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更新日:2019年1月1日
長野県知事 阿部守一
先程、部局長会議を開きまして23年度当初予算案、そして条例案につきまして決定をしました。2月県議会に提案をしていきたいと思います。またその他、条例案、組織改正案についてもあわせて部局長会議で決定をしたところであります。部局長会議においては他に廃棄物処理計画について決定致しましたし、既にお知らせしていると思いますが、鳥インフルエンザ、小諸で発見されたコガモについては陰性という結果が出ましたが、引き続きそれぞれの部局で役割分担徹底しながら、いざというときのためには対応していきたいと思っております。あと西駒郷の基本構想の見直しの報告、そして公共事業再評価の対応方針、こうした点について部局長会議において報告あるいは決定をしたところであります。私のほうから3点、一つは当初予算案、条例案の決定についてと、それから事業仕分け結果の反映状況についてと、それから3点目が組織改正についてお話しをしていきたいと思います。
それでは資料1-1ということで、平成23年度の当初予算案のポイントということでご説明をしたいと思います。私にとっては初めての当初予算ということであります。そうした観点で私としては、県民の皆様方にお約束してきた公約を誠実に実行していく予算にしたいという思いで予算編成をしてまいりました。資料1-1にございますとおり、予算総額は8,464億円ということで、対前年比マイナス151億円ということであります。ただこの中には中小企業融資制度資金というものがあります。これは貸付金でありまして、その部分を除くとほぼ前年同額マイナス0.5パーセントという予算規模になっております。予算案の特色としましては「ともに支える確かな暮らし」を実現するという観点から「教育・子育て先進県の実現」、「産業力・地域力の強化」、「暮らしの安心確保」、「県民主役の自立した県政の実現」、の4つの政策の柱に沿って重点的に予算配分をしていると、中期計画、現行計画についても踏まえて対応しているということであります。主な政策のところにいろいろ書かせてもらっていますが、後でご覧いただければと思いますけれども、私のほうからいくつか申し上げますが、一つは「教育・子育て先進県」の関係では、30人規模学級それから少人数学習集団編成との選択制を中学1年にも導入ということであります。教育委員会といろいろ議論したわけでありますが、その下に書いてあります、各学校が学力向上に関する明確な目標を定め、教員の指導力・力量の一層の向上を図ることにより、小・中学生の学力向上に挑戦ということと、いわば私としてはセットで考えたいと思っています。昨年末のタウンミーティングのときにも申し上げましたけれども、確かに現場の先生方は非常にいろいろな業務を抱えて、なかなか子どもたちに向き合いきれていないという部分もありますので、そうした観点での少人数学級ということは私は必要であり重要であると思っています。ただ、子どもたちあるいは保護者の皆様方からすれば、人数が増えて何が変わるんだという部分もあるわけでありまして、そういう意味で学力向上についても結果を出すということを教育委員会にはお願いしつつ、この予算、少人数学級の話とそれから学力向上の予算とセットで今回予算案に盛り込ませていただいているということであります。学校現場の皆さん、先生方さまざまなご尽力されていますけれども、これを機会にさらに一層の奮起をしていただければと思っています。それからこの場でもずっとお話ししていますが、知事として教育・子育て、特に教育については責任を持って取り組んでいきたいということを申し上げてきておりますが、次世代サポート課、知事部局に4月から設置をしたいと思っております。教育委員会との連携・協力、そしてさまざまな分野にわたる子どもたち、若者たちへの政策の総合調整を行っていきたいと思っています。それから、子どもの権利条例については、新年度制定、検討をスタートしたいと思っておりますし、先般、経済戦略会議の中でもご意見が出ておりましたし、私も公約の中でもうたっておりますが、子どもたちの農業体験、そうしたものについても支援をしていきたいと思っております。それから「産業力・地域力の強化」でありますが、一つは国際戦略、これ商工労働部、農政部あるいは観光部それぞれバラバラの対応をするのではなくて、部局横断的に国際戦略を検討していきたい。さらには県庁だけではなくて、民間の機関といっしょになってこの戦略を作ってグローバル社会の中での長野県の産業のあり方、あるいは産業以外の分野も含めてどうしていくかということを考えてまいりますそれから、中小企業は本当に県内を担っていただいているわけでありますので、中小企業振興条例の検討についても着手してまいりたいと思っております。それから、アジア圏市場での販路拡大の支援や県営産業団地の新たな分譲方式の導入といったことによって、引き続き長野県産業が元気になるような取り組みを進めてまいります。それから、観光につきましては、スキー100周年ということで、関係者と一体となったプロモーションの展開、それから後の組織でも申し上げますけれども国際観光、どんどんどんどん国内人口が減っていく中で、やはり海外への戦略というものが重要になってまいりますので、外国人旅行者を受け入れる環境整備、対外的な誘客促進に努めてまいります。信州デスティネーションキャンペーンについても一定の成果が上がったと思っておりますが、一過性の取り組みにならないように努力をしてまいります。それから木材の関係では県産材、これはどちらかというと林務部、林業生産のほうが主たる視点で取り組んできているわけですけれども、生産、流通、利用そうしたトータルとしての仕組みづくりについても力を入れてまいります。さらには信州型エコ住宅の普及にも取り組んでまいります。それから買い物弱者、買い物難民の解消でありますとか、これはかねてから地域からのご要望が強い元気づくり支援金そうしたものについて、所要額、必要額を盛り込んでおります。それから「暮らしの安心確保」であります。これは一つはドクターヘリ、私としてはこの広い長野県、特に中山間地域が多い長野県においてドクターヘリの2機目の配置が必要だということでずっと訴えてまいりましたが、検討委員会から出てきた信州大学への配備が適当という結果を尊重して信州大学の医学部附属病院にドクターヘリを配備するということに致します。それから医師不足ということもありますので、医師事務の作業補助者、医療クラークを配置する病院を支援することによってドクターの負担の軽減に資していきたいと思っています。それから歯科保健の推進については昨年条例ができましたので、推進計画をつくってさらに力を入れて取り組んでまいります。また認知症対応としても認知症疾患医療センターの整備など、医療・介護・福祉の連携による支援を行ってまいります。また特別養護老人ホームの入所待機者まだまだ非常に多くいらっしゃるわけでありますので、23年度予算においても、この特別養護老人ホームについては特に重点的に予算配分をしています。当初予算額ベースでは約31億円ということで対前年比プラス23パーセントという形で、長野県は高齢化が比較的に進んでいる県でありますが、都会はこれからどんどん高齢化が進んでくるわけでありますので、できる限り前倒しで必要な施設整備については取り組んでまいります。それから障害者差別禁止条例これも私の公約でありますが、制定に向けて研究会をつくって、これはつくることももちろん重要でありますけれども、その議論のプロセスを大事にしながら、検討を行ってまいりたいと思っております。