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更新日:2018年2月8日
長野県知事 阿部守一
今から会見を開きます。よろしくお願いします。(手話で表現)
それでは私からは、本日の部局長会議で決定した予算案・条例案、そして、新しい長野県総合5か年計画の案、さらには、部局長会議で報告がありましたが、「おぎ・もぎ・あべ鼎談(ていだん)」、これらについてお話していきたいと思います。
最初に、予算案についてです。皆さまに資料をお配りしているかと思いますけれども、まず、平成30年度当初予算案のポイント(資料1-1)をご覧いただければと思います。先ほど部局長会議で、平成30年度当初予算案、そして、2月補正予算案を決定させていただきました。県議会に提出をさせていただき、ご議決いただけるように取り組んでいきたいと思っています。
後でご説明する新しい総合5か年計画とパラレルになりますが、まず予算の方からお話したいと思います。このポイントに書いてあるように、今回の平成30年度当初予算案については、総合5か年計画の「学びと自治の力で拓く新時代」を意識した予算編成にしていますし、また、新しい計画のスタートの年にふさわしい内容になるように努めたところです。そういう意味で、学びと自治の力で新時代を拓く予算、新しい時代を拓く予算と考えています。
当初予算案の規模ですが、8,463億9,563万3千円ということで、対前年比1.9%マイナスということです。ただ、今回2月補正予算、国の補正予算を十分生かしながら、編成していますが、一体的に編成した2月補正予算と合わせると、対前年比で0.6%増になっています。
また、しあわせ信州創造プランと並行して策定し、このプランの第一歩を記す予算になるので、予算の組み立てについても、6つの政策推進の基本方針に基づいて編成させていただいたところです。特にこの中で部局横断的に推進していこうというものについては14の重点政策パッケージという形で、県民の皆さま方にわかりやすく取りまとめたところです。
学びと自治、そして、時代が大きく変化する中で、先端技術の活用、こうしたことを意識した上で、各部局にも、そうした観点を十分検討するように指示した上で取りまとめたものです。計画のスタートの年ですので、必ずしも全て、100%取り込めていない部分もあると思いますけれども、一歩目としては新しい方向付けをかなり具体化できたのではないかなと思っています。
次のページ、1ページの下から2ページにかけては項目ごとの記載です。また、2ページの真ん中から下の部分ですけれども、6つの政策推進の基本方針に即した予算編成ということとあわせて、喫緊の課題への対応、それから、森林税を活用した信州の森林づくりについても、予算の中で、わかりやすくお示ししています。
特に喫緊の課題への対応を二つ掲げていますけれども、「学びと自治の力」による健康づくりの新展開ということで、長野県は長寿県、健康県ですけれども、男性の平均寿命が滋賀県に抜かされたという危機感もあり、改めて健康づくりの取り組みについては、関係の皆さん、そして県民の皆さんと一緒になって進めていきたいと思っています。
それからもう1点、さまざまな皆さんとお話をすると、いかなる分野でも、今の喫緊の課題は人材確保、人手不足です。ここにもしっかりと焦点を当てて県として取り組んでいきたいということで、この二つについては、ある意味特出しの形で、当面の課題への対応ということで打ち出しています。
それからもう1点は、昨年、さまざまな議論を経て、森林づくり県民税を5年間延長することを決めさせていただきました。超過課税で、大前提は県民の皆さまへの説明責任を果たすということですので、その観点で森林税を活用した信州の森林づくりについても、そこの部分を切り取って、他のいろいろな政策に溶け込ませるのではなくて、そこの部分だけわかりやすくお示ししたところです。
3ページですけれども、全体的な予算の姿です。ご覧いただければお分かりのように、大きく義務的な経費とその他経費と分かれていますけれども、できる限り政策的経費を確保する上では、公債費であったり、人件費であったり、もちろん政策的に必要な人件費もたくさんありますけれども、抑制していくことが必要だと思っています。昨年の当初予算に比べると、ここの縮減はできているわけですが、他方で、社会保障関係費は県民サービスにも直結する部分でもあり、増加している状況です。
また、その他経費ですけれども、投資的経費については、県立大学の建設が完了するということもあって、そうした部分は減少という形になっています。先ほど申し上げたように、当初ではマイナス、昨年度当初予算と比べて、2月補正と一体で考えるとプラスで、増え過ぎもしないし、減り過ぎてもいない、という最後の仕上がりにはなっていますけれども、私としては必要な部分にはしっかりと予算を配分しつつ、片方で、財政の健全性を維持することにも意を用いて予算編成させていただいたところです。
下の方に社会資本整備について書いていますけれども、網掛けのところが修繕事業になっています。これからは新設から、あるものを大事に生かしていくという時代でもあるので、長野県としては社会資本整備の関係予算、これまでも継続して維持修繕関係の予算を増やしてきたわけですけれども、来年度、平成30年度に向けてもこの方向で取り組んでいきたいと思っています。
それから、4ページで社会資本整備事業のポイントを書いてありますが、これは後ほどお読みいただければと思います。
5ページですが、財政の更なる健全化ということです。これはもちろん各部局がいい事業執行できる予算にしていくことと同時に、県全体としては、持続可能な財政を維持していくことが重要だと思っています。そのような中で来年度予算の状況ですけれども、まず、主要一般財源の見通しは全体としては微増という形になっています。昨日株価が少し不安定になりましたが、今日はまた持ち直しているようです。経済状況は全般的に好調ということもあり、県税収入は増加することを見込んでいます。
地方交付税は基準財政収入額が増えると減る方向になるので、地方交付税、それから、臨時財政対策債についてはマイナスを見込んでいます。トータルとして、主要一般財源については増加するという形で予算計上していますし、その方向になるだろうと思います。
それから、県の借金ですが、県債発行額については、引き続き県債発行の抑制に取り組んでいきたいと思っています。臨時財政対策債と通常債合わせてマイナス37億円ということです。通常債の発行については事業を厳選することによって抑制させていただいたところです。結果として、プライマリーバランスについては238億円の黒字という形になります。引き続き、健全性については配慮していきたいと思っていますし、そうした取り組みの結果として、5ページの一番下にある県債残高については、通常債もこれまで同様、毎年かなりのペースで減少していく見通しになっていますし、特例債、臨時財政対策債、ちょっと発行が多いということもあって、この部分については増加しますが、県債残高トータルとしては、引き続き減少基調を維持することができると思っています。
それから次の6ページですけれども、基金残高です。私が知事になる前の残高が270億円程度でしたので、それから予算の効率的な執行等に努めて、基金残高もある程度増加させてくることができたのではないかと思っています。引き続き、予算編成段階では、基金の取り崩しを見込まざるを得ない、ある意味厳しい財政状況は継続していますけれども、執行段階での配慮等も含めて、ご覧いただいているような形で、500億円以上の基金残高はここしばらくキープできている状況です。引き続き基金残高について、一定程度、確保できるように取り組んでいきたいと思っています。
その下の健全化判断比率でありますけれども、今申し上げたような取り組みの結果として、実質公債費比率については引き続き減少と、財政状況が良くなる方向になっていますし、将来負担比率についても、早期健全化基準が400%ですので、それと比べるとこの指標を懸念するような状況では全くないということです。
歳入の確保と歳出の削減については、その下に記載しているような状況です。
それから、7ページ以降、重点的取り組みを14の政策パッケージということで書かせていただいています。これ一つ一つ詳細に説明していると時間がなくなってしまうので、少し簡単にざっと話を申し上げたいと思いますけれども、まず冒頭申し上げましたように政策推進の基本方針に即して、このパッケージを組み立てさせていただいています。特に部局横断的に同じ目標を持って取り組んでいくものを、こういう形で取りまとめさせていただいていますので、先ほど部局長会議でも、再三申し上げたように、政策の推進に当たっては、予算は便宜上どこかの部局に計上しなければいけないわけですけれども、執行に当たっては、できるだけ各部局が連携した取り組みを心がけてまいりたいと思っています。
まず1点目の「学びの県づくり」でありますが、これは生きる力と創造性を育む教育の推進、それから高等教育の振興による知の拠点づくり、生涯を通じて学べる環境整備という形で掲げています。特に2020年度までに県立高校全てにICT機器を導入して、クリエイティブ・ラーニングを進めていきたいと思っていますし、また特別支援教育の教員教職員定数についても、これまで自立支援教員を4年間で80名増員してまいりましたが、今後も引き続き充実を図っていきたいと思っています。
