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更新日:2024年6月14日

浅川ダムに関する疑問にお答えします。(8)

(当ページは作成途中段階のものであり、今後も質問項目や関連情報を追加していく他、適宜文言の修正があることをご了承ください。)

 

8.低入札への対応について


8-1.なぜ、県は履行可能と判断したのですか?

8-2.ダムの品質確保は、どのように担保されるのですか?

8-3.下請いじめが行われないか心配です。

8-4.地産地消(地域経済への効果)はどのように確保されるのですか?

8-5.県の積算がおかしいのではないですか?

8-6.県ではこれまでに工事発注の際の「失格基準」を引き上げてきていると聞いています。今回の低入札を「適切」とするのであれば、これまでの失格基準の引上げと矛盾するのではないですか?


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8-1.なぜ、県は履行可能と判断したのですか?


○県の発注する入札予定価格2億円以上の工事については、入札の結果、落札候補者の見積価格が、県の積算した予定価格の85%を下回った場合、工事を適正に行うことが可能かどうか、を判断するために、県の「受注希望型競争入札に係る低入札価格調査制度事務処理試行要領」に基づき、落札候補者の見積り内容を調査することとしております。
今回、浅川ダム建設工事は、予定価格約82億円に対して見積価格が52億円と63%の率となったことから、調査が必要となりました。
このため、会計局に「低入札価格調査委員会」を設置し、

1.材料及び労務等の調達を含む見積価格の妥当性

2.施工履行実績から見た施工能力

3.技術者の資格及び専任制等

4.財務状況からみた経営状況の観点から、落札候補者決定以降ほぼ2箇月の期間をかけて、約1000項目にわたる見積項目を落札候補者からの事情聴取等を行いながら、調査を実施しました。

その結果、落札候補者の見積りについては、以下のことがわかりました。

 

1.設計図書に基づく項目はもれなく見積もられており、見積価格も下請予定業者からの見積りに基づくなど根拠も明確である。

2.工事施工に直接係わる直接工事費は、県積算と比較して72.7%、仮設工を除くと78.0%の額で見積られており、著しく低価格な見積りとは言えず、材料費や労務単価も、県の積算と大きな差は見られない。

3.主要な工種であるダム堤体工については、県積算と比較して88.2%の額で見積もられており、材料費についても低価格な見積りとはなっていない。

4.減価償却済みの手持ち資機材の活用や、現在施工中の隣県のダム工事現場からコンクリート製造用の仮設備の転用や熟練工による施工を行うとともに、近隣下請企業の活用による輸送コストの縮減や作業効率の向上を図っている。さらには一部の技術者の給料は研修費として本社から支払うとともに、現場にかかる経費以外の会社運営に必要な経費は最低限の額を計上するにとどめるなど、企業努力によるコスト縮減の理由に合理性があり、見積価格に妥当性が認められる。

5.下請予定企業、資材調達予定企業ともに実績のある者が選定されており、実効性のある施工体制となっている。

 

さらに、過去の施工実績、配置技術者の資格、会社の経営状況も調査し、これらから工事を適正に行うことが可能である、と判断しました。

この報告を受け、県内経済への影響や品質確保対策等も加味して確認を行い、落札者として決定しました。



入札状況(入札経過書)(PDF:5KB)を参照してください。

○数値的根拠を含め上記内容を説明した県議会危機管理建設委員会提出資料

建設工事にかかる低入札価格調査の状況と発注者の対応について(PDF:203KB)」を参照してください。
 

 

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8-2.ダムの品質確保は、どのように担保されるのですか?


