ホーム > 県政情報・統計 > 県概要 > 知事の部屋 > 知事会見(動画とテキストでご覧になれます) > 2017年度知事会見録一覧 > 知事会見2017年4月13日
ここから本文です。
更新日:2017年4月17日
長野県知事 阿部守一
皆さん、こんにちは。今から会見を始めます。よろしくお願いいたします。(手話で表現)
私から冒頭3点お話を申し上げたいと思います。
まず1点目ですけれども、既に事務的にはお伝えをさせていただいているところですが、消防防災ヘリの事故に係る合同追悼式の開催についてです。
去る3月5日に発生しました消防防災ヘリの事故に係ります合同追悼式について、昨日公表いたしました通り、開催日時、場所等について改めてお伝えしたいと思います。平成29年5月30日の1時半からキッセイ文化ホールにおいて開催したいと考えています。
長野県消防長会と私ども長野県との共催という形にさせていただきたいと思っています。詳細については内容が固まり次第、別途お伝えさせていただきたいと思います。
開催趣旨といたしましては、消防防災航空の運行を担う県として、今回の事故でお亡くなりになられた隊員の方々のご功績をたたえ、そして多くの方々に殉職された皆さま方のご冥福と生前をしのぶ機会を提供させていただきたいと考えています。
また、消防長会と共催ですが、今回お亡くなりになられた消防職員は県内の消防本部から派遣で県に来ていただいている職員です。そうした観点で、まさに消防事務については市町村消防と私ども長野県、仕事上も一体で取り組んできていますので、共催するという形で昨日の消防長会において、ご決定いただいたところです。
殉職された隊員の皆さま方のため、そして、ご遺族のためにも消防長会と一緒になって合同追悼式の開催に向けた準備をしっかりと進めていきたいと思っています。
それから2点目ですが、子ども医療費についてです。
現物給付についての検討を行ってきたわけですけれども、前回の会見では、県として、市町村に対しての財政支援について、早期に方向付けをしていきたいとお答え申し上げましたが、考え方をまとめましたのでご報告したいと思います。
今回の子ども医療費の現物給付化に当たりましては、市町村の皆さま方と一緒に検討の場をつくり、中学校卒業までの現物給付で足並みをそろえる方向で議論がまとまりました。そうした環境を整えるうえで、県として所要の措置を講ずるよう検討を求められていたところです。
そういう中で、私どもとしても、また私としても、ぜひ全市町村において中学校卒業までは現物給付化を行っていくことが望ましいと考え、今回、国民健康保険のペナルティ額の2分の1について県として新たに補助する、負担していくことで方向付けさせていただきました。
また、付加給付部分についても負担増になりますが、これまでのルール上からも県が2分の1を負担をする形になりますので、そういう意味で、国保のペナルティ分、そして付加給付の停止額分の市町村の負担増分については、県として支援していくことで取り組んでいきたいと思っています。
今回の見直しを実施しますと、長野県で暮らされているすべての中学生までのお子さんが医療機関の窓口で受給者負担金の500円を支払っていただければ受診をすることができる、入院、通院ともにできる形になります。市町村によっては高校まで対象にしているところもありますが、その分についてはこれから各市町村での検討という形になると思いますが、少なくともこれまでの検討結果、そして今回の私どもの方向付けによりまして、入院、通院ともに中学校の卒業まで、すべての市町村で、所得制限なしで医療費の現物給付化という形になることを期待していますし、そのようになるだろうと思います。
今、全国の都道府県の状況を見ますと、所得制限なしで中学校卒業まで全市町村で子ども医療費を助成している都道府県は、昨年4月1日現在で12府県あります。そういう中で、今申し上げた現物給付を全市町村で、中学の卒業まで採用しているのは5県ということですので、今回、長野県がこうした見直しを講ずれば、先進5県とほぼ同程度の支援内容となります。そういう観点で、全国的に見てもかなり手厚い子ども医療費の助成制度になると考えています。
今回の制度の導入時期については、現物給付を導入するに当たり、市町村、そして医療機関、さらには審査支払機関等において、システム改修等の対応が必要になってきます。そうした対応に相当程度、期間が必要となることから、平成30年8月を目途に導入していきたいと考えています。
この制度は市町村の皆さま方と一緒に構築し、一緒に運営してきている制度であり、長野県は子どもに優しい、子どもを大切にする県として、取り組んできております。子ども医療費の現物給付化によりまして、そうした子ども支援の取り組みがこれまで以上に進んでくることになると思います。これからも市町村の皆さんと連携して、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
