に協定を結んだ埼玉県、愛知県共に、標高の高い場所での活動はちょっと難しいだろうということです。標高の低い場所につきましては、隣接する県すべてから応援いただく体制が整ってきて区切りがついたと言える状況であるかと思うのですが、長野県の標高の高い場所での遭難救助に関しては、非常に不安の残る状況ではないかと思いますが、その辺を克服していくために、今後の県内の防災体制の再構築のあり方について、どのようにお考えかお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
まず、再開の時期についてどう考えているかということですけれども、これは未定です。この場でも申し上げておりますように、この消防防災航空隊、消防防災ヘリコプターのあり方というのは、私ども県だけで判断できない、市町村消防の皆さま方のご理解とご協力が不可欠だと思っています。今回亡くなられた隊員の多くも、市町村の消防局から来ていただいていた隊員でありますので、私としては消防長会、あるいは市長会、町村会、こうした皆さま方の考え方をまずしっかり承る中で進めていきたいと思っています。そういう意味で、一緒に考えていく場については、できるだけ早期に開催して、そして市町村の皆さんと県との考え方、ベクトルがずれることのないように進めていくということが重要だと思っていますし、そういうプロセスをしっかり踏んでいくことが今後の見通しを早期につけていく、最善の方法だと思っています。そういう意味で、この段階で私がこうだということを申し上げることは、適切ではないと思っています。
それから愛知県と先般、協定を結ばせていただきました。他県の消防防災ヘリの応援については一定の限定がかかっている場合もありますが、多くの県から応援をいただける体制になったことは、大変ありがたいことだと思っています。先日も大村知事に直接お礼を申し上げましたけれども、当面、消防防災ヘリがない状況で様々な対応していきますが、人命救助等については県警のヘリがありますし、また連休中は警視庁のヘリにも応援いただけるということになっています。そういう意味で警察、そして周辺県の消防さらには自衛隊、こうした関係機関のご協力を幅広くいただく中で、県民あるいは来訪者の皆さま方の安全確保に努めていきたいと思っています。
読売新聞 丸山修 氏
別の点についてお聞きしたいのですか、次期総合5カ年計画に関しまして、前回の記者会見で知事はSDGs(持続可能な開発目標)の考え方を取り込んでいきたいという、前向きな考えを示されたかと思いますけれども、こういった国際的な目標は、非常に多岐にわたる幅広い分野をカバーしているものだと思いますが、こういった幅広い目標を、長野県の計画、長野県の目標に取り込んでいくに当たって、どのような分野が一番取り込みやすいとお考えでいらっしゃるか、その辺の見通しをお聞かせいただけますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
SDGsをどのような分野に取り込むかということについては、まだこれから具体的な検討をしなければいけないと思いますけれども、私が着目しているのはSDGsの考え方です。経済と環境、社会を調和的・統合的に発展させていこうという考え方ですので、ともすると行政の視点は縦割りになりがちでありますが、例えば社会的な課題ももう少し経済的な手法で解決できないだろうかというようなこととか、あるいは長野県、もうちょっと具体的に言えば長野県の豊かな自然環境を生かして、社会的な課題、例えばいろいろな課題を抱えている子どもたちの癒しの場として活用できないだろうかとか、いろいろな経済、環境、社会をトータルで捉えていくことによって、見えてくる政策の方向性があると思っておりますので、今後の総合計画の策定に当たっては、こうした視点をしっかり持ちながら取り組んでいきたいと思っています。
信濃毎日新聞 竹内啓太 氏
大北の関係でお伺いしたいのですが、残っている課題として損害賠償等の請求とあるのですけれど、会議内容のその他に当たる部分だと思うのですけれど、等というのはどういったことが考えられるのかということをお伺いしたいです。先ほど入口を挟めないというお話もあったと思うのですけれど、よろしくお願いいたします。
長野県知事 阿部守一
これは大北森林組合に限らない補助金不適正受給案件が全体的にありましたので、そういう意味では損害賠償を中心としながらも、それ以外の法的に考えていくべき論点もいくつか存在すると思っています。
コンプライアンス・行政経営課長 宮下克彦