また高等教育関係では、この4月に新しい県立大学が開学するわけですが、「ソーシャル・イノベーション創出センター」を設置し、県立大学も県民の皆さんのためにフル活動してもらえるようにしていきたいと思いますし、また新しく清泉女学院大学、長野保健医療大学が看護学部を設置ということですので、長野市とともに、その設置を応援していきたいと思っています。
また生涯を通じて学べる環境整備ということでは、「信州タウンキャンパス構想(仮称)」ですけれども、どこでも誰でも主体的に学ぶことができる環境整備に一歩踏み出していきたいと思っています。
それから、14ページ以降が「産業の生産性が高い県づくり」です。ここは革新力に富んだ産業の創出から始まり、収益性と創造性の高い農林業の推進、そして郷学郷就の産業人材の育成・確保という形で組み立てていますが、まず革新力に富んだ産業の創出・育成は、IoT(アイオーティー)時代に長野県の産業政策もしっかり第一歩を踏み出していきたいと思っています。そういう観点で国の補正予算を活用して「IoTデバイス事業化・開発センター」を整備していきたいと思っています。プロフェッショナル人材も招へいして、世界水準のセンサーをはじめとするIoTデバイスを、県内のものづくり産業の皆さま方と連携して創出していきたい、創出できる環境をつくっていきたいと思っています。
それから、もう一方で中小企業の皆さん、ものづくり産業以外の分野にも、このIoTというものを広げていかなければいけない、そうしたものを活用して生産性を上げていかなければいけないと考えています。そういう観点でAI(エーアイ)、IoTの利活用戦略を策定していきたいと思っています。そういう意味で、他の農業、林業もそうですけれども、産業労働部が所管している分野においては、このAI、IoT時代への対応ということを、かなり重視して予算を編成させていただきました。
それから成長産業の創出のところですけれども、15ページです。ここは航空機産業あるいは食品産業も、それぞれ振興ビジョンをつくらせていただいていますので、引き続き力を入れて取り組んでまいりたいと思います。特に飯田の航空機システム拠点には国内唯一の環境試験機設備を整備して、航空機システム産業のさらなる集積を図っていきたいと思っています。またフランスのトゥールーズの海外商談会にも参加して、世界の航空機メーカーに長野県の航空機産業をしっかりとアピールしていきたいと思っています。
また食品関係ですけれども、「しあわせ信州食品開発センター」をすでに設置していますが、そこに機能性食品開発拠点を整備していきたいと思っております。これは「食品製造業振興ビジョン」の中でも、機能性食品を長野県からどんどん作り出していくということを打ち出していますので、その取り組みの核となる場として、この拠点を整備していきたいと思っています。
また、健康・医療の分野では、世界に売り出していかなければいけないということで、海外市場の展開に向けたマッチング機会の確保、あるいは工業技術総合センターに最先端の機器を整備して、医療機器の製造に対しても、これまで以上に積極的な支援体制を組んでいきたいと思っています。
それから、15ページの右の方には、起業スタートアップ支援ということで、先般、私もベンチャーコンテストに出てまいりましたけれども、県内で創業、起業の機運が、若い人たちを中心にだんだん高まってきています。大変ありがたいことだなと思っております。「日本一創業しやすい県づくり」ということで進めてきましたけれども、少しずつ具体的な動きに結びついてきていると感じています。創業支援資金の利用件数は、引き続き高水準で推移してきていますので、こうした方向は維持しながらも、世界と戦えるような起業家を育てる取り組みを行っていきたいと思っています。
そういう意味で、民間のノウハウも活用させていただく中で、伴走型の支援というものも、しっかりと行っていきたいと思っています。これは民間の皆さんの力を活用しながら進めていきたいと思っています。
それから16ページですが、農林業の分野についても、今回、かなり収益性、創造性に力点を置いて予算編成をしています。最先端技術の活用による、まずは生産のイノベーション、それから新しい需要を作り出していく上でのマーケティングのイノベーション、さらには農林業の分野での担い手確保が非常に重要ですが、今の農林業は世界では、ある意味で先端技術を最も使っている産業でもありますので、若者から支持される収益性の高い経営のイノベーション、こうした観点で農林業の革新を行っていきたいと思っています。農林業においてもICTあるいはドローン、こうした技術を積極的に取り入れていきたいと思っていますし、工業技術総合センターの部門に農業IoT支援室を設置して、農業の生産性向上に向けた取り組みも産業労働部にも行ってもらおうと思っています。
それから、新しい需要を作り出すという観点では、農政部で長野県の果樹を中心にさまざまなオリジナル品種を作ってきてもらっています。こうしたものをしっかりと発信して、ブランド化を進めていきたいと思っていますし、林業の関係では、信州プレミアムカラマツのブランド力の向上を引き続き図っていきたいと思っています。
また経営のイノベーションの観点では、農業では東京オリンピックも近づいてきていますけれども、国際水準のGAP(ギャップ)認証の取得を支援したり、あるいはトヨタ式カイゼン手法の導入で農業の生産性の向上をしたり、あるいは林業の関係では、オーストリアが非常に進んだ林業を行っています。さらなる技術交流の深化、あるいは人材育成に力を入れて、新しい時代に向けた林業の産業イノベーションを進めていきたいと思っています。
それから、人材の育成確保が17ページですが、引き続きプロフェッショナル人材の確保を努めていきたいと思っていますし、また県の農業大学校、林業大学校等、県立の人材育成機関における人材育成の取り組みについても、さらに強化していきたいと思っています。
それから、大きな3番目が「人をひきつける快適な県づくり」です。19ページ以降ですが、ここは「つながり人口」の拡大、あるいは「世界を魅了するしあわせ観光地域づくり」、そして文化芸術の振興、さらにはスポーツの振興と、こうしたことを大きなテーマにしていますけれども、まず観光については昨日も観光戦略推進本部会議を開催し、県内のDMO(ディーエムオー)の設立を、観光機構とも連携して積極的に進めていきたいと思っています。
そういう意味で19ページにも書いてありますように、長野県の平成30年度の観光はまず体制をしっかり作るということが基本になってくると思います。観光の担い手としての経営体作りということです。県全体の観光機構と観光部の在り方もそうですし、それぞれの地域におけるDMO、DMC(ディーエムシー)、こうしたものの設置について県としてしっかり力を入れて、DMOが地域においてどんどん新しいイノベーションを起こしたり、あるいは積極的なマーケティングを打ってもらえる、そうした体制を作るということにまずは力を入れていきたいと思っています。
それから19ページの右にある観光地域としての基盤づくりですが、長野県の観光地は景観、環境、こうしたものは世界の観光地に負けてないと思っていますが、人工的な部分はもっともっと改善する余地があるのではないかと思っています。広い意味で言うと街づくり。そういう意味で観光地域としての基盤作り、ソフト、ハード両面で観光関係の皆さん、市町村の皆さんと連携して取り組んでいきます。
20ページですが、インバウンド戦略、一昨年113万人ということで、昨年のインバウンド宿泊者数もさらに一昨年を上回る数字になるだろうと思っていますけれども、インバウンド客の増加をさらに拡大していくような取り組みを行っていきたいと思っています。
特に、今日は長野オリンピックの開会式から20周年のちょうど節目の日ですけれども、今週末の平昌オリンピックの開会式から始まって、2020年東京オリンピック、2022年北京オリンピックということで、3大会連続で東アジアでオリンピック・パラリンピックが開催されるということは冬季オリンピック・パラリンピックを開催して、そして特にウインタースポーツに力を入れ、そして観光でも冬季のお客様が多い長野県にとっては非常に追い風であり、チャンスがあると思っています。まずこの機会を生かして、しっかりとした発信、それから受入環境の整備を行っていきたいと思っています。
それから移住交流の推進については、人口の社会増減、いろいろな数字のとり方があるのでメディアの皆さま方も報道するとき戸惑われている部分があるかと思いますけれども、基調としてはこの社会増減、良い方向に進んでいるということは間違いないと思っています。そういう意味で移住政策についてはこれからもしっかりと市町村と連携して取り組んでいきたいと思っています。
