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更新日:2025年3月31日
長野県知事 阿部守一
それでは4月10日の会見を始めさせていただきます。私の方からはまず冒頭4点お話をしたいと思います。
まず1点目でありますが、今日の午前中、私も参加をしてまいりましたが、征矢野ウッドパーク、信州F・POWERプロジェクトの木材加工施設の竣工(しゅんこう)式が行われました。しあわせ信州創造プランの中で、環境・エネルギー自立地域の創造ということで位置付けているわけでありますけど、長野県、森林県ではありますけども、まだまだ林業の活性化が必ずしも十分でないという認識の中で、このF・POWERプロジェクトを進めてまいりましたが、この木材加工施設については、今日竣工ということで、林業県に向けて大きな一歩を踏み出すことができたと考えています。日本全体の木材需給率が3割を切る、一番最低のころは2割を切ってるところから、最近徐々に上がってはきていますけども、競争力が高い林業、木材産業育てていく上では大変重要な施設だと思っております。私も直接今日施設を見させていただきましたけど、非常に最先端の加工施設と考えております。長野県も引き続き林業の再生に向けてしっかりと取り組んでいきたいと思いますし、昨年の選挙の公約の中でも「木と森の文化」の創造ということも打ち出しておりますので、この木材加工施設、そして、これから建設されていくバイオマス発電施設、F・POWERプロジェクトがぜひ長野県の森林林業の再生、そして環境エネルギー自立地域の創造に結び付く中核施設として発展していくことを心から期待しているところであります。征矢野建材の櫻井社長をはじめ、プロジェクト関係者の皆さま方のこれまでのご努力に改めてこの場をお借りして敬意と感謝を表したいと思います。私も先頭に立って森林林業の再生に努めていきたいと思っています。
それから2点目でありますが、これも森林林業に関係する話でありますが、大北の森林組合の補助金の不正受給についての関連であります。大北森林組合の不適正な補助金の受給について、この度「大北森林組合補助金不正受給等検証委員会」を設置することと致しました。プレスリリース資料をお配りしていると思います。表記のメンバーにお願いをさせていただいたところでございます。この件につきましては、去る1月29日に第1報として公表したわけでありますが、これまで、総務部、会計局、そして林務部によります合同の調査班が内部調査を進めてきているところでございます。雪解けを待って始めた現地確認につきましても4月中には完了させる予定で、鋭意取り組んでおります。こうした県の内部調査の進捗(しんちょく)に合わせて、調査内容そして結果を専門的な知識経験をお持ちの方々の目で、中立・公正かつ客観的な立場で検証していただくということ、そして、それに加えて今後の同様な事件の再発防止についてご検討いただきたいと考えております。専門家の皆さま方のお知恵をいただく中で、この不正受給については確実な全容解明を図っていきたいと考えております。委員につきましては、法的な見地から県弁護士会会長高橋聖明(たかはしまさあき)弁護士にご参画いただきます。また、資金面では公的資金の不正について専門家でございます大久保和孝(おおくぼかずたか)公認会計士にお願い致します。そして長野県の林業について知見豊富な植木達人(うえきたつひと)信州大学教授、このお三方にお願いをしたところでございます。今後、第1回を4月15日(水曜日)に開催をさせていただき、調査班が行います現地確認の状況も踏まえて、5月中には委員会からの中間報告をいただきたいと考えております。大変重大な問題でございますので、県民の皆さま方からご理解いただけるような形で全容解明に努めていきたいと考えています。
それから3点目でございますが、これもプレスリリース資料をご覧いただければと思いますが、家庭的養護推進計画の策定についてでございます。そして、それに関連して特別養子縁組休暇、仮称でございますけれども、それの検討・着手ということでございます。まず、家庭的養護推進計画についてはお手元のプレスリリース資料に記載をしてありますが、さまざまな事情によりまして施設や里親の元で生活される子どもたちに対する施策の方向性を明らかにするために、県計画を今回初めて策定を致しました。計画期間は今年度から平成41年度までの15年間、長期のプランでございます。計画については5年ごと、3期(前・中・後期)に区分してそれぞれの期末ごとに進捗(しんちょく)状況を評価して必要な見直しを行っていくこととしています。