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更新日:2017年4月1日

指導資料No.46 家庭、諸機関、地域との連携による生徒指導

 21世紀を担う青少年の健全育成は学校だけでなく、さまざまな機関の連携のもとに行われています。
 私たちが生徒指導を進めるに当っては、家庭や地域との連携はもちろんですが、これら関係諸機関との積極的な連携が是非とも必要です。
 本号ではこの点をとりあげてみました。先生がたのご活用を期待いたします。

平成3年1月30日 長野県教育委員会 生徒指導幹

目次

  1. 家庭、諸機関、地域との連携による生徒指導の必要性
  2. 家庭との連携による生徒指導
  3. 関係諸機関との連携による生徒指導
  4. 地域との連携による生徒指導

 家庭、諸機関、地域との連携による生徒指導の必要性

 児童生徒の生活は、家庭、学校、地域社会において多彩に展開されております。したがって、生徒指導を学校のみで徹底しようとしても、効果があがらないことが多いものです。
 生徒指導には、児童生徒一人一人を理解することと、その理解に基づき、指導・援助を行うことの二面がありますが、いずれの面から考えても、学校だけで生徒指導を進めていくには限界があります。
 一つ目の生徒理解を考えても、学校の観察等だけではその目的を達することができません。学校で示さなかった家庭や地域社会における別の姿を知ることなしに、児童生徒を真に理解することはできません。また、学校で観察されたこと等でたとえ足りたとしても、それを指導にまで役立てるには、観察されたこと等の背後にある原因や形成過程が明らかにされなければなりませんが、その多くは学校外の生活の中にあります。
 このことは、二つ目の指導の面についても同じことが言えます。言うまでもなく児童生徒の人格は、学校教育だけでなく、家庭や社会における大人の生き方、そこで行われる教育に大きな影響を受けます。
 特に、学校の指導と家庭や社会での指導が著しく違ってくると、児童生徒の健全な人格の発達にとって障がいが出てきます。
 したがって、生徒指導は、学校と家庭、関係諸機関、地域が十分連携し合って共通理解のもとに進められることが大切です。
 つまり、より徹底した生徒指導を着実に進めていくためには、学校の指導体制を確立することはもとより大切なことですが、人間形成の基盤である家庭や児童生徒の健全育成・補導等の活動を専門的に行っている機関、団体および地域との緊密な連携を強化していくことが極めて重要です。
 このような理由から、学校と家庭との提携のあり方、関係諸機関の種類、特色とそれとの連携のあり方、さらに地域との連携のあり方について、以下具体的に述べてみます。

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 家庭との連携による生徒指導

家庭との連携の意義

 児童生徒は多くの集団に属していますが、最初に所属し最も大きな影響を受けるのは家庭です。
 家庭は、憩いとやすらぎの場であるとともに、基本的な人間形成の場です。
 家庭教育の重要性を考えると家庭との連携の意義は次の3点になります。

  1. 生徒理解に必要な情報収集のため
     一人一人の児童生徒を正しく理解するための情報収集の中心的な対象は家庭です。
     個々の児童生徒の人格形成に大きな影響をもつものは、保護者の生き方、しつけ方、養育態度、家庭内の人間関係、文化的な雰囲気、経済事情などです。こうした事情を知るためには、学校は日頃から家庭とのつながりを深めておく必要があります。
  2. 家庭の指導力向上のために
     次に考えなければならないことは、児童生徒の生活は大部分家庭においてなされるということです。しかも、ひとりの児童生徒の成長、発達に即して一貫してこれを見守り教育できうるのは親(保護者)であるということです。換言すれば、一貫して有力な生徒指導ができるのは、家庭における親(保護者)であるということです。
     したがって、こうした機能をもっている家庭と密接に連絡し合い協力し合っていかなければ、学校の行う生徒指導は十分な効果をあげることができません。家庭によっては、過保護、過干渉あるいは放任、しつけ不足等により家庭教育の機能を十分発揮していない場合があります。
     学校は家庭との連携をさらに深め、広い視野に立った生徒指導の考え方を積極的に伝え、家庭における生徒指導的な力を高めていく努力をすることが大切です。
  3. 学校の生徒指導に対する協力を得るため
     さらに、学校における生徒指導を確実に進め効果をあげるには、学校の行う指導に対し家庭の協力を得る必要があります。
     学校が期待している家庭の協力とは、子どもの指導は学校任せという消極的な態度ではなく、もっと積極的に学校の立場や方針を理解し、常に学校と連携を保ちつつ、親(保護者)が進んで家庭でどう指導していったらよいかを考え実践していくという、子どものより確かな成長を願っての指導上の協力です。
     こうした家庭の協力を得るために学校は、日常的に家庭と情報交換、意見疎通を積極的に行い、家庭との連携に努めることが大事です。