それから21ページの文化芸術です。人を引きつける魅力がある地域にしていく上では、やはり多彩な人材に住んでもらったり、あるいは、多彩な人材に訪れてもらうと、そういうことが重要だと思います。先般DANCE EARTH PARTYの皆さんと一緒に善光寺で豆まきをさせてもらいましたけれども、非常に若い人たちが大勢参加をしてくださって、すごい効果があるなと思っています。若い人たちが定住したり訪れていただけるような魅力を作っていくということも含めて、このアート、スポーツ、こうした部分にはこれまで以上に力を入れていきたいと思っています。文化芸術の観点では芸術監督団の皆さま方に相当いろいろな工夫をして取り組みを進めてきていただいていますので、引き続きしっかり応援をしていきたいと思っています。また、アートマネジメントの専門人材もしっかりと配置をして、私の能力ではなかなかこの文化芸術の部門はよくわからないということもありますので、やはり専門人材をしっかりと確保する中で、さらに充実を図っていきたいと思っています。またウィーン楽友協会と姉妹提携をしてきています。提携35周年を記念して、ウィーンフィルハーモニーの演奏会を開催していきたいと思っています。またスポーツの関係では平昌オリンピックでも多くの長野県関係選手の活躍が期待されるわけですけれども、私どもとしては2027年国民体育大会・全国障がい者スポーツ大会の成功に照準を当てて、準備をしっかりと進めていきたいと思っています。特に競技力の向上、そして今後の課題になりますけれども、環境整備、施設設備、こうしたものをしっかりと進めることによって、多くの県民の皆さま方がスポーツに親しみ、そして国体・障がい者スポーツ大会を契機に、スポーツでさらに元気な長野県になるような取り組みを行っていきたいと思っています。
それから23ページからが「いのちを守り育む県づくり」です。私ども行政の役割というのはやはり県民の命を守るということが重要です。健康作りのさらなる支援、それから医療介護提供体制の充実ということに取り組んでまいります。
特に今回医療提供体制の整備というところでは、病院間の連携で基幹的な病院が小規模病院に対して医師派遣を行う仕組みを新たに作ってまいります。人口減少社会、そして医療資源が限られている中では、こうした取り組みを行っていくことが極めて重要だと思っています。医療関係の皆さま方のご理解とご協力を得ながら、病院間連携、医療機関同士の相互補完を進める契機にしていきたいと思っています。
それから24ページが地球環境への貢献ということです。長野県環境エネルギー政策は、日本の都道府県の中でもかなり進んだ取り組みをこれまでもしてきています。自然エネルギーの最大電力需要に対する自然エネルギーの量も約9割というところまできたわけです。これから世界に貢献するという観点も含めて、さらなる省エネそして再生可能エネルギー、自然エネルギーの普及拡大に努めていきたいと思っています。
特に太陽光発電、太陽熱利用のポテンシャルを「見える化」する、ソーラーマッピングを行うことによって、行政だけではなくて、いろいろな事業者、あるいは県民を巻き込んだ自然エネルギーの普及拡大に一層弾みをつけていきたいと思っています。
それから環境問題の中で、「諏訪湖創生ビジョン」を策定しましたので、「諏訪湖環境研究センター」の設置を具体的に検討していきたいと思っていますし、「諏訪湖創生ビジョン」に基づくいろいろな取り組みを積極的に進めていきたいと思います。
それから26ページからが「誰にでも居場所と出番がある県づくり」ということで、多様性を尊重する共生社会をつくる、そして女性が輝く社会をつくる、さらには子ども若者が夢を持てる社会を作る、こうした観点で予算を編成させていただきました。特に先ほど申し上げたように全国障がい者スポーツ大会の開催があります。これに向けて、もちろん障がい者スポーツの振興ということが重要ですが、それだけではなくて、障がいがある方たちが働ける環境作り、あるいは社会参加できる環境作り、こうしたものもあわせて進めていくことが重要だと思っています。そういう意味であいサポート運動をしっかり充実するとともに、ヘルプマークを新たに導入して支え合いの環境作りを進めてまいりたいと思います。
また女性の活躍という観点で、中島副知事を中心に具体的な検討を行って来てもらっていますけれども、ウィメンズカレッジの事業の充実であったり、あるいは女性活躍推進セミナーの展開等によっては、女性の皆さま方がより輝ける、あるいは夢を実現できる、そうした環境作りに取り組んでいきたいと思います。
また子ども・若者支援についても、信州こどもカフェをさらに充実していきたいと思っていますし、私どもがSNS関連企業と連携して子どもの相談体制を構築しましたが、文部科学省にも大変強い関心を持っていただき、国レベルでも充実した子どもの相談の予算を作ってもらっています。こうしたものも活用しながら、子どもたちのさらなる相談体制の強化、あるいは若い世代の自殺対策の推進、こうしたことにしっかり取り組んで、子どもたちがいつも笑顔でいられる長野県作りに向けて取り組んでいきたいと思います。
それから30ページが「チャレンジプロジェクトの展開に向けた主な取組」ということで、これは後で創造プランの説明をしますけれども、それに合わせて今回の予算の中で、ある意味そのチャレンジプロジェクトに先駆けて第一歩を記す予算ということで掲げさせていただいています。また後ほどお目通しいただければと思います。
それから31ページ以下、32ページ33ページが6つの政策推進の基本方針とはちょっと別立てで今年のテーマということで出させていただいた2本です。一つは「健康作りの新展開」です。
今までもACE(エース)プロジェクトを進めてきたわけですけれども、特に今年はそこに書いてありますように、一つは見える化をしていきたいと思っています。長野県もその国民健康保険の財政運営の責任の一端を担う立場になっていくわけです。これまで以上に関係機関と連携して、情報を共有化し、市町村であったり、県民の皆さま方に今の地域の健康の課題、あるいは健康の優れた点、こうしたものを可視化していきたいと、そのことによって気づきを促し、取り組みを促進していきたいと思います。それから(2)のところに書いてありますのは、「健康自治力」共創体制の整備ということで、まさに健康づくりの取り組みというのは長野県の自治力の基本だと思っています。長野県が健康長寿県になったのも、保健補導員、食生活改善推進員あるいは保健師はじめ地域の保健医療の関係者の皆さん、こうした皆さんが力を合わせて取り組んだ結果が長野県を長寿県へと押し上げていただきました。もう1回、長野県の健康自治力を再構築していきたいと思っています。まず市町村長の皆さま方と率直に健康づくりの問題について語り合う場を設けていきたいと思っています。また、こうしたものを実践する観点で、「ACE・フラッグシップ・プロジェクト」と称して、具体的な取り組みを関係団体とも連携して進めてまいります。
それから33ページが人手不足への対応です。人手が足りない分野の具体的なアプローチであったり、あるいは女性や高齢者、障がい者、潜在的な働き手の皆さま方が活躍できる環境を作っていったり、あるいは長野県が移住したい県であるという優位性を生かした外からの人材誘致であったり、こうしたものに全体的に取り組んでいきたいと思っていますが、そうした施策を具体化していく上で、「長野県就業促進・働き方改革戦略会議」というもの、仮称ですけれども、新たに関係の皆さま方と設置をして、具体的な処方箋を書いて、そして関係機関の皆さんと一緒になって実現していく体制をつくっていきたいと思っています。
それから36ページが「森林税を活用した信州の森林づくり」です。ここの内容については森林づくり県民税の延長の際にかなり踏み込んだ詳細な議論をしてきていますので、ほぼその当時の内容で予算化をさせていただいています。ぜひ県民の皆さま方からお預かりする貴重な超過課税の財源ですので、今回林務部以外の部局の予算にも計上する部分がありますけれども、全庁挙げて有効な活用を図ってまいりたいと思っています。
それから、続きまして補正予算についてお話を申し上げたいと思います。資料2-1です。先ほど申し上げましたように、今回の2月補正予算と30年度当初予算は一体的に編成させていただいています。今回の補正予算につきましては、一般会計と特別会計を合わせて211億399万円という予算になっています。項目立ては一体編成していますので、そういう意味で、先ほど申し上げたものとほぼ重なっているわけですが、まず「革新力に富んだ産業の創出・育成」という観点では、工業技術総合センターにIoTデバイス事業化・開発センターあるいは機能性食品開発拠点等を整備していきます。これは先ほどお話した通りです。
また2ページですが、「収益性と創造性の高い農林業の推進」ということで、生産出荷体制の強化あるいは農業の担い手育成のための施設、高性能林業機械の導入、作業道、木材加工施設の整備、こうしたものに対しての助成を行い、農林業の生産性を向上していきたいと思っています。
また「安全・安心な社会づくり」ということで、緊急輸送道路の整備、氾濫防止のための河川改修、こうしたものを積極的に進めていきたいと思っていますし、また長野県のネットワークを整備するという観点での三遠南信自動車道の整備等、こうした直轄事業負担金も県として予算計上させていただいています。さらに地域鉄道の安全性の向上、そして障がい福祉施設整備への支援、いじめ・不登校に悩む子どものためのSNSを活用した相談体制の整備、こうした経費を補正の方で計上させていただいています。
それから、続きまして条例です。資料3をご覧いただければと思います。今回提出予定の条例案につきましては一部改正条例案が28件、新設条例案が2件、廃止条例案1件、計31件の条例案です。
特徴的なところだけ申し上げますと、まず5番目、「消防団の活動に協力する事業所等を応援する県税の特例に関する条例の一部を改正する条例案」ですが、消防団で活動しやすい環境を整えるということで、消防団活動にご協力いただいている事業所等を有する法人等の事業税の軽減措置の適用期限を平成32年度まで3年間延長をしようというものです。
