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更新日:2024年10月31日

桜井遊水地計画の見直しについて

ご意見(2024年9月5日受付:郵便)

提案の主旨

1.令和3(2020)年8月、佐久地域における遊水地の「必要性について」の長野県・佐久建設事務所の説明は以下のとおりであった。つまり、千曲川下流域では令和元年10月の19号台風において、長野市長沼地区では堤防の破堤による大規模な浸水被害が発生した。千曲川流域全体で災害復旧工事が行われているが、上流域にある佐久市内の滑津川、田子川、谷川の改良復旧工事により河道が拡幅され、千曲川本川への負担増が伴うことになる。そこでこの3河川の工事による増加流量分を一時貯留し、長野市長沼地区の水位上昇を低減させるために遊水地を設置する。必要とする面積は農地・水田約31haで、貯水量は110万トンとする。用地はすべて買収する。

2.県は遊水地を建設するにあたり、「令和3年度国補河川災害復旧助成事業に伴う設計業務」を株式会社建設技術研究所に委託し、つくば市の実験施設に於いて水理実験が行われた。(2022年7月実験は終了。2023年5月実験結果の公表)

(1)実験結果の公表により、「河川計画流量」が初めて公表された。それによると、計画流量配分は、「昭和58年度指定区間調査」の値が用いられており、確率規模100分の1を対象としたものであった。河川計画流量は滑津川合流前の御影橋地点で毎秒2,000立米、滑津川合流後毎秒2,600立米とされている。さらに下流の塩名田観測所の計画流量は毎秒3,700立米、上田市生田観測所は毎秒4,800立米としている。実験はこの流量で実施された。

(2)大型台風19号の千曲川本川の実際の洪水流量は、計画流量を大きく上回っていた。まず、データのある生田観測所におけるピーク水量は、国交省の「時刻流量月報」によると10月12日21時で毎秒7,266.55立米と記録されている。計画高水量は毎秒5,500立米(昭和58年度は毎秒4,800立米)であり、実に毎秒1,766立米も上回っている。また、塩名田観測所の20時のデータは毎秒4,126.31立米(21時は欠測となっている)であり、ピーク流量ではないが、ここでも計画流量を毎秒426立米上回っている。
一方、専門家の現地調査と二次元不定流計算によると、御影橋付近で毎秒5,634立米、塩名田観測所で毎秒6,113立米と推定されている。生田観測所の毎秒7,266立米という記録実測値と比較しても推認できる値である。つまり、「河川計画流量」が大きく異なるこの水理実験は意味をなさないことになり、計画を見直す必要があると思われる。

(3)遊水地への越流、湛水(たんすい)の結果について(報告書Ⅲー5ー35)実験では、上池(エリアA)が満水になるのは1時間27分後、その後仕切堤を越えて下池(エリアB)が湛水し、上池、下池共に満水になるのは4時間27分後である。
(なお、ビデオ映像では6時間後となっている。)ピーク時の最大流量毎秒131立米であった。
焦点の水位低減効果について「報告書」では「遊水地整備前後での水位比較図では、水位がほぼ重なっており、千曲川全体の水位変化はわずかである。」(Ⅲー5ー45)としている。
越流堤上流左岸の整備前後の水位は0.202m低下、下流端附近は0.192m低下となっている。
浸水被害のあった長野市長沼地区は、桜井地区から80km先であり、川幅は約1,000mである。なお、小諸には千曲川本川上流で唯一の東京電力西浦ダム(正式には堰堤(えんてい)という)があり、33万5千トンの貯水量がある。(これがどのように活用されているか不明である)したがって、遊水地建設による長沼地区の水位低減効果は見込めないのではないか。

