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更新日:2019年10月25日

林業総合センター

研究報告要旨(木材部)

木材部(木材加工、材質、乾燥、強度、防腐、化学加工)

 

27号(2013年)

安全・安心な乾燥材生産技術の開発(1.)
-材面割れ及び内部割れの少ない乾燥スケジュールの開発-(PDF:8,732KB)

吉田孝久・柴田直明・今井信・山内仁人・松元浩*
カラマツ及びアカマツの正角材について,材面割れ及び内部割れの発生が少ない乾燥スケジュールを検討し,実証試験により確認した。その結果,内部割れの抑制には,高温セット後の含水率を20~25%程度にする条件が必要であることがわかった。カラマツでは,高温セット時間を決定する際に,熱による強度低下の抑制を割れ発生の抑制よりも優先して考え,高温セット時間を120℃18時間とする推奨スケジュールを提案した。また,アカマツでは,材面割れの発生はやや多いものの,高温セットを110℃24時間とすることが内部割れ抑制に効果があり,推奨スケジュールとして提案した。
キーワード:高温セット時間,内部割れ,材面割れ,カラマツ,アカマツ

27号(2013年)

安全・安心な乾燥材生産技術の開発(2.)
-過度の高温乾燥材の強度特性(1)試験体の調製-(PDF:759KB)

柴田直明・伊東嘉文*・吉田孝久・山内仁人
新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業「安全・安心な乾燥材生産技術の開発」(2009~2011年度)の一環として,カラマツとアカマツの120mm心持ち正角を試験対象とし,過度の高温乾燥材の強度特性を検討した。本報では,それらの試験体の調製について記す。4m正角としてカラマツは計250本(乾燥処理:2回)を,アカマツは計150本(乾燥処理:1回)を調製したが,いずれもほぼ予定通りに仕上げられた。各正角から種々の試験体を切り出した際の鋸断位置等についても記した。
キーワード:カラマツ,アカマツ,天然乾燥,高温乾燥,強度低下

27号(2013年)

安全・安心な乾燥材生産技術の開発(2.)
-過度の高温乾燥材の強度特性(2)縦圧縮強さ-(PDF:1,208KB)

山内仁人・柴田直明・吉田孝久・加藤英雄*・井道裕史*・長尾博文*
過度の高温乾燥がカラマツとアカマツの強度性能に及ぼす影響を評価するため,120mm正角材の縦圧縮試験を行った。カラマツのグループC(高温乾燥材)の縦圧縮強さは平均で29.8N/m平方メートル,同グループA(天然乾燥材)が29.3N/m平方メートル,アカマツのグループC(高温乾燥材)が24.6N/m平方メートル,同グループA(天然乾燥材)が24.5N/m平方メートルで,両樹種ともグループ間に差は認められなかった。
キーワード:カラマツ,アカマツ,高温乾燥,天然乾燥,縦圧縮強さ

 


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26号(2012年)

長野県産材による耐力壁の開発(PDF:23,553KB)

(pdf形式12,577kb/34ページ)山内仁人・伊東嘉文*・吉田孝久・橋爪丈夫*カラマツを主体とする県産材を用いる耐力壁を開発し、その性能評価を行った。カラマツ筋かい耐力壁の性能は、筋かいの品質によりバラツキが大きく、安定した成績が得られなかった。信州の木認証合板を面材として釘打ちした耐力壁の性能は安定して高かったが、釘・金物の使用量削減を狙い、同合板を落とし込み仕様にした耐力壁は初期剛性が低く高い性能が得られず、施工性にも問題があった。そこで、同合板12mm厚を120mm角の軸組の片面にはめ込み、釘打ちした耐力壁を作製したところ、初期剛性が向上し、壁倍率も4.6で24mm合板釘打ち仕様の耐力壁に匹敵する性能が得られた。
キーワード:カラマツ軸組耐力壁、信州の木認証合板、壁倍率、面内せん断試験


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25号(2011年)

カラマツ精英樹クローンの材質試験(PDF:2,087KB)

橋爪丈夫・伊東嘉文*・吉田孝久・武田孝志*・東口洋子*・藤澤義武*・田中了五*・谷口享*・中谷幸男*

森林総合研究所林木育種センター長野増殖保存園(長野県小諸市)内のカラマツ育種素材保存園にてカラマツ精英樹166クローン473個体を間伐し、その2番玉473個体を得て、(1)丸太の材質調査、(2)挽き板の強度試験を行った。
丸太密度のクローン平均値と個々の丸太密度、並びに太ヤング係数(丸太efr)のクローン平均値と個々の丸太efrとの間に強い相関関係が認められた。一方、末口年輪幅と丸太密度、末口年輪幅と丸太efrとの間には相関関係が認められなかった。
得られた挽き板約2000枚の曲げヤング係数(moe)の平均値は9.99kn/mm2であった。曲げ強さ(mor)、圧縮強さ(cs)は建設省告示1452号の基準強度を満たしたが、引張強さ(ts)は変動係数が大きいため、基準強度を満たさなかった。moeとmor、cs、ts間に強い相関関係が認められた。
強度因子の丸太内変動は顕著で、丸底型、あるいはv字型の変動を示し、外側の挽き板は、中心の挽き板のmoeで1.8倍、morで2.2倍、csで1.5倍、tsで3.3倍、密度(ρ)で1.3倍であった。
各強度因子についてクローン平均値の最大値と最小値の比を求めるとρで1.5、moeで1.9、morで1.7、tsで2.5、csで1.8であった。
丸太末口径のクローン平均値とmoe、mor、ts、csの各クローン平均値との相関関係はほとんど認められなかった。
得られたデータは付表として詳細に示した。
キーワード:カラマツ、精英樹、クローン、丸太ヤング係数、挽き板、曲げ強さ、圧縮強さ、引張強さ


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24号(2010年)

ストックヤードにおける針葉樹構造材の天然乾燥
-各前処理を行った構造材の天然乾燥-(PDF:595KB)

吉田孝久・伊東嘉文・松本寿弘*・佐藤明利*・武井富喜雄*

駒ヶ根市のストックヤードで針葉樹構造材の天然乾燥を行ったところ、ヒノキ135mm正角材が3か月、スギ135mm正角材が5か月で含水率20%を下回った。また、145×260mmのアカマツ桁材が4か月、135×255mmのスギ桁材及び145×260mmのカラマツ桁材が6か月で含水率20%を下回った。なお、高温セット処理後に天然乾燥を行った材の乾燥期間も同程度であったが、乾燥終了時の材面割れ発生量は天然乾燥材と比べはるかに少なかった。含水率計が示す含水率は、全乾法含水率に比べて、乾燥初期に過小値を示したが、3か月経過頃から近接した。
キーワード:天然乾燥、高温セット、ストックヤード、水分傾斜、寸法変化


24号(2010年)

高温セット処理を行った柱・桁材の太陽熱乾燥
-農業用ビニールハウスの利用-(PDF:1,102KB)

吉田孝久・伊東嘉文

材面割れ防止のために高温セット処理を行った、カラマツとスギの柱材及び桁材を対象に、改良した農業用ビニールハウスを利用して太陽熱乾燥を行った。その結果、天然乾燥と比較してビニールハウスを利用した乾燥は、含水率の低下に効果が認められた。「高温セット+天然乾燥材」と「高温セット+ビニールハウス乾燥材」の乾燥速度の比は冬期であっても、春先であってもほとんど変わりなく、後者が1.4~1.8倍の乾燥速度であった。また、冬期と春先の季節別の乾燥速度は、後者が前者のおよそ1.5~2.0倍であった。さらにビニールハウス内の平衡含水率はおよそ10%であり、天然乾燥よりも低い含水率まで乾燥可能であることがわかった。
乾燥装置としてビニールハウスを利用する場合は、夜間及び冬期の温度保持が必要であると思われた。
キーワード:ビニールハウス、太陽熱乾燥、高温セット、材面割れ


