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更新日:2017年9月22日
長野県知事 阿部守一
それでは、今から会見を開きます。よろしくお願いいたします。(手話で表現)
私からは冒頭二つお話を申し上げたいと思います。
本日から9月定例県議会が始まりました。予算案、条例案、重要な議案もお出しさせていただいていますので、県議会には十分ご審議いただいた上で、それぞれご議決いただきたいと思っています。その中で、皆さま方にお配りをしていると思いますけれども、森林づくり県民税についてです。森林づくり県民税に関する基本方針案を取りまとめて、今日からパブリックコメントをさせていただきたいと思っています。
これまで森林づくり県民税については、さまざまな場でご議論いただいてきました。「みんなで支える森林づくり県民会議」、「長野県地方税制研究会」、あるいは県民の皆さま方のアンケート、こうしたものを踏まえて、今回の方針案を取りまとめさせていただきました。基本的には提案説明でお話をさせていただいたとおりです。私自身は超過課税することに対しては、相当程度慎重に考えなければいけないと思っていますので、税制研究会からの要請にもありますように、改めて、ゼロベースで検討させていただきました。その際に、やはり超過課税を行うからには、本当に必要な事業があるのかというところから検討させていただき、われわれとして、こうした事業を積極的に進めていくべきではないかという事業を洗い出しました。その上で、われわれが積極的に進めるべきと考える事業を全て行っていく案と、それから、税制研究会では、税率の引き下げということも、言及されていますので、残っている基金を活用して税率を一定程度下げていく案。あるいは、そもそも止めてしまうという案。さらには一度休止するという案の四つのケースについて検討させていただきました。今回の基本方針はそれらのケースについてもお示ししていますので、こうしたことも含めて県民の皆さまからのご意見をしっかり伺いたいと思っています。私としましては、今後5年間、これまでと同じ税率によって、超過課税をさせていただくという形が、最も適当であると判断させていただき、その案を今回の方針の結論とさせていただいているところです。
われわれが想定している事業の側で申し上げれば、防災・減災等の観点で必要と考えられる森林整備。森林が混みあっていてかつ、危険度が高い地域の森林の整備であったり、あるいはこれまでは森林税で対応してきていませんけれども、河畔林と呼んでいる河川周辺の森林整備が必要。近年の災害を見ると、流木が非常に多く出てきているということで、こうした河畔林の整備も、緊急に対応するべき必要があると考えています。また、「里山整備利用地域」ということで、今も条例上の仕組みとしては、そうした地域指定を行えるようになっていますけれど、県民の皆さま方が、里山を活用していくことを考えたときには、この「里山整備利用地域」を広げていくということが重要だと考えています。
また、森林税は何に使われているのか分からない、使途がよく分からないというご意見もある中で、やはり「木と森の文化」を進めていくという観点から、公共サインの木質化であったり、あるいは子どもの居場所となる児童センター等の木質化であったり、そうした県として取り組んでいかなければいけない政策の中における木の文化というものを広めていく上での取り組み。さらには、森林は多面的機能を有しているわけですけれども、これまでの森林づくり県民税は、林務部の視点、林務部が考えていることを実行するというような、林務部の視点のみを基本に組み立ててきましたが、新たな取り組みに対して期待される声が、県民会議からも、あるいは県民アンケートからも、数多く寄せられている中で、もっと多様な活用を考える必要があるのではないかということで、観光の観点であったり、あるいは教育の観点であったり、こうした観点での森の活用ということについても、今回考えさせていただき、お示しした案では、こうした県民の皆さま方の多様なニーズにも応えるものにしていきたいと思っています。
税制研究会からは、重要なご指摘を何点もいただいていますので、そうした点については、それぞれ相当真摯な検討を行わせていただいた上で方向付けをさせていただきました。例えば市町村支援金についても、私どもが今適当と考えている案では、これまでの年間1億3,000万円を3割程度引き下げるという形にさせていただいていますし、その他の点についても、それぞれ検討させていただいた上で、必要な制度の見直し等を行っていくという形にさせていただいています。本県は県土面積の8割が森林という森林県です。現時点では、本県を除いて、36府県が同様の税金を府県民の皆さまから頂戴して、森林整備に充てているという現状の中で、私ども長野県も、立ち止まることなく、しっかりと前を向いて進んでいくことが、先人たちが長い間築いてきたこの森林資源をしっかりと次の世代に引き継いでいく上では不可欠だと考えています。
こうした考え方を今後県民の皆さま方へ広くお伝えさせていただいて、来年度以降の森林づくり県民税のあり方について、ご意見をいただきたいと思っていますが、私としては、今申し上げたような観点での、従来と同じ税率で、5年間森林づくり県民税を課税させていただきたいということを、県民の皆さまに訴えて、ご理解を得ていきたいと思っています。今後、県民説明会あるいはパブリックコメントを行っていきます。その上で、私どもとしての最終的な判断を行っていきたいと思っていますので、どうかよろしくお願いいたします。
それからもう一点ですけれども、これもプレスリリース資料をお配りしていると思いますけれども、勤務時間のインターバル制度である「勤務間インターバル制」の試行を実施するというものです。お手元に資料をお配りしていると思いますけれども、働き方改革ということが日本全体の課題になっている中で、私ども長野県の組織も朝型勤務等を取り組んできました。職員が生産性の高い仕事をしていくことが県民の皆さま方の利益、あるいはサービス向上にも繋がっていくだろうという考え方から、今回本庁のみですけれども、「勤務間インターバル制」の試行を行っていきたいと考えています。要するに仕事が終わってから、次に翌日働き始めるまでの時間を一定時間確保していこうというものです。これにつきましては、民間企業に対して導入の努力義務を課した、働き方改革の関連法案が国においても検討されているところですけれども、本県におきましては、国あるいは、他の都道府県等に先んじて、まずは独自に試行的に実施をして、課題等があれば、それらを整備していきたいと思っています。時期につきましては、10月から12月までの約3カ月ということです。勤務時間から勤務時間の間を11時間確保するということを原則に取り組んでいきたいと考えています。EUと同じような考え方、EU基準ですけれども、長野県の基本的な勤務時間は朝8時半からという形になっていますので、やむを得ず夜9時半を過ぎて超勤を行うような場合においては、遅出勤務を活用してもらって、11時間を過ぎたのちに出勤してもらうという形で取り組んでいきたいと考えています。職員の健康増進を図るとともに、生産性を向上させていく上の一つの取り組みということで、チャレンジしていきたいと思います。いろいろ課題も出てくるかもしれませんけれども、そうしたことを一つ一つ検証しながら、働き方改革においても長野県として先駆的に取り組みを進めていきたいと考えています。私から以上です。よろしくお願いいたします。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