それから3点目ですが、お手元にプレスリリース資料をお配りしていると思いますが、4月17日に部局長会議を開催したいと思っています。協議事項は各地域における、複数の現地機関に関係する横断的課題を決定するということです。地域振興局長に、しっかりリーダーシップを発揮してもらいたいということで、私からも再三、この場でもお話し、局長の皆さんにもお伝えしているわけですけれども、特に横断的課題については、局長が他の現地機関を統括するということになります。そういう意味で、部局長会議において、横断的課題について議論、審議を行って決定していきたいと思っています。横断的課題はともすると、局のテーマがこれだけという感じで受け取られかねないので、あえて申し上げますと、地域振興局長が他の現地機関を統括していくのが横断的課題ですので、産業部門、あるいは農業部門、こうした部分は、局の中でもしっかり対応できるものですので、地域振興局が取り組む重点課題イコール横断的課題とは必ずしもならない。統括するものをしっかりと部局長会議で決定して、他の機関にも統括の下に服するのだという意識を持ってもらう上で、横断的課題というものを設定していますので、そこはご理解いただければと思っています。
私の方からは以上です。よろしくお願いいたします。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
子どもの医療費の窓口の負担の在り方の見直しということで、知事は先ほど、来年8月を目途に導入したい、平成30年ということで。時間的に1年4カ月ぐらいですかね。システム改修にも相当の時間がかかるというご説明があったのですが、時間的な余裕というか、その辺りは、かなりタイトだというご認識ではいらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
タイトです。
健康福祉政策課長 清水剛一
まず今回、県と市町村で大まかな中学校卒業まではということで決めましたけれども、この事業の実施主体は市町村です。市町村において、例えば審議会をやってどこまでやるかとか、どうするのかということをまず意思決定していただかなければなりませんので、それに相当の期間がかかるだろうと考えています。当然、条例ですとか予算だとかをやっていただかなければいけない。それから、それが固まったところで、市町村ですとシステム改修に入るわけですけれども、それに伴って支払機関あるいは医療機関において、システム改修が必要になりますので、1年4カ月ということですけれども、かなりタイトかなと考えています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
今どこまでやるかという話だったのですけれど、現物給付という言葉がなかなか浸透してないので使いづらいところがあるのですが、市町村によっては現物給付の範囲を中学卒業までを超えて、既にもう医療費の助成を高校生までやっているところもあるので、そういったところの範囲をどこまでやるかという理解でよろしいですかね。
健康福祉政策課長 清水剛一
今回の取りまとめについては、中学卒業まではという言い方をしていますので、高校卒業までやるという市町村が出てくるのではないかなと考えています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
大北の森林組合の関係なのですけど、長野地裁の判決が、組合も専務側も地検の方も期限までに控訴しませんで判決が確定しました。改めて、この判決確定についてどのように受け止めているかまずお聞きしたいのですが。
長野県知事 阿部守一
大北森林組合の刑事事件としての責任、犯罪行為とあえて言わせてもらいますけれども、それが確定したということだと思います。当初は、中村専務の発言と私の発言が横並びで報道されて、率直に言って、いかがなものかなと感じたこともあります。完全に中村元専務は自分の責任じゃないかのような、発言を当初されていたわけですけれども、今回の判決によって非常に重い責任があったことが改めて明らかになったものと受け止めています。ぜひ、しっかりと、罪を償ってもらいたいと思っています。
また、他方で、県職員にも重大な落ち度があったと判決文にも記載されているわけでして、私どもとすれば、こうした点については謙虚に受け止めなければいけないと思っています。これまでも県職員に対する懲戒処分を厳正に行ってきましたし、また、こうした事態が繰り返されることのないようにコンプライアンス推進体制の整備も全庁を挙げて行ってまいりましたが、引き続き、県全体で、県民の皆さま方からの信頼回復に努めていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