この計画では施設や里親の元で暮らす、いわゆる社会的養護の必要な子どもたちができる限り家庭的な養育環境の中で心身共に健康で育つために目指すべき姿を示し、それに向けた整備目標を明示しているところでございます。社会的養護が必要な子どもたちの内、里親など養育者の家庭で育つ、いわゆる家庭養護の割合は現在長野県においては1割ほどに過ぎませんが、これを平成41年度には3分の1になることを目指して取り組んでまいります。児童養護施設や乳児院におきましては、グループケアなどによります小規模化、あるいは地域で生活するグループホームへの移行を進めると、より家庭的になることを目指していきます。また、ソーシャルワーク機能を高めて、地域の社会的養護の拠点となることを目指してまいります。この家庭的養護の推進については、ながの子ども・子育て応援総合計画に位置付けているものでございます。県としては児童相談所に配置した里親委託等推進員等によります里親制度の正しい理解の普及や、里親支援などの取り組みによりまして子どもたちの養育環境がより家庭的になるよう、計画に基づいた施策を進めていきたいと思っています。特に里親にご希望をいただく方々をもっと増やしていかなければいけないと思いますので、ぜひこうした家庭的養護、家庭養護の推進ということについてメディアの皆さま方にもぜひご理解をいただいた上で、こういう課題があるということをぜひ県民の皆さま方に伝えていただければありがたいと思います。そして、この家庭的養護推進計画との関連でもう1点、特別養子縁組休暇(仮称)としての新設検討を行ってまいります。この家庭的養護推進計画におきましては、特別養子縁組のための育児休暇制度の普及を盛り込んでいるところでございます。そこで、まず「隗(かい)より始めよ」ということで、県職員についてこの休暇制度を導入するよう検討を開始してまいります。特別養子縁組を行うに当たりましては、6カ月の試験養育期間を経た上で家庭裁判所が許可するという形になっていますが、現状では民間企業も私ども公務員も共にこの試験養育期間中の子どもについては育児休業の対象になっていません。そういう中で、今回この期間を対象に特別養子縁組休暇を作るべく、県として検討を行って具体化をさせていきたいと考えております。この試験養育期間を休暇制度として位置付けようというのは全国の都道府県の中で初めての取り組みでございます。ぜひ、まず県で実現をさせて、その上で県内企業の皆さま方にも同じような取り組みを、ぜひ一緒になって行っていただきたい。そうしたことを通じて長野県内に家庭養護が広がるように頑張っていきたいと思っています。この特別養子縁組休暇の制度の詳細等については今後検討を行ってまいりますが、職員団体と調整を経た上で必要な条例改正を行っていきたいと考えています。
それから4点目でありますが、ふるさと納税であります。これもプレスリリース資料にお配りしているかと思いますが、平成26年度の実績が取りまとまりましたのでお知らせを致します。件数につきましては前年の約1.8倍、6,205件、そして金額については前年の約1.3倍の8,759万円余のご寄付を頂戴致しました。大勢の皆さま方にご寄付を長野県に対して頂きましたこと、この場をお借りして改めて厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございます。振り返ってみますと、私が就任した時のふるさと納税、平成22年度の実績が40件、656万円という状況でありました。大勢の皆さまが長野県にお越しいただく、あるいは長野県のファンの方々が大勢いらっしゃる中で、こんなレベルではないだろうということで税務課を中心に頑張っていただいた結果、件数については155倍、金額については13倍に増やしてくることができました。今後もさらに長野県を応援いただくお気持ちをお持ちの皆さま方のこうした寄付を有効に使う中で、長野県のさまざまな取り組み、災害に強い長野県づくりであるとか自然環境の保全であるとか、そうしたことに役立てていきたいと考えております。今後、このふるさと納税、さらに伸ばしていかなければいけないと考えております。1つは銀座NAGANOを使ったPRを行っていきたいと思いますし、信州産の品物、お礼の品でありますが、今年度、平成26年度に比べて大幅にお礼の品数も増加をさせているところでございます。また災害を受けた木曽・大北地域を中心として体験型、宿泊型のお礼の品を充実させておりまして、物をお届けするだけではなくて県内にお越しいただくような仕組みも組み込んでおります。また、寄付しやすくする仕組みということで、民間のふるさと納税ポータルサイトの「ふるさとチョイス」というポータルサイトでありますが、ここを通じて長野県に対する寄付もできるように新たにさせていただいたところでございます。