森林税の関係で、今知事の方からご説明がありました、もっと多様な活用を考える必要があるということで、今回のメニューを見ると、かなり幅広い事業に活用していくという印象もあるのですが、税を2008年度に導入した当時は、里山の整備がなかなか進まないということで、間伐なりを集中的に進めるという狙いがあったと思うのですけれど、現在の姿とすると、かなり方向性も変わるのかと思うのですが、知事は現状の森林税というのは、やはり里山整備に限定しすぎていたというような印象はお持ちでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これまで里山整備ということで行ってきましたけれども、里山整備といっても里山もいろいろな里山があります。先ほど申し上げましたように、今後も里山整備はしっかり行っていく必要があると思っていますけれども、しかしながら、超過課税まで行って、森林整備を行っていくわけですから、何となく里山だから整備しましょうということではいけないだろうと思っています。そういう意味で、例えば防災・減災、これも例えばレーザー測量等を行ってきていますので、そうした科学的知見を用いて、緊急性の高いところをしっかり重点的に行っていきたいと思っていますし、また県民の多様なニーズということで、例えば県民のアンケートであったり、あるいは「みんなで支える森林づくり県民会議」からのご提案でも、かなり狭い、言い方が悪いですけれど、林務部だけの視点で今まで森林整備を行ってきましたけれども、実は観光面でも、あるいは今信州型自然保育を長野県として全国に先駆けて、森のようちえんを進めようということで取り組んでいますけれども、そうした子どもたちの教育の場としての森林であったり、いろいろ多面的機能があるので、林務部の視点だけでやっていくことは、いささか視点が狭すぎると私自身も感じています。そういう意味で、使途、使い方については、税制研究会からもおっしゃっていただいているように、より明確になると思います。より明確にはなりますが、一方で、林務部の視点だけではない、県民から見たときには森林をどう使うかというのは、別にわれわれの林務部の視点だけではありませんので、むしろ観光地に行ったときに森林がすごく整備されていて景観がきれいだな、あるいは子どもたちが学ぶ場として使っていく、例えば学校林であったり、あるいは信州やまほいくのフィールドであったり、そうしたところが整備されているということこそが県民の皆さま方の期待に応えられる方向だろうということで、今回その部分については、これまでとは違う施策、事業、こうしたものも対象にしていきたいと考えています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
確かに、これまで森林税は県民のアンケートとかでも、何に使われているか分からない、なかなか使途が見えないというか、なかなか県民が実感できない部分があったと思うのですけれど、こうした形で、林務部だけの視点ではない形で施策や事業を打ち出していくことで、その辺は知事とすれば一定程度そういった県民の理解というのが、もうちょっと周知なりは進むというふうにお考えですか。
長野県知事 阿部守一
私はそのように思って、この案がいいだろうと判断させていただきました。私も林務部とずっと議論させてもらって、確かに林務部が考えている森林整備はもちろん重要です。重要ですけれども、それにいろいろな視点を入れていかないと、「木と森の文化」を作ろうという長野県の思いというのは県民の皆さまに伝わっていかないと思いますし、むしろ森林整備にいろいろな関係者の皆さんを巻き込んでいくことがこれからは重要だと思っていますので、そういう意味でこうした方向性については、これからの県民の皆さま方のご理解を得ていく段階ではありますけれども、しっかりとご説明して、理解を得るようにしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
今回、取り組みの中でも森林税の評価、検証というのもあって、これまでも県民会議等が税の活用する事業については毎年度検証されていたと思うのですけれど、知事が思い描いているような新たな検証とか評価の仕組み、どう評価していくかというのがあれば教えていただければと思うのですが。
長野県知事 阿部守一
一つは、まず、今も申し上げましたけれども、今までは予算はすべて林務部の予算だったので、林務部と総務部の話で何となく事業が進められた状況ですけれども、今回、森林税を原資としながらも林務部の視点ではない政策もかなり入っています。そういう意味で、まず庁内の体制としても関係部局がしっかりと森林税を県民の皆さま方に説明できるような使途を考えていくということはこれまでと大きく変わってくるだろうと思っています。庁内の組織を新たに作って部局横断で事業の精査とか事業成果の検証を行っていきたいと思っています。それから県民会議等でも、これまで事業の評価等を行っていただいていますけれども、これまで以上に幅広く県民の皆さま方に事業の内容をお知らせさせていただきながら、よりいろいろな分野の皆さんのご意見が反映できるようにしていきたい。県民会議の検証機能も強化するように考えていきたいと思っています。税制研究会から説明責任を果たせということが大きな論点として強く求められてきたところですので、事業自体がこれまでのように、ふわっと里山整備ということではなくて、「里山整備利用地域」であったり、あるいは防災・減災のために科学的知見に基づいて精査したエリアの整備であったり、そうしたことに重点化していく形になりますし、支援金について、これからは市町村にもしっかり説明責任を果たしてもらいたいと思っていますので、かなりいろいろな部分でこれまで以上に県民の皆さま方への説明責任を果たしていくようにしていきたいと思いますし、そうした体制に切り替えていきたいと思っています。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
