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更新日:2018年12月3日

(10)台風第10号

(10)台風第10号(昭和57年8月1日~3日)

被害地域
県内全域(主に東信地域)
被害状況
人的被害(人):死者4/負傷17
住家被害(棟):全壊23/半壊44/一部損壊580/床上浸水80/床下浸水1,384

災害時の情報網を充実

北佐久郡軽井沢町S.Sさん(当時36歳・旅館経営)

 

その日は朝から雨が降っていましたが、夕方頃からは台風の接近に伴い雨も風も強まってきたので、何回か外に出て付近の見回りをしていました。私は旅館を経営しておりまして、その日もお客さんが約30人ほどいたのですが、みなさんに「雨がひどく用水があふれる危険があるので、もしものときに備えた格好でいてください」とお願いしておきました。しばらくして停電になってしまいましたが、なんとか夕食の支度は間に合わせることができたので、非常灯の明かりで食べてもらいました。

夜中の1時過ぎ頃また見回りに出ると、土手の上を流れる用水から泥水があふれ出しているのが見えたので「これはいけない」と思い、すぐに公民館へ避難することにしました。あとでわかったのですが、長引く雨で根元の土がゆるくなっていた木が用水に倒れこみ、流れる土砂をせき止めて水があふれてしまったようです。表は水が流れていたので裏口から外に出て、お客さんには全員マイクロバスに乗ってもらい、家族はそのあとから自家用車で避難しました。途中道路上の激しい濁流に行く手をふさがれたので回り道をし、転がっている倒木をよけながら必死に運転してようやく公民館にたどりつきました。その後も暖房器具を持ってきたり、朝には炊き出しのおにぎりをつくったりするために旅館へ何度か戻りましたが、すでに玄関の引き戸が水の流れの勢いで開けられ室内に砂や泥が入り込んでいて、水はちょうど廊下を通り道にするような格好で外にどんどん流れ出ていました。

昼過ぎに雨が上がって平静さを取り戻してからは、お帰りになるお客さんの対応に追われました。それからようやく親戚や近所の方の協力で、少しずつ旅館の復旧作業にあたることができました。

この災害以来、自分の身は自分で守らなければ、という気持ちで、十分な備えを心がけるようになりました。天気予報をチェックし、雨量が多いときは自主的に用水の水門の管理をしていますし、食料の備蓄もしっかりしています。また経験から災害時に役に立つものがはっきりわかったので(電気製品は役に立たないことが多い)、普段の生活にもそういうものを使うように心がけています。特にここは水害がなくても浅間山の噴火で被害を受けると予想されるところですから、そのへんは怠りなく用意しています。

また、この大雨のときは町の消防へ電話がつながらなかったので、知り合いの消防団員に直接助けを求めました。災害時は電話が殺到するでしょうし、対応する方も人員が少なくて苦慮しているのでしょうが、連絡が取れないということは、被災者の不安を大きくさせるものです。ですから、処理しきれない電話は近隣の市町村の消防や県の災害対策本部などにそのままつながるなど、何らかの連絡網が整備されてほしいものです。防災無線も警報や避難勧告などは知ることができますが、こちらからは情報を送ることができません。いまは情報化社会ですから、住民と行政が双方向で情報をやりとりするシステムがあれば、災害時も含めていろいろな役に立つのではと思います。

 

教訓
伝えたいこと

災害時に住民と行政が双方向でやりとりできる情報伝達システムの確立があれば役に立つ。

自主防災組織の形成を

北佐久郡軽井沢町Y.Sさん(当時28歳・消防署員)

 

当時、私は町の消防署に勤務していましたが、ちょうど8月1日は休みで、自宅の横を流れる川の水かさがどんどん増してくるのを心配していました。午後8時頃には署員全員が緊急体制をとるよう非常招集を受け、私も署に向かいました。

署に着くとすでに署内は停電し、電話がひっきりなしに鳴り続けて対応しきれない状態でした。また出動した救急車や指令車までが倒木や土砂に行く手を阻まれて身動きがとれず、署員の安否も不明になるなどだいぶ中は混乱していました。

午後11時32分頃、湯川の西にあるアパートで石垣が崩壊し、子どもが2人行方不明だという通報が入りました。そこで消防団の第5部に応援を要請したあと、私たちも現場に向かおうとしたのですが、車がすでに1台もなかったので、5、6人で歩いて出動しました。道は川沿いで昔の田んぼのあとだったので、激しい雨でぬかるんでおり、途中何度も泥に足を取られ、腰まで泥にはまったりしながら、ようやく現場に到着しました。

消防の先着隊がすでに救出活動を始めていましたが、あたりは真っ暗でとにかく泥水がどんどん家に流れ込み、建物自体も今にも崩れそうな感じでした。まずは覆いかぶさっている床や畳をチェーンソーで慎重に切断しながら、スコップで泥をかき出そうということになり、生き埋めになった子どもたちを捜し続けました。怖さもありましたが必死でした。二次災害を防ぎながら作業を進めましたが、2日の午前1時過ぎに最初の1人を、しばらくしてもう1人を発見、病院に搬送したのですが、残念な結果となってしまいました。

