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更新日:2017年10月23日
長野県知事 阿部守一
今から会見を開きます。よろしくお願いします。(手話で表現)
まず通常の会見に先立ちまして、メルシャン株式会社様との共同での会見を開かせていただきたいと思います。今般、「信州ワインバレー構想」を進めている長野県として大変嬉しいお知らせをいただきました。メルシャン株式会社様が塩尻市と上田市にワイナリーを新設される計画を発表されました。本日は、代表取締役社長の代野照幸(だいのてるゆき)様にわざわざ長野県庁までお越しいただいています。まずは代野社長から今回の計画の概要についてご説明いただければと思いますので、よろしくお願いします。
メルシャン株式会社代表取締役社長 代野照幸(だいのてるゆき) 氏
皆さま、改めましておはようございます。ただいまご紹介に預かりましたメルシャン株式会社の代野と申します。それでは、今般、塩尻市それから上田市の2か所でシャトーメルシャンの2つのワイナリーを設立することを決定いたしましたので、その概要についてご説明させていただきます。
その前に、今年はメルシャンのワイン作りが140年の節目を迎える年です。申し訳ないのですけれども、長野県ではなくて山梨県でわれわれはワイン作りの産声を上げて今年で140年ということで、この間いろいろな紆余曲折がありました。なかなかおいしいブドウが採れないとか、おいしいワインが作れないとか、いろいろな苦労もたくさんありましたが、ブドウの栽培農家の皆さま、特に長野ですと塩尻市、それから上田市、北信、池田町の皆さんのたゆまぬ努力でおいしいブドウを作っていただいて、今、よいワインになってきたという歴史があります。われわれメルシャンも技術員をワインの本場のボルドー、ナパ、カリフォルニアに派遣をしてブドウ栽培、それからワイン作りについて勉強を重ねてきました。ブドウの栽培農家さんとメルシャンがパートナーを組んで日本ワイン、シャトーメルシャン、おいしいワインをこれまで作ってきました。皆さまのたゆまぬ努力のおかげで、特に桔梗ヶ原、塩尻市でのメルローについては国際コンクールで非常に高い評価をいただいています。また、上田市の椀子(マリコ)ヴィンヤードで作ったブドウについてもおいしいワインになって、昨年のサミットでは晩さん会で使っていただけるほど高い評価をいただいてきました。そのような背景があり、今非常に日本ワインは活況を呈しています。まだまだ日本ワインの市場の中では5パーセントの構成比ということですけれども、今後日本のワイン市場の成長のドライバーになることは間違いないと思っています。われわれは今まで勝沼のシャトーメルシャンのワイナリーで長野の皆さんが作ったブドウをワインに仕込んできたということですが、おかげさまで勝沼の製造のキャパシティもかなり厳しくなってきたということもありまして、いよいよ、非常によいワインができている桔梗ヶ原と椀子(マリコ)の2カ所で、その場で採れたブドウからワインを造るワイナリーを造ろうと決断をしました。塩尻市の桔梗ヶ原のワイナリーにつきましては、来年の秋にオープン予定です。上田市の椀子(マリコ)ヴィンヤードにつくる椀子(マリコ)ワイナリーにつきましては、2019年の秋、2年後にオープンする予定となっています。この2つのワイナリーが予定どおりオープンしますと、2020年には東京五輪が開催されますけれども、その年に、桔梗ヶ原それから椀子(マリコ)ヴィンヤードで採れたブドウを利用したワインができるという予定をしています。いずれにしましても、おいしいワインを作るためにはおいしいブドウが必要です。そういう意味でわれわれも日本ワインをこれから盛り上げていきたいと思っていますけれども、これからも長野県の栽培農家さん、阿部知事はじめ長野県の行政のみなさん、塩尻、上田みなさま、行政のみなさまのお力もいただきながら、また、今日お集まりのメディアの皆さまにもご協力をしていただきながら、日本ワインの振興に、長野ワインの振興に貢献をしていけたらと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。説明は以上です。
長野県知事 阿部守一
私から少し補足します。代野社長大変ありがとうございました。大変力強いご発言をいただき、私ども長野県としても、「信州ワインバレー構想」を進めていますが、ワイナリーというのは農業、あるいは、醸造業としての製造業、さらには観光業、幅広い産業をつなぐ事業です。これから長野県の発展にとって極めて重要な役割を果たしていただくことを心から期待しています。また、メルシャンワイナリーはワイン醸造を始めて140年ということで、大変長い間の実績、おめでとうございます。私どもはまだ「信州ワインバレー構想」を開始してから5年に満たない状況ですけれども、ぜひメルシャンの伝統を私ども長野県もしっかり取り込ませていただきながら、共々発展させていきたいと思っています。