また私は健康福祉部には、制度のすき間というと語弊があるかもしれませんけれども、国は大きな社会保障制度の根幹のところを今担っているわけでありますけれども、県としてやはりそうした国の大きな枠組みの中ではなかなか目が向けられないような人たちにもきめ細かな心配りをしてほしいということで申しています。そうした中で軽度・中等度難聴児の皆さんへの補聴器購入に対する助成ということも行ってまいります。また、温暖化対策につきましては、長野県は健康と環境ということを売りにしてこれからさまざまな活動をしていかなければいけないと思いますし、経済活動活性化の面でも重要だと思っております。そうした観点で温暖化対策全般について見直し再構築、そして組織についても温暖化対策課というものをつくって温室効果ガスの排出抑制、そして私のこれも公約に入れていますけれども、エネルギー戦略、新エネルギーの一層の普及拡大に努めてまいりたいと思っています。それから犯罪の起きにくい社会をつくるための地域住民の自主防犯活動の支援というのも行ってまいります。また公共事業関係につきましては、身近な社会資本整備について長寿命化をさらに進めてまいりたいと思いますし、またこれからは維持修繕、今あるものを大切に使っていくということが重要でありますので、維持修繕に重点を置いて公共事業費の配分を致しているところであります。19ページのところに参考として当初予算の姿というのがありますが、その下のほうに経済雇用対策の取り組みというので公共事業、下のほうに帯グラフで書かれております。いわゆる投資的経費全般は一番左のところに太字で書いてありますけれども、22年度当初予算が1,285億円そして23年度当初予算が1,277億円ということで、やや微減となりますけれどもほぼ横ばいという形にしております。そのうちで県単独の公共事業ですが、帯グラフの左側のところでありますけれども、161億円を168億円ということで対前年約5パーセント増という形で、そのうち維持修繕費については77億円を91億円ということで手厚く予算の配分をさせていただいているところであります。事業ごとの予算額については別紙の2で15ページと16ページをご覧いただければと思います。それから3ページに戻っていただきまして、「県民主役の自立した県政の実現」ということであります。一つは年頭のあいさつでも職員にお願いしましたけれども、共創と協働という取り組みを一層進めていきたいと思っています。そのために信州版円卓会議をつくって、長野県にふさわしい、新しい公共の形というものを、これはNPO、県民の皆さんと一緒になって形作っていきたいと、決して県主導ではなくて、円卓会議ですから私も一メンバーという形になって議論をしていきたいと思っています。それから広報ながのけん、県民の皆様との情報共有を進めていくことが県民主権の長野県を実現するために大変重要だと思っています。情報量をできるだけ増やすという観点で、広報ながのけんの全戸配布についても行ってまいりたいと思っております。また今ある県有財産を有効活用するという観点でのファシリティーマネージメントを行ってまいります。それから事業仕分けについては、先般の先行実施の結果については後ほどお話を致しますが、新年度予算に向けては、新しく県民判定員方式というものをぜひ導入していきたいと思っています。仕分け人の議論で仕分け人が判定するということではなくて、仕分け人の議論を判定員の皆さんが聞いていて、その皆さんはすべて県民の皆さんを無作為抽出で選んでいきたいと思っていますけれども、県民の皆様方がどう判定するかという形の判定員方式を導入していきたいと思っています。市町村では行われているところはありますけれども、都道府県の事業仕分けで行っているところは今のところ無いと思いますので、新しい県民参加の形ということでぜひ実現したいと思っています。それから税の関係であります。昨日も愛知県知事選挙、名古屋市長選挙があって減税の話もいろいろ議論になっていますが、私としては自主財源として根幹的な地方税のあり方というものを、やはり県としても独自にいろいろな角度から考えていかなければいけないと思っています。地方税と言いながら、これまではともすると地方税法で決められたとおり、粛々と執行しているということが多かったわけでありますけれども、本当に分権の時代を迎える中で、これは県民の皆様方に一番密接にかかわりがある部分であるわけでありますから、税のありよう、税のあり方ということについても県独自で十分考えていく場を作っていきたいと思っています。それから県と市町村との協議の場、これは本当に対等、協力の形で、これは県の仕事、これは市町村の仕事というふうに明確に線引きできないものというのが非常に増えてきています。そうしたものについてはぜひ、市町村の皆さんと力を合わせて県民のために努力していきたいと思いますし、また県と市町村の関係のあり方、国、県、市町村のあり方というものも道州制の議論でありますとか、あるいは大阪都構想とか新潟州構想とかいろいろな議論がありますけれども、とりわけ小規模な町村が多い長野県において、県と市町村の関係、これは全国一律の関係であってはいけない部分が私は多いのではないかと思います。そういう意味では県と市町村の関係性のあり方も含めて、これは市町村の皆さんと一緒になって取り組んでいく場を作っていきたいと思っております。それから地方分権推進室の設置ということで、受け身の分権論ではなくて、県からもしっかり発信できる地方分権の議論を行ってまいります。また、本当に県の財政は非常に危機的な状況、綱渡りの状況が続いておりますので、行政・財政改革推進本部を設置して、新しい時代の行政のあり方、財政のあり方、議論をして、県職員全体の英知を結集して取り組んでいきたいと思います。それから、今、申し上げたのが四つの柱ごとの政策でありますが、合わせて現下の厳しい経済雇用情勢ということもありますので、1月補正予算とも連動して効果が発揮できるように引き続き経済雇用対策を進めてまいります。一つは国の各種基金を活用した経済雇用対策、昨年の当初予算を約39億円上回る規模で計上しております。ぜひ有効に活用して雇用対策、経済対策に結び付けていきたいと思っております。それから社会資本整備のための投資的経費につきましては先程ご説明したとおりでございます。県単独事業については増額、全体としてほぼ前年並みの金額を確保しております。また、就職活動支援員の配置による高卒者等の就職費支援活動の引き続きの実施、あるいはこれは1月補正で盛り込ませていただきましたパーソナル・サポート・モデル事業の実施といったようなことで、就職をされる方について、できるだけきめ細かな支援、対応をしてまいりたいと思っています。それから4ページでございます。経済戦略会議でも指摘を受けましたし、私自身も5カ月知事をして感じておりますけれども、やはり総合的な取り組み、部局横断あるいは官民力を合わせての取り組みというものがまだまだ弱い部分があるのではないか、もっと強めて効果的な取り組みができるのではないかと思っております。そうした観点で、先程申し上げました国際戦略を作っていきたいと思いますし、また長野県の推計人口、大幅な人口減少が見込まれる中で、移住交流推進本部ということで、都市から移り住まわれる方の支援あるいは交流事業の促進、そういったことを行ってまいります。あと、松本空港の活性化あるいは有害鳥獣対策の推進についても部局横断的な取り組みをさらに進めていきたいと思っております。それから暮らしの困難に対するきめ細やかな配慮ということで、本当に経済情勢が厳しい中、あるいは格差社会と言われる中で、暮らしの困難に直面されている皆様方に対してきめ細かな配慮を県としても行っていく必要があると思っております。