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更新日:2017年4月1日

指導資料No.44 登校できない児童生徒への深い理解を~学校不適応対策委員会の検討内容を中心に~

 登校したくてもできない子どもや高校を中退する生徒等「学校生活に適応できない」児童生徒の問題がますます深刻になっています。県教育委員会では、こうした状況を打開し、一人一人の児童生徒が楽しく健やかな学校生活を送れるように、平成元年度、大学教授や精神科医等専門家、父母を含めた「学校不適応対策委員会」を設置しました。本年度は、「登校拒否」に焦点をあてて検討してきました。その成果を、生徒指導キーポイントシリーズ3.「学校不適応児童生徒に対する指導の在り方」としてまとめました。その主要部分を中心に再編集したものが本号です。
 登校拒否に対する理解は次第に深まってきましたが、しかし、専門家からは学校や教師の理解、対応等の甘さが指摘されています。原因を教師自身や学校生活上の諸問題に求めず、児童生徒個人の資質や家庭の問題に多く求めているといった指摘がされています。そして、子どもの置かれている状況を子どもの立場から見つめなければ成果のあがる対応ができないと論じています。
 登校拒否の原因・背景は、学校、家庭、社会のそれぞれの要因が複雑に絡みあっていると考えられ、学校のみによって解決されるものではありません。しかし、解決にあたって教育の専門機関としての学校の役割は大きく、教師の責任は大きいといわなければなりません。
 本号及び生徒指導キーポイントシリーズ3.を参考にして、登校拒否についての理解を一層深め、指導のあり方を検討してほしいと思います。

平成2年2月28日 長野県教育委員会 生徒指導幹

目次

  1. 登校拒否の状況
  2. 登校拒否の背景や原因
  3. 登校拒否生の指導治療の目的
  4. 登校拒否に対して学校・家庭として何をしなければならないか

 1.登校拒否の状況

登校拒否の児童生徒の推移

 県下の公立小・中・高校の登校拒否児童生徒(学校ぎらいを理由に年間50日以上の欠席)の推移は表1のとおりです。

表1 県下公立小・中・高校の登校拒否児童生徒の推移

(%在籍比)

年度

小学生

中学生

高校生

長野県

全国

長野県

全国

長野県

54

43人
(0.02%)

0.03%

118人
(0.14%)

0.24%

 

55

36
(0.02)

0.03

136
(0.15)

0.27

95人
(0.13%)

56

40
(0.02)

0.03

151
(0.17)

0.30

128
(0.18)

57

55
(0.03)

0.03

202
(0.21)

0.36

182
(0.25)

58

50
(0.03)

0.03

269
(0.28)

0.42

227
(0.32)

59

65
(0.03)

0.03

345
(0.31)

0.45

204
(0.28)

60

82
(0.04)

0.04

369
(0.35)

0.47

233
(0.30)

61

94
(0.05)

0.04

376
(0.37)

0.49

272
(0.34)

62

85
(0.05)

0.05

397
(0.39)

0.54

312
(0.39)

63

143
(0.08)

0.06

514
(0.51)

0.61

351
(0.43)

<注>高校は55年度から調査

表2 登校拒否児童生徒数の全児童生徒数に占める割合(%)の推移

 この10年間に小学生は2.3倍、中学生は3.4倍となっています。また高校生は55年度からの調査で、この9年間に2.7倍といずれも増加が目立ちます。在籍比を全国と比較すると表2のとおりで、小学生が63年度急増して全国平均を上回っています。
 また文部省が毎年行う学校基本調査の結果によると、国・公・私立の小・中学校において、63年度「学校ぎらい」を理由として50日以上欠席した者の数は、小学生6,285人、中学生36,100人であり、いずれも昭和41年度の調査開始以来最も多くなっています。

登校拒否の態様

 63年度の小・中学生の登校拒否の態様は表3のとおりです。

表3 登校拒否の態様
学校生活に起因するもの いやがらせをする生徒の存在や、教師との人間関係等、明らかにそれと理解できる学校生活上の原因から登校せず、その原因を除去することが指導の中心となると考えられるもの。
遊び・非行に起因するもの 遊ぶためや非行グループに入ったりして登校しないもの。
無気力に起困するもの 無気力で何となく登校しないもの。登校しないことへの罪悪感が少なく、迎えに行ったり強く催促すると登校するが長続きしない。
不安等情緒的混乱に起因するもの 登校の意志はあるが身体の不調を訴え登校できない。漠然とした不安を訴え登校しない等、不安を中心にした情緒的な混乱によって登校しないもの。
意図的な拒否 学校に行く意義を認めず、自分の好きな方向を選んで登校しないもの。
複合しているもの 上記の型が複合していていずれが主であるかを決めがたいもの。

