ホーム > 県政情報・統計 > 県概要 > 知事の部屋 > 知事会見(動画とテキストでご覧になれます) > 2017年度知事会見録一覧 > 知事会見2017年7月7日
ここから本文です。
更新日:2017年7月10日
長野県知事 阿部守一
皆さんこんにちは。今から会見を始めます。よろしくお願いいたします。(手話で表現)
本日、県議会6月定例会が閉会いたしました。私どもが提案させていただきました、予算案、そして条例をはじめ各議案につきまして、県議会にご議決いただいたことを大変ありがたく思っています。予算につきましては成立を受けて速やかにそれぞれの趣旨にのっとった迅速な執行を心掛けていきたいと思っていますし、また県議会で出ましたさまざまなご意見等につきましては、今後の県政を進めるに当たって十分念頭に置きながら取り組んでいきたいと思っています。そういう中で、本日は私の方からは3点お話を申し上げたいと思います。
長野県知事 阿部守一
まず1点目ですが、「しあわせ信州移動知事室」の諏訪地域における開催です。すでにプレスリリースをさせていただいているところですけれども、6回目としての移動知事室を来週10日から12日までの3日間、諏訪地域にお伺いして開催させていただきます。諏訪地域は諏訪湖の環境改善であるとか、あるいはサイクリングロードの整備等の方向が出されている中で、ぜひ実際にこの目で確かめてきたいと思いますし、ものづくり産業の集積地でもある諏訪地域、また今、信州デスティネーションキャンペーン(信州DC)を開催中ですけれども、観光地も多く存在している諏訪地域ですので、観光や産業の振興につながるような意見交換もしていきたいと思っています。今回、諏訪地域の戦略会議ということで、市町村長の皆さま方と意見交換する機会を設けさせていただいていますし、また若い人たちとの意見交換、タウンミーティングも予定しています。さらには私がリクエストさせていただいて、県の若い職員とも意見交換させてほしいということで、そうした日程も組み入れていますので、諏訪に暮らす人たち、市町村長、若者あるいは県職員、諏訪湖の環境改善に取り組んでいらっしゃる皆さま方とも意見交換しますけれども、多くの皆さんの思いやこれからの諏訪地域をどうしていくことが望ましいと考えているのか、そうした点についても総合計画の策定を控えていますので、積極的に意見交換してきたいと思っています。長野県は広いので、長野市を拠点に仕事をし、あるいは生活しているとどうしても長野市中心目線に知らず知らずのうちになってしまうと感じることが時々ありますので、この3日間は諏訪目線という観点で、諏訪地域のことはもとより、諏訪から見た長野県全体ということも私自身で感じてきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
2点目ですけれども、発表資料をお配りさせていただいていると思いますが、7月16日から19日にかけタイ王国を訪問させていただきます。今回、目的は三つです。まず一つ目は、タイ王国と本県との間の交流関係を構築あるいは深めていくということです。今年は日本とタイの修好130周年という記念すべき年です。昨年10月に長野県として「グローバルNAGANO戦略プラン」を策定しましたが、その中におきましても、タイは経済的提携国という形で大変重要な地域として位置付けさせていただいているところです。そういう中で、今回、私が直接訪問させていただき、政府の幹部の方々とお会いする中で、顔の見える関係、信頼関係を構築する契機にしていきたいと思っています。それから二つ目ですけれども、観光振興です。タイから日本にお越しいただいているお客さまの数は年々増加傾向にあります。本県におきましても、昨年の延べ宿泊者数が約4万2,000人ということで、対前年2割を超える高い伸びになっています。これからますますタイからの観光客が増加してくると予測していますので、先方のエージェントを訪問させていただき、連携強化を図っていきたいと思いますし、また2,000を超える旅行会社が所属しております、タイ旅行代理店協会との間で観光推進に関する覚書を締結して、長野県に対する送客についての協力関係をしっかりしたものにしていきたいと考えています。それから三つ目は経済交流の促進です。タイ王国は日系の企業におきましては主要な投資先でもあります。本県の企業も中国、米国に次いで3番目にタイに進出している事業所の数が多いという現状があります。そうした状況の中で、工業省を訪問させていただいて、既に進出している、あるいはこれからは進出を考える企業に対する一層の支援をお願いしていきたいと思いますし、また、タイと日本、双方で行われる展示会等への出店強化についても意見交換を行っていきたいと思っています。16日に出て17、18日と実質2日間の活動という形になってしまいますけれども、有意義な訪問になるように努力していきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
