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更新日:2021年1月13日
長野県知事 阿部守一
それでは本日の会見を始めます。私からは大きく6項目お話ししていきたいと思います。こちら(モニター)の画像をご覧いただければと思います。
まず1点目ですけれども、台風第14号に対する注意喚起の呼び掛けです。現在、台風第14号は強い勢力を保ったまま西日本に接近しつつあるという状況で、この後、東日本にも接近する恐れがあります。進路予想図では、少し海側に行っている状況ですけれども、まだどういう進路を取ってくるかということについて注意深く見ていかなければいけないと思いますし、県民の皆さまも台風情報にしっかり注意していただければと思っています。長野地方気象台によりますと、長野県には明日の10日土曜日、昼過ぎから夜の初めごろにかけて最も接近する見込みということですし、県の南部と佐久地域、諏訪地域を中心に降水量が多くなると見込まれています。大雨に警戒が必要な状況も予想されていますので、県民の皆さまには浸水害、あるいは土砂災害など、万が一への備えをお願いしたいと思います。特に今、「逃げ遅れゼロ」ということで、市町村の皆さまと一緒に取り組んでいますが、3点、県民の皆さまにお願いしたいと思います。まず平素からの取り組みですが、お住いの場所が安全な場所か否か、ハザードマップ等で改めてご確認いただきたいと思います。また避難に備えて複数の安全な避難場所を確認していただき、避難の際には危険な場所には近寄らない避難をいただきたいと思います。また3点目としてはテレビ、ラジオ、インターネット等から気象情報、あるいは市町村からの避難勧告等に耳を傾けていただき、避難をされる場合には早めの行動をお願いしたいと思います。以上3点、ご自宅の危険性を確認いただくこと、それから避難場所を確認いただくこと、情報にしっかり注意を向けていただくこと、以上3点お願いしたいと思います。
今、新型コロナウイルス感染症への対策ということも行っていますので、避難をちゅうちょされる方がいらっしゃる可能性もありますが、市町村でも避難所の感染防止対策にいろいろ取り組んでいますので、避難が必要な場合には、ちゅうちょすることなく避難していただきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
それから大きな2点目ですけれども、昨年の令和元年東日本台風(台風第19号)災害から1年がたとうとしています。改めて犠牲となられた方のご家族、ご遺族の皆さまにお悔やみ申し上げるとともに、謹んで哀悼の意を表したいと思います。また現時点でも多くの皆さまが復旧・復興に立ち向かわれ、また仮設住宅等にお住まいになられている方もいらっしゃいます。そうした方には改めてお見舞い申し上げるとともに、引き続き県としても被災された皆さまのお気持ちに寄り添って、一日も早い復旧・復興に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。今の状況ですけれども、人的被害、大変残念ながら被災直後ではなく、その後、10名がお亡くなりになり、災害関連死ということで認定を受けていらっしゃいますので、亡くなられた方は合わせて15名という状況です。また住家被害、全壊が920棟、1083世帯。また半壊が2515棟、2811世帯ということで、改めて多くの皆さまが被災されているという状況を重く受け止めなければいけないと思っています。被害総額が2766億円ということで、鋭意、復旧・復興に努めていきたいと思います。
暮らしの再建については、市町村の皆さまと信州被災者生活再建支援制度、国の生活再建支援制度ではこれまでも対応が十分行えなかったということで、制度をつくってきたおかげで、昨年の東日本台風災害では初めて適用することができました。2000件を上回る方に、県と市町村共同で国の生活再建支援制度を補完する支援を行うことができました。また義援金については、これまで多くの皆さまから27億円を超えるご支援をいただき、数回に分けて配分を行ってきています。改めまして義援金のご協力を頂いた皆さまに感謝、御礼を申し上げたいと思います。また住宅の再建ですが、現時点での応急仮設住宅への入居戸数、建設型、それから民間の借り上げ、県営住宅、市営住宅等がありますけれども、全体で合わせて1781名が仮の住まいに入られているということで、住宅の復旧支援、あるいは住宅の確保に向けた支援、県としても市町村と連携して行っていきたいと考えています。
それからインフラの復旧です。河川、道路、砂防、林務施設、農地等、さまざまな施設がありますが、災害復旧工事については市町村工事も含めて、おおむね9割について着手しています。約半分、47パーセントが完成という状況です。引き続き一日も早く復旧できるように、そして主要な施設の中で原形復旧だけでは不十分というものについてはビルド・バック・ベターということで、よりよい復旧に取り組んでいますので、より安全度の高い形になるように復旧工事を進めていきたいと考えています。
今回の東日本台風災害を受けて、国、市町村と一緒に緊急治水対策プロジェクトを進めています。河川における対策、流域における対策、それからまちづくり等のソフト施策を含めて、関係機関が連携して取り組んでいくことにより、令和6年度までには今回と同様な洪水に対して、千曲川本川の大規模な浸水被害が発生した区間において、家屋部が越水等で浸水しないように対策を進めていきたいと考えています。
また今回の東日本台風災害は、本当に多くのボランティアの皆さまのお力で復旧に向けた取り組みを進めることができました。残念ながら途中から新型コロナウイルスが拡大したため、なかなか思うようにボランティアの皆さまの活動を行っていただくことができない状況もありましたけれども、これまでに全国から延べ約7万3000人のボランティアの皆さまに東日本台風災害からの復旧・復興へのご支援を頂きました。全国から長野県に駆け付けていただいた皆さま、そして県内でボランティア活動にご参加いただいた皆さま、ご協力いただいたすべての皆さまに改めて感謝申し上げたいと思います。
令和元年東日本台風災害から1年ということで、「災害アーカイブ展」を行います。来週の12日からは県庁の玄関ホールにおいても開催したいと思います。写真を通じて令和元年東日本台風災害からの1年間を振り返ると同時に、神城断層地震等、これまでの災害についても振り返って、これからの対策を考える契機にしていただければありがたいと思っています。また県庁以外の長野市役所、あるいは信州大学中央図書館、長野駅ビルMIDORI、伊那市役所、白馬村役場、小谷村役場、こうしたところでも開催しますし、またウェブサイトでもご覧いただける形にしますので、ぜひ多くの皆さまにご覧いただき、過去の災害を振り返ると同時に、ご自分の安全、安心をどう守るかということを考えていただく、あるいは地域の安全、安心を考える機会にしていただきたいと考えています。今、県としては信州大学と一緒に令和元年東日本台風災害のデジタルアーカイブの作成についても取り組んでいます。災害は時間がたつと、どうしても風化してしまうということもありますので、記録をしっかりと後世に引き継いでいきたいと考えています。また台風が接近中ということですけれども、令和元年東日本台風災害からの復旧・復興、そして今年の7月豪雨災害からの復旧・復興、併せて着実に進むように県としても全力で取り組んでいきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
