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更新日:2017年4月1日

指導資料No.59 いじめをなくすためにⅡ

 いじめは、人間が人間に対して行う最も卑劣な行為です。一人一人の子どもがお互いの人格や個性を認め合う、温かい人間関係づくりをすすめることはもとよりですが、いじめられている子どもの立場にたった親身の指導と、弱い者をいじめることは人間として絶対に許されないという、毅然とした態度での指導が必要です。
 指導資料No.55「いじめをなくすために」と併せてご活用ください。 

平成7年7月20日 長野県教育委員会 生徒指導幹

目 次

  1. はじめに
  2. いじめの問題の解決のために当面取るべき方策について-文部科学省いじめ対策緊急会議報告から-
  3. 事例1(小学校1年)保育園からの仲間にいじめられ続けたA男
  4. 事例2(小学校4年)転入して、いじめにあったB子
  5. 事例3(中学校2年)ストレスをいじめで解決しようとしたC男
  6. 事例4(中学校3年)見てみぬふりをされていたE子
  7. 事例5(高等学校1年)上級生から威圧され、暴力を受けたH子
  8. 事例6(高等学校3年)暴力・金銭強要を受けたI男

 はじめに

 昨年11月に愛知県の中学二年生がいじめを苦に自殺するという痛ましい事件を契機に、いじめ問題についての取り組みが様々に行われてきています。
 本県でも、総点検で、新たに237件のいじめが発見されるなど、いじめ問題についての意識が高まり、指導の充実が図られています。
 しかし、今回のような取り組みが一時的なものに終わらないよう、全ての教師が、いじめ問題の深刻さを再認識し、不断の見直しを行うとともに、いじめをなくす努力を続けられるようお願いします。

 いじめの問題の解決のために当面取るべき方策について-文部科学省いじめ対策緊急会議報告から-

いじめの問題への対応に当たっての基本的認識

  1. 「弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識に立つ
    • いじめられる側にもそれなりの理由が、という考え方を否定し、誰よりもいじめる側が悪いのだという認識にたった、毅然とした態度で臨む。
    • いじめを傍観したり、はやしたてる行為も許されないという認識を持たせる。
  2. いじめられている子どもの立場に立った親身の指導を行う
    • 見えにくいいじめや、仕返しを恐れて打ち明けられないでいる子どもたちの危険信号を鋭敏に捉える。
    • いじめか否かの判断は、あくまでもいじめられている子どもの認識の問題であり、表面的・形式的に済ませず、子どもの立場に立って細心の注意を払い、親身の指導を行う。
  3. 教師の児童生徒観や指導の在り方が問われる問題である
    • 弱い者、集団とは異質な者を排除しようとする傾向は、学校においては、教師の単一の価値尺度により評価する姿勢や、児童生徒に対する何気ない言動に大きく関わることが多い。
    • 児童生徒一人一人を、多様な個性を持つかけがえのない存在として受け止め、児童生徒の人格のより良い発達を支援するという観点にたった指導を行う。
  4. 関係者がそれぞれの役割を果たし、一体となって取り組む
    • 学校、家庭、社会が責任を転嫁し合うことなく、一体となって取り組む。
  5. いじめは家庭教育の在り方と大きな関わりをもつ
    • 家庭における躾と人格形成のための教育力の向上を図る。

