ホーム > 長野県環境保全研究所 > 調査・研究 > 野生鳥獣の生態と保護管理と被害対策

ここから本文です。

更新日:2023年4月1日

環境保全研究所

野生鳥獣の生態と保護管理と被害対策

野生鳥獣の生態と保護管理に関する調査研究及び被害対策の普及啓発

研究期間:H22~25年度(2010~2013年度)

研究の目的

 ニホンジカ(剥製)

 近年、野生鳥獣(カモシカ・シカ・イノシシ・クマ・サル・魚食性鳥類など)が分布域を広げ農林業被害が激増し、またクマによる人身被害が大きな問題になっています。本研究では、特に問題になっている野生鳥獣の生態調査や保護管理に関わるモニタリング調査を行うことにより、県行政が進める保護管理計画や被害対策に資する基礎資料を提供するとともに、専門的な立場から対策の普及啓発を行うことを目的としています。このため、シカ・クマや魚食性鳥類の生態調査、保護管理計画にともなうモニタリング調査、サル対策に関わる環境教育などを行います。

 なお、野生鳥獣の保護管理に関わる研究プロジェクトは、平成13年より3年ごとに内容を見直しながら進めてきています。本研究は第4期目になり、今後は魚食性鳥類も含めて調査研究を行っていきます。第1期から第3期までの概略は以下のとおりです。

 第1期(平成13~15年度)において、野生動物に関わるプロジェクト研究を立ち上げ、野生動物保護管理の実施体制の中で、研究機関やNPOがどのような役割を果たすべきかを検討してきました。

 ツキノワグマの頭骨

 引き続く第2期「野生動物の生態及び保護管理に係るモニタリングに関する調査研究(平成16~18年度(2004~2006年度)」では、保護管理に関わるより具体的な生態調査、保護管理計画にともなうシカ・クマの年齢査定、サル対策に関わる環境教育など、様々な機関との連携の中で環境保全研究所としての役割を担い、野生動物の保護管理をバックアップしてきました。

 第3期「野生動物の保護管理に関する研究及び被害対策の普及啓発(平成19~21年度(2007~2009年度)」では,個体数,年齢構成等のモニタリングのほか、被害対策の普及啓発おこないました。

 また、魚食性鳥類については、平成19~21年度(2007~2009年度)に「カワウ及びサギ類等魚食性鳥類の県内における生息状況の調査研究」を実施し、カワウやアオサギ、カワアイサの生息状況をモニタリングしました。

研究の内容

  1. カモシカの胃内容物調査

    • カモシカの捕獲個体(年間約50頭)の胃内容物を分析する。
  2. シカ・クマの捕獲個体の年齢査定

    • シカ及びクマの特定鳥獣保護管理計画実施にともなう個体群の動向をモニタリングする一環として、捕獲個体の歯による年齢査定を行い、年齢構成を調べる。
  3. シカのライトセンサスによる個体群の動向調査及び植生への影響調査

    • 霧ヶ峰でシカのライトセンサスを継続し個体数の増減の季節変化や経年変化を追跡する。また、シカによる植生への影響の把握のため、シカが入り込まない調査枠を設置し植生変化を調査するほか、ニッコウキスゲや高層湿原への影響調査を行う。
  4. クマ等の生態調査

    • 戸隠森林植物園において個体数調査及びテレメトリー調査(信州大学教育学部・同理学部・信州ツキノワグマ研究会との共同研究)。
  5. 野生動物被害への有効な対策の実施方法の検討

    • 農業被害への集落単位での有効な対策を実施するために、被害の現状を調査して課題を整理し、施策へ反映させる。
    • サルの比較的新しい被害発生地である信濃町を例に、どのような有効な対策が実施可能かを継続して検討する。サル被害地では、地域毎にさまざまな条件をいろいろな組み合わせで抱えているが、信濃町は比較的多くの条件を同時に抱えているため、そこでの有効な対策の検討が、他の地域での参考になると考えられる。
  6. 魚食性鳥類の生息状況把握

    • カワウ、アオサギ、カワアイサなどについて県内の生息分布等について調査する。
  7. 野生動物の被害対策に関する普及啓発

    • 林務部が進める被害対策支援チームの一員として、普及啓発に関わる人材育成に協力するとともに、地域の要望に応じて被害対策の普及啓発を行う。

これまでの成果報告

研究課題:野生動物の生態及び人との共存に関する調査研究(2001-2003年度)

成果報告書「野生動物の農林業被害と保護管理体制を考えるために(72pp,2004年3月発行)」

印刷分については申し訳ありませんが,残部なくなりました。

成果報告書のPDF(スキャナ読取りのためファイルサイズに注意!)

前半部PDF(表紙~第1章,2章: 6.4MB)

後半部PDF(第3章~最終ページ: 8.2MB)


目次

1章 獣害発生の背景と経緯

1-1 野生動物受難の100年

1-2 野生動物による農業被害発生の主要な原因

1-3 特定鳥獣保護管理計画について

1-4 最近の農林業被害の現状と防除技術

2章 防除技術の普及と保護管理体制~ニホンザルとツキノワグマを例に~

2-1 ニホンザルの農業被害対策を効果的に進めるために

2-2 専門技術者の配置によるツキノワグマの保護管理体制(提案)

3章 基礎研究

3-1 ツキノワグマが人里に出没する原因~長野市飯綱高原周辺についての考察~

3-2 江戸時代以降の長野盆地と周辺山地におけるイノシシの生息状況の変化

3-3 近年の長野県における最大積雪深の変動

3-4 カモシカの特定鳥獣保護管理計画にともなう胃内容物分析

3-5 カモシカの捕獲場所と胃内容物

引用文献

資料1 農業被害防除のポイント

資料2 執筆者一覧


(研究リーダー 岸元良輔)

Adobe Acrobat Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。

お問い合わせ

所属課室:長野県環境保全研究所 

長野県長野市大字安茂里字米村1978

電話番号:026-239-1031 

ファックス番号:026-239-2929 

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?