24号(2010年)

カラマツ間伐材を主とする土木用構造物・木橋等への利用技術の開発(PDF:815KB)

吉野安里・柴田直明・戸田堅一郎

カラマツ間伐材等を土木用構造物や木橋等へ利用するにあたり必要な、木材の初期強度など基礎的データの収集と、比較的簡易あるいは既往技術による部材の評価方法について検討した。
部材の初期強度は基準値を満たしていた。丸太と比較して、タイコ材は強度低下は少なかった。縦振動法による非破壊検査は高精度であったが、材種ごとの回帰を求める必要があった。わずかな荷重でも、たわみの測定が可能であれば精度よく残存強度が推定できる。木材の初期強度の統計的分布と信頼の高い腐朽診断方法(手法)が得られれば、経年材の強度を直接的、間接的に知ることが可能になり、木製施設の更新根拠を得ることができる。
キーワード:カラマツ、土木用構造物、曲げ強度、劣化


24号(2010年)

木製道路施設の耐久設計・維持管理指針策定のための技術開発
-信州型木製ガードレールの設置初期に認められた劣化・変形等の諸現象と対策-(PDF:516KB)

柴田直明・吉野安里・橋爪丈夫・戸田堅一郎

「防護柵設置基準」に定める車両用防護柵の実車衝突試験(路側用c種、支柱:土中埋込型)に合格した信州型木製ガードレール1~3号型について、設置初期に認められた劣化・変形等の諸現象を調査し、次の結果及び成果を得た。
(1)材面割れの発生・透明塗装の塗膜剥離等、設置初期の課題を明らかにし、対処可能なものについては標準仕様の変更等に反映させた。
(2)木製横梁の長所として、自動車の接触痕が認められた横梁の内、交換が必要な率は1~2割と小さいことを明らかにした。
(3)横梁の標準仕様や設置環境と木材腐朽菌の子実体発生との関係を検討し、今後は防腐剤の加圧注入を標準仕様とすべく調整を始めた。
(4)現地で簡便に行える非破壊検査手法を検討し、長野県土木部(現建設部)が中心になってとりまとめた「信州型木製ガードレール維持管理マニュアル」に反映させ、管理者に普及させた。
キーワード:木製ガードレール、横梁、初期劣化、曲げ破壊、維持管理


24号(2010年)

木製道路施設の耐久設計・維持管理指針策定のための技術開発
-信州型木製ガードレールの経年劣化-(PDF:387KB)

戸田堅一郎・柴田直明・吉野安里信州型木製ガードレールの腐朽過程を把握するため、現地調査と残存強度試験を行った。現地調査では一部の横梁に木材腐朽菌の子実体(きのこ)が発生していた。子実体の発生は、温暖・高湿度の環境下で多い傾向であった。静的曲げ試験による残存強度の調査では、腐朽による強度の低下が認められた。試験後に断面観察を行ったところ、子実体発生位置は設置時の上部に多い傾向にあった。
キーワード:木製ガードレール、腐朽、劣化、残存強度


24号(2010年)

木製道路施設の耐久設計・維持管理指針策定のための技術開発
-設置後約20年を経過したカラマツ製遮音壁の性能評価-(PDF:80KB)

柴田直明・吉野安里・橋爪丈夫・戸田堅一郎飯田ic南の中央自動車道沿いに1985年度末に試験施工されたカラマツ製遮音壁(200m長)について設置後約20年経過の状態を調査し、次の結果を得た。
(1)木製部材の表面は灰褐色に退色しており、材面には多くの割れが観察され、一部には曲がりやねじれも生じていた。しかし、防腐処理の効果もあり、腐朽は局所的に軽微なものが認められる程度であった。
(2)曲げ強度試験においても顕著な強度低下は認められず、遮音板に求められる「150kgf/平方メートルの風荷重に耐える強度性能」は十分に保持されていた。
(3)音響性能試験では、個々の木製部材自体は十分な遮音性能を維持していることが確認された。これらの木製部材に実(さね)加工をするなり接着重ね梁を使用するなりの隙間対策を講ずれば、木製でも十分な遮音性能を維持しつつ、長期の使用に耐え得るものと推測される。
キーワード:カラマツ、遮音壁、劣化度、音響性能、残存強度


24号(2010年)

公的認証取得を可能とする高信頼性接着重ね梁の開発
-カラマツ+カラマツ、アカマツ+ヒノキ接着重ね梁の強度性能-(PDF:173KB)

伊東嘉文・吉田孝久

カラマツ+カラマツ、アカマツ+ヒノキ接着重ね梁を作製し、各種強度性能試験(曲げ・圧縮・めり込み・引張り・せん断)を行った。曲げ試験ではカラマツ+カラマツ接着重ね梁で基準値を下回るものが多く、ばらつきも大きかった。圧縮試験では全ての試験体で無等級材の基準強度を満たしていた。めり込み試験はカラマツ+カラマツ接着重ね梁で基準値を下回るものが多く、アカマツ+ヒノキ接着重ね梁では基準値を満たしていた。アカマツとヒノキではアカマツの方がめり込み量が大きかった。引張り試験ではおおむね基準値を上回った。せん断試験の結果は、jisブロック法>実大ブロック法≧5点荷重法の順であり、全てが無等級材の基準強度を満たした。5点荷重法でせん断破壊した試験体のせん断強さは実大ブロック法でのそれに近似した。
キーワード:接着重ね梁、カラマツ+カラマツ、ヒノキ+アカマツ、強度性能


24号(2010年)

公的認証取得を可能とする高信頼性接着重ね梁の開発
-接着の品質評価と品質向上について-(PDF:165KB)

吉野安里・吉田孝久

接着重ね梁は、角材を複数本重ね合わせ接着接合した構造部材であり、その力学的特性が発揮されるには適正な接着が前提となる。本研究では、接着品質の評価、重ね梁の品質向上、適正な接着条件の製造工程への反映を目的とした。研究は、先進工場で接着重ね梁を試作し、品質評価を行いながら、問題点の摘出あるいは工程改善策を検討し、これらを次の試作品に反映させることを繰り返して実施した。その結果、接着重ね梁の接着品質を著しく向上させることができた。製造条件を厳守することは重要であり、それを実行するためには担保となる製造記録の徹底を図ることが望ましいと考えられる。たとえばデジタルカメラの活用は有効であると考えられる。
キーワード:接着重ね梁、接着の品質、開放堆積時間、日本農林規格


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23号(2009年)

スギ及びカラマツによる異樹種積層集成材の製造と強度性能(PDF:944KB)

橋爪丈夫・伊東嘉文・吉田孝久

スギ縦継ぎラミナとカラマツ縦継ぎラミナの強度試験及びスギ・カラマツ異樹種積層集成材の強度試験を行い、以下の結果を得た。
(1)曲げヤング係数の平均値(moeavg)で区分したスギ縦継ぎラミナはロットとしてjas基準を満たした。moeavg区分カラマツ縦継ぎラミナはロットとしてjas基準を満たさなかったが、曲げヤング係数の最小値(moemin)で区分するとjasの基準強度を満たした。
(2)moeavg区分したラミナ構成の異樹種積層集成材で曲げ強度・引張り強度で基準強度に満たない試験体があった。moemin区分したラミナ構成の異樹種積層集成材でも曲げ強度では想定した基準強度を満たしたが、引張り強度では基準に満たない試験体があった。
(3)異樹種積層集成材のめり込み強さ、せん断強さを明らかにした。
(4)スギはヤング係数に対して曲げ強度値、引張り強度値が高い傾向にあり、カラマツには逆の傾向が認められ、お互いが補う形での異樹種積層集成材の意義が認められた。
キ-ワ-ド:異樹種積層集成材、スギ、カラマツ、縦継ぎラミナ、強度試験


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21号(2006年)

地域材を利用した接着重ね梁の実用化試験(1)
-カラマツ6m接着重ね梁の製造と性能評価-(PDF:6,336KB)

