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更新日:2020年11月30日

「長野県版レッドリスト(植物編)2014」の公表について

長野県では、平成24年度(2012年5月)から長野県版レッドリストの改訂作業を進めてきました。

今般、植物編(維管束植物・蘚苔類・藻類・地衣類・菌類・植物群落)の改訂版を作成しましたので、公表します。
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レッドリストの目的

レッドリストとは、絶滅のおそれのある野生動植物の種(長野県版では植物群落を含む)の目録(リスト)です。

詳しく表現すると、『特定の地域に生息または生育する野生動植物について、「絶滅の危険性の高さの観点」から個々を種を段階別に評価・選定し、絶滅のおそれのある種として目録(リスト)にまとめたもの』をいいます。

今回の改訂の目的は、「絶滅のおそれのある野生動植物」について

  1. 現状を的確に把握すること
  2. 保護・保全が必要な野生動植物を明らかにして対策や生物多様性の保全に向けた基礎資料として活用すること
  3. 絶滅のおそれのある野生動植物の現状を県民の皆様等に理解して関心をもっていただくこととしています。

レッドリスト・レッドデータブックの利用・活用

これまで、2002年(平成14年)に維管束植物編、2004年(平成16年)に動物編、2005年(平成17年)に非維管束植物・植物群落編の長野県版レッドデータブックをそれぞれ作成し、長野県版レッドリストとして公表してきた結果、行政や教育・研究機関、県民等に絶滅のおそれのある種の現状を広く知らせること、またその種及び生育環境を取り巻く生態系の重要性、生物多様性の保全などの普及啓発をはじめとした様々な場面で活用されてきました。

また、レッドリスト掲載種は、環境影響評価制度(環境アセスメント)等において、開発行為やその計画を進める上で、自然との関わり方の検討に利用されてきました。
このほか、絶滅のおそれのある種(希少種)の保護活動を通じて地元の価値を高め、地域の活性化の資源など多様な活用もされています。

なお、規制を伴う保護対策として、長野県版レッドデータブック(2002)に掲載された80種類(うち維管束植物52種)は、「長野県希少野生動植物保護条例」での指定希少野生動植物として捕獲等を規制しています。

レッドリスト

絶滅のおそれのある野生動植物の種の目録(リスト)

絶滅の危険度が高い順番に絶滅危惧I類(絶滅危惧IA類、絶滅危惧IB類)、絶滅危惧II類、準絶滅危惧等に分けられる。

レッドデータブック

レッドリストの内容に種の特徴、生育環境、生育状況と絶滅危惧の状況、特記事項、分布状況等の情報を加えたもの。

長野県版レッドリストの改訂の背景

長野県の野生動植物は、高山植物等の局地的な環境に生息・生育する種を含め、生物多様性国家戦略2012-2020や生物多様性ながの県戦略で指摘される4つの危機((1)開発など人間活動による危機、(2)自然に対する働きかけの縮小による危機、(3)人間により持ち込まれたものによる危機、(4)地球環境の変化による危機)による影響を受けています。

また、野生動植物の生息・生育環境や個体数は、時間と共に変化していることから、定期的な調査等によって状況を捕え、動態を把握する必要があります。

新産地の発見や消失、調査データの蓄積、研究の発展等により、学術的価値の見直しや変更がされることもあり、このような変化に対応するため、レッドリストやレッドデータブックは、適宜見直す必要があります。今回の改訂では、前回策定後のおおむね10年の自然環境を取り巻く変化を踏まえることを目的として作成しています。

長野県版レッドリスト(植物編)の改訂で明らかになったこと

(1)維管束植物

  • 「長野県版レッドリスト(維管束植物編)2002」と比較して、今回45種を追加し、「絶滅のおそれのある維管束植物」の合計は804種となりました。これは長野県に生育する約3,000種の在来植物のおよそ27%に当たります。また、付属資料を除いたレッドリスト掲載種の合計は、882種となりました。
    • レッドリストに掲載された維管束植物の絶滅の危険性が高まった要因として、今回のレッドリストの改訂に当たって現地調査票が得られた308種921件の絶滅危惧の主要因を集計したところ、もっとも多く指摘された順に、自然遷移、園芸採取、踏みつけ、産地極限などが挙げられました。

