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更新日:2019年1月1日
長野県知事 阿部守一
私のほうからは冒頭4点お話ししたいと思います。
1点目ですけれども、先程、部局長会議を開きまして11月25日に開会予定の11月定例県議会に提出する補正予算案、そして条例案を決定致しました。補正予算案ですけれども、お手元に資料をお配りしているかと思いますけれども、22年度11月補正予算案のポイントということで、特色としてはそこに掲げてありますように、一つは新たな県政の実現に向けた取り組みということであります。今、中期総合計画がございますけれども、県民の皆様にさまざまな公約を訴えて当選をさせていただきました。また社会経済情勢も大きく変化してきていると思っておりますので、今後の長野県づくりの方向性を明らかにするという上からも新しい総合計画、5カ年計画の策定に着手してまいりたいと思っております。それから2点目が信州経済戦略会議の設置ということで、これも私の公約の中で長野県経済、狭い意味での製造業、ものづくり産業だけではなくて農林業、観光業、そうしたさまざまな産業分野も含めて長野県のこれからの経済のあり方を考えていく場としての信州経済戦略会議を設置してまいりたいと考えています。それから3点目が信州型事業仕分けの先行実施ということで、これは9月県議会からご議論もありましたし、ご意見をいただきながら来年の1月に実施する方向で今回予算を計上して取り組んでいきたいと思っております。それから大きな2点目が切れ目のない経済対策の実施ということで、政府においても補正予算の審議が行われておりますけれども、長野県としてもこれまでの対策に引き続いて切れ目のない対策を行っていきたいと思っております。そこに書いてございますように、経済対策で積んできた基金がございますので、そうしたものを有効に活用して医療施設の耐震化ですとか、さらなる緊急雇用の創出といったようなことに取り組んでまいります。それから国の経済対策第二段などに対応するという観点で、道路の長寿命化ですとか河川の防災対策、そうした公共事業について前倒しで取り組んでいきたいと考えております。さらには県単独事業に関して債務負担行為を設定して道路の維持補修、区画線の整備でありますとか、あるいは横断歩道の設置とか、そうしたものについて前倒しで取り組んでいくことができるように措置をしてまいります。3点目が児童高齢者福祉の基盤強化ということであります。子どもを取り巻く環境は非常にいろいろな課題が増えております。児童相談所もそうした答えの対応に追われているわけでありますけれども、施設の整備という観点から中央児童相談所の移転改築に取り組んでまいります。相談機能の強化あるいは一時保護児童の処遇改善という、子どもたちに対するサービスの向上も含めて機能強化を行ってまいりたいと考えています。それから老人福祉施設等の整備ということで、これは伊那市における特別養護老人ホームの整備に対して支援を行っていこうというものであります。最後4点目が長野県教育の充実ということで、屋代高校が中高一貫校になるということでございますので、高校に併設する中学校校舎の設計、それから飯山北高校と飯山高等学校の統合に伴う新校舎の建設のために既存施設の解体工事を行っていくといったような、教育環境を整備していくための予算についても盛り込ませていただきました。以上トータルで今回の補正予算額160億7,891万3千円ということであります。補正予算については以上でございます。11月補正予算案を県議会で議決をいただければ、直ちに事業の執行に取り掛かって全庁を挙げて経済対策に取り組んでまいりたいと考えています。また国の経済対策に関しましては、今回計上できなかったものもございますので、今後の動向を注視しながら適切に対応を行ってまいります。条例案に関しましては、今年の人事委員会勧告に基づく給与改定にかかる3件の条例案を含めて一部改正条例案全部で8件を提出する予定でございます。11月議会の関係は以上でございます。
それから次に今、補正の中でも申し上げましたが、新たな総合5カ年計画の策定ということに取り組んでまいります。現在の中期総合計画は平成19年の12月に県民の皆様方からもご意見をいただきながら、そして議会の議決も経ながら策定したわけであります。現在は現行計画を尊重しながら政策を進めているわけであります。他方で計画策定後3年を経過していくという状況の中で、一昨年のリーマンショック以降、経済雇用情勢も急速に悪化しておりますし、私も選挙でさまざまな公約を掲げて当選をさせていただいたわけであります。こうした県政を取り巻く状況の変化、環境の変化に対応して、今後の県づくりの方向性を明らかにするために、現在の計画を1年前倒しして平成24年度を初年度とした新たな総合5カ年計画を作ってまいりたいと考えています。
それから3点目でございますが、技能五輪・アビリンピックが長野県で2012年に開催することにしております。明日でちょうど700日前ということになります。今回、大会のスローガンを決定致しました。2,679点の応募があったわけでありますけれども、その中から多くの若手技能者が長野県に集まる大会にふさわしい作品として、大会スローガン「競う技 未来を拓(ひら)く ゆめ 長野」こういうスローガンに決定を致しました。これは東京都世田谷区の会社員兼作詞家の保岡直樹さんの作であります。今後ポスターでありますとかパンフレット、CM等大会の広報活動に大いに広く活用してまいりたいと思っています。