勤務間インターバル制に関してお伺いしたいのですが、今回のこの勤務間インターバル制は知事も参加するという認識でよろしいのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私は特別職なので勤務時間の縛りがかかっていないので、私は制度の対象にはならないのですけれども、私が残っていると県職員が残らなくてはいけなくなる事態が生じるので、なるべくそうならないように努力していきたいと思っています。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
知事ご自身は11時間インターバルが空かないような勤務はこれまであったのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
あんまりないです。議会の一般質問のときとかは遅くなるときもありますけれども、また外に出ているときはいろいろあるかもしれませんが、庁内で遅く残って11時間空かないということはほとんどないと思います。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
衆議院の解散が25日にも表明されるというような情勢になってきていますが、安倍首相は消費税の争点化というのを進めていると思います。2019年10月の消費増税は地方消費税にもかなり大きな影響を与えると思いますが、2019年10月に予定されている消費増税に関して知事がどう考えているかということと、消費増税の争点化で消費増税が厳しいような情勢になってきた場合に県の財政に与える影響等どうご覧になられているか教えていただきたいのですが。
長野県知事 阿部守一
まだ解散総選挙自体が決定した事項ではないのでどこまで申し上げていいかというのはありますけれども、消費税についてはご承知のとおりで地方消費税分とそれから地方交付税として算入される部分と両方で地方税の財源になっています。そういう意味で、われわれ地方公共団体が仕事を進めていく上での消費税というのは、非常に貴重な財源だと思っています。消費税を10%に引き上げた段階での使途をどうするかということが、もう一回検討されるかもしれないという報道をされている状況ですので、われわれとしては相当関心を持って方向性を見ていかなければいけないというのが今の率直な思いです。まだ具体的にどうこうという話が出てないので、それ以上はなんとも申し上げようがありませんけども、重要な地方財源であり、かつ、例えば交付税では臨時財政対策債という形で、本来地方交付税で配分されるべきものが借金に振り替えられているというような状況でもありますので、地方公共団体としては今後消費税をどういう方向で政府が使っていくのかということについて重大な関心を持って見ていかなければいけないだろうと思っています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
森林税についてお伺いしたいのですが、防災・減災に関する森林整備ということであれば、その必要性とか急いでやる必要があるという理解はなかなか得やすいのかなとは思うのですけれども、それ以外の部分については必要性という意味では確かに必要かなとは思うのですけれども、超過課税をしてまで急いでやる必要があるのかというと異論もあるのかなと思うところなのですが、そこについてはどのようにお考えになっていますか。
長野県知事 阿部守一
皆さま方にもケース1、ケース2、ケース3、ケース4と4通り、それから休止した場合をお示ししています。もちろん超過課税に反対だというご意見もないわけではないと思っていますし、われわれも引き上げ、引き下げいろんなケースを想定しましたので、絶対にこの選択肢が排除されるという話ではないだろうと思っています。ただ、防災減災面でも河畔林の整備のようにこれまで対象にしていないものを新たに加えさせていただいていますが、こうしたものについては緊急に対応する必要があると思っていますし、また最近の状況を見ると里山整備もNPOとか多様な県民の参画が後退している方向になっています。むしろせっかく「里山整備利用地域」という制度を県の条例上持っていますので、森林税を活用してそういう仕組みを活用して多くの県民の皆さま方が里山の整備に主体的に参画してもらうことを通じて、長野県の森林整備を進めていく必要があるというのが、私どもが今考えている内容です。あとは学校林の整備であるとか子どもの居場所となる場所の木質化とか、他の視点のものもありますけれども、そうしたことを考えると、ケース3で例えば税率を100円引き下げると毎年1億数千万は減収になるのですけども、それで例えば緊急性の高い防災減災とか住民の利活用の部分だけに限っていくのではなくて、県民の意見を伺うと、より幅広い視点での森林整備が必要だと、多様なニーズがあるということにかんがみて、今回はここで言っているところのケース2の従前通りの税率案ということが適当だと判断させていただいています。もちろん他のケースでまったく成り立たないという話ではないので、そうしたことも含めて、ご意見をいただければありがたいと思っています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
今おっしゃった、防災・減災以外の部分については、一般財源で賄うというのはやはりなかなか難しいことなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
その部分は、私が最初に説明しなければいけないところですけれども、税制研究会では、他の財源がないのか、超過課税をせざるを得ないのかということについても、しっかり説明するようにとご指摘をいただいています。そういう意味で、まず申し上げなければいけなかったのですが、ここに掲げている事業は基本的に財源措置がないか、あるいはあっても極めて不十分なものに限定しています。森林整備であれば何でもかんでもこの事業として拾い上げている訳ではありません。このことについては、基本方針の別紙をお付けさせていただいていますけれども、それぞれの事業ごとに全部、財源という欄があります。例えば、2ページに河畔林の整備と書いてありますけども、河川区域内は今まで県の単独事業でやってきていますけれど、河川区域外になる民地は、縦割りになっていて申し訳ないのですけれども、いわゆる河川管理者としての建設部が行ってきていない所です。また、そうしたものを整備する国の補助金もありません。以下、それぞれの事業も財源があるのかないのかということについて検討させていただいた上で、進める上では財源確保が求められるだろうというもののみをここに掲げています。加えてこの方針の6ページの県の財政状況というところで書かせていただいていますけれども、まず一つは県としても、これまでの期間、行政財政改革方針等を定めて、相当、職員の削減や事務事業の見直しを行ってきています。また更に今回、こういう形で超過課税をお願いしていく立場ですので、一層の行財政改革に取り組んでいく必要があると思っています。加えて、6ページの一番下に書かせていただきましたけれども、林務部のいわゆる造林事業は、国の補助金とそれから地方負担分については地方交付税で地方財政措置がされていますけれども、森林税導入後、地方財政措置とわれわれが取り組んでいるものの一般財源の充当の仕方を比べると、必ずしも十分交付税措置がされてない。要するに交付税措置をされているものを上回って森林整備に一般財源をわれわれは充ててきていますので、そういう意味では、超過課税をすることなしに、今回掲げたような事業に一般財源を回していくのは、現時点ではなかなか難しいと判断しています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
