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更新日:2017年9月1日
県立大学設立準備課 小野企画幹
それでは、お待たせしました。ただいまから、長野県立大学の設置認可に関する記者会見を始めさせていただきます。本日の司会進行を務めます、県立大学設立準備課の小野と申します。お願いいたします。最初に、設置認可に関する報告ということで、阿部知事の方からお願いいたします。
長野県知事 阿部 守一
皆さん、こんにちは。本日、安藤理事長予定者、金田一学長予定者とともに、こうした報告の会見を開くことができますことを大変嬉しく思っております。まず冒頭、皆様方には、この29日付けで文部科学省から長野県立大学の設置認可をいただいたことにつきまして、ご報告を申し上げたいと思います。この間、大勢の皆様方にご協力をいただき、また、ご指導いただきながら、進んでくることができたと思っています。私自身も教育関係の皆さんあるいは経済関係の皆さんをはじめ、多くの県民の皆様あるいは有識者の皆様と意見交換をさせていただく中で、この県立大学の構想を固め、そして、具体化につなげることができて感無量でございます。特に、初期の頃には、国際教養大学をつくられた中嶋嶺雄先生、お亡くなりになられましたけれども、国際教養大学にも訪問をさせていただいたり、大変ご教授をいただきました。また、ここですべての皆さんのお名前を申し上げることはいたしませんけれども、今の日本の教育界にあって、枢要なポジションを占めていらっしゃる皆様方からも大変なご協力とご指導をいただく中で、学校の構想を固め、ここまで進んでくることができました。ご協力をいただきました全ての皆様方にこの場をお借りして、心から感謝を申し上げたいと思います。
さて、新しい県立大学、後ほど安藤理事長予定者、金田一学長予定者からもそれぞれお話をいただくわけでありますけれども、私は県知事として、長野県の発展、長野県に暮らす皆様方の幸せを常に願って仕事をしてきておりますけれども、そうした中で、これからの時代に最も重要なことは、教育、人づくりであるということを確信いたしております。様々な時代の変化に長野県が即応していく、対応していく上での知の拠点としての大学、これからの長野県を背負って立つリーダーを育成していく教育の場としての大学、その双方が大変重要な意味を持っていると考えています。構想段階からグローバルな視野をもって、地域にイノベーションを起こすことができる人材を育てようという、私の思いでもありますし、多くの関係者の皆様方の思いを結集してそうした方向づけをさせていただいているわけですけれども、加えてリーダーを輩出する、そうした新しい県立大学の理念というものを、是非新しい大学では徹底して長野県の発展のために役立つような教育機関、あるいは役立つ「知の拠点」として、県としてもしっかりと支えるとともに、安藤理事長、金田一学長ともしっかりとタッグを組んで発展をさせていきたいと思っております。
今まさに次の5か年総合計画の策定を行っているところではありますけれども、大きな視点としては、「学びの県づくり」ということを是非位置づけていきたいと強く考えています。総合計画審議会の中でも、教育の重要性というのは多くの皆様からご指摘をいただいているところでございます。長野県内には、県立大学以外にも信州大学、私立大学等様々な高等教育機関がございます。加えて、高校、中学校、小学校、さらには幼稚園、保育園というすべての子どもたちの学び場について力を入れていかなければならないと思っておりますが、やはり世界と直結し、長野県の「知の拠点」としての大学、高等教育の重要性というのは、そうした高等教育全般を考える中でも極めて大きな役割を持っていると考えています。
そういう意味で、これから県立大学は、来年4月の開学に向けて本格的な準備のラストスパートに入っていくわけでありますけれども、しっかりと取り組みをすることによって、私が申し上げたような役割を確実に具体化をしていきたいと思っておりますし、今回の会見をお聞きいただいている皆様方、あるいは保護者の皆様方、大学進学を控えている高校生の皆さんには、この私どもの考え方について、是非ご理解をいただき、一人でも多くの志の高い若者達がこの大学を目指してもらうことを心から願っているところでございます。
結びに、重ねて今回設置認可にあたりまして、ここに至る経過におきましてご協力いただきました全ての関係者の皆様に、改めて心から感謝と御礼を申し上げまして、長野県立大学が設置認可を受けた報告の会見にあたっての私からの挨拶とさせていただきたいと思います。本当にありがとうございます。これからもよろしくお願い申し上げます。
県立大学設立準備課 小野企画幹
どうもありがとうございました。続きまして、安藤理事長予定者からお願いいたします。
長野県立大学 理事長予定者 安藤 国威
理事長予定者の安藤でございます。ただいま、阿部知事から非常に力強い激励の言葉と、それから、大学に対する思いを聞かせていただきました。本当にありがとうございます。私ども大学関係の当事者といたしまして、今回正式に文科省から、大学設置認可を受けましたことは、我々の来年4月の開学に向けて、非常に大きなステップになって、山を一つ乗り越えたということで、大いに安堵をしているところでございます。
今日、私は2点申し上げたいと考えております。私はちょうど約3年前、平成26年7月に、今阿部知事が縷々語られましたような、この大学に非常に熱い思いと情熱を聞かされました。それからまた、県の方で準備されておられました大学の基本構想の趣旨に大いに共鳴いたしまして、理事長予定者として就任させていただきました。その当時は、大学の基本構想にも、大学の考え方として非常にユニークな数多くのプログラムが盛り込まれていたことがございまして、例えば、1年次の全寮制度ですとか、海外プログラムを全員参加しなくてはいけないですとか、このようなことというのは、当時は、本当に実現できるのかというような、かなりいささかその実現に対して、危惧の念をもって迎えられていたことを今でもよく思い出します。ただそれから約3年間時間をかけまして、ただ単にその象山寮でありますとか、それから、新しい校舎のことは当然着々と進んでいるわけでございますけれども、それ以上にやはり優秀な優れた教員を全世界から集めるとか、それから海外プログラムの研修先をいろいろなところと交渉しながら着実に増やしていくとか、独自の教育理念のためのカリキュラムの編成でありますとか、それから地方あるいは長野県のいろんなところでの大学の説明会、そして昨年の10月の文科省への設置認可申請など一つ一つ着実に開学の準備を進めてまいりました。こうして先日29日に文科省から今回の認可を受けることができたわけでございますけれども、私が特にここで申し上げたいのは、やはりそのこの文部科学省との交渉の過程の中では、大学の基本構想に掲げられた基本理念、そしてそれを実現するための数多くのプログラム、そういうものを文科省にご理解していただくために、私どもは相当粘り強い交渉、ないし説得を続けてまいりまして、結局その結果として、ほとんどオリジナルな理念そのものを実現できるというところで認可を受けることができました。これは私どもにとりましても大いに自負しているところでございます。もちろん、これを実現したかげには、金田一学長予定者をはじめ、教職員の方々本当に一方ならぬ苦労、大変な努力があった結果だということで、私も心から感謝をしている次第でございます。
2点目でございますけれども、実は、私どもの目はもうさらに来年4月の開学を越えて、さらに先を見つめております。ご承知のように、私どもが来年4月から公立大学法人として大学の運営を正式に進めていくわけでございます。その4月の開学の前に、既に私どもは大学の中期計画、公立大学法人をどのようにやっていくというような、その作成を要請されているところでございまして、もう既にその準備にかかっております。実は、今月の4日にはこの法人の第1回の評価委員会が開催されました。この評価委員会と申しますのは、この中期計画を作成する上で、有識者の方々からいろいろなご意見をいただくということが目的ではございますけれども、その内容についてはまだまだ明確に固まっているわけではありませんが、その幾つかをご紹介いたしますと、例えば、先ほど知事の話の中でも何回も「知の拠点」という話が出てまいりましたけれども、本当にこの新県立大学が「知の拠点」として地域のために役立つことができるのか、これを実現するためにどのようにすべきか、そしてもちろんその延長線上には、大学院設置ということも考えていかなければならないと私どもは考えております。それからまた、地域における地方創生、これを実現するためには当然のことながら産官学の連携ということが必須であると、つとに言われているわけでございますけれども、その中で、私ども大学がどのような中核的な役割を果たしていくことができるのか、それをどう実現していくのか、ということについても議論する必要があると、計画を立てていく必要があると。そしてまた、最も重要な人材育成の面についてでございますけれども、私どもは、ただ単に私ども大学だけのみならず、信州大学ですとか、その他の地域における大学と連携を結びまして、そして地域の高等教育の質的な向上をどれだけ図っていけるのか、そしてただ単に人材育成と申しましても、地域の人材だけではなくて、全国から優秀な人材を集める、そしてまた場合によっては、社会からも、海外からも人材を呼び込んでくる、そのために何をすべきか、というようなことなども、その中で議論しながら計画を立てていこうと考えているところでございます。いずれにしましても、中長期的な観点から、大学の理念を実現するために私どもは、これからさらに4月の開学の前にも、そして以降も頑張っていこうと考えているところでございます。
