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更新日:2025年4月1日
犀川砂防事務所
芦澤流域内の4基の石積堰堤(いしづみえんてい)は、高度な石積機能と治水理論の特徴を備えた歴史的砂防施設として、平成26年10月7日に国の登録有形文化財に登録されました。
内務省は、信濃川下流域への土砂流出防止と荒廃が進む水源山地治山治水対策として、千曲川流域、犀川流域の土砂流出の大きかった支川(浅川など12河川)で、明治14年から直轄砂防工事に着手しました。
当事務所の管内では、明治16年から蜂ヶ沢(北安曇郡七貴村荻原:旧明科町)、明治20年から芦澤(東筑摩郡麻績村・日向村)で、石積堰堤や山腹に柵止工、積苗工など砂防工事が実施されました。
麻績村根尾地区の芦澤の川筋に、ほぼ完全な形の石積堰堤が4基あります。
芦澤の砂防工事は、明治44年(1911年)に発行された内務省土木局編纂の「山地砂防工事歴」の信濃川水源砂防工事結果概略の14頁に記されており、明治20年の4月から12月に実施されています。
現存する4基の石積堰堤は、野面石(安山岩などの天然玉石50~120cm)を「六つ巻」と呼ばれる空石積工法で構築されており、現在も堰堤としての砂防の機能を果たしています。
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第一号石積堰堤
堤長10.0m
堤高4.2m |
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第二号石積堰堤
堤長12.3m
堤高3.8m |
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第三号石積堰堤
堤高4.0m |
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第四号石積堰堤 堤高6.8m |
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住所:長野県東筑摩郡麻績村麻
芦澤流域内の4基の石積堰堤は、六つ巻きやアーチ効果を狙った構造形式など、高度な石積機能と治水理論の特徴を備えた歴史的砂防施設として、平成26年10月7日に国の登録有形文化財に登録されました。
明治前半期における砂防事業の考え方を示す資料であり、芦澤を含めた地域の状況を知る貴重な遺産です。
谷間の地形にそって施工された石積堰堤は、周囲の緑や山並みと調和し、現在では見ることができない独特な景観を創造しています。
明治20年以降、100年以上もの間、風雪に耐え河床を安定させ、地域の安全に寄与する施設です。
堰堤形状は水通しと袖部を備え、近代的な特徴を有します。
堰堤は上流に膨らむ湾曲形状となっており、アーチ効果を期待したように積まれています。
明治期の高度な石積機能と治水理論の特徴を顕著に備えています。
無加工の1m大の野面石を用い、「六つ巻き」と呼ばれる工法で積まれています。
積石を自立させるため、高度な技術を必要とし、現在では施工困難です。
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