学校における取り組み

  1. 実効性のある指導体制の確立
    1. 学校を挙げた対応
      • 学級内のみで解決しようとする固執や、自分の学級以外の問題には消極的な姿勢が深刻ないじめ問題を生む。
      • 校長がリーダーシップをとり、児童生徒の実態の把握と、緊密な情報交換による共通理解の下に、全校体制で取り組む。
      • いじめが有るのではないかとの問題意識を持って、実態や取り組みの体制について不断の点検を行っていく。
    2. 実践的な校内研修の実施
      • 事例研究やカウンセリング演習など実践的な校内研修により、児童生徒の心の問題に適切に対応できる能力を高める。
    3. 養護教諭の積極的な位置づけ
      • 養護教諭を生徒指導に関する校内組織に適切に位置づけ、養護教諭の得た情報が有効に活用されるようにする。
    4. 保健主事の役割の重視
      • 児童生徒の心の健康に関する校内研修を企画し、その重要性についての教員の認識を深め、実践力を高める。
  2. 事実関係の究明と、いじめる児童生徒に対する適切な教育的指導
    1. 事実関係の究明
      • いじめを受けている児童生徒の身になって、事実関係の把握を迅速かつ正確に行う。
    2. 保護者とのきめ細かな連携
      • 保護者からの訴え、不安や苦しみをきちんと受け止め、信頼関係の維持・回復に努め、きめ細かく対応する。
    3. いじめる側の指導
      • いじめの非人間性に気付かせ、他人の痛みが理解できるような指導を行う。
      • 教師に知らせたことで、仕返しを受けたり、かえってひどいいじめを受けたりすることのないよう、児童生徒をきちんと守るという姿勢を示す。
      • その場限りの指導に終わらせず、いじめが完全になくなるまで注意深く継続して徹底的に指導を行う。
    4. 児童生徒が自己存在感を持つことができる学級経営-「心の居場所づくり」
      • 個に応じた指導を工夫し、全ての児童生徒が自ら参加できる授業、分かりやすい授業の実現に努める。
      • 各自がそれぞれの役割を持ち、存在感を実感できる学級経営に努める。
  3. 日々の触れ合いを通じた教育相談的活動の充実
    1. 信頼関係の醸成
      • 日頃から、児童生徒との温かな触れ合いをできる限り多く持ち、一人一人の児童生徒との心のチャンネルを形成する。
      • いじめを絶対に許さない、いじめられた児童生徒を必ず守るという姿勢を日頃から示す。
    2. 児童生徒と触れ合う時間の確保
      • 学校の運営を児童生徒中心に考え、会議や行事の見直し等、校務運営の効率化を図り、接する機会の確保と充実に努める。
  4. 積極的な生徒指導の展開
    1. 学校教育活動全体を通じた指導
      • 教科、道徳をはじめ、学校生活の全ての場において、個性や差異を認め合い、尊重する態度を育成し、児童生徒の人格のより良い発達を図る。
    2. 集団活動や体験学習の推進
      • 学級活動や児童会・生徒会活動などの自主性・主体性を育む活動を通じて、集団の浄化機能や温かい人間関係、連帯感を育成する。
      • 学級活動をはじめとする特別活動の指導計画を見直し、内容の一層の充実を図る。
      • ボランティア活動や自然体験、異年齢集団での活動など、人間関係や生活体験を豊かにする教育活動を取り入れる。
    3. 生命尊重の教育
      • 生命がいかに重いものであるかを教え、生命を尊重する態度や生きる力を育む教育を充実する。
  5. 家庭・地域のより良きパートナーとしての努力
    1. 開かれた学校
      • 日頃から、学校の活動状況等について家庭や地域に対して理解を求める工夫を行うとともに、学校に寄せられる情報に対し、誠意のある対応を行う。
    2. 連携のための取り組み・学校と保護者や地域の代表者との意見交換の場を設けたり、広くいじめに関する情報を集める体制づくりを工夫する。

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 事例1 保育園からの仲間にいじめられ続けたA男(小1男)

いじめの概要

 おとなしく肥満気味のA男は、保育園からの仲間に、入学以来毎日のように、下校途中に押されたり、つつかれたりするなどのいじめを受けていた。
 ある日、面白半分に、道端の木の葉を「食べてみな」と口に押し込まれ食べさせられた。木の葉の固い部分が頬に刺さり、治療を受けた。その日の夜、母親から担任に連絡があった。

