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更新日:2015年11月20日

知事会見(平成27年(2015年)11月20日(金曜日)11時01分~11時40分 会場:県庁)

項目

知事からの説明

取材者からの質問

  1. 信濃美術館の改築について(1)
  2. 県立武道館の設立検討について
  3. 公共事業と県の財政状況について
  4. コンプライアンス推進の取り組みについて
  5. 信濃美術館の改築について(2)

本文

知事からの説明

 長野県神城断層地震発生から1年、部局長会議を開催(平成27年11月県議会定例会に提出する予算案・条例案、子ども支援センターの相談状況について)、G7長野県・軽井沢交通大臣会合開催300日前記念セレモニー開催、「しあわせ信州移動知事室」の実施(佐久地域)、軟らかく保存性を高めたフリーズドライ食品の開発について

長野県知事 阿部守一
 それでは11月20日の会見を始めさせていただきたいと思います。私の方から冒頭、部局長会議の項目を1本と、全部で5点ほどお話をさせていただきたいと思います。
 まず初めに神城断層地震についてであります。明後日の22日で、神城断層地震の発生からちょうど1年という形になります。大勢の皆さま方が負傷され、また住宅等が大きな被害を受けられたわけであります。被災された皆さま方に改めて心からお見舞いを申し上げたいと思います。今回、幸いと言っていいのだと思いますけれども、あれだけの規模の地震で倒壊家屋が多数発生する中で、直接的にお亡くなりになられる方がいらっしゃらなかったということは「白馬の奇跡」とも称されていますけれども、私は平素からの備え、地域の支え合いの力だと思っています。この神城断層地震から得られた教訓、地域コミュニティーの絆の大切さといったようなことも含めてこれからの災害対応にしっかり役立てていきたいと思っています。また復旧・復興については、「神城断層地震復旧・復興方針」、発災直後から県としての取り組み方針を地元の皆さま方にお示しをする中で、一緒になって復旧・復興に取り組んでまいりました。公共施設の復旧、被災者の生活再建、あるいは被災地が観光地でもありますので、風評被害の防止を含めた観光のPRということで取り組んでまいりました。また被災者への住宅再建等のための見舞金の支給であったり、公営住宅の建設に当たっても県単独で補助率をかさ上げして補助するというような取り組みも行ってまいりました。1年経つわけでありますけれども、復旧・復興は現在進行形、途上の状況という認識でございます。これからも地域の皆さん、そして関係市町村の皆さんと力を合わせて、復旧・復興がしっかりと着実に前進するように県としても取り組んでまいります。また、これから雪のシーズン、復旧・復興にとっては課題の側面もありますが、観光の面では、これから大勢の皆さま方にお越しをいただかなければいけない時期になってまいります。「HAKUBA VALLEY(ハクババレー)」ということで、しっかりと世界水準の山岳高原観光地づくりを進めることと併せて、大勢の皆さま方にお越しいただくことができるように観光振興に努めてまいります。22日には、白馬村におきまして神城断層地震復興祈念行事が執り行われることとなっておりますので、私も参加をさせていただき、地域の皆さま方と共に復興を期していきたいと考えています。
 それから大きな2点目でありますけれども、先ほどの部局長会議で議論されたいくつかの点についてのご報告でございます。まず初めに補正予算案、それから条例案が先ほどの部局長会議で決定されました。補正予算案につきましては、全体で1億4,000万円余を今回計上させていただくことに致しました。昨年のように災害が相次いだ年とは違って今年は大きな災害もなく、また国の経済対策による基金積み増し等の事業もないことで小規模な補正になっております。今回の補正予算案の特色、4つポイントに掲げてございますけれども、一つは信州の山の魅力の発信ということで、登山安全条例の制定、これは県議会にお願いするわけでありますけれども、それから国民の祝日「山の日」記念全国大会。山に関連した取り組みをかなり「信州 山の日」制定後進めてきておりますので、改めてこうしたイベント等に関連させて信州の山の魅力を発信していきたいと考えております。また、福祉のまちづくり条例、今回改正を予定しておりますが、改正に併せて「信州パーキング・パーミット制度」の導入等を行ってまいります。また、子育て応援の観点で「子育て支援パスポート」の全国展開への参加、さらには来年の観光シーズンに向けた道路舗装等の修繕の前倒しの実施、こういうことを盛り込んでまいります。山についてはこれまでも各部連携してさまざまな取り組みを進めてきたところでありますけれども、登山安全条例が制定された後には、広報、それから安全な登山のためのガイドラインの策定等をしっかり進めていきたいと思っております。また、国民の祝日「山の日」記念全国大会に関しましては今回準備経費を計上させていただいて、実行委員会の立ち上げと全国大会の成功に向けた準備を本格化させてまいります。