    • 依然として、開発や工事などの人間活動に伴う生育地の破壊や環境の悪化、また植物の過度の採取が多くを占めるものの、里地・里山地域の農耕地の放棄、半自然草原の減少、二次林などの手入れ不足など、人の関わりにより維持されてきた生育地の植生変化も大きな要因となっていることがうかがえました。このほか、ニホンジカによる食害等が急速に拡大していることがうかがえました。
    • 前回のレッドリストの作成等により、県民等の関心が増した結果、絶滅のおそれのある種等の生育・分布情報の蓄積や現状把握等も進み、前回絶滅種とした31種のうち、7種(ジロボウエンゴサク、スギナモ、コケリンドウ、ホソバノシバナ、ムカゴソウ、アイナエ、マメダオシ)が再発見されるなどの発見もありました。

※絶滅のおそれのある維管束植物(絶滅危惧IA類+絶滅危惧IB類+絶滅危惧II類+準絶滅危惧)

(2)蘚苔類・藻類・地衣類・菌類

  • 「長野県版レッドリスト(非維管束植物編・植物群落編)2005」との比較して、今回21種を追加し、「絶滅のおそれのある蘚苔類・藻類・地衣類・菌類」の合計は211種となりました。また、付属資料を除いたレッドリスト掲載種の合計は、336種となりました。
    • レッドリストに新たに追加された種の主な要因は、生育地が限定されている種が多いなかで、湿地開発や森林伐採、登山道沿いでの踏みつけ、大気汚染などによる生育環境の悪化が挙げられました。
    • 蘚苔類で新たに絶滅危惧種として選定された種では、生育地が限られかつその生育地が極小であること、他に湿地開発、森林伐採などが指摘されました。また、登山道沿いにあるものは、踏みつけや道の拡幅による消失が懸念されています。
    • 藻類で新たに絶滅危惧種として選定された種では、河川開発、湿地開発、池沼開発が指摘されました。
    • 地衣類で新たに絶滅危惧種として選定された種では、産地極限のほか、踏みつけや大気汚染に生育環境の悪化が指摘された。また、今回の改訂調査で、本来は亜高山帯に広く分布する普通種であるナガサルオガセが、少なくとも県内の一部地域で消失していたことから、県内外に及ぶ広域的な本種の分布・生育状況及び大気環境のモニタリングを実施する必要があるとの指摘もありました。
    • 菌類では絶滅要因が不明のものが多く、また、生育状況そのものの情報が不足している種が多いとされました。

(3)植物群落

  • 「長野県版レッドリスト(非維管束植物編・植物群落編)2005」との比較で、今回14群落(単一群落:9、群落複合:5)を新規追加し、2群落が隣接地の植物群落と結合され、「絶滅のおそれのある植物群落」の掲載種の合計は、104群落(12群落の増加)となりました。
    • 増加の主な要因は、選定基準のうち、「原生林もしくはそれに近い自然林」や「比較的普通に見られるものであっても、南限、北限、隔離分布等分布限界になる産地に見られる植物群落または個体群」に対応する植物群落が主に選定されました。
    • 二次植生の半自然草原として「開田高原のススキ群落」も新たに選定されました。これは、長野県版レッドリスト(維管束植物編(2002)・非維管束植物編(2005))において絶滅危惧種とされる種を主要な構成要素として含むことを考慮しました。また、同じく二次植生の半自然草原として、長野県版レッドリスト(2005)に選定されている「霧ヶ峰高原のススキ群落」は、今回の改訂で、ニホンジカ等による草原生植物への採食圧の増加にともない、評価がAランクに変更されました。

今後の対応

長野県では、改訂されたレッドリストについて広く普及を図ることで、絶滅のおそれのある野生動植物の保全への理解と保護に向けた取組みをすすめるとともに、開発事業等での各種計画における配慮等を一層促す予定です。

また、今後も、継続的に調査を実施し、野生動植物の現状把握に努めるとともに、長野県希少野生動植物保護条例での追加指定種の検討などで、長野県版レッドリストの改訂内容が有効に活用され、実効性の高い施策を計画的に展開していきます。

お問い合わせ

環境部自然保護課

電話番号:026-235-7178

ファックス:026-235-7498

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