家庭との連携の方法

 家庭との連携にあたっでは、(1)親(保護者)の不安や苦悩を十分受けとめ、親の訴えに真剣に耳を傾ける温かい受容的な態度、(2)子どもや親を非難し責任を一方的に問うのでなく、親と共に考え協力し合って行く態度、(3)どの家庭にも偏らない公平な態度、(4)各家庭の秘密を固く守る態度等を大切にすることです。
 連携には様々な手段、機会が考えられますが、各々の特徴を理解し工夫、活用することです。

  1. 諸会合
     
    PTA総会、地区PTA、学校参観日、講演会等学校全体で行うものや学年・学級PTA、授業参観日、保護者懇談会等学年・学級単位で開かれるものがあります。
     我が子だけ、しかも教科の成績のみを問題にする傾向を避け、児童生徒の交友関係、興味関心、生活態度、進路等を話題にし生徒指導上の問題を語り合い、その解決に家庭の協力を得るように努めることが重要です。
  2. 個人懇談
     児童生徒の個々の問題になると個別に親(保護者)との懇談が必要になります。学校からすれば生徒理解上の貴重な資料や家庭の協力を得るため、家庭からすれば学校の指導を理解し家庭での指導の示唆を得るため、さらに学校・家庭相互の信頼協力関係確立のために実施されることが大切です。
  3. 通知票学級便り等の通信連絡
     
    全ての親(保護者)が来校できるとは限らないということに配慮しながら、通知票、家庭連絡簿、学級便り等により学校の方から常時積極的に働きかけ、家庭との連絡を密にする必要があります。
  4. 家庭訪問
     学校から家庭に積極的に働きかけ連携を保っていこうとする最も徹底した手段は、教師による家庭訪問です。その際、家庭との親近感が増し信頼感を得、生徒指導の効果をあげる機会になるように努めることです。

家庭との連携による生徒指導の事例

指導事例 小学校 

  1. 自制心が弱く万引をしたA男
     連休の開放感の中で、小6のA男は友達の家で遊んでいました。「今度できたおもちゃ屋へ行ってみよう」と話しが決まって店へ出かけました。
     店内のおもちゃに夢中になっているうちに、A男は前から欲しかったファミコンのカセットをすばやくシャツの下に入れ、持ち出しました。他の友達が気づき「返しに行こう」ともちかけましたが、A男は「怒られるのがこわい」とそのまま家に帰ってしまいました。 
     連休明けの朝、A男の万引が話題になりました。本人を呼んで事実を確かめると、悲しい顔をして小さくうなずきました。
  2. A男の様子
     ふだんから落ち着きがなく、集中力に欠け、目立ちたがりやの性格で、反省会には時々名前があがり、その都度「これからはもうしません」を繰り返してきました。注意を聞かなかったり、時には意固地であまのじゃくな面もありました。 
  3. 家庭環境
     両親、兄弟2人に祖父母の7人家族。父親と母親は自営業を営み、多忙でなかなか子どもの面倒を見られませんでした。A男はファミコンが大好きで、ひとりで部屋に閉じ籠り、ファミコンに熱中しがちでした。それに祖父母はA男の好きなファミコンのために多額の現金を与えて、機嫌をとっていました。両親が仕事に追われていることを幸いに、行き先をも告げずしばしば外出していました。
     こうした放任と過保護のちぐはぐな家庭で、長男として溺愛され、甘える性格がはぐくまれていきました。 
  4. 家庭との連携
     担任は、来校した母親に、事情を説明するとともに、両親が揃っている時間に家庭訪問を行いA男について共に考えていく姿勢の大切さを話しました。さらに次の点を話題にしながら、当面の指導について依頼しました。
    • 学校と家庭で一層連携を密にし、A男の今後を両親でじっくり見守っていくこと
    • A男の持ち物に気を配ること
    • 家庭で会話の場を多く設けること。
    • A男に対して家族が同一歩調で接してくこと。
    • A男を連れて共に店に謝罪にいくが、事前に事情を話しておくこと。
    • 行動を共にした他の児童の保護者とも今後の友人関係について話し合っていくこと
  5. まとめ
     A男を連れて店へ謝罪にいくとき、A男の見ている前ではファミコンを買い取らないことや、親が誠心誠意心を込めで謝っている姿を本人に見せることが大切なことです。
     家庭では基本的機能であるしつけに関心を寄せ、家庭と学校とそれぞれの責任を東たし、両者が協調していくことが今日望まれています。子どもたちに人間としての基本的な姿勢や生き方、社会生活のルールやマナーをしつけるよう家庭を啓発していく必要があります。