発達障害者支援の話については、これからも継続的にそのあり方を考えていきたいと思っておりますし、県立病院機構でもこども病院を含めてさまざまな取り組みをしていこうと検討してもらっていますので、そうした医療機関あるいは福祉、教育総合的に発達障害の子ども達への応援を考えてまいります。それから経済的に就学困難な私立高校生の保護者負担の軽減ということで、私立学校の皆さんが授業料、入学金を軽減した場合の軽減額に対する助成というものを拡充致します。それから、うつ病に対する医療等の支援体制の充実ということで、精神科医等に対する研修あるいはかかりつけ医と精神科医との連携体制の強化、こうしたものを進めて本当に高い水準で推移している自殺者の数を減らす、うつ病の方を減らす、そうした取り組みを行っていきたいと思っております。さらに財政健全化に向けた取り組みということであります。17ページからいろいろ書いてございますけれども、17ページの真ん中の所、県債発行額の抑制と県債残高の縮減と書いておりますが、当初予算編成の中で方針として対前年同額以下という目標を立てました。結果としてそこにございますように県債発行額についてはマイナス167億円ということで、前年度に比べて大幅に県債発行を減らすことが可能になったわけでありますけれども、大きいのは臨時財政対策債、これは地財計画レベルで大きく縮減していただいているという国の取り組みの効果というものが一つは大きいと思っています。それと同時に内容を見ていただきますと、建設事業債についてはほぼ横ばい、やや増でございまして、退職手当債は発行しないと、臨時財政対策債については大幅縮減ということで、いわゆる赤字地方債については極力減らしていると、大幅に縮減させていただいたところであります。しかしながら、他方で県債残高についてはその下にありますように、23年度見込みでさらに増加してしまうということでありますので、こうした状況も含めて先程申し上げた行政・財政改革推進本部の中で次年度以降の財政のあり方を考えてまいります。それから、健全化法に基づく健全化判断比率というのが18ページに載っておりますけれども、実質公債費率については、21年決算に比べてほぼ横ばい、やや減ると。引き続き努力していかなければいけないと思いますし、将来負担比率についてもやや縮減されるということであります。また財源確保については、廃止縮小それぞれそこに書いてあるとおりで、歳入確保も含めて12億円を確保しているという状況であります。これは、引き続き財政健全化に向けた取り組みに全力で向き合っていかなければいけないと思っております。
それから、条例案の概要につきましては、一部改正条例が16件、それから新設条例が2件ということであります。これについては、内容をご覧いただければと思いますが、2ページ、3ページにわたって給与関係の条例があります。これは自宅に係る住居手当の廃止とそれからこれまで抑制してきた若年中堅層の昇給の1号俸回復という措置であります。これは基本的に国に準じた取り組みであります。それから4ページ9番のところに知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部改正する条例案ということで、これは市町村が希望されるところに県の権限を委譲するということで公拡法(公有地拡大の推進に関する法律)に基づく事務それから母子保健法の規定に基づく事務について表記の自治体に移譲をしていくというものであります。それから、5ページのほうですけれども長野県看護大学条例の一部改正ということであります。これは、職業を持ちながら通っていただく方がいるわけでありますので通常の修業年限を越えて履修を認めるという形でそれに合わせて授業料の特例を定めると。それから、西駒郷につきましては、これまで旧知的障害者福祉法に基づく施設支援の事業体系であったわけですが、今回新たに障害者自立支援法に基づく障害者福祉サービスの事業体系に移行するということで、施設の設置目的、業務範囲についての改正ということでございます。それから6ページの16番でありますけれども、長野県地方警察職員定数条例の一部改正条例ということで、警察官の定数、暮らしの安心確保という観点もありますが現行より10名定数を増やすということにしております。また13番、順番が逆になって申し訳ございませんが、信州ものづくり産業投資応援条例の一部を改正する条例案ということで、現在一定の法人が取得する家屋等に対する不動産取得税の課税免除を行っているわけですが、その対象期間については来年の3月31日まで1年間延長という取り組みでございます。それから、7ページ、長野県立中学校条例案、これは、屋代高校附属中学校を千曲市に設置するということに伴う必要な規定を設けるものであります。それから7ページの下のほう、18番長野県暴力団排除条例案ということであります。暴力団を社会全体で排除を推進し、健全、安全で平穏な社会生活を確保するという観点で新しく条例をつくって取り組みをさらに強化をしてまいります。これは先程の部局長会議でも申し上げましたけれども、行政はとかく予算をつくるのに一生懸命になりがちな部分がありますが、予算を本当に実効ある成果に結び付けていかなければいけないということがありますので、これから議会でのご審議をいただくわけでありますし、ご議決をいただければそれぞれ目的としている成果が十分発揮できるような執行を行ってまいりたいと思っております。予算、それから条例については以上でございます。
それから予算編成についての編成過程についてちょっとお話しをさせてもらいたいと思います。今回予算に関する情報、予算編成に関する情報をできるだけきめ細かく、分かりやすくお伝えしたいということで、まず予算編成方針の公表に合わせて今後のスケジュールも合わせて発表させてもらいました。また、予算編成方針で示された重点的な施策展開、それから基本姿勢に関する各部局の取り組みの検討案について、項目として部局長会議に出して皆様にも公表をさせてもらいました。それから、要求概要の公表については、これまで財政課のほうで一括して行っておりましたが、各部局が会見場でご説明をさせていただきました。さらには知事査定の翌日に査定結果を「速報」という形でお渡しするという形で公表をさせてもらいました。また、今日資料としてお配りしておりますけれども、財政課長、総務部長、知事査定それぞれあるわけでありますけれども、どの過程でどういう結果が出ているのかという査定状況についても、できるだけ明らかにするような公表をしております。また、県民の皆様方から寄せられたご意見やご要望についての対応状況についても合わせて公表をさせていただいているところであります。今回、県民の皆様方から予算要求に対する意見として72件、ご意見をいただきました。昨年が24件でありますから昨年に比べれば非常に増えているわけでありますが、私としてはこれは県民の皆様と対話するときもお願いをさせていただいておりますが、ぜひ県政に対する関心、あるいはご要請にお越しいただくいろいろな方、団体いらっしゃいますが、やはりこうした県側のパブリックコメント、意見募集のときにもさまざまご意見を引き続きお寄せいただきたいと思っております。それから、政府のほうで一括交付金、来年度具体化するということで取り組んでいるわけでありますけれども、現時点で具体的な配分基準や事業対象の範囲等、詳細が不明ということで現行の国庫制度を前提とした予算計上に致しております。ぜひ国においては速やかな予算審議、そして年度内の予算成立を行っていって、長野県としての予算執行に支障のないように取り組んでいただければありがたいと思っております。私のほうから予算、条例については以上であります。
