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更新日:2026年5月26日
私自身、ボランティア活動をやり過ぎて、冷蔵庫が空っぽでも沿道の草刈りなどをしていたところ、社協の担当者から「生活保護を受けた方がいいですよ」と言われ、生活保護費を受給しており、現在に至ります。
当事者として制度の実態を痛感しております。
今般、生活保護費の受給制度における以下の問題点と提案事項について、知事にお伝えしたく筆を執りました。
1.職員の不適切事案について
・約2年前、所管する地域福祉課の課長は、説明責任を果たせず、説明を拒否して電話を一方的に切った。
・同年、所管する福祉事務所の課長も、説明責任を果たさず、「自分で厚労省に問い合わせてください。」と電話を一方的に切った。
【関連法令】行政機関の保有する情報の公開に関する法律第1条(情報公開・説明責任の原則)、地方公務員法第33条(信用失墜行為の禁止)、同法第35条(職務に専念する義務)
2.生活保護制度の形骸化について
・憲法第25条が保障する「最低限度の文化的な生活」が、現行制度では全く担保されていない。
・単身受給者への支給額68,240円/月では、実態として生活が成り立たない。
・コロナ禍では生活扶助額が月15万円程度あったにもかかわらず、現行は大幅に減額されている。
・昭和の「3種の神器」と呼ばれるテレビ・冷蔵庫・洗濯機さえ購入できない水準である。
・日本の生活保護費がGDPに占める割合はわずか0.5パーセントで、OECD加盟国平均の7分の1にすぎず、受給資格がある人のうち実際に利用している割合(捕捉率)は約2割に留まっている。
【関連法令】日本国憲法第25条(生存権)、生活保護法第1条(目的)、同法第3条(最低生活)、同法第8条(基準及び程度の原則)
3.移動手段(自家用車)問題について
・長野県の管轄は基本的に郡部であり、郡部では自家用車が生活必需品であるにもかかわらず、保有が認められず、就労機会さえ奪われている。
・一方、長野市など都市部では部分的に認められており、居住地域によって待遇が異なるのは憲法違反である。
・2024年10月、名古屋高裁は生活保護受給者の自動車使用制限について、行政裁量の逸脱・濫用と判断し、自治体の処分を違法として取り消し賠償を命じた。
・2024年12月、厚生労働省は通勤・通院目的で保有が認められる場合、日常生活に不可欠な外出での自動車利用も原則認めるよう通達を改正した。
しかし、長野県においては、この通達改正への対応が実際にはなされておらず、現場レベルでの運用変更が確認できていない。
国の方針と県の実態の乖離は、早急に是正されるべきである。
【提案事項】
・県が一括して車両を購入または借り上げ、受給者に貸し出す制度を創設する。
・土日祝日に利用していない公用車を、休日限定で貸し出す制度を導入する。
【関連法令】日本国憲法第14条(法の下の平等)、生活保護法第1条・第3条、厚生労働省通知(令和6年12月25日付)
4.冬季暖房費・ヒートショック問題について
・冬季加算(長野県:3区)7,460円では、実態として暖房費が全く足りない。灯油代だけで節約しても、月1万円を超えるケースがある。
・節約のため居室のみ暖房し、トイレ・廊下を暖めない生活を余儀なくされており、ヒートショックによる生命の危険を行政として担保できていない。
・北海道北広島市では「福祉灯油特別対策事業」として冬季加算とは別に生活保護受給世帯へ5,000円、障がい者・ひとり親世帯へ10,000円を追加支給している先進事例がある。
【提案事項】
・長野県独自の「冬季暖房費上乗せ支給制度」を創設し、実態に即した暖房費を補填する。
【関連法令】生活保護法第8条(基準及び程度の原則)、同法第11条(扶助の種類:生活扶助)、老人福祉法第2条(基本的理念)
5.じゅう器備品バンク構想について
・県が所有するじゅう器備品の更新時に、廃棄前の物品(パソコン・プリンター等)を生活保護受給者へ優先的に無償または低価格で提供する。
・産業廃棄物処理費用を払って廃棄するより、完全に使用不能になるまで活用すべきである。
・使用されなくなった自家用車(介護保険受給者等)を県が買い上げ、受給者へ貸し出す制度を創設する。
・これらをネット上で在庫公開し、生活保護受給者を第一優先として広く活用できる「じゅう器備品バンク(空き家バンクのじゅう器備品版)」として運営する。
・相続手続き中の遺品・不用品の早期処分にも活用でき、提供者・受給者双方にとってウィンウィンの制度となる。
【関連法令】廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)第3条(事業者の責務)、生活保護法第1条・第3条
6.自立支援融資制度の創設について
・現行の緊急小口資金(限度額2万円)は、電気・ガスの停止といった緊急時対応のみであり、生活再建・自立への投資としては全く不十分である。
・このままでは「死ぬまで受給し続ける構造」が固定化され、かえって財源を圧迫する。
・2014年創設の「就労自立給付金」は単身世帯上限10万円と低く、脱却後の生活再建としては不十分である。
また、この制度はサラリーマン(雇用就労)を前提としており、個人事業主・起業者には適用されない。
サラリーマンと個人事業主を同等に扱わないことは、自立支援の観点から著しく不公平であり、早急な制度改正が必要である。
【提案事項】
・サラリーマン就業支援:リクルート費用・通勤服・最初の定期券費用等を貸付し、就業後に返済する奨学金型融資制度を創設する。
・個人事業主支援:じゅう器備品・開業費用の借り入れ制度を創設し、サラリーマン支援と同等の扱いとする。