伊東嘉文・吉田孝久・橋爪丈夫

カラマツ接着重ね梁を従来の長さ4mでの研究成果を基に、長さ6mの接着重ね梁を作製し、その性能評価等を行った。その結果、エレメントの乾燥に伴うねじれは最大値で44mm/6mに達し、修正挽き、積層接着仕上げを経て接着重ね梁を作製した後でもプレーナの掛からない部分を有する試験体が過半を占めた。強度性能は、動的ヤング係数(efr)が高いエレメントと低いエレメントを組み合わせた22体では曲げヤング係数(moe)がおおむね9~10kn/mm2に平均化され、曲げ強さ(mor)との相関は認められなかった。efrが同程度のエレメントを組み合わせた26体ではmoeとmorとの相関が認められた。計48試験体を試験条件により補正したmoeの平均値は9.51kn/mm2、同様にmorのそれは34.4n/mmであり、無等級材の基準強度26.7n/mm2を下回った試験体は2体であった。接着性能については、煮沸はく離試験において構造用集成材のjas基準値を満たさないものが比較的多く見られ、この面で課題を残した。
キーワード:カラマツ、強度性能、ねじれ、6m嬢鷲重松梁、接着性能


21号(2006年)

炭素繊維複合強化集成材の開発
-接合部に関する要素実験(第3報)-(PDF:20,659KB)

柴田直明・橋爪丈夫

(独)建築研究所からの委託業務「cf補強集成材の接合性能に関する調査」(2005年度)を従来からの産学官協力体制で実施し、次の結果を得た。
(1)合板のようにcf配向を交互に直交させたcfシート積層板を作製し、その面圧強さを評価したところ、種々の方向からの力が作用する接合部の補強に適していることが示された。
(2)鋼板挿入型二面せん断接合において、接合部のみを上記(1)のcfシート積層板で補強して縦引張試験を実施したところ、接合性能を大幅に向上させ得ること及び接合部のコンパクト化も可能なことが示された。
(3)上記(2)と同様の試験体について横引張試験を実施したところ、接合部のcf補強効果はより顕著であり、木材の弱点である割裂(繊維直交)方向の強度を大幅に改善させ得ることが示された。
キーワード:木質ハイブリッド、炭素繊維強化、面圧強さ、鋼板挿入型接合部、縦・横引張型二面せん断強さ


21号(2006年)

木造住宅の温湿度環境と木材含水率
-太陽熱集熱利用システムを利用した住宅-(PDF:7,065KB)

吉田孝久・小山泰弘

外気導入型太陽熱集熱利用システムを設備した住宅における住環境(温湿度の変化)と、この中に置かれた木材の重量、材幅、材厚の変化を約2年間追跡調査した結果は、以下のとおりであった。
調査期間中の外気の温湿度は、温度:-12~36℃、湿度:12~100%であった。これに対し、床下の温湿度は、温度:12~34℃、湿度:11~80%であり、冬季に最も湿度が低く、夏季から秋季にかけて湿度が高かった。1f台所の温湿度は年間で、温度:8~30℃、湿度:20~85%であり、使用頻度の少ない2f書斎では、温度:2~30℃、湿度:35~70%であった。木材の重量、材幅、材厚、含水率の変化量が最も多かったのは、床下に置かれた木材であった。床下に置かれた木材の含水率の年間変化量は、板材(20×100×200mm)がおよそ6%、平割材(50×100×200mm)がおよそ5%であった。この変化は、梅雨期を挟んで、最も低い時が冬季から春先で、最も高い時が夏季であった。また、台所に置かれた木材の含水率の年間変化量は、板材、平割材ともにおよそ2%であった。年間材幅変化量の最も大きかったのは、床下に置かれた木材で、板材が2.0mm、平割材が1.4mmであった。これは他の場所での変化量の3倍以上であった。
キーワード:温湿度、外気導入型太陽熱集熱利用システム、平衡含水率


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20号(2006年)

炭素繊維複合強化集成材の開発
-接合部に関する要素実験(第2報)-(PDF:15,131KB)

柴田直明・橋爪丈夫(独)建築研究所からの委託業務「cf補強集成材の性能に関する調査」(2004年度)を従来からの産学官協力体制で実施し、次の結果を得た。
(1)cfシート積層板自体の面圧強さは、cf配向を試験体の長さ方向のみとしても、木材より著しく大きかった。直交方向のcf配向シートを追加したり、ピン穴からの端距離を大きくしたりすると、より優れた性能を示した。
(2)鋼板添板ラグスクリュー接合部の一面せん断強さも、接合部のみのcf補強により、大幅に向上した。また、木材と同程度の接合性能でよければ、ラグスクリュー間隔を1月2日近くまで短縮し、接合部のコンパクト化を図ることも可能であると思われた。
(3)部分横圧縮強さ(材中間部及び材端部載荷)も、接合部付近のcf補強のみで、大きく向上した。
キーワード:木質ハイブリッド、炭素繊維強化、面庄強さ、一面せん断強さ、部分検圧縮強さ


20号(2006年)

地域型長期耐用住宅(寒冷地型)の提案と地域材利用技術の解説(PDF:5,353KB)

橋爪丈夫・伊東嘉文・吉田孝久・吉野安里・柴田直明・関貞徳

「一般消費者を対象とした住宅に関するアンケート調査」、「建築士、工務店を対象としたアンケート調査」、「現存する古民家の調査」等の結果を参考にして、寒冷地信州に適した長期耐用の住宅として、地域材(特にカラマツ心持ち通し柱、接着重ね梁)を使用した省エネ基準の等級4(次世代省エネ基準)を満たす住宅プランを構築し、地域材の利用技術を解説した。
キーワード:長期耐用住宅、寒冷地、地域材、カラマツ接着重ね梁、外張り断熱


20号(2006年)

解体民家から得られた古材の強度特性(PDF:2,383KB)

伊東嘉文・橋爪丈夫

解体された民家(築130~140年の旧家、20年程前に一部改築)に使用されていた柱、梁、土台等の一部の材(アカマツ、クリが主)から小試験体を採取し、曲げ強度試験を行った。アカマツ古材の無欠点材の曲げヤング係数(moe)と曲げ強さ(mor)の平均値は、新材の無欠点材で行った当センターの既往の試験データと同程度であった。クリ130年古材のそれはクリ20年経過材に比してmoeでは同程度であったが、morは2割以上低かった。アカマツは生物劣化の進行した材が相当数見られたが、クリでは僅かであった。
キーワード:アカマツ、クリ、古材、強度性能、生物劣化


20号(2006年)

スギ材による接着重ね梁の開発(PDF:3,244KB

橋爪丈夫・伊東嘉文・吉田孝久スギ正角(エレメント)を積層接着した重ね梁(2段積層:ツインビーム、3段積層:トリプルビーム)を各14体作製し、曲げ強度試験を行った。トリプルビームの1試験体が曲げ強さにおいて20n/mm2を下回ったが、スギ無等級材の材料強度22.2n/mm2を下回ったのはこの1例だけであった。エレメントの縦振動ヤング係数(efr)と接着重ね梁の曲げ強さ(mor)との間に高い相関関係が認められた。
キーワード:スギ、綾着重ね梁、曲げ強さ、曲げヤング係数


20号(2006年)

シャチ・ボルト接合によるスギ重ね梁の開発(PDF:6,831KB)

橋爪丈夫・伊東嘉文・吉田孝久シャチ・ボルト接合スギ重ね梁を実用規模で製造し、曲げ試験を行った。せん断試験の結果求めたシャチ1つ当たりの比例限せん断耐力と曲げ試験の結果推定したせん断耐力とはよい符合を示した。シャチ・ボルト間隔300mmの重ね梁は曲げ優先の破壊形態を示し、同450mm間隔の試験体はせん断優先の破壊形態を示した。シャチ・ボルト接合の強度性能に及ぼす影響(効果)は明確に認められたが、当然のことながらエレメントが一体である接着重ね梁には及ばなかったシャチ・ボルト接合重ね梁は意匠性に富むとともに、接着剤を使用しないため、解体後の再利用を容易にする環境への負荷の少ない材料として位置付けることができよう。
キーワード:スギ、重ね梁、シャチ・ボルト接合、曲げ強さ、せん断試験