最後に、いずれにいたしましても、私ども大学というのは、県民の皆さん方が10年後、20年後先におきましても誇りを持てる大学の設立を目指して頑張っていこうと思っています。金田一学長はじめ教職員一丸となってこれからも頑張っていく所存でございますので、是非、皆様方の温かいご支援とご協力をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
県立大学設立準備課 小野企画幹
ありがとうございました。では、続きまして、金田一学長予定者からお願いいたします。
長野県立大学 学長予定者 金田一 真澄
はい。長野県立大学学長予定者の金田一真澄でございます。先日29日に文部科学省より大学設置認可をいただき、大変身の引き締まる思いをしているところでございます。私からも2点ほどお話をいたしたいと思います。
1点目は、先ほど理事長の方からありました大学の根幹となる理念についての話でございます。皆様のところにございますこの大学案内、この8ページ目をお開けして聞いていただければと思います。大学の理念を3つの使命によって表現しております。1つ目は「リーダー輩出」、2つ目は「地域イノベーション」、そして3つ目が「グローバル発信」となっております。この1番目の「リーダー輩出」につきましては、我が大学で行います教養教育、専門教育、そして寮生活や海外研修、こういったことによる全人的な教育、そういうものによって新たな時代を担う様々な資質や能力を備えたリーダーを輩出したい、ということでございます。2番目の「地域イノベーション」につきましては、長野県の産業・文化・生活を活性化する「知の拠点」、この「知の拠点」という言葉はキーワードになっておりますけれども、地域に開かれた大学、地域とともに歩む大学を目指している、ということでございます。そして、3番目「グローバル発信」、これにつきましては、学際的で、また実践的な研究、そういったものを推進し、新たな知を創出し、その成果を地域に還元するとともに、長野から世界に向けて発信するという、そういう気持ちでございます。こういった3つの使命、これを理念といたしまして、全教職員がこれを共有し、そして、県民の皆様の期待に応える大学をつくってまいりたいと考える次第でございます。
もう1点でございますけれども、もう1点は学生募集についてでございます。これにつきましては、同じく皆様のところに、入学者選抜要項というものがあるかと思います。こちらの4ページをご覧いただきたいと思います。残念ながら今まで文科省の認可が下りるまでは、なかなか入試に関する活動ができませんでした。遅蒔きながら、今日から明日から、頑張っていきたいと考えておりますが、この4ページに入学者選抜日程が書かれております。簡単に申し上げますと、まず、一般選抜については、前期日程と中期日程がございます。前期日程は、2月25日と26日に学部ごとに行われます。そして、中期日程につきましては、3月8日となっております。一方、それより前に行われます学校長推薦選抜、これは11月25日と26日に行われます。これは、かなり時期が迫っておりますので、是非関心のある方は応募していただきたいと考えております。それから、自己推薦選抜につきましては、12月9日、それから、特別選抜については12月10日に行われるということですので、是非関心のある方、また、多くの高校生には挑戦していただきたいと考えている次第でございます。また、1枚めくっていただいて開けていただきますと、6ページの下の方に中期日程の表がございます。そこには、試験場として、中期日程は長野会場、つまり長野県短期大学だけではなく、首都圏会場を設けました。具体的には、慶應義塾大学の芝共立キャンパスで行います。是非遠い方もこちらにチャレンジしていただきたいということでございます。
私の方からは、最後の一言ですけれども、「教育は人である」ということです。新設の大学であるということと、それから、長野県は教育県であり、今は学習県と呼ばれるようになりましたけれども、その学習県で是非教えたいという先生方が全国から、本当に優秀な先生方に来ていただきました。あとは、優秀な高校生。大きな夢、高い志を持った高校生に是非来ていただきたいと思っております。そのための準備をこの開学に向けて、私も全力を尽くしてまいりたいと思っておりますので、是非皆様方、一層のご支援ご理解、そしてご協力をお願いしたいと思っております。以上でございます。ありがとうございました。
県立大学設立準備課 小野企画幹
はい、ありがとうございました。皆様のお手元には大学案内ですとか、入学者選抜要項、今金田一学長予定者の方からありましたが、今後の学生募集説明会の開催の案内とかお手元にあるかと思いますので、それをご覧になりまして、また記事等にしていただければ幸いと思います。よろしくお願いいたします。
最後に、約1分のPR動画と15秒のCM動画を作成しましたので、これからご覧いただきたいと考えております。これらの映像は、ロゴマークをはじめといたしました、長野県立大学のキャッチコピーの「その流れはやがて世界へ」をベースに、一滴の源流から大海へと注ぐ信州の川と、それから本学に集う若者達の成長を重ねて、開学への期待を表現したものでございます。それでは皆様の左手のスクリーンをご覧ください。お願いいたします。
(PR動画・CM動画披露)
県立大学設立準備課 小野企画幹
はい、ありがとうございます。これらのPR動画につきましては、長野県立大学のホームページでご覧いただけます。また、2本目の15秒のCMにつきましては、明日9月1日から、県内民放各局で放送を予定させていただいております。こちらからの発表は以上になります。
それでは、これから報道の皆様からご質問を受けたいと思います。最初に、報道機関名と氏名、それからどなたに質問かを言っていただきまして、ご質問をお願いしたいと思います。それではどうぞ。
日本経済新聞社長野支局 佐伯 遼 氏
日本経済新聞の佐伯です。阿部知事と、それから安藤さんか金田一さんかどちらかにお伺いしたいのですが、先ほど「知の拠点」というような表現もあったと思うのですが、今、大学の役割として、産学連携、産学官連携、産学官金の連携といったものがかなり重要になってきていると思うのですが、阿部知事として、今後県立大学に産学官金連携の中で期待する部分というのはどのあたりにあるかというのを教えていただきたいと思います。
あと、安藤さんと金田一先生には、県立大学として具体的にどのような分野での産学官金連携を進めていきたいかというのを教えていただきたいと思います。
長野県知事 阿部 守一
先ほども「知の拠点」というように申し上げましたけれども、やはり時代が大きく変わっていく中で、産業分野でも第4次産業革命というように言われていますし、また新しい技術革新を暮らしの中にも取り込んでいくことによって暮らしの質を上げていかなければならないというように思っております。そういった意味でも、長野県立大学が大変大きな役割を担っていると思っています。例えば、ソーシャル・イノベーション創出センターを設置する予定にしておりますけれども、やはり新しい事業を起こしていく、あるいは企業が新しい分野に進出していく、そうしたものをやはり県立大学としても応援する、支援していってもらいたいと思っていますし、先ほども安藤理事長予定者からもお話がありましたけれども、県立大学のみならず、信州大学をはじめとする各県内大学とも県としてはしっかりと連携をする中で、この産学官の連携ということを表面的な連携ということではなくて、相互にしっかり踏み込み合いながら、ともに知を共有することによって、新しい長野県の産業づくり、あるいは社会づくり、そうしたものに県としても取り組んでいきたいと思いますし、そうした大きな核となるのが新しい長野県立大学というように考えております。
長野県立大学 理事長予定者 安藤 国威
