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更新日:2014年6月24日

水産試験場

卵のふ化成績は親魚の個体差にある

シナノユキマス物語コレゴヌス養殖技術開発の記録

卵のふ化成績は親魚の個体差にある

塩瀬 淳也

 昭和52年(1977年)度に養成親魚の数尾から採卵ができ、翌年度は300尾近くの親魚から採卵ができた。初年度は、ほとんどふ化に至るものはなかったが、昭和53年(1978年)度に採卵毎に収容してふ化した発眼成績は0~82.8%と大きなバラツキがあり、0に近いものが多かった。そこで、この原因を掴む必要があるということで、親魚毎のふ化を行ってみた。
 日数経過とともに低下する生残率を見ると、あるものは発生初期に急激に低下し、あるものは10日前後で急激に低下し、また、あるものは初期、あるいは10日前後から緩やかに低下するもの等様々なカーブを描いた。このことは、ふ化方法には問題はなく、むしろ、個体ごとの卵質が大きく異なっていることを示している。この様な状況で全体の発眼率を上げるには、放卵後の卵質変化を把握して適期に採卵をすること及び飼育環境・飼育方法での改善をすること等が必要ということになった。
 しかし、飼育環境や飼育方法には佐久支場の条件という制約があるわけで、果たしてこの魚から計画どおりに再生産できるようになるのかと不安を感じた。一方では、数代にわたる継代ができれば飼育環境に合った系統に集約されて行くこともあり得ると期待した。それにしても、ほとんどが0%に近い発眼率になってしまったときは、コイ、マス等の数種の飼育経験しかない者にとっては、稚仔魚期の減耗や養成期のだらだらとしたへい死の継続も考えて、何と難しい魚なのかという思いに駆られた。

写真:シナノユキマスのふ化
シナノユキマスのふ化


 

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