続きまして大きな3点目ですが、きょうで9月定例県議会が閉会となりました。まず「長野県信濃美術館条例の一部を改正する条例」をご議決いただきました。名称を長野県立美術館に改めるということでご理解いただいたわけですが、信濃美術館という名称に愛着を感じていらっしゃる方が大勢いらっしゃるということを、県もしっかり受け止めて、新しい美術館が県民の皆さまも含めて多くの皆さまに愛される美術館となるように取り組んでいきたいと考えています。委員会でも答弁申し上げていますけれども、「しなの」という名称については、新しい美術館の中で、「屋根のある公園部分」と呼んでいる所があります。有料区域ではない、どなたでもご利用いただける部分ですけれども、そのエリアに残したいと考えています。観光で訪れる皆さまにとっても魅力的な施設となるように、そしてもとより長野県の文化芸術振興の拠点となるように取り組んでいきたいと考えています。
それからもう1点、県が提案した条例ではありませんけれども、県議会で検討、議論を行っていただき、「長野県脱炭素社会づくり条例」が成立しました。気候非常事態宣言を行っている長野県としては、県議会としてこうした意欲的な、内容的にも素晴らしい条例を制定いただけたことを大変ありがたく思っていますし、またその反面、県としてこの条例の趣旨を踏まえた取り組みに全力で当たっていかなければいけないと考えています。特に行動計画を策定する形になっていますので、速やかに策定に向けた取り組みをスタートしていきたいと考えています。
補正予算ですが、観光関係の補正予算については早期議決ですでにご議決いただいていますけれども、今回の9月補正予算、一般会計で795億円余ということで、コロナウイルス対策等を中心に大変多額の予算をご議決いただきました。この予算を有効に活用してコロナウイルス対策、災害からの復旧・復興を進めていきたいと思います。これまでの新型コロナウイルス対策の予算ですが、3月の補正予算から合わせて1400億円以上の規模で新型コロナウイルス対応を進めてきています。今回の補正予算、新型コロナウイルス関係では、「医療・福祉提供体制等の更なる強化」、私として最も力を入れなければいけないと思っていますのは、季節性インフルエンザの同時流行に備えた検査体制の強化ということで、昨日の専門家懇談会でもいろいろご意見を頂きましたけれども、医師会の皆さま、市町村の皆さまとしっかり連携して取り組んでいきたいと思います。それから引き続き県内経済の再生、そして雇用対策も充実していきます。『「信州回帰」の促進』ということで、新型コロナウイルスの影響もあり、都会の密な環境を忌避する、もう少し広々とした空間で生活をしたいという人の動きが少しずつ出てきていると思っています。そうした動きをしっかりつかまえて、長野県としてクリエーティブ人材、あるいは企業の誘致であったり、移住の促進、こうしたことに取り組みます。また新型コロナウイルス関連の情報発信の強化についても、しっかり対応を行っていきたいと思います。それから「災害からの復旧・復興」は7月豪雨災害への対応、それから間もなく1年を迎える令和元年東日本台風災害への対応、こうした取り組みもしっかり進めます。またゼロカーボンの実現に向けた取り組みも行います。
来年度予算の編成も間近に控えているわけですけれども、引き続き新型コロナウイルス対策、医療・検査体制の充実であったり、暮らしや産業の支援、こうしたものについてもしっかり取り組みながら、県民の皆さまが安心して暮らせるように、そして未来に向けて活力を持って進んでいくことができるように県としても取り組んでいきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから大きな4点目ですが、「新型コロナウイルス感染者発生時の公表方法の見直し」についてです。このことについては去る9月30日付けで長野県政記者クラブから健康福祉部宛てに申し入れを頂戴しています。その趣旨は、新型コロナウイルス新規感染者に係る健康福祉部の会見を、カメラ撮影を認めない記者レクに切り替えたことに対する抗議、撤回というものです。一部引用しますと、「カメラ撮影を認めないことにより、記者会見の映像や画像を通して、県民が情報を得る機会がなくなることは、長野県の情報公開の姿勢を後退させる懸念があり、大変遺憾です」ということでご指摘を頂いているところです。このことについては県から説明しているところもありますが、この場をお借りして改めて私から説明したいと思います。
まず記者会見と記者レクの違いは撮影をするかどうかということの違いです。そういう意味でテレビ等の方にはご不便をお掛けする部分もあろうかと思いますけれども、提供する情報の内容についてはこれまでと変わりがないと思っていますし、情報提供の内容についても、お出しする資料も従前よりもプラスアルファをして資料提供してきているところです。映像撮影を行わないということにしている趣旨ですけれども、県としてはプライバシーの保護というのが、今回の新型コロナウイルス対策では非常に重要だと思っています。生で映像が配信される、リアルタイムで映像が配信されるといったような状況の中で、場合によっては、やり取りの中で、私どもが細心の注意を払えばいい部分もありますけれども、たださまざまなご質問を頂く中で、個人情報について触れてしまう、センシティブな情報について発信、発言をしてしまうという危険性があります。また感染者、あるいは関係者の皆さま、ご自分のことがリアルタイムの映像等で流されていると、非常にそうしたものに対して関心を向けられています。そうした関係者の心情を傷つけてしまう恐れがあるとも思っています。また誹謗(ひぼう)中傷をなくしていこうということで、メディアの皆さまにご協力いただいていますけれども、そうしたものにつながっていく懸念もあるということで、映像撮影をしない形での記者レクという対応をしているところです。県としては記者レクでやり取りをしていく中で、県としてお出しできる情報はできるだけ出していると思いますし、これからも出していきたいと思っています。この点について、メディアの皆さまにはぜひご理解を頂きたいと思っています。他方で、例えば不特定多数の方への感染の恐れがあるといったような場合には、県としてもできるだけ速やかに会見で対応していきたいと思っています。こうした状況について、ぜひご賢察いただいた上で、県民の皆さま、そして記者の皆さまにはご理解、ご協力を頂ければ大変ありがたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