カード決済できるということで、非常にお気軽にインターネットからワンストップで申し込みから入金まで行えるような仕組みにしております。この「ふるさとチョイス」、まだ始めたばかりでありますけれども、4月7日までの1週間で既に1,000件を超える申し込みをいただいているところでありまして、今年度は平成26年度と比べてもさらに飛躍的に件数を伸ばしていくことができるのではないかと考えているところでございます。ふるさと信州寄付金、ふるさと納税制度については、制度的に今年度から控除限度額が約2倍になるといったようなこともあり、大勢の皆さま方が関心を持っていただいているところでございます。ふるさと信州寄付金の制度を使って長野県の良さというものをしっかりとアピールし、そして大勢の皆さま方にご支援をいただく中で、長野県の災害対策あるいは山岳環境の保全、こうしたことに力を入れて取り組んでいきたいと考えています。
私の方からは以上です。よろしくお願い致します。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
1点目は、大北森林組合の補助金不正受給について、検証委員会を設置されたという件ですけれども、これまで庁内の合同調査班で調査を進めてきたわけですけれども、当初からではなくてこの時期に第三者機関にも加わってもらうという判断に至った経緯、必要性について、ご説明願えますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず、県としてはこれまで総務部を中心として内部的な調査を進めてきたわけでありますが、一定程度県としての調査も進展してきたところでありまして、次のステップとしてそうした内容について専門家の目を通じて客観的な評価検証をしていただきたいと思っております。加えて、もう一つの目的として再発防止策ということも掲げておりますので、県としてこうした問題が再び起きることがないように、どのような取り組みをすべきかということも専門家の皆さまからご意見をいただき、取りまとめていきたいと考えております。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
調査状況につきましては、1月29日に先ほどおっしゃったような1報があって、その後は先日の3月に閉会した県会を含めて調査中であるというご説明でしたけれども、現状、一定程度進展したとのお話がありましたが、どういう状況でいらっしゃるんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは、まだわれわれとしても調査中でありますので、しっかりとまとめてご報告をさせていただきたいと思っています。そうしたことを行う上でも、専門家の皆さま方にもしっかりと検証していただく必要があると考えております。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
分かりました。それから、別の質問になりますが、先ほどご説明がありました特別養子縁組の休暇制度のお話ですけれども、これについてはこれから検討に着手するというお話でしたけれども、いつぐらいの条例改正を目指していらっしゃるのかというのが1点と、都道府県では初めてということでしたけれども、現在の自治体や企業の導入の例やそこでの効果、実績についてどんなふうに県ではご覧になっていらっしゃるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
同様の例については、また後で人事課の方からお話しさせてもらいますけど、私が承知している限りでは三重県が職務専念義務の免除の形で類似の制度を作っているという現状があります。条例を作るのは私はできる限り早くと考えておりますが、職員団体との調整が必要なので、あまり明確に言えないというのが事務方の判断だろうと思います。そこは土屋人事課長の方で補足してもらえればと思います。
総務参事兼人事課長 土屋智則
同様の例ということですが、ただいま知事からも説明がありました通り、職員に勤務しないことを認めるという意味で職務専念義務の免除といった方法を使ってやっているのが三重県、今年の2月くらいから適用されていると承知しております。それから、政令指定都市では千葉市が、同様に職務専念義務免除という手法を用いて職務に従事しないことを認めているということでございます。休暇としてこれを制度化しているというところは、他には承知してございません。少なくとも都道府県レベルでは初めてということでございます。それから、日程的なものでございますが、知事からも申し上げました通り、職員団体との調整や新しい休暇を作るということでございますので、他のいろいろな制度との整合等、詳細に中身を検討する必要もございます。そういった時間も含めまして考えていく必要があろうかと思います。なるべく早くということで、条例改正が必要でございますので、早ければ6月議会ということになろうかと思います。その辺の調整が出来次第ということでございます。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