・昭和の3種の神器(テレビ・冷蔵庫・洗濯機)については、リサイクル品を無償提供する。
【関連法令】生活保護法第11条(扶助の種類)、同法第18条(生業扶助)、社会福祉法第2条(社会福祉事業の定義)
7.底辺の底上げによるGDP向上について
・生活保護受給者を含む社会的弱者への手厚い支援は、単なる福祉支出ではなく、日本全体のGDP向上への投資である。
・障がい者・健常者を問わず、底辺の生活水準を引き上げることで消費が拡大し、経済全体を活性化させる。
・「あの人たちが頑張れているなら、私にもできる」という社会的連鎖を生み出し、中間層・上位層の活力をも引き出す効果がある。
・トリクルダウン(上から下)ではなく、ボトムアップ(底辺から上)こそが、持続可能な経済成長の基盤である。
【関連法令】日本国憲法第25条(生存権・社会福祉の増進義務)、社会福祉法第1条(目的)
【提案事項総括】
以上の諸問題について、下記のとおり改善を強く求めます。
1.職員の説明責任徹底と再発防止研修の実施
2.冬季加算の実態に即した上乗せ支給制度の創設
3.自家用車貸し出し・公用車活用制度の創設
4.じゅう器備品バンクの創設と運営
5.奨学金型自立支援融資制度の創設(サラリーマン・個人事業主双方対象)
6.リサイクル品(3種の神器)の無償提供制度の整備
7.厚生労働省通達(令和6年12月25日付)の長野県における早急な実施
長野県健康福祉部長の笹渕美香と申します。
知事あてにお手紙をいただきましたが、生活保護事務につきましては健康福祉部が担当しておりますので、私からお答えさせていただきます。
この度は、生活保護制度について受給されている当事者のお立場から貴重なご提案をいただき、誠にありがとうございました。また、地域の生活支援・福祉向上のためにご尽力されておられることに敬意を表するとともに、生活保護制度に対する深い問題意識からご提案をいただいたことと理解したところです。
約2年前に十分な説明を行わなかったと感じられた件につきましては、まずもってお詫びを申し上げます。生活保護制度につきましては、福祉事務所において担当のケースワーカーが説明をすることとしておりますので、ご不明な点がありましたら、担当ケースワーカーにご相談いただきますようお願いを申し上げます。
ご提案いただきました冬季加算の実態に即した上乗せ支給制度の創設につきましては、県としては、暖房用灯油などの冬季の光熱費の費用助成については、住民の状況を把握している市町村が地域の実情を踏まえて特別交付税措置を活用して実施することが適切であると考えております。現在、実施している市町村も複数ありますが、引き続き、各市町村に地域実状を踏まえた住民の生活支援について依頼をしていきたいと考えております。
自動車の貸し出しにつきまして、現行の生活保護制度においては、障がいのある方や公共交通機関の利用が著しく困難な地域にお住まいの方が通院や通勤などに利用する場合は、自動車の保有が認められております。保有が認められた方については、令和6年12月25日付けの厚生労働省の通知により日常の買い物等に利用することも認められております。この取扱いについては、県内でも既に実施しているところです。
国では自動車の保有について「生活保護における資産の保有とは、最低生活の内容としてその保有又は利用をいうものであって、その資産を現に占有し、利用することによってそれによる利益を享受する場合も含まれる」としており、自動車の保有が認められない場合においては、「自動車の使用は所有及び借用を問わず原則として認められない」としております。
長野県のみ、独自の運用を実施することはできませんが、中山間地が多い長野県においては、生活の維持や自立を図るうえで、自動車は必要度が高いことから、自動車の保有要件の緩和について、国に毎年要望しているところです。この点については、引き続き、国への要望を続けていきたいと考えております。
奨学金型自立支援融資制度の創設については、現行の「生活福祉資金貸付」制度内の「一時生活再建費」、「生業費」などや、生活保護を受給している方への「生業扶助」など、既存の福祉制度による支援があると考えております。
じゅう器備品バンクの創設につきまして、県で使用しているパソコンやプリンターはそのほとんどがリース品であり、また、個人情報を扱うため使用できなくなった場合も物理的な廃棄を行う必要があります。このため、これらを備品バンクのような形で一般の方を対象に譲渡や販売することは難しいと考えております。
リサイクル品の無償提供制度については、県が主体となるよりも市町村や民間事業者が主体となり実施する方がより機動性が高く地域内での循環も図られると考えるところです。
生活保護制度につきましては、国の法律に基づいて全国で統一的に運営される仕組みであり、自治体はその法律や基準に沿って事務を行うこととされています。このため、自治体ごとに独自の判断で運用の内容や基準を変えることはできず、せっかくご提案いただきながらご期待に沿えないお答えも多く申し訳ありません。
県としては、いただいたご提案の主旨を踏まえたうえで、引続き、国に対しての要望や市町村との連携などに努めてまいりたいと考えます。
以上、ご提案への回答とさせていただきますが、ご不明な点がございましたら、地域福祉課長:百瀬聡美、担当:生活保護係までご連絡くださいますようお願い申し上げます。
【問合せ先:健康福祉部/地域福祉課/生活保護係/電話026-235-7114/メールchiiki-fukushi(あっとまーく)pref.nagano.lg.jp】
(分野別:保健・医療・福祉)(月別:2026年3月)2025000662
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