5点目ですけれども、『「しあわせ信州移動知事室(諏訪地域)」を実施』です。しあわせ信州移動知事室を10月15日、16日の2日間、諏訪地域で行う予定にしています。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、今年度に入ってから移動知事室は日帰りで行ってきていますけれども、今回1泊2日という形で実施したいと思います。さまざまな活動も「新しい生活様式」の下で実施していこうということで、今回、宿泊での開催という形にします。2日間、地域戦略会議では市町村長の皆さまとも意見交換をしますし、また若手起業家や地域おこし協力隊の皆さまとの意見交換、そして宿泊ホテルの皆さまと懇談を行い、また翌日は、諏訪湖の水環境の状況視察であったり、またカゴメ野菜生活ファーム富士見様、そして富士見パノラマリゾート様、こうした場での取り組みについても拝見し、意見交換していきたいと思います。また県として医療機器産業の振興に取り組んでいますが、高島産業株式会社様を訪問し、企業の皆さまと意見交換を行ってきたいと思っています。移動知事室を泊まりがけで実施するのも久しぶりの状況ですけれども、徐々に普通の活動に戻していきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから最後、6点目ですけれども、「令和2年国勢調査への回答のお願い」です。せんだって会見で申し上げ、ぶら下がり会見でもお伝えしたわけですけれども、10月7日までインターネットと郵送での回答を受け付けていましたが、このたび10月20日まで回答期限が延長されました。多くの皆さまに国勢調査、積極的にご協力いただきたいと思っています。10月7日現在の回答状況ですけれども、今のところ62.8パーセントの方にインターネットまたは郵送で回答いただいているという状況です。コロナ禍で接触を避けるという観点からも、非常に簡単に回答いただける形になっていますので、できるだけインターネットで回答いただければありがたいと思っています。インターネット環境が無い方は郵送で回答いただきたいと思います。繰り返し申し上げてきていますけれども、国勢調査は県がさまざまな政策を立案したり、また地方交付税が算定される際の基礎等になる重要な調査です。ぜひ多くの県民の皆さまに積極的なご協力を頂ければと思いますので、よろしくお願いします。私からは以上です。
共同通信 田中陽平 氏
目次の「4」の「新型コロナウイルス感染者発生時の公表方法の見直し」に関してお伺いします。先ほど知事からご発言がありましたが、リアルタイムで流れると、感染者やその関係者を傷付ける可能性があるというお話がありました。具体的に感染者や関係者からどのような苦情が来たのか、特定に至らない範囲で教えていただけますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
それは担当課から説明してもらった方がいいかもしれないですけれども、私のところに直接お話を頂いた件で申し上げれば、針のむしろ状態だと。要は、もちろんお名前等は出ていないわけですけれども、当事者は自分のことだということはお分かりになるわけです。そうすると記者の皆さまとのやり取りの中で、いつどういう行動をしたのかとか、普段行っている行動が、あたかも何か悪いことをしたかのように受け止めざるを得ないというようなご心情を伺っている部分もあります。人によってさまざまな受け止め方があろうかと思いますけれども、感染された方、あるいは感染者のご家族の方、感染されたこと自体で非常にショックを受けられている方もいらっしゃるということは事実ですので、ぜひそうした心情にもご配意いただければありがたいと思っています。
健康福祉政策課長 永原龍一
例えばLINEの中で、もし感染したら差別を受けるのではないか、子どもがいじめられるのではないかという不安が強いということ。感染者情報の公表について、ただ不安をあおるだけの公表になっていると感じる。またこのような形で感染者の情報を出し過ぎるのではないか、そのことによってこのようなやり方をしていけば感染者の特定につながり差別が起こるのではないかとか、そのようなご意見を頂いています。
共同通信 田中陽平 氏
今お伺いしたことは新聞記事でも起こり得る話です。つまり映像か写真があるかどうかというところが問題なのかよく分からなくて。その是非はともかくとして、今のお話をおしなべていくと、恐らくもう新聞記事にならないように発表しないという選択肢に至る気がするのですが。映像並びに画像も駄目という話になっていますけれど、そこをもう少し伺えませんか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、例えばライブで配信されるという形になりますと、記者の皆さまは別にプライバシーを侵そうと思って質問されているわけではないと思いますけれども、ただどうしてもどういう行動だとか、どういう人間関係だとか、そういうご質問をされていらっしゃると思います。県も個人情報には留意しながら回答していますけれども、あらかじめ想定問答を作ってやり取りしているわけではありませんので、どうしても場合によっては言い過ぎてしまう、伝え過ぎてしまうのではないかというリスクを抱えながら対応しています。単なる行政の情報であれば、それはいくら突っ込んでいただいても、県として説明責任があると思いますけれども、個人の方がどういう行動をされたかとか、どういう人間関係だとかというのは、言ってしまうと、もう取り返しがつかない場合があります。そういうことで、県としては映像を撮りながら行う会見という形式については、今回そういう形ではない記者レクに切り替えたということです。
共同通信 田中陽平 氏
先ほど若干、記者クラブの件でお話がありましたので、ご見解をお尋ねします。田中康夫元知事の「脱記者クラブ宣言」以降、報道各社がクラブの存在を主張する中で、長野県は表面上は一貫して記者クラブは無い、存在しないというお立場を取られていると承知しています。改めて知事のご所見を伺えますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私はニュートラルです。先ほど申し上げたのは「長野県政記者クラブ」というお名前で申し入れを頂戴していますので、それに対しての回答ということで返しています。私はメディアの皆さまとの関係性というのは、コミュニケーションがしっかり取れて、ある意味県民の皆さまと行政とを媒介いただいているお立場の皆さまでもありますので、できるだけ良好な関係をつくっていきたいと思います。ただ記者クラブがどうあるべきかというのは、まずメディアの皆さまのお考えというのがあろうかと思いますので、そうしたものを県としては尊重して対応していきたいと思っています。
共同通信 田中陽平 氏
当方、承知しているところでは、大半の報道各社が記者クラブの存在と、あと記者会見を記者クラブ主催で行うこと、それから空間としての記者クラブを復活させる、その3点をセットで求めてきたと承知しています。
長野県知事 阿部守一
それは何か正式に頂いているのですか。
共同通信 田中陽平 氏
だいぶ昔からやってきた話なので、よく分かりませんが。
長野県知事 阿部守一
それはだいぶ昔の話ですか。
共同通信 田中陽平 氏
ええ。だから現状はお認めになっていないというところでよいのですね。
長野県知事 阿部守一
認める、認めないと、私は積極的に判断したことはないと思っています。
共同通信 田中陽平 氏
保留なのですね、分かりました。そこに関連するのですが、他の都道府県庁と異なって、長野県というのは記者クラブというものを公式には認めていないということになっているので、取材規制について報道各社と相互調整する枠組みが整っていません。何か記者レクとかいろいろ持ち出されていますけれども、今回のように取材を規制されたいというのであれば法的根拠が必要になると思われます。今回の記者レクであるとか、記者会見であるとか、つまり撮影を規制するというところの権限について、法的な根拠や罰則というものはあるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