指導事例 中学校

  1. 強制されたカンパ
     学校行事で慌ただしい最中は、学年、学級一丸となって取り組んでいるのに、それにとけこめないで、はみだしている何人かのグループをよくみます。
     B中学校でも多くの問題を抱えてきました。修学旅行が近づいた祭りの日、「先輩の餞別だ」と一年生のC男は二年生のD男からカンパするようつめよられ、やむなく母親の財布から抜き取ったお金を集金係で同じ一年生の孝一に渡しました。
     学校はこの問題を一年生の保護者からの情報で知りました。しかし、一年生同士の金の貸し借りとしか明かされず、金の流れについては口をつむったままで、全容解明には時間を要しました。
     この件にかかわったグループは7~8人で、なにかにつけ反抗的で怠学傾向にあり、いやな授業には保健室に入りびたり、下級生や弱そうな生徒へのリンチ、喫煙、注意した女子職員にくってかかるなど、目にあまるものがありました。
  2. このグループの家庭の様子
    • 電話連絡がほとんど通じない
    • 母親から父親に話が伝わらない
      父親はなかなか学校へこない
    • 「学校はうちの子ばかり悪いと責めるが、よその子はどうなのか」
      「誰がチクッタか言ってくれなければ、子どもに問いただせない」
      「出るところへ出てもよい」
      「何をしても学校は親のところへ伝えてくる」
      「担任が替わる前はまだよかった」
      「呼び出されても忙しくて行っておれん」などと言う家庭
    • 校長室での親子の指導の時は、ソファーの両側に離れて座る等の問題点がありました。
  3. 学校での具体的な取り組み
    • 家庭通信は定期的に出し、徹底するようねばり強く取り組む
    • どんなささいなことでも後回しにしないですぐに連絡をとる
    • できるだけ両親揃って話し合いをする
    • 担任との好ましい人間関係づくりを第一に進めていく
    • 問題を抱えた生徒を特別扱いはしない
    • いつでも声をかけていく
    • 話しや悩み、不満、訴えをよく聴く
    • 学級での存在感をもたせ、係を分担させ責任を自覚させる
    • 授業で活動の場を与え、興味ある授業、分る授業に心掛けていく
    • 生徒のよいところを認めていく
    • 適切な進路指導によって自立援助をする
  4. まとめ
     このような問題行動は、特定のグループにすぐ伝わるが「知らないのは学校ばかり」ということがよくあります。日頃から家庭と緊密に連携し、子どもたちの中に入っていきながら、心のうちを理解していく努力をすることが大切です。
     保護者会では問題を起こした生徒のみに話題が集中しないよう配慮し、彼等がいるからこの学校はだめだという気持ちを抱かせないように心掛けることです。
     また家庭のプライバシーを守りながら、開かれた学校づくりに心掛け、外部との連携を密にしつつ、学校に対する理解と信頼を得られるよう努めていきたいものです、