大北森林組合等ということで、他の事業体にも不適正事案が見られましたので、その辺を排除することなく、検討していきたいということで、知事が先ほど申しておりましたように狭めることなく、検討していくということです。
信濃毎日新聞 竹内啓太 氏
あともう1点ありまして、3月の判決を受けて、事案全体の再検証を行う、行わないというのはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
何度もこの場で申し上げておりますけれども、その時点その時点で最善を尽くしてやってきております。もう1回と言われても補助金の返還請求は返還請求、あるいは職員に対する懲戒処分は懲戒処分と、その局面、局面で調査すべきこと、あるいは行うべき観点というのは異なっておりますので、何か調べなきゃいけないのではないかというふうに言われても、何ともお答えしようがないです。これまで、できることについてはその都度その都度、最善を尽くしてやってきておりますので、何か懸念の点があれば、具体的にご指摘いただければと思います。
信濃毎日新聞 松嵜林太郎 氏
防災ヘリの墜落事故について伺いたいのですが、先ほど今後の組織の再構築について、消防長会、市町村会の話を聞きながら、一緒に考えていく場を早期に開催したいとおっしゃっていたのですが、これは具体的に言いますと、何か検討会のような組織をつくって協議をしていくということになるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね、それは、検討の場をつくって考えていく必要があると思っています。
信濃毎日新聞 松嵜林太郎 氏
早期に開催してということになりますと、その検討を開始するのは時期的にはいつごろを見通してますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
それは、調整している状況です。
信濃毎日新聞 松嵜林太郎 氏
検討していく中で、組織の再構築に当たって、課題というものがいろいろと事故から浮かんできていると思うのですが、例えば、山岳救助の活動で、県警とどういうふうに役割分担をするのかですとか、航空隊という専門性の高い組織をどのように管理していくのかですとか、事故からいろいろな課題が浮かんできていると思うのですが、知事としては検討する上でどのようなことが一番の課題として、しっかり考えていかなければいけないとお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
消防長会の方々とお話をさせていただいたときに、当然のご意見として、何より安全面ということがありました。そうした安全の確保ということを中心に、どういう対応をしていくのか検討していくことになろうかと思います。
信濃毎日新聞 松嵜林太郎 氏
できるだけ早期という時期なのですが、合同葬が5月30日にありますが、それの前後でいいますと。
長野県知事 阿部守一
相手のある話でありますので、私がこの日と決めれば決まる話ではありませんので、できるだけ早くと考えております。
信濃毎日新聞 井手拓朗 氏
リニアのことで伺いたいのですけれども、昨日27日に、大鹿村で、南アルプストンネルの掘削工事が実際に始まりました。大鹿村と県の方に掘削工事を始めるという連絡があったのは、その前日の26日の夕方で、住民の方にはJV(共同企業体)から毎日送っている翌日の通行止めの時間帯だったり、簡単な工事内容を書いたメールで知らされたそうなのですけれども、これについて、私は結構急だったなという印象を持っているのですけれども、知事のお考えはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私も同じような感想です。私どもに対するご連絡も26日の夕方5時頃という状況です。こうした工事については、何度もこの場でも繰り返し申し上げていますし、JR東海にも直接申し上げていますけれども、地域の皆さんの理解と協力ということが不可欠だと思っていますので、そうした点にかんがみると、この通知をいただくタイミングというのは遅過ぎるのではないかと思っています。
信濃毎日新聞 井手拓朗 氏
今後も同じような節目というかタイミングというものはいろいろと来ると思うのですけれども、今回はちょっと唐突な工事開始だったということで、県からJRに、告知を早くしてほしいとか、そう言った要望をされていくおつもりはあるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
して欲しいというよりは、より早くするべきではないのかと申し上げなければいけないのではと思います。
信濃毎日新聞 須田充登 氏
