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更新日:2025年8月20日
カスタマーハラスメント、求職者等へのセクシュアルハラスメント等のハラスメントのない職場づくりや、女性の職業生活における活躍に関する取組の推進等を図るため、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号、以下「改正法」)が令和7年6月11日公布されました。
この改正により、カスタマーハラスメントを防止するために、雇用管理上必要な措置を講じることが全ての事業主の義務となります。
改正法は公布後1年6か月以内の政令で定める日に施行予定です(一部の規定は令和8年4月1日に施行予定)。
改正法の詳細については下記をご覧ください。
令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について(別ウィンドウで外部サイトが開きます)
カスタマーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべて満たすものです。(令和7年6月厚生労働省作成「令和7年労働施策総合推進法等一部改正法のポイント」より)
①顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う、
②社会通念上許容される範囲を超えた言動により、
③労働者の就業環境を害すること。
業種や業態、企業文化などの違いから、カスタマーハラスメントの基準は企業ごとに違いが出てくる可能性があることから、各社であらかじめカスタマーハラスメントの判断基準を明確にした上で、企業内の考え方、対応方針を統一して現場と共有しておくことが重要と考えられます。企業、業界において様々な判断基準がありますが、一つの尺度として、以下の観点で判断することが考えられます。
(1)顧客等(※1)の要求内容に妥当性はあるか
(2)要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲か
※1 顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者
企業がカスタマーハラスメント対策の基本的な枠組みを構築するため、カスタマーハラスメントを想定した事前の準備、実際に起こった際の対応として、以下の取組を実施することが推奨(※2)されています。
【カスタマーハラスメントを想定した事前の準備】
【カスタマーハラスメントが実際に起こった際の対応】
※2 改正法施行後においては、「雇用管理上必要な措置」として、相談体制の整備や発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置などの実施が義務化されることとなります。具体的な措置の内容等は、今後、国から指針において示される予定です。
厚生労働省「あかるい職場応援団」のホームページでは、ハラスメントに関する情報を一元化して情報発信しています。各種マニュアルやリーフレット・ ポスター等を掲載していますので、是非、カスタマーハラスメント対策にお役立てください。
・厚生労働省 ハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」(別ウィンドウで外部サイトが開きます)
・厚生労働省「職場におけるハラスメント防止のために」(別ウィンドウで外部サイトが開きます)
・厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(PDF:9,839KB)
・厚生労働省「業務別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(スーパーマーケット業編)」(PDF:5,054KB)
・厚生労働省「カスタマーハラスメント対策リーフレット」(PDF:2,395KB)
・厚生労働省「カスタマーハラスメント対策啓発ポスター」(PDF:1,165KB)
・厚生労働省「ハラスメント対策研修動画」(別ウィンドウで外部サイトが開きます)
長野県では、県内の企業等及び労働者を対象に、カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)の発生状況やカスハラ防止対策の実施状況等を把握し、今後のカスハラ防止対策の検討に活用するため実態調査を実施しました。
〇調査手法:WEBアンケート調査
〇調査期間:令和7年(2025年)2月~3月
〇調査対象及び有効回答数(※カッコ内は有効回答数及び有効回答率)
・企業調査 :県内企業1,466社(483社、32.9%)
・市町村・保育所調査:県内20市町村(14市町村、70%)、県内保育所20所(8所、40%)
・労働者調査 :県内労働者3,040名(894名、29.4%)
〇企業調査結果
・「(カスハラ行為が)発生している」21.7%
・発生割合は「運輸業・郵送業」、「金融業・保険業」、「サービス業(その他)」の順に高い。
・カスハラ対策の実施状況:「対策を講じていない」40.4%、「対策を検討しているが講じていない」30.8%
・カスハラ防止対策として効果的と考えられる行政の取組(複数回答):「カスハラに関する情報発信」(57.3%)、「マニュアルやガイドラインの整備」(56.1%)、「法令等の整備」(41.4%)の順に高い。
〇市町村・保育所調査
・「(カスハラ行為が)発生している」54.5 %(市役所・町村役場64.3.%、保育所37.5%)
・カスハラ対策の実施状況:「対策を講じていない」9.1%、「対策を検討しているが講じていない」31.8%
〇労働者調査結果
・「(カスハラの被害を)受けたことがある」36.2%
・発生割合は「公務」、「学術研究・専門・技術サービス業」、「医療・福祉」の順に高い。
・勤務先におけるカスハラ対策の実施状況:「実施されていない」25.6%、「わからない」34.9%
・カスハラ防止対策として効果的と考えられる行政の取組(複数回答):「カスハラに関する情報発信」(62.1%)、「法令等の整備」(51.3%)、「マニュアルやガイドラインの整備」(50.2%)の順に高い。
調査結果の概要及び調査結果報告書については、下記に掲載しています。