指導事例 高等学校

  1. 保護者の困惑と本音
     え?E男が、タバコを吸ったって?友達に巻き込まれたのでは?うちのは気が弱いから。今、急に学校へ来いといわれても、納期が明日までの仕事が、間に合わなくって、全く困るのだが。
     担任は初経験で、地域高校に赴任して2年目。入学式後のオリエンテーションでの説明で、保護者も学校への理解と協力の姿勢を示しました。
     E男や他の生徒たちも、連日のホームルームでの説明と質疑応答で、高校生活へ適応し始めたと思っていたが、5月の連休を前に、グループでの喫煙が発覚しました。父親は学校からの急な電話連絡に困惑し、身構えたのでした。
  2. 最初の訪問と担任の願い
     担任と係りは、早速、複数で家庭訪問をしたのですが、家庭では、「問題が起こると、義務教育ではないのだからと、保護者や保証人の願いも無視される。一方的な退学勧告があり、本人の希望も聞き入れられない。」と学校を非難しました。
     そこで、保護者側の協力を依頼した後、家庭の指導力の回復はもちろんのことながら、発達段階から考え、本人への指導と援助とを第一に進めることにし、次の願いを力説しました。
    ・高校生活を通して、どのような行動が適切か自主的に判断し決定した上で、責任ある行動をとり積極的に自分を生かしていけることになろう。
    ・事実は事実として現在のかけがえの無い自分を大切に見つめよう。
    ・自分の生命と健康を大切にしよう。
     家族・友人・教師たちとの関わりを大切にして相互に協力し合おう。
     そのために、本人・家庭・学校の三者は、具体的に何をしたらよいかを話し合い、当面の生活の在り方を指導しました。
  3. 再訪問と具体的な取り組み
     指導方針を決定してからの訪問で見せられたE男の反省文には、非を悔いる表現のみで、今後の決意は述べてありませんでした。担任は次の2点をアドバイスしました。
    ・今までの自分の姿と周囲の人たちへのかかわりや現在の自分の心境と今後の展望を、項目や人物ごとに具体的に記してみて、自分を見つめる。
    ・各教科の学習課題への具体的な取り組み方を明らかにする。
     また、担任は、高校生の意欲的な生き方を熱心に語りました。
  4. 家庭の協力
     連携を重ねるうちに、E男の家庭生活の一面が分ってきした。家内工業を営む父親は控え目で、積極的な行動力がある母親・姉・妹・祖母の女性中心の雰囲気でした。また本人は、母屋から離れたプレハブの勉強部屋にいて、母親の不在の時には、中学時代からの同級生と深夜にも及ぶ飲酒・喫煙をし、バイクの無免許運転をしたことなど、担任に話すようになりました。
     そこで、担任や本人の意向を受けて、家族全員で次のようなことを話し合いました。
     どうしてそうなったのか原因を考え合って、皆で生活のし方を改善して行こう。
     間もなく、校内の事例研究会で担任から学級づくりの展望と実践報告がありました。
  5. 学校側の慣例的な対応への見直し
     学校では、家庭との連携の基本的な態度を検討し、次のような体制で臨むことにしました。
     家庭も学校も、生徒も社会的なパートナーとしての人間関係づくりをするため、相互に連携を密にして、問題解決に向けて協力しあう。
     また、具体的に配慮したい事柄としては、・通常の訪問や懇談と問題発生時の対応との相違、・不安・不満・期待・要望等の傾聴、・理想像の強要と養育歴の批判の回避、・助言内容(家庭内の雰囲気、親子の対話、責任分担、生活習慣等)、訪問時間の事前連絡、酒食・贈物の辞退、守秘義務、諸資料(意識調査・環境調査・検査・統計・通信等)づくりと活用法などが主な項目に挙げられました。

