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更新日:2023年1月31日

化学物質過敏症のない長野県について

ご意見(2022年12月26日受付:Eメール)

私は化学物質過敏症です。
化学物質から避難するため、就職を諦めたり、引っ越しを余儀なくされる等、日々の暮らしの中で生きづらさを感じています。

街では洗濯の匂い、回覧板や区費の領収証やお金等からは消臭剤や芳香剤の匂いがします。それによって吐き気、頭痛、食欲不振、立っていられないめまい等の発作が出ます。
方向感覚を失い、その場から逃げられなくなり、酸欠の苦しさから死の恐怖を感じた事があります。

商業施設ではアルコール消毒に反応し、吐き気、腹痛、下痢等の発作が出るので生活用品の買い物が困難です。
食品添加物や食材トレー等の包装資材から発する物質や慣行農法の野菜を食べる事で、胃痛や嘔吐、体温低下、下痢、食欲不振が起こるため、食材や調味料は全て高価なオーガニック品を選ぶ他ありません。仕事に就くことができない事もあり経済的に困窮しています。

農地の近くでは農薬、化学肥料、除草剤などから、全く動けなくなるほどの脱力、呼吸困難、思考停止、頭痛、目のかすみ、喉の痛みなどが起こります。
農薬を扱った直後の人に接近され、着衣から発散する成分で危険な状態になった事があります。その人が話しかけているのに言葉が理解できませんでした。全身が震えて倒れ、胸に酸素が入って来ない感覚に、本当に今ここで死ぬかもしれないと思いました。その人はなんとか手助けしようとしてくれたらしいのですが、息が苦しくて「近づかないでほしい」と言葉を発することができなかったのです。

この夏は農薬散布日を把握し避難できたらと考え、市町村・県庁・農協に問い合わせましたが、どの機関でも「詳しい事はわかりません」という対応でした。
小規模だったりドローンを使って個人的に使用される農薬を公的機関では把握しきれない。けれど、養蜂や養鱒業者等には損害を避けるため事前告知することになっている。などと言われました。
私は人です。蜂や鱒ではないですが、生活の質を考えると損害を受けているのではないでしょうか?

空気や水に混じって目に見えない有害な化学物質は、いつ、どこで吸い込むかわかりません。どこに逃げたら良いかもわかりません。化学物質過敏症を発症した人達は誰もが常に怯えています。
人がいる場所を避け他人が近づくと香害を恐れて逃げます。そして親しかった友人、親兄弟やパートナーですら、自分を介して有害化学物質に被曝させてしまうのではないか?と考えて距離をとります。
このようにしてどんどん世の中から孤立します。

以上の実体験から以下3点を要望します。

要望1
県内には化学物質過敏症を診断できる医療機関がありません。一日も早く県内に専門の医療機関を設置してください。
発症者は公衆トイレの利用や食事、排気ガス、人混み等が大きな障がいになるので遠くの医療機関を受診することが困難です。

要望2
有機農業の促進と、やむを得ず農薬を使用する場合に周辺への告知を使用者がするよう徹底をお願いします。危険を前もって知ることで避難等できるようにしてください。
慣行農家が農薬・化学肥料・除草剤等の使用を止め、有機農業に移行しやすい仕組みを作ってください。有機農業が増えれば農業地域の空気や水、土壌がきれいになり地域全体の環境が良くなります。
農薬の危険に一番晒されているのは農家さんです。

要望3
化学物質過敏症に障害者手帳を発行し、利用できるサポートを充実させてください。
発症者は長期間寝たきりになったり、引きこもり状態の生活を余儀なくされ、世の中から孤立しています。公的な支援が必要です。
化学物質過敏症の医療費は保険適用されない事が多く、医療機関は化学物質がたくさんあるので医療サービスを受けることも困難です。

全国の化学物質過敏症の人達から聞き取った長野県のイメージは、きれいな空気と水、食べ物が美味しく、美しい自然が豊かな県でした。
その憧れから、長野県に移住したものの、長野県には長野県の化学物質があり、打ちのめされ、諦めて出て行った人も少なくないのです。

最後に、私の介護をしてきた夫の体験を紹介します。

「今死ぬかもしれない」と覚悟したことがこの2年間で5回あったそうです。
目は見開いているのに何も見ていなかった。だんだん瞳孔が開いて身体が小刻みに震え、呼吸が浅く小さくなる。呼び掛けに反応しなくなり、手がどんどん冷たくなった。
このまま一言も発しないまま逝ってしまうと感じ、ただ手を握っていることしかできなかった。

半日以上そうやって手を握っていてくれたそうです。

回答(2023年1月6日回答)