それから3点目ですけれども、「信州山の月間」、それから「信州 山の日フェスタ」についてのお知らせです。今年の「信州 山の日」は7月23日、日曜日になっています。「信州 山の日」として制定させていただき4年目となります。また私どもも強く働きかけて国民の祝日「山の日」が制定されて2年目という形になりますので、今回の信州DCの「世界級リゾートへようこそ、山の信州」ということで謳わせていただいていますけれども、今回のこの「山の月間」、「山の日フェスタ」もぜひ信州DCとも連動させて長野県の山の魅力の発信、そして、山に対する県民全体の感謝の思いということを発言する場にしていきたいと思っています。「山の月間」中も100を超えるイベントを用意しておりますし、先ほどデフリンピックに出場する聴覚障がい者の皆さんとも懇談しましたけれども、「長野県手話言語条例」を作って手話の視点も加えたイベントも今年は3つ用意させていただいています。登山、自然観察会といった取り組みも関係の皆さま方のご尽力で充実したものになってきていますので、どうか一人でも多くの皆さま方にご参加いただき、長野県の山のすばらしさを体感いただきたいと思っています。「信州 山の日」当日の7月23日には小諸市の高峰高原におきまして、小諸市のご協力を得て、「信州 山の日フェスタin小諸・高峰高原」を開催させていただきます。高原のハイキング等のアクティなプログラムに加えて、山岳文化シンポジウム等、学びの視点も加えて山の恵み、恩恵について考える場にしていきたいと思っています。また、「サバイバル登山」と名付けた登山を実践されている服部文祥さんをお迎えして講演も行っていただきますし、開会式には私も出席させていただき、地元小諸市の千曲小学校のみどりの少年団の皆さんと一緒に「信州 山の日」宣言を行います。ぜひ大勢の皆さま方に信州の山で癒されていただきたいと思います。また、この7月1日には登山安全条例に基づいて登山計画書の届け出を義務化してから1年という節目も迎えます。消防防災ヘリを失った状況で迎える夏山シーズンということもありますので、今回の予算でも山岳遭難防止対策を補正でしっかりと組み込ませていただきましたけれども、警察、山岳遭難防止対策協会を初め関係の皆さま方と力を合わせて遭難防止にも努めていきたいと思っています。私の方から以上です。よろしくお願いします。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
信州DCに関してお伺いします。始まって今日で一週間ということですが、すべり出しの知事のご感想をお聞かせいただければと思います。
長野県知事 阿部守一
出だしは少し天候に恵まれない中で、また県内各地に警報、注意報などが出された状況の中ですので、あまりスタートダッシュがいい形では切れない部分があったかなと思っています。もちろん、災害対策など県民の安心安全対応をしっかりしなければいけないですので、やむを得ないと思いますけれども、これからぜひしっかり巻き返しを図っていきたいと思います。観光関係者の皆さま方にはこれまでも準備段階からご協力いただいていますし、これからまさに夏休みシーズンを迎えますので、しっかり長野県の魅力をアピールしていきたいと思っています。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
昨日、日欧のEPAが大枠合意という形になりましたが、県内だと特にワイン産業等に与える影響が大きいと思うのですが、知事のご所見をお聞かせいただければと思います。
長野県知事 阿部守一
大筋合意された日欧のEPA交渉で、欧州産ワインの関税が2019年、発効時から即時撤廃という方向になっています。フランスワイン等の価格は1本あたり約100円程度下落すると見込まれていますので、これは国産のお酒全体に対しては、若干マイナスの影響も懸念される部分もあるかと思っています。ただ、逆にEUに対する輸出緩和の措置もとられていますので、長野県は今、日本酒・ワイン振興室もつくって、ポジティブなお酒の振興を進めていますので、こうした変化を危機と捉えるだけではなくて、ぜひチャンスにするように関係の皆さまと一緒に努力していきたいと思っています。特に、例えば今年から海外の国際ワインコンクールへの出品支援であるとか、あるいは海外の有識者からの長野県ワインの発信という取り組みも始めていますので、ぜひ世界の舞台で戦える日本酒・ワインの振興を、長野県からしっかり発信できるように取り組んでいきたいと思います。