また、「障がい者等にやさしい社会づくり」、まちづくり条例の改正については、かなり時間をかけて丁寧な検討を行ってきたところでございます。障がいのある方、あるいは建築士の皆さん等で構成します福祉のまちづくり会議においての検討、あるいは障がい者団体、事業者団体の皆さま方との意見交換、こうしたことを踏まえて、県独自の整備基準を追加もさせていただいております。補正予算におきましては、条例改正の内容を周知するためのパンフレット、あるいは条例に合わせた建築を行っていただけなければいけませんので、事業者向け設計マニュアルの作成、あるいは障がい者等のための駐車区画の適正利用を促進するための「信州パーキング・パーミット制度」導入に要する経費、こうした経費を計上しているところでございます。障がい者、高齢者、あるいは妊婦の方々、こうした方々が安心して暮らせる長野県づくり、条例改正を機にさらに一層進めていきたいと考えております。それから子育て応援の関係では、国が来年の4月から「子育て支援パスポート」全国展開ということを打ち出しておりますので、それに併せて協賛店舗の募集、あるいは事業の周知等必要な準備を行ってまいります。共通マーク入りのパスポートあるいは啓発用のポスター等を作製していきたいと思っております。それから、「県民生活の安全・安心の確保」としての予算ですが、県単独の災害復旧費を計上したほか、先ほど申し上げましたように、道路の修繕、区画線の塗り替えを推進するための債務負担行為を設定致します。これまでも冬場に除雪等で不鮮明となった道路の区画線、あるいは横断歩道の塗り替えに、年度当初から着手することができるように債務負担行為の設定を行ってきておりますが、今回は、冬期の凍結等で劣化した道路舗装の修繕に関しましても年間事業量の7割程度債務負担行為を設定して、早目に事業に着手できるようにしてまいります。年度の切れ目なく事業を進めていくということと同時に、事業の平準化を図ってまいりたいと思っております。春夏の観光シーズンに向けて快適な道路環境の整備に着実に取り組んでまいります。また、このほか「その他」ということで「全国都市緑化フェア」平成31年度の本県開催に向けた基本構想の策定ということで、これも債務負担行為を設定して準備作業を進めていきたいと考えております。それから条例についてでありますが、今回一部改正条例案9件、新設条例案2件、廃止条例案1件、計12件の提出予定でございます。主なものを申し上げれば、一つはマイナンバー制度の導入に伴う特定個人情報の保護、利用、提供について必要な事項を定める等関連の条例改正がございます。それから、先ほど申し上げた「福祉のまちづくり条例の一部を改正する条例案」、これについてはバリアフリー法に基づく県独自の整備基準を定めるほか、障がい者等のための駐車場の適正利用の推進について定めてまいります。それから「登山安全条例案」につきましては、県、登山者、山岳関係者等それぞれ果たす役割、責務、こうしたものを定めて登山の安全対策を総合的に推進していくためのものでございます。安全に登山を楽しんでいただく環境をつくることによって、観光の振興にもつなげていきたいと考えております。項目が多いので、駆け足でのご説明で恐縮でありますけれども、詳細な内容等についてはそれぞれ担当部局の方に取材をいただければ大変ありがたいと思っております。それから、今回の県税条例の改正、部局長会議でも産業労働部長の方から話をしてもらいましたけれども、地方創生に関連して企業誘致を促進するための県税条例の一部改正を行っています。東京23区、あるいは県外からの移転事業者、それぞれに対して移転型、拡充型として事業税、不動産取得税、固定資産税の軽減を図るものでございます。23区から移転をしてこられる事務所、研究所、研修所で、従業員の数が10人以上増加、中小企業の場合5人以上増加し、かつ増加する従業員数の過半数が23区からの転勤者である場合には、事業税、不動産取得税、固定資産税について、事業税、固定資産税については3年間95%を減免すると、不動産取得税は1回限りの課税でございますので、課税の際に95%を減免するという内容のものであります。国が、例えば法人事業税、不動産取得税、固定資産税、減収補填(ほてん)の措置をとっておりますが、例えば事業税であれば、国の制度通りでいけば、1年目2分の1、2年目4分の1、3年目8分の1ということで、毎年軽減される率が減っていくわけでありますし、私どもの今回の措置に比べると非常に弱い軽減措置になっているわけでありますけれども、長野県としては、この本社機能の移転を積極的に進めていきたいという観点から、先ほど申し上げましたように国の措置を大幅に上回り、そして現時点で私どもが把握している限りでは、他県の軽減措置と比べても、最も軽減率が高い取り組みとして、今回の条例をお出しをしていきたいと思っています。ぜひこうした措置を有効に活用して、積極的な企業の移転に努めていきたいと考えております。それから、同じく部局長会議での報告事項の一つでありますが、子ども支援センターの相談状況についてであります。子ども支援条例を制定していただいて、この4月から、この条例に基づいて子ども支援センターを設置したところであります。相談受け付けをしてきているわけでありますけれども、10月末までの相談件数が全部で843件と、かなり多くのご相談をいただいております。