それから4点目でございますが、行政委員の報酬の見直しに取り組んでいきたいと思っております。これは全国知事会の中でもいろいろ議論がありますし、都道府県ごとにいろいろな検討がなされてきているわけであります。行政委員の報酬のあり方については住民の中にもさまざまなご意見があるという部分もございますので、社会経済情勢の変化に対応して行政委員の報酬のあり方をどうするべきかということについて検討を行ってまいりたいと考えています。外部の有識者の検討会を設置して検討を行っていきたいと思っております。12月中には第1回の検討会を開催して、来年度の半ばくらいには一定の方向性を出していただくようにお願いをしていきたいと思っています。
後、昨日、これはちょっと4点に入っていませんけれども、日滝原産業団地の分譲の調印式をマルコメ株式会社様と行わせていただきましたが、県としてはさらなる取り組みを、産業団地の分譲そして県内経済の活性化に取り組んでいきたいと思っておりますが、今回商工労働部が頑張っていただいた成果もあってこうした取り組みにつながったわけでありますけれども、今後私自身も積極的にトップセールスに取り組んでいきたいと思っています。私のほうからは以上でございます。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
今説明がありました行政委員の報酬見直しの関係なんですけれども、今訴訟にもなっていると思うんですが、今日か口頭弁論があったかと思うんですけれども、そうすると訴訟の進行に関してはしばらく県側の見直し作業が進むので何らかの対応の変化というのは今後出てくるんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは私は報酬、まあ条例に基づく形で報酬支給がされてきているわけでありますので、今回の検討というのは将来に向けてどうしていこうかということで考えていきたいと思っております。そういう観点で、今回の見直しと訴訟というものは別のものだというふうに考えています。各委員の業務のあり方をしっかりと踏まえて未来志向で、今後これからどうしていく必要があるのかという観点で検討していきたいと、検討委員会の皆さんに検討をお願いしたいと思っています。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
検討委員会というのは知事の諮問機関みたいなものを新たに設置するような形になるんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。検討会を作ってそこで第三者的な立場で議論をしていただきたいと思っています。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
特別職に関して従前見直しした審議会か何かがありましたが、あれとはまた別のものということなんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
特別職報酬審議会がありますけれども、条例設置になっていてそこの守備範囲には該当しないことになりますので、今回別途検討会を作ってご審議いただきたいと思っています。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
分かりました。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
それから5カ年計画の関係なんですけれども、現時点で現行計画だとある程度全県にわたる計画ということで前知事の方針として多少総花的にはなるかもしれないけれどということで各般にわたっている計画になっているんですけれども、知事の方針としては次の新しい計画についてどんなイメージをもっているのかということと、具体的には総計審(総合計画審議会)が議論の場になると思うんですけれども、現行計画の課題を拾い上げて直していくという作業なのか、むしろ知事の公約を実現するということをまず限定的に掲げた上で構築していくのか、その辺の考え方はいかがですか。
長野県知事 阿部守一
後者のご質問からお答えすると、両方だと思いますね。行政は継続して取り組まなければいけないこともあるので、今の計画の中身についても十分踏まえていく必要があると思います。その一方で私の公約についても実現を目指していきたいと思っていますから、両方合わせた形になると思います。これから総合計画審議会等で十分議論してご意見をいただきたいと思っていますけれども、私自身は哲学編というか理念編というかですね、いろいろなところで申し上げていますけれども、まさに時代が大きく変わろうとしています。