知事も判決文は入手されたということで、昨日も少し触れられていましたけど、その信用できないという部分がどこにかかっているか判然としないというふうな言及があったかと思うのですが、判決を見る限りは公判での職員の組合を信用していたとか、必ずやると思っていたというところを、これを見る限り指すのが普通ではないかとは思うのですが、知事はそれでもやっぱり判然としないという印象を持っていらっしゃいますかね。
長野県知事 阿部守一
今回の判決の内容が手元にありますけれども、不正の補助金申請を始めるきっかけを県側が与え、その後もこれを容認し続けてきたことは明らかで、補助金を交付した長野県側において重大な落ち度があったと言うべきであると、ここが結論部分です。ここについては、私どもも、これまでも、行き過ぎた助言であったり、未完了未着手事業の容認であったり、こうしたことが大きな問題であったということは、確認してきていますので、そういう意味で、大筋においてはこの判決で指摘されていることと、私どもがこれまで確定し、ご説明してきたこととは基本的に同じ内容だと思っています。
ただ、お話しがあったように細部のところを見ると、よく分からない。裁判官に私が質問をする権限があれば、どういう趣旨かということをお尋ねさせていただきたい感覚もありますけれども、例えば信用できない、これはこの場でも前回申し上げましたけれど、これは心証の問題で、それが事実関係の判断に結びついているかというのは必ずしも判然としていない文章だと思っています。ただ、こうした心証を裁判官に与えるほど、今回の事案についての県側の関わり方、県側の対応については大きな問題があったことは、われわれも率直に認めてきているところですので、先ほど申し上げたように、これからまだ損害賠償請求等も検討していかなければいけないわけですし、また、県民の皆さま方からの信頼回復に向けて、コンプライアンスの推進をはじめ、事務執行のあり方の厳正化・適正化ということも、林務部の仕事を中心に行ってきていますので、こうしたことを着実に進めていくことが重要だと思っています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
知事からお話があったように、県の関わり方、対応に大きな問題があったと、裁判官もそのような心証を持たれたということは、今回の問題は県のこれまでの主張とすると、組合が主体的に能動的にしていたということがこれまでの見解だったかと思うのですが、知事も先ほど触れられていましたけれど、裁判の判決の中でも。初めは不正な補助金申請のきっかけを与えて、その後も容認し続けていたことは明らかだと今回の判決で指摘されたことを踏まえると、従来の組合が主体的・能動的としていた部分については、必ずしもそうとも。
長野県知事 阿部守一
いや、この判決文を見てそのような見方はできないと思います。県職員に不利な部分だけ、かいつまんで読まれるからそのような話になっているので、中村被告人についてのところは、大胆な犯行であり、本件各補助金適正化法違反の犯行につき、主導的役割果たしていることを明確に言われていますし、量刑も非常に重いものだと考えています。冒頭に申し上げた通り、この裁判の被告人はあくまでも中村元専務と組合です。刑事事件の一般的な原則から言えば、疑わしきは被告人の利益だと私は学校で習いましたので、当然そうしたスタンスで裁判官の方々は判断し、判決を下されたと思っています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
今回の事件の構図の主従関係で言えば、あくまで主は組合で従は県側という、これまでの見解は。
長野県知事 阿部守一
組合というよりも、補助金適正化法違反の犯行について主導的役割を果たしたのは、被告人中村だと判決文には明確に書かれていますので、私もそう思っています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
私はその辺もまだ県民に分かりづらさがあるのかなと。
長野県知事 阿部守一