記者クラブ制度自体、法的な根拠はないと思いますけれども。今ご提案いただいたように、記者の皆さまと県の関係をどうするべきかというご提案を頂ければ、今の形が唯一絶対だと私は全く思っていません。より良い形が構築できるのであれば、それは前向きに検討したいと思います。
共同通信 田中陽平 氏
ボールは県庁の方にあると思いますので、よろしくお願いします。
広報県民課長 池上安雄
ボールは県庁にありません。それは認識が違うと思います。クラブが有るということであれば、それはそういう対応をしますので。今、知事も申し上げたように、お話があればわれわれもそれを受け止めてお話をしたいと思っていますので、逆によろしくお願いしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
ボールは多分われわれにはないです。皆さまからまとまって何かご提案いただいたということにはなっていないと思いますけれども、そこはよく確認して。私は先ほど来、申し上げているように、いい関係性、なあなあの関係ということではなくて、皆さまも報道しやすい、われわれも伝えるべきことを伝えて、時には批判を受けたり、厳しい突っ込みを受けて、それは構わないと思いますので、ぜひメディアの皆さまにも一緒に考えていただければありがたいと思います。
市民タイムス 田子元気 氏
補正予算の関係で、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の抗原検査キットの件でお伺いします。以前、県内で感染した感染者の中で、抗原検査を使用して感染していなかった可能性が高いという事例がありまして、後の検査で精度の高いPCR検査で陰性だったということでした。それで今回、抗原検査が増えることによって、偽陽性の方がかなり増えるのではないかということを心配しています。もし仮に検査を受けて偽陽性の方が増えた場合になると、検査をためらう人が出てくるのではないのかと。もともと職場などで検査をたくさん受けたいということで、そういう要望を受けて県も検討されたことだと思うのですけれども、そういった偽陽性のことに関して、偽陽性だった方は感染者としてそのままカウントされたままになっていますので、そういった点の対処方法について、知事はどのようにお考えなのかというのを聞かせてください。
長野県知事 阿部守一
私もそこは極めて重要な話だと思います。ご承知の通り、1日9000検体の検査ができる体制をという中で、今お話しいただいた抗原検査、簡易検査キットをかなり多く使っていくという対応になっています。最近、厚生労働省から検体の採取の仕方が、今まで鼻咽頭ということで、鼻の奥まで差し込んで検体を採取する形になっていましたけれども、今度、鼻腔での検体採取もできる、しかも自分で採取することも認めるという方向性が出されています。そのことについては厚生労働省に有効性等についてしっかり確認しようということになっているのですけれども、お話しいただいたようにさまざまな検査手段が出てきています。さまざまな検査手段が出て広く検査が行われるようになるという面ではプラスですけれども、お話があったように、実は検査が正確に確定できるかというのが、かなりばらつきがあるのではないかということで、場合によっては検査手法を使い分けていくということも考えていかなければいけない状況もあるのではないかと思っています。要は、先ほどの鼻腔かつ検査キットみたいなところはどうしても精度が低くなりがちですので、それはもうよほど感染者が大勢いて検査件数を増やさなければいけないときは、そうした手法も使わなければいけない。ただ本当に重要な検査で、精度を上げて検査しなければいけないようなケースはPCR検査できっちりやっていくというようなことで、使い分けていくことも場合によっては必要ではないかというご議論も昨日の専門家懇談会ではいただいていますので、これから検査件数が増えていくに当っては、県としてもしっかり考えていきたいと思っています。
市民タイムス 田子元気 氏
先日の専門家懇談会で、長野赤十字病院の感染者でLAMP法の検査で2回陰性になり、その後、感染していたということが分かっていて、もう少し早い段階でPCR検査ができたら状況が違ったのではないかという意見があったと思うのですけれども。要は感染者の検査の精度を重視されるのか、数を重視されるのかというところで、対応の仕方というのが変わってくると思うのです。今、知事がおっしゃった使い分けということは、そういった数か精度かというところで、状況に応じて判断されるということでよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
一長一短いろいろあって、どうしてもPCR検査は時間がかかります。検体を採取して、どこかへ運んだりしなければいけなかったりとかです。それに比べると、簡易キットは広く診療所でもできますし、また結果も早く出るということで、そういう意味でこれが唯一絶対よくて、これが駄目ということではなくて、状況に応じて何が適切かということを判断して、場合によっては組み合わせていくというようなことが必要になってきていると思っています。
長野日報 前田智威 氏
移動知事室について伺います。今回、日程を見ますと、「withコロナ時代」の取り組みについて多くの方と意見交換するようですけれども、今回の移動知事室ではどんな成果を期待していらっしゃるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今回は、一つは地域戦略会議を初日に入れています。テーマは「withコロナ時代の諏訪地域の活性化」ということで、DX(デジタルトランスフォーメーション/ITの浸透が人々の暮らしをあらゆる面でより良い方向に変化させること)戦略、そもそも諏訪地域は、ものづくり産業の中心地でもありますので、そういう意味で諏訪地域のこれからの発展ということを考えた場合に、今、政府も県もデジタル化、DXを進めようという形になっていますので、市町村の取り組み、地域の取り組みをお伺いする中で、一緒にデジタル社会の方向性を検討していきたいと思っています。それから移住若手起業家とか地域おこし協力隊の皆さまと意見交換しますけれども、今、新型コロナ禍で、だいぶ地方に目が向きつつあると思います。移住された方とか地域おこし協力隊の皆さまは地域の外の目線も持っていらっしゃいますので、そうした皆さまと一緒に諏訪地域の魅力とか、これから人を引きつけるために何が必要かということも意見交換していきたいと思います。またカゴメ野菜生活ファーム富士見、あるいは富士見パノラマリゾートは独自の観光の魅力発信を行っていらっしゃいますので、私としてはいろいろ学ばせていただきたいと思っていますし、高島産業は先ほど申し上げたように、県が進めようとしている医療機器の振興、今後の方向性を一緒に考えていきたいと思っています。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
3点あるのですけれども、まず災害関連死の方が10名発生してしまったということで、市町村とも絡んでくると思うのですが、ケアが十分であればそういう方が生じなかったと思われるので、その点についての受け止めと、今後また増えないようにするためのお考えを伺えればと思います。
長野県知事 阿部守一