それは国際的な環境もそうだと思いますし、日本自体の人口の年齢構成あるいは人口減少という大きな転換期にさしかかっているわけでありますから、そうした中で今までと同じような政策の延長だけでは幸福な社会、明るい社会というのは築いていけないのだろうと私は思っていますので、そうした観点でどういう社会像を長野県として目指すのかというビジョンをまずはしっかりと提示するようにしたいと思いますし、それと合わせて具体的な取り組み目標、私は県政は確かにいろいろな分野さまざまな政策を行っているわけですけれども、できるだけ県民の皆さんと共通の目標を掲げて進んでいけるような目標設定が望ましいのではないかと、そうすることになると逆にあれもこれもいっぱいいろいろな目標があるのではなくて、ある程度分野ごとに本当に優先されるべき、達成されるべき目標があってそれに向けてどういう政策に取り組んでいくかということをぶら下げて行くという形が必要になってくるのではないかと思っています。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
分かりました。あともう一つ、信州経済戦略会議の設置に関してですけれども、これは横断的に総合的に検討するという意味では趣旨は分かったんですが、将来的に会議で検討したものというのは何らかの大綱といいますかそういったものをまとめて示すというような形をイメージされているのか、それとも課題についてそれぞれ検討していくというような話なのか、どんなイメージなんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
ものによりけりだと思います。ただ審議会みたいに諮問、答申してまとめて、はいそれを出してもらいますというような形にしようとは思っていませんので、私自身も入って県の関係する部長も入って一緒になって議論しますので、そういう意味では答申をまとめてもらうというようなイメージではなくて、委員の皆様からも問題提起をしてもらったりとかですね、テーマを投げかけてもらうような形をする中で一緒になってこれからのビジョンを考えて行きたいと思っています。具体的にはそこで出てきた議論を一定の形で取りまとめるという場合もあると思いますし、出てきた意見で早急に取り組まなければいけないようなものは県の政策・施策にすぐに取り組んだり、国に対しての提言に結びつけたりといったようなこともあると思いますので、画一的な形で半年検討して取りまとめをするというようなイメージでは必ずしもありません。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
補正予算についてお伺いします。今回の補正予算について、知事の評価と言いますか感想、それからこの予算を通じてどういうことを実現していきたいかについて改めてちょっとお聞かせいただければと思います。
長野県知事 阿部守一
これは私の方針も踏まえてですね、各部局でしっかりと今何が必要かということを検討してもらって取りまとめてもらったものということで、いわゆる経済対策についてもしっかりと盛り込みましたし、来年度以降、私が県政を進めていくにあたっての今の中期計画とか経済戦略会議とかそうした次のステップに向けての種まき的な予算も盛り込むことができたと思っておりますので、そういう意味では私自身は現時点では最善の案を作れたのではないかと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
一つ目は、先程の行政委員の報酬の話なんですけれども、当然その焦点は今の月額給料制のような形をどんなふうにしていくかということだと思いますが、今、知事会のプロジェクトチームなどの動きもある中で、当然見直しをしていくということは知事も問題意識を持っていらっしゃるという意味だとは思いますけれども、知事が現況ですね行政委員の現在の報酬の形についてはどんな点に見直しの余地があるというふうにお考えかお話しください。
長野県知事 阿部守一
これは、私があまり言うと検討会で検討する意味がなくなってしまうのですが、今、地方自治法に基づいて行政委員の報酬については非常勤職員ですから「勤務日数に応じて支給する」と、「ただし条例で特別の定めをした場合はこの限りでない」という形になっていて、条例で定めをしていることに基づいて支給されていれば私は適法なものだと思っております。しかしながら、公務員の給与報酬についても国レベル地方レベルいろいろな議論があるわけでありますし、この行政委員の報酬のあり方についても現実問題、今、お話しがあった知事会でもいろいろな議論がされているし、各都道府県でもさまざまな検討が行われてきているという状況がありますから、私は今の現時点の社会経済環境において、そして行政委員の勤務実態というものに照らしてですね、どういう形が本当にいいのかということを県としてしっかりと考えていく必要があると、要は条例で定めるということになっていますから、私は、唯一絶対これが正解というものは実は無いと思っています。むしろ条例で決めるわけですから、ものによっては他の県と考え方が違うということも私はあってもいいのではないかと、それがまさに地方自治だと思いますので、そういうことも含めて、ぜひ第三者の皆様方にそもそも論からどうあるべきかということを議論していっていただきたいと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