また24番、「信州ものづくり産業投資応援条例の一部を改正する条例案」ですけれども、地域経済の発展、雇用の確保を図っていくという観点から、ものづくり産業投資応援地域において、土地等取得した法人が不動産取得税の課税免除または補助を受ける対象期間を平成32年度まで、これも3年間延長しようというものです。
また30番ですが、「長野県住宅宿泊事業の適正な実施に関する条例案」です。これにつきましては、本県における住宅宿泊事業の適正な実施を図り、周辺住民の良好な生活環境を保全するために住宅宿泊事業法に基づき、法の委任の範囲内において、事業の実施を制限する区域及び期間等を定めると。併せて事業者の責務、その他必要な事項を定めるというものです。駆け足で予算と条例の説明をしてきましたけれども、詳しくはまた各部局にお問い合わせをいただければ対応させていただきますので、よろしくお願いいたします。
長野県知事 阿部守一
それから、引き続きまして「しあわせ信州創造プラン2.0」についてお話をしたいと思います。こちらは資料4、横長の資料です。まず、新しい総合計画につきましては、一昨年の11月に総合計画審議会で検討をスタートして以来1年3カ月にわたりまして、多くの県民の皆さま方のご参画を得、そして意見交換させていただく中で、策定をし、本日最終的な案をお示しさせていただいているところです。この間、大勢の皆さま方にご協力、ご参加いただきましたこと、改めて深く感謝申し上げたいと思います。これについては原案を昨年12月に公表した後にパブリックコメントで約160件ご意見を頂戴いたしています。また、この他にも議会あるいは各種団体等からご意見等をいただいていまして、可能な限り反映させていただくように努めたところです。結果として、昨年段階から約300カ所修正、追加をさせていただいている状況です。概要に基づいて簡単にご説明をしたいと思います。
まず、本計画案につきましては議会の議決が必要になっています。議案としてお出しするのは資料の4-3に掲げておりますように、実施方針、主要な目標、実施期間ということになっています。議案として提出して、2月県議会でご議決をいただけるようにしていきたいと思います。まず、資料の4の1ページからご説明をしたいと思います。
まず、新しい総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン2.0」という形で呼んでいきたいと思っています。これは、「確かな暮らしが営まれる美しい信州」という現在のしあわせ信州創造プランの基本目標は継続をするわけです。それに「学びと自治の力」というものを前面に打ち出して、未来志向の計画としてバージョンアップするというものですので、計画自体は「しあわせ信州創造プラン」という名前も引き継がせていただいて、それに2.0ということで、バージョンアップ版だということを示していきたいと思っています。確かな暮らし、明日への希望を持って暮らせる社会、そして万が一のときには温かな支援が受けられる安心感のある社会、こうしたものを目指していきたいと思っていますが、今回の特色はそこに書かせていただいているような特色があります。
一つは、「学びと自治」この二つを政策推進のエンジンにしていきたいと思っています。この「学びと自治」というのは長野県の特色であると思っています。かつて教育県と言われ、私は今でも教育県だと思っていますが、県民の皆さんはそう思わなくなっていますが、県外の方からは長野というとやはり教育というイメージを持たれる方が非常に今でも多いです。その学び、教育の伝統というのは私ども長野県の地に根付いているわけです。例えば、毎年夏に木崎夏期大学といったようなものも行われ、大変すばらしい講師の皆さんをお迎えして学びの場が行われているわけですし、いろいろな県民の活動を見ても、常に積極的に学ぶ意欲にあふれた方々が大勢いらっしゃるのが私ども長野県です。そういう意味で、学び、これからも大事にしていきたいと思いますし、もう一つの自治についても、これも長野県の特色だと思います。長野県は県土面積が非常に広い県でありますし、その上で、それぞれの地域が独特の文化、歴史、こうしたものを大切にしながら発展をしてきています。公民館活動が盛んであったり、約35,000人もの消防団員の方が活動されていたり、まさに自治の力は他の都道府県に比べて、今でも強い地域であると思います。この長野県の特色である自治は未来に向けても極めて重要だと思っています。人生100年時代に対応していく中で、常に大人も子どもも学び続けていかなければ時代には適応できません。あるいは適応だけでなくて時代の変化に敏感に俊敏に対応して、日本をリードする地域にしていく上では、やはり学んでいくということが地域の発展にとっても産業の発展にとっても不可欠だと思っています。そして、そうした地域を進めていく上での大きな力はやはり自治の力だと思っています。日本の発展は中央集権的な仕組みが、これまではある意味有効に機能して発展してきたと思っています。日本全国津々浦々、どこに行っても立派な小学校中学校があり、同質的なレベルの世界的に見ても高い教育が営まれてきたのが、これは日本の中央集権的なシステムが機能したおかげだと思っています。しかしながらこれからは、時代の変化が激しくなり、そして個性的な文化が魅力となり、尊重される社会にあっては、今申し上げたような教育も、もっともっとクリエイティブにすると同時に、多様性があるものに変えていかなければいけないと思っています。長野県の子どもたちには、例えば今、信州型保育ということで、森の中、自然と親しんで生きる力を身に付けてもらう教育を進めていこうと取り組み始めていますけれども、東京の真ん中の子どもには残念ながらそうした環境はありません。これは、全国一律の教育システムでは決してそういうものを伸ばしていこうという話にならないわけでありまして、そういうものを伸ばしていこうということ自体、長野県としての自治的な取り組みであると思いますし、またこれは長野県全体の自治の話だけではなくて、それぞれの個性ある地域が競い合って、あるいは協力し合って発展していく上では、それぞれの地域の市町村単位であったり、広域単位であったり、あるいはもっと小さな自治会町内会単位だったり、さまざまなレベルでさまざまな圏域でこの自治力を高めていくということがこれからの社会の発展にとって不可欠だと思います。学びと自治というのは、長野県の伝統であると同時に、未来に向けた政策を進めていく上での強力なエンジンになり得るものということで、こうした位置付けをさせていただいています。これから各種政策を進めるにあたっても、この学びと自治という二つについては、強く意識して取り組んでいきたいと思っています。
それからチャレンジプロジェクト、これはどうしても5か年計画ですので、5か年というのは長いようで短い部分があります。そういう意味でこのチャレンジプロジェクトは、もっと長い中長期の視点での取り組みであると同時に、この進め方自体も、県組織の今までの仕事の仕方を変えていくチャレンジングなものにしていきたいと思っています。これは6つ立てさせていただいています。先ほどの自治の話とも関係しますが、長野県は地域の特色・個性が大変強い県でありますので、今回はこれまで以上に地域重視ということで、地域計画の部分を重視した、充実をさせた計画にしています。そして、今世界各国でSDGs(エスディージーズ)の取り組みが活発になっています。長野県もオリンピック・パラリンピックを開催し、国際的な協力友好関係を大事にしている県として、このSDGsを意識して位置づけ、これからの政策推進にあたっても、この経済・社会・環境の3側面の統合的な取り組みであったり、誰1人とり残さないといったような観点もしっかり持ちながら、政策推進を行っていきたいと思っています。また、信州創生戦略については、今回の「しあわせ信州創造プラン2.0」に統合いたしましたが、信州創生戦略で掲げた達成目標等については、一定の見直しを行いながらもできる限り踏襲させていただいたところです。右側にありますように、こうした施策を進めていく上で、私達の県組織自体も学ぶ県組織への転換を図っていきたいと思っています。全体像の概要ですが、6つの基本方針を立てています。
基本目標は、先ほど申し上げたように「確かな暮らしを営む美しい信州~学びと自治の力で拓く新時代~」です。政策推進の基本指針は6つあります。「学びの県づくり」、「産業の生産性が高い県づくり」、「人をひきつける快適な県づくり」、「いのちを守り育む県づくり」、「誰にでも居場所と出番がある県づくり」、そして、「自治の力みなぎる県づくり」、この6つの柱ですが、並列で並んではいません。「学び」と「自治」で各種政策を進めていきたいと思っていますので、「学び」と「自治」は頭と後ろに他の方針を挟み込むような形にしていますし、また、前段の「産業生産性が高い県づくり」と「快適な県づくり」については、未来志向でクリエイティブな社会を作るという観点をしっかり持って進めていきたいと思っていますし、もう一方の「いのちを守り育む県づくり」あるいは「誰にでも居場所と出番がある県づくり」については安心で希望あふれる社会をつくる、県民の思いに寄り添う、こうした観点で進めていく方針とさせていただいています。共通の視点、右に書いてあるとおりですけれども、特に、先端技術の活用については、先ほど予算の中でもご説明した通り重視して取り組んでいきたいと思っていますし、県民起点、あるいはさまざまな方々との協働については、これまで同様しっかり意識して取り組んでいきたいと考えています。