信濃毎日新聞 中村正起 氏
本日で子どもを性被害から守るための条例が施行から1年を迎えました。そこでいくつかお聞きしたいのですけれども、条例が制定された意義・効果について、改めてどう評価されるかという点で、4月には初めて処罰規定も適用されて2人が立件されました。性被害者を出さないという観点では処罰規定が適用される事案がない方が好ましいとは思いますけれども、初めて摘発者が出たことを含めて、まず、評価をお聞きしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
「長野県子どもを性被害から守るための条例」については、本当に長い時間をかけて有識者の皆さんにもご議論いただき、そして、私自身も県民の皆さま方との対話に臨んで、多くの皆さま方のさまざまなご意見を伺う中で成立させた条例です。成立直後に県政世論調査協会で行った調査を見ると、8割の皆さまが、条例が成立してよかったと思っていただけていることは、この間の私どもの丁寧な取り組みが一定程度評価されている部分もあるのではないかと思います。今回の条例は他の県の青少年健全育成条例とは一線を画そうと、規制とか、罰則とか、そういうものだけに頼るということではなくて、長い間長野県は県民運動を中心に子どもたちを守ってきた県ですので、そうした取り組みも生かしながら進めていこうということで、予防のための教育、人権教育であったり性教育の充実、あるいはインターネット教育の強化、こうした学びの要素、教育の要素も条例に盛り込ませていただいています。また、県民運動をさらに活性化させていこうという方向も盛り込んで、先般、「長野県将来世代応援県民会議」という形で、新たに県民運動の組織体自体を再構築させていただいています。さらに「りんどうハートながの」という、不幸にして性暴力の被害者になってしまった方たちに対する支援を行うセンターも設置しているところでして、こうした総合的な対策を講じる中で、私としては子どもたちを性被害からしっかり守っていきたいという思いを条例ができて1年という節目に当たって新たにしているところです。
信濃毎日新聞 中村正起 氏
4月に摘発されたお二人のうち一人がその後亡くなられてしまわれました。取材によると立件を苦にしての自殺だったとみられるのですが、条例ができたこと、結果的に死者が出てしまったことはどう受けとめられるか。捜査の仕方に問題がなかったというような疑問もあがっているのですが、どのように受けとめられるか。県が条例制定する際、処罰規定については他県よりも極めて限定的にしたという説明がありましたが、今回適用された18条については、ある意味、時間的な要件さえ整えば摘発できてしまうという側面もあると思いますが、18条についても果たして限定的と言えるのか、その辺のご所見をお願いします。
長野県知事 阿部守一
罰則規定のあり方については相当慎重な検討をさせていただく中で、他の県の条例と比較していただければ一目瞭然で、かなり絞り込んだものになっています。そういう中で、報道の皆さま、一部の報道と言った方が適切かもしれませんけれども、個別の事案について非常に詳細な報道をされていることについて、私としては正直、やや懸念を持っています。今回、子どもの人権を尊重しよう、子どもの健やかな成長を支援しようということで性被害から守るための条例の中においても、子どもの最善の利益を尊重しようということを書かせていただいています。個々の事案について、個人のプライバシーという問題もありますので、私どもとしては、対外的な公の場における議論というものについては、慎重な配慮が必要だと常に思って、これまでも対応させていただいています。他方で、他の県で、こうした個別の事案の検証ということが、私どもの仕組みのように精緻(せいち)に行われているところはほとんどないのではないかと思いますけれども、子どもの支援条例をつくり、子ども支援委員会を設置して、その中で具体的なケースについても含めてしっかりと検証を行っていこうということで、今、ご審議、ご議論いただいていますので、私の立場とすれば、そうした方々の検討というものを、今の段階では待たなければいけないと思っています。もとより、子どもを性被害から守るための条例については、ぜひ、本当の意味で効果が上がるようにしていきたいというのが私どもの思いです。そうしたことに向けましては、この条例の内容の周知ということも図っていかなければいけないと思っていますし、検証を行っていただく中で、仮に必要な対応が我々に求められれば、そうしたご意見を真摯(しんし)に受けとめつつ、より良い制度、あるいは、より良い運用がなされるように努力していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 中村正起 氏