分かりました。それから対象になる行政委員はですね、今訴訟になっている4つでしたか委員会を基本的には対象に考えていらっしゃるのか、それともそれ以外の他の行政委員についても考えていらっしゃるのかどのぐらいを想定していますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは別に先程申し上げたように訴訟の話とは関係ない発想で私は取り組まなければいけないと思っていますので、そういう意味では訴訟になっているなっていないにかかわらず行政委員の報酬のあり方という観点で検討を行ってまいりたいと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
分かりました。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
それから三つ目はまったく違う質問なんですが、補正のほうの話ですけれども、先程「今できる中では最善の」というお話がありましたけれども、今回かなり公共事業を中心にしたですね経済対策が規模とすればかなり大きなものになるんだと思いますけれども、今回の知事ご自身の中でのですね財政規律との兼ね合いの考え方とすれば新規の県債発行が一般会計で66億の規模になるんで比較的大きくなるんだと思いますけれども、今回はやはり今の経済状況から考えて経済対策を優先したと受け取ればよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まったく意識していないわけではないわけで、前回の9月補正のとき、県単事業の県債発行については行わないということでありました。今回、県単独の公共事業ではなくて国の補助事業あるいは直轄事業負担金という形になっておりますので、今の経済状況を考えれば国の補助事業、直轄事業負担金の抑制というよりは起債の発行にはつながりますけれども、やはり事業の実施のほうを優先したということであります。財政規律のあり方については来年度当初予算、あるいはその以後のあり方については別途十分に検討していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
分かりました、ありがとうございます。
日本経済新聞 川名如廣 氏
先程の産業団地の件でトップセールスなさるということですが、「土地があります、助成があります」だと他県と横並びになってしまうと思うんですが、知事がお考えの長野県に来てもらうためのセールスポイント、どんなことをお考えか教えてください。
長野県知事 阿部守一
なるほど、これはどこの地域と競争するかということにもよると思いますけれども、私は長野県の生活環境、自然環境も含めて非常に優れたものがあると思っていますし、地域的にやや違いはありますけれども、例えば高速交通体系、高速道路あるいは新幹線そうした部分で恵まれている地域でもあると思っています。そうしたことも含めてしっかりとアピールをしていかなければいけないと思っておりますが、これは先程の中期計画なんかの議論とも関連してきますけれども、私は健康と環境、そうしたものを信州の特色としてしっかり売り込んでいきたいと思っておりますので、今回のマルコメさんもある意味で長野県の伝統産業かつ健康、日本食は海外でも受け入れられている非常にヘルシーな文化でありますから、そうしたコンセプトには非常に合った企業に立地してもらったなと思っておりますので、そうした立地していただく企業との相性も含めて宣伝をしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 百瀬平和 氏
国が検討している後期高齢者医療制度に代わる新しい高齢者医療制度に関しまして75歳以上の大半が移行するとされる国民健康保険の運営主体に関して都道府県が担うべきじゃないかという意見が多数を占めているという案が示されていますが、まだある段階で財政設計の枠組みとかはっきりはしていませんけれども都道府県が主体となっていくという方向性について現段階でどういうふうに受け止めてらっしゃるかお聞きしたいんですが。
長野県知事 阿部守一
私は、まず国民健康保険を含む健康保険制度のあり方というのは日本の非常に優れた制度、国民皆保険、優れた制度でこれまできていたと思います。ただ今、財政的な面で転換期に差し掛かっているわけであります。そうした中で誰が主体で行うべきかということと財政措置をどうするべきかということをあまりごちゃごちゃに議論するといい結果にならないのではないかと思っておりまして、市町村単位のものを広域化していくということは保険の単位としては私はある意味で当然の方向性だろうなと思います。その上で、国単位という議論もあり得ると思いますが、都道府県単位でやるということであれば私は広域連合という形よりは責任の所在が明確な県のほうが望ましいだろうと思います。ただ、今、国民健康保険もさまざまな課題があるわけですので、今のまま単純に市町村から県に事務を移譲すればそれでよしということにはならないと思いますので、本当に持続可能性のある制度、財政制度になるように国にもっとしっかりと説明をしてもらわなければいけないし、国がしっかり考えてもらわなければいけないと思いますし、あるいは県と市町村も一緒になって取り組んでいかなければいけない分野だと思いますので、そうした観点で県が担うということについて私は基本的な方向性としては間違っていないと思いますけれども、その前段としての財政制度をどうしていくかということの議論を抜きにして直ちに「はい分かりました」ということにはならないと思っています。
