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更新日:2023年11月30日

令和5年11月県議会定例会における知事議案説明要旨(令和5年11月30日)

  ただいま提出いたしました議案の説明に先立ち、当面の県政課題について御説明を申し上げます。

【県民対話集会の実施】
 「『対話と共創』を基本に、県民の皆様の思いに常に寄り添い、ともに考え、行動する県政を推進します。」昨年夏の知事選挙において、自らの基本姿勢として私が公約の冒頭に掲げた言葉です。2019年度後半以降、令和元年東日本台風災害対応とそれに引き続くコロナ禍の中で、県民の皆様との対話が圧倒的に不足していたとの反省も踏まえたこのお約束を実現する一環として、昨年10月から、全市町村を訪問しての県民対話集会を実施してまいりました。
 延べ3,500人を超える参加者の方々から、様々な分野における担い手不足、公共交通の利便性低下、教育や子育てに関する悩みなどの切実な課題をお伺いする一方で、そうした課題に関する私の考えについても率直にお伝えしてきたところです。
 お話を伺って終わりということにならないよう、いただいた課題を整理し、来年度当初予算での対応も含め県の施策に反映させてまいります。

【「ゆたかな社会」の実現を加速するための長野県総合経済対策の実施】
 今月22日、「『ゆたかな社会』の実現を加速するための長野県総合経済対策」を取りまとめました。足元の物価高から県民や事業者を守り、強靱で健全な経済構造への転換を促すとともに、人口減少下でも活力のある安全・安心な社会を実現するべく、国の補正予算等も活用しながら、その具体化を進めます。
 まずは、足元の物価高から県民生活と事業活動を守るための取組に最善を尽くします。
 「長野県フードサポートセンター」を通じた食料支援や、「生活就労支援センター(まいさぽ)」における就労支援の強化により、生活にお困りの方々を支えます。また、信州こどもカフェの運営支援の拡充やフードバンク活動団体の食料保管設備の整備支援により子ども・子育て世帯を応援するほか、LPガスの利用料金支援を継続するなど、既に予算化している学校給食費支援や、まいさぽにおける生活必需品・LED電球の提供などと併せて、県民の皆様の暮らしを支えてまいります。一方、事業活動を支援するため、物価高の影響を受ける事業者向けに中小企業融資制度の新たなメニューを創設するほか、特別高圧電力を受電する中小企業者等に対する支援金の支給、社会福祉施設・医療機関・私立学校等の光熱費等の高騰分の助成、乗合バス運行継続のための燃料費の支援、畜産農家の飼料やきのこ生産者の培地の購入費助成を引き続き行います。
 このように足元の急激な物価高騰を乗り切るための支援を行う一方で、生産性の向上と適切な価格転嫁等により賃金が上昇し、産業の脱炭素化や地域内での経済循環が一層進んだ「強靱で健全な経済構造」への転換を図ってまいります。
 生産性向上と賃金引上げに取り組む事業者を支援する国の「業務改善助成金」に対して上乗せ補助を行うこととし、特に職場いきいきアドバンスカンパニー認証企業等に対しては支援額を増額します。また、パートナーシップ構築宣言を行う企業を更に増やすための取組を進めるなど、適切な価格転嫁の促進に向けた機運の醸成を図ります。工業製品や食品等の輸出拡大を目指して海外の展示会・商談会への出展支援を行うなど、海外での稼ぐ力を高めます。全国と比べて相対的に高いガソリン価格への対応としては、事業者向けセミナーの開催や灯油タンクへのスマートセンサーの設置助成により、給油所の更なる経営合理化等を支援します。
 ゼロカーボン社会の実現を加速するため、エネルギーコスト削減促進事業、省エネ家電切換え緊急支援事業、電気自動車用充電インフラ整備促進事業の予算をそれぞれ増額します。地域内経済循環の確立に向けては、化学肥料の代替となる緑肥作物への転換に取り組むほか、県産小麦の需要拡大に向けた品質向上や、飼料生産機械の貸出しによる県産飼料への転換を進めます。
 人手不足に苦しむ中小企業の担い手確保や省力化は喫緊の課題です。宿泊業における省力化・効率化の伴走支援や移住支援金に係る予算の増額などに取り組むほか、暮らしや産業にとって重要な公共交通・物流事業者が取り組むドライバー等の人材確保を積極的に支援します。「物流2024年問題」に関しては、円滑な価格転嫁の実現や荷主・消費者の行動変容を促すための広報、物流の効率化に資する取組を支援するための中小企業融資制度における新メニューの創設などを行うことに加え、今月22日には関係者が協力して諸課題に取り組むべく「物流2024年問題の克服に向けた共同宣言」を行ったところです。
 防災・減災対策など国の補正予算成立後に詳細が明らかになる事業等に関しては、今後、追加の補正予算案を取りまとめて議会にお諮りいたします。