3ページが重点目標です。取り組みの具体的な方向性を示した重点目標を8つ掲げさせていただいています。いろいろな目標があるわけですけれども、並列にするとどれが重要なのか分かりづらいということもあり、今回重点目標として8つを定めて、そして6つの政策推進の基本方針ごとに関連目標、そして巻末には信州創生戦略のKPI(ケーピーアイ)等をフォローアップ指標という形でこの指標について、3層構造化させていただいて、何がより上位の目標なのかとか、指標なのかということがわかるように設定させていただきました。これも一つの特色ではないかと思います。そういう意味では先ほど部局長会議でも各部局長に申し上げたように、この8つの視点は、ありとあらゆる政策を考える上で意識してもらいたいと思っています。例えば左上の経済成長は、もちろんこれは産業関係の部局はもとより意識してもらわなければいけないわけですけれども、他の分野を進めるにあたっての経済成長に寄与するものかどうかということも考えてもらわなければいけないと思いますし、社会増しかり、長寿日本一しかり、いろいろな政策を考えるにあたって、それぞれの部局がクロスオーバーしながらこの目的目標達成に向けて取り組みを行っていってもらいたいと思っています。
それから重点政策は、先ほど申し上げたように6つの政策推進の基本方針ごとに整理させていただいています。それから、次の地域計画5ページですけれども、10地域、広域ごとの目指す姿、そして重点政策を掲げさせていただきました。地域計画におきましても、SDGsを意識するとともに、圏域を越えて、あるいは県境を越えて連携するといったような取り組みも、ここの概要には表れていませんけれども、本編の方ではそうした点についても意識させていただいています。
それから次の6ページ、7ページ、チャレンジプロジェクトということで、人生100年時代あるいは、持続可能でイノベーティブな社会づくり、こうした大局的な方向感を持ちながら未来に挑戦していく未来に向けた挑戦を行っていくプロジェクトとして、6つのチャレンジプロジェクトを設定しております。現時点ではまだまだ構想レベルということでして、これを具現化していくに当たりましては、県庁内はもとより、県庁外の皆さま方も含めて多くの知恵や力を結集して取り組んでいきたいと思っています。組織・分野の枠を越えて、そして新しい発想、新しい技術、こうしたものも積極的に取り入れながら、この6つのプロジェクトを進めていきたいと思っていますし、このプロジェクトの推進を通じて、県組織の動き方というものもぜひ変えていきたいと思います。
最後8ページ、長野県組織の転換ということで、先ほど申し上げたように世の中を変えていかなければいけないことがたくさんあります。そうしたことを進めていく役割をわれわれは担っているわけですので、われわれの組織自体ももっともっと展開をしていきたいと思っています。5つ柱を掲げていますけれども、ひとつはやはり目的達成力が高い基本的組織。ただ漫然と国から来た補助金を流すのではなくて、何のためにわれわれは仕事をしているのかと意識をして必要な連携・協働を図りながら、政策を実現していくことができる組織にしていきたいと思います。俊敏で的確な行動のための県組織運営システムの構築ということで、先ほど部局長会議でも総務部長から発言もありましたが、予算編成の在り方も含めて県の仕事の仕方、仕組み自体が、効率が悪かったり、時代に合っていなかったりしている部分があると思っています。そういう意味で組織運営の在り方も変えていきたいと。1番目は組織構造ですけれども、2番目は、組織運営の在り方も変えていきたいと思っています。
それから3つ目は、組織としての能力も向上していかなければいけないと思っています。組織としての必要なコミュニケーション能力の向上であったり、あるいはそれぞれ専門分野が非常に複雑化してきています。AIやIoTのいろいろな具体的なことを言われても私はさっぱりわからないということもたくさんあります。ただ、そうしたことは産業労働部だったり担当部局の人間はしっかり分からなければいけないわけですので、そういう意味で組織全体としての知的向上といいますか、能力の向上を図っていかなければいけないと思います。
それから自律的に行動できる人づくりということで、私はできるだけフラットな組織、あるいはフラットな動き方というものがこれからの時代重要だと思っていますけれども、それには誰かから言われたから行動するということではなくて、やはり自立的に動ける人材を育てていく、つくっていくということが大変重要だと思っています。そういう観点でも人づくりの推進、さらには、最後は組織風土、オープンで情熱的な組織に変えていきたいというのが行政経営理念でも謳っているわけでありますけれども、そうしたことも全体ひっくるめて長野県組織を学ぶ県組織に転換させていきたい。これ自体がある意味での7つ目のチャレンジプロジェクトだと思っています。かなりチャレンジングな部分がありますので、ぜひここも外部の皆さんの知見を取り入れながら、改革を進めていきたいと思っています。駆け足で、予算と総合5か年計画のお話をさせていただきました。
長野県知事 阿部守一
最後にもう1点、今日の会見でお話したいのはプレスリリース資料でお配りしていますが、「おぎ・もぎ・あべ鼎談」。学びの県キックオフイベントという形で3月21日にホテルメトロポリタンにおいて「学びの県づくり」に向けて開催させていただきたいと思っています。申し上げてきたように、長野県は相当学びにシフトして県政運営をしていきたいと思っています。そういう中で、学びの県をスタートさせていくキックオフイベント的な位置づけで、教育評論家の「尾木ママ」こと尾木直樹さんと、脳科学者の茂木健一郎さんお二方にお越しをいただき、私も県の責任者として加わって3人でトークを行っていきたいと思っています。お二方、教育・学びに大変造詣が深い方ですので、私も「教育とは何」というお二方が対談された本を読んで大変共感をいたしました。その本の帯には、長野県の森づくりに協力していただいている市川海老蔵さんのことが書いてあります。市川海老蔵さんみたいな方は、ハーバード大学は入れるけれど、東大は入れないという、刺激的な帯が付されていました。これからの教育の在り方を考えていく上で、示唆に富んだお話を伺うことができるのではと思っています。入場無料ですが、事前申込制となっています。2月28日まで受け付けていますので、ぜひ多くの皆さま方にご参加いただければ、ありがたいと思います。だいぶ時間が掛かって、申し訳ありませんでしたけれども、私の方からは以上でございます。よろしくお願いします。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
予算に関して質問がございます。重点政策14の政策パッケージということで、237点余りと聞いているのですが、なかなかランク付けというのは難しいと思いますが、知事の中で、14の政策パッケージの中で、一番重要と思われているのは、どれになるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
いずれも重要なテーマですが、特に新しく方向付けをして、取り組んでいこうと考えているという観点で申し上げれば、学びの県づくりの中の、「生きる力と創造性を育む教育の推進」。ICT(アイシーティー)教育も含めて、しっかり舵を切っていきたい、教育委員会とも連携して進めていきたいと思っています。また、「生涯を通じて学べる環境の整備」も、先ほど申し上げたような、「信州・タウンキャンパス(仮称)」のような構想であったり、県立図書館を「信州学び創造ラボ」と位置付けて、これまでの静かで受身的な図書館像をポジティブに変えていこうと思っていますので、「学びの県づくり」が重要なテーマですので、ここが大きなポイントだと思います。
もう一つはやはり、産業の分野で、これは総合計画審議会の中でも、産業の部分については、かなり積極的にご意見をいただいたわけですけれども、IoT、AI時代への対応をしていくと。そして、時代の変化に産業が、しっかりキャッチアップをして、むしろ長野県の産業が、日本の産業をリードしていくようにしていくという観点での成長産業の創出であったり、あるいは収益性と創造性の高い農林業の推進であったり、ここのところは、今回の予算中でも極めて重要な部分だと思っています。もちろん他のところも重要ですので、甲乙つけがたいところですが、次の時代に向けて新しくスタートを切っていくという観点では、この辺りが新機軸が多いと思います。今申し上げた「学びの県づくり」の「生きる力と創造性を育む教育の推進」、「生涯を通じて学べる環境の整備」、「産業の生産性が高い県づくり」の「革新力に富んだ産業の創出・育成」と「収益性と創造性の高い農林業の推進」は、特に新しい観点が多い分野になっていると思います。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
本日長野冬季五輪の開会式からちょうど20周年ということで、先ほども少しご発言があったと思いますが、昨日の観光戦略推進本部会議の中でも、長野五輪のレガシーを生かして、観光の誘致につなげていくというような内容の項目も盛り込まれていたと思うのですが、改めて20年が経ってみて、長野五輪を開催した意義というのは、どの辺にあるか、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