災害関連死の方のケースもさまざまありますので、一概には申し上げづらいところがありますけれども、避難後の環境ということを県もこれまで以上に意識していかなければいけないのではないかと思っています。例えばご高齢の方でも被災後は精神的にも大変な中で、ご自宅の土砂撤去とか、そういうところに実際、出掛けられて活動して、どうしても心身ともに疲れてしまうというようなこともあります。また長い間の避難生活であったり、あるいは住み慣れない仮設住宅という環境の中で、できるだけより良い環境を提供できるようにしていくということが、全体としてこうした災害関連死を無くしていくことにつながっていくと思いますので、そういう意味で災害後の対応についても県としてしっかり考えていきたいと思います。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
2点目ですけれども、去年の台風を受けて、今年はタイムラインの対応ということで、早め早めの対応が始まっていますけれども、漠としているのですが、去年の対応と比べて知事のそういった受け止めを伺えればと思います。
長野県知事 阿部守一
今、市町村の皆さまとも一緒になって、県としても「マイ・タイムライン」の作成であるとか、あるいはわれわれ自身も今、台風14号の接近に伴って、試行的ではありますけれども、国土交通省や市町村と一緒にタイムラインを作っての動きということもやり始めています。まだ十分普及されている状況ではないと思いますけれども、引き続き機会を捉えながら県民の皆さまには常日ごろからご自分の地域の安全性を確認すると同時に、いざ災害というときに、実際どう対応されるかということを平素から考えて「マイ・タイムライン」を作成していただけるようにお願いをしていきたいと思います。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
記者クラブから申し入れがあった関係ですけれども、県の心配される部分というのは非常に理解できるところですけれども、映像メディアとすると、県の当事者が前に立って情報発信することで、直接的に県民に伝わる部分もあるかというのが映像メディアとしての、そこもメリットかと思っています。今回のやり取りの中で、県から一方的に会見を打ち切りますというようなお話になった経緯がありまして、先ほど知事も良いコミュニケーションをしていった方がいいということだったのですけれども、その辺うまくコミュニケーションが取れていたかどうかという点が一つ。それから例えば基本的な情報は会見で出してもらって、センシティブな部分、例えばこんなうわさがあるけれどどうなのですかという、会見だとこちらからも聞けないのですけれども、そういうものを打ち消す意味でもレク形式の方が聞ける部分、会見の後やっていましたけれども、そういう部分もあったり、そういったやり方をしっかり分けて、直接発信する部分は発信して、ちゃんと確かめなければいけない部分は別途、機会を設けてもらうとか。あと今、感染者があるときにだけ会見の機会というか、情報を直接聞く機会があるのですけれども、例えば毎日、時間を設けてもらって、カメラ取材、ライブしないにしても取材の機会を設けてもらうとか、いろいろしっかりとコロナウイルスの件は伝えていかなければいけないと報道機関は思っていますので、そういう対応が一方的に終わったということではなくて、今後またいろいろ検討する余地はあるのか、2点、コミュニケーションが取れていたかどうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、私は良好なコミュニケーションは必要だと思っていますし、多分県からペーパーで出す情報も、個人情報とは違うレベルの県民が求めているような情報をもっと積極的に出していく必要があると私も思います。またお話しいただいたように、今の形が唯一絶対ということではなくて、引き続きいい形、いい形というのは多分、皆さまはそれぞれお立場があるので、こういう形が望ましいということと、県の考え方ということで、両方ちゃんとすり合わせて一番ベターな形で着地していくことが、私もこうやって毎週のように会見していますが、望ましいことだと思います。一方通行でこれからは何もお話を聞きませんというつもりはないので、メディアの皆さまもいろいろお考えがあるかと思いますので、ご意見があればぜひお聞かせいただければと思います。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
そうすると、今回のこうなってしまった点についてはどんなふうに。
長野県知事 阿部守一
なってしまったというのは。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
コミュニケーションがうまくいかなかったかと思うのですが。
長野県知事 阿部守一
説明はしていたのですか。
広報県民課長 池上安雄
今も幹事社という社が3カ月交代でおありになるということで、まず幹事社にはお話しして、その後「4社幹事」という仕組みもあるということで、幹事の4社の皆さまにも健康福祉部と広報県民課と、あと人権の関係もあるので人権・男女共同参画課長も入って、そこはお話をしましたが、そこでは受け入れられないということでありました。ただそうはいっても、県もこういうふうにしたいということがありますので、皆さまからすれば一方的に踏み切ったというふうな受け止めをされるのかもしれませんけれども、県としてもそういう手続きは一応踏んだ上でやっているというところです。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
しっかりと情報を伝えていく使命をわれわれは担っていますし、県には県のお立場があると思うのですけれども、その辺ちゃんと強引な手法ではなくて、例えば取材の機会も、先ほど申し上げたように感染者の会見があるときだけ取材できるみたいなことよりは、県民にしっかり伝えていくという立場に立って今後進めていただければと思います。要望です。
長野県知事 阿部守一
ご趣旨はよく分かりました。一言だけ余計なことを申し上げてしまうかもしれないですけれど、私が感じているのは、一つ一つのケースの報道ということよりも、むしろ医療状況がどうなっているかとか、あるいは県の体制はどうなっているかとか、県民の皆さまもそういうことにかなり関心を持っていただくようになっている状況だと思いますので、県もそういうことを積極的にお伝えしていきたいと思います。だんだん新型コロナウイルスの対応もいろいろフェーズが変わってきていますので、そうしたことも共有しながらいいコミュニケーションの在り方を考えていければと思います。よろしくお願いします。
長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
今し方のお話に関連します。すり合わせをされていくというお話なのですが、この際少しお話ししたいと思って手を挙げました。少なくとも今の段階で会見をすることを想定されている場合は何かというのを、もう一度教えていただいてもよろしいですか。
長野県知事 阿部守一
今のところ県としては、一つは不特定多数の方に感染が広がってしまう恐れ、濃厚接触者が特定し切れないような場合というのが一つあると思います。それからクラスターが発生しているというような場合。それから、一番食い止めなければいけないと思っていますけれども、院内感染とか社会福祉施設内の感染、こうした場合には記者会見という形で対応をしていきたいと考えています。
長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