区 分

小学生

全国値

中学生

全国値

学校生活に起因するもの

7人(4.9)

(5.4)

45人(8.8)

(6.5)

遊び・非行に起因するもの

0 ( 0)

(1.9)

22 (4.3)

(19.1)

無気力に起因するもの

39 (27.3)

(29.7)

165 (32.1)

(30.0)

不安等情緒的混乱に起因するもの

68 (47.5)

(39.4)

188 (36.6)

(27.2)

意図的な拒否

5 (3.5)

(3.2)

31 (6.0)

(5.0)

複合しているもの

18 (12.6)

(13.3)

44 (8.5)

(9.6)

その他(上記のいずれにも該当しないもの)

6 ( 4.2)

(7.1)

19 (3.7)

(2.6)

143 (100)

(100)

514 (100)

(100)

 小・中学生とも「不安等情緒的混乱に起因するもの」「無気力に起因するもの」が多くなっています。これらの態様に次いでは、小学生が「複合しているもの」中学生が「学校生活に起因するもの」が多くなっています。
 全国と比較すると「不安等情緒的混乱に起因するもの」の割合が高いことと、「遊び、非行に起因するもの」の割合の低いことが自立ちます。

登校拒否に陥った直接のきっかけ

 63年度小・中学校の登校拒否児童生徒の登校拒否の直接のきっかけは表4のとおりです。
 登校拒否に陥った直接のきっかけは、小学生では「家庭生活での影響」中学生では「学校生活での影響」とするものが多くなっています。さらに「学校生活での影響」の内訳をみると「学業の不振」「友人関係をめぐる問題」が多くなっています。(表は教学指導課調べ)

表4 登校拒否に陥った直接のきっかけ

区 分

小 学 生

中 学 生

長 野

全 国

長 野

全 国








友人関係をめぐる問題

19人(13.3)

(10.5)

83人(16.1)

(15.0)

教師との関係をめぐる問題

10 ( 7.0)

( 2.9)

15 ( 2.9)

( 1.5)

学業の不振

8 ( 5.6)

( 7.1)

113 (22.0)

(16.9)

クラブ・部活動等への不適応

1 ( 0.7)

( 0.4)

9 ( 1.8)

( 1.7)

学校のきまり等をめぐる問題

  0 ( 0 )

( 0.7)

6 ( 1.2)

( 2.8)

入学、転編入学、進級時の不適応

4 ( 2.8)

( 4.4)

22 ( 1.3)

( 1.2)

小 計

42 (29.4)

(26.0)

248 (48.3)

(42.2)








家庭の生活環境の急激な変化

14 ( 9.8)

(12.2)

34 ( 6.6)

( 9.0)

親子関係をめぐる問題

31 (21.6)

(19.3)

72 (14.0)

(14.2)

家庭内の不和

19 (13.3)

( 6.3)

29 ( 5.6)

( 7.6)

小 計

 64 (44.7)

(37.8)

135 (26.2)

(30.8)





病気による欠席

 6 ( 4.2)

( 8.3)

 34 ( 6.6)

( 7.7)

その他本人にかかわる問題

 12 ( 8.4)

(12.0)

59 (11.5)

( 9.2)

小 計

18 (12.6)

(20.3)

93 (18.1)

(16.9)



その他

10 ( 7.0)

( 7.0)

15 ( 2.9)

( 3.1)

不明

9 ( 6.3)

( 8.9)

23 ( 4.5)

( 7.0)

小 計

19 (13.3)

(15.9)

38 ( 9.4)

(10.1)

合 計

 143 (100)

(100)

 514 (100)

(100)