私からも産学官連携をどのように実現していくのかというお話がありましたけれども、私はやはり欧米の流れを見ていますと、大学の果たす役割というのは非常に大きいものがある。特に新しいタイプの産業を生み出していくというのは、必ずや若い世代の新しい思想をもった連中が新しい流れを作ってくれると思っています。私も長らく民間企業をやってまいりましたけれども、やはり人材というものは、一度外から取り込んだ後にもう一度鍛え直すということをやってきたのですけれども、それではもう今や世界の流れに追いつかない、スピード感で全くもうグローバルスタンダードから外れてしまうわけです。そういった意味からも、大学に入っている時代からできるだけ早く社会に目を向けて、社会と一緒になって課題解決に取り組んでいくと。そういった点では、今流れが今大きく、長野県でもそうですけれども、学生の起業家スピリット、起業家意識というものを醸成する必要があると。今知事も触れましたけれども、ソーシャル・イノベーション創出センターは、ある意味では大学と企業と地方自治体とが一体となって新しい流れ、起業というか産業を起こしていくような、そのような活動もシードというか種をいっぱいつければ、それが目指すところかなというように思っていますし、また、そのような意欲を持った学生をどう集めるかということ、それから指導する教員をどう集めるか、教員の側ですが、これも幸いなことに私どもグローバルマネジメント学部では非常にその方面でも研究を積んだ先生が馳せ参じてきていらっしゃいますので、開学後すぐにできるだけ早く実行に移せると、私ども満を持して開学に向かっているところと考えております。
長野県立大学 学長予定者 金田一 真澄
私の方からは、世界のことはよくわかりませんけれども、県内というか日本の中で、その、産学官この3つが、機能的に動いているところは意外に少ないのではないかと考えています。もちろんどこの大学でも必ず今、産学官は言いますけれども、例えば、県立大学を県がつくる、つくった後は県立大学がやってくださいというところが結構日本には多いと聞いております。私のところは、大変阿部知事の思い入れも強く、また理解も大変深く、非常に助けていただいておりますので、密接なつながりというものを非常に大事にしていきたいと考えております。それと、産業界とは、安藤理事長予定者のお力をもって、産業界とは密接につながっていきたい、意外と密接にやっていくということはかなり難しいことだと思っておりますけれど、長野県は、これはできると考えております。是非ここは皆さん、注目して期待していただきたいと思います。これが私からの思いでございます。
長野県知事 阿部 守一
そういう意味では、今、金田一先生が触れていただいたので、まさに、ここに並んでいる3人が産学官です。安藤理事長は、まさに産業界を日本を代表するリーダーでありますし、金田一先生はまさに学問の世界でずっと、一族郎党、学者一家でありますし、私は純然たる公務員でありますので、まさにここに並んでいる3人が、産学官連携を象徴していると思います。
日本経済新聞社長野支局 佐伯 遼 氏
ありがとうございます。
信濃毎日新聞社 中村 正起 氏
信濃毎日新聞の中村と申します。どなたにお聞きすればよいのか、学長さんになるのか。新設の大学の認可手続きがあったということで、他の大学に比べて学生募集がだいぶ遅れてスタートということになると思いますが、開学まであと7か月というところで、最優先で取り組むべき課題と、それに対して県立大としてどのように準備を進めていくのか、お願いします。
長野県立大学 学長予定者 金田一 真澄
はい、これは大問題です。今日ちょっとほっとしたと言っている場合ではないくらい、これは重要なことで、いかに素晴らしい高校生を全国から集めるか、これをやっていかなければならない。県内においては、今まで大学説明会をやってきましたけれども、それ以外にも、進路指導の先生方との話し合い、それから予備校、高校訪問もまだ全部行ってきているわけではないので、これからも続けていきたいと思います。そして、県外においては、さらにメディア関係のこと。それから、近県、新幹線の沿線の状況を見ながら関係を含めて、かなり急いでやらなければならないことはたくさんございます。具体的にということはないのですけれども、今後の6か月間の予定表というものはできております。それを見ながら、きちんと全国の高校生がこの大学をまず知っていただかないことには受験していただけませんので、是非そのところはきちんとやらせていただきたいと思っております。以上でございます。
信濃毎日新聞社 中村 正起 氏
関連してですが、県立大学が目玉としますグローバルマネジメント学部、説明を聞いているこちら側とすれば内容をすごく理解するのですけれども、ただ高校生から見ると、なかなか何を学ぶのかというのがわかりにくいという指摘がやはり一部にあるのですが、どのように内容といいますか、高校生の胸に落ちる形でアピールしていくのかいうのをお聞かせ願えればと思います。
長野県立大学 学長予定者 金田一 真澄
本当にグローバルマネジメント、つまりマネジメントについての理解が確かに不足していることは確かでございます。これは新しい学問ですので、マネジメントについて、これは一体何を表すのか、グローバルばかりがひとり歩きしてしまって、グローバル学科を作るのではないかというような考えを持っている方が大変多いということは聞いております。マネジメントは、具体的に示せば、そちらにいる安藤理事長がマネジメントそのものであると私は考えているのですけれども、グローバルマネジメントそのものだと思うのですけれども、何かそういう具体的な説明の仕方でいい方法がありましたら、是非こちらの方が教えていただきたいと思っております。ただ実際に模擬授業でグローバルマネジメントの先生にかなり全国に行っていただいておりますので、そういう意味では少しずつですけれども浸透してきているのではないかと考えております。
長野県立大学 理事長予定者 安藤 国威
簡単に補足させていただきますと、確かにグローバルとか、マネジメントというのは英語であるということもあってなかなかピンとこないのはご質問された方のとおりだと、おっしゃるとおりだと思います。ただ、私どもこれだけ、よくグローバル化といわれていますけれども、世界が一方ではフラット化しているというのは、日本とそれからアジア、それから欧米が、別々に機能しているのではなく、もはやアメリカで起こったことが、すぐ日本にも影響するし、それから日本のことがすぐ海外にも影響するし、本当に今や世界は一つのグローバルヴィレッジというか、大きな一つの地球全体で考えなければいけないことが山積していると。そういう中でその最たるものがイノベーションの分野だと思います。イノベーションの分野というのは、もちろんアメリカが、非常にFacebookですとかAmazon、Googleとかよく聞く名前があるわけですけれども、彼らがどんどん発展することによって、雇用がどこに増えているかっていうと、むしろ中国であるとかアジアであるとか、いろんなところで増えているわけで、恐らくは先進的な企業を全部足しても、恐らくウォールマートにはリテールがありますけれども、そこの一社の雇用の全体にも、半分にも及ばないという統計もあるくらいで、ですから、そのアメリカ発、ヨーロッパ発、そしてまた日本発ということでいろいろ産業が出てくると思いますけれども、そういう中で我々がどれだけ世界と密接に連携しているかということを、本当に肌で、学生たちには感じていただきたいと思っています。そのために、最初から英語を集中的に学ぶことによって、海外にどんどん積極的に学生に行ってもらって、それが全員参加となっていると、それをただ単にグローバルマネジメント学部だけでなくて、長野県立大学の場合には、それが健康発達学部という、食健康学科もあればこども学科もあるのですけれども、そこの学生も全員が行っています、そういうような話をしますと、確かに、今高校生たちが、何となく、今の新県立大学というのは、県短期大学の延長線上の中にあるのではないかという思いで来ていますと、そういうそのマネジメントの話をしますと、非常に驚くというよりむしろ新鮮に感じると。こういう新しい学問があって、その新しい挑戦ができるのだということで、大いに自分の視野を広げてもらって、挑戦しようという方々が増えてきていると。それは私どもがいろいろなところで大学説明会を開催するたびに、その数が増えてきて、非常に心強く思っております。ですから、最初から一挙に、高校生の方々に理解していただくというのはなかなか考えにくいのですけれども、われわれがこの歴史を重ねていく間に、本当にその私どもの大学がやっているユニークなところ、本当にその最初から世界を視野に入れた観点で人材を育てるのだ、それが地方のためにどう役に立っていくのだということを一緒になって産官学で実践していくということを、まずは来年から着実にスタートして、実現していきたいと考えております。
信濃毎日新聞社 中村 正起 氏
もう一つ知事にお伺いしたいのですけれども、この県立大設立に至る過程で、管理栄養士養成課程をはじめ、松本大学と反発もあり、対立があった経過もありますが、先ほど大学間連携の話も出たのですが、この開学してからの他大学との連携、信頼関係の構築というのか、どのように進めるか、改めてお願いいたします。
長野県知事 阿部 守一