ちなみにそういったことについて会見をするとしても、先ほどご懸念されていた、例えばプライバシーの部分については県とすればひょっとしたら抵触してしまう、侵してしまうかもしれないという恐れがあるのだと思うのですけれども、逆に言ったら、それでもなおこの場合については会見をするのはなぜなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
県民の皆さまに強く注意喚起をしなければいけない場合であったり、あるいは県として重大な事態だと考えているということです。そういう意味でこうしたケースについては記者会見で対応していきたいと思いますので、ぜひご協力いただければと思います。
長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
要は、伝えるべき何かがあった場合には会見の方がよろしかろうということだと思うのですけれど、例えば観点でいうと、不特定多数及びクラスターということにつながらないにしても、それ相応の人数が出た場合ですとか、他にもいろいろなケースはあろうかと思います。そういった点に関して今後、対象を広げていくようなお考えはありますか。
長野県知事 阿部守一
例えばどういうケースですか。
長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
要するに、1事案に関してクラスターがどっと出たではないにしても、例えばどこかの地域、それは県内複数の地域で、最近はもう1人、2人ぐらいしか出ませんけれども、例えばこれが10人出た、20人出た、ただそれがそれぞれクラスターではないし、不特定多数とは関係ないけれどもということも当然あり得るかと思うのですが、そういう場合はいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
例えば感染者が出た、出ないということ以外でも伝えることがあるのではないかというご質問を先ほどいただきました。これまでの対応の中でも、例えば上田のようなケースは、何人発生したかということだけではなくて、県がどういう対応をしているかということもお伝えしていかなければいけないケースに当たると思います。そういう意味で決してしゃくし定規に、これ以外絶対に会見しないということではなくて、今申し上げたような不特定多数の方に感染が広がる恐れというのは基本的な考え方としては持っていますけれども、それ以外のケースであっても必要があれば会見で対応することも当然考えていきたいと思います。
長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
何となく何をもって知らせるべきであるのかということを、もちろん県もそこはいろいろ考えていらっしゃると思いますけれど、われわれもそこについては知見を持っていると思っていまして、その辺り正直言うと基準が厳しいのかとか、では例えば不特定多数とは何人ですかとか、基準がやや曖昧ではないのかということについて懸念を持っています。その辺りもう少し精緻に詰めていく作業であるとか、例えば範囲を広げてみるとか、そういったところについて、もう少しコミュニケーションを図ったほうがよろしいかと思いますが、その点いかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、会見をやらないというのは全然コミュニケーションをとらないということではなくて、むしろ記者レクを行って、ご質問には丁寧にお答えしていると思います。そういうことがないという状況だと、そもそも県が情報を発信していないので、このケースはどうなのだと皆さまから言う機会がなくなってしまうかもしれませんが、今でも個別のケースでも記者レクをしているので、そういう中で、ここまで来たらこれは会見ではないかということを言っていただければ、われわれもそれを受け止めて検討したいと思います。
長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
では会見するべき何かだということを、例えばわれわれなりに考えてお伝えしたような場合については、そこはある程度柔軟に対応していただけるという理解でよろしいですか。
長野県知事 阿部守一
新型コロナウイルスの場合は画一的にこれとこれという話ではなくて、ものすごくいろいろなケースというのはあり得ると思いますので、画一的にここから先は絶対しないという決意を固めているみたいな話ではありませんので、そこは皆さまともやり取りしながら考えていきたいと思います。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
今の質問に関連して、同趣旨のことだと思うのですけれども質問させてください。会見と記者レクの違いについてはカメラの有る無しという違いのことであっても、会見と記者レクを県が切り替えるということについては情報の出し方自体を行政が変えるということには変わらないと思っています。今後もないとは思うのですけれども、行政の都合の悪い情報というのを出さないという選択肢というのも今回残ったということにもつながらないかという危機感がありまして、あくまで確認ですけれども、県として情報を出す姿勢について、スタンスについて今後の見解を改めてお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
お答えとしては、全くそのようなつもりはないということです。行政に都合が悪い情報は出さない、出すという、そういう観点は全く持っていません。要するにプライバシーをどう守るかという話ですので、記者レクはずっとしますので、必要なことはそこで聞いていただければ対応していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
先ほどの冒頭の説明の中で、発表する担当の方が質疑応答で意図しないことまで話してしまうという、そういった恐れがある、リアルタイムでそういったことが流れてしまうということを懸念されているという対応だとお聞きしました。であるならば、会見の前に事前にここまで話す、ここからは公開しないといった対応を考えていただければいいのかとは思っています。そうした観点の話は先ほど知事の発言の中にもありましたけれども、会見の運用面で改善でき得る問題としてではなく、会見そのものをやめるという選択肢に至ったということについては、私どもにとってみると県の情報公開に対する今回の姿勢というのは、やや後ろ向きになったのかと思っているのですが、そうした考えについてのご所見をお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
会見をやめるというと何も情報を出さないという誤った印象を与える可能性がありますけれども、要は撮影をしないようにしてもらうということです、中身的には。あとはむしろより柔軟にやり取りをしていく形を取っていると思っていますので、そういう意味で情報提供の内容的に後退することは全くないと思っています。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
情報提供に全く後退がないということであり、県が説明する内容がこれまでと変わらないのであれば、これまで通り会見のままでもいいのではないかと思うのですが、そこはどうでしょうか。
長野県知事 阿部守一
