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更新日:2025年12月12日
森林には、水源の涵養等様々な機能があり、私たちの生活に恩恵をもたらしています。しかし、所有者や境界がわからない森林の増加、担い手不足等が大きな課題となっています。
このような現況の下、平成30(2018)年5月に成立した森林経営管理法を踏まえ、パリ協定の枠組みの下における温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する「森林環境税」が創設されました。

林野庁:森林を活かすしくみ 森林環境税・森林環境譲与税(別ウィンドウで外部サイトが開きます)
森林環境税・森林環境譲与税とは?
森林環境税とは、2024(令和6)年度から、国内に住所のある個人に対して課税される国税であり、市町村において、個人住民税均等割と併せて1人年額1,000円が徴収されます。
その税収が、国によって森林環境譲与税として都道府県・市町村へ譲与されます。
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○ 令和6年度からの税徴収開始に先立ち、令和元年度から市町村及び都道府県に譲与開始されました。
○ 令和6年度より譲与基準が変更され、私有林人工林面積が100分の55、人口が100分の25の譲与割合となりました。
総務省 令和6年度税制改正の大綱の概要(令和5年12月22日閣議決定)(別ウィンドウで外部サイトが開きます)

なお、災害防止・国土保全機能強化等の観点から、森林整備を一層促進するために、令和2年(2020年)3月に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」の一部が改正され、令和2年度(2020年度)から令和6年度(2024年度)までの各年度における森林環境譲与税について、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用し、交付税及び譲与税配布金特別会計における譲与税財源の借入れを行わないこととした上で、森林環境譲与税の譲与額を前倒しで増額することとなりました。
また、令和6年度からは、森林環境譲与税の譲与基準が私有林人工林面積が55%、人口が25%に変更されました。
〇 森林環境譲与税は、市町村においては、間伐等の「森林の整備に関する施策」と人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の「森林の整備の促進に関する施策」に、また、都道府県においては「森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用」に充てることとされています。
〇 都道府県・市町村は、インターネットなどを利用してその使い道を公表しなければなりません。

〇 県内の森林環境譲与税の活用額は、年々増加しており、令和4年度は82%、R5年度分の執行率は103%を見込む

〇 市町村は、森林経営管理制度に基づく意向調査等に主に活用されてきたが、年々森林整備への活用割合が増えている状況
〇 県は、主に「市町村体制支援」や「担い手確保・育成」に活用している状況


県内の市町村では、森林環境譲与税を活用して、間伐などの森林整備、森林整備に必要な境界明確化等の準備、林道・作業道の整備、林業従事者の確保や、公共施設等の木材利用や木育など、様々な取組みが行われています。
このほか、県外の自治体と県内市町村が連携した森林整備などの取組みも行われています。
ここでは、森林環境税・森林環境譲与税の概要および使途、活用状況と森林環境譲与税を活用した、令和6年度の県内市町村の様々な取組みについて、ご紹介します。
令和6年度 森林環境譲与税の取組事例(市町村)(PDF:10,712KB)

林道の維持管理は、林道規程により市町村が行っているところであるが、大雨等の災害により通行が困難となった場合、森林整備の実施や有害鳥獣駆除に大きな影響が出る。
林業事業体から、森林整備の実施予定箇所を聞き取り、路線を選定したうえで、擁壁や水路の補修、倒木の撤去等による障害の除去や、災害を未然に防ぐための改修工事等を行い、森林整備や有害鳥獣駆除の実施につなげている。

放置竹林の荒廃が課題となっているため、竹林整備を行う個人・団体等に竹林整備利活用推進事業を創生して補助金を交付し、景観及びライフラインの保全に取り組んでいる。
本事業を知ってもらうためチラシを作成し、町内林業関係イベントで活用に向けた普及啓発等の周知を行った。
その結果、令和5年度に1件、令和6年度は町内の3件の放置竹林の整備につながった。

町では、平成28年のウッドスタート宣言により、赤ちゃんから身近に木に接することで、心を豊かにする「木育」を推進している。
この度、地元材を使い、地元の木工職人による木製品を新生児・1歳児の誕生祝いとして贈り、12歳以下の町民には地元産の木のおもちゃを活用した体験型美術館「木曽おもちゃ美術館」の入館料助成を行った。これらの木の良さを再確認し、暮らしに木を取り入れていくことで、地元木材関連産業の振興等にも取り組んでいる。

池田町は、各地区に森林整備協議会があり、以前から活動をしている。令和6年度に、以前から地区要望のあった移動式樹木破砕機1台を購入し、各地区森林整備協議会に貸出して、枝葉処理も併せて行うようにした。破砕機は、最大処理径150mm(軟質材)まで対応でき幅広い整備活動につながっている。

森林資源の有効活用や森林環境税等の社会情勢の変化を踏まえ、森林・林業に関する市民の関心を高めることを目的に、「ながの森林・林業フェア」を開催した。
フェアでは、親子で参加できる体験コーナーや高性能林業機械の展示・デモ、クイズラリーを実施しみどり豊かな会場全体を回れるようにした。
この結果、子育て世代の大人と子どもに、森への関心を高めることができた。(アンケート結果で「関心がある」「少し関心がある」との回答:83%)。
また、森林・林業に関するパネル展示や、林業機械のデモを通じて、林業関係者が山を守り活用していることをPRできた。

森林経営計画の策定促進や、適切な経営管理が行われていない森林の整備に向けて、リモートセンシング技術を活用した
森林境界明確化事業を行い、効率的な集積・集約化を進めることができ、施業までの時間を短縮できた。
また、空中写真や微地形図を用いた森林の境界明確化は、不明確になっていた森林の境界や所有者を整理することができ、意向調査をもとに森林経営計画の策定につながった。
市町村が県外自治体と連携して森林環境譲与税を活用した取組みをご紹介します。
県内市町村の県外自治体との連携事例(PDF:1,474KB)
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| (としまの森) |
東京都豊島区との交流事業として「としまの森」整備事業を実施。区と森林整備に関する協定を締結して区の費用負担で間伐、作業道開設を実施。豊島区は長野県「森の里親促進事業」CO2吸収評価認証制度によるCO2吸収量承認を受けています。
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| (おもちゃの贈呈) |
平成5年に愛知県日進市と森林資源の培養などを目的として、「平成日進の森林」の分収造林に関する協定を締結。令和3年から日進市の譲与税を利用した森林管理を開始。令和4年、30周年の節目を記念に、両自治体の小学1年生にヒノキの箸を入学祝として贈呈、公立保育園10園にもおもちゃを贈呈しました。