ちなみに私ども長野県の状況を申し上げると、ワイン用ブドウの生産量は、平成26年の数値で6,276トン、日本国内では、第1位です。山梨県が約3,365トンですから、倍近い生産力を持っています。かつ、10年前の生産量が2,459トンでしたから、この10年間でワイン用ブドウの生産量は2.6倍に増加してきています。また、現時点でワイナリーの数は36ですけれども、「信州ワインバレー構想」策定時の段階では、25という状況でしたので、わずか4年ほどの間で、10以上ワイナリーが増加しています。これからも長野県としてワイン振興を引き続き、市町村、業者、関係者の皆さん、醸造家の皆さんはじめ、多くの皆さま方と連携して、しっかりと取り組みを進めていきたいと思っています。
また、先ほどオリンピックの話もありました。これから長野県は海外戦略もしっかり進めていきたいと思っています。国際コンクールへの出品支援であったり、あるいは、海外のワインジャーナリストに対する情報提供等、「NAGANO WINE」の国際的な知名度を上げるための取り組みについても、進めていきたいと思っています。どうか、メルシャン様におかれましては、世界レベルの栽培、あるいは、醸造技術を私ども長野の地で発揮していただいて、本県ワイン産業の振興に引き続きご協力いただきますよう、心からお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
日本経済新聞 北川開 氏
知事に1点と、社長に2点ほどお伺いしたいのですが、まず知事に観光や産業の面でどのような部分で具体的に期待しているのかお伺いしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
これは先ほど申し上げたように、ワイン産業・ワイナリーは産業分野横断的に非常に大きな影響力を持つ拠点になり得ると思っています。私ども日本酒・ワイン振興室を設置して、全国でも極めて特殊な組織だと思いますけれども、ワインと日本酒、お酒の振興に力を入れてきています。長野県は農業県でもあるので、まずはワイン用ブドウの生産力の向上にますます力を入れていきたいと思っています。また、加えて、これからますますインバウンドのお客様をはじめとして、多くの観光資源を有する本県としては、ワイナリーを核とした観光振興にも取り組んでいきたいと思っています。これは産業労働部のみならず、農政部、観光部がしっかりと力を合わせて今回のメルシャン様のご決断、ご英断を大歓迎しながら、ぜひ一緒になってワイナリーが発展する取り組みを進めていきたいと思っています。
日本経済新聞 北川開 氏
代野社長に2点ほどお伺いしたいのですが、まず、この時期に上田市と塩尻市にワイナリーの新設を決めた、このタイミングでなぜというところをお伺いしたいと思います。
メルシャン株式会社代表取締役社長 代野照幸 氏
先ほどもご説明しましたが、日本ワインは今、非常に好調に推移しています。シャトーメルシャンにつきましても約9%増の販売実績になっていまして、勝沼のシャトーメルシャンの製造キャパシティがあと1、2年でマックスになってしまうということがあります。われわれとしましては日本ワイン、シャトーメルシャンの需要はまだまだ伸びていくということを確信していますので、新たな製造拠点、ワイナリーを構える必要があったということです。その中で特に桔梗ケ原、椀子(マリコ)の二つにつきましては、地元の農家との協力体制、あるいは行政との協力体制も非常に良好な関係をいただいています。ぶどうも素晴らしいぶどうが作れます。ワインにつきましても先ほどご説明したとおり、国際コンクールで最高賞を取ったりサミットで提供できるくらいの品質になったということもありますので、この桔梗ケ原ブランドと椀子(マリコ)ブランドを、より強化していくということで、この2カ所にワイナリーを建設することを決定いたしました。
日本経済新聞 北川開 氏
もう1点、今後の日本ワインの発展の方向性と、その中で長野県産ワインの立ち位置というか、県産ワインの強みとか課題とか、そういった分析がありましたらお伺いしたいと思います。
メルシャン株式会社代表取締役社長 代野照幸 氏
日本のワイン市場は、この10年間で1.5倍に拡大しています。健康ブームと健康イメージがあるということで、少子高齢化の中では数少ない成長するカテゴリーという位置付けです。ただ、成長するにはやはりドライバーが必要で、この10年間は何がドライバーになったかといいますと輸入チリワインです。これが非常にコストパフォーマンスが良かったということで、デイリー輸入ワインの市場が広がったということがあります。