信濃毎日新聞 百瀬平和 氏
来週月曜日の全国知事会でもこの話題が議題になると思うんですけれども、全国の知事の中では以前から都道府県が主体になることに関して慎重意見が多くて、むしろ広域連合のほうがいいんじゃないかという意見のほうが多いんですけれども、そういうことを踏まえまして知事会議で阿部知事として何か発言するような考えはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今回初めて全国知事会議に参加するのでどういう場面があるのか分からないですけども、必要な場面があれば当然発言はしたいと思います。広域化の話は確かに全般的にいろいろなアンケート等を見ると反対というところが多いようですけれども、私も先程申し上げたように、もろ手を上げて大賛成ということではなくて、本来のあり方を考えれば都道府県のほうが私はいいと思っています。財政制度については、しっかりと国がより深く検討して制度を提示してもらう必要があるのではないかと思います。
中日新聞 大平樹 氏
まず信州経済戦略会議についてお伺いしたいんですが、先程半年議論して取りまとめというものではないというようなお話しもあったんですが、そうするとこの会議の位置付けというかですね、多分最上位の計画としてはこの5カ年計画があって、そういう中の一環でこれを扱っていくような話なのか、この会で出た結論が県政にとってどういう位置付けになってくるのかその立ち位置をもうちょっとはっきりと説明いただけますか。
長野県知事 阿部守一
会議で出た結論は、私も参加する会議ですから、その場に部長も参加してもらいますから「これでやろう」とか「これを検討しよう」とかそこで決めたものはその方向で実施していくという形になりますので、審議会みたいな形だと審議会で取りまとめてそれを踏まえて計画を作ってそれで何かするみたいな形になりますけれども、そうではなくてより機動的かつ、関係部長も入るので横断的に動けるような形にしていきたいと思っています。
中日新聞 大平樹 氏
分かりました。すみません後、改めて信州型事業仕分けの予算が盛り込まれているので、現時点で当初イメージされていた事業仕分けのイメージと試行で行うということのギャップっていうのはどのくらい知事の中であるんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
ギャップっていうのはほとんどないですね。1月の予算編成直前になるということで、やや対象事業について絞り込まないと現実問題、時期的に難しいという点はややありますけれども、それを除けば基本的にギャップというものはないですね。
中日新聞 大平樹 氏
そのスケジュール的に厳しいという中で、ある程度妥協した部分あるんではないかと思うんですけれど、そこら辺は全くないということなんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
時間的余裕があれば、例えば市町村を始めとしていろいろな関係機関がいっぱいあるようなものも対象にすることは可能だと思いますけれども、すべてがすべて予算に結びつくかどうか分かりませんけれども、その可能性もあるのでそういうところは今回は対象にしないとことで考えていますので、そこの部分は確かに対象事業の選択の幅はやや狭めになったというところはあるかもしれませんけれども、基本的に住民の皆さんの前でオープンな形で、第三者の意見の中で議論してもらうという基本のところは変わっていないですから、その点は特に私としてギャップがあるなという思いは正直ございません。
中日新聞 大平樹 氏
すみません。あと補正予算についてお伺いしたいんですが、ほとんど経済対策の関連予算が大半、ほとんどを占めているという状況で国の補正予算などを活用しながらの事業実施になると思うんですが、改めて県財政の厳しさっていうものが、今どういう状況にあるのかということを知事の認識というのは教えていただけますか。
長野県知事 阿部守一
県財政の厳しさというのは、まあ厳しいですよね。よく最近申し上げているのは、今年の当初予算8,600億円ありますけれども、そのうちで税収が1,800億円で、要は住民の皆さんから直接いただいているお金だけではほとんど県の仕事の何分の一しか賄えない。人件費が2,600億円ですから税収だけでは人件費も賄えないという状況ですよね。長野県財政の収入のウェイトとして大きいのが地方交付税が2,200億円ありますけれども、これも県債の話との関連で、いろいろなところで申し上げているのは、交付税制度自体が持続可能性が本当に大丈夫なのかという部分があると思っています。臨時財政対策債で交付税の足らない分を埋めたりですね、あるいはこの間の仕分けでも、明らかになったというか、公表はされていたけれどもあまり国民の皆さんには認識されていなかったわけですけど、34兆円弱の借入金が交付税特別会計自体にも存在しているというような中で、県の収入の大勢を占める交付税のあり方というのは非常に今後の動向は県としても注視しなきゃいけない話でありますから、そういう意味でいろいろな観点から財政制度のあり方というのも曲がり角にきているというふうに思いますし、長野県単体をとった財政自体も非常に硬直化しているし、余裕、ゆとりがない状況であるというのが現状です。