内訳としては児童本人、子どもからが618件ということで、子どもからの直接的なさまざまな相談のウエートが高くなっています。相談内容としては、交友関係が一番多く、そのあと学校、家族とこうした項目が続いているわけであります。子ども支援センターはさまざまな支援相談機関のハブ機能を果たしていこうと考えておりますので、例えばいじめの相談については教育委員会の学校生活相談センターにつなぐという対応をしてきておりますし、また虐待の相談については児童相談所、あるいは市町村と連絡を取って、支援に結びつくよう対応をしてきているところでございます。また、子ども支援委員会も設置しておりますが、個別の救済申し出案件は今の時点ではありませんけれども、センターの運営についての協議、あるいは子どもたち等から寄せられた相談についてのご助言等をいただいているところでございます。今、子どもを性被害から守るための取り組みについて、県民の皆さま方とも意見交換をしていますが、やはり子どもたちが相談できる場所というのがかつてと比べると相対的に、例えば地域とか家族の中でも少なくなってきているのではないかという印象を受けております。子ども支援センターをしっかりと有効に活用して、子どもたちが本当にいろいろな悩みを打ち明けて、その解決につながるように取り組んでいきたいと思っておりますし、また、民間のさまざまな子どもの支援をされている皆さん、あるいは相談機関の皆さんともしっかり連携をしてこの子どもの支援、条例の趣旨をしっかり踏まえて、これからも運営をしていきたいと思っています。
 それから部局長会議の話は以上とさせていただきまして、大きな3点目でございますけれども、G7の交通大臣会合についてでございます。プレスリリース資料をお配りしているかと思いますが、300日前記念セレモニー、それからPR活動を行っていきたいと考えております。11月29日に記念セレモニーを開催していきたいと思っております。交通大臣会合、来年の9月の24日、25日の開催予定になっているわけでありますけれども、開催準備を加速させていくキックオフということで、県として全県で作ったG7の交通大臣会合長野県推進協議会、それから軽井沢町の2016年サミット交通大臣会合推進軽井沢町町民会議の共催で行ってまいります。会場は旧三笠ホテルでございます。国の重要文化財に指定されている純西洋風建築物ということで、戦時中には外務省の軽井沢出張所としても使用された建物であります。国際色豊かな軽井沢を象徴する建物であります。ここで開催をしたいと思っております。ご来賓には国土交通省から奈良平(ならひら)国際統括官にもご出席をいただきます。また軽井沢高校美術部の皆さんがデザインし、軽井沢町の町民会議で制作をされたカウントダウンボードのお披露目もこの場で行っていきたいと思っております。またセレモニー終了後には、この会合のPRを軽井沢駅において行ってまいりたいと思います。国においても、交通大臣会合の準備を本格化しつつあると伺っているところであります。11月17日付けで国土交通省内に副大臣をトップとする「G7長野県・軽井沢交通大臣会合準備会議」が設置されたと伺っております。国土交通省ともしっかりと連携をしながら準備を行ってまいりたいと考えております。
 それから4点目でありますけれども、これもプレスリリース資料をご覧いただければと思いますが、「しあわせ信州移動知事室」を来年1月18日から21日までの4日間、佐久地域で開催したいと考えております。農村地域、それから都市地域が混在している佐久地域でありますけれども、昨今、新幹線等を利用した都市部との交流も活発化している地域でもございます。市町村長の皆さん、あるいは県民の皆さま方としっかり対話をする中で、地域の課題を共有して一緒に方向性を考える機会になればありがたいと思っております。小海線が全線開通80周年を迎えるということでありますので、小海線にも乗車したいと思っております。具体的な日程、内容については現在調整中でございますので、詳細が決まれば、また後日お知らせをしていきたいと思っております。
 それから最後5点目でございますけども、しあわせ信州食品開発センターの取り組みのご紹介でございます。この4月にしあわせ信州食品開発センターを開設したわけでありますけれども、製品の開発から試食まで一貫して応援していこうということで取り組んできております。今回は、そうした中で製品化がされましたフリーズドライ食品、アスザックフーズ株式会社で開発されました食品についてご紹介をさせていただきたいと思います。アスザックフーズ株式会社は以前からお湯を注ぐだけで食べられ、かつ長期保存が可能な乾燥食品を製造されていらっしゃいますけれども、かむ力が弱くなられる高齢者、あるいは子どもさん、幼児でも食べられ、食べやすいように根野菜を軟らかく加工したフリーズドライの惣菜を今回開発されたところでございます。単に栄養をとるというための食事ではなくて、食べることが生きがいと感じられる食品作りを進めていただいているところでございます。今回の取り組みの経過について、しあわせ信州食品開発センターの横道所長から説明をしてまいりますので、お聞き取りをいただきければと思います。よろしくお願いします。