ただ、このインパクトも大分、飽和感が来て、より量から質へというお客様のニーズが出てきました。その中で地元の日本ワイン、国産ぶどう100%で作るワインを楽しみたいというニーズが、かなり旺盛に出てきているということで、国内のワイン愛好家において日本ワインの潜在性があるということが一つ言えます。
それともう一つは、われわれも国内だけではなく、日本ワインの魅力を海外に広げていく。先ほど知事からもいろいろお話がありましたけれども、この5月から香港に本格的に進出しています。今もう3回目のリピートオーダーが来るなど、シャトーメルシャン、日本ワインに対する関心がかなり高いということで、大変強い手ごたえを持っています。ですから、日本ワインにつきましては国内の需要が増えるということの上に、海外へ打って出るという可能性も、今後大きくあるという見通しを持っています。
長野ワインの強みと課題というところは、先ほど申し上げたとおり、われわれは山梨で140年前にワインづくりを始めたのですが、「ぶどう有りき」というのがワインづくりのモットーです。どれだけ美味しいぶどうが作れるかという点において、もちろん山梨も素晴らしいぶどうができるのですけれども、長野につきましては、われわれはテロワールと言っていますけれども、いろいろな風土、立地によってぶどうの出来というのはかなり変わってまいります。その点で、長野につきましては千曲川があったり山があったり、いろいろな風土に恵まれていますので、素晴らしいぶどうができるというところで日本ワインを引っ張っていっていただける産地と捉えています。
長野県知事 阿部守一
それでは引き続いて通常の会見に切り替えて継続したいと思います。
私からは大きく2点お話をさせていただきます。
まず1点目は、本日の部局長会議の議題についての報告です。本日の部局長会議で来年度当初予算編成方針、それから仕事改革、働き方改革の取組推進について若手のプロジェクトチームからの提案、さらには子ども・若者育成支援強調月間についての報告、また、さわやか信州省エネ大作戦の夏の取り組みについての報告、そして産業労働部から笑顔プロジェクトの事例発表ということが行われました。
そのうち仕事改革については、若手のプロジェクトで会議室の在り方、それから決裁の在り方について、今日は提案をいただきましたけれども、提案に即して実行していきたいと思っています。これからも若い職員も含めた県職員の知恵あるいは問題意識、こうしたものを集約化して具体的な業務の在り方、仕事の在り方の改革につなげていきたいと思っています。
それから当初予算編成方針についてですが、来年度当初予算の編成に向けての考え方を示させていただいたところです。来年度から、現在策定中の総合5か年計画をスタートさせるという年に当たりますので、新しい施策にもしっかりと予算配分をしていかなければいけないと思っています。他方で厳しい財政状況であることには変わりがない状況ですので、単にこれまでの事業を漫然と進めるということではなくて、事業の厳選も図っていかなければいけないと思っています。そういう中で私からは何点か少しお話をさせていただきましたけれども、まず予算だとどうしても事業だけ出てくるわけですけれども、人件費であったり、施設の維持管理であったり、あるいは施設を逆に活用するという視点だったり、幅広い視点でこの仕事の在り方というものを見直していく必要があると思っていますので、そうした点について、部局長の皆さんに検討を指示しました。それから、部局長のリーダーシップでということですが、より大きな転換をするときには担当者レベルでいくら議論しても、なかなからちが明かないものが数多くありますので、ぜひ部局長の主体的な取り組みで積極的な予算の在り方の見直しをしていってもらいたいという趣旨の指示をさせていただきました。来年の地方財政計画はかなり今年と比べても厳しい状況になることが見込まれている中で、しっかりと事務の見直しを行いつつ、県民の皆さまの期待に応えられる、そして新しい総合計画のスタートの年としてふさわしい予算となるように、これから全庁挙げて取り組んでいきたいと思っています。以上が、部局長会議についてです。
長野県知事 阿部守一
それから大きな2点目です。ここに実物を持ってきてもらっていますし、今、皆さま方にお配りしていますけれども、ブドウの新品種「ぶどう長果11」という品種を果樹試験場で開発しましたので、お知らせしたいと思います。先ほどのワインに続いてブドウの関係の話ですけれども、まず皆さんに召し上がっていただければと思います。大変甘くて、そして皮ごと、丸ごと食べられるということで、シャイマスカット、ナガノパープルに続く皮ごと食べられる種なしブドウのシリーズとして、しっかりとブランド化して発信していきたいと思っています。まず、新品種の特徴について、小松宏光果樹試験場長から説明してもらって、その後また私から少し補足的にお話したいと思いますので、よろしくお願いします。