分かりました。非常に丁寧に説明をしてもらったとは思ってはいるのですけれども、人の見方によっては、これまで基金残高は盛んにマスコミに報道されてきて、余っているにもかかわらず、税収を充てていく事業の対象範囲を広げるのかっていう批判も私はやはり一部で出てくるのかなという気はしています。そういう行為についてはどのようにお答えしていくつもりですか。
長野県知事 阿部守一
基金が余っている、余っていると一面的に捉えられることに対しては、私はいささか違うだろうと思っています。私どものこれまでの示し方も、必ずしも適切ではなかったのではないかという気もしますけれども、そもそも今の2期分の財源は来年度も入ってきます。来年度も約1.1億円の収入がありますから、仮に、これから超過課税を行わないとした時も、当然、来年は財源がありますから、来年も事業は実施します。全然、使い切らないで止めてしまうと話ではないですから。それを考えると、今回の基金制度をとっているというものも、相手はやはり森林ですから、自然を相手にする部分もありますので、そういう意味で年度間の財政調整も一定程度必要だということで基金での調整をしていく。これからもそうしていきたいと思います。そうすると今年度末の時点で約4.9億円の基金残高を見込んでいますけれども、これが全部無駄だったから余っているということではないと思っていますし、今回、大北森林組合の問題等もあり、意図的に執行を抑制した部分もあります。大北森林組合の問題の一つは過度な目標設定をして、それを是が非でもやり抜こうという、ある意味、真面目な意識が働き過ぎたということもあって、あのような不適切事例を招いてしまったということもあります。要するにお金があるから事業をやるという発想ではいけないということで、一時、事業についても意図的に抑制させていただいた部分もあります。必要性がないからお金が余っているということでは、全くありません。そういうことを考えた時に、やはり今後のことを考えると、2期分として課税をさせていただき、税収としてあがっている部分については、今回の案では3期分として、これまでの2期分の目的とは違わないような形で活用させていただきたいと思っていますし、そのことについてはこの方針の中でも考え方をしっかり記させていただいていますので、このことについてもわれわれからは十分ご説明をさせていただいた上で、ご理解を得ていきたいと思っています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
税額の引き下げ、かなり真剣に検討されたようですが、最終的に引き下げを見送った理由を改めて教えてください。
長野県知事 阿部守一
私の一番の思いとすれば、先ほど申し上げたように、仮に400円という形にした時には、なかなか県民の皆さま方の期待に応えにくい、もちろん全く応えられないという訳でもないと思いますけれども、学校林の整備であったり、山保育のフィールド整備であったり、そうした多様なニーズに応えにくい案になってしまうと考えていますので、そういう意味で従前どおりの税率が適当と判断させていただきました。
市民タイムス 赤羽啓司 氏
私も森林税についてお聞きします。少し理解していないところもあるかもしれないのですが、さっき知事がおっしゃっていた4ケース。その4ケースのところの、ケースごとの比較表というところに、ケース1は必要事業全て実施する場合、おおむね48億9,000万円程度が必要。その内、従前の税率で実施可能な事業を実施する場合っていうのは39億1,000万円となっている。で、知事はこのケース2を今回選択したかと思うのですが、単純な疑問として県が必要だと思っている事業は48億9,000万円ありますが、知事は今回39億1,000万円を選択したしました。ということは残り10億円分はどうするのですかという単純な疑問があるのですが、そこはどう考えてらっしゃるのですか。
長野県知事 阿部守一
そこが私も重要な話だと思います。先ほど申し上げたように超過課税を検討する上で、事業が何もない、何も必要性がないことに対して、税金を頂戴するということは基本的にあり得ない話です。そういう意味で、まずこの方針の大きな3のところにあるように、今後の森林づくりの方向性ということで、具体的な事業も想定しながら、ここでいっている必要な事業とは一体何なのかということについて検討しました。その上で、他方で、税金をいただくかいただかないかという話ですので、その当該事業をやるとすれば、どれぐらいの税率でお願いをしなくてはいけないのかということを検討させていただいて、その上で、各ケースの比較検討をさせていただいたという形になっています。そういう意味で、私どもとしてはこのケース1を実行していくことが望ましいと思っています。ただ、ケース2の場合をご覧いただくとお分かりのように、一定程度、例えば「里山整備利用地域」などは、実施面積を狭めて実施をしようという形にさせていただいています。もとよりこれで十分事業ができるかどうかというところはありますけれども、私の感覚は、税金をいただく以上はやはり内輪でもらうべきだと思っています。少し言い方が変ですけれども、ここがわれわれ必要だというところでも、そこの限界のところまで超過課税でご負担いただくということではなくて、先ほど申し上げたように、これからわれわれはさらに行財政改革を行っていかなければいけないと思っていますので、片方ではわれわれ自身も、税源捻出に努力をしながら、しかしながら一方で超過課税ではここまでの成果はしっかり出していきたいということでお示しをさせていただいているところです。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