その夜は署に引き上げてからも、交代で仮眠をとりながら、救急の対応にあたっていました。救急車が立ち往生してしまった不明の署員ともなかなか連絡がつかず、心配な夜を過ごしました。

その後も、朝には旧軽井沢地区の水源池が土砂で埋まってしまったとの通報を受けて、連日消防署のタンク車を出動させるなど、町全体が普段の生活に戻るまでにかなりの時間を要しました。

災害のときには消防も役場も人数が足りなくて対応が追いつかない場合がありますから、住民の皆さんには積極的に自分たちの手で自分たちの身を守る備えをしてほしいと思います。そのような意識を高めてもらおうと、町では災害時の正しい行動をまとめた防災パンフレットや、地域の土砂災害の危険区域図を全戸に配布して、身の回りの災害に対する関心を持ってもらうようにしています。また町は観光地でもありますので、警報などを発表する防災無線を設置するのはイメージの面でも難しい問題がありますが、安全第一ということで各地に設置させてもらっていますし、一般の家でも希望する方には個別に防災無線の設置を順次行っています。

さらに、現在それらと並行するかたちで、町では住民参加の自主防災組織を立ち上げようと考えています。近隣の市町村での例も検討していますし、各地区の区長、消防団OB、さらには住民一人ひとりのご協力を得ながら、各組織の力を一つにまとめ、自分たちの町を自分たちの手で守っていこうという意志のもと、近い将来にも発足させたいと考えています。

 

教訓
伝えたいこと

自分たちで積極的に自分たちの身を守る備えをする。

身の回りの危険か所をチェックする

北佐久郡軽井沢町
K.Fさん(当時40歳代・消防分団長)、M.Tさん(当時30歳代・消防団員)

 

あの日は風雨で倒れた立ち木の処理や、土のう積み作業、パトロールなどですでに消防団はいくつもの班にわかれて朝から一日中警戒にあたっていました。夜11時過ぎになり、台風10号による豪雨で地下水が増水、石垣が耐え切れず崩壊し、隣接していたアパートに土砂が直撃したとの通報を受けて、町の消防団第5部団員25名が現場に出動しました。

現場は家の裏の石垣が約10mにわたって崩れ、すぐそばの壁を突き破って家の中に土砂が流入、屋根を残して家が傾いた状態になっているなどたいへん危険な状態でしたが、中へ入ると一番入口側に寝ていた子どもの体が土砂の中から見えたので、急いで引っぱり出して、到着していた救急車で病院に搬送しました。

先に事故を通報した母親から「まだ2人の子どもが生き埋めになっている」と知らされ、場所を確認しましたが、明かりも十分でなく、降り続く激しい雨で家の中にさらに土砂が流入していて、子どもたちの姿はまったく見えませんでした。そこで救助人員の増員と発動機などの応援を要請し、救出活動を続行しました。土砂、畳、材木、布団、家具などを除きながら、家の上部下部両方からの救出を試みましたが、現場には大型機械を搬入する場所がなく、スコップ、チェーンソー、つるはしなどでの人力作業を強いられたので、救出活動はたいへん困難なものとなりました。

さらに天井が落下する危険があるとみられたので、ジャッキで固定しながら作業を進めると、午前1時過ぎにようやく2人目の子どもを発見しました。残る1人も近くにいると思われましたが、相変わらず土砂の流入が激しく、家材の落下などによる二次災害の危険も食い止めながら作業を続けた結果、それから約18分後に3人目の子どもを発見、病院へ搬送しました。

振り返ると、軽井沢町には大きな川もなく、それまでこのような水害が少なかったため、住民の方もまさかこんな事故が身近で起こるとは思っていなかったかもしれません。しかし近年は少しずつ水害の事例も増え、平成13年には、草木や土で詰まっていた用水路に大量の雨水が流れ込み、排水溝から家屋に逆流、床上浸水したことがありました。これはいつどんなときにも思わぬ災害があるという例だと思います。この場合は、日ごろから用水路の清掃に気を配ることも災害への備えとなります。さらに自分の家の周りには新たな危険か所がないかどうか、また過去の災害現場は再び災害が起こりやすい場所ですから、現在はどうなっているのかなどをいつも十分チェックすることが大切だと思います。

そして行政には、町の各地域にある災害の危険か所、防災ポイントを住民に知らせていくことを提言します。むやみに危険意識をあおることはもちろん好ましくありませんが、ここには浅間山も近くにあることですし、大地震に備えている地域の例をみるまでもなく、住民の防災に対する関心は今大きく変わりつつあります。積極的に住民に情報を提供することで、自らの防災意識を高めてもらうことが大切だと思います。

 

教訓
伝えたいこと

自分の身の回りの危険か所をチェックしておく。
◆行政は危険か所などを住民に積極的に知らせていく。

 

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電話番号:026-235-7184

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