それから2点目でありますが、事業仕分けの関係であります。事業仕分けについては、明日仕分け結果に関する県民の皆様への説明会を県庁の議会棟で夜の7時から行いたいと思っております。私も参加をさせていただきますが、皆様方には資料1-8ということでお配りをさせてもらっています。事業仕分け結果への県の対応ということで、総括表がありますけれども29件、不要、国・広域、市町村等々仕分け結果があるわけでありますが、県の主な対応方針、これ、主な対応方針と書かせていただいたのは必ずしも1対1対応にきれいにならない。いろいろな政策いろいろな事業が一つの仕分け項目の中に入っているものですから、その中で重要と思われるものを主な対応方針ということで、ここの表上はできるだけ皆様方に分かりやすく1対1対応になるような形で表記をさせていただいております。その結果、不要と判定されたものについては、廃止が2件、一部廃止が2件という形になっております。また国・広域とされた事業については、国への提案を行ってまいります。また市町村と判定されたものについては、役割分担の見直しを行ってまいります。それから民間委託とされた事業については、民間委託を進めてまいりたいと考えております。それから要改善というものが一番多かったわけでありますが、国等への提案が主たる対応であるものが2件、民間委託が主たる対応であるものが1件、役割分担の見直しが主たる対応であるものが1件、事業内容の見直しというものが17件という形であります。現行どおりというものについては、基本的な取り組みについては現行どおりという形にさせていただいております。
下に、不要と判定された事業の見直し額ということでありますが、全体で約2,890万円の削減という状況であります。そのうち一般財源が638万6千円ということで、左と右の数字ですね、前年度比較が左側、右側のほうが既に各部局から要求後に事業仕分けを行っておりますので、予算要求時点の金額からの増減ということで記載をさせていただいております。また、事業仕分けの結果によって新たに充実すると、事業内容の見直しの中にはかなり充実される方向での見直しというのが多いわけですが、予算上は、自閉症・発達障害支援事業に新たにあり方検討会を設置するということで仕分けの議論も踏まえて予算に盛り込ませていただいております。また国へ制度見直し等を提案する主な事業は、その下にある七つの事業でございます。個々の事業への対応については、詳細を次につけておりますので省略をしたいと思います。また後ほどご質問があればご回答をしたいと思います。
最後3点目、組織改正でございます。これについては、資料の3でお示ししておりますが、今回は、部局レベルの改正というのは行いません。課レベル以下という形で対応してまいります。中期総合計画、中期5カ年計画の検討途中ということでありますので、あまり大幅な組織見直しにはなっておりません。次世代サポート課については、この間、ここの場でも何度も繰り返しお話をしてまいりました。本当にさまざまな課題に直面している若者たち、子どもたちが多くいらっしゃるわけでありますので、そうした子どもたちに対して、決して縦割りになることなく向き合っていく組織として次世代サポート課をつくってまいります。法律に基づく子ども若者応援計画についても、この次世代サポート課において策定を進めてまいります。
それから2ぺージ目でありますが、県民協働・NPO課の設置ということで、これまでのNPO活動推進室を改めて県民協働・NPO課という形に致します。これは、先程申し上げた新しい公共の関係の仕事をこれから強化していきたいと思っておりますし、また県民の皆様方との協働、一緒になって施策に取り組む、事業を行う、そうしたことについても強めていきたいと思っておりますので、そうした観点で室から課に格上げをしてなおかつ名称についても県民協働ということを打ち出しているところであります。それから、その下の温暖化対策課の設置ということであります。これは私の公約の中でエネルギー戦略の話に触れておりますけれども、地球温暖化対策、新エネルギーの普及促進、そうしたものについて環境もある意味で強みとしている長野県において一層の充実強化を行ってまいりたいと、温暖化対策に係る取り組みについても再構築を図ってまいりたいと思っております。それから3ページ目のところでありますが、並行在来線対策室。これは長野以北の並行在来線、これから本格的に事務が出てまいります。従来は交通政策課の並行在来線担当でありましたけれども、室ということで、並行在来線のさまざまな課題に専属的に取り組む室をつくってまいります。それからその下の地方分権推進室の設置は、先程もご説明致しました。国の動向に対して対応するということに加えて国と地方の役割分担についても積極的に地域のほうから考え発信をしてまいりたいと考えています。それから4ページ、国際観光推進室、これは外国人旅行者の誘客促進それから受け入れ環境の整備ということで、これから観光の分野では特に海外からのお客様の誘致について取り組んでいきたいと、力を傾けてまいりたいと思っています。それから県産材推進室は、これは、林務という組織はどうしても森林整備ということにウェイトが置かれがちでありますけれども加工、流通体制、利用拡大ということに重点を置いて取り組む室を新たにつくってまいります。地方税共同化準備室については、廃止、それから次のページ松本あさひ学園の開設、野菜花き試験場の再編、さらには最後のページ地方税滞納整理機構の設立については、そこに記載のとおりでございます。
私のほうから以上、予算案・条例案の決定、それから事業仕分け結果の反映状況さらには組織改正以上3点大きく申し上げました。皆様方からのご質問をお受けしたいと思います。よろしくお願いします。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
予算案それから組織改正全般に含めてなんですけれども、知事先程県民との約束についてですね、誠実に実行していく予算にしたいという思いで編成してきたということで、編成を終えてですねこの予算案全般に関してですねどの程度自分の思いが盛り込めたかなとその自己評価をお願いしたいんですけれども。
長野県知事 阿部守一
私としては、最善の形の予算になっていると思っています。これは評価軸をどこに置くかということにもよると思いますけれども、先程来、縷々(るる)申し上げている例えば国と地方の関係ですとかですね、そうしたものを所与の前提として組み立てていかなければいけないわけでありますので、そうしたもろもろの制約条件を前提とすれば現時点で最善の形の予算をつくれたのではないかと思っております。もとよりまだ公約でお示ししたことについて乗っかっていない部分もいくつかはありますけれども、そうしたものについては、引き続き実現に向けて取り組んでいきたいと思いますし、また現在中期5カ年計画の策定も総合計画審議会で進めていただいておりますので、そうした将来ビジョンを明確にした予算編成というのは、さらに今後の課題ではないかなと思っております。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
分かりました。多くが知事の公約の実現それから新しい施策推進という意味で緒についたというか仕掛けの事業、それから組織改正ということが多いと思うんですけれども、現行これまで中期総合計画に基づいてですね県の事業評価とかやって自己検証を加えてきた部分もあると思うんですが、まさに先程知事言われたとおり今後成果に結び付けられるかっていう部分でですね今回の予算編成の枠組みで、その進捗度とか達成度というのを一定の段階で知事もしくは組織として検証されて公表していくというような、そんなお考えがあるかどうか。
長野県知事 阿部守一
ごめんさい、それは中期計画?