【欧州訪問】
 欧州が先行する環境施策に関する視察や意見交換、デジタルなど産業分野における連携強化、観光・物産に関する魅力発信・販路開拓などを目的に、先月28日から今月5日にかけてオランダ、ベルギー、ドイツ、フランスの4か国を訪問してまいりました。
 アムステルダムではサーキュラーエコノミーの実践地域を訪問するとともに、ブリュッセルでは欧州の主要なビジネスネットワークである「CSRヨーロッパ」を、ボンでは本県も会員となっている「イクレイ(ICLEI)」の世界事務局を訪問し、今後の協力関係の構築等について意見交換しました。脱炭素化など持続可能な社会を目指した国際的な活動に本県も貢献できるよう、連携を一層強化してまいります。
 ドイツのフラウンホーファー研究機構の応用情報技術研究所との間では、研究等の情報交換や職員の相互交流などを進めるための共同宣言を行いました。また、同機構と連携しているアーヘン工科大学のEV研究所を訪問し、県内EV関連企業が直接オンラインで製品・技術をアピールする機会も設けたところです。今後は、こうした関係性を基盤として、ドイツで開催されるEV関係展示会への出展支援を行うなど、県内企業の欧州進出を一層促進してまいります。
 フランクフルトとパリにおいては、豊かな自然や文化など本県の強みを生かした観光と、味噌や日本酒などの食品を中心とする物産プロモーションを行いました。ドイツ、フランスからはコロナ禍前の水準を上回る観光客が訪れるようになっており、今年度新たにドイツに設置した現地コーディネーターを生かして、欧州からのインバウンド誘客に力を入れてまいります。フランスでは日本の文化や発酵食品等に対する関心がとりわけ高いことから、今後、パリで活躍中の本県出身シェフや現地輸入事業者等の協力も得ながら、県産食材の販路拡大と本県のブランド発信とを一体的に進めてまいります。

【長野県ゼロカーボン戦略ロードマップの策定】
 今月22日、公益財団法人世界自然保護基金ジャパンが脱炭素化に関する都道府県の取組の調査結果を発表しました。これによると本県は総合評価で最上位であったのみならず、目標設定、省エネ、再エネの各努力度の全てにおいて最上位グループであるとの評価をいただきました。
 しかしながら、温室効果ガスの正味排出量を2030年度までに2010年度比で6割削減するという本県が掲げる目標は極めて野心的なものです。そこで目標達成をより確実なものとするため、「運輸」、「家庭」などの部門ごとに重点施策を掲げた「長野県ゼロカーボン戦略ロードマップ」を先日策定いたしました。このロードマップは、施策ごとに2030年度における具体的な目標値と温室効果ガスの推計削減量を明記するとともに、県民・事業者の皆様に取り組んでいただきたい事項をお示ししており、全国でも先駆的なものであると自負しております。このロードマップを広く県民の皆様と共有し、共創の視点をしっかり持って脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。