私も森林税についてですが、情報が不正確だったらすみません。2008年度に始まった森林税はもともと2004年から始まっているアクションプランを実現する財源として始まって、知事もしきりにその「森林県」から「林業県」へという言葉を使っていらっしゃいますが、当時の村井知事も、同じ路線で林業として成り立つ県、地方創生を先取りする形でやってきて、ちょっと基本方針案をまだ読み切れていないので、もしかしたら言及があるのかもしれないのですが、今、大北森林組合の問題で宙に浮いていますが、そのアクションプランの位置づけはどうなるのかとか、アクションプランには「森林県」から「林業県」へ長野県がなるためにはバックキャスティングの手法でこれだけやっていこう、それで予算消化していったら、大北森林組合みたいな事件が起きたわけですが、森林税の継続を打ち出す前に、アクションプランがどうなっているのと、林業県としてのビジョンはどうなっているのかということを示すべきではないのかなとも感じたのですが、いかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
なるほど。私も、全体的なビジョンはしっかりと作るべきだというのは、基本的にそうあるべきだと思います。今県としては並行して、新しい総合計画も作っているという段階ですので、そういう意味で、「木と森の文化」を作っていくという全体像について、なかなかお示し切れていないということについては、それは謙虚に受け止めなければいけないと思います。今回、森林税をどうしていくかということを考えた時に、これまで10年間取り組んできた成果を踏まえて、われわれとして、県民会議であったり、県民の皆さんのご意見であったり、そうしたものを踏まえて考えると、こうした5年間の事業実施が必要だということで出させていただいています。この森林税活用事業以外も含めた大きな方向性については、総合計画の策定等とも合わせてしっかりとお示しできるようにしていきたいと思います。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
アクションプランはどうなる予定とかという考えがあればなのですが。
長野県知事 阿部守一
今、林務行政は大きな転換をしなくてはいけないと思っています。先ほども言ったように、今回の森林税事業は相当、林務部の視点以外のものも入れています。今までは、森林整備と言えば林務部の事業だけということになっていましたけれども、これから林務だけではない、林務だけの視点ではない森林整備もしていかなければいけないと思っていますので、そういう意味で大北森林組合の反省も踏まえつつ、そして多様な県民ニーズに応える森林整備をどうしていくかということと、それからこの森林税の話は、いわゆる林業のところは基本的にカバーしていない話ですので、林業振興、それから、保安林の整備等も含めた、いわゆる治山事業的な部分も含めて、全体的な方向性を考えていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
細かいところなのですが、やまほいくのフィールド整備については、2017年度当初予算でも県民文化部からフィールドの整備まで含めてやろうという話を予算要求段階であげていて、県としては非常に財政状況が厳しい中で人件費補助に絞って、やむなく削った経過があると思うのです。ちょっとまだ質問として適切かどうかは悩みながら話すのですが、たしかにやまほいくは山の中でやるので、そのほとんど森に関係する話なので、フィールド整備で支障になることはないと思うのですが、そうはいっても山に関係ない事業ができないといいますか、財源が森林税であることによって、そのフィールドの整備が縛られたりしないのかなという懸念というのか、県庁内で議論されているというのはないですか。
長野県知事 阿部守一
森林税を活用するので、基本的には森林整備あるいは森林内でのいろいろな施設整備ということが中心にならざるを得ないだろうと私も思います。ただ森のようちえん、保育園は必ずしも森林だけではなくて、農地とかいろいろなフィールドがあり得るので、そこは、今までは全く財政的な手当てをすることができない状況ですけれども、この森林税をこういう形で活用することを県民の皆さまにお認めいただければ、少なくともその部分については財源ができますので、仮にプラスアルファの部分が必要だということになれば、それはそれで別途検討が必要なものも場合によってはあるかもしれませんけれども、本県の場合は、ほとんど森林だとは思っていますので、少しそこは周辺的な論点なのかなと思います。
信濃毎日新聞 竹内啓太 氏
第2期では、国の急な制度変更によって、基金残高が積み上がったという背景もあったと思うのですが、柔軟な体制をとっていくということに書いてあるのですけれど、具体的にどのような体制を、第3期ではとっていかれますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先に県民会議のあり方の話もさせていただきましたし、庁内の検討体制もしっかり作っていきたいという話もしました。これからは、活用が林務部の視点だけではなくなりますので、そういう意味では、事業進捗の状況の共有や事業の検証というのは、今まで以上に全庁的な視点で行っていくことになります。そういう中で、国の制度変更等についても、林務の事業に限らずいろいろ出てくる可能性があります。先ほど申し上げたように、今回の事業は基本的に国の財政措置がなかったり、あるいはあっても極めて手薄なものになっていますけれど、場合によっては国が財政措置を新たにすることも出てくる可能性はあるので、そのときは柔軟に対応していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 竹内啓太 氏
県民アンケートで7割は賛成という一方ですね、7割が使い道を知らないっていう結果だったと思うのですが、現状のままの活動をしていても、この7割という数字は10年やってきて、上がってきていないと思うのですけれど、第3期ではどのような、更なる活動展開をされてますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今回の事業の中にも森林政策の理解を深める普及啓発みたいな部分の財源も、一定程度確保させていただくようになっています。もちろんそういうこともやって、県民の皆さま方に市民税の使途だったり、現状だったりをお伝えしていくという努力が必要だと思っています。それと同時に、私はやはり知らせるだけのお知らせでは県民の皆さんの気持ちというか、心には届かないと思っていますので、そういう意味では、先ほどから申し上げているように子どもの居場所であるとか、あるいは観光地の標識の木質化であったり、学校林の整備だったり、そういうことを通じて、お子さんがいらっしゃる方々であったり、あるいは観光関係者の皆さまであったり、今まで森林税は森林関係者のものみたいな感じでしか受け止めていなかった方には、今回の方向性はかなり具体的な形として伝わっていくだろうと思います。これまで普及も林務部を中心に頑張ってやってきていますけれども、他の部局もしっかりやっていかなければいけないので、われわれからのアプローチの仕方は相当広がっていくだろうと思いますし、またそうしたことを通じて、しっかり県民の皆さまにお伝えをしていかなきゃいけないなと思っています。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