条例で死者が出てしまったという点についてはどのようにお考えかという点と、検証のあり方について、今、子ども支援委員会と青少年問題協議会で被害者ケアだったり、条例の施策面という意味での検証はされていると思うのですが、一方で、警察の恣意(しい)的捜査という点について疑問視する声も上がっています。議会でもより詳細な情報をという声もありますが、例えば第三者機関をつくって検証するとか、捜査が適切かという点について別の組織をつくって検証するという考えはないでしょうか。
長野県知事 阿部守一
極めて論点がずらされてしまっているということで、今のご質問を聞いて非常にがっかりしているというのが正直な思いです。今回の「子どもを性被害から守るための条例」というのは、子どもの人権を守るということが基本であるということはご理解いただけるのではないかと思います。子どもの人権と捜査上の問題は、条例制定の過程でも私は申し上げてきましたけれども、えん罪のおそれということは、なぜこの条例についてだけ、そこまでおっしゃるのか、他の事件については、なぜ同じような議論をされないのかと思います。私は、被害者のご家族のお気持ちは、直接お話を伺ったことがありませんのでわかりませんが、しかしながら、個々の皆さまのプライバシーについては、最大限尊重していくということが、極めて重要ではないかと思っています。先ほどから何度も繰り返して申し上げているように、事案の検証を行わないと私は申し上げているつもりはありません。子ども支援委員会で子どもの支援を専門的に扱っていただいている皆さまには、仮に制度とか運用に問題があればご指摘いただきたいと思っていますし、また、それ以上に、こうした子どもたちにどう寄り添っていくべきかということについても、しっかりと検討していただきたいと思っています。ただ、その話がどうして捜査の話になってしまうのか。具体的に捜査に問題があったということであれば、それは捜査側の問題ということでご指摘をいただかなければいけないと思いますし、それは私ではなくむしろ県警に言っていただく話になるのかもしれませんけれども。ぜひその辺については、ちょっと言い過ぎているかもしれませんけれども、かなり婉曲に、何度も繰り返し子どもたちの最善の利益をもって申し上げているつもりです。県政に対するご批判は、私は真摯に受け止めます。県政に問題があれば、それはメディアの皆さま方からいかなる指摘であってもいただく必要があると思っていますが、個々の子どもたちがかかわるケースについては、ぜひ細心の注意を払った情報の取り扱いをしていただきたいというのが、私の思いです。
信濃毎日新聞 中村正起 氏
条例には必要があるときは所要の措置を講じるといういわゆる見直し規定がございますが、1年が経過して、現時点でその見直し規定を適用するお考えがあるかどうか。
長野県知事 阿部守一
子ども支援委員会でも個別のケースについても議論をいただきますし、今の時点で教育であったり県民運動であったり、あるいは被害者支援であったり、そうした体制を整えてこの条例の趣旨に沿った運用を始めているところですので、現時点でただちに見直しを行うという必要性は感じていませんし、そうしたことは考えていません。
信濃毎日新聞 中村正起 氏
最初に知事の説明でもありましたが、「将来世代応援県民会議」で、活動を支える団体の担い手不足であったり、また新たな担い手と位置づける青少年サポーターがなかなか思うように集まらなかったりする中で、どんなふうに盛り上げていったらいいのか、改めてお願いします。
長野県知事 阿部守一
県民文化部に検討を指示していますが、青少年サポーターも当初目指していた人数まで、まだ集まっていないという状況です。例えば私も子どもの学習支援とか協力してもいいなと思っているのですけれども、青少年サポーターの役割が何となくぼやっとしている感じになっていますので、具体的にどういうことを期待しているのか、あるいはどういうところでどういう活動をしてもらいたいかということを、もう少し、はっきりさせて、県民の皆さま方に参加をしてもらう形を整えられないかということで検討していますので、より多くの皆さま方にご理解いただき、ご協力いただけるように、仕組みのあり方自体の改善をしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 中村正起 氏