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
中期については、総計審等でチェックするシステムにはなっていると思うんですけれども、今回芽出しされた知事の公約とかそういった新しい施策について、まさに成果が問われるという意味で一定の段階で知事なり組織として検証を加えて県民に示すというようなことはあるのかという・・・。
長野県知事 阿部守一
それは政策評価のあり方とかあるいは、今回も総合計画の当初予算案への反映という冊子でお配りしますけれども、総合計画をどういう形でつくっていくかということと合わせて考えていかなければいけない課題かなと思います。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
分かりました。それから、3点目は先程の予算編成の関係で、いわゆる県民への公開というか透明度を高めるという意味で要求段階での各部局の説明等新しい取り組みをされたと思うんですが、さらにそういった県民への公表という意味での課題がまだ感じている部分があるのか、それから組織として部局ごとに積み上げていく今の編成のやり方についてですね、知事として課題、問題意識等があったかどうかその辺はいかがですか。
長野県知事 阿部守一
県民の皆様方から予算案、予算編成過程におけるご意見というのはさっき申し上げたように昨年に比べて件数的には増加はしています。ただ、多くの県民の皆様方が常にいろいろなご要請なりご意見なりをさまざまな場面でおっしゃっているわけですから、それに比べるとまだまだ少ないなというのが私の率直な感想です。これはわれわれの側も、より分かりやすくあるいはより提案しやすい形というものを模索していかなければいけないと思いますし、ぜひ多くの県民の皆様方には、本当に皆様方の税金をどう使っているかという大変重要なプロセスが予算編成にはありますので、ぜひ引き続き関心を持っていただきたいと思いますし、私も関心を持っていただけるように努力していきたいと思います。それから、予算編成のプロセスのあり方というのは、先程、行政・財政改革推進本部をつくって考えていきたいと思っていますので、そうした中でいい形のプロセスというもの、企業もそうだと思いますけれども、組織の仕事のやり方というのは、どんなにいい仕事の仕方でも固定化してしまうといろいろ問題も出てくるし、新しい予算編成のあり方等でいい取り組みがあれば改善していくことにはやぶさかではありません。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
ありがとうございました。
信越放送(SBC) 上條道哲 氏
知事初めての本格編成されたご自分での予算ということになりますけれども、これだけ多岐に及んでいまして、一言で命名するとすれば何予算というふうに知事ご自身は命名されますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
本当は、いろいろな分野に対してそれぞれ必要な予算を盛り込んでいるので、あまりキャッチフレーズ的なものは付けづらいなというのが正直なところですけれども、私の思いとしては「公約誠実実行予算」という感じですよね。要はこれから新しい県政が、私としては本格的にスタートしていくという思いがある。今現時点で執行している予算というのは村井知事が編成された予算の部分が大層を占めているわけでありますので、4月以降がある意味で本格的な新しい県政のスタートということでもありますので、「新県政スタート予算」という感覚もありますし、「公約誠実実行予算」、そんな思いであります。
信越放送(SBC) 上條道哲 氏
ありがとうございます。
信越放送(SBC) 上條道哲 氏
あと事業仕分けについてですが、新年度から本格的な実施ということになりますけれど、構想日本さんの関与については現段階ではどんなふうに考えていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
構想日本については引き続きお願いをしていきたいと思っています。ただ判定人方式の導入で若干、仕分け人のメンバー構成等を変えていこうと思っていますので、まったく同じ形ではありませんけれども基本的な部分についてはお願いはしたいと思っています。
信越放送(SBC) 上條道哲 氏
ありがとうございました。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
まず予算についてですけれども、先程これから将来ビジョンを明確にしたうえでの(予算)編成っていうのが今後の課題になるというようなお話も触れられましたけれども、逆に言うとですね、現行は村井県政時代にできた中期総合計画があるわけで、やはりご自身の独自色を出していくためにはこうした現行の中期総合計画がまだ見直し前であるということは一種の、一つの縛りになるのかどうかという点と、当然ですけれども財政の縛りもあるかと思うんですが、そのあたりの今回の予算編成というのは、ある意味では限界を感じられた面とはどんなところにあるのか教えてください。
長野県知事 阿部守一
財政的な縛りはもちろんありますよね。交付税がやや増額で、税収もやや増加をするということで一般財源が増えるという観点で、ややそういう意味では助けられている部分もありますけれども、中長期的には引き続き厳しい財政状況であるということは間違いないわけでありますので、もちろん財政上の制約、あるいは財政規律というものは一定程度念頭に置きながらつくった予算ということであります。それから(中期)総合計画との関係でありますが、「中期総合計画との整合を踏まえつつ・・・」ということでこの資料にも書かせていただきましたように、私としてはあまり制約というような形の意識は正直してないですね。各部局でしっかりとその辺は勘案して対応をしていただいてきていると思っております。ただ私はいろいろなところで申し上げていますけれども、大きな時代の転換点で、大きくかじをきっていくことが必要だというふうに思っていますが、それは新しい5カ年計画を議論する中で県民の皆さんと一緒に進路を考えてきたいと思いますし、そうした新しい進路を踏まえて取り組んでいくのはまだ今後の課題かなと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
分かりました。それでは重ねてですけれども、今の点は確認ですけれども新しいそうした5カ年計画ができればさらに一層ご自信の独自色が出せるということなのかというのが確認させていただきたい。
長野県知事 阿部守一
独自色、独自色とよく言われるのですが、独自色を出そうと思って独自色を出す必要はあまり私は正直言ってないと思っています。社会の本当にこれから10年後、20年後の長野県というのを見据えたときに何をするべきかということを真剣に議論し、考えてその方向に向かって取り組んでいくようにしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
大きく二つめですけれども、先程の部局長会議のほうでこれからの中期財政試算なども出たかと思うんですけれども、そちらのほうでは財政課長のほうから、先程の知事のお話にもありましたけど、今後の中長期のですね財政運営方針についてはですね、行政・財政改革推進本部を設置してそこで議論していくんだというお話でしたけれども、知事からも先程現状については綱渡りだと、危機的状況であるというようなお話がありましたけれども、なかなか社会保障費が自然増で増えていく中で今年のような県債をある程度抑えていくとかなり厳しい状況が今後予想されるわけですが、今後の方向性として今のお考え、どんなふうに持っていきたいのか今の時点でのお考えを教えてください。
長野県知事 阿部守一