分かりました。それから最後に1つ伺いたいのは、明後日に県議選が投開票日を迎えます。前回4年前まで9回連続で戦後最低の投票率を更新していまして前回54.19%でした。ひとつの県政への関心などを計るバロメーターになるんだと思うんですけれども、昨年の知事選でも投票率、低かったこともあります。知事もいろんな県民の方たちに接する機会もあると思いますが、今回の県議選への県民の関心の度合い、それから投票率などどんなふうに推移されるとご覧になっていらっしゃるか、その見立てを伺えますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。見立てというか、私は評論家ではないので、こうじゃないかという見立てはありませんが、県知事選挙で自分が候補者のときも投票率については、やはり一人でも多くの皆さま方が投票所に足を運んでいただいて、意思表示をしていただくということが大変重要だと思いながら選挙運動もさせていただいていたわけであります。そういう意味で4年に一度、県議会に県民の皆さま方の代表を送る機会でありますから、一人でも多くの方が投票所に足を運んでいただき、これは、いまや期日前投票の制度もしっかり制度化されて、投票日当日にご都合が付かない方でも投票いただく機会というのは非常に広がっているわけでありますので、ぜひそうしたものを有効に活用して県政に参画いただきたいと思っています。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
今、お話に出ました特別養子縁組のための育児休暇制度について1点、関連してお尋ねしたいんですけれども、間違っていたら申し訳ございません。今現在、育児休業法で育児休業を取った方には国から、事業者あるいは雇用主を通じて育児休業手当というのが出てると思うんですけれども、間違っていたらすいません、特別養子縁組は法の枠組み、適用から外れていると記憶しています。育児休業を取られた方にとってみれば、仕事をしていない期間の生計を立てるというのが非常に課題になってくると思うんですけれども、法律が変わらない限り育児休業手当というのは支給されない形になると思います。そうしますと県で独自に条例を作るあるいは休業の制度を作ったとしても生活の手立てについて課題になってくるんじゃないかと考えるんですけれども、その辺りについて知事としてどのようにお考えかお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
それは全くご指摘のとおりだと思っています。これは法改正、法律が変わらない限りは育児休業の中に特別養子縁組のための試験養育期間がちゃんと入るということにはならないわけでありますから、今、制度的に行われている、地方公務員の場合だと共済組合が負担する制度は当然適用にならないわけであります。したがって、その期間は無給という方向にならざるを得ないと思います。ただ、今後制度設計していかなければいけないわけでありまして、そういう中で少し工夫の余地がないのか、あるいはこうした動きをしっかり地方の中で根付かせることによって、将来的には国の制度改正につなげていくということも視野に入れて、まずは長野県としての試験養育期間を休暇制度として位置付ける取り組みの具体的な検討を行っていきたいと思っています。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
まず初めに、また教員の逮捕という事態が発生してしまいましたけれども、知事としてどんなふうな感想をお持ちかを伺えればと思います。
長野県知事 阿部守一
教員の資質向上について、有識者の皆さんの意見をいただいて、方向付けをして、そのフォローアップもして、いろいろ着実に対策を講じてくる中で、再び子どもたちや保護者の皆さま方から、しっかりと信頼を得なければいけない教員がこうした問題を起こしてしまったということは、私の立場からすると極めて残念でありますし、教育委員会にはくれぐれも今後はこうしたことが再発しないように、背景等も含めてしっかり把握をした上で対応を考えてもらいたいと思っています。多くの教員の皆さま方が一生懸命子どもたちに向き合って教育に携わっている中で、こうしたことが起きてしまうということは、教員全体そして長野県の教育行政全体の信頼を大きく損なうものだと思っておりますので、そういう意味で私も大変重く受け止めております。教育委員会と一緒になってこうした問題意識を共有して、今後、教育委員会にはまずどう対応するか考えてもらいたいと思いますし、私としてもしっかりと協力していきたいと思っています。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