基金のところがよくわからないのですけれども、これは来年度当初で6億円積み上がるのですが、これは第3期で活用するということなのか、そのまま積み上げていくということなのか、これはどちらなのですか。
長野県知事 阿部守一
すみません、少しわかりにくい表現になってしまっている部分もあるかもしれませんけれども、基金のところについては、今回の検討が、全く止めてしまうということも含めて考えたので、少しそこがわかりづらくなっていますけれども、止めてしまうときは2期事業として使わせていただくということです。先ほども言ったように、来年も1.1億円の税収も見込まれていますので、そういう意味では仮に3期は課税しないという形になれば、2期の事業としてこれまでの県民の皆さま方にお示ししてきた事業の使途として使っていくという形になると思います。それから、今回継続が適切と判断させていただいていますけれども、継続をしていくに当たっては、2期分として課税させていただいたものについても、今申し上げたように、新しい視点での転換をさせていくことに活用させていただくことが必要だと思いますので、この基金残高の部分については、新しい使途の中に組み入れていくということを基本にしますが、ただ、今まで県民の皆さま方に言ってきたことと全く違うものに充てるのではなくて、そこにも記載していますように、第2期事業が多面的機能の向上を目的とした里山事業を主体としていることを踏まえて、こうした趣旨に合致した里山整備に充当することを基本に活用するというかたちでということで、少し表現はわかりづらいですけれども、3期事業のうち里山整備等に充当させていきますということを申し上げているところです。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
つまり基金を取り崩していくっていうことですね。そういう理解でよいですか。
長野県知事 阿部守一
取り崩しといいますか、森林づくり基金でありますから、その森林税の使途としての事業に充てていくということです。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
年間どれくらい取り崩すということは決まっているのですか。
長野県知事 阿部守一
いや、年間どれぐらい取り崩すというのは、先ほどお示しの9ページのところに必要な税率が書いてあって、税収がそれぞれ書いてあって、その下に財源って書いてあります。ここの部分の財源というところには今ご指摘いただいた、基金の今年度分の残高見込みと、来年度入ってくる1.1億円の税収見込みが加わったのが財源というところですので、今回ここで先ほど私がご説明したような事業を行っていく上で、ケース1、ケース2、ケース3、ケース4、いずれも活用していくという形です。ケース4は活用ではなくて2期分だけやるという形になりますけれども、いずれも活用していくという形で考えています。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
財源が税収と一緒になっているので、基金がどのくらい使われるのかというのがわかんないのですけども、それはこれからっていうことなのですか。
長野県知事 阿部守一
これは、5年間で自主事業と財源にしていますので、年度間の割り振りは今の段階ではしていませんが、ただ4.9億円については活用していくという形での整理になっています。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
それは、6億円あるのですから、5年間でまるまる活用するということなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうです。基金の4.9億円と来年度入ってくる税収の1.1億円と見込んでいますけれど、それについては活用していきます。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
それから間伐なのですが、これはもともと目的の一つに防災・減災っていうのはあったわけで、特にこれは森林税のはじまった経過というのは、岡谷で大規模な土石流が発生して、それで緊急に間伐をして森林整備を進める必要があるということで村井知事の時に始まったと思うのですけれども、その間伐目標面積が、5年間で5,700ヘクタールということは、今まで年間3,000ヘクタールが目標ですから、この間伐目標を大幅に減らして、他の用途に使う、こういう解釈でいいのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
大幅に減らすというよりは、これまでの県民会議とか税制研究会の中の検証でも言われていますけども、だんだん集約して、間伐しやすいところが減ってきています。かつ、国庫補助制度も変わってきていて、一定程度の面積がないと国庫補助金が出ない。それが、事業進捗がなかなか進まなかった要因になっていますけれども、今回、われわれはまず防災面では先ほど申し上げたように、ロジカルというか、感覚的な話ではなくて、しっかり真に防災・減災に資するところについて、事業を実施していこうと考えています。これは限られた財源、県民の皆さま方からの財源を使うわけですので、そういう考え方をとっております。皆さんのところに資料編というのもお配りしていますか。資料編でいろいろな資料を相当丁寧に、県民の皆さま方にご説明しようということで、内部検討資料のようなものも含めて外にお出しさせていただいています。19ページのところに、上に表が書かれていると思います。山腹崩壊の危険度、それから保全対象からの距離に加えて森林の整備状況、こうしたもので対象とすべきエリアを定めて、そこの緊急度が高いところについて、防災・減災の観点での里山森林整備を行っていこうという形にしています。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
つまり間伐目標を減らして、重点化して、税の使途を多用途に広げると、一口で言えばこういうことでいいわけですね。
長野県知事 阿部守一