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19号(2005年)

間伐材の利用促進を図るための新たな仕様基準の開発
-屋外使用条件別劣化過程の把握と各仕様基準の開発-(PDF:7,091KB

吉野安里・柴田直明カラマツ間伐材を主に、土木用構造物等への利用を図るための仕様基準の開発・検討を行った。本研究では、屋外における丸太等の材料強度と劣化過程の把握、高耐久性仕様の検討、劣化の診断技術等の検討を行った。成果の一部は、木製ガードレール開発の基礎データや木橋の設計に活用された。また、診断技術等についてはマニュアル化を図ったほか、講習会を開催し現場への普及を目指した。
キーワード:円柱加工材、土木用構造物、劣化


19号(2005年)

炭素繊維複合強化集成材の開発
-接合部に関する要素実験(第1報)-(PDF:10,786KB)

柴田直明・橋爪丈夫

国交省の総プロ「木質複合建築構造技術の開発」の一環として、炭素繊維複合強化集成材の接合部に関する要素実験を実施した。その結果、
(1)cfシート積層接着板の面圧強さは従来の仕様でもスギ材よりはるかに大きく、直交シートを追加するとさらに増強された。
(2)ラグスクリュー接合部の一面せん断強さにおいても、直交シートの添付効果が認められた。
(3)cfシートの積層接着により、集成材の部分横圧縮強さも大幅に改善された。
(4)全面横圧縮強さでは、cfシートの積層接着効果は認められなかった。
キーワード:木質ハイブリッド、炭素繊維強化、面圧強さ、一面せん断強さ、検圧縮強さ


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18号(2004年)

アカマツ中目材による集成材の開発
-アカマツ単独及びカラマツとの異樹種複合による集成化の試み-(PDF:13,830KB)

伊東嘉文・吉田孝久・橋爪丈夫

アカマツ集成材の構成部材となるアカマツ中目材から得られたラミナの強度性能、歩留り、乾燥特性等の測定・調査を行った。その結果、ラミナのjas機械等級区分ではl70~l90が大部分であった。ラミナの引張り強さは平均値で19.0n/mm2で曲げ強さの平均値53.8n/mm2に比して大きく下回った。また、これらからなる集成材及び、最外層と中間層にカラマツ高等級ラミナを配した異樹種複合集成材を作製し強度試験を行った。アカマツ集成材のjas対称異等級構成はe95-f270やe85-f255が中心であったが、e65-f225ではmorが基準値に達しないものがあり、l90以下で作製した同一等級構成においても同様で、最外にl90以下のアカマツラミナを使用した低等級の集成材では、jas基準値を下回る可能性が高いことが示唆された。最外層にカラマツ高等級ラミナを配した異樹種複合集成材ではe135-f375のような高強度の集成材が作製できた。
キーワード:アカマツラミナ、中目材、異樹種複合集成材、強度性能


18号(2004年)

アカマツラミナの輪生節位置を分散させた垂直積層集成材の強度特性(PDF:4,454KB)

柴田直明・伊東嘉文・橋爪丈夫

アカマツを用いて通常の水平積層集成材を作製すると、引張側最外層ラミナの輪生節部分から容易に破壊されやすい。そこで、大型プロジェクト研究「地域産材を利用した高信頼性構造用材の開発」(1998~2002年度)の一環として、アカマツラミナの輪生節位置を分散させた垂直積層集成材を作製し、水平積層集成材と比較した。その結果、曲げヤング係数と曲げ強さの分布図における5%下限直線で評価すると、垂直積層集成材の曲げ強さは水平積層のものより約20%ほど改善されていた。
キーワード:アカマツ集成材、輪生節、欠点分散、垂直積層、曲げ強さ


18号(2004年)

フィンガージョイント分散幅はぎラミナを引張側に使用したカラマツ集成材の強度特性(PDF:3,810KB)

柴田直明・橋爪丈夫・伊東嘉文

集成材に曲げの力が加わると、主として引張側ラミナのフィンガージョイント(fj)部や節が欠点となりやすい。そこで、大型プロジェクト研究「地域産材を利用した高信頼性構造用材の開発」(1998~2002年度)の一環として、fj部を分散させた幅はぎラミナを作製し、次いでこれを集成材の引張側に積層・接着したところ、次の結果を得た。
(1)fj分散幅はぎラミナにおける「曲げヤング係数のラミナ内変動」は小さく、積層効果が認められた。
(2)集成材の引張側にfj分散幅はぎラミナを用いることにより、材縁部のfjや節で破壊が始まった後も最大荷重を更新し、ねばりのある部材となった。
(3)上記(2)の結果として曲げ強さは大幅に改善され、その平均値は「通しラミナのみで作製した集成材」の推定値と同程度になった。
キーワード:集成材、曲げ強さ、幅はぎラミナ、欠点分散、フィンガージョイント


18号(2004年)

接着重ね梁(ツインビーム)の開発
-カラマツ接着重ね梁の製造と曲げ強度性能-(PDF:7,003KB)

吉田孝久・伊東嘉文・橋爪丈夫

カラマツ間伐材の利用方法として、人工乾燥された心持ち無背割り正角数本を積層接着した接着重ね梁について検討した。その結果、心持ち無背割り正角(重ね梁を構成する部材:エレメント)の乾燥では、120℃の高温セット法により材面割れの少ない乾燥が可能であった。しかし、カラマツ特有のねじれの発生が大きく、歩止まりの点で課題を残した。
接着重ね梁(ツインビーム)の曲げ試験の結果は、曲げヤング係数(moe)と曲げ強度(mor)の平均値は、それぞれ10.32kn/mm2と35.3n/mm2であった。moeについては、エレメントの適正な組合せにより、moeの安定した材を得ることができた。また、morについては、ややバラツキが見られ、国土交通省告示で示されている「カラマツ無等級材基準強度(mor)26.7n/mm2」を下回った材は50本中4本存在した。
キーワード:カラマツ、後着重ね梁、ツインビーム、強化ツインビーム、高温セット法


18号(2004年)

スギ心持ち無背割り柱材の高温乾燥における高温セット法の割れ防止効果について(PDF:10,758KB)

吉田孝久・橋爪丈夫・徳本守彦*・武田孝志*・印出晃*

スギ柱材(132mm正角)の高温乾燥について、乾燥スケジュール別の試験を行い以下の結果を得た。
蒸煮後の材面割れ抑制のために行う高温セット処理(高温低湿処理)時間は、材表層の含水率が20%付近まで低下する時間が必要と思われ、内部割れ発生状況と併せて判断すると、一般的には18時間程度が適当と思われた。
高温セット処理による材面割れ抑制の効果は大きかった。また高温セット処理を行った材の材面割れは、含水率が低下するほど少なくなる傾向にあった。これは材面割れが含水率の低下と伴に閉塞していくことが原因していた。高温セット処理後に高温乾燥を続けると、内部割れは含水率が低下するに従って増大した。しかし、高温セット処理後に中温乾燥を行うことで内部割れの発生は極端に減少した。この場合、乾湿球温度差を30℃とした低湿条件であっても大きな内部割れにはつながらなかった。
キーワード:高温乾燥、高温セット、ドライングセット、材面割れ、内部割れ


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17号(2003年)

炭素繊維強化集成材の強度性能(1)
-炭素繊維による強化方法と曲げ強度性能との関係-(PDF:15,114KB)