別件で、F・POWERプロジェクトなんですけれども、木材の調達先が結構かなり広い範囲を想定されていると思います。実際、もう始まっているところとかに聞くと、材木の調達がなかなか大変という課題もあって、県外の事例とかでいくと、海外から燃やすものを輸入して、本末転倒したような感じになってしまっているような事例もあるということで、その辺、県としてF・POWERの見通しですね、その辺は楽観的に見ておられるのかどうかということを伺えればと思います。
長野県知事 阿部守一
海外からというのは。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
県外の例なんですけども、燃やす木材が足りなくなってしまって、ヤシ殻とかそういったものを海外から輸入していると。本来、地産地消というところが、メリットだと思うんですけれども、その辺、今回のプロジェクトも結構、100キロ圏内なんていう広い所まで材木の調達を考えていらっしゃるようですけれども、その辺は見通しとして楽観視されているのかどうなのか、もし今時点であれば。
長野県知事 阿部守一
楽観視をしているということは必ずしもなくて、まずはプロジェクトがしっかり成功していくように県としても取り組んでいかなければいけないと思っています。加えて、木材の地産地消を私はぜひ進めていかなければいけないと思っておりますので、F・POWERプロジェクトを通じて、いろいろ路網の整備等をこれまでも行ってきているわけでありますけれども、別に、F・POWERプロジェクトさえ良ければいいという話ではなくて、今まで、必ずしも林業の近代化、機械化であるとか、あるいは路網の整備が十分進んでこなかったものを、このF・POWERプロジェクトも一つの起爆剤として、そうした整備を進めてきているわけでありますので、F・POWERプロジェクトに限らず、他の木材加工でありますとか、バイオマス発電でありますとか、そうしたものが広がるように、県としてもしっかりとそうした取り組みを応援していかなければいけないと思っています。今みたいな個々具体的な実情でわれわれがご協力できるようなことがあれば、それはしっかりと協力をさせていただきたいと思いますので、林務部にもご相談いただければありがたいと思います。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
分かりました。もう1点すみません、ふるさと納税の関係ですけれども、寄付したものが寄付した人に、見返りが競争になってしまっているということで批判の声とかもあるようですけれども、その辺どんなふうに捉えておられるかという点。それから、今回寄付の額が増えてきているということですけれども、逆に出ていってしまって、本来入ってくるものが別のところに出ていってるっていう部分もあるかと思うので、その辺もこれから検討していく必要があるんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず、私どものお礼の品については、よく言われている非常に過度な返礼というものには必ずしも当たらないレベルだと思っています。それから後段の話は、長野県民が他の県に寄付するので他の県に出てるものもあるんじゃないかという、そういうご趣旨ですか。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
長野県から他の県に出ていってるものもあるだろうし、あと、県に入るべきものが他の市町村とかもあるんですか。結局、控除されてしまって、本来入ってくるお金が寄付として別の自治体に行ってしまって、控除になるということ。
長野県知事 阿部守一
それはあります。それはお互いさまの世界で。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
お互いさまというところですか。だから、都会なんかは特に減ってしまうところもあるんじゃないかと思うんですが、その辺やっぱり検討した方がいいのかなという気もするんですけれども、その辺、集計というか出ていくという表現が適切かどうか分かんないですけれども。
長野県知事 阿部守一