○県では、浅川ダム本体工事が低入札価格になったことから、以下のような「品質確保のための監理体制の強化」を行うこととしています。
 

1.落札者(3者JV)には、通常、各社それぞれ1名の専任技術者を配置すべきところ、さらに各社1名の専任技術者を増して、計6名の技術者を配置することを義務付け、品質確保を図らせることとします。

2.県が行う監督については、監督職員を現場に常駐させるほか、ダム技術、地質などの専門家による「施工監視委員会」を設置するなど、入札時に提出された工事施工内容が適正に行われ、確実に工事が実施されるよう、万全の体制で臨みます。

3.施工途中に行う抜き打ち検査や確認調査による監理体制強化により、施工体制や施工計画の確認を行うことで、適正な施工の確保を図ります。

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8-3.下請いじめが行われないか心配です。


○落札者から提出された見積書を調査した結果、下請予定企業から提出された工事予定金額が減額されることなく、入札金額に計上されていることが確認できたことから、現段階では下請企業へのしわ寄せがないものと判断しています。

契約後は、「建設業法」や「長野県建設工事元請・下請関係適正化指導要綱」に基づき、契約の適正な履行、適正な支払い状況の把握など、下請企業にしわ寄せがないように、立ち入り調査や抜き打ち検査により、確認や指導を行います。

さらに、工事完了後、コスト調査を義務づけており、下請企業へのしわ寄せが確認された場合には、工事成績点の減点や、指名停止を行うことができることになっています。

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8-4.地産地消(地域経済への効果)はどのように確保されるのですか?


○今回の工事が、「地産地消」により、県内経済に対しできる限り効果を発揮できるよう検討を行い、以下のような措置を講じております。

1.分離分割発注について
工事の発注単位について、本ダムの建設工事は、大きく分けて「ダム本体に係るもの」と「地すべり対策に係るもの」で構成されています。このうち、本体工事と分割して施工が可能なものはなるべく分離分割発注することとし、地すべり対策工事等約30億円分につきましては、本体工事と分離し、県内企業を対象に発注する方針としています。

2.JV(共同企業体)での県内企業参加について
ダム本体工事の発注方式について、今回の工事は、政府調達協定に基づき国際競争入札とする、基準額26億3,000万円以上の工事、いわゆるWTO案件であり、県発注工事において、下請に県内企業を指定することができません。
このようなことから、3社によるJV方式を採用し、構成員として2社の県内企業参加が可能な方式とし、結果的に、落札したJV構成員3社のうち2社が県内企業となっております。
(参考:平成12年度本体工事発注の時には、同じ3社によるJV方式でも、2社県外、1社県内という構成でした。)

3.県産材の優先活用について
入札公告に際して明示する「現場説明事項・施工条件明示事項」の中で、建設資材について、県内産を優先的に使用することを明記しました。
その結果、落札候補者に対する低入札価格調査の中で、生コン・骨材など主要な資材の全てを県内で購入することとし、その価格についても県積算の単価とほぼ同額で見積もられていることを確認しております。

4.その他地域経済への効果について
価格以外の評価を行う総合評価項目の一つとして「地域貢献策」を位置づけ、県内企業の活用や資材購入等の面で、より地域経済に寄与する応札者が、評価点が高くなるよう配慮しました。
その結果、同JVの見積りでは、一次下請分のうち92%が県内企業となり、さらに、臨時的に必要となる事務職員も地元から雇用することとしており、工事期間中は、現場に通勤できる範囲に、多くの工事関係者が居住することとなりますので、こうした関係者の衣食住に係る費用等も、地域経済に一定の効果を及ぼすものと考えております。

以上のように、今回の浅川ダム建設工事は、「地産地消」の観点から、県内経済に対しても、一定の効果を発揮できるものと考えております。


※WTO案件とは
県などの地方公共団体が工事を発注する場合、現在、26億3千万円以上の工事では、競争の自由性を確保するとの観点から、「政府調達に関する協定(WTO協定)」で、入札契約に関し、会社の所在地に関する要件や下請け要件、最低制限価格を設定することができません。

※JV(建設工事共同企業体)とは
一つの建設工事を受注、施工することを目的として、複数の建設企業が結成する事業組織体です。
なお、英語名「JointVenture」の略語である「JV」の呼称が用いられます。
特に、浅川ダム建設工事のように大規模かつ技術難度の高い工事の施工に際して、技術力等を結集することにより、工事を安定的に行うことを目的に採用されます。

 

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8-5.県の積算がおかしいのではないですか?