それは先ほども申し上げたように、記者の皆さまも熱心にいろいろご質問いただくので、いろいろな質問をされますよね。もちろん個々のケース、いろいろなケースがあるので、ご質問するのは、それはやぶさかでないと思いますけれども、、正直言って、そうした中で人間関係だとか、個人にまつわる情報だとかということも、ご質問いただいていると思っています。それを動画等が撮影されている中でやるというのは万が一のことがあってはいけないというところもありますし、できるだけコミュニケーションを円滑に取らせていただくという上からも記者レクの方式の方が望ましいのではないかと私は考えています。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
動画でそうしたやり取りがリアルタイムに流れてしまうことについての問題意識だとすれば、写真については許容されるのではないかと思うのですが、そこはどうなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、私はそこを絶対に否定するつもりはありません。ただ個々のケース、例えばお一人軽症の方が確認されたということが大々的に報道されるというようなことは、ご本人にすれば非常に負担になっているということがあります。報道内容を県からこうしろ、ああしろということはできない話ですけれども、ぜひ皆さまにもどういう情報が県民の皆さまの期待に応えられるのかということは、県も考えながら出しますし、また皆さまのご要望にもできるだけいろいろな形で応えたいと思っていますけれども、どうしても感染者とかご家族の方に精神的な負担を与えるようなこととか、プライバシーに触れてしまうようなことが起きないようになるべくしていきたいというのが県の考え方です。先ほど来申し上げているように唯一絶対これが正しくて、これ以上一歩も譲らない、あるいはこれがもう確立した形だと思っているわけではありませんので、ぜひその時々に応じて必要があればご意見を頂ければと思います。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
知事が県護国神社の崇敬者会長を務めていることに関連しまして、県内のプロテスタント教会の牧師さんたちが知事宛てに抗議文を出されたと思います。知事が神社への寄付募集をしていたことについて、政教分離の原則から大きく逸脱しているという指摘だと思うのですけれども、抗議文に対する知事の受け止めと崇敬者会の会長職を続けるかどうかの判断について、今現在でどう考えているのか改めてお聞きします。
長野県知事 阿部守一
これまでもさまざまなご意見を頂いていますので、今回も県民の皆さまのご意見ということで、私としてはしっかり受け止めたいと思います。会長職について、今までも申し上げてきている通り、いろいろな方のご意見を伺ってきているという状況です。今の状況でこれまでと変化していることは全くありません。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
これまで多くの人が聞いているのですが、会見の部分についてお伺いします。報道の部分で言えば、テレビを通して報道機関がユーチューブなどで配信しているところで見ていた県民も多いかと思います。そういうような形で一次情報に触れることができるというのは、ある意味貴重なもので、それ自体がそういう機会があったというのは非常によかったかと個人的には思っています。もちろん私たちも報道機関として適切な情報の形にして提供することは心掛けているのですが、一方で生のそういうやり取りができるということ自体は非常に貴重な機会だったと思います。県の立場としても非常に難しい部分もあるというのは重々承知の上ですけれども、そうやっていつも見ていた人の中には、そういった機会がなくなってしまうという方もいらっしゃるかと思います。そういった意味では、それが情報公開の後退に当たるかどうかというと、なかなか微妙なところではあると思うのですが、機会が失われてしまう、もしくは少なくなってしまうという面では、それはその通りになるかと思います。その辺についてはこれまでも知事の見解はお伺いしたのですが、そういう機会がなくなるということについてお伺いしてもよろしいですか。
長野県知事 阿部守一
例えばこの会見もご覧いただいている方もいらっしゃると思いますし、一次情報に触れる機会というのは私も重要だと思います。ただそれはケース・バイ・ケースでないと、例えばあからさまな個人情報の話をすべての県民の皆さまと共有することは基本的にやるべきではない話です。そういう意味で一次情報に触れる機会が重要というのは、私は全くそれを否定しませんし、その通りだと思いますが、その反面、特に心を痛められている方のプライバシー情報というのは相当慎重に対応しなければいけないと思いますので、少し次元が違うところの問題ではないかと思います。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
今までの中でもおっしゃっていた、何をもって公開すべきかどうかという部分で、報道する側と県の方が、県が今、一定に示している基準に対して話し合う余地というのは今後どの程度あるのかというのをお伺いしてもよろしいですか。
長野県知事 阿部守一
多分ブリーフィングのときも公開の在り方についてご意見を伺ったりしてきていると思っていますし、皆さまからのご意見とかを排除するつもりは全くありません。県の考え方は先ほど申し上げた通りですし、ここについてはぜひご理解いただきたいと思いますが、先ほどもご質問いただいたように、では会見をやるケースは唯一絶対この場合とこの場合なのかというと、そんなに硬直的に考えているわけではありませんので、そこは皆さまからもご意見を頂いて、われわれもできるだけ対応していけるようにしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
今の点で補足してお伺いしたいのですが、何かあったケースのときに急に話し合うということになるとまた難しいと思うので、そういうのは事前に改めて協議する場が持てればと思うのですが。
広報県民課長 池上安雄
先ほどabnの川見さんからご質問があったこととも絡むかもしれないのですけれど、ある程度ケースが出てこないと、このケースの場合はどうするという想定がなかなか難しいので、4社の幹事の皆さまとお話ししたときにも私から提案したのですが、そういうケースを積み上げながら、できるだけ皆さまと、こういうときは会見だという共有を図っていきたいと思っています。ただケースが出てこないとなかなか難しいことではあるので、先ほど知事が申し上げたように、よくコミュニケーションをとるという中で、クラブという形と県と話し合いの機会というのは今後、持たせていただきたいと思いますので、もしまたご意見があればそういう中でおっしゃっていただければと思います。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
今、課長がおっしゃっていただいたような、ケースの積み重ねをしないと難しいですか。この会見が終わって、まずは今、県が示しているラインについて話すというのは、それは難しいでしょうか、いかがですか。
広報県民課長 池上安雄
それは難しいと思っています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