柴田直明・橋爪丈夫集成材の強度性能等を向上させるため、産学官の共同で、炭素繊維による補強・強化技術の開発を進めてきた。1997年度には木材との接着性能に優れた「炭素繊維シート」を開発し、2m長の集成材の最外層表面(上下面)に接着して曲げ強度試験を実施し、次の結果を得た。
(1)曲げヤング係数は、炭素繊維の使用量に応じて向上した。cf強化によるヤング係数の増分はバラツキが極めて小さく、等価断面法で高精度の予測が可能であった。
(2)曲げ強さは、曲げヤング係数以上に向上した。強化後の曲げ強さはバラツキも小さく、より信頼性の高い部材となった。
(3)本試験に用いた「炭素繊維シート」は、炭素繊維自体のヤング係数の78%以上を発現させることができた。
(4)使用する炭素繊維のみの厚さが梁背の0.5%程度までの場合は下面のみの強化が、それ以上の場合は原則として上下面の強化が有効であると思われた。
キーワード:集成材、炭素繊維強化、曲げヤング係数、曲げ強さ、変動係数


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16号(2002年)

地域産材による高耐久性新素材の開発
-前処理としての寸法安定化処理の検討-(PDF:3,378KB)

柴田直明・吉野安里

カラマツ材を屋外で使用する場合について、干割れ等を抑制するために、水溶性樹脂液による化学的な前処理を検討した。その結果、水溶性低分子量フェノール樹脂を用いれば、寸法安定性が大幅に高まり、かつ、樹脂がほとんど溶脱しないことが確認された。また、材色の変化もわずかであった。したがって、本樹脂による前処理は、十分に実用化が可能であると思われた。
キーワード:フェノール樹脂処理、寸法安定化、高耐久性、カラマツ
16号(2002年)

透明塗装木材の耐候性について
clear paint system for woods and its wethering performance(PDF:4,981KB)

吉野安里・柴田直明

透明塗装は顔料を含有しないために、不透明塗料に比べると耐候性は低い。透明塗装木材の屋外耐候性の向上を図る目的で、まず各種透明塗装木材の耐候性を検討した。その結果、塗膜自体の耐候性に加えて、塗膜と木地の固着性、木地そのものの寸法安定性が、耐候性を向上させるためには必要であることがわかった。そこで、wpc下地処理とブタジエン系の塗装を組み合わせた結果、耐候性を大きく向上させることが可能となった。この技術によって、木目や節などをみせた木製看板を製品化できた。
キーワード:耐候性、透明塗装木材、促進劣化試験、屋外暴露試験


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15号(2001年)

天然性広葉樹林の良質化施行技術と利用技術の開発
-ケヤキ中小径材の製材・乾燥・強度試験-(PDF:1,788KB)

吉田孝久・橋爪丈夫・馬渡栄達ケヤキ中小径材について、製材試験、乾燥試験、強度試験を実施した。その結果、製材歩止りは、平均58.6%であり、製材後に発生する木表側への縦ぞりが非常に大きかった。また、一般の中温乾燥では厚さ36mm厚の材はおよそ10日間で含水率は10%となった。乾燥後の縦ぞりは5.3mm/2m、曲がりは6.8mm/2m、幅ぞりは1.17mm/8cmであった。強度試験においては、曲げヤング係数が109tonf/cm2、曲げ強度が1353kgf/cm2であった。また、含水率10%時の密度は0.69g/cm3であった。
以上のように、ケヤキ中小径材は大径材と遜色ない材質を示すが、歩止りと乾燥時の狂いに課題を残した。


15号(2001年)

エンジニアリングウッド性能評価
1.スギラミナの曲げ及び引張試験(PDF:3,970KB)

橋爪丈夫・吉田孝久

連続送り式グレーディングマシンによって機械的に等級区分されたスギラミナを用い、通しラミナ、縦継ぎラミナそれぞれについて曲げ試験、引張試験を行った。
通しラミナの曲げ強さ、引張り強さの平均値はそれぞれ、444kgf/cm2、262kgf/cm2であった。縦継ぎラミナの接合効率は曲げ強さ評価、引張り強さ評価でそれぞれ77.7%、86.3%であった。
機械的に等級区分されたラミナは曲げ強さ、引張り強さの平均値、下限値において構造用集成材の日本農林規格の基準を満たしていると言えた。


15号(2001年)

エンジニアリングウッド性能評価
2.フィンガージョイント(fj)ラミナの強度性能の改善
-フィンガー形状の改良及びfj分散幅はぎラミナの検討-(PDF:5,081KB)

柴田直明・伊東嘉文・橋爪丈夫fjラミナの強度性能を改善するため、カラマツ中径木から得られたl110ラミナを用い、次の2点について実大サイズでの試験を実施した。
(1)フィンガー形状の改良として、先端と底部の幅を狭くしたところ、その効果が認められた。
(2)8枚積層の同一等級構成集成材(0~3枚にfjを含む)を接着層に垂直に6枚に挽き割って「fj分散ラミナ」を作製したところ、通しラミナに近い優れた性能が認められた。すなわち、fj分散ラミナの曲げ試験では、fj部の破壊後も最大荷重を更新する例が多く、通しラミナに近いねばりが見られた。そして、曲げヤング係数と曲げ強さとの分布図では、5%下限の近似直線が通しラミナとほぼ同じ位置にきた。ラミナの引張試験ではバラツキが大きかったが、同様の傾向は認められた。なお、fj分散ラミナの強度性能は、集成材の外側から得られたもので大きかった。集成材やムク材の引張側に使うと有効であると思われる。


15号(2001年)

エンジニアリングウッド性能評価
3.カラマツ構造用集成材の材端部横圧縮試験(PDF:2,010KB)

伊東嘉文・橋爪丈夫

カラマツの同一等級構成構造用集成材の材端部横圧縮試験(積層方向に平行に加圧)を行い、横圧縮強さを求めた。その結果、4つの等級区分のラミナ10枚から構成された集成材試験体では、高等級構成集成材よりも低等級の方が横圧縮性能が大となる傾向が認められ、ラミナ等級とは逆の結果となった。中小径材からの採材の場合、高等級ラミナは外側部分の板目材が多く、低等級ラミナは髄付近の柾目に近い材が多いため、集成材のラミナの幅方向への加圧では、高等級ラミナは年輪の方向が斜め~接線方向へ、低等級ラミナでは半径方向へ横圧縮される場合が多くなる。高等級集成材では斜め~接線方向の、低等級集成材では半径方向のラミナの割合が高かった。針葉樹では、半径方向>接線方向>45度方向の順とされており、これを反映した結果となった。


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14号(2000年)

長野県産針葉樹中径木を利用した住宅用高機能性部材の開発
1.カラマツ及びスギ心持ち柱材の高温乾燥特性
-高温低湿乾燥条件が乾燥特性に及ぼす影響と曲げ強度特性-(PDF:7,391KB)

吉田孝久・橋爪丈夫

カラマツ及びスギ柱材の心持ち無背割り材を高温低湿条件の高温乾燥を行った。その結果、1週間以内の乾燥で含水率は20%を下回った。また、材面割れが少なく暗色化の少ない乾燥材が得られた。しかし、スギの場合は内部割れの発生が多かった。乾燥後の1年経過時での寸法変化は±2mmの範囲にあった。この時の含水率はほとんどの材が12%に収束していた。
また、高温乾燥材の平衡含水率は天然乾燥材と比較するとかなり低下していた。
実大材曲げ強度試験の結果は、一般の中温乾燥と比較して、カラマツが曲げ強度が低下する傾向にあったがスギは変化が認められなかった。なお、曲げヤング係数は両樹種とも変化は認められなかった。


14号(2000年)

長野県産針葉樹中径木を利用した住宅用高機能性部材の開発
2.合わせ貼り軸材料の製造技術とその品質評価(予備的検討)(PDF:1,590KB)