減少になっているのを計算した方がいいんじゃないかと。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
そうですね、その辺は。
税務課長 林信一
長野県内から住民の方が、他の自治体、自分の住んでいる住所地以外の自治体に寄付されている額っていうのが、先頃、総務省の方で26年度の住民税についてまとまって報告をされておるところです。全国でいきますと寄付の金額が141億8,900万円というような額だったので、そのうち長野県の方が寄付行為をされた額は2億7,500万円と集計されております。お話のように住民税、所得税で控除されますので、その影響額ということで言いますと、長野県分、県民税ということになりますが、2,600万円ほどの控除がされておりますので、その分は県民税が減収になっているということは確かに言えるかと思います。これは寄付者のそれぞれの意向で応援したいところがあれば寄付をしていただくということになろうかと思うんですけれども。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
その辺は減収になっても、例えば地域の活性化とかそういうところで県とすれば肯定的に見ておられるということでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。例えば件数ベースでは、これは他県の調査ではありますけれども長野県は全国で2番目に納税件数があるわけでありますから、そういう意味では私どもとしてはこの制度をさらに有効に生かしていく工夫をしっかりと行っていきたいと思っています。そもそもが、例えば大都市にいるような方々が、自分の出身地であるとか、あるいは自分の好きな地域に寄付をして、それを税額から控除してもらうというような形になっていますので、私はふるさと納税の趣旨自体は、大変望ましいものだと思っています。ただ先ほどもお話があった、過度の物品による競争みたいなことで競い合うというよりは、むしろ例えば長野県であれば、昨年は山岳への寄付ということを中心に集めさせていただいたわけでありますけれども、やはりそれぞれの地域の課題とか地域の素晴らしさというものをPRする中で、大勢の皆さま方に理解と協力を得ていくということが基本だろうと思っています。
信濃毎日新聞 竹村研人 氏
「ながの子ども・子育て応援総合計画」というプレスリリースが出ているんですけれども、県の子育て支援戦略で、市町村さんを財政支援することによって市町村さんの取り組みというものが今日発表されているんですけれども、知事がご覧に既になってらっしゃるかどうか分からないんですけれども。県とすれば市町村さんの財政負担を減らすことによって、市町村さんの独自の子育ての育児環境を整えたりだとか、そういったことをやるっていう狙いだったと思うんですけれども、支援事業がまとまったもので、この取り組みが果たして、県の狙いというのが達せられたと考えているかどうかということを聞こうと思ったんですが。
次世代サポート課長 青木隆
今日プレスリリースしました市町村事業の関係についてご説明致します。新規事業につきまして、今、資料に掲載してある中で、3億2,150万円ほど金額的には掲載されております。それから、これは拡充ですから、全ての額がそういうわけではございませんけれども、3億9,760万円余を掲載しております。それから継続で8,200万円余ということで、この一覧表に載っているだけで8億円ほど掲載してございますので、それなりに市町村は一生懸命子育て支援の事業に取り組んでいただいていると認識しております。
長野県知事 阿部守一
子育て支援戦略を昨年の12月25日に取りまとめるまでの間に、私は、こども・若者担当部長には市町村と一緒に考えて、そして、県が財政支援、例えば子ども医療費のところなんかは県が財政支援することによって直接的な対象の拡大というよりは、むしろ市町村の財政負担の軽減につながる部分があるので、そうしたものを極力市町村では子育て支援に使ってもらうようにと話をしてきています。まさにご質問の趣旨のとおりの活動をしているわけでありますので、そうしたものを十分踏まえて市町村が対応いただけているのではないかと思っています。この資料自体は、どこまでその意向で各市町村が制度化したのかは定かではないところがありますけども、今、私が拝見している限り各市町村ともそれぞれ工夫を凝らして子育て支援に努めていただいていると思っています。市長会、町村会と一緒になって子育て支援をやっていこうということを確認して、メッセージも出したわけでありますので、これからも市町村と連携した取り組みを引き続き強化していきたいと思っています。
共同通信 小田智博 氏