きのうですけれども、社会経済活動の関係で申し合わせがあって、このままではいけないということで積極的な活動をしていきましょうという部分があったと思います。県として申し合わせを受けて、その中には飲み会だとか、会食だとか、そういうものをやりましょう、積極的にやりましょう、イベントもやりましょうというようなお話もあったと思います。申し合わせを受けて県として変わる部分というのは何かありますか。
長野県知事 阿部守一
それはいろいろあると思います。例えば先ほど私も説明したように、移動知事室も新型コロナウイルスの影響もあって、基本的に日帰り対応をしてきていますけれども、今回は宿泊で対応しますし、私自身の日程もかなり朝とか夜も入れていくという形になっています。県としても申し合わせの趣旨を踏まえて対応を図っていきますので、もちろんイベント、行事等も感染防止対策をしっかりやった上でということですので、その点は改めて各部局に注意喚起しなければいけないと思いますけれども、基本的にいろいろな行事は実施していくという形で進めていきます。
時事通信 芝冴理 氏
政府が進める行政のデジタル化について伺いたいのですけれども、長野県もDX戦略を策定していて、各市町村と協力して行政事務の効率化とかに取り組まれていると思います。政府が原則、行政手続きでははんこを廃止しましょうというようなことも検討していると聞いているのですけれども、「脱はんこ」なども含めまして、政府が進める行政のデジタル化についての知事のお考えを教えてください。
長野県知事 阿部守一
ご質問にもあったように、DX戦略で行政も含めてデジタル化を進めていこうということで取り組んでいますので、政府の大方針としてデジタル化を進めようということが出されていることは大変歓迎です。全国知事会としても、まず都道府県レベルでしっかりデジタル化を進めよう、その上で政府にもいろいろな提言をしていこうということで、今、提言の取りまとめを行ってもらっている最中です。しっかり現場、あるいは都道府県としての意見も言いながら、政府にはスピード感を持ってデジタル化を進めてもらいたいと思っています。押印の話等もあるわけですけれども、押印の廃止ということも重要かもしれませんけれども、それ以上に本当に必要な書類なのかとか、私が県民の皆さまからよく言われることで多いのが、こんなにいっぱい書類を作成しなければ本当にいけないのかというようなこともあります。県として様式を定めているものもありますし、逆に国が様式を定めて、これでやってくださいというものもたくさんあります。そうした問題も県としてしっかり状況を把握して、必要なものについては国に問題提起をして、県が直せるところは県が直していくということで進めていきたいと思います。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
皆さま質問なさっている会見のことですけれど、1点です。永原課長もおっしゃった中で、不安というのがキーワードにありましたけれど、要するに県民の不安をあおる会見になっているのではないかという指摘がありましたけれども。不安というのは人によって心配になりがちな人とそうではない人とばらつきがあると思っていて、それぞれすごく心配症な人にも、心配性な人だからこそ、いろいろな悪い予兆に気付けるとか、そういうメリットもあると思うのですけれども。そういった中で、では実際、全体としてみんな不安に駆られて困っているのかというと、この間の先月の4連休も観光地はものすごい人出で、決して不安をあおられてしまっている長野県民だったり、全国の人たちではないと思うのです。全体を捉えてほしいと思っていて、いろいろなご意見が県の方にはあるとは思うのですけれども、実際に不安だと言っている人が声を寄せているからといって、実際、県の情報発信の在り方が不安をあおり過ぎていると考える根拠にしてはいけないのではないかと思うのですけれども、そこはどのようにお考えになりますか。
長野県知事 阿部守一
先ほど永原(課長)が説明したのは県の考え方というよりは、そういうご意見があるという話で説明したと思いますので、不安感を持たれる方もいらっしゃると思いますし、逆にそれを聞いて安心する方というのはもちろんいらっしゃるとは思います。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
つまり知事としては不安をあおっている会見だから問題があったとは考えていないということですか。
長野県知事 阿部守一
不安をあおるというよりは、私の感覚は先ほども少し申し上げたように、本当に世の中の皆さま、県民の皆さまが知っておかなければいけない、あるいは知りたいと考えていることということは何なのか。要するに個人的な興味とかそういう話ではなくて、多分どういう形で感染したのかとか、そういうことは例えばご自分の行動を考える上では重要な情報だと思います。私としてはそうした情報は出したほうがいいと思っています。ただ個人の情報とひも付けされるということだと、その方への誹謗(ひぼう)中傷につながってしまいますので、そういう意味では個人の感染者の発表というものと全く切り離した形でそういう情報を出していくということは、私は必要だと思っています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
今、国政で日本学術会議の会員の推薦について菅首相がということになっていますけれども、6人の方の任命をしなかったということが問題と報道されています。知事は今回の総理の判断は適切だったと思うか、不適切だったと思うか、どちらでしょうか。ぜひ伺いたいと思います。
長野県知事 阿部守一
報道ではいろいろ言われていますけれども、適切か適切ではないか、私は判断する立場では全くないだろうと思っています。話が違うかもしれませんけれども、きょうも会見の在り方という話はあえて私からお話をして説明しています。それは今までと方向を変えているということですので、丁寧に説明した方が、しかも私から説明した方がいいかということで説明をしていますので、政府にもいろいろな対応の考え方があると思いますけれども、丁寧な説明を行っていただくということが、まずは重要ではないかと思います。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
要するに任命なさらなかった理由というものの説明は必要ではないかという趣旨でしょうか。
長野県知事 阿部守一
任命しない理由、人事の話は多分私に聞かれても、誰をこういう理由で忌避したとか、どなたをこういう理由で登用したかというのは、それもまた個人の情報になってしまうので、つまびらかに説明することは基本的に差し控えると思います。ただ一般的な考え方というのはあるのではないかと思います。
長野朝日放送(abn) 川見能人 氏
先ほどのお話がやや気になったので確認しておきますが。事例を積み上げないとというお話がありましたけれども、それは逆に事例が積み上がらないと変わらないと受け取れてしまうのですけれども、そういうことではなくて、もちろん長野市の先行事例もありますし、それは想像をめぐらせれば、こういうときは必要だということもあろうかと思います。その辺は別にそこを忌避しているわけではないという理解でよろしいですか。
広報県民課 池上安雄
過去の事例も参考にしてということは当然です。
長野県知事 阿部守一
何件も積み上がらなければ何も変えないというつもりは全くないです。
ありがとうございました。
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