工業技術総合センター所長 横道正和
 工業技術総合センターでは、ただいま知事の話にありました通り今年4月にしあわせ信州食品開発センターを長野市にオープン致しました。ここでは食品の試作開発支援機能を強化しまして、長野県の強みを生かした新しい高付加価値商品づくりとブランド化向上の支援を行っております。午後に発表するアスザックフーズ株式会社さまの取り組みは、しあわせ信州食品開発センターでの共同研究の成果でございます。高齢者や幼児などかむ力が弱い方にも軟らかくて食べやすい、そして何よりおいしい食品を作りたいということから共同研究を進めまして、このたび「根野菜のやわらか煮」として商品化ができたわけでございます。軟らかい中にも素材の食感を残した、お湯で簡単に調理できるというフリーズドライ製品です。この製品はフリーズドライにするための真空凍結乾燥という工程の前に、ゴボウですとかレンコンといった硬めの野菜、これを酵素というもので処理することで、食感を残したまま軟らかく仕上げることができたわけです。工業技術総合センターでは、この食感を最適な状態にするために食材の硬さや組織の評価等を行いました。乾燥食品のため長期保存が可能で、しかも軽量なので持ち運びが楽にできるといった特徴がございます。本日午後の記者会見では、製品開発の経緯や特徴の説明がございますし、また、実際の製品の展示、そして試食も行います。食べやすさや食感も体感できますので、ぜひご参加ください。以上でございます。

