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更新日:2016年12月11日

指導資料No.76 命の学習

自己肯定感を高め いのちのあたたかさを学ぶ 「いのちの学習」

子どもが自分や他人を傷つける悲しい事件が後を絶ちません。
「いのちの大切さ」をどのようにして子どもに伝えたらよいのでしょうか。
「いのちの大切さ」を学習するうえで、「私ってなかなかやるじゃん」、「ぼくって結構良い所あるな」という自己肯定感を育むことが大切です。
毎日を楽しく過ごしている子どもは、他人や自分を傷つけたりすることはないと思えるからです。

自己肯定感を育むには、クラスの子どもの力を活用することが大切です。
今回取り上げるトピック4点の他にも、子どもたちがお互いの良さを探して伝え合う「良いとこ探し」、放課後の学級会に一日にあった良かったこと、嬉しかったことをクラスのみんなに発表する「報告会の実施」などさまざまな試みが考えられます。
この資料が、学級における取り組みにつながることを願っています。

 

 

平成15年(2003年)3月20日 長野県教育委員会

トピック4点を紹介します

 1.社会の中で生きていく子ども 「え~!そんなことまで学校で教えるの?」

 学校は一つの社会です。多種多様な考えや価値観をもった子どもが社会生活を営んでいます。
 ところで最近、対人関係がうまく結べない子どもが増えている、という話をよく耳にします。

 例えば、

  • 大縄跳びの順番待ちをしていたら後ろの子に抜かされたことに腹を立て、何も言わず、かみついた子。
  • 相撲で、お互いに土俵の上で蹴り合いを始めた子。
  • けんかで、相手の頭を傘で思い切りたたいたり目を突こうとしたりした子。
  • メールだと言いたいことが言えるのに、面と向かうと自分の思いを伝えることができない生徒。

 これらの事例から、かつては異年齢の遊び集団の中で、遊びや遊び仲間から自然に学んできた社会のルールや、対人関係を円滑にするための知恵のようなものが失われていることが感じられます。
 現在の子どもには、遊びのための3つの間、「中間」「時間」「空間」が少なくなってきているので、それを学ぶ機会も限られているのかもしれません。
 また、困った時どんな言葉をかければいいのか、仲直りするためにどのようにすればよいのかわからないというように、具体的な行動や表現の仕方についての経験が不足していることも原因の一つかもしれません。

 こんな関わり方はどうでしょうか。

  • 私は友達と話すとき、どうしても楽しめなかったんです。そのことをカウンセラーの先生に話をしたら、「相手の目を見て話してごらんよ」って言われて、やってみました。そしたら、言葉だけじゃなくて、表情からいろんなことがわかるようになった気がします。人との付き合い方のコツが少しつかめたかな…。(高2女子)
  • ぼくの担任の先生は、入学式の日に「いじめだけは絶対許さない」と言いました。そんなふうに最初から宣言する先生は初めてだったからびっくりしたけど、ぼくのクラスでは、いじめはありません。わかっていてもきちんと言葉にして言ってもらうことで、安心できます。(中1男子)
  • 家の子は学校でよくトラブルを起こすんです。去年までは先生から連絡帳が来ると「またか…」と思ってドキッとしました。いつもぎっしりと苦情が書いてあったからです。わかってはいても、子どもにもつい、きつくあたってしまいました。でも、今度の先生は、子どものいいところを一生懸命見つけてくださるんです。それを読んでいるととてもうれしくなり、親としてもっとがんばらなければ…と思えるようになりました。(小学生保護者)

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 2.命の大切さが実感できる飼育活動 「クッキーのおくりもの」

 「今年は私たちのクラスだけの動物を飼いたい」、馬、犬、羊、ヤギなどいろいろな動物の名前が挙がった。ヤギ園でヤギに出会うと、「エサをあげるとムシャムシャ食べてくれた」「鳴き方がとってもかわいい」「出産させて子ヤギが見たい」など、子どもたちの気持ちがヤギに向いていった。誰もがヤギとの楽しい生活に思いを膨らませていた。

 子ヤギが学校にやってきた。子ヤギにはクッキーという名がつけられた。小屋や運動場、出産、お金のことなど一つひとつ解決しなければならないことが目の前に次々と現れた。毎日のエサ、フンの始末、健康チェック、暑さ寒さ対策、とにかく毎日がヤギ中心の生活となっていった。子どもたちが思い描いていた楽しい生活とはかけ離れていたが、クッキーのために…という思いがひとつになり、友達とのつながりを感じるようになった。