それは中村被告についての記述のところをメディアの皆さんがあまり触れていただいていないからではないかと思っています。ぜひそのようなところについて、事件の今回の判決の核心部分は県職員の関与ではないです。県職員は当事者ではありません、県も当事者ではありません。何度も申し上げていますけれども、県職員あるいは県としては抗弁する機会もないわけです。証言を求められ、証言をしているのが県職員の対応ですので、そこのところは弁護士がついて争った当事者である、被告人と、それから県職員のことを同列に、刑事事件の側面だけを捉えて扱うのは、いささか公平性を欠いた対応になり得るのではないかと思いますので。今回の刑事事件については、あくまでも被告と検察とのやりとりです。そこをしっかりと確認していただきたいと思いますが、何度も繰り返し申し上げますけれども、決して県に問題がなかったなどと言うつもりは全くありません。県がこれまで問題点を見過ごしてきたとか、あるいは、そのような認識を欠いていたのであれば、今回の判決を契機に、いかがなものかと厳しくご指摘されても、致し方ないと思いますけども、私はその都度その都度、県職員の処分、あるいは補助金の返還、あるいは中村元専務と組合に対する県からの告発、こうしたものについては必要な事実確認等を行いながら、丁寧にそして厳正に対応してきたところですので、これからも引き続き、県民の皆さんの期待と信頼に応えられるようにこの件に取り組んでいきたいと思っています。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
信州まつもと空港に関してお伺いしたいのですが、昨年度の利用者数が久しぶりに12万人に到達しました。これに関するご所感と、今後、まつもと空港の利用をさらに促進していくために必要だと考えていることを教えてください。
長野県知事 阿部守一
信州まつもと空港も、おかげさまで、人口はじめいろいろな指標が右肩下がりになる時代にあって、右肩上がりで利用者数が増加してきていることは、空港の設置者として大変うれしく思っていますし、またFDAはじめ、地元市町村、経済界、関係の皆さま方の大変なご尽力のもと、利用が伸びてきていることは関係の皆さま方に改めて感謝申し上げたいと思っています。特に、これから私ども力を入れていかなければいけないのは、海外からのインバウンド、チャーター便の就航ですが、新しく室もつくって積極的に取り組みを進めていますので、国際チャーター便が定着できるようにしっかり取り組んでいきたいと思っていますし、また国内線、札幌、福岡便のさらなる利用率の向上であったり、あるいは夏季限定ですけれども大阪便もありますので、そうしたもののPRも、これからも引き続き力を入れて関係の皆さまと一緒に取り組んでいきたいと思っています。
市民タイムス 赤羽啓司 氏
空港の関連で19日に2年1カ月ぶりのチャーター機がまた来ることになります。知事がお出迎えというようなお話もされていましたが、そのチャーター機へのお気持ちをお伺いしたい。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げた国際チャーター便の就航は、まつもと空港の活性化の極めて大きな手段だと思っていますので、大変、うれしく思っていると同時に、お越しいただいたお客様に満足していただき、航空会社、旅行会社ともに、ぜひまたチャーター便を就航させたいと思っていただくことができるように、しっかりと県を挙げて、関係者を挙げて歓迎させていただきたいと思っています。
市民タイムス 赤羽啓司 氏
部局長会議の関係で、地域の横断的な課題を決定する部局長会議とあるのですが、これは1回で決めてしまうものなのか、定期的に開いていくものなのか、どうお考えか。
長野県知事 阿部守一
基本的に1回で決めてしまう形になると思います。各地域振興局が地域振興会議の場でも議論してきているわけでありますので、先ほど申し上げているように横断的課題というのは地域振興局長が他の現地機関も統括できるものは何かということを明確にするものですので、年度初めに確定させてスタートさせていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
大北森林組合の関係で何点か伺いたいと思います。先ほどおっしゃっていましたけれど、判決文にある県職員の証言が信用できないという部分については、何を信用できないか判然としないということでよろしいのでしょうか。判決文を見ると、職員が組合を信頼していたという証言が信用できないというように読めるのですけれども。
長野県知事 阿部守一
被告組合を信頼していたなどとする証言が信用できないことが明らかであると、そこは明らかだと思います。それで、信頼していたという部分が、何を信頼して、それが事実関係の判断にどこがどう結びつくのかというところは、必ずしも明確には、この文章からだけでは読み取りづらいと受け止めています。ただ、先ほど申し上げたように、裁判官が県職員の証言を信用できないと判決文に書くということは、極めてこの事案全体も通して、県職員の対応について、裁判官のこうした心証を抱くに至るように、多くの問題があるということの裏返しだと思います。そもそも、現地調査をしないのに現地調査したかのような書類を作成していたわけですし、また、本来であれば、期限内に完了しているべきものについて、そうでなくてもいいということで容認をしていたわけですので、そうしたことからすると、県職員の対応自体に大きな問題があったということは私も思いますし、そうしたことが裁判官にも、この全体の判決分を書くに当たって、非常に県職員に対するマイナスの心証を与える要素になっていると思っています。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