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 2.登校拒否の背景や原因

四つの要因が複雑に絡んで

 登校拒否という状態は、<子ども側の要因>、<家庭側の要因>、<学校側の要因>、<社会的な要因>が複雑に絡まり合って生じます。従って、これらの要因が登校拒否の背景や原因になります。登校拒否の背景や原因はこの30年間にさまざまに論じられてきました。単純に「子どもが悪い」「家庭が悪い」「学校が悪い」という表面的なとらえ方では何も解決されないと言うことは明らかになっています。それをあえてここで検討するのは、単なる調査や研究のためではありません。登校拒否への指導や治療のために欠かせないからです。登校拒否の事例に出会った時に、<子ども側の要因>の中のどの項目がその事例に見られるか、<家庭側の要因>の中ではどの項目か、<学校側の要因>では、などを的確に把握することが、その事例の背景や原因を考えるさいの視点になるからであり、その視点が対応や治療に結びつくからです。また、難しい事例を再検討する時に、次ページの表をチェックリストとして、それぞれの要因の中に当てはまる項目はないか考え直してみることも有用です。例えば、中学2年A君の登校拒否の事例では、<子ども側の要因>は受身の人間関係の持ち方の項目、<家庭側の要因>は親が表面的なことだけで内側を見ないで子どもを評価してしまう項目、 <学校側の要因>は受験本位の授業になり、基礎学力の不足している生徒への対応策がないことの項目などが見られ、これらに取り組んで行くことがA君の事例への対応策となります。ただし、1つの要因だけに登校拒否の背景や原因があることはまずありません。子どものしつけの悪さだけ、教室のいじめだけ、母親の育て方だけにとらわれていると登校拒否はいたずらに長期化するだけです。

長期化する場合の要因

 長期化している事例の中に<家庭側の要因>も<学校側の要因>も解消されたのに、登校拒否の状態が依然として続いている事例をしばしば経験します。また、中学校での登校拒否が何とか改善したのに、高校に進んで再び登校できなくなる事例もよく見られます。
 これらの事例では<子ども側の要因>の中の人間関係の持ち方の片寄りがなかなか変っていかないことがその最大の原因と思われます。ここでいう人間関係の持ち方とは、子どもが親や教師に対してあるいは友達の中で、いつもどのように自分の本当の気持や意見を表わして、それを行動に移しているのかということです。この人間関係の持も方の片寄りは否定的に見るのでなく、今まで家庭や学校の中でそうするしかなかったと肯定的にとらえることもできます。また、登校拒否の子どもに限らず、非行の子どもや普通に登校している子どもにも多く見られます。

人間関係の持ち方の三つのタイプ

 指導や治療のために、「人間関係の持ち方の片寄り」を過剰適応のタイプ・受身のタイプ・衝動のコントロールがへたなタイプの三つに分けます。
 具体的には、最初にこのような子どもの人間関係の持ち方を親に十分に理解してもらう必要があります。親の理解があって初めて、親と子どもが対等で余裕のあるかかわりが持てるようになるからです。
 過剰適応のタイプの子どもには、そんなに無理して背伸びをしないで、本当の自分の姿をそのままに出すように根気よく支えていくことが大切です。
 受身のタイプの子どもには、その子どもが本当はどうしたいのかを表わせるようにじっくりと接します。また一人でもかかわれる教師か友達を学校の中に探していくことが欠かせません。そのような人が一人でも校内にいるだけで、子どもはとても気が楽になります。
 衝動のコントロールがへたなタイプの子どもには、学校の内外にかかわる友達の仲間や集団を見つけ、その中で自分の衝動をコントロールして行動することが身につくように支えていきます。
 もちろん、以上のような取り組みは、<家庭側の要因>およびく学校側の要因>を改善させていく取り組みと並行して行われなければなりません。

四つの要因からみたチェックリスト 登校できない児童・生徒

子ども側の要因

【人間関係の持ち方の片寄り】

  1. 過剰適応のタイプ
    1. 親、教師、同級生の気持を敏感に察してそれに沿うようにふるまう。
    2. 自分の意見は言っても相手の気持を傷つけないように配慮する。
    3. 教師や同級生からは、よい子、優等生と見なされている。
    4. 自分の気持をそのままに表わせないので、気持の葛藤は徐々に強くなる。
  2. 受身のタイプ
    1. 親、教師、同級生に言われる通りにふるまう。
    2. 自発的に自分の意見を言ったり友達をつくったりできない。
    3. 教師や同級生からは、よい子、真面目な子と見なされている。
    4. 自分の気持をそのままに表わせないので、気持の葛藤は徐々に強くなる。
  3. 衝動コントロールがへたなタイプ
    1. 自分の衝動がコントロールできないので、周りの状況を無視して、自分勝手な行動に出たり、目立った行動をしたりするため、教室やクラブ活動で次第に孤立する。
    2. 衝動がコントロールできる時には、自分の本心をそのままに表わせるが、衝動が強くなると、自分の本心が表わせなくなるので気持の葛藤は徐々に強くなる。