中日新聞 大平樹 氏
分かりました。
中日新聞 大平樹 氏
すみません、最後に全然関係ないですけれども国の事業仕分け第3弾はこれでひと段落なのかなと思っています。改めて国の事業仕分けをどういうふうに評価されているかお伺いできますか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。第1弾のときはいわば当事者でかかわって、第2弾、第3弾は外野から見ていたという感じですけれども、私は事業仕分けの意義は国民の皆様方が直接その事業の本当の姿に触れて、それぞれの皆さんが仕分け人の議論を聞く中で、それぞれの皆さんがやはり国の仕事なり、国の政策なりについていろいろな問題意識を持たれた部分があると思います。そういう意味でなんというか、民主主義の基本というかですね、なんとなく分からないところで物事が決まっているということが、公開の場での議論になったという点では大きな行政の進歩だと私は思います。地方自治体の事業仕分けを私も仕分け人でやりましたけれども、なんとか国の仕分けができないものかと思っていました。なぜかっていうと、地方自治体の仕分けをいくらやっても、これは国の補助金でこうなっているからしょうがないとか、これは法律でこうなっているからしょうがないというのが非常に多いです。だから地方自治体の仕分けから仕分けはスタートしましたけれども、仕分けにかかわっていた人たちの多くの思いは、やはり国の仕分けをしなければいけないのではないかというのは常に思っていましたから、そういう意味で昨年の11月に政府が、その前に自民党が国の事業に対しても仕分けを行いましたけれども、あれは党として行ったので、政府として行った意義は私は非常に大きいと思っています。ただ、今回第3弾の場でもいろいろな議論があります。まあパフォーマンスなっているのではないかとか、あるいはその仕分け結果がもう1回復活してゾンビみたいな事業があるのではないかとか、いろいろな議論がありますので、私自身はまだまだ改善するべき点はあると思いますし、その一方で、あまりにも仕分けだけに頼らない仕組みっていうものを次の段階は考えていく必要があるのではないかと思います。国会の審議があったり、あるいは行政評価があったり、会計検査があったりしているわけですから、そうしたものと国民に対する公開性、それからあるいは実効性みたいなものについてはさらに考えるべき点はあるというふうに思います。昨日、仕分けが終わった後、今後の仕分けについての議論を蓮舫大臣、枝野幹事長代理、あるいは加藤事務局長、仕分け人と議論したみたいで、私はそこの議論がどういう議論になったか後でまたよく聞いてみたいと思いますけれども、おそらく次のステップに向けていろいろな反省事項が出されたのではないかなと思います。以上です。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
中期総合計画について、先程、知事も県民と共通の目標を掲げて共有できるのが望ましいというようなことでおっしゃっていましたけれども、前回の中期総合計画も県民意見を各地で聞いたりとか取り組みをしていたみたいですが、今回、県民意見をより反映させるために、こういう方向性がありうるんじゃないかというようなアイデアの方向性があればお尋ねしたいなということと、それから、知事会が特区の共同提案をしたことについて、先程、部局長会議でも触れてらっしゃいましたが、今回、県からは特区提案がなかったということで指摘されていましたけれども、知事の今お考えの範囲で、例えば地方自治の分野とか、産業の分野とか、今お考えの範囲でこういうところにはもしかして提案していく芽があるんじゃないかというお考えがあればお聞かせ願いたいのですが。
長野県知事 阿部守一
まず5カ年計画の意見ですけれども、私自身5カ年にかかわらず、現場に出かけて行って県民の皆さんとできるだけ意見交換したいと申し上げてきていますので、タウンミーティングとかランチミーティングとかやっていますけれども、具体的な形の計画のたたき台なり方向性が出てくれば、そうした場でもですね、県民の皆さんとぜひこの計画のあり方、あるいは目標のあり方、そうしたものについては議論していきたいと思っております。いろいろな意見の聞き方があると思いますけれども、なんとなくホームページに載っけて意見がきたとか、こないとか、それだけではなくて、こちら側から出かけて行ってですね、一緒になって考えるようなことを考えていきたいと思います。県が主催するだけじゃなくて、いろいろな県内の取り組みをされている皆さんが、声を掛けていただければ県の職員も出前講座ということで伺ったりしていますし、私自身もそういう場があれば、できるだけ体が空いている限りはですね、伺って意見交換をしていきたいというふうに思います。