この県職員の証言なのですけども、その組合は架空の全く工事をしないものを申請していて、それを県職員は現地調査をしなかったと。その理由については組合を信頼していたと、公判の中で何人もの方が、証言されていたのですけれど、つまりこれは、架空申請を受けたときに、なぜその現地調査をしなかったかというと、組合を信頼していたのだという証言が信頼できないという意味だと私は思うのですが、それはいわゆる何かというと全くの工事をしない架空申請を県職員は容認していたのではないかというようなことに投げかけているのだと思うのですが、その点はいかがですか。
長野県知事 阿部守一
いかがですかと言われても、私が明確にここで判断はできないです。私の心証を申し上げればいくらでも申し上げられますし、正直言って、私の心証も、県職員に対しては厳しいです。ですからコンプライアンス推進室を中心に、何度も聴き取り調査をさせています。これは、私は県の代表でもありますし、県職員の代表だけではなくて県民の皆さま方の代表でもあるので、こうした事案については私の立場としては非常に厳しいところも正直ありますけれども、ただこの件については、私は県民の皆さま方の思いとか、考えとかそういうことを踏まえてしっかり取り組むべきものと思っていますので、何度もご説明させていただいているように、詳細な聞き取りも行い、そして検証委員会の皆さま方にも、聞き取りを行っていただき、その上で、これまでの対応を行ってきています。先ほどから申し上げているように、今回の判決文は、被告を検察が起訴して、被告人である中村元専務と組合の罪状を判断するための裁判、そこが中心ですので、県職員の関与というのは必ずしも中心的なテーマではないと思っています。そこは裁判の性質上、当然そういう形になっていますので、それは先ほど申し上げたように、中村元専務と組合の犯罪行為ということが明確になっていますので、われわれとすれば、県職員の関与の在り方というのはこれまでも、懲戒処分の段階で事実認定をしています。
それから、これから県職員の損害賠償責任をどうするかについて、また、これまで調査したことも含めて、しっかりと確認をしていきますので、その局面、その目的、そうしたものに応じてしっかりと我々できる限りの確認調査を行ってきていますし、これからも基本的にそのスタンスは変わりません。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
不正な申請の容認だとかというのは、知事自身は全くの架空申請の容認ではなく、未着手の事業の申請の容認だというふうに捉えていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
そこの言葉のところが微妙ですけれども、未着手事業というのは、当然ですけれども、外形的には何も行われていないわけです。そこから後は心の問題だということは共有いただけると思います。ですから、そういう意味で、この裁判官の心証というところは、極めて悪い心証を持たれているのだろうなと思いますが、私どもはこれまで丁寧に確認調査をしてきておりますので、先ほどから申し上げているように、県あるいは県職員が当事者になっていない裁判の判決文ですから、現時点で、私どもがこれまで確認してきたことを覆すような内容では、必ずしもないだろうというのが、私の感覚です。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
ただその心の問題の中に裁判官はあきらかに架空の認識があったのではないかというような指摘をされているのですけれども
長野県知事 阿部守一
ですから、先ほど申し上げたように、交付時点で未着手事業を容認していたというのはわれわれも明確に言っています。それをどういうふうな心証として受け止めるかは、それはいろいろな受け止め方があるだろうと思います。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
そうすると報告書では、基本的には組合が主体的、能動的にやったというふうにしてあって、ずさんな県の検査体制に付け込まれたと結論付けているのですけれど、ただ、やはり、職員が、ある意味その工事をしないものと思って、仮に容認していたとすれば、ずさんな検査体制に付け込まれたという意味とはまたちょっと違う