対応の概要

  1. 担任は教頭、学年主任等に連絡。A男宅への家庭訪問を行い事実の確認をした。
  2. 続いて、いじめた三人の児童宅を訪問し、保護者にその事実を本人から語らせたり、A男の気持ちを考えさせたりして、自分の行っていたことの重大性に気づかせるようにした。
  3. 翌朝、担任は周りにいた児童を個別に呼び、いじめを見ていた時の気持ち、いじめられたA男の気持ちを考えさせた。
    「ふざけだと思っていたけど、ぼくA君なら、とっても嫌だ」「ぼくがA君なら、見てないで止めるように言って欲しい」など他者理解や決意が語られた。
  4. 学級で、A男が治療を受けたことを語り、見過ごすことのないように、止めさせたり、注意したりすることの大切さを話し合う時間を設けた。
    その後、A男は明るい言動を見せ授業も進んで発言するようになった。

この事例から学ぶこと

  • いじめられた側、いじめた側の児童宅を直ちに訪問するなど、迅速な学校の対応がなされたこと
  • いじめは絶対に許さないという毅然とした姿勢と、心に滲み込む教師の語りかけにより、いじめをした児童が、自分の行為を素直に反省することができたこと
  • ふざけや面白半分でいじめを行い、いじめと認識していないことがある。
    相手に与えた苦しみや痛みに気づかせ、取り返しのつかない行為をしていることを指導すること
  • 仲良しグループとみていたグループ内でのいじめ行為であった。
    グループ内での人間関係に注意して観察したり、理解していくこと

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 事例2 転入して、いじめにあったB子(小4女)

いじめの概要

 転入生B子は、学級の男子から「汚い」「臭い」と言われ、わざと避けられたり、机を寄せられたりした。それを見ていた他学級の男子にもいじめが広まった。
 女子数人が、見かねて注意したが聞き入れられないので、B子をつれて担任に訴えてきた。友達に支えられてB子も、せつない胸のうちを語った。

対応の概要

  1. 担任は、B子は芯が強くしっかりしていること、またB子を支える級友がいることから、学級を変えるチャンスと捉え、学年会や職員会で指導案を検討し臨んだ。
  2. B子と保護者へは、いじめを把握できなかったことを詫び、学校がどのように取り組むのかを伝え、理解と協力を得た。
  3. 学級での日常的な取り組み
    • 学習や清掃等あらゆる場面でのB子のよさ、特に頑張りの姿を取り上げた。
    • あわせて、いじめの中心的児童のよさも取り上げてふれるようにした。
  4. 学級会での取り組み
    • 担任は、B子がつらい悲しい気持ちを吐露できるように支えた。
    • 見ていた子が、B子の心の痛みを自分の痛みとして語り、いじめを無くすように訴えられるよう励ました。
    • 担任は、父が入院中のため、弟の世話や家事を手伝うB子の頑張る姿を語った。「見ぬふりをしていた。やめようと言う勇気がなかった」「僕、悪かった」「ごめんなさい、Bさん」等の発言が続いた。担任は、「気づかなかった自分が情けない。B子さん、ごめんね」と深く頭を下げた。
  5. 道徳での取り組み
    三週間後、『山ぐり』(文部省道徳教育資料)を使い、思いやりについて感じたり考えたりした経験を踏まえて、再度、思いやりの心そのものを、自分の心の中で問いなおしてみる授業を仕組んだ。
  6. 校長は、全児童に温かい人と人とのふれ合いについて語りかけた。また、いじめをした児童と面談、気持ちを聴いたり、級友の前でしっかり反省できた勇気をほめたりした。
    学級会後、いじめをした児童と学級代表が他の学級へ出向き「僕たち、間違っていた。みんなもB子さんをいじめないで」と訴えた。
    その後、B子が楽しそうに男子とも話しをしている姿が見られるようになった。