財政の問題は国と地方が密接に連携していますので、国の取り組みも地域主権の取り組みも地方分権の取り組みも加速していただきながらセットで考えていかなければいけない、取り組んでいかなくてはいけない課題だろうと思っています。先程ご説明した財政健全化の取り組みの17ページのところにありますように県債発行額を大きく減らしていますが、いわゆる建設事業債、普通の物を造るときに、要するに次世代といいますか後年の人たちも利用するから建設事業債で賄いましょうね、というところは横ばいというかやや増になっていますので、私としては無理やり起債の発行を削減しているということでは全くないですね。ただ臨時財政対策債という起債が、いわゆる通常債よりも多く発行せざるをえない状況というのは、これはまさに国と地方の財政関係がいびつになっている証拠であると思っておりますし、また臨時財政対策債はいわゆる赤字地方債でありますから、財政の健全性といった観点からも国においても引き続き真剣に考えていただく必要があるテーマだと思っております。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
それから最後に仕分けの結果の反映ですけれども、これについては以前から仕分け自体よりも成果をどういうふうに生かすかが課題であるというふうなお話はされてらっしゃったかと思うんですが、今回の予算編成時点での反映の仕方についてのご自身の評価を教えていただきたいのと、それからかなりの事業が23年度に事業内容の見直しを検討していくという現在進行形の話なんですが、今後のそうしたところの進捗管理というかどんなふうに進められる予定かについて教えてください。それから仕分けについては関連して、確か事前のご説明では予算案の反映の前にですね関係機関とはよく調整したうえでというようなお話ありましたけど、今回のケースについては何かそういうケースがあったのかどうかも教えてください。
長野県知事 阿部守一
関係機関と調整するって言うのはあったかな。ちょっと行政改革課長に後でちょっと説明させますが、事業仕分けについて、前段の質問は何でしたっけ。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
一つは反映結果、今回の予算編成時点での反映状況についてはご自身の評価はどんな具合かということ。
長野県知事 阿部守一
失礼しました。事業仕分けの結果については相当、各部とやりとりをする中で、こうした形でとりまとめを致しておりますので、私としては仕分けの趣旨は最大限生かした形になっていると思っています。ただどうしても直ちにはできないこととかですね、あるいは国の制度上の制約とかあるわけでありますので、形にならずにまだ現在進行形というのがご指摘のとおりでありますけれども、そうしたものについても国の場合は再仕分けみたいなことをやったりしていますけれども、そうしたことの必要が無いようにきちんとフォローアップはしていかなければいけないと思っています。関係機関との調整の話は何かあれば行政改革課長から。
総務部行政改革課長 倉沢幸一
市町村、関係団体との調整でございますけれども、総論としまして結果については市長会、町村会それぞれ総会、役員会の場面で説明をさせてきていただいております。それから今回廃止あるいは一部廃止とした事業につきまして、関係のある部分につきましてはそれぞれ担当部のほうで市町村といいますか関係のある団体のほうと調整を図っているという経過がございます。以上でございます。
中日新聞 大平樹 氏
予算全体についてお伺いしたいんですが、以前から知事はあれかこれかではなくて選択と集中ということを以前からおっしゃっておられたかと思うんですが、今回の予算案でどの辺に、どこを選択してその分何を切り捨てたのかというものがあったら教えてください。
長野県知事 阿部守一
今回の予算は基本的に私の公約をできるだけ盛り込むということで取り組ませていただきましたので、そういう意味では私としてできるだけ早く着手していかなければいけないものについてはかなり盛り込ませていただけたと思っております。それから選択と集中という観点で事業見直し、これは各部とも議論しましたし、各部それぞれ取り組んでもらった事業見直しもありますけれども、全体として233の事業を廃止、縮小という形にしております。そうした中で生み出した事業を新しい事業、充実する事業に8億円振り向けているという形で、全体の予算額からすると少ない額のように聞こえると思いますけれども、県の予算の場合ほとんど人件費であったり、公債費であったりする部分が多いのでそういう意味でできるだけメリハリをつけたところであります。これからも財政改革に取り組んでいきますので、さらに一層メリハリを付けた予算になるように取り組んでいきたいと思います。
中日新聞 大平樹 氏
編成の過程でですね、各部局からの要求段階からのお話なんですが、今回査定の中で何回か再調もかなりあったということも聞いてはいるんですが、新しい知事としてですね、県庁の中にこの予算編成を通じてどのようなメッセージを発信しようと思われたか。
長野県知事 阿部守一
そうですね、一つは結果を出してほしいってことですね。要するに広報のための広報とか、普及啓発のための普及啓発ということでは困ると。その先にどういう成果をもたらすのかというのを意識してほしいというのは、多くの場面で言ってまいりました。それから一部の事業はある意味で今までどおりの路線で粛々(しゅくしゅく)といくのではなくて、少し立ち止まって考えるというふうな方向付けをした部分もあります。先程、部局長会議でもお話しましたけれども、例えば『新しい公共の関係』で、NPOとの協力関係みたいな話も円卓会議でまずはしっかり方針を考えて、これからの取り組みを進めていきたいと思っていますし、それから今度新しく組織を作る温暖化対策についても、今までの延長線上の政策を予算化しようと思えばもっといろいろできた部分もありますけれども、そうではなくて新しい組織も作るということで、政策全般を再構築しようということで、一点、私の感覚からすると「ため」を作ったというかね、だらだら続けるのではなくて「ため」を作ってさらにステップアップし、ジャンプアップしてこうというような部分の指示をしたということもあります。全体として事業仕分けにも言えることでありますけれども、やはり県民の皆様方からいただいている貴重な税金を使うわけですから、きっちりと成果、結果を出すこと、それから漫然と進めていくのではなくて、時には立ち止まって方向付けをしっかり考えること、それからいろいろなところで言っていますけれど協働と共創ですね、そういうことで事業展開を図っていく。縦割りの壁をなくして部局間の連携、それから行政と民間の連携を進めていくと、基本的にそういう大きな考え方の中で各部局とのやりとりをしてとりまとめてまいりました。
中日新聞 大平樹 氏
分かりました。
中日新聞 大平樹 氏
最後に事業仕分けのことなんですけど、新年度本格実施ということなんですが、知事として改めて前回の事業仕分けのパイロット事業をどう評価されて、課題がこうだったから県民判定員を導入するだとか、本格実施でこういう形にするというふうな何かご説明があればお願いします。
長野県知事 阿部守一
事業仕分け、今回の先行実施は、ある意味で説明者になった職員は大変だったと思いますけれども、いろいろな意味で成果があったのではないかなと。県民の皆様方からも県政の政策はこういうことをやっているのかということを改めてご理解いただく、あるいはご理解が進んだ面もあると思いますし、それから短時間で事業のあり方を議論するということで、これから分権の時代には、国、県、市町村で役割分担というものも、しっかり考え直していかなければいけませんけれども、県の組織においても、やはり常にそういうことを意識していってもらうという大きな契機にはなってきているのではないかと思っております。これは判定員方式を次年度導入したいと思っておりますが、いろいろなご意見の中には、県内の人だけでやったほうがいいのではないかというご意見もあります。私は実は必ずしもそうは思っていないです。仕分けの議論はある意味で、この議論の仕方とか行政のシステムというものによく分かっている、精通している人が行ったほうが、実は論点は明確になると思っておりますし、なかなか慣れていないというところもあるのかも知れませんけれど、やっぱり県内の人たちだけでやると、私から見ているとやや柔らかな、オブラートに包んだというか、もっとズバッと言ってもらったほうがいいと思うところも、必ずしもそうならない部分もあるのではないかと思いますので、そういう意味で、第三者的な視点というのは、やはり引き続き必要だと思っています。その一方で、とはいえ県の政策でありますから、その判定について県民の皆さんの声を最大限反映するということが重要だと思いますので、そうしたことから今回は判定員方式を導入してさらに改善していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 渡辺知弘 氏