果樹試験場長 小松宏光
新品種の育成経過や特徴等について説明申し上げます。この品種は平成20年から21年に交配を実施しました、10種類の組み合わせから得ました269個体の中から選んだ品種です。以来、果実の品質、栽培性等について調査をしました結果、本年育成を完了致したところです。育成を完了するまでに10年間かかっていますが、果樹の育種において10年間で育成を完了したというのは異例の早さです。この品種の特徴としましては、濃い赤紫色の果皮と大玉であること、そして皮ごと食べられる品種です。甘みが強く、甘みの目安となる糖度は22から23度程度です。ほのかなマスカット香を持っており、子どもたちから年配の皆さんまで万人が好む食味となっています。収穫時期は、すでに皆さんご存知のようにシャインマスカット等とほぼ同時期です。長野県が育成したナガノパープル、シャインマスカットと共に、9月下旬に3種類セットで出荷することもできるという、品種です。果樹試験場では今後、より高品質な果実がより安定的に生産できるような技術開発を進めて、ブランド化に貢献していきたいと思っています。以上で説明を終わります。
長野県知事 阿部守一
ナガノパープル、シャインマスカットに続く、有力な新品種を果樹試験場で開発してもらうことができました。果樹試験場の取り組みに私からも感謝申し上げたいと思います。そこに、ナガノパープル、シャインマスカット、そして今回の「ぶどう長果11」の3種類を並べてありますけれども、全国に先駆けて三色の種無しかつ皮ごと食べられるブドウの品種を長野県が提供できるという形になりました。今後、国内における種苗登録の手続きを行い、そして、しっかりとしたブランド化を図って、この品種を、長野県を代表するブドウに育てていきたいと思っています。市場に対する出荷は平成34年ごろを目標としていますが、生産者、生産団体など関係者の皆さま方と力を合わせて、輸出戦略を含めてブランド化を進めていきたいと思っています。そういう中で、過日、着任をいただいた信州マーケティング戦略担当の杉本参与にも、力を十分発揮をしてもらいたいと思っておりますので、杉本参与から何か一言、ここでコメントをいただければと思いますので、よろしくお願いします。
信州マーケティング戦略担当参与 杉本隆宏
ただいま、紹介にあずかりました杉本です。私はまだ、今週着任したばかりなのですが、これから生産を開始される新しいアイテムということで、まずは国内マーケットの厳選されたお客様に、高品質なものをお届けするということになろうかと思うのですが、将来的には輸出の可能性も十二分にあると考えています。ただ、国内と違いまして鮮度管理、温度管理のお客様にお届けされるまでの管理の部分で、まだまだインフラが整っていない国などもあろうかと思いますので、そのあたりは厳選したルート、取り組み先などと、将来的にスタートしていければいいかなと思っています。以上です。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございます。
ということでしっかり戦略をもって取組を進めていきたいと思っていますが、今日お配りをした会見資料にも記載していますように、今回、新しい名称の募集もさせていただくことにしています。ぜひ、多くの皆さま方から、素敵な名前をご提案いただきたいと思っていますので、ぜひ、メディアの皆さま方にもご協力をいただければありがたいなと思っています。因みに、ワイン用ぶどうの生産量、この10年で2.6倍ということを先ほど申し上げましたが、ナガノパープル、あるいはシャインマスカットも近年、生産量が急速に伸びてきています。ナガノパープルは、私が知事になった平成22年の当時は、年間450トンでしたが、昨年の推定で約1,470トンということで、約3倍に生産量が増加していますし、シャインマスカットについては、平成22年で68トンと少なく、平成28年の推定で約3,000トンということで、こちらはもう30倍、40倍ですかね、68トンが3,000トンということで急速に生産量が増えてきています。ワイン用ぶどうと合わせて生食用のぶどうについても、長野県の農業の主力品種としてしっかり育てていきたいと思っていますので、どうか皆さま方にもご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。ということで、私もこれを食べさせていただこうと思います。もう以前にも食べていますけれども、ここで食べろというリクエストをいただいているようですので、食べさせていただきたいと思います。それではいただきます。