それから特区の関係ですが、これはまず国のさまざまな関与とかさまざまな規制がある中で、国の枠組みの中で止まるというような発想であってはいけないと思っています。むしろ実際の問題が分かっているのは現場ですから、現場を基点にしていろいろな改革、規制緩和あるいは場合によったら強化ということも提案していく必要があるのではないかと思います。具体的に、例えば先ほどもちょっと例で申し上げましたけれども、直売所を作るときに農地法、それから都市計画法、いくつかクリアしていかなければいけない土地利用規制の法令がありますけれども、そうしたものが長野県の実状に本当に適合しているものであるのかというようなことは、考えていかなきゃいけない分野だと思いますし、考える前に実際に問題意識を持っている皆さんにぜひ、どんどん声をあげていただきたいなというふうに思います。それからこれも先程申し上げましたけれども、県に対しても言われている部分がありますけれども、いろいろな補助金とか許認可の申請書類が大変多すぎるのではないかと、まあこれ、国の関係、県の関係両方ありますけれども、そうしたものについても規制とは直接関係ないですけれども、ある意味で「これ出せ」と言っているわけですから、ある意味で縛っているわけですから、「これをやらなければ補助金出さないよ」と例えば言っているようなものについては、極力ですね、簡素化をすることを旨としていかなければいけないと思いますし、いろいろな分野でさまざまな課題があると私は思います。
読売新聞 香取直武 氏
今回補正で公約がいろいろ予算措置されているようなんですけれども、公約にあった女性副知事の登用ってのは、今回もなされないようなんですけども、今現状どういうお考えでいらっしゃって、今後どういう形で実現されようとされてるかお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
女性副知事の登用もぜひできるだけ早く実現していきたいと思いますが、何分、人が相手の話ですから、私なりにいろいろな方の候補として想定できるような方を選定するように、今考えているところです。いろいろ私のところにこういう方がいるのではないかというお話もありますし、そうした中で私自身が、本当に県民の皆様方に責任を持って、お薦めできるような方を選んでいきたいと思っています。
読売新聞 香取直武 氏
どうなんでしょうか、例えば、いろいろ中央官庁からとかですね、プロパーとか民間とかいろいろ選択肢あるかと思うんですけども、どういう方が望ましいと思ってらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
私は、属性というか、ここに属していたからとかっていうことよりは、やはりその人の能力、あるいは魅力というと変なのかもしれませんけども、それ次第だろうと思っているので、今の時点で、こういう何て言うか属性の人から選ぼうということで枠をはめているわけではありません。
読売新聞 香取直武 氏
分かりました。
読売新聞 香取直武 氏
それとですね、国の予算の編成のシーズンにもなってくるかと思うんですが、事業仕分けで削られた、国の事業仕分けでですね、昨年削られた公共交通とかですね、山小屋トイレみたいなものですね。ああいうのも非常に注目してるんですが、先般の政策コンテストでもですね、依然として厳しい評価をされているようなんですけれども、その辺のちょっと受け止めを改めて伺います。
長野県知事 阿部守一
公共交通。
読売新聞 香取直武 氏
そうですね。はい。
長野県知事 阿部守一
これは、私は事業仕分けの問題にされている部分がありますけども、まあ実は必ずしもそうじゃないと思っています。一番の問題は事業仕分けは皆さんもご存知のとおり事業仕分けって誰が、そもそもその事業が必要なのか、必要じゃないのか、やるとすれば誰がやるのがいいのか、誰かがやるときに見直す必要がないか、そういう思考パターンでやっていますけども、例えば、鳥獣被害にしても、地域公共交通にしても、多くのものはより地方が責任を持って行うべきじゃないかっていうものが、地方側の不満が出ている事業については、私は非常に多いと思っています。要するに地方自治体が仕分け結果に不満を持っているものは実は本来、地方の仕事、国がこの分権の時代に、例えば鳥獣被害の柵を作るところに補助金を出すべきなのか、あるいは過疎地域のバスを維持することについて、いちいち国が補助金を出すのがいいのかそういう議論ですよね。これはまさに分権と集権の変わり目なので、そういう議論が私は実は起きているのではないかというふうに思っています。仕分けは、あるべき論で議論していますから、あるべき論で議論すれば、これは地方だよねと、国が何でこんなことまでやっているのだという話になるわけですけども、逆に地方自体、私どもも含めて地方自治体は現実の社会でやっているわけですから、いきなりあるべき論でこられても困っちゃうよ、という部分が実は齟齬(そご)の要因ではないかというふうに思っています。本来行うべきことは仕分け結果を、単純な事業の是非ということだけではなくてもっと大きな制度論にしていくと。今の地域公共交通があれば、本当に国が権限と財源を握ったまま、地域公共交通というものを支援していく社会が望ましいと考えるのか、いや、もうこういう分野については都道府県とか市町村に権限も財源も含めて任せていこうとするのか、まさにそこが明確にならないので、そういう議論になってしまうと私は思っていますので、仕分けの問題点の議論として、仕分けの後のフォローが不十分じゃないかっていう議論がよくあります。これは予算においては、各省庁とですね、行政刷新会議で決めたことを各省庁と財務省の予算のやりとりに委ねられてしまっているというところに、そういう齟齬(そご)の原因があると思いますし、もうひとつは今申し上げたように、もう少し上位の、そもそも論のあり方のところ、国と地方のあり方のところまで踏み込んで整理をしなければいけないところが、必ずしもそうなりきれてないというところに意見がどうも食い違ってしまう要因があるのではないかなと私は思っています。