「県の未来を担う子どもの支援に関する条例」のことについて、過去の知事選の公約に基づいて作られた条例かと思いますけれども、「子どもを性被害から守るための条例」に比べると、なかなか広報もされてなければ、県民にほとんど知られていないという指摘がありますが、その辺についてどう考えるか。また改めて周知し直すとか、活用面でどんなふうに考えているでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そのご指摘は謙虚に受け止めて、さらに「子どもを性被害から守る条例」と、この「子ども支援条例」というのはある意味、一体として運用していかなければいけない条例だと思っていますので、併せた形での周知に努めていきたいと思っています。どうしても先ほどのえん罪みたいなご議論がたくさん出されておりましたので、「子どもを性被害から守る条例」の周知のことを中心に、考えて来ざるを得なかった状況があり、「子ども支援条例」の周知が不十分ではないかということについては謙虚に受け止めなければいけないと思っていますので、これから、「子どもを性被害から守るための条例」、それから「子ども支援条例」、この両条例については、より県民の皆さま方のご理解が深まるように周知をしていきたいと思っています。
読売新聞 丸山修 氏
信州DCが始まって1週間ということで、先ほど知事から自然災害もあり、スタートダッシュがあまりよく切れなかったというご指摘もありましたけれども、長野県は観光県であると同時に災害県であるというイメージも県外から見ると強いわけですけれども、災害による観光産業へのダメージ、これは風評も含めてですが、そういったものをどう防ぐかという点は長野県にとっては重要な課題になるかと思います。ほかの長野県以外の例えば大震災のあった東北ですとか、あるいは海外でもアジアのリゾート地ですとか、そういった地域は災害を克服していくためのノウハウっていうのをいろいろ研究されてきているかと思いますが、長野県においては、こういった点について一般的にどう取り組んでらっしゃるのかという点と、今回の信州DCの開幕ということで、自然災害からどう克服を図っていくかという点について、今回実際にどう取り組まれたという点についてお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
この風評被害対策というのは、率直に言って難しい側面もあると思っています。というのは、ただ単に来てくださいということを言うだけではなくて、やはり災害のリスクについても正確な情報をお出ししないといけない。来てください来てくださいということだけで安全面、安心面の配慮が欠けたアピールをすることは私ども行政としてはできないだろうと思っています。そういう意味で今回の木曽の地震におきましても、私が関係部局に指示したのは、正確な情報を出しなさいと。要するに、ここの道路はちゃんと通れますとか、こうした観光施設は、普通通り営業していますとか、やはり災害が起きると過度な心配といいますか、過度な対応で、ここに行っても十分観光できないのではという情報が伝わりかねない問題になりますので、そういう意味では、正確な情報発信というのが基本だろうと思っています。例えば木曽地域の場合については、私は今回の地震の以前から御嶽山の噴火災害以降、観光客の戻りが弱いと率直に感じていますので、観光部には、まだ噴火警戒レベルが2の状況が継続されているということもありますので、災害継続中であると言う認識で観光振興に取り組んでほしいということで、木曽については予算面でも特別の配慮をこれまでもさせて来ていただいています。これからも災害時の対応という面で申し上げれば、まずは正確な情報提供、そして災害にあった地域に対しては復旧復興の局面においては、県としても、観光面も含めて、他の地域以上の支援をしていくということが重要だと思っています。
読売新聞 丸山修 氏
観光関連についてお伺いしたいのですが、今度知事が訪問される予定のバンコクは私も個人的なことを申しますと半年ぐらい前までは定期的によく出張していたところでして、現地の観光関係の方とお話させていただく機会もあったのですが、タイ人の方といいますと、ビザの緩和もありまして、非常に日本旅行がブームになっておりまして、特に人気なのが北海道。スキーのリゾートがありまして、カニなどのグルメがあるということが大きな理由のようなのですが、一方で長野県といいますと、スキーリゾートはあるけれども、現地での印象というのが北海道と比べるとちょっと薄いのではないかなという印象があります。その辺り知事としては今回のトップセールスにおいて何が問題点とした上でそこをどう克服していくお考えなのかお伺いさせていただきたいのと、あと今バンコクでは日本と変わらないレベルの日本食レストランが大変増えていまして、現地の富裕層などは日本食に対して非常に舌が肥えているような状況ですが、そういった中で長野県から世界に発信できる食というものをどう捉えていらっしゃるか改めてその食に関してはどうアピールしていくかということをお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