先般の長野オリンピック・パラリンピック開催20周年の式典のあいさつで申し上げましたが、非常に多くのオリンピック・パラリンピックのレガシーが長野県全体に息づいていると思っています。ハードとソフトの両面があると思いますが、まずハード面は、これは新幹線をはじめとする高速交通体系は、オリンピック・パラリンピックの開催を契機に飛躍的に進みました。また、さまざまなオリンピック関係施設も、スポーツイベントはもとより、全国植樹祭でもエムウェーブを利用させていただきましたけれども、オリンピック施設があるおかげで、全国的なイベントを開催できる部分もあります。また、ソフトの面では、例えば、一校一国運動が東京オリンピックにも引き継がれているように、長野県としての、ボランティア精神であったり、ボランティア活動であったり、こうしたものが盛り上がる契機になりましたし、また、パラリンピックを通じて、あるいはその後のスペシャルオリンピックスの開催等も通じて、障がいのある人もない人も、一緒になって地域で生活をしていくという観点が根付き始めたのも、このオリンピック・パラリンピックを契機にしていると思っています。そして、私が知事として一番感じているのは、長野という名前が、世界に通用する名前になったということです。世界のNAGANOになったということは、大変大きいと思っていまして、私も海外に行ったりして、お話をすると、あのオリンピックを開催したNAGANOですね、ということで、非常に好感を持って、迎えていただくことができると思っています。ぜひ、これからも長野オリンピック・パラリンピックのレガシーを県としてもしっかり生かしていきたいと思います。また、20年経つということで、若い世代、当時生まれた子どもが成人になるので、こうしたオリンピック・パラリンピック開催の誇りであったり、レガシーであったり、こうしたものを次の世代にも引き継げるように取り組んでいきたいと思います。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
今回5か年計画の方で学びと自治を全面に打ち出されて、一つには、こうした県の方向性を県民の方たちとどう共有していくかというのが重要になってくると思いますが、今回学びに関連する新規事業が数多く入っていまして、先ほどのタウンキャンパスの話ですとか、県立図書館の創造ラボの話など、県民に身近なところでの事業があるかと思いますが、こういった県の方向性を県民にどう浸透させていくのかという辺りの今の知事のお考えを教えていただきたいのですが。
長野県知事 阿部守一
県の計画は、高校生と対話した時も言ったのですけれど、県の計画を全部県民が知る必要は全くないと思っています。「しあわせ信州創造プラン2.0」を知っていますか、内容を知っていますなんていう人が210万人いたら、それこそ私はびっくりしてしまうわけでありまして、計画の内容を共有するというようなことは、実はあまり必要ではないのではないかなと。ただ、今回共有していかなければいけないのは、今もお話あったように「学びと自治の力で長野県の政策を進めていきたいと思ってますよ」ということです。ぜひこれは皆さんにも協力してもらいたい、あるいは皆さんと一緒にやっていきたい、そういう部分についてはしっかりと共有できるように取り組んでいかなければいけないと思います。特に学びの部分については、もちろんわれわれ行政が企画する学びの場もいろいろあるわけですけれども、むしろ先ほどから申し上げたように、県民の皆さんの自主的な学びの場であったり、あるいは企業の皆さんがやっている学びだったり、さまざまな学びの場があります。そういうものをやはり一体として振興していくという観点が重要ですので、そういう意味でこれはいろいろな皆さんにもっと呼びかけて、子どもの学びも大人の学びも一緒になって充実させていきたい、協力してくださいということをやっていかなければいけないと思います。
それからもう一つの自治の方はこれまた正に、県民の皆さんお一人お一人が自治の担い手でもあるわけですし、意識しているかどうかは別として、長野県においては多くの皆さんが先ほどの消防団活動であったり、あるいは公民館活動であったり、既に自治の取組についてはコミットされている方が他の県に比べると本当に大勢いらっしゃいます。そういう皆さんのやってらっしゃることも含めて、より活性化していく上ではどういうことが必要かということを、これはわれわれ県が主役になるのではなくて、県民の皆さま方が主体的に活動されているものを一緒になって振興していくという形になると思います。そういう意味で、学びと自治で県はこれとこれとこれをやりますよということを、単に旧来型の学校教育のように暗記してもらっていればいいなどというものでは全くなくて、「県の計画の中身なんか知らないけど、なんか学びと自治は最近力入っているよね、やはり学びと自治がこれから重要なんだよね」と多くの県民の皆さんに思ってもらえるようにすることが、今回の新しい総合5か年計画が県民の皆さま方に定着していくということに繋がるのだろうなと思っていますので、少しそういう観点での普及、広報に努めていきたいと思います。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
わかりました。もう1点だけ、冒頭にも清泉女学院大学と長野保健医療大学の看護学部の設置、支援という話が長野市長さんからもご要請があったと思うのですが、改めて今回の支援を決められた理由と、同様に諏訪東京理科大の地元の方からも県の方に対して財政支援というお話あったかと思うのですけれど、そちらへの対応というのは今どのように考えているか、教えていただければと思うのですが。
長野県知事 阿部守一
まず私どもの基本的なスタンスとしては、高等教育の振興は長野県にとって極めて重要だと。これは、若者の県外流出を食い止めるという意味と、それから県内にやはり知の拠点としての高等教育機関が存在していることの重要性という両面から高等教育の振興に努めてきているわけです。そういう中で、今回清泉女学院大学それから長野保健医療大学が、それぞれ看護学部を設置して長野市としては積極的に応援していかれるということです。県としても、いろいろお話をお伺いする中で、それぞれ特色を持った看護学部になっていこうという方向性を持たれているということがあり、そして、この看護学部に対するニーズもあると判断していますので、そういう意味で、県としては長野市に対して支援するわけですけれども、長野市と一緒になってこれらの学部の設置について応援していこうというものです。
それから諏訪東京理科大については、これまでも公立化に当たりまして、さまざまな観点で支援をさせてきていただいていますが、これから具体的な充実の構想をお考えになられていると受け止めていますので、また具体的にお考えを十分お伺いをしながら、県としての支援の在り方については、先ほど申し上げたように高等教育振興は重要だと思っていますので、できる限り前向きには考えていきたいと思っています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
新年度予算案なのですけれども、○○予算とズバリ名付けるとしたら何でしょうかというのをお聞きしたいのですが。
長野県知事 阿部守一
タイトルのところに「学びと自治の力で拓く新時代に向けて」と書いてあるのですが、私とすれば、「学びと自治で新時代を拓く予算」です。学びと自治で新時代を拓く予算。これは、新しい総合5か年計画とセットなので、長いと言うのだったら「新時代を拓く予算」という感じだと思いますが、私としては「学びと自治で新時代を拓く予算」という感じです。
毎日新聞 鈴木健太 氏
少し細かいところを1、2点お伺いしたいのですが、一つ目が、県債残高のお話なのですけれども、財政課からいただいた資料を見ると、かなり臨時財政対策債が割合を占めていると思うのですが、ここに対する受けとめと、あと知事から国に対して何か言いたいことがあればよろしくお願いします。
長野県知事 阿部守一
臨時財政対策債はもうご承知のとおり、本来われわれからすれば地方交付税制度の下で現金で、地方交付税という形で国から交付を受けるべきものだと思っていますので、それが臨時という名前の下で、半ば恒久化してしまっているということについては大いなる懸念を持っています。これはいろいろな意味で懸念を持っているんですけれども、一つは臨時財政対策債が本来交付税なのに起債という形をとっているが故に、どうしてもトータルとしての県債残高についても気にしなければいけないと。これを交付税で毎年もらっていれば今ご覧いただいている臨時財政対策債の発行のところはもちろんゼロですし、県債残高のところの特例債のところも今、残高見込みが6,400億円になっていますけれども、これも当初の数年で臨時という名前のとおり終えてもらえれば、もっと限りなく少ない数字で済んでいたはずです。ここまで大きな割合を臨時財政対策債が占めていること自体、財政の在り方とか、見え方とかにかなりマイナス影響を与えていると私は思っていますので、これは国に対しては引き続き臨時財政対策債の廃止、そして、直ちに廃止することが難しければ大幅な縮減、これについては強く求めていきたいと思っています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
わかりました。あともう1点関連するかもしれませんが、基金残高の方なのですけれども、これも財政課からいただいた資料によると平成34年度見込みで112億という試算が出ていまして、ここの数字に対する受け止め、つまりはですね、これぐらい数字なら大丈夫なのか、ということなのか、やっぱり厳しいね、ということなのか、よろしくお願いします。