【学習不振】

  1. 学習障がいや境界線上の知能水準のために、学習能力が低下したり偏ったりして、学習の場面を避けたいという気持が強くなる。

【強い分離不安】(保育園・幼稚園や小学校の低学年の登校拒否の場合)

  1. 子どもは母親から離れる時に不安が強くなり、同時に、母親もわが子が自分から離れて行くことに強い不安を感じる。
    ※過剰適応のタイプや受身のタイプは以前は優等生の息切れ型と呼ばれていたものですが、今は成績に関係なく、優等生でなくてもこのような子どもが見られます。
家庭側の要因

【表に現われた家庭内の問題】

  1. 親の別居、離婚、死別
  2. 家族の病気(癌、精神病、アルコール依存等)
  3. 兄弟の非行、家庭内暴力、登校拒否

【裏に隠された家庭内の問題】

  1. 親が内面を見ないで表面的なことだけで子どもを評価してしまうこと
  2. 親が試験の成績だけで子どもを評価してしまうこと
  3. 親がいつも兄弟や友達と比較して子どもを評価してしまうこと
  4. 親が子どもに無関心であったり、身勝手な態度をとること
  5. 父親が不在であったり、存在感がないこと
  6. 母親が過保護、過干渉であること
  7. 夫婦関係が険悪だったり、不安定なこと
  8. 嫁姑関係が険悪なこと

【登校拒否が起こった後の問題】(長期化する要因)

  1. 怠けと見なすこと
  2. 親自身の不安や落ち込みが強くなること
  3. 子どもの気持や状態を無視して無理に登校させようとすること
  4. 子どもの気持や状態を無視して相談機関や病院を連れ回すこと
  5. 登校しないのならと病院や施設に入れること
  6. 学校が悪いとして、学校を非難すること(特に子どもの前で)
  7. 学校との連絡がなくなること
学校側の要因

【登校拒否が起こる前の問題】

  1. 試験の成績などの表面的なことだけで、内面を見ないで、教師の価値観だけによって子どもを評価してしまうこと
  2. 点数や受験本位の授業になり、学習の遅れている子どもへの救済策が不十分なこと
  3. いじめの存在に気付かなかったり、その対応が遅れていること
  4. 一人一人の子どもの個性を把握した学級づくりが遅れていること
  5. 人間関係に片寄りのある子どもを考慮した学級づくりが遅れていること
  6. 子どもの方から教師に相談しにくいこと
  7. 教師の間で子どもに対する言動が異なること
  8. 子どもの不安のサインを見逃していること
  9. 厳しいだけの校則が押しつけられていること
  10. 特定の子どもを公然と批判してしまうこと
  11. 子どもの不信感をあおる行為をすること
  12. 子どもに対して一面的な見方や高圧的な指導をすること
  13. 子どもの希望を無視して中学で進路指導がなされること

【登校拒否が起こった後の問題】(長期化する要因)

  1. 怠けと見なすこと
  2. 子どもの気持や状態を無視して無理に登校させようとすること
  3. 子どもの気持や状態を無視して家庭訪問をすること
  4. 厳しい欠席日数の制限によって、留年や退学に追いこむこと
  5. 親が悪いとして親を非難すること
  6. 家庭との連絡がなくなること
  7. 教師を支える体制が校内になく教師自身の不安や落ち込みが強くなること
  8. 教師の間で子どもや親に対する指導が異なること
社会的な要因
  1. 価値観が多様化し、それに伴って親や教師の権威が失墜したこと
  2. 技術革新と能率至上主義が叫ばれそれに従えない人が脱落していること
  3. 高学歴志向の競争社会となり、学歴のない者が蔑視されていること
  4. 核家族化が進み、子育ての機能が低下していること
  5. 学校や家庭を含めた地域社会の連携が希薄になっていること
  6. 子どもを知らない若い世代が子育てや教育に当たっていること
  7. 人と接しない遊びが氾濫していること(テレビ、ビデオ、ファミコン、マンガ、プラモデル等)
  8. 学校教育が画一化していること