特別養子縁組の件で伺いたいのですけれども、全国で初めてだとおっしゃったのですけども、どこが全国で初めてなのかというのを確認したくて、三重県もプレスリリースのところで制度化するのは全国初であるというふうな言い方をなさっているのですね。長野県は何が初めてだとおっしゃっているのかをもう一度お願いします。
長野県知事 阿部守一
それは、休暇制度。職務専念義務の免除と休暇制度という、われわれの場合は条例改正の検討をしていくということで申し上げているわけでありまして、休暇制度については、これは条例化していかなければできないと。ですから、条例改正を行ってそうした制度を作っていこうとしているのは、長野県が初めてという形になろうかと思います。
共同通信 小田智博 氏
そうすると、三重県のような形の職務専念義務の免除という方法と比べて例えばメリットがあるのかどうか、そのあたりを伺えますか。
長野県知事 阿部守一
これも先ほど申し上げましたけれども、これは別に県だけがこういう制度を作ればいいと必ずしも思っているわけではありませんで、むしろ民間企業も含めてこうしたものを取り入れていくことが必要だと思っています。その意味で、まずは長野県が先導していかなければいけないと思っています。そういう意味で職務専念義務免除というのは非常に、他県のことですからあまり言いづらいですけども、やはり正面から休暇制度ということで位置付けていくということが、世の中に対するメッセージとしては大変重要であろうと私は考えています。こうしたものが広がることによって、先ほど申し上げましたように国の法改正ということにも結び付きやすくなるのではないかと思っています。
テレビ信州(TSB) 中村守 氏
サミットの開催地についてお話を伺いたいんですけれども、ここにきて三重県の賢島(かしこじま)というところが名乗りを上げて、今有力という声もありますけれども、知事としてはどんなふうに受け止めていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。これはわれわれとすれば軽井沢サミット、長野県での開催ということを引き続き強く関係方面に訴えていきたいと思っています。それぞれ立候補されている地域があるわけでありますが、私どもとすれば、他の地域がどうだこうだということではなくて、今まさに地方創生という、政府の最重要課題の中で、都市部での開催ではなくて、優れた自然環境に恵まれた、そして、全国の中で町として人口が増え続けている軽井沢ということ、軽井沢の地で開催していただくということは政府の今の取り組みにも合致するものだと思いますし、昨今のサミットは大都市ではなくて、むしろリゾート地、リトリート型という形になっておりますし、さらには、警備等の問題を考えたときにも軽井沢は十分優位性がある地域だと思っておりますので、そうした点についてこれからも最終的に決定されるまで引き続き各方面に訴えて、理解と協力を求めていきたいと思っています。
テレビ信州(TSB) 中村守 氏
仮に軽井沢が決まった場合、やはり一番の重要課題というのは、警備だというふうにお考えですか。
長野県知事 阿部守一
当然開催をするに当たっては、各国首脳の皆さんが集まられるわけでありますから、警備について万全を期していかなければいけないと、これは警察の皆さん中心に取り組むわけですけれども、私の立場からすれば、例えば予算措置等も含めてしっかり警備体制が取れるように取り組んでいきたいと思っております。
テレビ信州(TSB) 中村守 氏
いろいろな都市の候補地がある中で、もし軽井沢に決まった場合のメリットっていうのは知事としては改めてどんなところにあるとお考えでしょう。
長野県知事 阿部守一
そうですね。これはまず、世界的にサミット開催地ということで、軽井沢のリゾート地としての知名度は上がっていくことになると思いますし、軽井沢のみならず信州の優れた自然環境であるとか、あるいは首脳会議の開催に当たっては、長野県のさまざまな物産、食材であるとか、あるいは長野県、花き、花の産業も盛んでありますけれども、そうしたものもしっかりと会議の場で活用いただける、あるいは懇談の場で楽しんでいただけるというような工夫もしていかなければいけないと思いますので、そういうことで長野県の持つ強みというものを大いにPRする場になるだろうと思っています。加えてサミットを開催すると、実績ができればサミット以外のさまざまな国際的な会議であるとか、コンベンションであるとか、そうしたものを軽井沢、あるいは長野県に誘致していく上では、非常に大きな強みになると考えています。
日本放送協会(NHK) 保科賢一 氏