組織改正の関係で改めてお伺いしたいんですけど、今回3課4室の新設・格上げということですが、全体として、どういった狙いがあって、どういった効果を期待するのかということを少し具体的にお伺いできればと思ったんですが、お願いします。
長野県知事 阿部守一
組織は独立しているわけではなくて、これまた私の公約を実現する、そして、先程来言っている、部局横断的に対応していく、そうしたことを具現化していく組織改正だと思っています。次世代サポート課については、これまでもずっと言っているとおり、教育委員会を含めて、全体的に総合調整を行っていきたいと思っていますし、県民協働・NPO(課)は行政と民間との垣根をできるだけ低くしていきたいと。それから温暖化対策(課)は新しい政策課題に取り組むと。私の公約の中にも、新しいエネルギー戦略を作りたいということを申し上げていますので、新エネルギーの普及・拡大含めて考えていくというものであります。並行在来線対策室はややちょっと性格が違いますけれども、これは待ったなしで迫られている事業に適切に対応していくための組織ということで、あと分権については、分権(地方分権推進室)、国際観光推進室、県産材利用推進室については、私から見て、これからの時代に、より長野県として強化していくべき必要がある部分について、室として独立をさせているということであります。以上です。
信濃毎日新聞 渡辺知弘 氏
あと昨年末の会見で、壁がちょっと存在するんじゃないかっていうような趣旨のご発言あったかと思うんですが、今回の改正で、その辺への対応というのもかなりあったということでよろしいんですか。
長野県知事 阿部守一
組織的な対応は次世代サポート課であったり、温暖化対策課もこれは環境部の政策ではなくて、温暖化っていうのは、各部局またがる話ですから、全庁的な調整ももちろんやっていただきたいと思っております。そういう組織的な対応だけではなくて、先程予算の中でも申し上げた行政・財政改革本部であったりとか、移住・交流推進本部であったりとか、そういうものの中で行政組織としての組織じゃなくて、いろいろな本部とか、そういう取組の中でも各部局の縦割り、それから官民の壁、そうしたものは極力なくしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 渡辺知弘 氏
ありがとうございます。
中日新聞 柚木まり氏
予算の中で、教育や医療、福祉といった県民に近い部分に、知事の思いも強い部分も見えるような気がするんですが、先程、補聴器の助成などの話もありましたけれども、社会保障費の自然増がこれから進む中で、国や自治体と分けて、県としての役割というのはどういうふうにお考えになって、今回の予算を組まれたのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私は社会保障関係の制度の根幹は、やはり国がしっかりと担っていってもらうことが重要だと思っています。これは、恐らく地方分権が相当程度進んでも、年金とか医療保険制度の国民皆保険の根幹となる部分というのは、やはり国全体が制度設計をしていって、運用してもらわなければいけない部分だろうと思います。そうした中で、県としては国の目線からなかなか行き届いていない、光が当てられない、そうした分野、そうした方々にはできるだけきめ細かく対応していかなければいけないと思いますし、片一方で市町村との関係もあるので、地域に密着したベースの話は私はできるだけ市町村にやっていっていただきたいと思いますけれども、例えば対象者が比較的少ない、1市町村お一人いるかいらっしゃらないかみたいな政策というのは、なかなか市町村で対応するというのは、バラツキも出て、難しい部分もあるので、そういった点については、県が取り組むとか、あるいは市町村が取り組むのが適切かもしれないけれども、例えば先駆的な事業については県として、ある程度積極的に推進を助長するとか、そういう役割が県としては、国、県、市町村の関係ではあると思います。本来、国、県、市町村の関係性というのがもう少しクリアになれば、本来県がもっと骨太で、何を行うかというのは明確になってくると思います。私は例えば医療の保険制度というのは国が作らなくてはいけないのですけれども、例えば医療保険の運用みたいなものについては、さまざま議論はありますけれども、健康づくりなんかと一緒に、都道府県が積極的な取り組み、運用主体になっていってもいいのではないかと思いますし、今まさにいろんな意味で過渡期の中で、さまざまな困難に直面されている方に対して、県としてできる限りのことを精一杯行っていきたいと、そういう思いであります。
朝日新聞 二階堂友紀 氏
2点伺います。1点目が厳しい財政状況の中で、あえて中学1年生だけに30人学級を導入することの意義というものを改めてちょっと伺いたいんですけども、お願いします。
長野県知事 阿部守一
これは、小学校ではすでに同様の取り組みをしているわけでありますので、中学への今後の拡大ということで、まずは中学校1年生についてということであります。先程来申し上げているように、子どもたちに向き合う時間がなかなか取れないという、学校の先生方の思いとか、現場の声というものももちろん踏まえていかなければいけないし、そういうことが重要だと思っていますが、それと同時に、少人数学級にすることが目的化してしまっては困ると思いますので、そうした観点で教育委員会でもかなりやり取りをする中で、学力向上プログラム等他の政策も併せて充実強化する中で、長野県の教育力を高めていきたいというふうに思っています。
朝日新聞 二階堂友紀 氏
分かりました。
朝日新聞 二階堂友紀 氏
もう1点ですね、今回の予算の中でですね、条例を作るとかですね、戦略を策定するとか、会議を設置するとかですね、非常にこう理念的なというか、抽象的なものが多いようにも感じるんですけれども、そこら辺についての知事の意図というのを改めて伺わせてください。
長野県知事 阿部守一
意図というか、先程も新県政スタートだと申し上げましたけれども、新しい枠組みとか新しい政策、中長期的なビジョンに基づく政策というのは、5カ年計画の検討に合わせて骨太の方で考えていかなければならないと思いますし、そこまで行かないようなものでも、少し検討体制、議論の体制というのも整えながら、広く県民の皆さんの声を集めた取り組みを行っていきたいというものがいろいろあります。例えば、移住交流推進本部みたいな話も、市町村かなり熱心に取り組んでいますし、他の県も、かなり先行しているところと遅れているところと差があるように思っていますけれども、私は長野県まだまだ潜在力が高い、他の地域から見て魅力度が高い地域だと思っていますので、そうしたものについては、きちんとした体制を作らなければ、なんとなく個別政策の羅列みたいな話ではいけないだろうと思っていますので、こうした本部をつくったり、あるいは障害者差別禁止条例に向けた研究会みたいなもの、これは「条例を作りました」ということではなくて、私は子どもの権利条例にしても障害者差別禁止条例にしても、条例を作るプロセス自身も大事だと思いますし、また条例ができた後、本当に一人ひとりの県民がその条例を意識していただける環境を作るということが大事だと思っていますので、形だけの研究会とか検討会とか、そんなものを作っているつもりは全くないです。とかく行政は何とか検討会議を作ったから、それでなんとなくその政策に取り組んでいますというポーズを作りがちでありますが、私は全くそういうことは、大嫌いでありますので、やるからには具体的な成果に結びつけると、そういう気概をもって関係部局には取り組んでいってもらいたいと思っています。