はい。松本大学も含めて、県内の信州大学、私立大学、公立大学、それぞれの大学と、もちろん県としてはしっかり連携をとっていきますし、長野県立大学も、一番の弟分になるわけでありますけれども、先ほど金田一学長予定者もおっしゃっていただいていたように、大学間連携というものもしっかり行っていってもらいたいと思っています。松本大学とはいろいろと議論がありましたけれども、私は例えば管理栄養士の養成の分野についても、是非協力できるところは一緒に協力していく必要があるのではないかと思っていますし、何よりも健康長寿県というのが長野県の一番の特色に今なっておりますので、そういう意味で、県内の様々な大学、高等教育機関が、協働で同じ問題に立ち向かい、あるいは連携していくということは重要だと思っています。そこはしっかりやっていきたいと思っています。
ちょっと一点だけ、グローバルマネジメントの話で、私なりに申し上げれば、これは、コースが3つあるので、コースの話をイメージしてもらう方が少しわかりやすいのかなと思っています。グローバル・ビジネスコース、企(起)業家コース、公共経営コースの3つあるわけで、長野県としては、やはり世界で活躍できる人材をつくっていきたいというのが一番大きな趣旨でありますし、そのためには、例えば長野県の製造業はもうすでに、完全にグローバル社会の中で競争しています。そういう意味では、英語能力というのは基本的な能力としながらも、その上に幅広い教養であったり、あるいは人間力、そうしたものを身につけてもらう、そういうことが必要だと思っています。長野県でやや今まで弱い分野は、安藤先生におっしゃっていただいた起業の分野だと思っています。これから、これは県立大学任せではなくて、県全体でも「日本一創業しやすい県づくり」ということで取り組んできていますが、さらにこれは県立大学とも連携して、起業家支援ということについて、あるいはスタートアップ企業の支援という観点は、さらに強力に進めたいと、ここはまさに大学と行政がしっかりとタッグを組める部分だと思っています。加えて、公共経営コースがありますので、私の問題意識を申し上げれば、長野県は高校生の数に比べて大学定員が少ないというのは、いろいろなところで申し上げていますが、それと同じように実は本県内に専門家がいらっしゃらない分野というものがあります。特に、公共政策の分野は比較的本県手薄だなというのが私の率直な感覚でありますので、そういう意味で、公共経営のセンスを持った人材を育成していくという観点と同時に、やはり、そうした分野の先生の知というものも、我々県としてもしっかり生かせるようにしていきたいと思っています。
そういう意味で、今ちょっと生徒の視点と行政の視点とちょっと混在していましたけれども、子どもたち、生徒の視点から見たときには、少しコース別に見ていただくと、理解をしていただきやすいのではないかなと思っています。
県立大学設立準備課 小野企画幹
ありがとうございました。この後の予定もありますので、あとお一人の方、お願いいたします。
テレビ信州 伊東 秀一 氏
テレビ信州の伊東と申します。よろしくお願いいたします。2点お聞かせください。
まず1点目は、知事にお伺いするのがいいかと思うのですが、県立大の開学も含めて今大学の公立化というのが非常に進んでいて、長野も公立化していますけれども、ご承知のように長野県は、県外に出ていく高校生の割合が全国でも有数の高さということで、今回の県立大の開学も含めて、県外流出の歯止めの一助になるかどうかという、そのあたりのお考えを1点。
もう一つは、これはどなたにお伺いしたらいいかとちょっとわからないのですが、周辺各県の県立大学を見ていますと、学部数は1つから3つと多くはないのですけれども、どこも大学院を設置しておられます。将来的な「知の拠点」を目指す、あるいは若者の受け皿を増やす、広げるという狙いで、大学院の必要性みたいなものをお考えかどうか、このあたりをお聞かせください。
長野県知事 阿部 守一
1点目の方のご質問にお答えしたいと思います。この大学設置の動きというのは、今ご指摘いただいたように、高校卒業すると8割以上が県外に出て行ってしまうということも問題意識の背景としては一つございます。地方創生が叫ばれる中で、国全体でも、あるいは知事会としても、東京にだけ、大学が集中しているということについては極めて大きな問題意識を持っておりますし、政府においては東京都内での定員の抑制の方向を出してもらっていますし、全国知事会でも、一部、東京都をはじめいくつかの県は若干反対の意見もありますけれども、多くの都道府県の共通の問題意識としては、やはり大学の一極集中の是正ということが地方創生に直結するという問題意識を持っています。その中で、もちろん私どもも、若い人達が長野県に定着いただける、あるいは県外から来る学生もいますので、県外から来てもらった学生にも、長野県に定住してもらうということも、一つ念頭には置いています。ただ、学生は県内だけにいればいいかという話ではなくて、私はやはりグローバルな視野を持って、世界を駆け巡って活躍できるような人材を片方でつくっていく必要があるだろうと思っています。そういう意味で、地方創生の観点の中で、高校生の県外流出ということも意識はしていますが、この県立大学だけで、それに対応できるというものではないだろうと思っていますし、また、その県立大学が人を引き留めるものになってしまっては本末転倒だろうと思っています。そういう意味で、例えば、長野県としては、高等教育支援センターをつくって、例えば、松本大学教育学部の設置に対して、県としても支援をさせていただいたりしています。県内大学全体で、大学の定数を増加させていこうということは、これからも考えていかなくていけないと思っていますし、また、保護者の方、若い人達と話をすると、本当は長野県の大学に行きたいけれども、なかなか自分のニーズに合った大学がないという方々が結構大勢いらっしゃったわけでありますので、そういう意味では、選択肢を増やすという意味では、大変大きな意味があるのではないかと思っています。以上です。
長野県立大学 学長予定者 金田一 真澄
2点目については、私の方から、お答えいたします。大学院は、是非つくっていただきたいと考えております。これは、理由としては3点あるかと思います。1つ目は、全国から素晴らしい先生をとるためには、大学院があるということは大変重要でございます。先生方、やはり大学院で教える、又は自分の弟子を育てる、そういう意味で大学院は研究の場でもございますので、是非そういう意味で大学院をつくっていただきたいということがあります。それから、2点目は、学生の方から見ても、大学院があるということは、自分の選択肢が増えるということであり、自分の研究をさらに進めることができるという可能性を持っているという点でも大変重要であると思います。3点目は、地域に対する貢献です。「地域イノベーション」という言葉を先ほど申し上げましたけれども、大学が地域とコンタクトしていく、連携していく時に、学部だけだとどうしても弱い。大学院があると、そこから社会人その他の連携がさらに交流がスムーズにしやすいということがあります。そういう意味で、ソーシャル・イノベーション創出センターは重要なのですが、センター以外に、大学院を通して、地域と交流して又は連携して、何か素晴らしいものをつくっていくということができるのではないかと思いますので、これは、私が知事にお願いしなければいけないことですけれども、是非大学院をつくっていただきたいと思っております。
県立大学設立準備課 小野企画幹
はい、よろしいでしょうか。お時間がまいりましたので、申し訳ございませんが、これで、設置認可に関わります記者会見を終了させていただきます。
(記念写真)
長野県知事 阿部守一
今から会見を開きます。よろしくお願いいたします。(手話で表現)
本日は私から2点お話し申し上げます。まず1点目ですが、お手元に資料をお配りしていると思いますが、「特殊詐欺、ひとごとじゃない!」キャンペーンの実施についてです。オレオレ詐欺、還付金詐欺、架空請求詐欺といった特殊詐欺被害は、いまだに多くの方が被害に遭われているという状況です。こうした被害をなくしていかなければいけないということで、これまでも県警としても、あるいは県としても、さまざまな取り組みを行ってきましたが、このたび特殊詐欺の被害防止に向けたキャンペーンを行っていきたい、県からの委託事業として、今回は長野朝日放送、そしてテレビ信州、エフエム長野、この3社の皆さま方にご協力いただきながら、キャンペーンを行っていきたいと思っています。特殊詐欺被害の認知件数については、メディアの皆さま方もさまざまな番組等で取り上げていただいたおかげもあり、数年前に比べると、被害額については減少してきています。平成25年の被害額が10億8,800万円余、11億円近かったわけですが、平成28年の被害額は4億8,900万余、5億円弱という状況です。被害額としては約半分に減少してきています。ただ、認知件数については、平成25年に195件だったのが、平成28年は215件ということで、被害額は減少する一方で、件数は増加している状況です。まだまだ徹底した対応をしていかなければいけない状況だと思っています。県警とも協力し合いながら、これからもさまざまな対策を講じていきたいと思いますので、ぜひ報道各社の皆さま方におかれても、特殊詐欺を撲滅する観点での取り組みにこれからもご協力いただきますようお願い申し上げます。