この事例から学ぶこと

  • 担任が、いじめに気付かなかった自分の心の痛みを語り、解消に向けて真摯に取り組む姿勢が、B子や家庭との信頼関係を結んだこと
  • 学級の状況を詳細に分析し、短期長期の方針を練って取り組んだこと
  • 居場所や存在感がある学級、良さを認め合う学級つくりに焦点をあてた日常的な取り組みを、事後指導を含めて継続していること
  • 転・入学時の不安から、不適応に陥ったり、いじめをきっかけに不登校になったりする児童生徒が多い。
    転・入学児童生徒及び保護者の心に寄り添う支援、語りかけや家庭訪問、観察等を行っていくこと。

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 事例3 ストレスをいじめで解消しようとしたC男(中2男)

いじめの概要

 C男は学習意欲に欠け、授業で毎時間のように教科担任から注意され続けていた。「辞書ぐらい持って来い。早くやれ。計算を間違えるな。静かにしろ。しゃべるな。ノートに写せ。ちゃんと歌え。動作がおそい。もたもたするな。動き回るな」等々。
 2年生になり、相当にストレスがたまっていたC男は、校舎内を突然走りだし、大声をあげて「バカヤロー」と騒いだり、教室の戸を足で蹴とばしたりするようになった。C男の言動が気になった担任は、よく二人で話し合い、穏やかな対応に、C男は素直に担任の言うことに耳を傾けていた。
 しかし、6月の終わり、トイレで、日頃まじめでよく勉強をし、教師の評価の高いD男に出会ったC男は、「まじめに勉強してどうするんだ。」と睨みながら突然大きな声を出した。黙ってその場から出ようとしたD男に、「こたえねーのか」と怒鳴った。
 翌日からD男へのいじめが始まった。教科書を机の上から落とす、筆箱を隠すなどから、雑巾を投げ付ける、画鋲を投げるなど、いじめはエスカレートしていった。
 D男は三か月に及ぶいじめに黙って耐えて来たが、やがて、「学校に来るな。勉強するな」と脅されるに及んで、一番頼りになる父親にすべてを打ち明けた。父親は、すぐ担任の自宅を訪問し相談した。

対応の概要

  1. 担任は、大きな衝撃を受けながらも、解決に向け、明日から全力で取り組むことを父親に約束した。
  2. 担任は、C男に日曜日の午後、家に遊びに来るように誘った。日頃からのC男とのふれ合いを信じ、語りかけた。「C君、いじめってやったことあるかい。」「僕がですか。」沈黙の後、やがてC男は、「先生、知っていたのですか」と全てを担任に話した。すでに夜の11時になっていた。
  3. 学年会に報告し、今後の指導のあり方について、3時間にわたって話し合った。
    • いじめの原因となったものは何か
    • C男、D男への職員のかかわりに反省すべきことはなかったか
    • なぜ学級のだれも訴えて来なかったか
      続いて開いた臨時職員会は長時間に及んだが、真剣なものになった。その結果、『注意連発、命令連発型の指導』を慎み、人間関係を大切にし、C男に応じた指導を具体的に進めることが決められた。
  4. 学級での話し合い
    • なぜ、だれ一人担任に知らせることが出来なかったか
    • どうして無関心を装ってしまったか
    • 今後学級の皆が仲良くしていくために一人一人がどうあったらよいか
  5. C男、D男の家を家庭訪問し、担任の指導方針への理解と協力をお願いした。
    教師側のC男、D男に対する接し方の大きな変化により、C男は徐々に心に落ち着きを得て、やがて以前とは全く違う状態に改善され、D男へのいじめは終わった。

この事例から学ぶこと

  • 日頃から家庭との連携がとれており、父親がすぐ担任に相談したこと。担任が親の訴えを真剣に受け止め対応したこと
  • 担任の、日頃からの温かいかかわりがC男の心を動かしたこと
  • 全校の問題として全職員が真剣に話し合い、その結果の指導方針を、一致協力して具体的に実践したこと
  • 教師の価値基準で評価し指導するのでなく、その子の心を大切にし、存在感が満たされるような取り組みを図ったこと