法的課題検討委員会について補足でお伺いしたいのですが、これは以前にもお伺いましたけれども、損害賠償請求に関しては、これまでも県として何回か方針というものを示されてきていると思うのですが、今までの考えを委員さんの方々に示して、妥当性というか、それでいいのかという意見を聞くという段取りのイメージなのか教えて欲しいのですが。
長野県知事 阿部守一
何度も申し上げていますが、今までのことを検証するのではなく、これまでやってきたことに加えて、損害賠償請求をどうするかということについて検討することが中心になります。
信濃毎日新聞 須田充登 氏
わかりました。あと先ほど再検証のところで懸念の点があれば具体的にというお話がありましたけれども、県の職員の証言が信用できないというものが判決にあったわけですけれども、大前提として、県の調査において、県は職員の証言というものを信用できると判断したはずですけれども、裁判所の方では信用できないとなっているというのは、おのずと事実認定というものは同じにはならないんじゃないのかなとおもいます。そこを検証する必要はあるのではないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
またここで議論をするつもりは、私はありませんけれども、それが、何に関係するのかと先ほど申し上げているように、職員の処分に関係する問題、補助金の返還に関係する問題、あるいはこれからの損害賠償判決の問題、その局面によって、とらえるべき事象とは違ってきています。今、ご指摘いただいたのは大北森林組合、それから元専務理事が、果たして違法行為を行ったのか、刑罰に値するのかという裁判の内容ですよね。それとこれからの損害賠償の話というのは民事と刑事で明らかに次元は違う話でありますので、そういう意味で、ご質問の趣旨が私には十分理解できないと申し上げておいた方が適当だと思います。
信濃毎日新聞 須田充登 氏
何に関わるのかということであれば、組合が主導したとか、あるいは、県の職員は全くの核は容認していないという、根本的な県の事実認定に関わるのだと思うのですけれども。
長野県知事 阿部守一
私どもは、県職員に聞き取りをして、県職員の聞き取りをするだけではなくて、組合員側にも聞き取りをして、そして一件、一件の補助金について個別に精査をして積み上げてきています。その結果、職員の処分であったり補助金の返還請求であったりを行ってきていますので、そういう意味で、これまで取り組んできたことについては、先ほど申し上げたように最善を尽くしてきていると考えています。職員の損害賠償責任をどう考えるかということが、これからのフェーズになってきていますので、当然、委員の皆さま方は刑事裁判の判決文も見ていただいた上で、判断されるということになると思っています。
信濃毎日新聞 須田充登 氏
判決を受けて今までの県の事実認定が妥当かどうかというのは、何らアクションをとることなく、委員会で12日から損害賠償の検討をするということですか。
長野県知事 阿部守一
私は信濃毎日新聞の皆さんには極めて丁寧にこれまでもご説明してきていると思っています。この場だけではなくて、立ち話だったかもしれませんけれども、私の思いも率直にお話をさせていただきました。しかしながら、報道を見ると私の主張というように書かれており、私とすれば、極めて遺憾な対応をされているなと率直に感じています。この場は討論会の場ではないので、今のようなことについて、もし詳細に確認したければ、いくらでもお時間をとらせていただきますので、お越しをいただければ、また丁寧に、お話をしたいと思います。
日本放送協会(NHK) 小口佳伸 氏
ふるさと納税のことで一点お尋ねがあるのですけども、先週、伊那市の話が話題に上りましたが、それを受けて伊那市の方は、来月の末を目途に新たな方針を決めたいということをこの間の会見で表明されました。また、そことは別に塩尻市なんかでは周辺に精密機械の工場がたくさんあるということもありまして、腕時計とプリンターなど、これまでどおり続けたいということで、いろんな自治体によってちょっと県内対応が分かれている状況なのですけれども、県としても伊那市さんとも話していきたいとこの間も伺いましたが、先週から今週まで伊那市さんとどういう話されたのかというのと、今後どういう対応をされるのか聞かせいただけますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
どういう話をしたかっていうのは、市町村課長からお話させていただきたいと思います。
市町村課長 竹内善彦