長野県知事 阿部知事
2点目ですが、報道各社とのインタビューの際に、まだ自己採点中と申し上げていましたけれど、知事の任期2期目に私が掲げた公約の取り組み状況についてとりまとめました。お手元に資料をお配りしているかと思いますが、これはあくまでも自己評価ですので、見る方によっては、まだまだやるべきだ、あるいは十分やっているじゃないかなど、いろいろな評価があるかと思いますが、私なりに各部局の意見も聞きながら、評価させていただいたところです。まずは総体としてご覧いただければ分かるように、(1)という部分が(1)「実施済み又は実施中」と(2)「実施中(さらに充実・改善等が必要)」の二つありますが、一定程度私なりに取り組むことができたのではないかと思っている部分です。全体の項目は131項目ありますが、そのうちの約8割方は(1)という評価をさせていただいています。先ほども県立大学の設置・認可にあたっての会見を開きましたが、今回の公約は大きく五つの項目と、それから、県としての県政運営のあり方を加えた六つの柱で大きく柱立てしています。人材教育県づくりは先ほどの長野県立大学の設置をはじめとして、高等教育の支援等一定程度進めることができた分野ではないかなと思っていますが、ただ、私が自分であまり納得感が無いものについては、各部局が考えているよりも少し厳しめに評価しています。どちらかというと(2)「一部実施」や(3)「達成に向け検討に着手」にしているのは、私としては、かなり主観が入っていますけれども、まだまだもっとやらなければいけないと考えている部分であるとご理解いただければ、そう認識の差は出ないだろうと思っています。
「人材教育県づくり」については、ICT教育の充実、海外留学の促進、外国籍の子どもに対する日本語指導の充実など、一定の取り組みは教育委員会、県民文化部等で行ってきていると認識していますが、私としてはまだ強化していく必要があるのではないかと思っています。その一方で、子どもたちの居場所の支援、高等教育の振興、産業人材の育成といった分野においては、先ほどの長野県立大学の設置も含めて、かなり進められたのではないかと思っています。
「生きがい健康県づくり」においては、私の問題意識としては、障がい者の皆さま方に対する支援・サポートについては、まだまだ足りていないものが多いのではないかという認識のもと、雇用促進等についてはやや厳しめの評価をしています。手話言語条例の制定等を行ったり、農福連携を進めたり、こうした分野の施策も一定程度進めましたが、まだまだ障がいがある方々のニーズ・希望に十分応え切れていないのではないかと感じています。
「環境・経済県づくり」ですが、産業分野については試験研究機関の機能強化であるとか企業立地の促進については一定程度促進することができてきていると思いますし、農業であったり林業であったり自然エネルギーの普及拡大、こうしたものについても他の県に誇れるような取り組みを行ってくることができたと思っています。ただ、ここの中で(2)「一部実施」、(3)「達成に向け検討に着手」としていますのが、一つは研究・教育機関の誘致等による国内外からの知的人材の集積と書きましたが、研究機関の誘致については、本県は全国的にかなり進んでいますが、教育機関についてはできていないということで(2)「一部実施」にしています。また、地域内経済循環を促すという趣旨でのバイ信州運動については、今、検討中ですが、まだまだ具体的な取り組みはこれからということで(3)「達成に向け検討に着手」という評価にしています。
「人口定着県づくり」については、移住したい県ナンバーワンということを生かして多くの皆さんを惹きつけるような取り組みを進めてきていますし、文化芸術の振興についても文化振興基金の設置であったり、芸術監督の配置であったり相当程度、体制整備と進捗を図ることができていると思っています。反面、厳しめに評価したのが、女性の活躍の促進、プロスポーツ・障がい者スポーツの振興という部分で、もちろん、女性の活躍についてもいろいろな取り組みを行ってきていますが、率直に言って他の県と比べると長野県はいろいろな分野における女性の活躍は遅れているのではないかと思っていますので、まだ一部しかできていないという評価にしています。
「グローバル・観光県づくり」についても、インバウンド、外国人観光客については順調に増加してきていますし、北陸新幹線の金沢延伸を契機とした北陸の皆さんとの交流も相当活発になってきています。加えて、昨年はさまざまなイベント、山の日全国大会やG7交通大臣会合、さらには全国植樹祭を開催したりということで、長野県として山の魅力を発信し、世界的な会議にも対応できるということを内外に示すことができました。ただ、課題としては、まだまだ観光客の受け入れ体制整備、あるいはアウトドアスポーツの振興という面では率直に言って不十分であると思っていますし、景観という観点ではなかなか十分な進捗を図ることができなかったと思っています。加えて、地域交通の確保については現在検討中の部分が大きいため、今後、さらに力を入れて取り組んでいきたいと思っています。
それから最後、県政運営の部分ですけれども、私がやろうといえばほとんどやれる分野ですので、そういう意味で全般的にお約束をさせていただいたことについては着実に進めてこれたと思っています。地域振興局の設置、移動知事室の実施、あるいはランチミーティング、タウンミーティングの継続、さらには市町村との共同研究、こうしたものについてしっかり行ってくることができたと思っています。今ざっと全体的に申し上げましたけれども、私からは改めてこうした政策を進めてくることができたのも、多くの県民の皆さま、あるいは、関係団体、企業の皆さまのおかげだと思っていますので、改めてこの場をお借りして関係の皆さま方に御礼を申し上げたいと思います。そして今回こういう形で自己評価をさせていただきましたが、評価して終わりということではなくて、今、まさに次の総合計画を検討しているところですので、次の総合計画の中に盛り込むべき事項を考える上でも、今回の評価を十分念頭に置いて対応していきたいと思っています。
私からは以上2点申し上げました。皆さまからご質問いただければと思いますので、よろしくお願いします。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
今の自己評価の中で、(3)「達成に向け検討に着手」になっている「バイ信州運動」、具体的な取り組みはこれからという話がありました。もう1点、「農村の建物の保全の促進」が(4)「未着手」になっていますけれど、このあたりは今後どう方向付けしたりですとか、推し進めようとしているのか、現時点でどのように考えているか教えていただければと思います。
長野県知事 阿部守一
まず、「バイ信州運動」については今年度の予算の中でも進めようということで位置付けていますので、少し取り組みが遅れていますけれども、しっかり具現化していきたいと思っています。今年度末には(3)「達成に向け検討に着手」が少なくとも(2)「一部実施」ぐらいにはなるように取り組んでいきたいと思っています。
それから「農村景観にふさわしい建物の保全等の促進」の方は、これは正直言ってなかなか難しい、個人の財産にかかわる話ですので、難しいことを掲げすぎたかなと思っています。ただ全般として長野県の景観、長野県の美しさというのを守っていくということは重要なテーマだと思っていますので、今、総合計画を考えていますけれども、今後の計画の中にはこうした景観であるとか、美しさの保持というような観点は、ぜひ盛り込んで次につなげていきたいと思っています。具体的な政策としてどういうものを盛り込むべきかということについては改めてしっかり考えていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
これで2期目の任期3年が終わりまして、残り1年になっていくわけですが、残り1年の任期で特に力を入れたい分野ですとか、インタビューの方でもお聞きはさせていただいているのですが、改めて、今2期目のこれまでの成果と今後の残り1年への課題についてお感じになっていることを教えていただければと思うのですが。
長野県知事 阿部守一