長野県知事 阿部守一
 私の方からは以上でございますのでよろしくお願い致します。

取材者からの質問

 1 信濃美術館の改築について(1)

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 大きく2点お伺いしたいんですが、最初に信濃美術館の整備検討の計画と県立武道館の関係と県財政の関係についてお伺いします。11日に県の信濃美術館の整備検討委員会が全面改築の方針を出されて、担当課とすれば大筋この方向でいくというのも出されたんですが、現時点で知事として全面改築という部分についてのお考えというのはどのように考えていらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 信濃美術館は非常に建物としては老朽化をしてきていますし、関係者のお話を聞くと非常にバックヤード等も使いにくい状況だと思っていますので、いずれかの段階でしっかりと建て替えをしていかなければいけないと思っています。今、検討委員会で検討してもらっていますので、その内容を踏まえて対応を考えていかなければいけないと思っています。

 2 県立武道館の設立検討について

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 もう1点、6日の県教委の方の県立武道館のこれは検討委員会の方が座席数が1,500から2,000、かなりの規模の県立武道館の規模というのを示して、めどとすれば2020年の東京五輪・パラリンピックまでの完成を目指すという方向が出てきているんですが、こちらの方については、着工時期も含めてどのようにお考えになりますか。

長野県知事 阿部守一
 例えば、長野県いろいろ財政的に大きな予算を投入して取り組まなければいけない事業がさまざまありますので、そうしたものを全体として勘案しながら、財政的な観点の検討というものは十分行った上で取り組みを進めていくことが必要だと思っています。

 3 公共事業と県の財政状況について

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 これまでの経緯ですと、信濃美術館については知事が副知事に就任された2001 年に田中康夫知事が凍結方針を示していて、武道館については2008年に村井知事が財政上の理由から慎重な姿勢を示していらっしゃる。当時の財政状況考えた場合に、今と何か違う、これからの先を見越した場合に何か財政状況の改善傾向というのが見込めるという試算があるのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 財政状況についてはこの場でも申し上げてきていますけれども、建設事業債については、残高はずっと減少傾向であります。また、それに伴って、当然のことながら公債費関係の財政指標も低下をさせてきています。これは県債の発行抑制に取り組んできた結果でもあると思っています。また、併せて臨時財政対策債については、本来交付税に算入をされる全額算入ということでありますけれども、しかしながら財政的な観点で少なくとも県債残高が総体として見れば、臨時財政対策債も加えた形で見ていかざるを得ない部分がありますが、これについてもやっとピークアウトする見通しが見えてきたという状況であります。公共事業、あるいはさまざまな施設については、お金のことだけを考えればやらないという選択肢があるのかもしれませんけれども、しかしながら、私は財政の健全化とか予算というのはあくまで手段、手法でありまして、目的はやはり県民生活をどうやってレベルアップさせるかということでありますので、そういう意味で私はさまざまな課題、あるいは要望、そういうものから逃げずに向き合う、子どもを性被害から守るということもそうでありますし、さまざまな公共事業も必要なものについてはしっかりとやるという姿勢で取り組まなければ長野県の価値向上、発展はないと思っています。ただ、今申し上げたように、他方で財政規律、あるいは財政状況というものも十分勘案しなければいけないと思っていますので、主客転倒、目的と手段が逆転したような議論の立場は私は取りません。そういう意味で、いろいろな必要な事業は財政状況をしっかり見極めながら取り組んでまいりたいと思っています。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 関連して、例えば11月の補正予算のところにも道路の修繕に債務負担行為で18億円ぐらい盛っていて、これはもう指摘するまでもないお話だと思いますけど、新しく公共施設を作っていくということはランニングコストも掛かるでしょうし、例えば信濃美術館については1966年の開館で、開館して50年で、例えばあと数年以内に着工した場合に2000年代後半にまた建て直しということになった場合は、先日の2060年の人口試算で160万人にまで人口減少するんだと、将来負担を考えた場合に公共施設を必ずしも造り続けることがいいのか、それは当然知事もお考えだと思うんですけど、将来のことを見越した上で、さらに負担を考えた場合、そういった観点から見た場合いかがですか。

長野県知事 阿部守一
 将来の負担を考えた場合に必要かどうかというのは、先ほど申し上げたように、財政状況をしっかり勘案した上で検討しているということを申し上げているわけでありまして、今のご指摘を極論すれば県は何も事業をしないと、例えば非常に消極的な財政運営をして、何もしなければ財政は、税収は国が基本的な制度を決めているわけでありますので、税収は一定額を保証されていると、しかしながら、創意工夫もしないで、何もしなければ財政の健全度は確実に上がります。それが目的ではないだろうということを私は申し上げているわけでありまして、そういう意味で、県民生活の向上ということを勘案しながら、目的としながら財政の健全性をどう維持していくかという観点でしっかり取り組まなければいけない問題だと思っています。