○県の積算は、応札者側の事情等を考慮するのではなく、発注に際しての一定の要件を満たす者であれば、どの応札者も施工が可能な一般的な価格として積算を実施します。具体的には次のとおりです。

 

 

1.標準的な建設機械及び必要人員等から、各工種の手間にあたる歩掛を定め、さらに、材料費を加えて、工事にかかる直接的な費用(直接工事費)を算出します。そして、直接工事費に、現場にかかる経費や、受注者の会社を運営するための経費等を加算して予定価格を算出いたします。

 

2.資材等の単価については、その地域での流通状況を調査し、定められた単価や一般に公表されている物価資料、また、特殊な資材につきましては、専門機関が個別に調査した単価を使用します。

3.一方、応札者側が行う見積りにつきましては、その企業の実際の資材購入先との取引価格を反映させる他、手持ち資材の転用や、企業として独自に有している技術、工法等により、応札者側の事情を加味し、設計図書で求めた工事を実施する場合の価格となります。

4.今回、落札者となったJVが提出した見積もりに関しても、材料費、労務単価などについては、県積算とほぼ同額としながら、これまでの経験や実績に基づく独自の施工技術の活用やコンクリート製造設備をはじめとする手持ち資機材の転用などにより、合理的なコスト縮減が図られています。

 

以上のとおり、今回の見積りに関しては、応札者の独自の工夫によりコスト縮減・企業努力が図られたものであり、県の積算額、応札者の入札額どちらかが間違っていたということではありません。
 

 

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8-6.県ではこれまでに工事発注の際の「失格基準」を引き上げてきていると聞いています。今回の低入札を「適切」とするのであれば、これまでの失格基準の引上げと矛盾するのではないですか?


○県は、これまで、災害時や豪雪時等において地域の安全安心の確保のために頑張っている、地元中小建設企業の経営の健全化を図るため、県議会入札制度研究会からの提言も踏まえ、徐々に失格基準の引き上げを行ってきました。
これら地元中小建設企業が行う工事は、価格の比較的低い、例えば道路の盛土や舗装工事、河川の掘削・護岸工事などで、このような工事は施工方法がほぼ決まっており、県の積算に対し応札者側がコスト縮減の提案を行う余地は限られています。

一方、ダムやトンネル、長大橋梁など大規模な工事の場合には、県が行う標準的な積算に対し、専門的な施工技術を有するとか、特殊な機械・資材を保有しているなど、応札者によっては、工夫により大幅なコスト縮減も可能になってきます。
県といたしましては、地域の為に頑張っている建設企業の育成を図ることはもちろんですが、県民の皆様からの税金をもって公共事業を行っている以上、企業側からの提案も含め、適切にコスト縮減を図ることも重要と考えています。

このため、失格基準の設定に当たりましても、工事費2億円未満のものにおいては入札予定価格の85~90%、2億円以上26億3千万円(WTO案件)未満は絶対値を設けずに応札者下位8割の者の平均応札価格の90%、WTO案件は失格基準を適用しないというように、予定価格が大きくなるほど応札者の努力によるコスト縮減が反映できる基準を設定しています。
なお、工事費2億円未満の工事においても、応札者側の創意工夫によりコスト縮減が可能と考えられる工事につきましては、「技術提案付き受注希望型競争入札」を用いており、この場合はもちろん失格基準は設定しないものとしています。

このように、県では、工事規模等により、入札制度に工夫を凝らしておりますが、今回の浅川ダム本体工事の入札につきましては、大規模工事でありコスト縮減等の企業努力が反映された結果であると考えています。
県といたしましては、貴重な財源を有効に活用し、県民の皆様の安全・安心の確保に努めるとともに地域の発展を図るため、適切な入札制度のもと公共事業の執行に努めて参りたいと考えています。

※失格基準とは
低入札価格調査で、それ以下の価格では失格とされる価格で、適正な工事履行がなされないと判断される数値的な基準です。

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お問い合わせ

建設部河川課

電話番号:026-235-7308

ファックス:026-225-7069

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