伊那市さんとは、今出ている総務省通知の趣旨の話をしながら、ご理解を得ることでお話をさせていただいています。
長野県知事 阿部守一
私から補足すると、このふるさと納税の話は、非常に大ざっぱな感覚で申し上げれば全体最適をどう追及するのかという話と、それから、部分最適の話が、立場が違うので、見え方が違っているのではないかなと思っています。個々の自治体の立場と、それからオールジャパンの地方自治をどう守るかという立場が少しバッティングする場合は結構あります。私もかつて自治省にいたときに、自治省は、なるべく地方財政が豊かすぎるという批判を無くさなければいけない。地方財源を確保する上で、財務省なんかと戦ったりする時に、地方財政が豊か過ぎるのではという議論をなくすために、例えば給料のラスパイレス指数の抑制だとか、個々の自治体からすれば、自分たちが判断しているんだからいいじゃないかということもありますが、しかしながら、そうしたことが自治体で広がると、オールジャパンで見たときには、逆に自治体の財源に対する、マイナスの影響を及ぼしかねないということもあるので、そういう意味で、今自治体というものは都道府県、市町村の集合体で地方自治が担われていますけども、その全体の地方自治をどうするかということと、個々の自治をどうするかということは、時に、少しベクトルが違いかねない場合が出てくるだろうと思っています。まさに今回のふるさと納税の制度自体も、総務省としてはしっかり維持していくことが望ましいと考えていると思いますので、そういう観点と、個々の自治体として、せっかく、地元の物産を使って、しかも大勢の皆さんに寄付してもらっているのに、変えなきゃいけないのかという、その全体最適と個別最適が、少しバッティングしている部分が出てきているのかなと思います。そういう意味で、お互いの立場とか考え方、そうしたものをしっかり意思疎通を図る中で、共々自治を充実させていきたいという方向性は、私は同じだと思っていますので、そういう観点で、県としても間に入って対応していきたいと思っています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
先ほど出た消防の防災体制の再構築で、もう少し詰めて質問をさせていただきたいのですが、先ほど知事が検討の場を設けると言った意味なのですけれども、検討会なのか、検討会なのであれば、どういうことを具体的に話し、どういうメンバーを今考えられているのか教えてください。
長野県知事 阿部守一
名称はまだ決まっていませんが、一緒に検討する場をつくろうということであります。基本的には、まず消防長会から、代表の方に入っていただくことになると思います。財政的なことも考えれば、消防だけでは判断できない部分がありますので、そういう意味で市長会、町村会の代表の方にも入っていただくというような形で検討して調整しています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
そうすると人数的には、消防も市町村も77市町村が入るのではなくて、それぞれの代表が入るイメージとなるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
全員で審議するというのはなかなか難しいので、代表という形になると思います。
毎日新聞 鈴木健太 氏
そうすると人数規模的には10人以下くらいのイメージですか。
消防課長 花岡徹
今、知事の方からご説明申し上げた通り、まず、消防長会、さらに、市長会、町村会へ県から、いかがでしょうかという形で、問いかけをさせていただいているところです。まだ固まったお返事をいただいていませんが、例えば、市長会、町村会にしてみても、オール長野の視点で、検討できる形にするにはどうしたらいいだろうかという観点も含めて、ご検討いただいているところです。規模的なものを踏まえて、一番効率的なものはどうなのかというものを先方さまから示していただいた上で、規模的なもの、構成等について、決めていきたいと思っております。
毎日新聞 鈴木健太 氏
追加でもう1点、話し合う内容なのですけれども、私のイメージとしては、ヘリは何台所有するのか、そして再開するとすればいつからなのか、というのが大きなテーマかと思うのですが、そこら辺を中心に話し合っていくということになるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
あれだけの痛ましい事故があったわけでありますので、先ほど申し上げたように、いきなりヘリをどうしましょうか、ということではなくて、これから県としての消防防災航空体制のあり方というのをどうしていくかということは、フラットに、県がこうしましょう、ああしましょうということではなくて、市町村消防の皆さま方の気持ち、考えも様々であると思いますので、そうしたことをお伺いするところから、スタートしていく形になると思います。