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 事例4 見てみぬふりをされていたE子(中3女)

いじめの概要

 大人しく動作の遅いE子へのいじめは、3年生になった4月下旬、同じ学級の女子三人グループによって始まった。バレーボールの試合で負けたのはE子の責任だ、というのがいじめのきっかけであった。
 机の上に落書きをする、のりを付ける、黒板ふきを頭の上でたたいて粉をかける、机上の筆箱を落とす。こんないじめをされながらもE子は、ただ黙って我慢し続けていた。学級のだれもがこのいじめに気づいていたが、見てみぬふりをしていた。
 ある日、一人で下校しようとするE子を見た同じ学級のF子が、「いっしょに帰ろうね」と優しく声をかけた。二人で15分程ただ黙って歩いていたが、突然E子は泣き出した。「E子、今まで力になれなくてごめんね。がんばろう。」その夜、F子は、副ルーム長としての責任を強く感じ、担任へ電話をして、E子へのいじめについて、知る限り全てを打ち明けた。

対応の概要

  1. E子と三人に面接相談を行い、その時の事情と気持ちを詳しく聴き取った。
    • 面白半分でいじめを行っていたと言う三人には、E子のつらさをじっくりと考えさせた。
  2. 校長、教頭に相談し、生徒指導主事と合同で臨時学年会をもって対応を検討した。
  3. 1時間目:担任からの呼びかけ
    • この学級にいじめが続いているらしい。これから15分間、全員目をとじて、一人一人が自分の心に聴いてほしい。
    • これから白紙を配るので、いま心に思うことを自由に書いてほしい。
       配布した用紙に、22名の生徒が自分の気持ちを書きつづって提出した。
  4. 2時間目:担任の訴え
    • 生徒が書いた内容の報告
    • 担任として力不足であったこと
    • いじめを傍観することは許せないこと
  5. 3時間目:学級の話し合い
    • なぜ、いじめを許していたのか
    • 自ら良き友になるために

この事例から学ぶこと

  • 担任の、日頃全力を傾けてきた学級づくりの努力が、22名の生徒に自分の気持ちをつづらせ、3時間に及ぶ取り組みを実らせたこと
  • 担任が、自分を含め、いじめの傍観者は加害者と同罪であるという立場に立ち、いじめを止められなかった自分の心の弱さ、醜さに焦点を当てた指導を行い、より良い人間関係と集団を作ろうという取り組みを行ったこと
  • 事実関係の把握を迅速に行い、それをもとに周囲に相談し、一人で抱え込まず、即対応していったこと

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 事例5 上級生から威圧され、暴力を受けたH子(高1女)

問題行動の概要

 3年生のG子を中心とした五人が、1年生のH子を5月頃から約二か月間、昼休みや放課後などに、学校のトイレや市の公園に連れ込み、いじめを繰り返した。
 きっかけは、新入生のH子の態度・服装が気にいらなかったG子が、「生意気だ」「態度が大きい」「目つきが悪い」等の言いがかりをつけたことにあったが、数日後五人は、再びH子をトイレに呼び出して土下座させた上、便器に顔を突っ込んだりの、暴力を加えた。
 その後も、学校の帰りに、駅近くの公園に連れ込み、「まだ反省がない」と脅したりした。H子は、その都度耐えていたが、H子の友人が気づき、担任に相談した。
 担任が、G子やH子らへの面接や事実関係の把握を十分に行わずに、翌日の学級会で一般的指導をしたところ、かえっていじめはひどくなった。G子の仲間がH子に、「先生にチクッタな」と詰問し、鼻血が出るまで暴力を加えるにいたった。