これは、ほぼ新しい総合計画でどういうことを考えていくかということと重なってくると思いますけれども、まずは、やはり「学び」というものをこれからの長野県の取り組みの中核に据えていく必要があるだろうと思っています。そういう意味でちょっと教育委員会には大変申し訳ないのですけれども、若干この「人材教育県づくり」のところは、総じて他の分野よりもやや私の主観的判断としては厳しめになっているのではないかと思っています。それから、やはり先ほど現在検討中と申し上げた「地域交通」です。人口減少社会の中で地域の活力維持をしていく上では、交通の問題についてはしっかりと対応を考えなければいけないと思っていますし、さらには安心、安全な県をつくるということでは命を大切にするための取り組みとしての医療のあり方等についても、しっかり軸足を置いて取り組んでいきたいと思っています。加えて、これも県立大学と重なりますけれども、新しい分野へ企業が展開していく、あるいは起業する方を増やしていく、そういう観点での産業政策ということも、これまで以上に産官学の連携も含めてしっかり取り組んでいきたいと思っています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
来年夏には知事選が予定されていると思うのですが、3期目を目指すかどうかについて、現時点ではどのようにお考えになっているか教えていただければと思うのですが。
長野県知事 阿部守一
これも各社のインタビューのときにも申し上げさせていただきましたけれども、まさに私としては今の任期3年がやっと終わった。あと1年間、全力で頑張らなければいけないという思いも込めて自己評価もさせていただいていますし、率直に申し上げて、そうした心境であります。さまざまな課題もありますし、また次の時代に向けての新しい総合計画の検討というような取り組みも課せられていますので、まず現在直面している課題への対応、私に課せられている役割というものをしっかりと責任を持って果たしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
最後に1点、別の話題で、県の保健所と長野市の保健所の共同設置の関係が、なかなか効率化が見込めないということで見送りという形になりましたが、それについては知事がどのように受け止めていらっしゃるかというのを教えていただければと思います。
長野県知事 阿部守一
保健所の共同設置の話につきましては、長野市との間で平成26年度以降、非常に長い間検討を重ねてきたところです。保健所の共同設置というケースは全国的にも例がないということで、非常に幅広く、組織のあり方、職員の身分のあり方、ファシリティ面、さまざまな検討を行ってきましたけれども、県と長野市とが主体性あるいは独自性を維持しつつ、安定的、効率的に運営していくことは、なかなか難しいという結論となりました。私としては、共同設置については、県と市町村の関係を共同で効率化していく、あるいは機能強化していくという意味ではチャレンジングな取り組みだと思っていましたけれども、課題もさまざまあると感じていましたので、こうした結論に至ったということについては、やむを得ないものと思っています。ただ県と市町村の連携協力というものは、共同設置をする、しないに関わらず重要ですので、引き続き長野市の保健所と長野県の保健所との連携協力についてはしっかりと行うことができるように取り組んでいきたいと思っています。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
また公約の話に戻って恐縮なのですが、最後の任期1年ということで、今(2)「一部実施」、(3)「達成に向け検討に着手」、(4)「未着手」に位置付けているもののうち、いくつぐらいが任期満了時に(1)(1)「実施済み又は実施中」、(1)(2)「実施中(さらに充実・改善等が必要)」にできるという見通しなのかを教えていただければと思います。もちろん目標としてはすべて(1)にいくのがいいとは思うのですが。現実的な部分で教えていただければと思います。
長野県知事 阿部守一
あまりできもしないことを言ってもいけないので、現実的な問題として、例えばICT教育の充実みたいなものは、どうしても予算が絡んできますので、今から急速に評価を上げるというのは率直に言って難しいと思っています。例えば、女性の活躍促進についても、私としては現状不十分だという認識ですので、これが年度末までに上がるという話にはならないと思っています。ただ、先ほど申し上げたように「バイ信州運動」についてはしっかりと取り組む方向付けをさせていただいていますし、また公共交通の確保についても今検討会を設けていますので、具体的な施策までは率直に言って難しい部分があるかと思いますけれども、方向付けをして来年度の予算上何らかの措置を講じるということは考えられるのではと思っています。公約の中でも、取り組みさえすればやったということになる部分となかなか県だけでは実現できない部分と両方ありますので、後者の部分については、今年度末あるいは私の任期中に飛躍的に上げていくという状況にはなりにくいかなと思っています。
日経新聞 佐伯遼 氏
具体的に何割ぐらいが先ほどおっしゃった後者の部分、達成しづらい部分に当てはまるかというのは。
長野県知事 阿部守一
むしろ達成しやすそうだなと思っているところは、ICT教育とかの部分も、私の任期中ということで来年度予算にどこまで盛り込めるかということになると思いますので、私としては(2)「一部実施」に載せている部分については着実に進めるようにしていきたいと思っていますが、今新しい総合計画の検討中ですので、それらの内容ともしっかり比較考慮した上で、私の公約も念頭に置きながら、来年度予算を編成して少しでも前進するようには努力していきたいと思っています。
日経新聞 佐伯遼 氏
毎週のように聞いて申し訳ないのですが、信州DCが今日でちょうど3分の2ということで、夏休みも終わってそろそろこれから観光をさらに誘客拡大するというのはなかなか厳しい状況かなと思うのですが、現状の認識と今後の展開について教えていただければと思います。
長野県知事 阿部守一
私も信州DCの入り込み状況については非常に関心を持って見ていますが、この前も申し上げたように7月は天候不順で非常に難しいスタートを切ったなと思っています。8月に入りまして夏休み期間となり、お盆にかけて、やや前年を上回る状況になってきていると思っています。8月の後半につきましては、比較的天候が回復傾向ということで、山岳高原も含めて、総じて入り込み客については増えてきていると思っています。もちろんお盆の時期に比べると減少していますけれども、対前年の状況では上回ってきている状況です。旅行会社からは、8月に入って個人客が伸びてきているというお話も伺っています。 9月がまだ1カ月残っていますので、天候不順でご旅行を控えた方々もいらっしゃると思いますので、そうした皆さま方への発信等を強化して、9月でしっかり対前年を上回るような結果を出せるように取り組んでいきたいと思っています。
信濃毎日新聞 井出拓朗 氏
Jアラートのことで伺いたいのですけれども、一昨日の早朝に北朝鮮がミサイルを発射して、県内でもミサイル発射のJアラートが初めて鳴りました。緊急のメールであったり、Jアラートから頑丈な建物や地下に避難してくださいというような指示というか、行動を促す文書があったのですけれども、ただ長野県にはなかなか身近に頑丈な建物がないとか、地下もないっていう所が多いと思います。あとはですね、最初、ミサイルの発射方向が東北で、結局北海道沖に落下ということだったのですけれども、この点についても東北・北海道方面への発射で県内にJアラートが流れるにはちょっと広すぎるじゃないかという意見もあったのですけれども、知事のお考えがあれば教えてください。
長野県知事 阿部守一
今回、初めてJアラートを通じての避難の呼び掛けが行われましたけれども、今、ご指摘があったような声があるということは私も認識していますし、私自身も、例えば、頑丈な建物や地下、中山間地域にそんな所あるかなと考えると、いささか違和感を持つ表現でもあるなと思っています。これは、市町村の皆さま方とも、問題意識を共有しなければいけないと思いますし、また、必要な意見については、政府にも言っていくことが必要ではないかと思います。今回のJアラートによる避難の呼び掛けに対して、どのような受け止めがあって、どのような改善すべき点があるのかということについては、一度よく整理をした上で、国に対して、意見を言っていくなり、対応を考えていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 井出拓朗 氏
分かりました。関連でもう1点なのですけれども、県にとっても、ミサイルの発射に対してのJアラートが初めてだったのですけれども、朝から危機管理部の方がたくさん出てこられましたけれど、今回の対応をめぐって、県としてこんな課題が浮かんだとか、そういったものがあれば教えてください。
長野県知事 阿部守一
これは、県としてというよりは、一部市町村で、防災行政無線等で情報伝達ができなかったということについては、これはわれわれとしては課題だと受け止めています。市町村によって、その伝達手段が少し様々であり、防災行政無線で対応していない市町村もある中で、やはり、しっかり住民に対して情報伝達ができるという体制を作っていくということが重要だと思っています。昨日は、地域振興局長会議を開催しましたが、その席で私の方からも、こうした市町村の情報伝達手段への対応、体制、機器の整備等については、ぜひ地域振興局長の方からも、促してもらうと同時に、一緒にサポートし、考えてもらいたいという趣旨の話をさせていただいていますので、市町村との問題意識を共有して、しっかりと情報伝達を行うことができるような体制づくりにこれからも努力していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
政策集の取組に戻りまして、ちょっと個別に取材を担当しているところで考えをお聞かせいただきたいのですが、県民起点の県政の中で、情報化担当部長の設置というのができたというような評価があって、これは総務省から小岩企画振興部長さんを連れてきて、県庁内の情報政策を推進していこうという話だと思うのですけれども、途中、担当部長が空席になったりとか、県の仕事の働き方とかといった面で、情報化ってあまり進んでいないのではないかなという印象もあったりします。つまり、例えば働き方改革で、若手の職員から持ち運びのできるパソコンが欲しいとか、モバイルの端末を貸し出したりとかやり始めていますけれど、あまり進んでいないのではないかという印象があるのが一点。もう一点は、人材教育の方で、信州の自然環境を生かした教育の促進の信州の自然環境を生かした子育て・教育の支援、これは、(1)(2)「実施中(さらに充実・改善等が必要)」となっていて、例えば自然保育への補助とか、かなり予算もついて評価していい部分なのでは、かなり進んだ部分なのかなと感じるのですが、知事として、この先この部分で例えばこのように進めていきたい等の考えが、今のところあれば教えていただけませんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
はい。まず情報化の方ですけれども、認識は私も同じような認識です。ただ、今回の私の公約自体が情報化担当部長の設置ということで、ご指摘の通り一時不在期間もありましたが、現在、設置をして、またその間も「ICT利活用戦略」の取りまとめをして、さまざまな分野での利活用を進めてきています。そうした意味で担当部長の設置という観点から(1)(1)「実施済み又は実施中」にしています。これが、情報化の推進ということであれば、おそらく私は、(2)「一部実施」ぐらいの判断にしているだろうと思いますので、そこの認識は同じだと思います。
それから、信州の自然環境を生かした子育て・教育についてですが、ご指摘のとおり、例えば信州型自然保育認定制度については、これは全国に誇れる制度だと思っていますので、そういう意味では、(1)(1)「実施済み又は実施中」というのもあり得ると思いました。ただ、例えば「山村留学」というのも長野県の特色ですけれども、そうしたもののアピール、市町村への支援という観点では、ちょっとこれは私の思いとしてですが、もう少しやるべきではと思い、(1)(2)「実施中(さらに充実・改善等が必要)」ということで、まだ改善した方がいいねとさせていただいています。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
明日から9月1日で長野県の小中学校は夏休み期間が短いので、ほとんどの学校は始まっていると思うのですが、過日、不登校新聞社や子どもの居場所づくりに関わる団体が、内閣府の過去の調査で2学期の始まる9月1日に18歳未満の自殺の数が非常に多いという統計をもって、辛ければ学校休んでもいいんだよというメッセージを発表します。県としては、若者の自殺率が高いという話の中で、今、施策を練っているところだと思うのですけれども、新学期が始まった県内の子どもたちに向けて、知事としてどんなメッセージを伝えたいかということについてお願いできませんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
長野県、子どもたちの自殺率が高いということで、今、いろいろな角度からの対策を考えているところです。また、先般も協定を締結してLINE株式会社と共同しての新しいアプローチでの自殺対策・いじめ対策ということにも取り組んでいきます。私はぜひ子どもたちには、自分の思いとか気持ちというものを素直に表現していってもらいたいと思っています。心配なことや、いやなこと、そういうものを自分一人で抱えずに、ぜひ周りにいる大人、保護者や親しくしている大人、あるいは、県もさまざまな相談窓口を設置していますので、そういうところに、気軽に悩みを相談してもらえるとありがたいなと思っています。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
いろいろ伺ってすみません。総合5か年計画についてお尋ねしたいのですが、先日、総合計画審議会で委員さんから危機感について非常に発言があったと思います。つまり、素案が示されたわけですが、東大の大森先生なんかは、人口減少に対する危機感がないのではないかとか、安藤委員さんや野原委員さんは経済の部分から危機感が足りないのではないかというお話をいただきました。確かに、私も駆け出しのころ付き合いがあった市町村職員なんかに聞くと、ものすごい人口が減っていて、個別のどこの集落はもしかしたらなくなるかもしれないというところから議論していて、危機感の持ち方がものすごく違って、そういった人口減少とか経済構造の変わってきた、グローバルな動きというのは、県庁組織としては把握していらっしゃると思うのです。素案ですから出てないにせよ、無意識にも危機感がにじみ出てないのが組織としてはあまりよろしくないのではないかという感じがします。危機感が、世間、市町村が抱えている危機感、民間企業が抱えている危機感をほんとに共有できているのかな、何でこういういうことになっているのか。素案ですから、成案ではないので、何ともいえませんが、にじみ出ていないことについて、なぜにじみ出ていなかったのかということについて、知事としてどう受け止めていらっしゃるか。
長野県知事 阿部守一
私も全く、安藤先生や大森先生の意見と同感でした。全く県組織が問題意識を持ってないかというと、必ずしもそうではないと思っています。私の責任もあると思いますけれども、県民の皆さま方に夢や希望をもってもらえるような計画にしよう。あるいは県民の皆さま方の夢や希望をお伺いして、それを実現するための計画にしようということで申し上げてきていましたので、先日出した素案のまとめ方はそういうトーンでつくられているので、危機感が乏しいというご指摘をいただいたと思っています。私自身は今申し上げたように、そうしたご指摘は、真剣に受け止めていかなければいけないと思っていますので、早速、私なりにどういう問題意識があるかなと自分の頭で整理して、先般各部長に、それぞれの立場でどのような危機意識があるのかということについて考えてくれと指示もさせていただいています。審議会の場ではそうした意見は出ませんでしたけれども、私自分が書き出して感じたのは、危機とか不安、不満というものは、やはり二つの側面があると思っています。一つはその行政組織として感じている危機感。例えば人口が減少して、今おっしゃった集落がなくなるみたいな話は1人1人の個人の危機というよりは、むしろ行政的な危機であるというウエイトが高いと思いますけれども、そうしたことと同時にやはり個人の皆さんが感じている不安や不満というものも、併せて整理をしていかないと、なかなか県民の皆さま方の共感が得られないのではないかということで、そうしたことも少し考えていきたいと思っています。県行政は市町村行政と比べると、現場や地域住民の皆さま方との距離が相対的に遠い組織ですので、ほっておくと生の声が伝わりにくくて、危機感が単なる作文に終わってしまいかねないリスクはあると思っています。そこはこれまでも多くの皆さんの意見や声をできるだけ各部局に聞いてくれという話をしていますので、そういう中から出てきているリスクであったり、不安だったり、そうしたものも反映できるようにしていきたいと思います。内部で私が申し上げているのは、危機とチャンスはほとんどの場合、表裏の関係にありますということですので、危機を単に大変だ、大変だということにしておくだけではなくて、危機を正面から捉えて、その上で、長野県としてのチャンスに切り替えていくという視点も、しっかり持って取り組んでいきたいと思っています。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
関連してなのですが、素案では、5つの重点分野、プロジェクトが立ち上がっていて、現行の計画が9つある中をさらに集約した形で、できるだけ特色を伸ばそうとしているような印象があります。これは、総合戦略を立ち上げたときも、最初はものすごい総合行政として全部やっていくというようなそんな計画だったのが、途中から非常に強みをできるだけ特色を、エッジをきかせて絞り込んでいった印象があるのですが、この質問は、知事としてそういった意識があったのかどうかとか、あるいはその特色、例えば特色を伸ばそうとか、総合行政でやることはやるのだけれども、ここの部分に重点をきかせてやろうという計画づくりというのは、知事としてなぜそのように打ち出そうとしているのかということについて、考えをお聞かせ願えませんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まだ策定途中ですので、若干明確にこうだとは、なかなか今の状況では申し上げづらくて、私も悩みながら、試行錯誤しながらいろいろ考えていますし、総合計画審議会でのご議論等も踏まえて、どういう形でいくのがいいのかなと、率直に言って私自身も今いろいろ考えているところです。ただ、先ほども申し上げたように、学びの県を大きな柱にしていきたいということを、いろいろなところで申し上げてきています。県は総合行政主体ですし、総合計画にたとえ記載しなくてもやらなければいけない事務はいっぱいあります。総合計画に書いてないから災害対応をやらないとかですね、総合計画に書いてないから道路整備やらないなんてことは絶対にあり得ないので、これもやります、あれもやりますと記載するのではなくて、やはりこれからの5年間、長野県としては、こういう視点で、こういう分野に力点を置いて取り組んでいくということを県民の皆さま方に問いかけて、一緒になってその方向を目指してもらうということが重要だと思っていますので、できるだけそうした取りまとめができるようにしていきたいというのが今の私の思いです。
毎日新聞 鈴木健太 氏
今日会見資料としていただいた、この基本政策集の取り組み状況について、いわゆるその自己評価の一覧表だと思うのですけれども、これっていうのは県民の方をはじめ一般市民の方が見れる方法はあるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね、これは県のホームページには載せないので、私が自分で、Facebookに載せるとか、あとは、応援してもらっている政治団体のホームページに載せるとか、広く一般の皆さま方の目にもとまるように工夫をしたいと思いますし、ぜひ報道の皆さま方も、ちょっとこれ甘いのではないかとか、いろいろな事もご指摘いただいて結構ですので、お知らせいただくことにご協力いただければありがたいと思います。
毎日新聞 鈴木健太 氏
分かりました。私が言うのも何なのですけど、大変分かりやすい資料だと思ったので、何らかの形で見ることができる方法があるといいなと思いました。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございます。少し考えさせていただきます。
日本経済新聞 北川開 氏
森林税についてお伺いします。昨日税制研究会の最後の会合が終わりました。まずですね、9月の定例会前に知事に最終報告書が提出される予定ですが、それを踏まえて、どのくらいの、どういったスケジュール感で、最終決定を下されるのかについてお考えを聞かせてください。
長野県知事 阿部守一
まだ正式には報告書として頂戴していませんけれども、だいたいの考え方については、私もお伺いをしてきています。森林税を仮に継続するのであれば、こうした点をクリアすべしということについて、かなり具体的なご指摘をいただいていますので、こうした観点をわれわれがしっかりとまず受け止めさせていただいて、その上でどうするかということをしっかり考えていかなければいけないと思っています。今、林務部あるいは総務部でどういう対応をするかということを検討している状況です。私の立場からすると、組織の代表でもありますが、片方で県民の代表でもありますので、県民の目線に立って、しっかり判断していかなければいけないと思っています。
日本経済新聞 北川開 氏
その報告書の内容の方で、継続するにあたってクリアしなければいけない点として、情報公開とかゼロベースでの再検討ということのほかに、提案として税率は引き下げなどもありましたが、そのあたりの内容についての受け止めについて、もう少し詳しく伺えますか。
長野県知事 阿部守一
まだ、最終報告書がまとまっていないので、あまり私が言い過ぎてもいけないと思いますが、最後、そんなに変わらないだろうという前提で申し上げれば、森林税を継続するという前提の立場で見れば、厳しい指摘だと思います。ある意味ニュートラルな立場に立ってみれば、当然のことだなと思っていますので、私はやはり県民の皆さま方の理解を得られるように対応していくという観点では、私自身もニュートラルな立場に立って、どうするかということについては、真摯に考えていきたいと思っています。
日本経済新聞 北川開 氏
最後に、昨日の会合が終わったあとに委員長が本当は計画の是非まで判断すべきであったが、具体的な金額を含めた事業の具体案が出てこなかったので、そこまで踏み込めなかった。残念といった趣旨のことをおっしゃって言ったのですけれども、そういう声もある中で、具体的な事業の計画の策定ではないですけれど、素案というか、森林税を使った事業計画の検討を急ぐとかそういった考えはありますか。
長野県知事 阿部守一
私はニュートラルで考えなければいけないと思っていますけれども、仮にその継続ということであれば、ちゃんと説明責任を果たしなさい、というのが、この全体を通じたトーンだと思いますので、使途もよくわからないのに継続するという判断は、少なくともあり得ないと思っています。
毎日新聞 鈴木 健太氏
最後の今の森林税の質問に絡むところは、実は私も関心があったところでして、税制政研究会の青木座長は、仮に3期目を続けるのだとしたら、毎年度ごとの予算額であるとか、やりたい事業とか、事細かに特にお金の情報に関するデータを示した資料が欲しかったということをずっとおっしゃっていて、今回は、そこの判断はせずに、議論は終わったんですけれども、これも仮に3期目を継続するのであればですが、その資料を県民の方に見える形で、示してから判断されるのかどうかっていうのは、一応取材する立場から気になっているところです。仮に3期目を継続するのであれば、そういった類の資料っていうのは、事前に判断する前に、県民の方にお見せする形にはなるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
判断というのは、どこのレベルの判断かということにもよると思いますけれども、まず、今内部で検討していますので、私としての考え方をお示しする、まず私がどう判断するかというものが、最初に来ると思います。その上で、もちろん私の考え方、こうだっていう説明しなければいけませんので、継続しなければ、継続しない理由。継続するのであれば、こういう考え方で継続が必要と考えている。ということについて説明しなければいけないと思いますし、今申し上げたように、継続するときに、事業が何をやるかわからないのに継続するという判断は、ないと思っていますので、当然、その際には、セットという話になると思います。
信濃毎日新聞 島岡太郎 氏
県職員の奥さんの立場にある女性が、詐欺の疑いで逮捕された事件がありまして、一昨日1回目の逮捕の方の容疑が起訴になりまして、昨日再逮捕ということで。起訴になった方の案件については、架空の県の事業を紹介して、お金を出せば、高い利子が付くというような名目でお金をだまし取っていたということなのですが、前にも、一度同じ質問があったかと思いますが、一応そういう案件があったということについて、見解というか受け止めを聞きたいのですけれども。
長野県知事 阿部守一
警察が捜査しているところですので、しっかりと事案の究明をしてもらいたいと受け止めています。これは、捜査中の案件でもありますので、事細かに私が申し上げるようなものでもないだろうと思っていますので、それ以上でもそれ以下でもないというのが今の率直な思いです。
信濃毎日新聞 島岡太郎 氏
それともう1点、今のところ警察の捜査の状況というか、見立てとすると、奥さんの方の単独犯とみているということではあるのですが、そうはいっても、いろいろな県の事業を紹介したり、立場的に県職員の奥さんであるというようなところで、大分信用される方も多かったのではないかということもあると思うのですけれども。旦那さんの方について、何らか今現時点で県の方で処分を出すとかですね、そういうようなお考えとかはあるのかどうかというのを、改めてお聞きしたいのですけれども。
長野県知事 阿部守一
これは、たとえ夫婦といえども、別の人格でありますので、その共謀をしていたというような、事実が判明すればともかく、現時点でそうした対応を行うという必要はないと思っていますし、そうした対応を行う考えもありません。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございました。
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