長野県知事 阿部守一
資料1-3の中期財政試算で出ている数字ですね。これは先ほどご説明しなかったのですけれども、中期財政試算、基金残高の見通しは平成34年度には112億円という見通しを出しています。ただこれは、そこにも書いていますように、あくまでも機械的に計算した試算です。この下に参考で少し小さい字で基金残高見込みというのを29から33までずっと数字を掲げさせていただいていますけれども、昨年の同じ時期の試算での平成29年度末の基金残高見込みは471億円という形で出しています。今回1年後、今の時点では536億円ということで、65億円プラス修正させていただいています。これは何かというと、機械的に単純にやるとこれぐらい減ってしまうわけですけれども、当然、われわれは毎年度の予算編成だったり、あるいは予算執行の段階でできるだけ不要不急の事業をやめたりとか、予算の見直しを随時行ってまいりますので、そういうことでこれだけ改善させています。したがって、もちろん何も策を講じなければこうやってマイナス基調になってしまうわけですけれども、毎年努力を重ねることによって、この基金残高についてはできる限り維持していきたいと思いますし、また一定程度この見通しを上回る残高を確保することは可能だと思っています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
そうすると今のご説明だと数年先でも500億円前後もしくは500億円以上というのを維持していきたいということだと。
長野県知事 阿部守一
財務省も地方公共団体の貯金がいっぱいあるという問題意識を持っています。財務省が口出しする話では全くないと私は思っていますけれども。貯金がいっぱいあればいいという話でもないだろうと思っています。使うときはしっかり使って県民のための政策を進めていくと、不要不急の事業はやらないことによって、貯める時は貯めていくと、ここはメリハリつけていかなければいけないと思っていますので、そういう意味では、基金残高が500億円維持できていればそれだけでよしというものではないだろうと思っています。しかも、どうしてもわれわれ地方は国からの交付税とか、先ほど臨財政対策債の話もありましたけれども、補助金とかにかなり財政運営依存しているところがありますので、そうすると国の例えば平成31年度予算どうなるかということによっても、もっと積極的に基金残高取り崩して対応するというようなケースもあれば、逆にここは基金残高は取り崩さずに対応しようというケースもあるので、そこはなかなか今の段階では次年度以降のところは見通しづらいなと思います。
読売新聞 丸山修 氏
昨年度の予算編成が総合5か年計画の総仕上げという位置づけだったのに対し、今回はその総合5か年計画の第一歩ということだったと思いますが、前年と今年で予算編成のプロセスですとか、あるいはその予算の構成や内容にどのような違いが出たのか教えていただきたいのが1点と、あとそれから、知事査定をされて、部局から上がってきたものをどう評価していらっしゃるのか、また知事としてどのように査定を進め、プロセスですとか、その具体的なメリハリの付け方、どう知事自身が行なわれたのか可能な範囲で具体的に教えていただければと思います。
長野県知事 阿部守一
まず、プロセスとか構成の違いのところですけれども、今回の予算編成は先ほどの新しい総合計画の策定と並行して、策定作業が進んだわけですので、そういう意味では、そこは大きく違っていると思います。違っているというのは、各部局の方も、総合5か年計画を考えながら、そして総合計画の枠組みを私のところと調整しながら作った形になりますので、各部局にすると負担感が多かった部分もあるのではないかなと思います。そして、構成については今回新しい総合計画の構成で予算も編成していますので、そこのところは全く変わった形になっています。
また、部局から上がってきたものをどう評価するかということですけれども、これはそれぞれの部局で、だいぶ工夫をして努力をしてもらっていると評価しています。ただ、私の立場から見えるのは、私全部局の話を聞いていますので、これは部局長会議でも再三申し上げてきたように、もう少し横の連携を予算編成のプロセスにおいても、とっていくことがこれから望ましい部分があるのではないかなと思っています。これは、先ほどの学ぶ県組織の転換のところも含めて考えていかなければいけないと思いますが、部局長会議で総務部長からも話あったように、この予算編成の在り方自体、長野県の組織の動き方の基本、一番重要な部分ですので、今回、各部局長の意見も聞きながら、この予算編成の在り方自体どうあるべきかということは、ぜひ早い段階でしっかり考えていきたいと思っています。
読売新聞 丸山修 氏
知事査定で特に知事ご自身がメリハリを使うとかということであれば具体的に教えてください。
長野県知事 阿部守一
私のところに上がっていろいろ議論した中では、例えば教育委員会の特別支援学校の在り方、これは特別支援学級と通級教室と2通りあるわけですけれども、これについては教育委員会とも相当議論させていただいた上で、通級教室をしっかりと作っていくという方向での予算にさせていただいています。また「人生二毛作社会」を実現しようということで長寿社会開発センターにコーディネーターを配置する予算。今回トータルで11人、配置する形になっていますけれども、これについては、コーディネーターの皆さんは、現場に入って、具体的かつ有効な取り組みをしていただいていると思っていますので、そこについては、相当前向きに予算をつけさせていただいていますので、そういう意味で、一つはこの特別支援学級の話も、そして人生二毛作の話も、前者は学びでありますし、後者は、自治とも非常に関係する話ですので、この学びと自治ということを私自身が意識しながら、各部と相当調整しました。
各部は先ほど申し上げたように、総合5か年計画を作りながらの策定だったので、まだ十分そこを意識しきれなかったところを、これはもう少し学びの観点でどうだとか、これはもっと自治の観点で重視すべきではないかというところで、これは私の立場では全体が見えていますし、総合5か年計画の全体像も見えていて、各部の目線とはやや違うところなので、かなり各部局とは議論をすることになったと思っています。
信濃毎日新聞 井手拓朗 氏
私も予算案のことで伺いたいのですけれども、昨年4月に地域振興局ができてから初めての予算編成ということで、今回、地域振興局長からの事業提案を受け付けるような形にして、今回、実際に予算案を作って、事業提案というのをどの程度反映できたのかということ、あともう1点、事業提案に至らず、要望にとどまった地域振興局もありましたけれども、その辺の課題をどう捉えていらっしゃるかというのをお願いします。
長野県知事 阿部守一
今回は、地域振興局設置で、少し地域振興局の目から見た提案や意見も予算に反映していこうということで取り組みました。資料の1-5にそれをつけさせていただいていますけれども、まず諏訪は諏訪湖を活かしたまちづくりということで、かなり個性的というかですね、トータルパッケージでの提案をしてもらったと思いますし、それは各部局で具現化することができたと思っています。上伊那も南アルプスの活用、それから南信州は民俗芸能の継承、そしてシードルを生かした産業振興ということで、これについては地域の具体的な現状を踏まえた提案を予算に結びつけることができたいい事例だと思っています。あと、木曽の御嶽山の安全対策あるいは木曽の観光振興ということで、地域振興局設置の初年度としては、本庁の予算への反映はかなりいい形でできたのではないかなと思っています。
今お話あったように具体的には予算化ではなくて、提案にとどまっている部分、意見にとどまっている部分もあるわけですけれども、これはこれで2種類あっていいのではないかなと思っています。
あと、これらについては今回が初年度ですので、ぜひ引き続きしっかり充実させていきたいと思っていますが、例えば事業提案のところが、諏訪、上伊那、南信州、木曽、北アルプス、長野、北信ということで必ずしも10の地域振興局全部になっていません。そこはどう見るかということがあると思うのですけれども、私はこれでいいのではないかなと。私はやはり分権自治の観点が強いので、また画一的に無理やり事業を作って提案するようなことはやらない方がいい、それは、予算の無駄遣いに繋がると思っていますので、出ていないところは出ていないところで、それはそれでよしと思っていますので、そういう意味では、新しい総合5か年計画の地域計画も、それぞれの特色が出ていますし、今回の事業提案も横並びではなくていろいろな特色が出ていて、局長の皆さんそれぞれが人の真似ではなくて、独自に頑張ってもらっているなと思っています。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
商工費の予算について、お尋ねしたいのですが。これは信用保証協会さんの信用保証料に対する負担というのがかなり大きい割合を占めていると思います。商工費は564億というお金なのですが、8割5分ぐらい中小企業融資制度資金というものが占めていて、純正な真水の商工費というのがだいたい90億弱という計算になります。産業労働とそれから観光の予算がここに入っています。先ほどのご説明でIoTとかAIとか、これから非常にイノベーティブな産業を興していくのだというご発言があって、新機軸にいろいろ思いを込めたというご説明もあったのですけれども、この真水90億というか、90億弱の予算では、その水準というのは実は昨年度の予算も変わっていないのですけれども、だいたいそのぐらいの予算で、ちょっと足りないという声も産業界の中ではあって、もっと思い切った、本気でIoTをやりたいとか、AIを経済産業に根付かせたいとか。新しい物を出すと言うためには、この広い県内でちょっと少ないのではないかという声があるのですけれどもその点についてご見解をお尋ねします。