対応の概要

  1. 生徒指導係及び学年が分担して、女子全員から聞き取り調査をし、事実関係を把握した。
  2. G子等には、家庭反省を含む指導を行い、共に考えるなかて、自分でどう解決したらよいか、また、今後の生活への心構えを見い出させるようにした。
  3. 学年全員に、「いじめと人権」と題したレポートを提出させ、ことの重大性に気づかせ、いじめに対して傍観者的態度であったことへの反省を促した。
    こうした中で、G子等は担任や進路指導係の指導を受け、自分の進路に向け再出発した。H子も文化祭に向け前向きにがんばりを見せるようになった。

この事例から学ぶこと

  • いじめの事実、その行為を行った時の経過や心情等の把握を、早急、且つ徹底的に行うこと
  • 教師一人で判断したり、抱えこまず、素早く機能できる生徒指導体制をつくっておくこと
  • 教師一人一人が、生徒の言動、変化、訴えを見逃さない力量をつけるため、校内研修会を充実すること
  • G子の反省文の中に、1年生の時から、「なんだおまえ、平均点より20点低いぞ」「こんなことでは2年に進級できないぞ」「やる気がなかったら就職しろ」等々、多くの先生に偏見に満ちた言葉を浴びせられたこと、そしてそれは、教師からの、言葉による『いじめ』ではないかという訴えが書かれていた。
    教師は、生徒一人一人の共感的な理解に努め、『やる気』と『自信』を引き出し、高めていく生徒指導を充実させること

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 事例6 暴力・金銭強要を受けたI男(高3男)

いじめの概要

 3学期に入り、不登校傾向になっていた1.男の母親から、「家人のサイフの中のお金がなくなるし、本人への電話が毎日何回もかかってくるようになり、様子がおかしいので来てほしい」との連絡が入った。
 ただちに担任と生徒指導係が家庭訪問をし、事実を明かすよう、深夜にわたり本人を説得した。すると、夏休み前、校内の自動販売機の前で下級生にジュースを奢ったことをきっかけに、金銭をたかられるようになり、12月上旬まで同級生及び下級生の五名から、20回以上お金を脅しとられていたことが判明した。またその際、暴力も加えられており、それが原因で登校しづらくなっていたことも打ち明けられた。

対応の概要

事態を重視し、臨時職員会で話し合って全校体制で対処することにした。

  1. I男の登下校に際し、当面の間、登校時には保護者、下校時には該当学年の教師が交代で送り迎えをする。
  2. いじめた生徒たちには、保護者と連携し、個別指導で事実を厳しく受けとめさせるとともに、1.男の心情をしっかりと考えさせる。
  3. 無記名による「いじめの実態調査」を行い、その結果をもとに、文部省及び県教育委員会の資料を加えて学級指導を行う。
  4. いじめが自分たちの重大な問題であること、望ましい人間関係をどう作るかについて学級討議で考えさせる。
  5. 全教員が廊下の見回り、教室での生徒の観察等、いじめ発見のための対応をする。学校側が、いじめられる生徒を守るという姿勢を強く打ち出したこと、また、進路指導で希望する上級学級への意欲を持たせることにより、1.男はしだいに明るさを取りもどし、およそ一週間後には一人で登校できるようになった。

この事例から学ぶこと

  • いじめに起因する不登校はないか、注意すること。遅刻、早退が目立ったり、休みがちになった時は、早急に家庭と連絡をとり、原因・背景を明らかにすること
  • 保護者がすぐ担任に相談できるよう、常日頃からの連携を深めておくこと
  • 教師の、いじめを断じて許さない姿勢と対応が、生徒との信頼関係を生むこと
  • 奢りや軽い気持ちでのたかりが、金銭強要などのいじめにつながっていく事例がある。学級・クラブ等での指導や、個に応じた指導が日常的に必要であること

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お問い合わせ

所属課室:長野県教育委員会事務局心の支援課

長野県長野市大字南長野字幅下692-2

電話番号:026-235-7450

ファックス番号:026-235-7484

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