読売新聞 香取直武 氏
分かりました。そもそも論というところは分かるんですけれども、来年度予算という意味でしぼった場合ですね、削られた分っていうのは・・・
長野県知事 阿部守一
そういう意味では、私が先程言った現実側で予算編成執行する立場ですから、これは政府に対しては地域公共交通にしても鳥獣被害対策にしても、単純に削減するということでは困ると、しっかり予算の確保をお願いをしている立場でありますが、さらにその先を言えば、本当に分権型の社会、地域主権、地方分権、明確に進めていただきたいと思っています。
読売新聞 香取直武 氏
分かりました。
読売新聞 香取直武 氏
最後にもう1点、話はまた変わって子ども手当の話なんですけれども、どうやら来年以降もですね、地方負担分は残ったままで一部金額を上げるということになりそうなんですが、これに対して他県の知事さんなんかは非常に反発が強くてですね、事務を返上するべきだとかですね、そういうことをおっしゃる方もいらっしゃるんですが、阿部知事はこの問題についてどう考えていらっしゃいますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
子ども手当は、国の政策でやるものについては国の財源でやってもらうということが大原則だと思っていますので。要はですね、これはかつて副知事のときにも思いましたけれども、国と県と市町村がそれぞれお金を持ち合いながらやる事業というのは、みんなが同じ方向を向いているときはそれでもよかったと思うのですけれど、例えば昔みたいに学校が足りないからみんなで全国に学校を造りましょうという時は、国も地方も協力してやっていきましょうと、それは共通の目標に向けて国も地方も取り組めたし、住民、国民もこれは地元にちゃんと立派な学校を造ってほしいというのが多くの願いだったからそうなっているわけで、これだけいろいろなニーズが多様化して、そして国も地方も地方分権だということで、政府としても考え方としては進めていこうという中で、国が主導したものに地方がお金の上で付き合うというようなことは、これからは無くしていく方向で考えていく必要があるだろうと思います。
読売新聞 香取直武 氏
神奈川の知事なんかはですね、もうやらんとか言っていますが、そういう方向にどちらかというと連携していこうというお考えですか、今のところは。
長野県知事 阿部守一
それはまだ政府も明確に方針を決めているわけではないと思いますので、状況を見ながら考えたいと思いますけれども、私自身は国の事業は国の財源でやってもらうと、とりわけ今回の場合は現金給付をするという話ですから、国と地方の役割分担といった観点からも現金給付、年金を含めた現金給付的なところは国がしっかりと責任を持ってやってもらって、それぞれの地域における現物サービス的な保育所の整備とかですね、そういう部分は地方自治体がやるという役割分担が私は望ましいと思っています。
読売新聞 香取直武 氏
分かりました。ありがとうございます。
中日新聞 柚木まり 氏
先日ですね、リハビリのあり方検討会で若年の脳損傷者のリハビリのあり方について考えるワーキングチームの設置が合意されたんですけれども、阿部知事も先月の前回の議会で答弁されていましたが、県としてある意味国に先行してこういう話題を議論することになると思うんですけれども、県としてどういうことができるのか、県として国に求めていかなきゃいけないこともあると思うんですが、どういうことができるというイメージをされていますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まずは若年脳損傷の皆さんに対しての調査というのは長野県は他の地域に先駆けて行ったわけですから、その成果をしっかりと生かして、何というか、今までの制度の枠にはまらない、高齢者のリハビリとか単純な医療とかですね、そういう枠に入らない皆さんをどうやって支えていくかということについてしっかりと考えていく必要があると思います。そうした中で、これは国に対して制度改正を求めていかなければいけないという部分も出てくると思いますし、その一方で制度だけではなくて地域でどうやって支えていくかということについても具体的なあり方を考えて行く必要があると思いますので、それを地域としては実行をしていくということだと思います。
長野県知事 阿部守一
どうもありがとうございました。
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