橋爪丈夫・吉田孝久・馬渡栄達

100℃以上の高温乾燥終了材(カラマツ心持ち正角)を2本貼り合せ、接着重ね梁を作製した。狂い等の寸法安定性の面では、使用に際して支障がない程度であることが示唆された。強度的な面では、引張側の正角の品質に左右されることから、信頼性の高い材料とするためには、引張側最外層に品質の安定したひき板をさらに接着することなどが必要と考えられた。さらに、試験体を増やした検討が必要である。


14号(2000年)

長野県産針葉樹中径木を利用した住宅用高機能性部材の開発
3.カラマツ材の圧密化処理条件の検討(PDF:4,116KB)

柴田直明・吉野安里

カラマツ板目板の全層圧密化処理と表層圧密化処理を検討し、以下の結果を得た。
(1)全層圧密化は、飽水材でも人工乾燥材でも可能であった。加熱処理によって形状を固定する場合は、200℃で6時間、あるいは180℃で24時間以上の処理が必要であった。加圧水蒸気処理(172~175℃)による場合は、木口付近で10分強、木口から離れた部分でも20分強の処理でよく、材色の変化が少なかった。圧密化により早材部の硬さが晩材部並に改善されたが、膨潤・収縮率は大きかった。
(2)表層3~5mm程度を優先的に圧密化するためには、軟化処理として20分前後の水中煮沸、あるいは常圧蒸煮が適当であった。また、圧縮時にはホットプレス等により治具と試験体表面を加熱する方が効果的であった。


14号(2000年)

長野県産針葉樹中径木を利用した住宅用高機能性部材の開発
4.オリゴエステル化木粉含有シートを用いた木材の表面加工(PDF:4,552KB)

柴田直明・吉野安里

木材表面にオリゴエステル化木粉含有シート(owシート)を載せて熱圧・硬化させ、透明性を有する0.5~1mm厚の木質系樹脂層を形成させる方法を検討し、以下の結果を得た。
(1)この処理1回のみで、木材の表面硬さと、高級塗装に匹敵する表面性能を付与し得た。
(2)owシートの木粉率を高くすると、高温・高圧下で処理する必要があるため、つき板等の加工に限られた。
(3)owシートの木粉率を下げると流動性・透明性が高まり、低温・低圧化での熱圧・硬化が可能となり、気乾状態のカラマツ板目板等も加工できるようになった。表面性能はさらに高まり、特殊合板のjasで規定する「fタイプ」にほぼ相当する性能が得られた。
(4)owシートのみを単独で熱圧・硬化させ、変性酢ビ系接着剤等により、木材表面に冷圧接着することも可能であった。この方法は簡便かつ確実なため、多くの企業で実用化し得ると思われる。


14号(2000年)

長野県産針葉樹中径木を利用した住宅用高機能性部材の開発
5.デッキボード部材の開発(1)
-製材及び乾燥特性と強度性能評価-(PDF:2,129KB)

吉田孝久・橋爪丈夫・馬渡栄達

カラマツ中小径材の用途としてデッキボードへの利用を検討した。試験材は、中目丸太の製材歩止り向上を図るため四つ割りに製材し、四方柾の7cm正割材を得た。95℃の乾燥の結果およそ3日間で、また130℃ではおよそ1日間で含水率約10%となった。乾燥後の狂いは利用上支障のあるものではなかった。
強度試験においては、95℃乾燥では曲げヤング係数が113.1tonf/cm2、曲げ強度が585kgf/cm2であり、130℃乾燥では曲げヤング係数が105.0tonf/cm2、曲げ強度が469kgf/cm2であり、130℃乾燥の方が強度値が低かったが利用上問題となる値ではなかった。


14号(2000年)

長野県産針葉樹中径木を利用した住宅用高機能性部材の開発
6.デッキボード部材の開発(2)
-デッキボード部材の屋外暴露試験-(PDF:2,198KB)

吉野安里・柴田直明

カラマツ中小径材の用途として、デッキボードを検討した。部材は、中目の丸太を四ツ割りに製材し、四方柾の角材を得た。防腐処理はcca、aac及び対照用の無処理の3条件とし、屋外暴露させ、部材の形質変化を観察した。約2年間の結果から、以下のことがわかった。
(1)重量と断面の寸法は7~8月を極小月、11月を極大月とする年変化があり部材の幅は±0.3%の変化を繰り返していた。
(2)接地させなければ、部材の上面を重点的に耐候性の処理(木材保護塗装など)をするだけで、保護効果を期待できる。
(3)ねじれは、四方柾・180cm長・63mm角で1~2mmの変化がある。部材を短くして、実用上のねじれを少なくすることができる。
(4)材色はいずれの防腐処理においても彩度と明度が下がった(すなわち黒灰色に近くなった。)。


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13号(1998年)

長野県産カラマツ構造材の強度特性に関する研究(PDF:47,134KB)

橋爪丈夫

カラマツ人工林は短伐期経営を意図して誕生したが、需要構造の変化から長伐期大径材生産を指向するようになった。
本論文では、カラマツを構造材として利用するために心去り正角の曲げ強度を詳細に解析し、荷重方向と曲げ強さとの関係から、横架材として有利な使い方を示すとともに、林分の樹齢、海抜高及び地域と曲げ強度性能との関係を考察した。
次に、構造用集成材素材としての可能性を検討し、ラミナの製材寸法は木取り位置によって設定できること、縦振動法による丸太等級区分の意義を示した。また、連続送り式機械等級区分装置の特性を明らかにし、測定値の解析結果から現状の人工造林木で製造可能な集成材の強度等級を推定した。
さらに、ラミナの曲げ及び引張り強度特性を明らかにし、ラミナの機械等級と集成材の曲げ強度性能の関係を示した。加えて、集成加工材料の特性である積層効果が垂直積層集成材で顕著であり、水平積層集成材では認められないことを示し、後者の最外層用ラミナの機械等級区分は長さ方向の曲けヤング係数の最小値で行うべきことを提案した。
(京都大学学位論文)


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10号(1996年)

人工造林カラマツ7林分から得られた正角の実大曲げ強度性能(PDF:15,328KB)

橋爪丈夫・吉田孝久・武井富喜雄

長野県産カラマツ人工造林木の強度性能を明らかにする目的で、信州大学農学部、農林水産省森林総合研究所とのプロジェクトの一部として、長野県下7林分から得られた正角(315本)の実大材曲げ強度性能を検討した。
7林分からの正角の曲げ強さは平均で、a(65年生):541kgf/cm2、e(44年生):482kgf/cm2、c(55年生)・f(40年生)・g(75年生)・b(50年生):447~426kgf/cm2、d(42年生):395kgf/cm2の順であった。最も高樹齢であるが、高海抜地に成育し、成長が悪く中庸な値を示した林分gとあて材の影響で曲げ強さが高めになったと考えられる林分eを除くと高樹齢の林分からの正角ほど曲げ強さが大きくなる傾向が認められた。
曲げ強さは四方柾>二方柾>心持ちの順であり、林分ごとにみてもその傾向は顕著であった。


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7号(1993年)

広葉樹林の造成と利用に関する研究(iii)
-中小径広葉樹材の利用開発に関する材質的試験-(PDF:7,290KB)

吉田孝久・橋爪丈夫

ミズキ、アサダ、イヌシデ、サワグルミの中小径材について、その利用可能性を検討するため、製材特性、乾燥特性及び曲げ強度特性を検討した。さらに製品試作を行い性能評価を行った。その結果、製材は厚さ36mm、幅12cmの木取りで行ったが、製材歩止まりは末口径が大きいほど有利であり、末口径20cmでおよそ50%であった。全ての樹種において、成長応力やアテに起因すると思われる狂いが多かった。
乾燥特性はイヌシデが初期割れの危険が大きく、ミズキは糸巻状の断面変形が大きいことからやや緩やかな温湿度条件を採用した。アサダは、初期割れ・断面変形ともにやや発生が見られたが、ミズキやイヌシデよりも高めの温湿度条件となった。また、サワグルミについては、乾燥に対する欠点発生の危険が全くなかったため、90℃の高温乾燥を行った。また、曲げ強さでは利用に際して問題はほとんど無いことが明らかとなった。