長野県知事 阿部守一
逆に言うと、職員が、全く事業が行われないものについて、全面的に認める実益はゼロですよね。中村元専務は自分の私腹を肥やしていたわけですが、県職員は全く、一銭たりともバックを受けているわけではない。であればそういうことは、県の職員の動機とはならないです。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
それは判決の中でも予算消化が目的と触れられていると思います。
長野県知事 阿部守一
判決文の全体を見ていただかないと、何となくつまみ食いをしているということだけでは困るのですが、例えば、判決文でも逆のことを申し上げれば、作業道の整備を通じて森林の整備を図るという使命を果たそうとしていたものと書いてあります。使命を果たそうとするものと、全く何もしないでただ補助金をぶち込めと考えていたのは、全く開きがあると私は思っています。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
その使命を達成する中で、予算消化というプレッシャーの中で、やはりそれは一線を越え過ぎていると思うのですけど。
長野県知事 阿部守一
それは佐藤さんの心証です。心証の、気持ちの、こんなことだったのではないでしょうかとか、こういうふうにも推測されますよねとか、もしかしたらあったかもしれませんねという質問をずっと繰り返されても、それは佐藤さんの心証です。
信濃毎日新聞 佐藤勝氏
私は裁判を見る中でやはりいろいろな県職員の証言を聞いたりだとか、あと証拠を見る中で、やはりそういう心証を持たざるを得ないというか。
長野県知事 阿部守一
どういう心証ですか。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
つまり、例えば、事務所から10分程度で行けるようなところで、検査をしなかったりだとか、例えば雪が解けても、検査に行かなかったりだとか
長野県知事 阿部守一
私もだからそれは極めて問題だと思っています。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
それは問題なのです。その背景には、やはり予算消化のプレッシャーの中で、別にその工事がやってもやってなくてもいいのではないかと県職員の方が思っていたのではないかと。
長野県知事 阿部守一
県職員からの証言ではそういう証言はないです。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
ないですよ。ただ、そういう状況的なものを積み重ねると、そう言われても仕方がないという部分もあったのではないかと。
長野県知事 阿部守一
ですから、そう言われても仕方がないということは、そういう心証を持たれても仕方ないですよねと私も申し上げているので、別にそれほど理解が違っているわけではないと思いますけれど。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
そういう中でやはり報告書では、ずさんな検査体制に付け込まれたということになっている。この報告書が作られたのは、だいぶ前の話なので、いろいろ時点が変わっていますよね。警察の捜査が入って裁判も行われている。その中で、この事案を検証して報告書に反映させるというお考えはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、今回の判決文を受けて、今までわれわれが対応してきたことが、根底から違っていたという話ではないと思っていますが、そこは同意していただけますよね。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
県が検査もせずに、未着手・未完了箇所を認めていたということは、つねづねおっしゃっていて、それは私としてもそう思っています。
長野県知事 阿部守一
昨日のぶらさがり会見でも申し上げたように、私は率直に言うと、今回の世論調査協会のアンケートへも、いささか疑問も持っていますけども、調査っていうのは何らかの目的があって調査します。
それは県職員を懲戒処分にする側面だったり、あるいは補助金の返還額を確定する局面だったり、あるいは県としては刑事告発する局面だったり、それぞれどういう観点か、同じ事案への向き合い方として、もちろん違ってくるわけです。