税の使途を多用途に広げるというよりは、その里山整備ももちろん、残っているところがたくさんあります。3ページにも書かせていただいたように、里山の森林6万8,000ヘクタール中、3万2,000ヘクタールまでこれまでやってきましたが、まだ3万6,000ヘクタール未整備で残っているという状況の中で、では3万6,000ヘクタールやるから税金くださいといえば、いくら税金があっても足りない話になってしまうので、そういうことを考えたときに、われわれとしては、やはり県民の皆さま方にご負担いただく以上しっかり説明ができるものにしていこうということで考えてきました。そういう意味で、19ページの枠の中に5,000ヘクタールと一番左上に書かせていただいているところは、これは保安林等で国庫補助も入れながら整備できるだろうと考えています。その次のランクのところは、なかなか財政措置もないので、県民の皆さま方の安全を守っていく上では、森林税を活用して整備を図っていく必要があるだろうということで、ここは1万3,000ヘクタールありますけれども、ただその中でも森林の状況が違うので、混み合っていないところを除くと9,000ヘクタール、そこを防災減災の観点では対象にしていこうというものです。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
だから結論的には間伐目標は減らすとこれはお認めになるということですね。
長野県知事 阿部守一
間伐の面積については、これまでに比べると林務部分は減っていますが、他の所をたしてどれくらいでしょうか。全体としては減っているのかな。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
間伐に林務部以外があるのですか。
長野県知事 阿部守一
ええ、観光地の整備など、林務部の観点以外の政策もあるのですが。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
観光地の整備って間伐ですか。
長野県知事 阿部守一
間伐も入ります。あと河畔林の整備とかも入るのですが、そういう意味では林務だけの統計にはならないですが、基本的には今までよりも絞られているということでいいですか。
森林政策課長 福田雄一
今の知事のお話少し補足をさせていただきます。まず4ページのところに、下の方のポツですけれども、第1期、第2期と比べると単位面積当たりの整備費用は増加すると書かせていただいています。これは先ほどから申し上げていますように国庫補助がなかなか付きにくくなったということもありまして、県単事業を増やすということを前提にしていますし、さらに言えば、搬出間伐を基本的に推進していくということになりますと、非常に費用がかかるということでして、第1期、第2期に比べますと単位面積あたりの整備費用というものは増加することを見込まざるを得ないということを前提にしています。ですから、今のお話で面積的な目標が下がるということは確かです。それは林務部以外の部分の間伐を加えてもやはり下がるものと思われますけれども、いわゆる整備面積を減らしたことによって財源を浮かせてそれを他に回すということではないです。基本的には同じ程度のお金はこの間伐、里山整備の方に使わせていただく前提であるとお考えいただければと思っています。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
その国庫補助事業なのですけど、税制研究会の報告では、本来独自の税である森林税を国庫補助の県負担に使うべきではないと指摘しているのですが、この点はどのようにされるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは、資料本体の13ページのところに税制研究会の指摘事項への対応ということで、大きく1、2、3、4、5、6点、税制研究会からご指摘いただいたことについての私どもの考え方について、できるだけ詳しく、記載させていただいているところです。まず税制研究会は、基本的には財源措置されている部分に充てることはいかがなものかと、これは私もずっと地方財政をやっているので、そのご指摘は一理あると思っています。しかしながら、われわれの方でその地方交付税の措置額等を精査することは、これは昔と違って、交付税が非常にアバウトな制度に、精緻な制度から少し縛りがゆるくというか積算根拠がゆるい制度になっているので、厳密な比較がなかなか難しいですけれども、しかしながら先ほども申し上げたように今回われわれが試算しますと、交付税措置額を上回って事業を行っているという状況だと思っています。そういう意味で、森林税を活用して造林事業を進めていくということについては、理由があると思っています。先ほど申し上げたように、国庫補助事業がなかなか対象となる地域が少なくなってくる中で、これまでも実は義務負担分のところに当たっている森林税というのは、減ってきています。減る方向になっていますので、そういう意味では税制研究会の皆さま方のご指摘の方向性には進んできていますし、もう一つは県民の皆さま方にしっかり説明しなさいということです。今回のこうした財政状況でもありますので、いわゆる地方負担分の部分についても、森林税を充てさせていただくということをこの中にも記載させていただいていますので、この内容で県民の皆さま方にご説明して、ご理解を求めていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
国が検討している「環境森林税」でしたか
長野県知事 阿部守一
「森林環境税」ですね。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
「森林環境税」、これについては触れていませんけれども、今困難に直面している所有者不明の森林についてですね、これを市町村が代行して伐採できるようにするという制度の創設を目指して新たな税というものが検討されていますけれども、これとの整合性っていうのはどう見ているのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これも本文の11ページの一番下のところに記載させていただいたのですけども、国レベルで「森林環境税」は検討されています。ただ、これは知事会でもずいぶん議論になっていますけれども、基本的に市町村を中心に政府は考えています。そこに記載してありますように市町村の役割を強化し、従来の制度や財源措置等が未整備で条件不利地の整備を促進するという形になっていまして、うちの県を入れて37府県で現在森林税、あるいは類似の税がありますけれども、それとは併存を図る方向で検討がされているという状況です。従って、われわれはその成り行きは見極めなければいけませんけれども、直ちにそちらの税があるから長野県の森林税はいらないというような議論にはならないと考えております。
読売新聞 下里雅臣 氏