7号(1993年)

国産針葉樹材の高付価値化技術の高度化
1流通段階における実態調査(PDF:2,126KB)

吉田孝久・橋爪丈夫・武井富喜雄

製材品の流通段階における含水率を調査した結果、製材工場においては注文挽きが多いこともあって、製材後1週間以内のものがほとんどで、その含水率は生材状態であった。また製品市場においても高含水率材が多く、乾燥材の入荷はほとんどなかった。
7号(1993年)

国産針葉樹材の高付価値化技術の高度化
2建築現場における実態調査(PDF:3,571KB)

吉田孝久・橋爪丈夫・武井富喜雄

建築現場における製材品の含水率調査を行った結果、上棟時の含水率は柱材が20~25%、土台が25~30%、梁・桁が20~25%であった。また、1~2か月の素建て期間をおいた内装時には、上棟時に比べ5%程度の含水率低下が見られた。


7号(1993年)

国産針葉樹材の高付価値化技術の高度化
3木造住宅部材の含水率調査(PDF:1,790KB)

吉田孝久・橋爪丈夫

在来工法木造住宅の解体に際して部材の含水率を調査した結果、その含水率は、床下部材で約15%、床上部材で約13%、小屋組で約11%であった。


7号(1993年)

国産針葉樹材の高付価値化技術の高度化
4仕上げ含水率状態とその後の形質変化の分析(PDF:1,802KB)

吉田孝久・橋爪丈夫

柱材の仕上げ含水率を20~30%に仕上げたスギ、ヒノキ、カラマツのその後の寸法変化を調査した結果、およそ3か月経過時で変化がピークに達し、この量は生材から含水率15%まで乾燥した時のほぼ1月2日であった。


7号(1993年)

国産針葉樹材の高付価値化技術の高度化
5心持ち柱材の乾燥スケジュールの確立-高温乾燥-(PDF:4,535KB)

吉田孝久・橋爪丈夫

カラマツ、ヒノキ、スギ柱材の乾燥時間の短縮をねらいとした95℃の高温乾燥についてその効果を検討した。その結果、カラマツ及びヒノキの12cm正角背割材は初期の生材含水率が低いこともあって、乾燥開始3日後で含水率15%を下回り、調湿も含めて4日間で乾燥を終了した。またスギ12cm正角背割材は、初期含水率が高かったにもかかわらず、乾燥開始5日後で含水率20%を下回りかなりの時間短縮ができた。一方このスギ背割材に対して無背割材は、乾燥開始12日目においても含水率は低下せず、この時点で含水率30%を下回る程度であった。


7号(1993年)

国産針葉樹材の高付価値化技術の高度化
6乾燥前処理方法の検討-葉枯らし材の材質試験-(PDF:3,931KB)

吉田孝久・橋爪丈夫・武井富喜雄

カラマツ及びヒノキの葉枯らし材の材質について、材色、乾燥性、曲げ剛性を一般材との比較で検討した。その結果、両樹種ともに、材色については数値的な違いは若干あるものの、人間の眼で識別できる差は出てこなかった。また、乾燥性については、製材後の両者の含水率はほとんど変わらず、また乾燥速度や形質変化においても違いは現われなかった。なお、曲がりについては一般材に比べ葉枯らし材の方がその発生量が少なかったが、これは葉枯らしの影響であるとは断定できなかった。
強度的な性質を調べる非破壊曲げ剛性試験の結果においても、一般材と葉枯らし材の差は認められなかった。
なお、ここで実施されてた葉枯らしは、梢端より3mまでの枝葉を残した部分葉枯らしで、全枝葉を残したものとは異なる。


7号(1993年)

国産針葉樹材の高付価値化技術の高度化
7カラマツ建築材の乾燥に伴う寸法変化について(PDF:3,859KB)

吉田孝久・橋爪丈夫・武井富喜雄

カラマツ建築材について、乾燥に伴う収縮率を調査したところ、全材種について収縮は含水率30%付近から始まり、その後収縮率は指数関数的に増大した。含水率20%までで収縮率はおよそ1%、含水率15%までで収縮率はおよそ3%であった。


7号(1993年)

国産針葉樹材の高付価値化技術の高度化
8スギ板材の人工乾燥(低温、中温、高温)(PDF:1,849KB)

吉田孝久・橋爪丈夫

スギ板材(厚20mm)について低温乾燥(60℃)、中温乾燥(70℃)、高温乾燥(80℃)の乾燥温度別による乾燥特性を検討した。この結果、どの乾燥スケジュールにおいても割れの発生はほとんどなく、乾燥時間も高温乾燥については含水率10%まで52時間と比較的短時間の乾燥であった。また、乾燥後の材色については、高温乾燥がやや赤味が減少する傾向にあった。


7号(1993年)

国産針葉樹材の高付価値化技術の高度化
9カラマツ材の乾燥温度別による強度特性(PDF:2,740KB)

吉田孝久・橋爪丈夫

カラマツの高温乾燥材(95℃で4日間)の曲げ強度試験を実施したところ、曲げ強さは数値的に若干低下が見られたが、使用上は差し支えない程度のものであった。また、曲げヤング係数は低温乾燥や中温乾燥と遜色ないものであった。


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6号(1992年)

カラマツ等県産材の需要開発に関する総合研究
-県下4林分から得られたカラマツ正角の実大材曲げ強度-(PDF:8,576KB)

橋爪丈夫・武井富喜雄・吉田孝久

カラマツ人工林としては比較的高樹齢の3林分及び天然1林分から供試材を得て、心去り角を主体とした12cm正角の実大材曲げ試験を実施し、林分別、木取り別、荷重方向別に検討した。
林分別では人工3林分からの正角の強度性能の差異は小さく、天然林材に比較して優れていた。木取り別では人工林材について心持ち、二方柾、四方柾の順に曲げ強さ、曲げヤング係数とも値が高かった。荷重方向の影響は曲げ強さについて認められ、木裏側から荷重をかけた場合木表側からより優れた値が得られた。このことから、曲げの力を受ける横架材として人工林カラマツを使用する場合、木取りに配慮するならばより合理的な利用ができることが示された。


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5号(1989年)

農林水産業用資材等農山漁村における国産材の需要開発に関する総合研究
-木質系産業用資材等の需要ポテンシャル調査-(PDF:2,897KB)

橋爪丈夫・吉田孝久・武井富喜雄・三村典彦

従来木材が使用されていた農業用資材の中で、野菜の出荷箱、牛舎、リンゴ支柱を取り上げ代替材との関係で検討した。これらの中で将来の需要の可能性が認められるものは牛舎であった。
また、新しい利用方法として高速道路用防音壁および木レンガについて検討した。高速道路用防音壁については小径材の多量消費の場として期待できるが、実用化に向けてきめ細かな取り組みが必要である。木レンガについては、小規模分散的な需要にも低コストで対応できる体制と施工方法も含めた検討が必要である。


5号(1989年)

農林水産業用資材等農山漁村における国産材の需要開発に関する総合研究
-木製防音壁の試作と性能評価-(PDF:9,538KB)

武井富喜雄・吉田孝久・橋爪丈夫・吉野安里・三村典彦・奥村俊介

カラマツ中小径材を利用して木製防音壁を試作し、その性能評価を行った。
矢羽形をした単純な断面形を持つ防音壁(bタイプ)は14,000/m2であり、遮音性能も公団の仕様に合格した。本タイプが高速道路に試験採用された。この防音壁をさらに改良して、カラマツ中小径材を半割して作った防音壁(cタイプ)は、コストも1平方メートル当り9,065円となり1万円を切ることができた。
遮音性能は防音壁パネルの単体間及びパネルと支柱間に完全にシールをして、両者の性能比較を試みたところ、単体の厚さが厚いbタイプの方がいずれの周波数でも遮音性能は大きかったが、現場での標準施工としての性能については、単体間にヤトイのあるcタイプの方が遮音性能が高かった。cタイプ防音壁も日本道路公団の遮音性能の仕様には合格していた。