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 関係諸機関との連携による生徒指導

関係諸機関との連携の必要性

  1. 連携の必要性
     学校で、おこる問題は多岐にわたっており、必ずしもすべてが学校や保護者の力だけで解決できるものとは限りません。むしろ早期に関係機関と連携を図ることで、問題の複雑化を避け解決の道を見い出すことができます。
  2. 連携にあたっての留意点
    • 関係機関についての正確な知識と理解を得ます。
      事例によって、どの機関を利用したらよいか担任が理解できていれば、児童生徒や保護者は安心して担任の指導を受け入れることができます。
    • 連携のための指導方針を明確にします。
      事前に関係機関と連携をとりながら、教職員が指導の具体的方針を十分に承知していることが重要です。
      なぜ、その機関と連携をしなくてはならないかについて、明確な意味づけや目的がなくては不安感や、学校への不信感をもつ児童生徒と保護者の納得は得られません。
  3. 関係機関に任せたままにはしません。
     学校でかかえた困難な問題や事例を関係機関にバトンタッチし、お任せすることでこと終わりと考えがちです。学校は関係機関に依頼した後も学校として行うべき事は何かをはっきりさせて、関係機関との連携を維持することが大切です。
  4. 事前に関係機関との綿密な連絡をとりかわします。
     生徒指導係や養護教諭等が窓口になり、関係機関といつでも連絡をとれる体制を常日頃から作っておきます。
  5. 学校として出来ること、出来ないことを明確にします。
     学校では全教職員での指導体制を整え、いつでも相談に応じられるよう準備しておくと共に、学校として出来ること、出来ないことについて明確な対応をすることです。

関係諸機関との連携による生徒指導の事―病院そして家族、学校の協力で―

  1. 家庭環境
     父親は末子のF男を溺愛、母親は過保護で、服の着替えも母親がしていました。姉と兄がいるが、家族全員に甘やかされて成長してきました。現在F男は小学校6年生です。
  2. 小学校5年からの経過 
     小学校1年からの登校拒否傾向はあいかわらずです。5年の時、学級担任がかわりました。
     今までの「お腹が痛い」といった理由と異なって、実際に発熱を伴った手足の関節の痛みを訴える欠席に変ってきました。時々登校しても教室の片隅に1人でいて、外に出て遊ぶことができません。
     学校では養護教諭を通じて、学校医に相談しF男の家庭に対し、担任と養護教諭が早急に専門医の診察を受けるように働きかけました。
     しかし、学校への長年にわたる強い不信感をもつ保護者の態度はなかなか変えられません。そのため、学校ではこうした不信感をもつ保護者へのかかわり方を次の3点にまとめ、粘り強い説得をつづけました。
    • 教師は保護者の考え方の聞き役になり、ひたすら傾聴する。保護者には保護者なりの生活史があり、わが子へのおもいがある。
    • 意見の一致点を見つけ、その一致点について十分に話し合う。不信感をもつ保護者に反論しても納得は得られない。反論せずに一致点で話し合っていると、保護者の気分もほぐれてくる。
    • 子どもの長所を指摘し、その長所を伸ばす工夫について話し合う。保護者が気づかなかった長所を具体的に指摘されれば、文句なしに教師をそして学校を信頼するようになる。

 F男の病状の悪化と3カ月におよぶ学校からの働きかけを保護者もようやく受け入れ、9月にF男は精密検査を受けました。その結果病気が見つかり、その日に入院することになりました。
 F男が入院した当初は、母親が毎朝毎夕自家用車で駆けつけて、着替えをしてやらなければなりませんでした。自分ひとりでやろうとする気持ちがまったくないのです。薬や検温にも母親の手を借りないと行動が出来ない状態でした。
 担任と校長は時々病院に出向き、担当医師との接触を深めました。「F男が自ら身のまわりのことをやる気になることが、本人の病気治療以前の問題として必要である」という考え方で一致しました。
 12月にF男の両親、担当医師、担任、校長とで話し合いをもちました。担当医師から「F男の病気治療のためにも、今、母子分離を図る必要がある。自分自身の考えで、F男が行動できるように、さらに入院を続けましょう。」と専門医としての立場で語られた。父親はかなり感情的になりましたが、最終的には認め結局3月まで入院を続けました。
 病院では看護婦が協力して、F男が自分自身で着替えをしたり、薬を飲んだり、検温をするよう励ます取り組みをしました。さらにF男が手品やリコーダー演奏に「やる気」を引き出すようなかかわりをもちました。
 新学期からF男を迎える学級会を催した時には、F男も病院で覚えた手品やリコーダー演奏を堂々とやることができました。学級の子どもたちが驚いたことは言うまでもありません。
 6年生になった4月からは毎日登校しています。そして友達と外に出て元気よく遊んでいます。