 クッキーに子どもができた。子どもたちは、獣医さんとも出会い、生まれてくる小さな命を守るために、発情や交尾、健康観察の方法、分娩や子ヤギの扱い方、出産のための小屋の改造、搾乳とたくさんのことを学んだ。やがて、出産の兆候。夜を徹してクッキーを見守る中、1匹の子ヤギの出産に立ち会った。しかし、足が引っかかり、産道をうまく通過できずに、体は弱りきっていた。人間が助けるわけにはいかない、子ヤギが自分で立たなくては、母ヤギのお乳を吸うことができない。どんなに手を貸してやりたかったことか。「がんばれ」と応援するしかできない子どもたち。しかし、子ヤギは息絶えてしまった。

 出産を終えたクッキーも、とても苦しそうにうなり声を上げている。翌朝、もう1匹がおなかの中にいて、2匹目の子ヤギが無事生まれた。しかし、クッキーは、もう立つこともできないくらい弱り、ただ、体を横にしてうなっている。「お願い、クッキーを助けて…」しかし、子どもたちの願いの甲斐もなく、クッキーは目を閉じた。

 子どもたちは、「自分たちが出産させなければクッキーは死ななかったはずだ」と思った。そして、残された子ヤギについて話し合った。「ヤギ園に返したほうがいい」「ぼくたちが飼うことは、ヤギさんのためにならないよ」と思う子どもたち。「でも、クッキーが死んでしまったってことは、子ヤギのお母さんがいなくなったってことで、お母さんが死んじゃったらすごく悲しいよ」「私たちがお母さんになってあげなくちゃいけないんじゃない」と、残された小さな命に思いを寄せて考えはじめた子どもたち。やがて、自分たちが母代わりとなり育てていく覚悟をした。

 子ヤギを、メイと名付けた。それは、5月生まれであったこと、メイメイよく嶋いていたからという理由の他にもうひとつ「命=メイ」と呼ぶから…。死んでしまった子ヤギとクッキー、母ヤギの命と引き換えに生まれてきたメイヘの思いがこの名前のすべてに込められている。
 子どもたちは、「命を落としてしまってから、それがどんなに大切かを学んで、悲しんだり悔やんだりしても遅すぎるよって感じて、私たちの行いとつながっているような気がしてハッとした」「クッキーは、私たちに命の大切さを教えてくれようとして、自分の命まで捨ててメイちゃんを産んでくれて、人は何となくなんかじゃなく、ぎりぎり生きているってことを教えてくれたみたい」と語っている。

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 3.子どもの力が活性化する対人関係ゲーム 「やっぱりこのクラスっていいよね」

対人関係がなかなかうまくいかない子どもや、学級の居心地が悪いと感じる子どもがいたとき、教師は何を行っていけばいいのだろうか。

 ある学級では、対人関係ゲームを継続的に行い、ゲームを通して子どもたちの人間関係づくりを行うことを試みた。対人関係ゲームは、朝の会、休み時間、授業の始め、体育の授業、学級活動の時間に実施した。最初は渋っていた子どもも徐々に参加できるようになった。

 A子は学級内の友だち関係がなかなか広がらず、自分を否定的にとらえた発言をする傾向の子どもであった。このA子の気持ちがゲームを通して著しく変化した。最初は、「クラスの人がばかにしているみたいに感じる」「ひとりぼっちでいるような感じがする」と思っていたが、「クラスの人が、私の話をしっかり聞いてくれる」「クラスにいることが楽しい」「休み時間も一人ぼっちでいることがない」と感じるようになったと気持ちの変化を語った。また、授業で発言し友達から 拍手を受けたり、休み時間は友達を誘って遊んだりする姿もみられるようになった。ゲームを通しての身体接触によって友だちの温もりを感じるとともに、ゲーム活動そのものの楽しさによって緊張や不安が取り除かれ、学級の中に安心感と居場所が生まれたものと考える。

 学級全体の姿も変化が現れ、ゲーム中、普段関わりの少ない子どもたち同士が追いかけたり、追いかけられたり、助けたり、助けられたりする姿が見られた。「ありがとう」と自然に声が出て、笑顔でゲームに興じるようになった。普段の生活の中でも、体育の授業でいいプレーがでると自然に拍手が沸き上がり、失敗しても励まし合う姿がみられるようになった。学級内の雰囲気が和やかな感じになり、からかいや悪口が少なくなったり、授業中「わからない」「できない」と言える子どもが増えたりした。クラスのいいところはどこか聞いたところ、全員が「明るいところ」「楽しいところ」と答え、ほとんどの子どもが「このクラスっていいよね」と答えた。