まず、前段の方ですけれども、実は今のお話にもありましたけれども、東南アジアの皆さま方は日本に対していろいろ期待することがあると思いますけれども、一つ大きな要素としては雪国、雪、冬の日本と言う側面があると思っています。そういう中で今回、ワールドサプライズトラベルという、これは日本向けの旅行を中心に企画販売を行っている旅行業界のオピニオン的存在だと聞いていますけれども、そこでワールドサプライズスノーというスノーアクティビティーの専門会社を新たに設立されています。お話しがあったように、私どもの冬の観光というものは、これは冬季オリンピック・パラリンピックもやった県ですので、北海道に勝るとも劣らない資源を有すると考えていますけれども、残念ながらアピールがいささか弱かったなと考えています。そういう意味で、このワールドサプライズトラベルを今回訪問させていただく予定になっていますので、ぜひ北海道だけではなく、長野県もスノーリゾートとしてタイの皆さま方を必ず満足させられる観光地であるということについて、しっかりアピールしてきたいと思っています。それから先ほど申し上げたように観光関連の旅行代理店協会の皆さま方とも覚書を締結することによって、幅広く長野県のアピールをしてきたいと思っています。
食についてですけれども、今回の信州DCでも信州山ごはんを初めとして、食を一つの柱として育てていこうということで柱立てをさせていただきました。ただ、この分野は他の観光地に比べるとまだまだ弱いというのが私の正直な思いです。であるがゆえに今回の信州DCでも、この食を一つの柱に立てたわけですけれども、長野県というと、そば、おやき、りんごという画一的なイメージから脱して、ジビエとワインなどのイメージをもっとしっかりと出していかなければいけないと思っています。海なし県ですので、海産物はありませんけれども、その他の素材については非常に品質が高いものを持っていると思っていますので、それらをどういう形で加工してご提供するのかという部分についても、これから長野県としても、さらに研究を深めていきたいと思っています。今後の総合計画を策定していく中で、今回の信州DCの状況を見ながらではありますけれども、信州の食というものについては、農業、観光あるいは飲食業の振興と結びつきますので、しっかり考えていきたいと思っています。
読売新聞 丸山修 氏
タイの方が信州に来ていただくための交通手段といたしましては、例えばバンコクから信州まつもと空港への国際チャーター便ということは、飛行機の航続距離から考えて若干厳しいのではないかなという感じがするのですが、今回の訪問においてそのあたりについて、チャーター便などは念頭に置いていらっしゃるのかというのが一つと、仮にそのチャーター便が航続距離で難しいということであれば、どういう観光ルート、例えば羽田から入るとか、例えば海があるということで北陸を回るとか、そういった意味でどういうルートで長野に来てくださいということをアピールするのが効率的と考えていらっしゃるかお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
前段についてはお見込みのとおりで、なかなか松本空港の直行チャーター便は厳しいと思っていますので、今回直接そうした働きかけをしてくる予定はありません。これから観光誘客するに当たって、私どもとしては、他の空港に依存していかなければいけないわけですので、この部分についてはタイに限らず、ほかの地域も同様ですけれども、東京からあるいは、関西、名古屋から、そうしたルートを想定しています。長野県は広いので、こちら側だけという話にはならないと思います。北信と南信では入り方が違ってきますので、複数のルートを想定しながら働きかけを行ってきたいと思っています。
産経新聞 太田浩信 氏
高等教育の問題でお伺いしたいのですが、長野市で、清泉女学院と長野保健医療大が、平成31年の看護学部設置を目指して動き始めたのですが、県にも支援を求めたいというような形のようなのですが、2つの看護学校が一つの地域できることについてどういうようにとらえていらっしゃるか教えていただければ。支援の意向とともに。
長野県知事 阿部守一
私のところに直接ご要請いただいている状況ではないです。地域における大学の設立については、他の地域も松本大学であったり、諏訪の東京理科大であったり、みんなそうなのですけれども、県からは間接的な支援、当該市町村を通じた支援をこれまでも行わせて来ていただいていますので、まずは私どもとすれば、長野市としてどういう対応していくのかということについては十分お伺いをした上で、県としての対応を考えていきたいと思っています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