【銀座NAGANOの強化】
 コアな信州ファンの獲得を目指し、信州の「ヒト・コト・モノ」をトータルで発信してきた銀座NAGANOは、2014年10月のオープンから先月末までの約9年間の累計で来館者数延べ678万人余、販売額20億9千万円余となり、多くの皆様から高い評価をいただいております。今年度末で10年間の賃貸借契約が満了することから、御利用いただいているお客様や市町村、関係事業者の御意見を踏まえて今後の在り方を検討してまいりました。その結果、1階は物販に特化したフロアとして販売ゾーンの拡幅等を行い、2階は酒類試飲コーナーとイベントスペースとを併設した体験フロアとして機能を強化し、5階には観光案内を移設して相談機能を集約するなど、施設の魅力度と機能性を向上させた上で存続発展させたいと考えています。
 今回の補正予算案には、建物所有者との新たな賃貸借契約の締結に必要な経費や改修のための設計費などを計上いたしました。

【観光振興財源の検討】
 本県が目指す世界水準の山岳高原観光地づくりを力強く進めるためには、持続的・安定的な財源の確保が必要です。そのため、現在、長野県観光振興審議会の検討部会において、観光振興財源の在り方について検討していただいております。
 これまでの議論では、まず、県が独自の政策を展開し、あるいは持続的に観光の競争力を高めていくためには自主財源の確保が不可欠であるとの認識が共有されました。その上で、地域のインフラを観光客も利用していることなどから、観光客の皆様に何らかの御負担をいただくことは妥当であるとされ、一定程度の財源を確保することや捕捉のしやすさ等を考慮し、「宿泊という消費行為に関わる税」を軸として今後の議論が進められることとなっています。
 次回の部会においては、世界水準の山岳高原観光地づくりを実現するために考えられる施策も踏まえ、具体的な制度の在り方について更に議論を深めていただき、今年度末までには報告書の取りまとめができるよう取り組んでまいります。

【クマ対策の強化】
 今年度の里地におけるクマの目撃件数は10月末現在で1,256件、前年度比約1.7倍にのぼり、先月14日には飯山市でツキノワグマに襲われたと見られる死亡事故が発生しました。
 こうした深刻な事態を踏まえ、先月20日に「野生鳥獣被害対策本部会議」を緊急に開催し、冬眠に備えて行動範囲が広がっているクマと遭遇しないよう改めて注意喚起を行うとともに、県と市町村が連携してクマ出没の恐れがある県内142箇所の緊急点検を実施し、地域住民に藪(やぶ)を刈り払うなどの対策を指導したところです。点検の結果、目撃件数以上にクマが里地周辺で活動している実態が明らかになったことから、緊急的な対策として、クマの活動域を狭めるための積極的な狩猟活動を猟友会に依頼しました。今後更に、市町村が実施する出没時のパトロールやセンサーカメラ導入等を支援してまいります。また、クマ対策の在り方を抜本的に検討するため、市町村長や専門家、関係団体等をメンバーとする「長野県ツキノワグマ対策あり方検討会」を新たに設置いたしました。今後、有識者の御意見や先進的な対策・取組例等を参考にしながら、人身被害を防止するための具体的な対策について検討を進めてまいります。

【信州F・POWERプロジェクトへの対応】
 信州F・POWERプロジェクトについては、事業主体の一つである征矢野建材株式会社が進めている民事再生手続の状況を踏まえ、所期の目的に沿って補助事業が円滑に継続されるよう、必要な助言・指導や木材供給者等関係者との調整などを引き続き行ってまいります。
 また、プロジェクトを含む県内全体の林業・木材産業の活性化に向けた支援策等を検討するために立ち上げた「原木安定供給等検討チーム」における議論を踏まえ、原木安定供給に向けた今後の対応を今月22日に取りまとめ公表しました。これを踏まえて今回の補正予算案では、未利用木材を含む森林資源の有効活用に向け、需要者と供給者が連携して行うサプライチェーンの構築を支援するための経費を計上したところです。今後の対応でお示しした4つの柱を踏まえ、木質バイオマスエネルギーの需要に見合った原木が確保されるよう鋭意取り組んでまいります。