皆さんも召し上がっていただいたので、同じような感想をお持ちだと思いますけれども、皮とか種を出す手間もないし、非常に糖度が高くて、大変素晴らしい味わいの新品種を長野県で開発できたなということで、大変嬉しく思っています。ぜひ、これから本格的な生産をして、そして先ほど申し上げた名称も、ぜひ、多くの皆さんに発信力のある名称を付けることによって、しっかりとブランド化を進めていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。ということで私の方からは以上です。よろしくお願します。
日本経済新聞 北川開 氏
ぶどうについてお伺いしたいのですけれども、こちらは色は違いますけれども、ナガノパープルとどういう差別化を図ったブランディングをしていくのかなというところをお伺いしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
ナガノパープルとの差別化。これ、並べてもらうとまず、色的には、赤系統のぶどうではありますけれども、相当差別化され、見た目自体は差別化されていると思っています。見た目は似通った品種はいろいろあると思いますけれども、この種なし皮なしで3品種の他と相当差別化されるブドウをしっかり生産できるのは、うちの県が全国に先駆けてという形になりますので、りんごは「りんご三兄弟」ということで取り組んでいますけども、このブドウのブランド化とか戦略についてどうするかというのは、名称も含めて、これからご提案をいただいて、しっかり考えていきたいと思います。
市民タイムス 赤羽啓司 氏
この新しい「長果11」について、とりあえず生産目標のようなところ県として持っているのかどうかというところをまず一つ伺いたいと思います。
長野県知事 阿部守一
はい。それは農政部の方から説明します。
園芸畜産課長 丸山秀樹
こちらのブドウにつきましては、平成34年に、100ヘクタールほどまで増やして進めていきたいと考えています。
市民タイムス 赤羽啓司 氏
あと出荷時期なのですが、これを見ると一番最初にナガノパープルがでて、次に9月中旬にシャインマスカット。9月下旬にこのブドウ「長果11」っていう、若干ずれているようなイメージがあるのですけど、そうすることで市場に、切れ目なく秋の段階で並べられるというのも一応狙いとしてはあるということなのですか。細かくてすみません。
園芸畜産課長 丸山秀樹
確かに、皮ごと種無し品種の一番の先陣を切るのがナガノパープルでして、それから時期的にシャインマスカットがでます。それから少しおいて、こちらの「長果11」が出てくると思いますので、そのリレー、品種間リレーをしっかり組み立てる。
それから、今、冷蔵施設の強化を進めていまして、同時期に出せるようなタイミングをできるだけ多く、持ちたいということ。また、クリスマス需要、新年の需要に向けましても、冷蔵で出荷して、お客さんのニーズ、それから高単価を狙えるような戦略を組んでいきたいと考えています。
読売新聞 丸山修 氏
ワインツーリズムの振興についてお伺いしたいのですが、勝沼のシャトーメルシャン、私は個人的には最近見学したこともあるのですが、印象としてはその勝沼の良いところと言いますのは、多くのワイナリーが近い距離に集積していて、交通アクセスですとか飲食施設との連携も取れていて、長野よりも進んでいるという印象を受けましたけれども、そういった点で、ワイナリー一社だけではない行政を含めた地域全体の取り組みが、観光振興にとっては重要なってくると思いますけれども、その点今回のそのシャトーメルシャンの進出を機に観光地域づくりにどう生かしていくか知事のお考えをお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
はい。全くご指摘のとおりだと思います。私もシャトーメルシャン勝沼ワイナリーにお伺いしたことがありますし、ある意味で山梨県は、このワイナリーであったり、あるいは観光農園的な物であったり、非常に観光と農業の連携という意味では、われわれは学ぶべき点がたくさんあると思っています。
今回シャトーメルシャンさんが、桔梗ヶ原と椀子(マリコ)ヴィンヤードでワイナリーを造っていただくとことを契機にして、われわれの観光の視点でのノウハウというものも、ぜひ学ばせていただきたいと思っています。今、観光地域づくりということで、各地域振興局も含めて、各部局あげて観光に力を入れようと位置付けている中で、まさに日本酒ワイン振興室も作っていますので、酒ツーリズム、ワインであったり、あるいは日本酒であったり、なかなか長野県は公共交通が必ずしも充実していない地域が多い中で、観光の観点から、ワイナリー巡りであったり酒蔵巡りであったりといったことを、しっかりとサポートできるような体制を、今後しっかりと考えていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