森林税について、まず基金残高についてなのですけれども、県としては昨年度末の基金残高として4.9億円を示していると思います。ただ、計算の方法によっては6億円であるとか8億円越えだという指摘もある中で、この多額な基金残高について、知事は現時点で問題があると思っているのか、もしくは、やむを得ないと思っているのか、どのようにお考えなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今税制研究会等で議論いただいていますので、そうした皆さんのご意見も、私としては、まずしっかり承った上で判断していかなければいけないと思っていますけれども、途中で国の制度が変わったが故に、要するに大規模な地域の間伐を国が対象とする形になったので、なかなか集約化作業、事業の進捗が図りにくかったという要素と、それから、大北森林組合の問題もありましたので、そういう意味では私どもの事業執行が、これまで以上に丁寧な対応を心がけてきている、といったいくつかの要素が絡まって、こういう状況になっていると思っています。これから、その部分をどうしていくかということについては、私としては当然のことながら問題意識を持っていますので、税制研究会の皆さんのご意見等も踏まえながら、どう受け止めて、どういう対応していくかということについては、しっかり考えていかなければいけないと思っています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
仮に3期目を継続するのであればという、仮定の質問になってしまうのですが、今の残高というのは、1期目、2期目を通じてこれこれのために必要だからお願いしますということで集めたお金だと思います。仮に3期目を継続するときに余っているから、新しい使い道を考えようみたいな話で、今後、話が進んでいくのだとしたら、超過課税の必要性という観点からやや疑問が残るのですけれども、その点についてはどう思っていますか。
長野県知事 阿部守一
まだそんなところまで私のところでは議論されてないので、今のご質問に対しては、私のところではまだ検討していませんとしかお答えしようがないですけれども、ご指摘のとおり、県議会で申し上げているつもりですし、ここでも申し上げているつもりなのですけども、私は、超過課税は超過課税をする必要性というものが当然なければいけないと強く思っている人間の一人ですので、そうしたことは十分念頭に置きながら、今後の対応は考えていきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 大場美歩 氏
今日、補正予算が可決されたのですけれども、迅速な執行ということで、特にまず何から取り組みたいかということと、九州で大雨があったのですけれども、もし長野から支援等の動きがありましたら教えていただけますか。
長野県知事 阿部守一
今回の補正予算は、先ほど申し上げたように、飯山市井出川の山腹崩落災害への対応ということを初めとして、残雪による農作業の遅延を防ぐ取組などの経費も盛り込ませていただいていますので、まず、災害対応について、しっかり迅速に取り組んでいきたいと思っています。
それから九州で大変な豪雨災害があり、心からお見舞いを申し上げますが、今の時点で、直接、応援を要請されているとは聞いていません。ちょっと距離が遠いということもあるので、恐らく周辺県の応援ということが中心になるだろうと思いますけれども、仮に要請があれば前向きに考えていきたいと思います。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
先ほどの森林づくり県民税の話は、県議会でも取り上げられて、来週、税制研究会がありまして、県民アンケートもまとまってくるということで、知事とすればその判断の時期というのは、今、まだいろいろな会議も継続している中かと思うのですが、どんなふうにお考えになっているか教えていただければと思うのですが。
長野県知事 阿部守一
研究会の検討状況とか、県民の皆さま方に行わせていただいているアンケートの結果とか、そうしたものを踏まえた上でどうするかを決めていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございました。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください