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更新日:2025年12月1日

令和7年11月県議会定例会における知事議案説明要旨(令和7年11月27日)

ただいま提出いたしました議案の説明に先立ち、当面の県政課題について御説明を申し上げます。

【国の経済対策への対応等】
今月21日、「生活の安全保障・物価高への対応」、「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」、「防衛力と外交力の強化」を三つの柱とする総合経済対策が閣議決定されました。本県としても、現下の物価高等に的確に対応するため、現在の「長野県物価高騰・米国関税措置支援パッケージ2.0」に更に子育て支援や防災・減災対策、未来に向けた投資の拡大などの観点を加え、新たな経済対策を策定することといたしました。明日取りまとめられる予定の国の補正予算案を踏まえ、県としても経済対策の策定と補正予算案の編成作業を精力的に進めてまいります。重点支援地方交付金などを積極的に活用し、県民の皆様に政策効果を早期に実感いただけるよう取り組んでまいります。
昨日、高市総理も出席した政府主催全国都道府県知事会議の冒頭挨拶で、全国知事会会長として、日本の輝かしい未来を切り拓き、将来世代への責任を果たすためには、人口減少対策、ジェンダー平等の推進、脱炭素社会への移行など中長期的課題への対応が不可欠であり、そのためにも、国と地方の役割分担の改革や地方財政の充実・強化が重要であることを訴えさせていただきました。国民・住民のため、政府とも緊密に連携しつつ、諸課題の解決に全力で取り組んでまいります。

【海外との連携強化】
国交正常化60周年という日韓両国にとっての意義深い年に当たり、今月10日から13日にかけて、長野県知事として、また全国知事会会長として韓国を訪問いたしました。
まず、長野県議会日韓親善促進議員連盟や民団長野県地方本部の皆様とともに江原(かんうぉん)特別自治道を訪問し、金(きむ)鎭(じん)台(て)知事と観光・文化・スポーツなどの分野での交流拡大の重要性を共有し、「交流協力拡大共同宣言」を行いました。来年は友好交流協約締結から10周年を迎えることから、実務レベルで協議を進め、未来志向での協約更新を目指して取り組んでまいります。
全国知事会会長としては、海外プロモーション、国務総理への表敬、そして日韓知事会議に臨みました。小都市への観光誘客を狙ったプロモーションには多くのメディアや観光関係者等に参加していただき、日本各地への訪問促進につながる手応えを得ることができました。金(きむ)民(みん)錫(そく)国務総理には、地方交流を通じて両国の友好と繁栄に貢献していく旨をお伝えし、国務総理からも地方政府間の交流を両国関係の発展につなげてほしいとの御発言がありました。第8回となる日韓知事会議では、「人口減少」と「経済の活性化」をテーマに率直な意見交換を行い、市道知事協議会の劉(ゆ)正福(じょんぼく)会長との間で、共通する課題に関する経験を共有し、協力を継続することの必要性を確認いたしました。
先月は関副知事を団長とする訪問団が北米を訪問し、県産品PRのためのレセプションや観光セミナー、商談会を開催いたしました。ハワイやカナダのトロントでも経済関係者と交流し、本県の魅力を発信したところです。
今後も、長野県の持続的発展のため、海外との連携を一層深め、観光誘客、輸出促進、人材交流などを力強く推進するとともに、人口減少や気候変動など地球規模の課題にも国際協力のもとで取り組んでまいります。

【長野県石油商業組合に対する排除措置命令等について】
昨日、公正取引委員会は、本県におけるガソリン価格のカルテル事案について、長野県石油商業組合北信支部が独占禁止法に定める「事業者団体の禁止行為」に該当する行為を行っていたとして、排除措置命令を発出しました。あわせて、同支部に加盟する一部の事業者に対しては「不当な取引制限の禁止」に該当する行為が認定され、課徴金納付命令が行われるとともに、県石油商業組合に対しては申入れが行われたところであります。
これらの行為は、公正な競争を阻害し、県民生活や地域経済に深刻な影響を及ぼすものであり、県民の信頼を著しく損なう許しがたい行為です。また、組合本部が北信支部における不適切な価格調整行為を把握しながら、必要な是正措置を講じなかったことは、組織運営におけるガバナンスの欠如を示すものであり、こうした事態に至ったことは誠に遺憾であります。県石油商業組合は、この状況を重く受け止め、組織としての健全性と透明性を確保するよう取り組むことが必要であり、同時に県民に対して、説明責任を果たし、信頼を回復することが極めて重要です。県としては、今回の排除措置命令等の内容を踏まえ、組織運営が適正になされ、法令遵守が徹底されるよう、厳正に対処してまいります。

【ツキノワグマ対策の推進】
全国的にクマの出没と人身被害が相次ぐ中、本県でも既に昨年度を上回る15名の方が被害を受けています。例年10月には目撃件数が減少に転じますが、今年は人の日常生活圏での目撃が219件と9月を上回り、前年同月比約3倍に達するなど、深刻な状況にあります。
このため、今月14日、私を本部長とする「ツキノワグマ対策本部」を設置し、「人身被害ゼロ」を目標に、ツキノワグマ対策総合パッケージ1.0を取りまとめました。「棲み分けの徹底、出没防止策の推進」、「人の日常生活圏に侵入したクマの捕獲の強化」、「緊急対応体制の強化」、「人材の確保・育成と広域連携」「情報発信・普及啓発と行政体制の強化」の五つの柱のもと、地域振興局を含む関係部局が一体となって対策を推進してまいります。特に堅果類の不作に伴う出没増加を見据え、捕獲上限をこれまでの2倍の675頭に引き上げ、学習放獣の一時休止を含む確実な捕獲対策を講じます。また、緊急時に備え、県独自マニュアルを活用した訓練を実施し、現場対応力を高めてまいります。
今後ともできる限りの対策を講じるとともに、市町村や関係団体と連携し、県民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいります。

【安全・安心な出産環境の確保】
県立木曽病院が来年4月から分娩(べん)受入れを休止する方針を踏まえ、木曽地域の妊産婦の皆様への支援策を検討してまいりました。町村や住民の皆様との協議等を重ね、木曽郡6町村及び木曽広域連合とともに、木曽地域妊産婦支援パッケージを取りまとめました。
妊娠中期までの健診は木曽病院、それ以降の健診と分娩は分娩医療機関が担う体制を前提に、交通費や宿泊費の支援、陣痛タクシーの導入支援、医療機関間の遠隔モニタリング体制整備などを行ってまいります。同様に、二次医療圏内に分娩医療機関が存在しない大北地域についても、今後市町村との協議を進め、必要な支援策を取りまとめてまいります。
出生数が減少する一方で、ハイリスク分娩が増える中、安全・安心の確保を最優先に、将来の周産期医療体制の姿を明確にしていくことが重要です。県では、医師、助産師による「周産期ワーキンググループ」を設置し、地域間・病院間の役割分担や連携の在り方を含め、持続可能な体制構築に向けた議論を進めています。検討結果は来年度の保健医療計画の中間見直しに反映し、確実な実現を図ってまいります。

【県立高校の環境整備】
県立高校における学習環境の質を一層高めるため、施設・設備の改善を着実に進めてまいります。空調整備については、平成24年度の保健室への導入を皮切りに、普通教室や特別教室へ順次拡大してまいりました。近年の猛暑を踏まえ、生徒と教職員の健康を守るため、令和9年度までに夏季に使用する全ての教室等への空調整備を完了させる方針のもと、速やかに整備を進めてまいります。調理室など衛生面の配慮を要する教室、実習機器による室温上昇が著しい教室などを優先的に整備し、設計業務を要さない教室等は、来夏から使用できるようにいたします。また、洋式化や臭気対策、設備更新への要望が多いトイレについても、総合的な整備方針を策定の上、来年度当初予算以降、計画的かつ早期の改善を進めてまいります。