※ここ数年の登校拒否の激増は、この社会的要因が深刻になっていることが強く関係していると思われる。実際の指導や治療の際には直接に関係してこないが、これへの対策を講ずることも重要である。

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 3.登校拒否生の指導・治療の目的

 「登校拒否の背景や原因」で述べたように登校拒否の背景や原因をとらえていくと、登校拒否の子どもを指導・治療していく時の目標は、次の3点にしぼられます。

子どもの内面の整理がなされること

 子どもが学校を休むことの意味はさまざまであり、最初の頃は、子ども自身も気持が不安定でその意味にほとんど気づいていません。子どもの気持を十分に受入れるようにしてつきあっていくと、すなわち子どもと余裕のある対等な人間関係ができるようになると、子どもの方から休むことの意味が少しずつ語られるようになってきます。そのような中から子どもは自分の内面の整理をしていきます。この過程に寄り添っていくことが指導・治療であり、それは生徒のパーソナリティーの発達への援助とも言えます。

学校や社会に参加していくこと

 子どもの内面の整理がなされていくと、子どもは自分の意見や気持を進んで話すようになります。その中に、これからどうしたいのかという話も含まれてきます。登校拒否の子どもは「学校にまた行きたい」という選択をすることがほとんどです。しかし1の過程がなされないままに、教師が性急に登校を前面に出して指導すれば、子どもとの信頼関係が築かれることは決してないでしょうし、子どもは学校に目を向けるようにはならないでしょう。
 子どもが再登校という選択をした時には、教師は子どもと相談しながら登校しやすい学校や教室をつくっていくことが大事です。さらに、登校できた後、子どもが教師と持てたような人間関係を同級生とも持てるかどうか、同級生の中に入って自分の気持や意見を自然に言えるのか、という点は注意して見守っていかねばなりません。
 高校生の場合には、社会に参加するという選択をすることもあります。その時にも、子どもは援助を待っています。

周囲が変わっていくこと

 子どもが学校を休むことの意味の中には、子どもを取り巻く家庭や学校への問題提起が含まれていることもあります。家庭や学校が変っていくことが大事なのは言うまでもありません。
 登校拒否の場合には、担任の教師が一人で子どもを抱えこんでしまうことが多いのですが、非行の場合と同様に学校全体として取り組んで行くことが大切です。また、担当の教師が自ら相談機関に出向いて、相談の場に参加することも欠かせません。

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 4.登校拒否に対して学校・家庭として何をしなければならないか

 「登校拒否の背景や原因」で述べたように子ども側の要因、家庭側の要因、学校側の要因、社会的な要因が複雑に絡み合って、登校拒否が生じています。これらの背景や原因のうち、学校として、家庭として何ができるかを考えてみます。