長野県健康福祉部長の福田雄一、農政部長の小林安男と申します。
「県民ホットライン」にお寄せいただきました「化学物質過敏症のない長野県に」に関するご要望について、お答えします。

この度は、化学物質過敏症に悩まれている立場から貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。日常生活全般にわたり様々な困難に直面していることを改めて拝読し、今回、要望をお寄せいただいた背景も十分理解し、そのお気持ちを受け止めているところです。

まず、要望1の専門の医療機関の設置についてですが、化学物質過敏症につきましては、病態や発症のメカニズムが未解明な部分が多く、検査方法や診断基準、治療法が確立されていないところです。
また、専門医を認定する制度等もないことから、現在のところ、化学物質過敏症に特化した医療機関を設置することは難しい状況です。
県としましては、今後も国の関係省庁等における研究の動向や具体的な診断・治療法の前進など、今後の展開を注視するとともに、多くの方々に化学物質過敏症の存在を知っていただき、実際に苦しまれている方への理解や配慮をいただけるようホームページ等による周知・啓発に取り組んでまいります。

次に、要望2の有機農業の推進と農薬使用時の周辺への告知についてです。有機農業は、農業の自然循環機能を増進し、農業生産に由来する環境への負荷を低減する栽培方法であることから、本県では環境にやさしい農業の一つの形態として位置づけ、平成21年に「長野県有機農業推進計画」を策定し、5年ごとに計画を見直しながら、有機農業の推進に取り組んでいます。
有機農業へ移行しやすい仕組みづくりについては、有機農業推進専任担当を設置し、有機農家や有機農業に関心のある生産者、消費者、流通業者等の交流、学習の場(「長野県有機農業推進プラットフォーム」)の開設、情報交換会や勉強会の開催、SNSを活用した情報共有などに取り組んでおります。今後も引き続き、有機農業に移行しやすい仕組みづくりに努めてまいります。
農薬使用時の周辺への告知については、市町村やJAグループ等と連携し、農薬を使用する者に対し、農薬散布の目的や日時、場所、農薬名などの具体的な農薬散布情報を周辺住民へ事前提供するようお願いしているところです。特に農薬の使用が多くなる6月から8月までの間と、翌年の栽培に向けて農薬の保管を行う11月には「農薬危害防止運動」を実施し、農薬安全使用についてポスターの掲示、広報誌への掲載、有線放送などの様々な方法を通じて関係者への周知を行い、農薬の適正使用に係る啓発を行っています。今後は、こうした取組みに加えて、引き続き、関係機関と連携しながら、農薬の安全使用に係る研修会などの機会をとらえて、化学物質過敏症等の症状を抱える方もいることを踏まえ、改めて事前の告知の必要性とその周知徹底に努めてまいります。

次に、要望3の化学物質過敏症に障害者手帳を発行することについてですが、障害者手帳には、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳等がございます。身体障害者手帳は、疾病により認定されるということではなく、身体の部位に障害認定基準に該当する障がい(将来にわたり回復する可能性が極めて少ない状態)をお持ちの方を対象としております。また、うつ病等の精神疾患を併発され、長期にわたり日常生活または社会生活への制約が生じる場合には、精神障害者保健福祉手帳の対象となる場合があります。どちらの手帳も、申請には定められた診断書が必要となりますので、市町村の窓口へご相談ください。
なお、化学物質過敏症で医療機関を受診される場合、めまいや頭痛、腹痛等の症状に応じた診療科への受診や治療薬の処方につきましては、医師の判断で保険診療とすることができます。
また、日本年金機構では、化学物質過敏症で療養中の皆様へ向けて、国民年金・厚生年金保険による障害年金のご案内をホームページ上にて行っております。障害年金に関しましては、お近くの年金事務所や年金相談センターへお問合せください。

以上、ご要望への回答とさせていただきますが、ご不明な点がございましたら、要望1及び3(化学物質過敏症に関すること)については、健康福祉部保健・疾病対策課長:西垣明子、担当:がん・疾病対策係、要望2(有機農業の促進と農薬を使用する場合の周辺への告知に関すること)については、農政部農業技術課長:小林茂樹、担当:環境農業係までご連絡くださいますようお願い申し上げます。

【問合せ先:健康福祉部/保健・疾病対策課/がん・疾病対策係/電話026-235-7150/メールgan-shippei(あっとまーく)pref.nagano.lg.jp】

【問合せ先:農政部/農業技術課/環境農業係/電話026-235-7222/メールnogi(あっとまーく)pref.nagano.lg.jp】

 

(分野別:保健・医療・福祉)(月別:2022年12月)2022000893

 

お問い合わせ

企画振興部広報・共創推進課

電話番号:026-235-7110

ファックス:026-235-7026

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