 対人関係ゲームを通して、子どもたちは友だちと関わることのよさを感じ、自分や友だち、集団や社会と自分との関係についてポジティブなイメージがつくられ、学級集団に肯定的にかかわることができたのだろうと思う。

対人関係ゲームの種類

  1. 関係をつけるゲーム: ひたすらじゃんけん、木とりす
  2. 他者と心を通わすゲーム: スクイグル 
  3. 集団活動の楽しさを体験するゲーム: 凍りおに、人間知恵の輪
  4. 他者と折り合いをつけるゲーム: 集団絵画
  5. 集団の構造、役割分担の体験ゲーム: 創造的係活動

[対人関係ゲームのポイント]

  • それぞれのゲームの利点を生かしながら、子どもたちにどんな体験をしてほしいのかという教師の願いや子どもはどんなことを望んでいるのかという子どもにとっての必要性を考えて意図的に行う
  • ゲーム後には必ず振り返りの時間を設け、友だちとかかわった時の気持ち、学級集団として行ったゲームの楽しさなどを発表する場面を大事にする
  • ゲームを行うにあたっては、子どもたちの気持ち・体力や学年に配慮して行う。

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 4.心をあたたかく満たしてくれる絵本 「読んで、読んで」

  • いいこってどんなこ?
    モデシット・J文 スポワート・R絵 もき かずこ訳 冨山房

 うさぎの坊やが、お母さんに、いい子とは、どんな子なのか聞く。泣かない子なのか、怖がらない子なのか、頭のいい子か、かわいい子か…お母さんは、その度に、泣かない子も怖がらない子もいないし、頭がいいとか、かわいいことではないと答える。そして、最後にお母さんは、あなたは、あなたのままで好きよ、いい子よ、と答えてくれる。いつの間にか、うさぎの坊やと一体となって、お母さんは、どんな子どもがいいのか問い、答えに聞き入ってしまう。そして、親である側も、心から子どものすべてを受け止められるであろうか…親にとっても、考え深い絵本である。

  • きつねのおきゃくさま
    あまんきみこ・文 二俣英五郎・絵 サンリード

 はらぺこなきつねが、家もなく困っている、ひよこ、あひる、うさぎに声をかけ、太らしてから食べようと、親切に面倒を見る。しかし、親切をして喜ばれると、きつねは、嬉しくて、きぜつしそうになるくらいだった。そんなある日、おおかみが三匹を食べようと襲いかかる。きつねは、三匹を守った。そして、はずかしそうに、わらって、死んでいく。
 きつねの駆け引きと、動物たちのやり取りが楽しい。そして、思いもよらない気持ちの表現が、素直に共感できる。

  • たいせつなきみ
    マックス・ルケード文 セルジオ・マルティネス絵 ホーバード・豊子訳 いのちのことぱ社

 ウイミックスという小人たちは、互いに、駄目シール(●印)と良いシール(☆印)を付け合って暮らしていた。駄目シールを付けられた者は、何をしても駄目。結局、駄目同士集まっていた。ある日、どんなシールも付けていない子どもに、駄目シールだらけのウイミックスが出会う。そして、ウイミックス達をつくっているかた(創り主)の所に連れて行ってもらった。そこで、どうして、シールが何も付いていないのか尋ねると、「駄目であるかよいかは、他人が決めることではない…」と言われる。

  • わすれられないおくりもの
    スーザン・バーレイ作・絵小川仁央訳評論社

 年老いたあらいぐまが、静かに死を迎える。悲しみにくれる森の動物たち。しかし、森の動物たちの中には、あらいぐまから教えてもらったことやたくさんの思い出が残り、さらにはあらいぐまからの技術や文化が継承されていくことに気付く。
 生きるものすべてにある、出会いと別れ。身近な者の死を経験した者ほど、心に響く絵本である。死を前提として、どう生きるのか、そして、生きるとはどういうことなのか、そして、生きたということ、生かされるということを問う絵本である。

  • おおきな木
    シエル・シルヴァスタイン作・絵 本田錦一郎訳 篠崎書林

 大きなりんごの木と、かわいいちびっことの話。小さかった頃は、木と仲良しだったが、大きくなるにつれ、木のことなど忘れてしまう。しかし、木はこの子どものために、木陰を与え、実を与え、枝を与え、最後には切り株になっても、まだ、与えられるものはないかと考え続け、せめて、切り株に座って欲しいと願い続ける…。愛の深さを、私たちに教えてくれる絵本である。

 

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所属課室:長野県教育委員会事務局心の支援課

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