 4 コンプライアンス推進の取り組みについて

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 もう1点別の質問で、監査委員の方から指摘があった、先ほどの部局長会議でも報告がありましたけど、定期監査の報告の関係で、これはコンプライアンスの関係と情報公開という観点からお聞きをしたいんですけど、例えば今回指摘事項でいくつかされている中の二つ目のところで、農政の関係ですけど。補助金の事務処理が適切でないものということで、利子の過払いの事案なんですけど、担当課からご報告を受けていらっしゃるかどうかですけど、事案自体は昨年11月に上伊那地方事務所で発覚していて、今年2月に解明をし始めていて、3月には概要が分かっているはずです。報道機関に公表したのは10月23日、なぜそこまでかかったかというと、9人2法人に対して返還を求めていたので、返還していただけるかどうかの意向がまとまるまで発表しなかったという状況です。問題発覚した後にすぐ速やかに発表しないというのはいかがなものかというのが1点あるのと、こちらでも指摘されている大北森林組合の問題で、県の内部で、昨年の4月に北安曇地方事務所の方から不正があるんだと問題が県の内部であったにも関わらず、どちらかといえば隠蔽(いんぺい)とは言わないですけど、間伐の処理の方を優先させて実際の解明が12月にかかっていると、何か問題というか事案が発表したときに内部的な処理を優先して、対外的な発表もしないという体質が非常に見受けられる気がするんですが、今はいろいろ進めていらっしゃる意識改革とか、コンプライアンス推進の中で情報公開というか、外に問題があったときに積極的に出していこうと、そういう観点で何か進めていかれる取り組みというのは考えてらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 全く私も同感です。農政部についても公表が遅い、報告が遅いということを私申し上げています。今ご指摘があったように、コンプライアンスを推進していく上で、問題の事案が了知されればやはり速やかに対応すると。それは公表が適切じゃないときも場合によってはあるかもしれませんけども、しかしながら、公表のやり方、時期、そうしたものについてもしっかり考えて対応しなければいけないと。これはもう言うまでもない話だと私は思っていますので、そういう意味で、コンプライアンス推進の観点では、まずコンプライアンス推進室に情報をしっかり集めるということで今やっていますので、今ご指摘あったような公表の仕方等も含めて改善しなければいけないと思っています。

 5 県信濃美術館の改築について(2)

信濃毎日新聞 島田隆一 氏
 今の信濃美術館の関連で、一つ、二つお伺いしたいんですが、改築という方向が、もしなっていくとして、中身について、美術館の持つコンセプトですとか、あるいはどういうふうに県民に使われてほしいとか、そういった中身の検討にこれからなっていくかと思うんですが、そこについて知事のイメージ、あるいは今考えていることがあれば教えてください。

長野県知事 阿部守一
 今、検討委員会で検討してもらっているので、私があまりどうこう言う段階ではないと思いますけれども、今、信濃美術館は善光寺に隣接する地域にありながらなかなか大きな存在感を発揮できていないのではないかと正直感じています。そういう意味では、周辺が長野市の公園になっていますので、公園と一体として考えて、多くの皆さんが集い、憩えるような場所にしていくということが大変重要だろうと思っておりますし、また長野県は美術館、博物館の数が非常に多いという中で、県立の美術館なわけでありますから、そうした単独の館という観点だけではなくて、やはり全県の文化芸術、こうしたことも視野に入れたコンセプトをしっかり立てていくことが重要だと思っています。

信濃毎日新聞 島田隆一 氏
 検討委員会でも、善光寺側の庭園との一体的なというのがありまして、おっしゃるように、もしそうなっていけば人の流れといいますか、観光への影響が出てくると思うんですが、そういう意味でお寺側ですとか、あるいは長野市側とこれからどういうふうに議論を進めていくか、あるいは一緒に進めていくかとか、その辺の考え、姿勢についてはいかがですか。

長野県知事 阿部守一
 一緒に考えていかないと、特に長野市とは周辺整備と一体で考えていかなければいけないわけでありますので、十分協議をした上で長野市にとっても、長野県にとっても、望ましい形をぜひ見いだして一緒になって取り組んでいきたいと思います。

信濃毎日新聞 島田隆一 氏
 まちづくりということにも関係してくるので、一般の市民の方といいますか、そういった方との連携についてというのはどのようにお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 今、美術館のコンセプトを検討しているところでありますけども、関係の皆さま方からもいろいろ意見が出ていると承知していますので、できるだけさまざまな皆さんのご意見を踏まえた上で、最終的な方針は決めていく必要があると思います。

長野県知事 阿部守一
 どうもありがとうございました。

お問い合わせ

企画振興部広報・共創推進課

電話番号:026-235-7054

ファックス:026-235-7026

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