【長野県生物多様性センターの新設】
生物多様性は人類の生命と暮らしを支える基盤であり、その損失を防ぎ回復を図ることは、豊かな自然を誇る本県のみならず、国際社会にとっても極めて重要な課題です。
このため、本年4月に施行された地域生物多様性増進法に基づき、来月、「長野県生物多様性センター」を新設いたします。センターでは、環境保全研究所など専門機関の知見を結集し、相談等への助言や環境保全活動の支援、県民の行動変容を促す情報発信などを行います。今後は市町村とも連携し、体制の充実を図りながら、生物多様性の増進に積極的に取り組んでまいります。

【景観価値の向上】
雄大な山並みや穏やかな田園風景など、美しい景観は本県のかけがえのない財産です。この景観を広域的観点から育成し、磨き上げていく必要があると考え、令和5年8月、長野県景観育成計画の改定について景観審議会に諮問いたしました。
2年以上にわたる審議の末、先月の答申では、県と市町村が方向性を共有するための景観育成ビジョン策定、地域特性を踏まえた広域景観アセスメント制度の導入、景観特性に優れた重点地域の追加指定などについて提言をいただき、現在、その具体化に向けた作業を進めているところです。
信州の景観価値を一層高め、確かな形で守り継ぐため、来年の2月定例会への景観条例改正案の提出も視野に入れ、庁内検討を深めるとともに、市町村等との調整を進めてまいります。

【働きやすい職場づくりの推進】
多様な人材が力を発揮でき、働き手の確保や生産性の向上等にもつながる「誰もが働きやすい環境づくり」を力強く進めてまいります。
2030年に目指す旗として信州未来共創戦略で掲げている都道府県版ジェンダー・ギャップ指数の改善に向け、男女間の賃金格差の是正や企業・法人における役員・管理職の男女比改善などに、経済団体等の皆様と連携して取り組んでまいります。
近年、社会問題化しているカスタマーハラスメントは、働く方の心身の健康と組織の生産性を脅かす重大な労働問題です。今年6月に公布された労働施策総合推進法等の一部を改正する法律により、相談体制の整備や発生後の適切な措置など、必要な対応が全ての事業主に義務付けられました。こうした状況を踏まえ、先月30日には、長野労働局や経済・労働団体等と「長野県カスハラゼロ共同宣言」を行い、相談体制の充実や職場環境の改善に向け、関係団体と一体となって取り組む決意を共有したところです。
県組織においても、新たにカスタマーハラスメント対策要綱を制定し、職員の健康と安全を守る体制を強化します。一方で、問い合わせ対応の利便性向上や申請手続のオンライン化、接遇向上のための研修充実など、県民サービスの向上にも努めてまいります。

【県と市町村の連携による行政体制最適化】
急速な人口減少の下、地方自治体では専門職員等の不足が深刻化しており、特に小規模町村が多い本県において、必要な行政サービスを持続的に提供するためには、県と市町村が連携して行政体制の最適化を図ることが重要です。
このため、今月開催した「県と市町村との協議の場」では、行政体制や役割分担等を検討するプロジェクトチームと、土木職員の確保など差し迫った課題に対応する三つのワーキンググループの設置について、市長会、町村会と合意いたしました。また、行政体制最適化の一環として、木曽広域連合規約の変更案を今定例会に提出しております。将来人口の減少率が県内で最も大きく、中心市を持たない木曽地域において、県が木曽広域連合に参画し、地域公共交通や広域観光の分野で県と町村とが一体的に取り組むことを通じて、より効果的・効率的な施策推進を図ってまいります。

【長野県150周年記念に向けた取組】
現在の長野県が誕生してから150周年となる意義深い2026年が迫っています。県民が一体となって本県の価値や魅力を再発見し、共有し、磨き上げる一年とすべく、長野県150周年記念事業を多面的に展開してまいります。
年内には、事業のコンセプトや県の歩み、関連イベント、記念商品などの情報を集約した特設サイトを開設し、150年の歴史を振り返り未来を展望するショートムービーを公開します。年明けには、県民の皆様に自然、食、文化、産業技術など多彩な価値を再発見し体験いただくため、投稿キャンペーンや県内を巡るデジタルスタンプラリーなどを、プレDCとも連携して実施いたします。とりわけ未来を担う子ども・若者世代に向け、学校との連携による探究学習の推進や、若手クリエイターによるポスター制作など、地域への理解と愛着を育む取組を進めてまいります。
長野県誕生の記念日である8月21日には、「つながる長野県」をテーマに記念式典を開催いたします。メイン会場を松本市に設け、県内各地を中継でつなぎ、誰もが関わり参加できるインクルーシブな式典とすることにより、地域や世代などを超えた県民の一体感を創出してまいります。
県民、市町村、企業、各種団体の皆様と力を合わせ、この150周年イヤーが、本県の明るい未来につながる一年となるよう取り組んでまいります。

【令和8年度当初予算編成】
令和8年度の当初予算編成にあたっては、県民起点・現場重視で、確かな暮らしを守り、ゆたかな社会を創るとの強い決意で取り組んでまいります。
今回の予算編成方針では、産業競争力の強化、家計可処分所得の向上、持続可能な農業や観光立県の実現といった経済・産業施策に加え、教育・子育て支援の充実、安心・安全な医療提供体制の構築、移動利便性の向上などの暮らしを支える施策、更には脱炭素社会の実現、伝わる広報への転換など、時代の大転換期にあたり特に力点を置くべきテーマを重点項目として掲げました。限られた財源と人的資源をこれらの分野に集中的に投入し、「しあわせ信州創造プラン3.0」の着実な推進を図ってまいります。事業構築にあたっては、データや政策評価を踏まえ、ジェンダー主流化の視点、AI・デジタル技術の活用、賃金・物価上昇の適切な反映などを徹底します。
来年度の県財政は、社会保障関係費に加え、人件費や公債費の増加等により、厳しい状況が続く見込みです。事務・事業の徹底した見直しによる選択と集中、業務の集約化・外部化などを推進し、メリハリのある予算となるよう取り組んでまいります。

【補正予算案】
さて、今定例会に提出いたしました一般会計補正予算案その他の案件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
補正予算案は、一般会計64億9,358万6千円、特別会計36万9千円、企業特別会計6,624万1千円であります。
一般会計補正予算案には、これまで述べた施策に加え、医療・介護等提供体制の整備、教育環境の整備、原料米価格高騰への対応、県民生活の安全・安心の確保などに要する経費を計上しました。
医療・介護等提供体制の整備では、介護ロボットやICT機器の導入支援により介護施設の生産性向上を後押しするとともに、災害拠点福祉施設の資機材整備等を助成し、DWAT(災害派遣福祉チーム)の体制強化を図ります。教育環境の整備では、清泉大学農学部(仮称)の新設に伴う施設・設備整備を支援します。原料米価格の高騰に対しては、経営改善に取り組む県内食品製造事業者が県産の酒米や加工用米を購入する経費を緊急的に助成します。また、県民生活の安全・安心を確保するため、春・夏の観光シーズンに向けた道路舗装の修繕や、除雪等により不鮮明となった道路区画線の塗り替えなどを行うための債務負担行為を設定しました。
この補正予算案の財源として、地方交付税47億3,042万7千円、国庫支出金9億7,815万6千円、その他県債など7億8,500万3千円を見込み、計上しました。今年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと1兆311億8,341万6千円となります。
特別会計の補正予算案は、県営林経営費特別会計であります。企業特別会計の補正予算案は、総合リハビリテーション事業など4会計であります。

【条例案、事件案、専決処分報告】
条例案は、若年層に重点を置いた給与の引上げ改定等を行うための「一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案」など、一部改正条例案8件であります。

事件案は、飯田警察署庁舎ほか建築工事請負契約の締結についてなど30件であります。

専決処分報告は、道路上の事故の専決処分報告など16件であります。

以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。

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