【令和6年度組織改正】
 スポーツ及び文化財行政の教育委員会から知事部局への移管を行うため、今定例会に「知事の事務部局の組織に関する条例」の改正案を提出しました。
 まず、学校体育以外のスポーツ行政と健康福祉部が所管している障がい者スポーツ行政とを観光部に移管し、新たに「観光スポーツ部」を設置します。5年後に迫った国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会も見据え、スポーツを生かした観光振興や一般スポーツと障がい者スポーツの一体的推進を図るほか、プロスポーツの振興にも積極的に取り組みます。文化財行政については県民文化部に移管し、芸術文化施策との連携を強化するとともに、文化財を活用した地域振興にも取り組みます。スポーツと文化・芸術は、いずれも暮らしにうるおいをもたらす重要な行政分野であることから、今回の組織改正を契機に一層力を入れてまいります。

【令和6年度当初予算編成】
 令和6年度の当初予算編成について申し上げます。
 来年度は、しあわせ信州創造プラン3.0の2年目の年となることから、女性・若者から選ばれる県づくりなど8つの新時代創造プロジェクトに係る施策の具体化に全力を傾けるとともに、県民対話集会で提起された課題の解決にも力を注いでまいります。2つの形式で実施中の県民参加型予算のうち「提案・選定型」については、6地域振興局における総勢78名の公募委員による評価を踏まえて予算化を進めるほか、提案者と具体的な事業構築に向けて検討を重ねてきた「提案・共創型」については、来年度予算案において事業を具体化します。
 これからの県財政は、高齢化の進展等による社会保障費の増加や金利上昇による公債費負担の増加など、厳しい状況が継続していくものと見込まれます。このため、できる限り歳入の確保を図るとともに、選択と集中による事務事業の絞り込み、新たな公共事業評価制度による新規事業箇所の厳選などにより、将来世代に過度な負担を負わせることがないよう健全財政の維持に努めます。また、組織風土改革に取り組む「かえるプロジェクト」での検討を踏まえ、現場の意見を重視したしごとの減量化に取り組むとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進によるペーパーレス化や業務効率化などの取組を推進し、職員の多忙感の解消と時間外勤務の縮減を図ってまいります。

【補正予算案】
 さて、今定例会に提出いたしました一般会計補正予算案その他の案件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 一般会計補正予算案は、一般会計101億2,118万3千円、特別会計29万3千円、企業特別会計3,419万5千円であります。
 一般会計補正予算案には、これまで述べた「『ゆたかな社会』の実現を加速するための長野県総合経済対策」の実施のほか、寿台養護学校の狭隘(あい)化解消に向けた土地の購入などに必要な予算を計上しました。また、飯田警察署・南信運転免許センター(仮称)を建設するための設計業務、春夏の観光シーズンに向けた道路舗装の修繕や、除雪等により不鮮明となった道路の区画線・横断歩道の塗り替えなどを実施するための債務負担行為を設定しました。
 この補正予算案の財源として、国庫支出金69億637万5千円、地方交付税32億302万1千円、諸収入1,178万7千円を見込み、計上しました。
 今年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと1兆872億1,168万2千円となります。
 特別会計の補正予算案は県営林経営費、企業特別会計の補正予算案は総合リハビリテーション事業など4会計に係るものであります。

【条例案、事件案、専決処分報告】
 次に、条例案は、若年層に重点を置いた給与改定や会計年度任用職員に対する勤勉手当の支給を行うための「一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案」など、一部改正条例案6件であります。

 事件案は、公立大学法人長野県立大学第2期中期目標の制定についてなど24件であります。

 専決処分報告は、交通事故に係る損害賠償の専決処分報告など7件であります。

 以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。
 


 

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