そういう意味で、今まで私どもが対応してきたことについて、現時点で変更しなければいけないというようなことはないと思っていますし、佐藤さんのおっしゃっていることを全面的に否定しているわけではないのです。これからまだ損害賠償請求とかが残っているわけです。これは組合であったり、中村元専務であったり、あるいは県職員であったり、法的な損害賠償責任を負うのか負わないのかということも含めて考えていかなければいけません。そういうことを考えるに当たって、これまでのいろいろな聞き取りや確認をしてきたことをベースに、今後必要な調査は当然やっていきます。
いつも佐藤さんとやりとりしていて感じるのは、私は佐藤さんのおっしゃっていることを全面的に否定しているつもりは、全くありません。ただ、これまでやってきたことが全然違うのではないかというニュアンスで受け止めてしまうところがあるので、そうではないのですよということを申し上げています。これからも誠実に対応していきますし、佐藤さんの方でいろいろ調べられる中で、こういうことをもっと確認しなければ、責任は確定しないのではないかということがあった場合、ご指摘いただければ、われわれも謙虚に受け止めて対応いたしますので、ぜひよろしくお願いします。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
最後に1点。新たに立ち上げる委員会の中で、組合に返還請求しているものについても、意見を求めるのですか。組合に不正受給した分を返還請求していますよね。それについても委員会の中では議論されるのでしょうか。加算金だけではなくて。
長野県知事 阿部守一
先ほどから申し上げているように局面が全然違って、補助金の返還請求というのは、県として、国と県との関係では、国としてですが、組合と県との関係では、県として補助金の交付決定を取り消して返還させるわけですから、それは、損害賠償請求ではなくて、出した補助金の支出が不適正だから返還してくれと言うものです。これから考えるのは、県に損害が生じているのか。生じているとすれば、どれぐらいの損害かと。その損害についてはだれが責めを負うべきなのか。そういう側面があるので、補助金の返還請求と損害賠償というものは、もちろん同じ事案をめぐる検討ではありますけれども、局面とか側面とか視点はだいぶ違ってくると思います。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
ただ、不正受給に関して、やはり県の職員の関与があったと指摘されている中で、それ自体も、議論されるべきでないかと。
つまり、県は組合に、不正受給したものの返還請求をされていますよね。その不正受給したことに関して、やはり県にも落ち度があったのではないかと判決で指摘されていますよね。ということは、そこの不正受給、組合が間伐森林作業道で不正受給した部分についても、関与した県職員の損害賠償を議論するということはあり得るのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
それは次元が違う議論です。私が佐藤さんに100万円補助金を支給したとして、佐藤さんにも責任あるし、私の事務手続きもちょっと悪かったねと。だけど補助金の交付自体がどうだったかで言えば、取り消せば100万円自体は佐藤さんのところにいっているのですから、それは当然返すのが基本です。それと損害賠償の話がごちゃごちゃになるのは、おかしな話になると思いますけれども。
信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
わかりました。
テレビ信州 加納将之 氏
合同追悼式の件ですが、中身がまだ決まっていないのは重々承知ですが、共催者の一人として、どんな式にしたいのかというところと、知事としてどんな思いでこの追悼式に臨みたいのかなというところをお聞かせいただければと。
長野県知事 阿部守一
本当に、9名の方の隊員の皆さんが尊い命が失われるという、極めて残念な、そして多くの皆さまにとっても悲しい出来事であったわけです。私もご遺族の皆さまのお一人お一人とお会いして、いろいろお話させていただきましたけれども、やはり、今回亡くなった県の消防防災航空隊員全ての皆さんが、人命救助に情熱を傾け、志を高く取り組んできていただいたわけですので、そういう意味で、彼らの功績をしっかりと称えていきたい。また、私ども、あるいは今回共催いただく消防長会の皆さま方だけではなくて、多くの県民の皆さま方、直接救助された方々はもとより、多くの皆さま方も、そうした思いを共通に抱いていただいていると思っております。そういう意味で、これは県、そして消防長会、そして多くの皆さま方と一緒にお亡くなりになった方々のご冥福を祈る、そうした場を作らせていただければと思っています。
読売新聞 丸山修 氏