勤務間インターバル制度について、お伺いしたいのですが、これによって残業代とかそういう部分がカットできる部分があるのか、という試算があればその金額を教えてください。あと、試行の段階ではありますけども、それがペナルティーみたいなものというか、考えていらっしゃるのでしょうか。上司だとかそういう方々は、部下の勤務体系にどうやって関わっていくかというのでしょうか。そのあたりを少し説明していただきたいのですけども。
長野県知事 阿部守一
試行の段階でもありますし、ペナルティーを科して何か厳格に、ぎりぎり締め上げるというような発想では考えていません。超勤等への影響については人事課長から少し補足させてもらいます。
人事課長 吉沢正
超過勤務手当への影響ですけれども、今回の制度は一定の時間以上に超過勤務時間外勤務をした場合に、健康等の増進を図ったり、生産性の向上に繋げるという制度なものですから、主眼は、一定の時間以上になったら休みましょうということで、間接的にそれによって21時半までに退庁をして、超過勤務が減ってくという副次的な効果はあるかなと考えていますけれども、具体的な数字がどのくらい減るとかそういったことの試算は現時点ではしていません。
市民タイムス 赤羽啓司 氏
消防防災ヘリの運航再開の関係で、昨日検討会から、4月、来春の火災消火に向けての運航再開の方針を一致、確認したということなのですが、今日の知事の提案説明で、運航再開に向けた取り組みを着実に進めてまいりますというお話をされたのですが、これは、来春に向けたという解釈でよろしいですよね。
長野県知事 阿部守一
検討会の報告は、安全対策をさらに充実すること。それから、来年の春には林野火災の消火活動を再開できるよう、ヘリコプターの借り上げと操縦士及び整備士の派遣を民間航空会社に求めること、という内容になっていますけれども、基本的にそれを踏まえて対応したいと思っています。ただ、これは来年春にはと言われていることはわれわれもしっかり受け止めていますけれども、事故が絶対起きないようにする、安全最優先で取り組んでいきたいと思っています。そういう意味では、しかし着実にステップを踏みながらですね、体制もしっかり組みながら進めていきたいというのが私の思いです。もちろん来年の春には、なんとか対応を考えろ、ということについては受け止めさせていただきながら、期限ありきということではなくて、むしろ安全対策を着実に進める中で、ステップを踏みながら、対応を考えていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
先日、2016年度の決算監査で、報告書が出まして、代表監査委員さんから大北森林組合の事件について、改めて県民の理解を求める努力という報告書が出ていて、その後、県民への説明会とかは一度開かれたきりなのですが、その後その理解を求めるための取り組みというのは、あってもいいのではないかなと感じるのですけれども、知事としてはどのように感じておられますか。
長野県知事 阿部守一
大北森林組合の問題は、われわれも、これまでもできるだけ丁寧にご説明をさせていただこうということで取り組んできましたし、損害賠償の対応についても、考え方をご説明をさせていただいてきました。県民に、直接説明をしろというご意見があるということも、私は認識していますけども、ただ、県民の皆さま方に、損害賠償がこうですというところだけ説明するわけにいかないので、事案の全体像とか、これまでわれわれが取り組んできた全体像という話をさせていただくと思います。それが本当に県民の皆さまが今現在望んでらっしゃるのかどうかと考えたときに、本当にそうなのかなと思っています。私はその都度その都度、職員の処分は職員の処分、損害賠償は損害賠償、刑事告発は刑事告発ということで説明させていただいてきていますし、相当丁寧に進めてきています。もちろん例えば、これから森林税の県民説明会とか行いますので、そういうところで関連してどうか、というご意見も出るかもしれませんが、そういうものに対しては、丁寧にご説明をしていきたいと思いますけれども、ただこれだけを取り上げて、県民の皆さま方に説明する機会を作っていく必要があるのかどうかということについては、慎重に考えないといけないと思っています。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
補正予算案で出ている、マーケティング担当参与についての質問なのですが、全く手続き上には問題ないのですけれども、つまり、これは県民の目線からすれば、だれを雇うのかを示してから半年間600万円でこの人にというような説明の方が納得いくといいますか。担当参与について、取材している感覚としては、必要性は感じています。つまり国際戦略について昨年度からいろいろな戦略を作ってこられてという流れの中での事業だと。ただ、どこの誰かわからないのに、枠予算として600万円盛って、後から誰を雇うというのは、1県民の立場からすると、どうなのかなという感じもするのですが、知事としてはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね、私も県民の立場からすれば、ご指摘のとおりかもしれないと思います。ただこれは、予算が無いのに人を雇う、既定予算の中でやってしまうっていうことがあり得なくはないことですけれども、むしろ今回は、県として、こういう職員を採用していきたいということを予算上で明らかにして取り組んでいきますので、そういう意味では、逆に県民の皆さま方には、実は、ちゃんとお示ししていると思っています。ですから、これは県の事業の限界で、予算主義になってしまっているので、予算がないのであればやれないということの裏腹で、ぜひそこはご理解いただきたいと思います。もとより、この人の為にこの予算だという説明の方がわかりやすい、説得力があるというのは私もそうだろうなと思いますけれども、なかなかそうはいかないというところが限界だろうなと思っています。
日本放送協会(NHK) 小口佳伸 氏
知事は議会の議案説明の中で、来月下旬に中国を訪問されるというお話をされたかと思うんですが、具体的にいつからいつまで、またどこに行くのかっていうことと、オリンピック、パラリンピック等のスポーツ交流を主眼にされているようですけども、どういった施設を訪問されるのかとか、決まっていることがありましたら教えていただけますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは今、先方と調整中の部分もありますので、固まった段階で、しっかりとお知らせしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
長野県知事 阿部守一
どうもありがとうございました。
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