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更新日:2025年10月23日
長野地域振興局

芋川用水発電所は、長野県が発注した県営かんがい排水事業により、芋川用水トンネルの出口付近から小水力発電の取水を行い、約10mの落差を利用して発電します。
既存のかんがい用水利権に加えて、非かんがい期の発電用水利権を新たに取得し24時間365日発電をします。
年間発電量は260,000kWh 、CO2削減量は年間178t相当になり、ゼロカーボンの達成にも貢献できます。
この水力発電所は、信州大学と県内企業が共同研究開発をした新型クロスフロー水車を県内企業が製作を行い、建設(設計、施工)は同じく県内企業が担いました。また発電所の運営は飯綱町が行う信州産・地産地消を実現した発電所です。
なお、この発電所は、売電収入を農業用水路等の維持管理費に充てることで金銭面による負担軽減を目的としておりますが、「地産地消」という面は、SDGsの達成に向けた具体的なアクションとして非常に有効であると考えられます。
地域の貴重な資源である「水」を活用することで、持続可能な社会の実現に貢献することができます。
(※1) 乗用車1台あたりの年間CO2排出量が約4.6tと仮定すると、178tの削減は約39台の乗用車が1年間排出するCO2に相当します。
発 電 形 式 水路式
使 用 水 量 0.5175㎥/s
有 効 落 差 9.73m
最 大 出 力 35kW
水 車 新型クロスフロー水車
発 電 機 永久磁石型発電機
除 塵 装 置 無動力除塵装置
水 圧 管 路 FRPM管(一部鉄管)
年間予想発電量 260,000kWh → 約72世帯相当
(令和7年3月世帯数普光寺区415世帯/芋川地区342世帯)
年間CO2削減量 約178t → 杉12,638本の吸収量相当 (1kWh当たり約680g CO2削減)
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発電事業の経緯 平成26年(2014) 7月 水力発電適地調査結果(農業用水路)公表 平成28年(2016)11月 発電用水利権の取得に向け協議開始 平成30年(2018) 4月 県営かんがい排水事業芋川地区着手 令和4年(2022)12月 工事契約・設計の着手 令和5年(2023)11月 発電用水利権の取得(長野県) 系統連系に係わる接続契約(中部電力) 令和6年(2024) 1月 再生可能エネルギー発電事業計画の認定(経済産業省) 令和7年(2025) 4月 建設工事の完了 5月 運転開始 |
飯綱町北東部の旧三水村地区は、リンゴと良質な米の産地で有名です。この『三水』という旧村名は、芋川・倉井・普光寺の三用水に由来しています。
その三用水の中で一番長い芋川用水が開削されたのは、戦国時代末期の天正8年(1580年)(江戸時代初期の1603年説もある)でした。
上杉景勝に仕えたという清水戸右衛門の指揮により、信濃町富濃戸草地籍の鳥居川の頭首工から芋川村の東端まで、渓谷や山麓の難工事を成し遂げ約21kmの区間を整備したと伝えています。
その後、寛文11年(1671年)に飯山藩松平家に仕えた野田喜左衛門が指揮して赤塩村、東柏原村まで延伸し、総延長約29kmに及ぶ長大な水路が完成しました。
芋川用水は、今も三水地区の農業を支える重要な用水路としておよそ300haの農地を潤しています。


