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更新日:2026年2月3日
畜産試験場
令和8年1月16日、長野市で開催された「第70回長野県畜産技術研究発表会」において、畜産試験場の研究員が最新の研究成果を発表しました。同大会は、県内の畜産関係機関・団体などの技術者が一堂に会し、調査研究や生産現場での技術改善の成果を発表する場として、毎年1月に開催されています。
今回、畜産試験場からは6課題の研究成果を発表しましたので、その概要をご紹介します。
「柿皮を原料とした飼料給与が牛のメタン発生抑制効果に係る検討」
牛がゲップとして排出する呼気に含まれるメタンは、地球温暖化の大きな要因とされ、これを抑制する飼料成分等が注目されています。そこで南信州の特産品である干柿の製造工程で大量に発生する柿皮中の「タンニン」に着目し、柿皮をパウダー状に加工した製品及び乾燥柿皮を粉砕した物を乳牛の餌に混ぜて効果があるかを検討しました。この結果、柿皮パウダー及び乾燥柿皮粉砕物のメタン抑制効果は、若干期待されるものの、牛用メタン抑制資材として市販されている飼料(ブロモホルム)より低い結果となりました。
●「繁殖豚の妊娠期における行動自由度の向上が生産性と快適性に及ぼす影響」
繁殖豚が一定程度自由に行動できる設備「フリーアクセスストール」について、その運用方法を検討し、繁殖豚の生産性と快適性を調査しました。この結果、フリーアクセスストールによる飼養は、繁殖豚の行動自由度を向上させ、ストレスを低減させることが確認できました。また、ストレスの低減は、繁殖成績等の生産性の向上に繋がることも明らかとなりました。
●「県産地鶏におけるぶどう絞りかす給与の影響」
県内で盛んなワインの醸造で発生するぶどうの搾り粕について、県産地鶏「長交鶏3号」に給与するとともにその貯蔵法を検討しました。この結果、「長交鶏3号」への給与による育成率、増体率及び産肉性の向上は確認できませんでしたが、ぶどう搾り粕を給与することで鶏肉の「甘味」や「旨味」が向上しました。また、ぶどう搾り粕の保存性は良好でした。
●「水田転換畑における心土破砕による子実とうもろこし生産」
水田転換畑において子実とうもろこしを安定的に生産するには、湿害対策が重要となります。そこで、県内の水田転換畑において、(1)サブソイラー、(2)プラソイラーによる心土破砕及び(3)モミ殻暗渠による湿害対策の3種類の施行後、子実とうもろこしを栽培してその効果を比較しました。この結果、湿害対策として(1)(2)(3)とも有効であると考えられましたが、当年の降雨が極端に少ない場合、特にプラソイラー耕では、過乾燥となって生育を抑制することに留意が必要となることが明らかとなりました。
「牧草チモシーの夏枯れ回避に関する栽培方向の検討」
県内の酪農家では、収量性、栄養価、嗜好性等が他の寒地型牧草より優れるチモシーの評価が高い一方、近年の高温による寒地型牧草の夏枯れが問題となっています。そこで準高冷地(標高650~800m)においてチモシーの品種選定、及び高温時の刈取時期をずらすことにより夏枯れが回避できないか検討しました。この結果、チモシーの高温時の夏枯れは品種にかかわらず発生すること、また刈取時期の変更によっても回避できないことが明らかとなりました。
●「子豚への豚熱ワクチン接種の適期推定モデルの検討」
子豚への豚熱ワクチン接種は、効果が高くなるよう適切な接種時期の推定が不可欠です。現在、国が定めた全国一律の推定モデルに基づき、ワクチン接種を実施していますが、これに準拠して接種しているにもかかわらず、肥育豚の抗体獲得状況が低い農場が一定数存在しています。そこで、「階層ベイズモデル」という統計処理の手法を用いて農場別の接種適期モデルを作成し、その有用性を検討しました。この結果、新たなモデルを用いることで、肥育豚の抗体獲得状況率が向上し80%を上回ったことを確認しました。
以上、6課題について概要をご紹介しました。それぞれの詳細、より専門的な質問については、お気軽にメールまたは電話でお問い合わせください。
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