予算編成方針で、次期総合5か年計画にかなり注力する形になると思うのですけれども、新規事業を立ち上げる中で、知事として、新年度予算の編成に向けた意気込みであったり、職員の皆さんに、このような事業というようなメッセージがあればお願いできませんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず今、総合計画を検討しているところですので、私とすれば、この予算の話と並行しながらではありますけれども、しっかりとした5か年間、あるいはものによっては5年ではなくてもっと10年先とか20年先を見据えたものにならざるを得ませんけれども、やはりしっかりとした方向付けをしなければいけないとまずは思っています。
そういう中で、その大きな方向に即して毎年の予算編成をしていくことになりますけれども、毎年度の予算編成に当たりましては、単純に前例踏襲するということでなくて、やはり新しい社会の動向あるいは県民のニーズを踏まえた政策に積極的にチャレンジしていかなければいけないと思っています。ただ、先ほど部局長会議でも言いましたけれど、前例踏襲っていうのも、今までやってきたことを単純に横に置いてしまうのではなくて、今まで取り組んできたことをしっかり検証し、継続するべきところは継続しながら、ただ、当初の目的とか意義というものはしっかり念頭に置きながら、取り組んでいくことも重要だと思っています。職員に対してと質問されたので、私の思いとしては、綺麗な作文ではなくて、本当に県民の思いとか、地域でいろいろな取り組みをされている方たち、あるいは企業の皆さんがいらっしゃいますので、そういう皆さま方の取り組みということもわれわれはしっかり受け止めた上で、地に足の着いた、そしてかつ、未来に向けて希望の持てる、政策づくりを心掛けていきたいし、職員にもそういう姿勢で取り組んでもらいたいと思っています。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
ちょっと聞きづらい質問をあえて伺いたいのですが、総合5か年計画については、知事が2010年に知事に就任されたときには、前の村井県政の中期計画を引き継ぐ形でしばらくやって、今回2期目を作ろうというところで、知事としても非常に思い入れが強いところなのかなと推測するのですけれども、知事として学びを打ち出す方向で5か年を作りながら、走りながら、新年度計画を、予算を、たてていらっしゃるのか、その辺の知事の意気込みとしてはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。当初知事に就任した時は、村井知事の時代に作られた計画を受け継いだわけです。県の総合計画はご承知のとおり県議会の議決を要する計画になっていますので、知事の思いだけで作るわけではないという中で、それは私としては、県民の皆さま方の思いとしてしっかり引き継がせていただき、実行してきました。その後、しあわせ信州創造プランを策定して今日に至っているわけですけれども、例えば、確かな暮らしが営まれる美しい信州というのが今のしあわせ信州創造プランの基本目標にしていますけれども、確かな暮らしという思いとか概念自体は当初知事になる時から県民の皆さま方に訴えてきた話でもあります。そういう意味では今後の計画においても、先ほどの事業レベルの話とも重なりますけれども、単に意味が分からないけれど引き継ぐということはもうあり得ない話だと思いますけれども、目的や意義がはっきりしているような政策の方向性については、引き継ぐべきものは引き継いでいく、継続させるものは継続させるということが重要だと思っています。その反面、私も知事としてもう既に7年間も仕事させてきていただいていますので、そうした経験の中で新しい視点というものも明確に打ち出していきたいと思ってます。そういう思いの中で今考えているのが、ご質問にもありました学びということですので、まだ検討途中ですけれども、県民の皆さま方により分かりやすいメッセージ性がある計画になるように、これからの策定作業しっかり進めていきたいと思ってます。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
