ハローアニマルだよりVol6-10
ハローアニマル公開講座
「ペットの最期をむかえる時」~動物病院勤務経験・自身の犬・猫の経験から~を開催しました
本年度最後となる公開講座を2月23日日曜日に開催しました。保健所では、老齢であることや病気を理由とした犬猫の引取り相談が後を絶たない中、最期まで責任をもって飼って欲しいとの願いで開催したこの講座ですが、当日は、大勢の参加者にお越しいただき、熱心に聴いていただきました。
近年の傾向
近年、犬、猫共、寿命が延びてきており、平均寿命は約14歳※!その要因としては、獣医療の発展に伴うワクチン接種や駆虫薬による予防医学の浸透、早期不妊手術の普及と室内飼育や食事の改善などに代表する飼い主意識の変化があります。長生きになることで老化現象や様々な病気が見られるようになってきています。
※「アニコム家庭動物白書2024」による
「猫について」~我が家の猫の場合~
- 猫は7歳になった頃から「シニア期」に突入し、基礎代謝が低下して太りやすくなったり、聴覚・視覚や認知機能の低下などが起こり、病気にかかることも多くなってきます。
- 普段のお世話や病気予防のためにシニア期用のフードに変えたり、トイレの砂や大きさを変えてやりやすくしたりすることも必要になります。
- 健康診断も年に1~2回実施し、症状が出る前に気づいてあげて欲しい…当所職員で獣医師の大笹がまず、心構えを説明しました。
- そして、自身が勤めていた動物病院にケガで入院した野良猫「こじまる」の完治を機に引取り、育てることになった大笹がその経験をお伝えしました。
- 「6歳頃に健康診断で腎臓と心臓が悪化していることが分かり、療法食に切り替えました。13歳9か月の頃、食欲がなくなってきました。検査して原因を突き止め、治療をしたい気持ちはありましたが、猫エイズ陽性では完治が望めないこと、病院への入院は負担ではないか等考えた末、対症療法で最期を迎えました。
- 正解はなく、大切なのは、飼い主さんが話し合って決めたこと。最期は「ごめんね」ではなく、「ありがとう」でお別れができるようにして欲しいです。」
「犬について」~我が家の犬の場合~
- 当所職員で獣医師の石黒が、愛犬クーを19歳で看取った経験をお話ししました。
- 「クーは6歳で子宮蓄膿症で子宮卵巣摘出、7歳で乳腺腫瘍で両側第4・5乳腺を摘出ました。不妊手術をしていない中高年の雌犬で多いこれらの疾患は、初回発情を迎える前の不妊手術実施で予防して欲しいです。
- 高齢になってからは、姿勢の変化により体勢を崩しやすくなり、階段から誤って落ちたこともありました。
- 最期の1年は毎年受けていた「ドッグドック」の血液検査で慢性腎臓病と診断され、細菌性膀胱炎になったり、トイレの失敗もするようになりました。
- 食欲がなくなり、ドライフードが食べられなくなってきたので、すりつぶしてみたり、サツマイモやジャガイモ、ブロッコリーなどの好物をあげてみたりもしました。
- 原因不明の発作の回数が増え、抑えるために持続点滴をして、最期は眠ったまま息を引き取りました。安楽死の選択もあったかもしれませんが、最期まで家族で介護をやり切った納得の気持ちもありました。
- ぜひ、元気なうちから健康診断をして、早く変化に気づいてあげて欲しいです。そして最後はたくさん甘やかしてあげて欲しいです。」
ハローアニマルだよりVol.6-10(PDF:607KB)