ゴールデンウィークが2、3週間後に迫ってきたところですけれども、今年は、信州デスティネーションキャンペーンの前哨戦的な意味合いも出てこようかと思うのですが、先日もDC100日前の会議が行われた際、知事の方では、観光業界の方の盛り上がりが十分ではないのではないか、という認識を示されるような場面もあったかと記憶していますけれども、現時点でDCを前に実施した観光誘客の現状について、その予約状況等、ある程度見込みが見えてきている部分もあるかもしれませんが、その辺りをどう認識されているかというのが1点と、もう一つ、知事ご自身、ゴールデンウィークはどのようにお過ごしになる予定か、もし予定が決まっていれば教えていただけますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
予約状況等は、把握していませんけれども、徐々に盛り上がってきていると思っています。特に、JRグループと一緒に取り組んでいくわけですけれども、JRの皆さま方の取り組みの形も、次第に具体的になってきています。また、4月から設置した地域振興局には、すべての局長に、観光振興を中心的な課題として取り組むようにと、私から指示していますので、それぞれ県内各地域を挙げての取り組みに繋がるようにしていきたいと思っていますし、そうした形での準備を進めてきています。観光部長も新しくなり、新しい視点でかなり馬力をあげてやってもらっているところですので、私は、DCは一過性のものではなくて、後に繋がるものにしてくれと、これまでもずっと申し上げてきていますので、今回の主たるテーマである、癒し、アウトドア、歴史文化、食、こうしたものを、DCを契機にしっかり掘り起こして、その後の長野県の観光につながるように取り組んでいきたいと思っています。
また、私のゴールデンウィークの過ごし方は、まだ未定です。大勢の皆さま方にゴールデンウィークにお越しいただいて、長野県が盛り上がる、観光大県として、元気が出るように取り組んでいきたいと思っています。
信濃毎日新聞 竹越萌子 氏
子どもの医療費の関係で1点伺いたいのですけれども、導入時期についてなのですが、これは平成30年8月で一律に導入していくイメージなのか、それとも平成30年に順次、市町村、各市町村で導入していくイメージなのか、その辺のお考えをお伺いできますか。
長野県知事 阿部守一
これはもう一律にです。先ほど申し上げたように、基本的には市町村の制度に県がお金を一緒に負担しているという形になっていますが、長野県としては、多少市町村ごとに対象範囲等が違うところがありますけれども、基本的な仕組みは、あわせて取り組んできておりますので、今回、現物給付を導入するに当たりましても、平成30年8月から、県内全体で一斉にスタートできるように取り組んでいきたいと思っています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
私も子どもの医療費についてちょっとお伺いしたいのですが、取材を進めていると、1レセプト当たり500円を払うのも結構厳しいという声がたまにありまして、例えば、病院に行って500円、薬局にて別に500円なので、さらに子どもが3、4人いると、3倍、4倍になるので、厳しいと。県外の取り組みを見ると、所得制限を設けてでも、受給者負担をなくして完全無料化を図っているケースもあるのですけれども、そういう考え方については、知事は今どのようにお考えなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
どちらの考え方もあり得ると思います。所得が低い方を重点的に支援していこうというやり方と、私ども県のように、所得制限なしで対応しているやり方と、両方あり得ると思っていますし、どちらか一方が必ずしも正解ということではないのではないかと思っています。私どもは、実はこれに先立って「子育て支援戦略」を市町村の皆さんと一緒に検討してきた経過の中で、低所得者対策、あるいは、所得補填的な意味での支援ではなく、子どもを大切にする県であろうということで、いろいろな制度を、できるだけ所得制限なしで対応していこうと考えており、この子どもの医療費も所得制限なしで、非常に所得が高い方も含めて対象にさせていただいています。そういう意味で私の感覚とすれば、そういう制度ですから一定の受益者負担金は頂戴させていただかざるを得ない。ただ、それとは別に、今いろいろと、子ども食堂の話も含めて、困難を抱える子どもたちへの支援を別途検討していますので、困難を抱える子どもたち、あるいは、所得が少ない方たちへの支援は、教育費の問題をはじめ、いろいろとあるので、そうした別の観点で対応をしていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございました。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください