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更新日:2014年6月24日

水産試験場

IPNの出現

シナノユキマス物語コレゴヌス養殖技術開発の記録

IPNの出現

羽毛田 則生

 シナノユキマスの病気と言えばセッソウ病、ビブリオ病、細菌性エラ病などが主であり、低水温時の投薬は困難などの問題はあるにしろ、いずれも治療可能な病気である。そして、嬉しいことにマス類で今でも大きな魚病被害となっているIHNには感染発病しないことである。当時、上流のニジマス養魚地ではIHNにより地底が真っ白になるくらいへい死していたから、このことは非常に有り難かった。
 しかし、平成3年(1991年)から稚魚に体色黒化魚が目立ち始め、その後、毎年発生した。細菌検査を行っても何も検出されなかったので、病因をウイルスと疑い、本場で検査したところIPNであった。当時、マス類養殖においてはIHNが猛威を振るっていたものの、IPNは既に過去の魚病として忘れかけていたウイルス病であったので大変ショックだった。
 発病時期は5~7月頃で、止水池から取り揚げて流水池へ移動する頃である。へい死魚は、完全に餌付いており、サイズの大きい成長優良な魚まで発病するので大変せつなかった。それでもと思い、換水を良くしたり、積極的に病魚除去を試みたりしたが焼け石に水であり、気休め程度の効果しか上がらなかった。1尾約10円するので、拾いながら被害額を算定したものである。そして、何よりも困ったのは稚魚出荷の計画が立たないことである。出荷はサイズ的にも、また活魚輸送のためにも6月の方が良いのであるが、結局、水温が上昇してへい死が終息する7月に入ってからでなければ出荷にならなかった。IPNにより例年3割はへい死した。


 

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