長野県知事 阿部守一
まず予算の金額ありきで予算編成はしていません。よく見がちなのは、なんか何とか部の予算が増えているからここが充実しているみたいな発想は、全く私は持っていません。しかも、これ中小企業制度融資資金のところは大きく減額をさせているわけです。見栄えだけ良くしようと思えばそういうところを積んで、予算額を大きくしてやるということも出来なくはないのですけれど、そんなことは全く邪道だと思っています。ただ、さはさりながら、ご指摘いただい点は、私も同じように感じるところもあって、AI、IoTとか、これからの新しい産業分野に積極的に向き合っていく上では、まだまだこれは出だしの一歩だという感覚です。先ほど申し上げましたように、例えば中小企業とかさまざまな産業分野にAI、IoTを活用してもらう、普及させていこうということを考えたときには、全く十分ではないです。そういう意味で、今回AI、IoT利活用戦略を策定して、それに基づいて具体的な政策を組み立てていこうと。そこにはまたしっかり予算付けしていきたいと思っていますし、また、「IoTデバイス事業化・開発センター」を新設していくわけですが、これから、ものづくり産業自体も新しい分野にどんどん展開をしていく形になると思いますけれども、そこのところも、産業労働部の支援体制が、今例えば工業技術総合センターがあり、関係団体としてのテクノ財団や中小企業振興センターがあるわけですけれども、こうした機能をもう1回、どう強化していくかということにも取り組んでいきます。その上で、その体制自体の強化であったり、さらにその個別企業に対する支援であったり、これまで以上に強化をしていきたいというのが私の考え方ですので、そういう意味では、今回の予算は私のその感覚から申し上げれば、出だしの一歩、出だしの1割。それぐらいの感覚です。もちろん限られた予算ですので、優先順位を付けてしっかり予算編成していかなければいけないと思いますけれども、この産業政策の分野は企業の支援も含めて、これまでの取組をもっと充実強化をしていきたいと思っていますし、今回の予算は、そのはじめの一歩という感覚ですので、これは経済界の皆さま方のご意見も伺いながら、しっかり強化していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 山越悌治 氏
これまでの質問とも重なる部分もあるのですけれども、知事査定の中で、産業労働部の知事査定でかなり時間を割かれたとお伺いしているのですが、先ほどの成長産業だとか、AI、IoTの関係の部分でだと思うのですけれども、知事のお考えになっていることが、今回の予算に十分に反映できたのか、どんな思いだったのかという部分と、あと産業労働部からの提案に何か物足りなさだとか感じたとこがあったのかどうなのか教えてください。
長野県知事 阿部守一
まず、今回の予算案としては、私は今申し上げたように、この新展開を図るはじめの一歩としてはいい予算が組めたのではないかと思っています。ただ、これまだ先ほど言ったように入口です。AI、IoTをこれからどう生かしていくかということについての踏み込んだ検討というのは、この予算にもあるように、これからやっていかなければいけない課題ですし、そして、例えば私もIT関係の世界的な企業の方なんかともお話をさせていただく中では、非常に変化が早いということです。今、われわれが考えていることは、もう1年経てばもう時代遅れというような形になる恐れがあるわけですので、そういう意味で産業労働部には常にグローバルで高い目線を持って取り組んでもらいたいと思っていますし、私もそういう意味でこれまで以上に産業政策のところについては、私も学びながら、積極的にコミットしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 山越悌治 氏
あともう1点お伺いしたいのですけれども、来年度の予算ということなのですが、知事として見ると、2期目の最後の予算編成でもあり、もしかしたら3期目を見据えたような予算編成だったりとか、その辺の思いというか、なんというか今回の予算編成で意識した部分はあったのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私の任期は8月まで与えられているので、そういう意味でこの予算をやれるのかどうか分からない中での編成ではあるのですけれども、私はやはり常に与えられた役割を、責任を持って果たしていくということが重要だと思っていますので、そういう意味でこれは別に私だけが作った予算ではなくて県の組織全体で、そして国の動きも含めて、あるいは関係団体とか市町村の皆さんの思いも含めて予算化していますので、そういう意味で、現時点で最善の予算になるように心がけて取り組ませていただき、総務部、各部局が頑張っていい予算を作ってもらえたなと思っています。
時事通信 金澤俊子 氏
地域交通の確保に関してお伺いしたいのですけれども、1年間位その確保に向けた検討を進めてこられて、当初予算の中でバスロケーションシステムとユニバーサルデザインタクシー導入の支援が打ち出されているのですけれども、これらを含めて将来的なその大枠、ビックピクチャーというのはどのように地域交通を確保していく上で考えておられるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今回の予算の中では、今お話いただいたように、バスロケーションシステム。それからタクシー事業者へ車両的な支援をする形での新しいビジネスモデルの展開支援というようなことを行わせていただくわけですけれども、交通の問題は、長野県の地域社会を考えていく上で、基盤となる重要な政策だと認識しています。そういう意味で企画振興部交通政策課を中心に、これまでのわれわれの県の取組というのはどうしても何というか、交通事業者主体あるいは市町村主体で一歩引いた形でやっていたところが多かったような気がしますけれど、私も、先般、交通事業者の皆さまと直接いろいろなお話し合いをさせていただき、むしろわれわれ県も、1プレーヤーとして、鉄道であったり、バスであったり、タクシーであったり、こういう皆さんと一緒にやって行きたいと思っています。ビッグピクチャーという話で申し上げれば、実は交通の分野というのはかなり規制が多いです。規制もわれわれ県ではなくて、国が行っている規制が多いので、私としては、いろいろなアイデアとか、いろいろなビジネスモデル、例えば、カーシェアリングみたいな話も含めて、時には交通事業者にとっては脅威となるようなビジネスモデルもいっぱい出てきているわけですけれども、そういうことを交通事業者の皆さんと一緒に学びながら、ぜひ、その次の時代の交通システムがどうあるべきかということについて、一緒に学んで新しい仕組みを構築していきたいと思っています。リニアの検討の中では、伊那市では自動運転の実証実験なども行われているわけですので、これは近い将来確実に自動運転が実用化してくるだろうといったようなことも念頭に置きながら、新しい技術を用いたその交通体系というものをしっかり作っていきたいと思っています。その際の視点は、私は、一つは、人生100年時代のお年寄りの数が増えてきて、免許の返納される方も増えてくる中で、今、自動車に頼らないとなかなか生活できないような地域住民の皆さま方の暮らしをどう支えるかという観点と、それからもう一つは、これだけの観光地を抱えている長野県として、観光でいらした方が円滑に移動できるような交通システムをどうするか。この二つの視点をしっかりもって、交通のあり方を交通事業者の皆さま方と一緒になって考えて、具現化していきたいと思っています。
時事通信 金澤俊子 氏
具現化されていくに当たって、スケジュール感というのはどんな感じでお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
例えば交通事業者の中には、共通カードみたいな議論があるわけですけれども、ほかの分野と違って今申し上げたように、交通事業者の皆さんと一緒に考えて、一緒に取り組んでいきたいと申し上げました。それぞれの企業の立ち位置であったり、それぞれの企業のビジョンというものがあるわけですので、そうしたものと丁寧に擦り合わせをしながら、取り組んでいくということが大変重要だと思っていますので、行政が一方的にいつまでにこれするというのはなかなか決めにくいところが多いなと思います。ただ、これは事業者の皆さま方としっかり話をして、そして、県民のニーズもしっかり承った上で必要なものについては、時間軸を明確にしながら取り組んでいくということもこれから必要だと思っています。例えば、松本空港の国際化方針を出しましたけれども、あれは時間軸を明確に示して取り組んでいくことにしていますので他の交通分野においても、出来るものからそうした形をとっていきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございました。
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