学校としてしなければならないこと

  1. 教師の基本的姿勢の検討
    1. 子どもを、人格を備えた一人の人間として尊重し、共に歩もうとする姿勢に欠けてはいないか。
    2. 子どもの立場や気持を察するよりも、教師が自分の考えや立場を一方的に押しつけたり、決めつけたりしてはいないか。
    3. 外から規制することばかり考えて、子どもが自ら洞察し、変容するような援助を怠ってはいないか。
    4. 教えることや覚えさせることに性急になり、子ども自身が考え、解決する力を育てることに手抜かりはないか。
    5. 子どもの言い分を聴こうとせずに、すぐに説教や叱責をするようなことはないか。
    6. 子どものペースを考えずに追い立てたり、たたみかけたりして、待とうとする姿勢が欠けていないか。
    7. 子どもの欠点ばかり指摘して、子どもの努力や工夫のあとを認め、励ます姿勢が欠けてはいないか。
    8. 子どもが抱えている問題について、子どもの主体性を尊重しながら、共に考え、共に解決しようとする連帯意識に欠けてはいないか。
  2. 学校が緊急に取り組まなければならない問題
    1. 開かれた学校体制づくり
      秘密主義、密室での指導を排除する。
    2. 校長、教頭の登校拒否に対する姿勢の確立
      校長、教頭の姿勢が一校の指導の成否を決める。
    3. 担任が一人で抱え込まないような協力体制づくり
      学年、学校全体でのかかわりを大事にする。
    4. 生徒指導における教師の力量向上への努力
      教科研究のみに重点を置かない研修体制づくりをする。
    5. 高校における単位認定の弾力的運用
      登校拒否の子どもが立ち直っても、欠席が3分の1以上といった内規から、単位不認定になるといったことが、立ち直りの障がいになっている。
    6. 登校拒否の子どもの高校入試に対して温かい配慮をする。
    7. 家庭と学校との信頼関係、協力体制を確立し、指導に当たる。
    8. 問題をもった子どもを排除する学校の姿勢の意識改革
      校長の中には登校拒否の子どもをすぐ施設へ入所させようとする校長がいる。一番指導の大事な時期に、親から離してしまうことは問題である。
    9. アット・ホームな雰囲気の学校づくり
      登校拒否の傾向をもった子どもに、学校内で安心できる場所をつくるために、空き教室や図書館等を利用する配慮が必要である。この場合、出席時数に数えることも検討したい。
    10. PTA運営の工夫
      成績のよい子どもや問題を持たない子どもの親だけが発言できるような雰囲気でなく、問題のある子どもの親が意見を述べることができ、問題をもった親同士で本音を話し合えるような雰囲気をつくる。
      自校のPTAだけでなく、他校のPTAとの連携、更に地域の子育ての活動にまで広げる努力が必要である。
    11. 成就感・達成感・存在感・子どもたち相互の連帯感を体験させる場の配慮
    12. 部活動、クラブ活動への参加を高める努力
    13. 子どもの希望を生かした進路指導
    14. 関係諸機関との連携
      ケースによっては、学校と家庭がよく話し合い、関係機関の指導や援助を受ける。この場合、面接等に子どもを連れて行く時は、本人の了解を得ることや、全てをその機関に任せてしまうことのないようにすることが大切である。
    15. 登校拒否を怠けとみたり、無理に登校を促すことはしない。また、家庭訪問も、子どもに負担になる場合もあるので、十分な配慮をする。

2 家庭としてしなければならないこと

  1. 家庭の基本的な在り方の検討
    1. 成長段階に応じた課題や、人間として基本的生活習慣を身につけさせ、過保護、過干渉、放任でない家庭になっているか。
    2. 会話のある温かい家庭になっているか。
    3. 夫婦姑間で子育ての共通理解をし、一貫性のある子どもへの対応指導がなされているか。
    4. 父親の厳しさ、母親の優しさの調和のとれた家庭になっているか。
    5. 学習成績を第一に考えるような子どもへの接し方をしていないか。
    6. 親の価値観を押しつけず、子どもの自主性や自立性を育てるようにしているか。
    7. 家庭の中で仕事を分担し、責任をもたせてやらせているか。
    8. 友達と泥まみれになるなど、戸外で遊ぶようにさせているか。
    9. 家族全員揃って一日一回は食事をしているか。
  2. 家庭が取り組まなければならない問題
    1. 家庭の中に豊かな人間関係を築く。
      • 親として家庭教育の基本方針をもつ
      • 親の生き方、考え方を子どもに語る。
      • 子どもの考え、主張、希望等をじっくり聴き、共に考える。
      • 子どもと本音で付き合う。
    2. 家庭と学校が緊密な連携をとる。
      • 学校と協力して子どもを指導する。
      • 教師とは本音で語り合う。
    3. 登校拒否の子どもを持つ家庭の具体的な対応。
      • まず家庭の中で、子どもが何で苦しんでいるのかを理解しようする熱意が大切である。
      • 学校を休んでいるからといって、家庭の中を暗くしないようにすることが大切である。(困った顔だけでも子どもを追い込むことになる。)
      • 学校とか勉強より、子どもが今したいというものを、満足するまでやらせる。(テレビを見る、パソコン・ファミコンをやる、部屋に籠もる、スナック菓子を食べる等。)
      • 必要があれば、アルバイト等も快く認めてやり、続かなくても決してなじらない。
        「三日も出来た」と理解し、次の挑戦まで焦らずに待つことが大切である。
      • 子どもが今困っていることを解決して、学校へ行けそうな状態になったとしても、学校へ行く行かないは本人が決めるようにする。
        カ 父親、母親が相談機関等を利用して、子どもの苦しみに理解を深める。(子どもを無理やり連れて行くことはしない。)
      • 本人が希望しないのに、登校拒否の治療のために、施設に入所させるようなことはしない。

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お問い合わせ

所属課室:長野県教育委員会事務局心の支援課

長野県長野市大字南長野字幅下692-2

電話番号:026-235-7450

ファックス番号:026-235-7484

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