朝日新聞 二階堂友紀 氏
分かりました。
毎日新聞 光田宗義 氏
県債についてお伺いしたいのですが、昨年の知事選のときにですね、知事は臨時財政対策債を含めた県債残高全体の縮減ということを掲げてらっしゃったと思うんですが、一方で中期試算でですね、見通しとしては平成27年度までは増えていくということが示されているんですけれど、その残高についての基本的な考えを教えてください。
長野県知事 阿部守一
中長期的には県債残高縮減をしていくという取り組みを行う必要があると思っています。短期的には、経済対策、雇用対策を進めてきておりますので、やはり財政状況だけではなくて経済状況もにらみながら、弾力的に対応するべきところは対応しなければいけないと思っています。そうした観点を含めて、今回の予算編成方針では、対前年同額以下の発行に抑制するという目標を立てて、今回その目標どおりにしたわけでありますけれども、今後中長期的にどういう財政規律を立てていくのかということは、行政・財政改革本部の中で、十分議論していきたいと思っています。
毎日新聞 光田宗義 氏
ちょっと念のために確認なんですが、知事に就任してみて、現行の国からの交付税が少ない中での措置としての臨財債というのがあって、そういう枠組みを前提とすると、かなり県債残高を縮減していくっていうのは厳しいっていうふうにお感じになってらっしゃるということですかね。
長野県知事 阿部守一
先程来申し上げているように、財政状況は非常に厳しいです。で、特に臨時財政対策債の発行枠というのは、極めて他律的に決まってしまうわけですよね、他律的に。そういう意味では、今年は対前年発行額マイナスは達成できましたけれども、来年度以降どういう環境になるか、経済環境も含めて、税収動向もなかなか不透明なところもありますので、見通せない中では厳しい状況は続くと思っております。ただ、何度も申し上げますけれども、私は中長期的には県債残高の縮減という方向性を考えていかなければいけないと思っていますので、そうした方向性は堅持しつつもその時々の財政状況、経済状況を直視して、現実的な対応を取っていかざるを得ない部分もあるかなと思います。
毎日新聞 光田宗義 氏
ありがとうございます。
読売新聞 香取直武 氏
ちょっと予算と違う話になるんですけども、昨日の愛知でのトリプル選挙についてなんですが、河村さんの一連の手法ですね、リコールやって辞職してという、かつそれが昨日ああいう形で大勝したということについてですね、どう見てらっしゃるかというご所見を伺えればと思うんですが、
長野県知事 阿部守一
それは名古屋市の皆さんとか愛知県の皆さんのご判断が、ああいう形で現れたのだなとまず思います。私は先程も申し上げましたけれども、実はとりあえず税制の話というのはこれまであまり地方選挙レベルで、争点になるということは少なかった、ほとんど無かったと言ってもいいぐらいではないかと思うのですけれども、そういうことが議論のテーマになってきているということは、非常にいい事だと思っています。改革の手法とか、議会との関係がいいとか悪いとか、そこはその地域の皆さんのご判断だと思いますが、私は地方分権をこれから進めていく、あるいは地方自治体が本当に住民の期待に応える行政を行っていくという上では、税というものが一つの争点になっていくということは、いいことではないかと思っています。
読売新聞 香取直武 氏
分かりました。
読売新聞 香取直武 氏
若干関連するんですが、先月の末に知事の新しい後援会が設立されてですね、原則として政党の関係の方は来られなかったということなんですが、今後知事の、後援会もそうですけど、政治活動と政党との距離感というのをどう位置付けてらっしゃるかというのをちょっと改めて伺えればと思うんですが、
長野県知事 阿部守一
政党との距離感・・・。
読売新聞 香取直武 氏
ええ。
長野県知事 阿部守一
これもこの場でも何度も申し上げていると思いますけれども、私は選挙が終わって、知事として県民の皆様全体のために働く立場になっておりますので、そういう意味では、知事としての活動というのは、すべての皆様方のご意見も聞くし、そしてできるだけ多くの皆さんの理解と協力を得ながら進めていく、私として実現をしなければいけないと考えていることについては実現をしていくということが重要だと思っています。
読売新聞 香取直武 氏
分かりました。最後にこれも繰り返しなんですが、統一選でのスタンスは一貫して白紙とおっしゃってますけど、これはまだ考え、変更、変わりはございませんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
変わらないですね。
読売新聞 香取直武 氏
変わらない。一部の県議さんには激励文みたいなものも渡していらっしゃったようですけども。
長野県知事 阿部守一
なんというか、政治活動、選挙運動みたいないろいろありますけども、現時点で多くの県会議員の皆さん、すべての県会議員の皆さんとはいろいろご支援いただいたり、ご助言いただいたりしているわけでありますので、そうした普通の関係性というのは、今でもあるわけでありますが、個別の選挙に応援に行くとか行かないとかという話は、また別の話だと思っています。
読売新聞 香取直武 氏
ありがとうございます。
中日新聞 小松田健一 氏
トリプル選の関連でもう一点お尋ねしたいのですが、選挙結果を見ると、これは二元代表制の否定あるいは批判ですね。あと既存政党、地方議会への批判というのが如実に数字に出ていると思うのですが、知事はこの点はどのようにご覧になってますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私は、二元代表制、地方自治制度自体が、知事と議会、あるいは市長と議会とのある意味でのけん制関係というものも前提にしている制度だと思います。ただ、何というか、議会と首長との関係性というのは、建前の部分と実態の部分、例えばみんな与党化している議会というのは結構多くあるわけですよね。そういうところは二元代表制が否定されてしまっているのかという議論は今まで実はあまり行われてこなかったのではないかというふうに思います。そういう意味では、そういう観点での議論が、まさに行われるようになってきているということは、私は、名古屋市とか愛知県個々のテーマというよりは、日本全体として、議会のあり方というのはどうあるべきかということを考えていく一つの大きな契機にはなりうるのかなと思っています。
中日新聞 小松田健一 氏
そうしますと、阿部知事就任されてから予定調和の世界が通用しなくなった本県議会というのも望ましい姿だとお考えなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
予定調和が議会の皆様方がどういうふうに理解されているか私もよくわからないのですけれども、私としては、感情的な、例えば人間関係的な対立みたいなことが政策決定の場に持ち込まれることはよくないことだと思います。しかしながら、政策面で、例えばこういう予算を増やそうよとか減らそうよとかというところで意見が対立することはあってもいいことだと思いますので、むしろそれが、県民の皆様、住民の皆様方の分かりやすい形で政策論争がなされるということは、それが変なしこりとか、感情のもつれになってしまってはいけないと思いますけれども、政策面の違いみたいなことは、県民の前で開かれた議論が行われるということが、地方自治の活性化にもつながることだと思いますので、愛知県内、名古屋市の状況がこれからどうなっていくのか私もよく分かりませんけれども、しかしながら、自治のあり方というのが、いい方向に変えていく一つの契機になっていけばいいのではないかなと思います。
長野県知事 阿部守一
どうもありがとうございました。
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