ふるさと納税についてお聞きしたいんですが、今回件数が1.8倍、金額が1.3倍に増えているということで、知事としてどうして増えたのかってどのように分析されておりますでしょうか。また、どういった点が、これだけ増えた要因なのかなというふうに思うでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げましたけれども、私が就任した年に比べると、相当上がっています。これはふるさと納税を意識して頑張っていこうよということで税務課にもかなり工夫・努力をしてもらった結果だと思いますし、また、税務課に限らず、例えば昨年なんかは山岳環境の保全ということで、登山される皆さまに対して県の職員がPRをさせていただいたりする中で、寄付金額が向上してきていると思っています。今後もいろんな努力、工夫をそこのプレスリリースに書いてあるようにしていきたいと思っておりますが、当面先ほど今申し上げたような、この「ふるさとチョイス」というポータルサイトで、非常に件数が今のところ好調な、まだ1週間のデータではありますけれども、好調でありますので、こうした寄付のしやすさということもアピールしながら取り組みを進めていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
ふるさと納税の話は、先ほどちょうど県民税の控除額というのも出されてらっしゃったので、1つは支出のところ、お礼の品ではいくらくらいを支出されてらっしゃるのか、トータルで、26年度でというのを教えていただきたいのと、それから、先ほどからご紹介されてらっしゃる「ふるさとチョイス」、これ民間のふるさと納税ポータルサイトだということなんで、県としてのこちらへの支出というか、どういう形態で出してらっしゃるのかっていうのを教えてください。
税務課長 林信一
長野県からお礼の品をご用意させていただいておりますが、26年度では、予算額になりますけれども、2,530万1,000円ということでやらせていただいております。それから「ふるさとチョイス」ですが、これのポータルサイトの利用料ということで、4万円の支出をさせていただいております。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
先ほど、われわれの支出の方は予算額っておっしゃってますけれども、そこから大きくはずれていないという、ですから先ほどの控除額でいうと、県民税としての控除額は2,600万円ぐらいで、お礼の品で2,500万円ぐらい出してらっしゃったら、トータル8,700万円だとすれば、3,000万円ちょっと、3,700万円ぐらいはプラスになるという計算になるんだと思いますが、そういう理解でいいんですか。
税務課長 林信一
確かに寄付金を8,200万円頂いて、かかった経費ということでいきますと、お礼の品2,500万円。これは予算額と申しましたのは、まだ最終のお礼の品の提供が済んでおりませんので、そんなことなのですけれども、その他入ってくるべき住民税が長野県内からよその自治体へやったことによって、控除されるということで、先ほど申し上げた2,600万円出ておりますので、差額が実質利益といいますか、そういう考え方がいいのかどうか別にして、そういう計算になろうかと思います。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
細かい話ですけれども、予算額とおっしゃっておられるのは、最終予算額っていう意味ですか。当初ではなくて。
税務課長 林信一
26年は補正を含みまして、2,530万1,000円でございます。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
今日は日経平均株価が2万円超えたということで、県内企業への波及がなかなか進んでいないっていう声もありますけれども、県として、こういったことに対してまた現在の経済の状況に対して、どんなふうに考えていらっしゃるか伺えればと思います。
長野県知事 阿部守一
そうですね。株価が上昇しているということは、方向性としては経済にとってプラスの方向だと思います。ただ日経平均、いわゆる上場企業、大企業の状況を表しているわけでありますし、われわれとすれば、中小企業も含めて地域経済が活性化するように政府としても、そうした部分についてはしっかりと目を向け続けていただきたいと思いますし、県の立場からすれば、これは県内のさまざまな企業、業種によっても景況感がだいぶ差がありますので、そうした部分きめ細かくしっかり目を配りながら、経済政策、産業政策を進めていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございました。
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