働き方改革で決裁の簡略化について、県庁の皆さんにインタビューしてみると通称スタンプラリーと呼ばれていて、こんな無駄なことやっているんだというか、若ければ若い職員の方ほど、これは無駄だろうという、ものすごいこう雰囲気が変わり始めているような印象も受けるのですが、こうやって具体的な形として今日出てきたわけですけれども、知事として若手職員のプロジェクトチームの皆さんの取り組みについて、今段階での受け止めと言いますか、印象をお願いできませんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
はい、先ほども部局長会議でも言いましたけれども、若い人たちの提案を直接部局長会議で、私はじめ県の幹部がいる中で提案してそれを実現していくようなことができることは、私は非常に嬉しく思っていますし、ぜひこれからも頑張っていろいろな提案を出してもらいたいと思っています。例えば決裁のあり方についても、私もどんどん簡素化すべきだと思っています。ただあの、形式的なところだけ見るのではなくて、先ほどの部局長会議でも申し上げましたけれども、例えば情報共有という意味もあって、多くの人たちに見てもらっているという意識を持っている職員もいるわけで、そういう情報共有のあり方についても、別途、しっかり検討していく必要があるだろうと思っています。そういう意味で、まだプロジェクトチームの提案、今回は会議室とそれから決裁と2点になりますけれども、ぜひもっと幅広く、大胆な提案をしてもらいたいと思っています。これから多くの県職員がもっともっと意見を出して、風通しの良い職場環境の中で、更に仕事改革が進んでいくことを期待していますし、私としても後押しをしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
「子どもを性被害から守るための条例」に関連した、子ども・若者育成支援強化月間の取組で、ちょっと1点だけなのですが、こういう取組をやること自体、その条例を作ったままでなく、中身のある取組を継続的に、条例を生かしていくという仕組みだと高く評価するものだと思うのですけれども、昨年度は、11月に処罰規定が施行される中で若者の皆さんに知ってもらおうということで、県から県教委に対して学校の先生に職場で、子ども・若者に対して説明しもらうという機会を持って、それは私も現場を取材させていただいて、非常に良い取組だなと感じました。つまり、いろいろなところで教員のわいせつ事案が起きる中で、教員が自ら、子どもを大人が騙したり、脅したり、困惑させたりして、性交渉ないしわいせつことをすること自体がいけないことなんだと説明する行為自体に非常に価値があるのではないかということを感じましたので、今年については、2年目ということで、やるかやらないか分からないのですが、そういった取組って考えられないものでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。私も同じ思いですね。担当課ではそういう取組は考えているのでしょうか。私も基本的に、今ご指摘あったように、学校の先生が、自らの言葉で語ることにいろいろな意味があるだろうなと思います。これはいろいろなルートを通じて、子どもたちや、あるいは、子どもたちの周囲にいる人たちにも伝えていかなければいけないので、そこはいろいろ工夫をしていきたいと思いますけれども、学校に対してのアプローチっていうことについて、今考えていることってありますか。
次世代サポート課課長補佐兼次世代育成係長 原昌英
学校に対する性被害の防止の取組というお尋ねですが、11月の強調月間の中では、特にインターネットの関係で、インターネットカンファレンスを実施しまして、11月3日に東京での全国大会であるとか、あるいは、インターネットの適正利用に向けて教育長とPTAの代表との連盟による協働メッセージ、こういうものを12月に発出するという予定は聞いています。教育委員会の取組につきましては、また調べさせていただきまして、別途回答させていただきます。
長野県知事 阿部守一
私から教育長に話します。そういうことを一緒にやれないかということを伝えて、検討していくようにしたいと思います。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
メルシャンのワインの関連で2点なのですが、これはちょっとメルシャン側に聞くべき話かもしれないのですが、日米EPAが2019年に早ければ発効する中で、ワインの関税撤廃が始まる。県の農政部としてEPA発効の影響とかっていうのを、今段階で検討してらっしゃるのかなっていうことと、あともう一つはちょっと提案というかですね、どうせワイナリーを造るならキリン本社を長野県に、石川県が製造業のコマツの本社移転を誘致してきたように、何か本社機能を長野県に持ってくるとか、そういう取組というのも検討してみたらよいのではないかと感じたのですけれど、いかがですか。