まとめ
  1. 養護教諭の学校医への相談、そして学校医からの指導を受け保護者への対応
  2. 不信感をもつ保護者への接し方の意識統一のもとに、担任と養護教諭の誠実で粘り強い働きかけ
  3. 担任や養護教諭、校長が毎週一度は病院に出向き、F男を見舞う一方、担当医師や看護婦との連携を継続的に実施
  4. F男の治癒という共通の願いで、保護者、医師、校長、担任での話し合いの実施

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 地域との連携による生徒指導

地域の人々と伸びる子どもたち―G中学校の二つの取り組みから―

 「親と子、教師と生徒、地域住民と生徒の人間関係が親密である。村内ではほとんどが顔見知りで、生徒がたえず近い人々の視野に入っていることが、『バカなまねはできない』という思いを抱かせ、反社会的行動の抑止となっている。」(G中学校の教師)

  1. 河川清掃
     村内を貫流する二つの河川の清掃は昭和47年に始まり、生徒会が中心の学校行事となって定着しています。
     平成2年は生徒の意見で、地域の皆さんと一緒にやることになり、生徒会長の名で全村に呼び掛けました。
     生徒会で清掃区域を20区画に分け、それぞれにその区画に居住する生徒のうちから責任者を配置し、清掃の手順を話し合って決めました。
     夏休み中の当日、清掃は午前5時半一斉に実施されました。ある区画では生徒8名に、地域の人々が20数名参加しました。父母はもちろん子どものいない家の老人達も加わってくれて、生徒の責任者のもとで一緒に作業に取り組みました。
     前年、3年生が学校祭で発表した、この河川の汚濁の状況の研究が村人の注目をひきました。今年も研究は継続しています。
     中学でこの川清掃を体験した高校生が、現在ボランティアグループをつくって地道な活動をしています。
  2. 勤労体験
     
    進路指導の一環として、3年生80名全員が父母や地域の職場で、大人と一緒に働いてみようという試みです。
    1. ねらい
      • 実際の社会で、働くことを自分の身体を通して学んでくる。
      • 大人達が、どんな思いで毎日生活しているか、自分の目で確かめてくる。
      • 実際の体験から、自分の今後の生き方に参考となるものを発見してくる。
      • このことを通して、子と親が真実味のあふれる語り合いができるようになる。
    2. 父母・事業所の協力
       父母が積極的に協力し、ほとんどの生徒は、父母か、父母の知り合いの職場で体験することになりました。一部の生徒は、村内の保育園や老人ホーム、養鶏農家で働き、生徒の80%が村内の事業所で働くことになりました。
       事業所も協力してくれて、事後「今時の子どもはという印象を改めなければ」「地元企業を理解してもらう絶好の機会」などの意見を寄せてくれました。
    3. 生徒にとって感動の一日
       報告会で、体験の数々が感動的に語られた。
      生徒の報告(老人ホームの体験)
      「身体の不自由なお年寄がこんなにたくさんいるとは驚きだった。・・・・・・看病に大変手がかかり、おむつをたたみながら、ここの人達はすごいと思いました。おじいちゃんやおばあちゃんを大切にしている気持ちがすごく伝わってきました。」
    4. G中学のその他の取り組み
    5. (村)コンサートで、村の人達の合唱団と一緒に歌っています。
    6. 村々の祭りに参加し、そこで習った笛や舞を学校祭で発表しています。
    7. 学級やクラブで村の歴史学習に取り組み、聞き取り調査などで、村の人々と交流しています。
  3. まとめ 
     
    今日の地域社会は都市化と過疎化、生活圏の広域化が進み、多くの地域社会はまとまりを欠いてきています。それにともない、子どもに無責任な様子も見受けます。しかし、地域の人々は、子どもの父母であり、卒業生であり、子どもを地域社会の後継者と期待しています。地域を信頼して、学校・家庭・地域社会のそれぞれの役割を確かめ合い、援助し合えるような連携を深めていく必要があります。
     A中学の取り組みは、学校・家庭・地域社会の相互の信頼関係によって可能になったものです。小規模校だから、山間地だからできたのだと言ってしまうのでなく、信頼関係を築いていくために、学校を開かれたものにすることと、教師も子どもも地域活動に参加していく努力を積み重ねたいものです。

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所属課室:長野県教育委員会事務局心の支援課

長野県長野市大字南長野字幅下692-2

電話番号:026-235-7450

ファックス番号:026-235-7484

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