毎日新聞 鈴木健太 氏
ただ、最終的には、私が言った2点に触れざるを得ないと思うのですがどうでしょうか。
長野県知事 阿部守一
2点というのは。
毎日新聞 鈴木健太 氏
ヘリを何台所有するかっていうことと、再開する時期です。
長野県知事 阿部守一
ヘリについても、民間委託をしている都道府県もあります。もちろん再開の時期ということは、いずれかの段階で考えていく話になると思いますけれども、その前の段階として、おそらく安全面をどう確保していくのかとか、民間委託も、委託から直営まで、あるいは中間段階として、機体だけ委託とか、いろいろなやり方があります。そういう意味では、幅広くフラットに考えていかなければ、県として初めからこうだ、ああだということではなかなかうまく話が進んでいかないのではと思っています。実際に救助活動、消火活動に当たっていただくのは市町村消防の皆さまですから、そうした皆さんのお考えを丁寧にお伺いして、しっかり方向づけをしていきたいと思っています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
ヘリの所有の話に入る前に、持つとすれば、どうすれば安全が確保されるのかっていう話をきっちりしてから、ヘリを持つのか持たないか、持つとしたら何台持つのか、いつから再開するのかという議論になっていくということですか。
長野県知事 阿部守一
論点はいろいろあると思っています。ですから、持つとすればどうとかという話を、今念頭に置いていません。フラットな形でこれからの体制をどうするか考える。市町村消防の皆さま方の思い、かけがえのない隊員を亡くされている皆さまの思いというものは、本当に辛く重いものがあると思っていますので、そうしたところをしっかりと丁寧にお伺いすることからしか始められないと思っています。
信濃毎日新聞 松嵜林太郎 氏
防災ヘリの事故に関連してお聞きしたいのですが、今その検討会の中で消防長会、市長会、町村会ということが構成メンバーとして想定されているということなのですが、いずれも、これまで防災ヘリを運用してきた当事者の方々だけなのかなという印象があるのですが、今後のあり方、特に安全面をどう確保していくのかというのが一番大きな課題とするならば、今回の事故を第3者的な立場で見ている方を構成メンバーに入れるとか、そういったことも検討していく必要があると思うのですけど、その辺について、知事はどのようにお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そういう視点は私も重要だと思います。そういう意味で、それぞれさまざまな分野の識見のある方のご意見は、われわれが方向付けをする上でしっかりお伺いしていかなければいけないだろうと思っています。ただし、本当に命がけの任務ですから、意思決定をしていくということは、審議会や第3者的な人に決めてもらうのではなく、われわれ当事者が責任を持って決めていくという形にしていかざるを得ないだろうと思っています。
信濃毎日新聞 松嵜林太郎 氏
わかりました。取材をしていると、ある意味現場任せになっていた部分が事故につながっていた部分もあるかと思うので、その辺を、ぜひ考えていただきたいと思います。
それから、もう1点、県として、これからのあり方を検討していく場は、民間委託を含めて、当面の組織をどういうふうにするのかを検討していくことと、中長期的に民間委託の先をどうしていくのかという2つの課題について検討する場と捉えてよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
ごめんなさい。どういう質問でしょうか。
信濃毎日新聞 松嵜林太郎 氏
当面の組織として、民間委託も視野に検討されていると思うのですが、検討する項目として、当面と中長期の2段階で検討していくという形でよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。もちろん、将来的な恒久的な体制も考えなければいけないのですけれども、当面どういう対応をしていくのかということも、関係者と共有していかなければいけませんので、そこも含めて、一緒に考えていきたいと思っています。
長野県知事 阿部 守一
ありがとうございました。
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