3.遊水地は住民にとって危険な存在になる

(1)遊水地の断面構造がはじめて公開された遊水地の断面図の公開により、まずの取入口である越流提は現堤防を180mに渡り切下げ上池と下池の間にある仕切堤の落差が5mあることがわかった。
仕切堤を超えた洪水流は相当な量と流速で下池に流れ込むと推定できる。約8メートルの高さの周囲堤は耐越水構造にはなっていない。断面図では周囲堤は盛土構造で、上池は天端の3.25m下からがブロック張で、下池は天端の4.25m下からブロック張となっている。従って洪水が仮に計画高水位を超えた場合は、周囲堤の越水、洗掘、法面崩れの危険が想定される。
このことによる危険性は、隣接する北桜井地区住民から指摘されている。

(2)遊水地に隣接する北桜井(古くは桜井新田)は江戸時代より洪水に悩まされてきた歴史がある。『佐久市志』によると、1742年の空前の台風水害(戌の満水)では、「桜井新田では、耕地屋敷地を含めた全村面積の96%を失う」大災害となった。このため、後年「桜井新田は中桜井村から水田を借りて、新集落を形成する。」ことになり、千曲川から離れた現在の場所に集落ごと移転し安寧の地を得た。北桜井集落に隣接して大規模遊水地を建設するこの度の計画により、再び水害の危険性が予想される。苦難の歴史を歩んできた北桜井地区住民に耐えがたい不安を与えている。

4.千曲川流域住民のすべて知恵と声をカに災害に強いまちづくりを

(1)今回の水理実験により桜井遊水地の治水効果は大きな疑問が残され、計画を再検討する必要が迫られる。桜井地区は佐久平でも有数の稲作地帯である。北桜井のある方は反対を表明している。
一昨年より千曲川流域自治体が集まり「流域治水対策」の検討が始まった。
話題に上った田んぼダムや雨水貯水槽、林業政策の転換など幅広い災害対策が必要と思われる。いずれにしても食糧生産基地としての長野県の農業を守る視点が必要である。

(2)「信濃川水系北佐久圏域河川整備計画」も公聴会開催以降数年が経過している。計画を早期に決定し、中小河川整備を進めることが地域住民の安全・安心につながると考える。

提案事項
1.長野県が計画する佐久市桜井地区の遊水地計画を見直すこと。
2.本計画の費用対効果について県民に説明すること。

回答(2024年9月12日回答)

長野県建設部長の新田恭士と申します。

知事あてに請願書をいただきましたが、一級河川千曲川、佐久市桜井地区に計画している遊水地につきましては建設部が担当していますので、私からお答えさせていただきます。

このたびは、県の行う治水対策について貴重なご提案をいただき、誠にありがとうございました。

県が計画している桜井遊水地は、佐久建設事務所から説明させていただきましたとおり、令和元年東日本台風で甚大な被害を受けた滑津川、田子川、谷川で河道拡幅を伴う改良復旧で増加となった流量分を貯留する施設として整備するものです。また、国、県、市町村が連携し、令和2年1月31日から実施している「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」においても、令和元年東日本台風と同規模の洪水に対し、堤防からの越水を防止するための対策の一つとして位置付けられており、信濃川水系の治水対策を推進するために必要な施設であると考えております。

また、県では遊水地整備の事業実施にあたり、現在、「遊水地整備に伴う桜井地区の治水まちづくり検討協議会」を設置し、地域の皆様からいただいた様々なご意見、ご要望についてご相談させていただいております。
その結果を踏まえ、遊水地整備の効果も含め説明を行い、地域住民の方々のご理解と地権者の皆様との合意形成を図ってまいりますので、何とぞご理解いただきますようお願いいたします。

以上、ご質問に対する回答とさせていただきますが、ご不明な点がございましたら、河川課長:江守護、担当:計画調査係まで、ご連絡いただきますようお願いいたします。

【問合せ先:建設部/河川課/計画調査係/電話026-235-7310/メールkasen(あっとまーく)pref.nagano.lg.jp】

(分野別:まち・みち・かわづくり)(月別:2024年9月)2024000332

お問い合わせ

企画振興部広報・共創推進課

電話番号:026-235-7110

ファックス:026-235-7026

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