長野県知事 阿部守一
EPAの話は農政部からお答えしますが、本社機能の話は、常に私もいろいろな人たちに、いろいろな話をさせてもらっています。今回も、ワイナリーだけではなくて、もっといろんな機能があるといいなとも思っていますけども、ただ、今回メルシャンの取り組みは、私も勝沼のワイナリーに行った時にも長野県にワイナリーを作ってくれませんかっていう話もさせていただいた経過もある中で、一度に2カ所、桔梗ケ原と椀子(マリコ)と設置をしていただけるということで、まずは大変そのこと自体で大歓迎でありがたいこと、と思っています。企業の本社機能の移転についてはもちろん、これからも引き続き、取り組んでいきますけれども、長野県のコンセプトに合った、企業あるいは長野県の価値感を共有していただけるような、企業の皆さま方を中心に、引き続き、いろいろな機会を通じて、働きかけていきたいと思っています。
園芸畜産課長 丸山秀樹
EPAとワイン振興との関連ですけれども、今のワインにかかる関税については、1リットル当たり125円または15%のどちらかという形になっていると思います。そういたしますと、比較的、私どもで生産する日本ワインについては、価格レベルは少し高めのものを設定して、生産振興していますので、そうした点からいくと、輸入の関税そのものはそれほど、大きな比重は、影響はそれほど示さないのかなと考えています。私どもについては、2,000円、3,000円、4,000円のワインをいかにお客さまに買っていただくのかということでの、基本的な品質の向上と、お客様への模範づくり、そういったことでしっかり、地元のワイナリーを支えていく、そういった取り組みをしていきたいと思います。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
最後に1点だけすみません。地方創生の推進交付金についてなのですが、採択額を信濃毎日新聞で集計したところ、都道府県ごとに非常に大きな開きがあって、開きがあること自体がどうだという話でもないのですけれども、そういった事態について知事としてどう受け止めていらっしゃるかについて、お願いできませんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私も新聞記事で拝見をさせていただいたのですけれども、これは都道府県分の比較になっていて、かつ独自取材されて、国で公表してない数字も含めて、比較されているので、この順番自体に対してどうこうっていうのはなかなか申し上げづらいところもありますが、2点申し上げたいのは、一つは、とはいえ長野県分は少ないよねと思います。これは、率直に受け止めなければいけないと思います。受け止めなければいけないというのは、われわれ長野県として、より積極的に交付金を活用するという視点を持っていかなければいけないと思っているというのが一点です。もう一点は、ここのデータからは、市町村分が除かれていますが、内閣府の方で平成28年度と29年度の地方創生推進交付金の新規採択分の事業費を公表していますが、これを見ると、長野県の市町村分は全国の中で2番目に多い、という状況になっていますので、そういう意味では、都道府県分、市町村分を合わせると、実は全国の中でも、比較的多く、交付金をもらっている県でもあると思っていますので、むしろ市町村分については、大分各市町村は頑張って、この交付金を活用しているということも、お伝えしておかないといけないなと思っています。
信濃毎日新聞 竹内啓太 氏
森林税についてお伺いしたいと思います。説明会が4回これで終わったかと思うのですが、 4会場でさまざまな意見が出ていたと思うのですけど、基本方針案について、大幅な見直し等は考えていらっしゃいますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず、何を大幅な見直しというかっていうところがありますけれども、私も松本会場それから長野会場に出席させていただき、県民の皆さま方から直接の考え方をお伺いさせていただきました。長野会場で申し上げましたように、その場でも、若干やりとりはさせていただいていますけれども、いただいたご意見をしっかり整理した上で、今回の基本方針案について、見直すべき点があるかないか、ということについては、改めてしっかり判断していきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございました。
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