5号(1989年)

農林水産業用資材等農山漁村における国産材の需要開発に関する総合研究
-歩道用木レンガの試作と性能評価-(PDF:3,693KB)

橋爪丈夫・吉田孝久・武井富喜雄・三村典彦

カラマツ間伐小径材の利用拡大を図るため歩道用木レンガについて検討した。
(1)木レンガブロックを継ぎ手板を用いて連結し木レンガユニットとすることは、運搬や防腐処理が容易になる上、著しく施工能率が向上し、さらに施工後の歩道の安定に寄与した。
(2)防腐処理加工(クレオソート油)まで含めた木レンガユニットの製造原価は、9×9×10cmブロックを5個連結したユニットで8,120円/m2であった。これは昭和59年当時の森林組合の設備を前提として試算したものであり、その後平成元年に伊那市に完成した例では6,542円/m2であった。
(3)路盤工は凍結深度を考慮してクラッシャーランを用い、目地は砂及びアスファルトモルタルで仕上げるのが現状では良いものと判断された。


5号(1989年)

農林水産業用資材等農山漁村における国産材の需要開発に関する総合研究
-木製ストックハウスの試作と性能評価-(PDF:3,536KB)

吉田孝久・橋爪丈夫・武井富喜雄カラマツ間伐中小径材を利用した小規模な簡易木製ストックハウスを試作し、その普及性について検討した。試作したストックハウスは、軸組タイプとパネル型タイプの2種類であり、軸組タイプでは仕口は全てcマーク表示金物と釘とでジョイントしたため、従来の複雑な組手は解消し、誰にでも組み立てられるものとなった。市販されている鋼板性の物と比べ美観的には大変優れたものとなったが、価格(原材料)的にはやや高いものとなった。組立には、2人で約1日を要した。
一方パネル型タイプでは、工法的に簡単なものを設計し、壁パネルや床パネルともあらかじめ完成できるため、精度の高いものができた。パネルを組立て?体を完成させるには、2人で半日あれば十分であった。パネル型タイプの方が普及性は高そうであった。


5号(1989年)

農林水産業用資材等農山漁村における国産材の需要開発に関する総合研究
-野外トイレの試作と性能評価-(PDF:1,745KB)

吉田孝久・橋爪丈夫・武井富喜雄

カラマツ中径材の利用の一環として、公園等で使用する野外トイレを人工乾燥材を用いて試作した。工法は在来軸組工法で一般的なものであったが、木造の素朴さが表れた好感の持てるトイレとなった。


5号(1989年)

農林水産業用資材等農山漁村における国産材の需要開発に関する総合研究
-乳牛用の木製飼槽(餌箱)の試作と性能評価-(PDF:1,456KB)

吉田孝久・吉田宮尾・武井富喜雄・橋爪丈夫

カラマツ間伐中径材の利用の一環として、集成材を利用した乳牛用の飼槽を試作した。
集成材を使用したため、加工組立てにはあまり時間を要しなかったが、一方では、集成材が幅広であったことと、使用環境が高湿なことから材にやや反りが生じてしまった。飼槽一個の原材料費は、約21,000円であった。


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4号(1988年)

スギ・ヒノキ穿孔性害虫被害の防除技術に関する総合研究
-被害材の分類と品等区分-(PDF:5,082KB)

吉野安里・橋爪丈夫・吉田孝久・武井富喜雄・奥村俊介

被害材市場調査、長野県森林組合連合会長野市場にてスギ被害材の混入割合と落札価格との関係を調査したが両者には明らかな関係はみられなかった。実大材強度試験では製材の外観の変色率が5%を超えると、曲げ強度に劣化の傾向が現れた。しかし試験材の全てが建築基準法施行令に規定するスギの材料強度値225kgf/cm2を満たしていた。小試験片による強度試験被害が変色にとどまる段階では、機械的な強度が健全材に比べて劣っているとは言えなかった。


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3号(1987年)

未利用広葉樹の利用開発に関する研究(PDF:2,520KB)

吉田孝久・武井富喜雄・橋爪丈夫・吉野安里・奥村俊介

長野県内に分布する広葉樹は樹種的には数は多いが、主としてはナラ類・カンバ類・カエデ類のほかシナノキ・クリ等であった。これらのうち、胸高直径18cm以上の利用可能木の林内に占める材積割合は平均54.4%であったが、蓄積量からみると量的には少ない傾向にあった。一方、これらの中小径広葉樹の一連の加工試験においては、一般の大径材と比較して製材歩止りは多少低くなるものの、乾燥による形質変化及び強度性能においては、大径材と大差がなく一般材と同様の用途に使用することが可能と思われた。


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1号(1986年)

カラマツ小径材の生産・利用の実態に関する調査(PDF:2,323KB)

吉田孝久・三村典彦・橋爪丈夫・奥村俊介・小林大徳

素材調査では、造材されているものの規格、曲がり等に調査地間で差が認められた。辰野木材センターにおいて取り扱われる素材はおよそ80%が県内に出荷されているが、そのほとんどが一次加工後、土木用材として県外へ移出されていた。東信の7社及び茅野市の1社では、杭、タイコに代表される土木用材が主として関東方面に出荷されており、伊那市の2社でトンネル用材が主として中京方面に出荷されていた。辰野町で生産される支柱は県内消費が主であった。加工面ではツインバンドソー、双子丸鋸盤、杭の先付加工機等の小径材用機の導入はかなり進んでおり、能率の面で優れていた。
最終需要者に対する聞きとりでは、杭、タイコに代表される一般土木用材としての需要は将来的には漸減することが予想された。
1号(1986年)

カラマツの実大材強度試験(ii)
-小径材から彩材した心持材及び中目材からの平割(根太)の強度性能-(PDF:2,175KB)

橋爪丈夫・三村典彦・吉田孝久・奥村俊介・向山繁人カラマツ小径材からの9cm正角、7cm正割及び中目材からの平割を人工乾燥の後、実大材曲げ破壊試験を実施した。主な結果は次のとおりである。
(1)実大材の曲げ破壊強度は、平均値で、9cm正角482kg/cm2、7cm平割428kg/cm2、平割493kg/cm2であった。(2)曲げヤング係数は平均値で9cm正角95.8t/cm2、7cm正割87.4t/cm2、平割84.0t/cm2であり、木構造設計基準の針葉樹i類の普通構造材の値90t/cm2を上回るものは9cm正角だけであったが、既応のカラマツ若齢材について報告されているほどの低下は認められなかった。
1号(1986年)

カラマツ材の乾燥(PDF:10,557KB)

三村典彦・橋爪丈夫・吉田孝久・奥村俊介・小林大徳・向山繁人

(1)小径丸太の天然乾燥では、剥皮丸太は、ほぼ2か月で含水率20%に達し、6か月経過時点では、ほぼ木材の平衡含水率となった。また、皮付き丸太の乾燥は遅く、12か月経過でも50%以上の水分状態であった。
(2)割れ易い心持正角材及び正割材は、含水率30%までの天然乾燥でも多くの割れが発生した。
(3)人工乾燥温度と割れの関係は明瞭であって、生材からの高温乾燥は著しく抑制できた。このことは全ての乾燥試験で確かめられ、特に平割類の生材からの高温乾燥では、割れは全く発生しなかった。
(4)乾燥による曲がり、ねじれ等の狂い抑制に圧締(桟木加圧1kg/cm2)の効果が認められた。
(5)蒸煮-高温乾燥を行った材において、著しいヤニ滲出防止効果が認められた。また、柱角の試験において、5時間程度の蒸煮だけで、実用上支障のない程度にヤニ滲出防止ができることが明らかとなった。

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所属課室:長野県林業総合センター 

長野県塩尻市大字片丘字狐久保5739

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